ジャニーズWESTの濵田崇裕が主演するドラマ「武士スタント逢坂くん!」7月26日(月)より放送開始した。
「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載されたヨコヤマノブオ原作の漫画を実写化した本作は、江戸時代からタイムスリップしてきた武士で春画師の逢坂総司郎が漫画家アシスタントとなり、「エロ」「恋」「自分の春」を見つけ出していく斬新なストーリー。
cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。
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もくじ
第1話ストーリー&レビュー
第1話のストーリー
中堅漫画家・宮上裕樹(今井隆文)は締め切り寸前、絶大なピンチに襲われていた。宮上のチーフアシスタントの緋村清人(森本慎太郎)は宮上の顔色を伺い、アシスタントの瀬戸(長井短)は、スマホでパシャパシャと写真を撮る。そのピンチの原因…それは、全裸亀甲縛り状態の裸の武士・逢坂総司郎(濵田崇裕)が突然、部屋に現れたのだった。
「拙者、逢坂総司郎と申す。この通り、決して怪しい者にはござらん」
逢坂の話によると、風紀を乱すため、「性の交わりを描いた浮世絵 =春画」が禁止されていた時代。春画師であった武士・逢坂は、隠れて春画を描いていたために、暗君・鶯谷寛喜(高嶋政宏)に処刑されることに。「もっと、画を描きたかった…!」しかし、目を開けるとここにいたという。つまり、処刑寸前に逢坂は江戸から現代へタイムスリップしたというのだ!
締め切り寸前の宮上は訳の分からない状態に!不審すぎる逢坂に、宮上のアシスタント・緋村は「通報しよう」と促す。しかし、逢坂は、「枠の中で、人が、妖が生きている……!!」と初めて見た「まん画」に感激!しかも、エロ漫画が自由に買えるなんて、なんて素敵な世なのか…と号泣。
どうか、宮上の下で「まん画」を学びたい!もっと画が描きたい!
ウブで純粋すぎる逢坂くんは、弟子入りを求め、宮上と出版社の担当編集との打ち合わせまで勝手に追跡!すると、出会った担当編集・丹内あたり(久保田紗友)に熱い胸の昂ぶりを感じ…!とんでもないことをしてしまう!?
漫画に出会った逢坂くんは、時代を超えて「エロ」と「恋」と、「自分の春」を見つけることができるのか!?純度100%のコメディが開演!
第1話レビュー
第1話から、「飛ばしすぎだろ…」な展開だった。
冒頭、いきなり全裸に亀甲縛りのちょんまげ男登場。彼こそが本作の主人公・逢坂総司郎。「この通り、決して 怪しい者にはござらん」と言ってはいるが、何から何まで怪しいよ!と全方位からツッコミが来そうな姿である。なお、続いて始まるオープニングでも引き続き彼は亀甲縛り。演じる濵田崇裕はさすがキレッキレのボディだが、まさか、毎週この姿を見ることになるのだろうか…?
少年のころ龍と巫女が描かれた絵に魅せられ、武士でありながら春画を描き続けていた逢坂。しかし、春画を禁じていた大名・鶯谷に見つかって処刑されそうになり、殺される寸前現代にタイプスリップ。ちなみに鶯谷を演じたのは髙嶋政宏。春画を目にした怒りの表情から逢坂を打ち首にする際の不敵な笑顔まで、形相がとにかく強烈だった。あれは絶対ノリノリで楽しみながら演じていたと思う。
そんなこんなで現代にやってきた逢坂だが、漫画家・宮上の描く「まん画」に魅入られてしまう。さらに、春画のポスターや看板があふれる街中(=秋葉原)を見て「鮮やかに春が咲き乱れておりまする」とうっとりし、書店に売っていたエロ漫画を手に感極まって号泣。隠れて春画を描いていた彼にとって、令和の時代はまさに天国だった。ただ、気持ちはよくわかるけれど、何せ手にしているのがアレな本。見ているほうとしては「お、おう、よかったね…」となんとも言い難い気持ちで見守るしかなかった。
純粋に感動する逢坂に心動かされたのか、宮上は彼を打合せに連れていく。現れたのは担当編集の美しい女性・丹内。彼女と宮上が漫画の内容を詰めていく様子に「思いを重ね鍛え上げてゆく。ゆえに“打合せ”…」と理解する逢坂。彼の解釈、武士が刀を打ち合う的なニュアンスも入っていそうだが芯はちゃんとついている。どうやら頭は悪くないよう。しかし、そこで何か昂った彼は丹内をモデルにした春画を描き出してしまう。
やってしまった後、「なんてことを…」と反省ひとしきりの逢坂。しかし、彼の絵を見た宮上の心に火が着いたらしい。「丹内さんのエロいところがまったく描けてねえっつってんだよ!」と叫び、勢いに任せて逢坂とともに夢中で描きなおしていく。ただ、さすがに途中で丹内に止められて、絵はもちろん「全ボツ」(丹内)。そりゃそうである。むしろ怒らず笑顔でことをおさめてくれた彼女に感謝したほうがいい。
ただ、この一件は双方にある種の手応えをもたらす。「あんな楽しそうに絵を描く先生、久しぶりでした」と驚きを隠せない丹内。そして、昂ぶりを覚えた逢坂もまん画を描いてみたいと夢見る。そんな逢坂に宮上は「始まりを考えるといい。君の始まりに描いてみたいものがあるはずだ」と助言する。
宮上の仕事場で素振りをし、さらにペンを手に取って「始まり」を考えてみる逢坂。「もっと絵を描きたかった。逢坂の絵で喜ぶ人の顔が見たかった…」と気づいた彼は「この令和の世で、逢坂は先生の元でまん画を学びとうございまする!」と宮上に弟子志願するのだった。
亀甲縛りに春画、エロ漫画など攻めた展開にドキドキしつつも目が離せなかった第1話。これが初の単独ドラマ主演となる濵田崇裕の演技が非常にエネルギッシュで、作品に対する意気込みが十分伝わってきた。
また、本作でもう一つ触れておきたいのが劇中のナレーション。一昔前の時代劇のような語り口で非常に印象的だったのだが、こちらの担当はなんと「いないいないばあっ!」のワンワン役でおなじみのチョー氏。あのワンワンがこんな渋い語りを?と驚いてしまった。「いないいないばあっ!」ファンのお子さんたちに、ドラマの内容はさすがに見せられないけれど、ナレーションの一部だけでも聞かせてみたい気がする。ワンワンだと気づく子はいるだろうか。
令和の世で「まんが道」を歩む“武士スタント”逢坂。彼が歩き出した道は「決して平坦なものではない!」(by ナレーション)とのことで、今後の奮闘を応援しながら楽しんでいきたい。
※この記事は「武士スタント 逢坂くん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第2話ストーリー&レビュー}–
第2話ストーリー&レビュー
第2話のストーリー
「先生を、師としてお仕え申し上げたい!」
春画師である武士・逢坂くん(濵田崇裕)は、無事に中堅漫画家・宮上裕樹(今井隆文)のアシスタントに弟子入り!逢坂くんの「まんが道」が始まった!
しかし、「エロ漫画を読んで捕まらないとは、素晴らしい世だ!」と感動してばかりで、現代のことを全く知らない逢坂くんは、何のアシスタントをしてもらえばいいのか?それより、何ならできるのか…?と宮上は頭を悩ませる。その姿を見た、宮上のチーフアシスタント・緋村(森本慎太郎)は、逢坂の存在が宮上の作業の邪魔になるのではないか? そしてそして、宮上はじめアシスタントの瀬戸(長井短)や宮上の担当編集・丹内(久保田紗友)と緋村以外の仲間たちがすんなり逢坂くんを受け入れ始めていることに、不安を覚えていた。
宮上の作業1つ1つに感動し、「若干ウザい」と感じるほど質問しまくる逢坂くんに緋村は 1つの申し出をする。
「僕と勝負してもらえませんか?」
勝負の結果、逢坂くんが勝てば、自分はもう何も言わない。しかし、緋村が勝てば、ここから出て行ってほしいと。緋村からの果たし状が渡された!その戦いとは…相撲。
逢坂くんと緋村の男同士の真剣勝負の結果はいかに!?そして、筋肉と筋肉のぶつかり合いの結果、逢坂くんはあることに気付く!
第2話のレビュー
晴れて宮上のアシスタントになった逢坂くん。まだまだ“まん画”の世界に興味津々で、宮上の描く絵を思いきり凝視したり仕事場にあるまん画を読んで感動の泣き声を上げたり、とにかく落ち着かない。
そんな逢坂くんが初めて任された仕事は、ペン入れした原稿の下書きの線を消しゴムで消す“消しがけ”。だが、彼は「逢坂にはできませぬー!」と声を上げて泣き出してしまう。下書きであれど、宮上が描いた絵を消すことなどできない…というのだ。
ここで「まん画アシスタントに必要なものは技術にあらず。では何が一番大事なものなのか…? それは…敬意!」とナレーション(by チョー氏)が入る。確かに、消せないのは逢坂くんが宮上やまん画に敬意を払っているからこそだろう。とはいえ、泣きじゃくる彼の姿はさすがに「敬意がすごすぎて…面倒くせえ…」(宮上)である。逢坂くんに優しく接しつつもウザさを覚えている宮上の気持ちがよくわかった。
消しがけができない自分を責める逢坂くん。しかし、「下書きは理想の線を引くための線で、ペン入れが終われば役目は終わり」という宮上の言葉を受けて、決して表に出ることのない下書きに春画師=日陰者だった自身を重ねる。罪人となった自身の過去を葬るように消しゴムで線を消していく逢坂くん。結局5分で15枚の原稿の消しがけを終わらせて、意外な才能を開花させるのだった。
仕事を覚えて、夜はまん画を読みながら幸せな気持ちで眠りにつき、少しずつ令和の時代になじんでいく逢坂くん。しかし、そんな彼のそばでずっと浮かない顔をしている者がいた。チーフアシスタントの緋村である。
宮上やもう一人のアシスタントの瀬戸と違い、逢坂くんがどうにも気に入らないらしい緋村。突然タイムスリップしてきて行くあてもない逢坂くんに対してもう少し寛大な目で見てあげてもいいのでは?と思うのだが、逢坂くんが職場を騒がせているのも確かなだけに、彼の気持ちもわからなくはない。漫画家を目指して上京するもうまくいかず、その後、宮上に数年師事して支える右腕になったという緋村。これは筆者の想像だが、緋村からすればまん画を知らない逢坂くんがすんなりアシスタントになって、しかもどんどん宮上の心を掴んでいることに面白くないと感じる嫉妬心もあったのではないだろうか。
そして、担当編集の丹内が打合せにやってきた日、ついに緋村の堪忍袋の緒がキレた。
自分の絵には命がない…と悩む中で宮上からヒントをもらった逢坂くん。そこで終わればよかったものを、気持ちが昂るあまりに宮上と丹内の打合せに乱入。まん画のエフェクトについて聞こうとする。それを緋村に咎められて自分が邪魔したことに気づくと、割腹してお詫びしようとして仕事場はちょっとした騒ぎになる。
とにかく情緒不安定で予測できない行動を起こす逢坂くん。彼は職場に混乱をもたらす…と確信した緋村は、自分と勝負しろと逢坂くんに突きつける。
「古来より男と男の勝負は肉と肉のぶつかりあい」と瀬戸が提案して相撲で勝負する二人。「なんでこんなわけのわからない勝負を?」とたずねる丹内に「この勝負を仕掛けてきた緋村殿の意志をくみ取ってみせます」と答える逢坂くん。たぶん、彼は緋村の真意を全然わかっていない。
きつく絞ったふんどし姿で土俵に立つ二人。ちなみにどちらもさすがの磨き上げた見事な肉体。瀬戸はそれをうれしそうに見つめていた(相撲をすすめた理由は絶対これに違いない)
いざ勝負が始まり、がっつり身体を合わせる二人。必死で組み合いながら、緋村が自分に伝えたいことは何なのか?と頭をめぐらす逢坂くん。そして、自分たちの足元を見たときに「そうか、これか!」と何かに気がつく。
白熱する勝負の中、緋村の身体に腕を回しているのに投げようとしない逢坂くん。それを「緋村くんの腕をケガさせないように」しているのだと言う宮上。本当にそうだったのかはわからないけれど、結局、逢坂くんは緋村の身体を掴んだまま押し出して土俵際まで押し出して勝利した。
勝負を終えて、緋村に「これまでのご指導、しかと賜りまして候!」と叫ぶ逢坂くん。「指導?」と怪訝な顔をする緋村に「これにござりまするな!」と彼が示したのは地面。そこには、あのエフェクトのような形が描かれていた。
その身をもってして自分の春画に足りないものを伝えてくれた…と泣きながら緋村に感謝する逢坂くん(つくづくよく泣く男である…)。「絶対に違うと思うよ?」と突っ込んだのは瀬戸。実際、緋村にそんな気はまったくなかっただろう。とはいえ、どこまでもまん画にひたむきな逢坂くんにさすがの緋村も心動かされ、「お見事でした。これからよろしくお願いします」と握手を交わすのだった。
今回の相撲勝負、ここまで大掛かりなことする必要あった?という気も正直するのだが、逢坂くんを受け入れた緋村はとてもいい笑顔。二人がわかりあっていく姿は非常にすがすがしかった。そして、いろいろズレているところもあるけれど、とにかく純粋な熱意でまん画に向かっていく逢坂くん。彼の心意気はよくわかった。まさに最強の“まん画バカ”。この第2話で、筆者はますます逢坂くんが好きになった。
この先もまだまだ平たんではない道を進んでいくであろう逢坂くん。引き続きその活躍を心から応援していきたい。
※この記事は「武士スタント 逢坂くん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第3話ストーリー&レビュー}–
第3話ストーリー&レビュー
第3話のストーリー
「『しゃしん』を超える画を描くでござる」
逢坂くん(濵田崇裕)は、漫画家アシスタント権を賭け、チーフアシスタント・緋村(森本慎太郎)と相撲という男同士の戦いに勝利!師匠の漫画家・宮上(今井隆文)、アシスタントの緋村、瀬戸(長井短)と表現の自由にあふれる令和の世を楽しく過ごしていた。 しかし、宮上の担当編集者・丹内(久保田紗友)を見ると胸がドキドキし、気になって仕方ない。
これは逢坂くんの春(=恋)なのか?
ある日、逢坂くんは宮上、丹内と共に、漫画のシナリオ探しのために公園へ。逢坂くんは初めて見る「写真」に嫉妬。瞬間で画を切り取れるなんて…惨敗!己、存在する価値なし!と立ち去ってしまう。スマホもない、帰り方もわからない逢坂くんはどこへ行ってしまったのか!?
そして、今回はどこで昂って逢坂くんは脱ぐのか!?
第3話のレビュー
今回、宮上と丹内のネタ探しに同行した逢坂くんは、丹内が撮影する写真に驚嘆。そして、ひまわり畑で撮ったという祖母の写真に微笑む丹内に「絵は写真に勝てぬのか…」と悔しがる。
そもそも写真と絵は根本的に別物なのだが、江戸時代からやってきた逢坂くんにはそこがわからない。それどころか写真に本気で嫉妬して立ち向かおうとする。この彼の姿に「どういう心境かはなんとなくわかった」と理解を示したのは宮上だが、いや、わかるだけじゃなくて違いを教えてあげようよ…と思わず突っ込みたくなった。
ひまわり畑の写真のように自分も丹内を笑顔にしてみせる!と意気込む逢坂くん。そして、丹内がシャボン玉をカメラに収めようとするのを見て絵を描こうと準備するが、いざ描こうとした瞬間に丹内は撮影完了。シャボン玉はすぐ壊れて消えた。
一瞬でその場を切り取ることが写真にはできるけど絵にはできない。それを目の当たりにしてまさに一瞬で斬られたようなショックを受ける逢坂くん。失意のままに「逢坂はもはやこのときをお二人とともに過ごす資格なし!」走り去ってしまう。帰り方もわからないのに。そして、「ここはいずこ?」と案の定迷子に。
消えた逢坂くんを探す宮上たちだが、さすがは現代。瀬戸が「さむらい」で検索して逢坂くんが写っている画像投稿を発見。さらに迷い犬のチワワを彼に探してもらった…という人も。そもそも自分が迷子なのに犬探しに協力している逢坂くん。パワフルというかお人よしというかバカというか…である。
そして、皆が逢坂くんを探す中、チワワを追いかける彼に出くわしたのは丹内。そのまま二人はとあるビルに入り込んでしまう。
ビルの屋上でチワワをつかまえる逢坂くん。チワワの写真が入った紙を手に、見つけられたのは写真のおかげだから「負けを認め申す」という彼だったが、そこで目に飛び込んできたのがビルの壁に描かれたグラフィティアートだった。
絵の迫力に驚く逢坂くんに「絵は写真に負けたりしない」と丹内は語りかける。「絵は、現実にないものでも作者が伝えたい強い気持ちがあれば自由に表現することができる。まん画だってそう。あらゆる物語を無限に作りだすことができる」という彼女の言葉を受けて、「逢坂はバカ者…愚か者にござる…!」と泣き出す逢坂くん。今回もやはり泣いた。本当よく泣く男である。
これにて一件落着…と思ったのだが、その後思わぬアクシデント発生。逢坂くんと丹内の乗ったエレベーターが止まってしまう。しかも、タイミング悪く丹内のスマホは充電切れ。外部との連絡もつかない。
「どうしよう…」と途方にくれる丹内を前に、今日見てきたものや丹内の言葉を逢坂くんは思い返す。そして、「逢坂は逢坂のなすべきことを…」とスイッチが入り、なんとエレベーターの壁に絵を描きだした。丹内が止めるのも聞かず昂ぶりのままにTシャツを脱ぎ捨て、彼は一心不乱に筆を動かし続ける。(今回もやはり脱いだ)
結局、エレベーターは業者が修理して元通りに。そして、なおったエレベーターが開いて業者とビルの管理人が見たのは、一面のひまわりと老いた女性の絵。丹内の祖母の写真と同じ構図で逢坂くんが描いた渾身のグラフィティアートだった。
丹内のためとはいえ、エレベーターの中に落書きするのはやってはいけないこと。師匠の宮上から注意されて反省する逢坂くん。ただ、思いのままに描ききったおかげで彼は答えを見つけた。自分が信じるものを描けば絵の可能性は無限。もっと学びたい!と意欲を燃やす逢坂くん。そして、なぜこの絵を描いたのか?と不思議がる緋村のそばで微笑む丹内。自分のために絵を描いた逢坂くんの思いを、彼女はどうやらわかっているようだった。
ようやく3話が終わった本作。ここまで見てきて思うのは、逢坂くんが本当に魅力的なキャラクターだということ。確かにやることなすことあぶなっかしくてハラハラするけれど、まん画や絵にかける思いはとても純粋で真剣そのもの。泣いて笑ってときには脱いで己の道を突き進むその姿、応援せずにはいられない。ちなみに、この3話では「大丈夫。もう1人ではござらんよ」とチワワを抱きかかえる姿に癒されもした。彼は一生懸命なだけでなく、心優しき青年でもある。
春画に亀甲縛り、エロ漫画など、どぎまぎさせる要素が多いだけに、失礼ながら最初は若干傍観者の視線で本作を見ていた筆者も、もはやすっかり逢坂くんのファン。令和の時代でまんが道を走り続ける彼の活躍をまだまだ楽しみにしている。
※この記事は「武士スタント 逢坂くん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第4話ストーリー&レビュー}–
第4話ストーリー&レビュー
第4話のストーリー
「画に深みを出すには、人と触れあうでござる」
春画師である武士・逢坂くん(濵田崇裕)は、漫画編集・丹内(久保田紗友)を画で笑顔にした出来事をきっかけに、画描きとして為すべき事を見いだした。しかし、師匠であり漫画家の宮上(今井隆文)たちと、お昼を食べに入ったレストランで初めて見た「ゴルゴンゾーラのペンネ」から想像して武将を描いた逢坂くん。
そこで、画を見た宮上は
「逢坂くんの画は、表面しか映っていない。もっと人と触れあうべきだ」
とアドバイス。すると、逢坂くんは街中で人とのふれ合いを試みることに。
しかし、ちょんまげに江戸言葉で「触れあいを欲しており…」と話す逢坂くんは「THE 不審者」。
画を描かずに、丹内のような笑顔を引き出すことはできないのか?苦戦しているときに、ある青年と出会う。「あなたに聞いて欲しい話があって」と言われ、逢坂くんんはついていく。逢坂くんを心配して追いかけた緋村は、その青年を見てヤバイと感じる。そして、事件は起こった…!逢坂くん、ついに切腹の危機に!?
第4話のレビュー
なんだか楽しそうにお出かけする逢坂くんや宮上たち。一行はイタリアンのお店にランチに入る。知らない言葉が並ぶメニューを見て、「想像せよ、逢坂!」と懸命に頭をめぐらせる逢坂くん。ペペロンチーノから「ペペろんちぃの茂助」、ゴルゴンゾーラから「悟流権憎羅宗則政親(ごろごんぞーらむねのりまさちか)」などのキャラクターを勝手に作り出す。いろいろズレてはいるが、ゴルゴンゾーラは確かに強そうな響きなので、想像の方向性としては悪くない気がする。
実際に「ごるごんぞーらむねのりまさちか」を描いてみる逢坂くん。だが、宮上から「これはどういう人?」と聞かれると、「とても強きもののふにございます」としか答えられない。「逢坂くんはもっと人と触れ合ったほうがいいね」と指導する宮上。何かあるごとに逢坂くんにまん画の描き方をしっかり教えていて、いい師匠だなあと思う。
ただ、宮上は一つ大事なことを忘れていた。それは、逢坂くんが思い立ったら突っ走る男であること。宮上の言葉を聞いた逢坂くんは、「今から街へ出て人と触れ合い、答えを探してまいります!」と店を飛び出す。そして、いきなり女子高生に「どうかひととき拙者と触れ合ってはくださらぬか?」と頼み、悲鳴をあげて逃げられてしまう。そりゃそうだろう。絶対別の意味の「触れ合い」だと思われたはず。
その後、ビジネスマンに声をかけたり小さな女の子に笑いかけたりするも、不審者扱いされて気落ちしていく逢坂くん。しかし、転んでいる老婆を助けて「どうもありがとう」とお礼を言われたときに、かつて丹内の笑顔を見たときのような温かさを覚える。
ここからヒントを得たらしく、荷物を運んだり道案内をしたりと人助けに励む逢坂くん。そして、子どもたちと触れ合っている最中にそばのはしごが突如倒れそうになり、間一髪一人の青年に救われる。「危なかったっすね…」と微笑む彼を見て、「ごるごんぞーらむねのりまさちかっぽい奴…見参!」と驚く逢坂くん。
助けてくれた青年・慶太と打ち解けていく逢坂くん。ただ、慶太が「聞いてほしい話がある」と逢坂くんを誘うと、突如きな臭い雰囲気が立ち込めてきた。前回と違い今回はそばで緋村が見張っているので、いざとなれば彼が助けてくれる…という安心感はあったけれど、それでも心配は心配。逢坂くんの行くところ、基本トラブルありだ。
慶太と逢坂くん、そして、跡をつける緋村がやってきたのはとある建物。入口の前で慶太に「お疲れ様です」と頭を下げる男から舎弟感が漂い、絶対に何かあやしい。そして、案の定…だった。部屋に入った逢坂くんは慶太から運気が上がるツボを売りつけられてしまう。
支払えるお金がない…という逢坂くんに、「すぐに買っていただかないと」「カードとか持ってないんですか?」と迫る慶太。追い詰められた逢坂くんはツボを落として割ってしまう。壊れたツボの破片を手に「きちんと弁償してもらわなきゃ…」とさらに責め立てる慶太。
しかし、そんな彼の目の前に飛び込んできたのは、素っ裸で泣きじゃくる逢坂くんの姿だった。今回もやっぱり彼は泣いて、そして脱いだ。(一応、足袋と草履は履いていたみたいだけれど)
「霊験あらたかなツボを割ってしまった逢坂の罪…何事にも代えがたし!」と自分を責め、ひと思いに殺ってくれと慶太に詰め寄る逢坂くん。その迫力がただただすごい、というか怖い。慶太のほうにちょっと同情を覚えてしまった。
そんな中、逢坂くんを助けるために緋村が動いた。建物の中に突入して男たちをなぎ倒していく姿はただただかっこいい。さすが普段から鍛えているだけある。
しかし、緋村が部屋に乗り込むと、「助けて!」と叫んでいたのは裸の逢坂くんを前にした慶太のほうだった。
昂る逢坂くんに「君は騙されているんです!」と言い聞かせる緋村。しかし、逢坂くんは「悪人にあらず」と慶太を庇う。自分を助けてくれた彼の笑顔に丹内の微笑みと同じものが見えた、だから「このお方の優しさは嘘偽りなきものなり!」と訴える逢坂くん。「服を着てください!」という緋村の説得にも応じず、「何かを纏う資格などござらん…!」とひたすら泣きじゃくる。そのそばで、自分を悪人でないと信じる逢坂くんに心動かされたのか、いつしか慶太も泣きだしていた。
トラブルが解決した後、慶太は足を洗う気になったのか「仕事をしばらく休ませてもらえませんか」とボスに申し出る。理由を聞かれて「一人の侍に出会いました」と話すと、「あんたもかい」ボスが振り向く。ボスは逢坂くんが助けたあの老婆だった。どうやらこの日、逢坂くんは二人の悪人の心を救ってしまったらしい。
けっこうな騒動になりかけたけど、得意(?)の全裸の迫力で相手の悪意を吹き飛ばしてしまった逢坂くん。彼が裸になると何かが起こる。というか、そこで逢坂くん無双が始まり、脱いだ彼はもはや無敵。それが本作のセオリーであるとわかってきた。
とはいえ、もちろん脱いだだけじゃない。さまざまな人と触れ合ったおかげで、「人は見えている部分だけがすべてにあらず。表情の奥にみなぬくもりがある」と身をもって知った逢坂くん。彼はこれからもきっとこんな調子で、思い立ったらすぐ動き、必要ならばすぐ脱いで、いろいろと学んでいくのだろう。
次回は、同人誌即売会に行くという逢坂くん。即売会場でいったい何をやらかすか…と心配ではあるけれど、楽しみだ。
※この記事は「武士スタント 逢坂くん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第5話ストーリー&レビュー}–
第5話ストーリー&レビュー
第5話のストーリー
「いざ、春爛漫の同人即売会へ!!!」
春画師である武士・逢坂くん(濵田崇裕)は、師匠である漫画家・宮上(今井隆文)から「もっと漫画の世界を知って欲しい」と、同人誌即売会へ誘われる。
即売会会場に行くと、そこにはエッチな漫画もあり自由に創作を楽しむ人々の姿が…。逢坂くんは江戸時代に隠れて春画を描いていたことを思い出し、「ここは理想
郷か!!」と感動。その姿を見て、宮上、緋村(森本慎太郎)も嬉しく思う。
逢坂くんは、宮上の部屋で見た漫画キャラのコスプレイヤーを見つけ昂ぶりを感じる!そして、我を忘れてコスプレイヤーの足下で画を描き始めてしまう。「何、うち
の売り子に絡んでいるんだ?」と肩をつかんだ強面のお兄さん。それは、宮上の師匠・AEG(ROLLY)であった。
逢坂くんにとっては、師匠の師匠となるAEGは憧れの人。描いた画をAEGに見てもらうと、「ココで描くんだよ!」と股間をつかまれる逢坂くん。つまり、衝動が足りないと言う。同人誌即売会で、逢坂くんは衝動を見つけられるのか?そして、その言葉は緋村にも刺さり…。逢坂くんの昂ぶりがMAX溢れる全力30分!
第5話のレビュー
同人誌即売会へ行こうとする逢坂くんたち。きっかけは、「逢坂くんにもっとまん画の世界を知ってもらわないと」という宮上の一言。こういうところがつくづく宮上は優しい。弟子が着実に学べるようきちんと目をかけているのがいいなと思う。
にぎわう即売会にやってきた面々。その中でも買う気満々なのが瀬戸。軍資金として千円札を何枚も用意しているのがなんともリアルだ(同人誌即売会では、スムーズに買い物できるよう一万円札や五千円札よりも千円札をたくさん持っていくのがよいらしい)。そして、同じ会場に丹内もやってきていた。
さまざまな同人誌が並ぶ会場は、逢坂くんがいうところの「春爛漫」。まん画のキャラに扮したコスプレイヤーもいて、見るものすべてが刺激的だ。そんな中、コスプレイヤーに昂ぶりを覚えた逢坂くんは、思わずそのレイヤーの足下で絵を描きだしてしまう。しかし、そこに「何、うちの売り子に絡んでるんだ!」とドスのきいた声が聞こえてきた。声の主は、宮上の師匠・AEGである。
正直このAEGを見たとき、「今までで一番ヤバい奴出てきた…」と感じた。金髪まじりの髪にヒョウ柄の派手な服装。ペン先をなめたと思ったら、ペンそのものをかじりだす。演じているのはあのROLLY。間違いなくノリノリでやっている。
逢坂くんが宮上の弟子だと知って、描いた絵を見せるようにいうAEG。逢坂くんが描いたのはタコと女性のいわゆる触手系のイラスト。しかし、AEGは「まったくエロくない」と酷評。まん画は自分の中から湧き出る衝動で描くもの。しかし、逢坂くんの絵にはそれが感じられないというのだ。
「逢坂の“衝動”はいずこに…」と悩む逢坂くん。春画師時代、お客のために筆をとっていた彼は、自分の描きたい衝動がわからない。毎回彼を昂らせている丹内の笑顔を見て、今なら…と描こうとするも「ドキドキが邪魔をして描けませぬ…」と筆を止めてしまう。
それでもタコの絵と向き合い続け、「もっと女人が愛くるしいほうが…」と描きなおそうとする逢坂くん。ところが、「ちげえよ!」と、またもAEGが絡んでくる。ただ、今回はけなすだけでなく、「大事なのは女の子じゃねえ、タコだ!」「タコがなぜこの女の子にまきついているか考えてるか?そこにお前があるはずだ」と、重要なヒントを授けてくれた。見た目は相当ヤバいが、やはり宮上の師匠。優しいところもあるようだ。
AEGの言葉に衝撃を受けて走り出す逢坂くん。その後、触手もののコスプレイヤーを目にして「なぜ、かくもうねりもの(触手)に心奪われるのか?」と改めて自身に問う。そこへ現れたのは丹内。「糖分入れたほうが頭回りますよ」と、彼女は逢坂くんにジュースを差し出す。そして、受け取ろうと逢坂くんが伸ばした手に丹内の手が触れた瞬間、“衝動”が走った。
実はこれまで女性に触れたことがなかった逢坂くん。丹内の手に触れてかつてない昂ぶりを覚えたのか、突如挙動不審に暴れ始める。「煩悩!」と叫んで止まらない彼だったが、そこで機転を利かせたのは宮上。逢坂くんの身体に触手代わりとなるホースを巻き付ける。ホースをまとった逢坂くんはそれを丹内の身体にも巻き付け、ようやく自身の“衝動”を見つけていくのだった。
一連の行動で「いいかげんにしてください」と丹内を怒らせてはしまったが、「まん画道とは、おのれの欲をさらすこと」と身をもって学んだ逢坂くん。こうして自身の可能性をまた一歩切り開いた。
今までで一番ぶっとんでいたといっていいこの5話。ひたすらカオスな煩悩の舞を舞う逢坂くんの動きが素晴らしかった。ここまで本当に体当たりで本作に挑んでいる濵田崇裕に、改めて敬意を表したい。
また、今回は逢坂くんだけでなく緋村にも変化が見られた。逢坂くんに刺激されたのか、「自分の心はまた燃えてきています」と逢坂くんの似顔絵を描いていた彼。今後、逢坂くんとともにまんが道を進む姿が見られるのかも?と期待が高まる。
そして、この5話のラストで逢坂くんに新たな出会いが訪れた。逢坂くんを処刑しようとしたあの鶯谷にそっくりな男は一体誰なのか? まだまだこのドラマから目が離せない。
※この記事は「武士スタント 逢坂くん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第6話ストーリー&レビュー}–
第6話ストーリー&レビュー
第6話のストーリー
「逢坂の春は、残っているのか!?」
春画師である武士・逢坂くん(濵田崇裕)は、同人誌即売会で、かつて自分を処刑しようとした君主・鶯谷寛喜(高嶋政宏)に遭遇する。
まさか逢坂を追って、現代の春(=エロ)を奪いに来たのか!?と身構える逢坂くんだったが、彼は、鶯谷の子孫で漫画編集者をしている、鶯谷明喜(高嶋政宏)という。
「今度、持ち込みしてよ」と鶯谷に誘われた逢坂くんを見て、師匠である漫画家・宮上(今井隆文)は有名編集者に声をかけてもらったと、大喜び。
しかし、緋村(森本慎太郎)は、不安に思う。鶯谷は「新人つぶしの鶯谷」と言われるほど厳しいと言うのだ。その噂通り、逢坂くんの持ち込みに、「これじゃ売れない。君、自分が好きな物描いてるでしょ」と一刀両断。
同じく、鶯谷と同じ編集部で働く丹内(久保田紗友)も、仕事が上手くいかず悩んでいた。
そんな2人を見て、「歴史に名を残す作品には思いがある」と逢坂くんの春画を探しに美術館へ行くのを提案するが…。
逢坂くんの「まん画道」第2章がはじまる!!!
第6話のレビュー
第1話で逢坂くんを処刑しようとした大名・鶯谷。前回のラストで逢坂くんが出会った男は鶯谷の子孫らしい。丹内の先輩編集者だという彼から、「よかったら今度(まん画を)読ませてよ」と言われる逢坂くん。
有名編集者の鶯谷から声をかけられるなんてすごい!とわき立つ宮上たち。ただ、当の逢坂くんは浮かない顔。鶯谷にそっくりな彼にまん画を見せるのは気が進まないらしい。しかし、丹内に「逢坂さんの描くまん画は私も楽しみ」と言われると、「死ぬ気で頑張りまする!」と宣言。(逢坂くん、どれだけ単純なんだ……)
鶯谷に見せるまん画を描くため、即売会場から持ち帰ったあのホースをまきつけて机に向かう逢坂くん(なぜ、その格好で描く…)。苦戦する彼に、宮上は「頭がシャキッとする」とコーヒーを差し出す。さらに、四コマ漫画で「起承転結」を表現してごらんと…と伝授。弟子が苦しいときに的確な指導と温かい励ましを贈る宮上。本当に素敵な師匠だと思う。逢坂くんが「初めて仕えたいと思った男」だというのも心底うなずけてしまう。
そして、ついに鶯谷のもとへ原稿を持ち込む逢坂くん。しかし、「新人潰し」の異名を持つ鶯谷は彼のまん画を酷評。「自分を殺してでも、100人いたら100人興味もつものを意識して。自分なんていらない」とぶったぎる。100人いて100人が好きになる作品って相当難しいのではないだろうか…? しかも、自分を殺してもそこを目指すってどうなのか? 筆者個人としては、彼の言葉はいささか納得しがたかった。
これまで宮上やAEGに教わったのと真逆のことを言われて戸惑う逢坂くん。しかし、反論すると、今度は宮上の悪口を言い出す鶯谷。切れそうになる逢坂くんだったが、宮上が止めに入る。そんな二人を前に「新人の色物漫画家なんていつでも潰せる」と不敵に笑う鶯谷。ここでほぼほぼ嫌な奴だと確定。時代が変わって子孫であっても、鶯谷は鶯谷だった。
帰宅してテーブルの下で落ち込む逢坂くん。そんな彼に宮上たちは慰めの言葉をかける。歴史に名を残す作品には思いがある…という話の流れで、逢坂くんの春画も残っているかも?と浮世絵展に行ってみることに。
美術館へやってきた一行。しかし、すぐに逢坂くんがやらかした。丹内が来たことで昂った彼。頭をシャキッとさせようと缶コーヒーを頭からかぶってしまう。コーヒーはあくまで飲み物だというところまで理解していなかったのか…? Tシャツがぬれてやむなく裸になる逢坂くん。他の面々にもコーヒーがかかってしまったので、結局、美術館で浴衣をレンタルして全員浴衣姿に。
江戸時代の浮世絵の展示に、人々に愛された名作は時を経て残る…と目を輝かせる逢坂くん。しかし、春画の展示コーナーで探してみるも逢坂総司郎の作品は見つからない。学芸員にも「聞いたことがない」と言われてしまう。
学芸員の言葉にショックを受ける逢坂くん。みんなの前ではなんとか笑顔を保つが、一人その場を離れて泣き出してしまう。しかも、いつもの号泣とは違う。顔を伏せて手を震わせ、声を殺して泣く。こんな切ない彼の姿は初めて。自分の生きた証が残っていない…という逢坂くんのくやしさ、悲しさが痛いほど伝わってくる。「逢坂の春は…残りませなんだ…」と涙する彼に、筆者も思わずもらい泣きしてしまった。
しかし、そんな逢坂くんに助けの手が差し伸べられる。最初に彼の元に来たのは丹内。逢坂くんの手をとり「私と一緒に、時を経ても残るまん画を描けばいいじゃないですか!」と励ます。そして、他のみんなも彼の周りに集まってくる。
江戸時代、人知れず孤独に春画を描いていた逢坂くん。だけど、現代にやってきた彼はもはや一人じゃない。丹内や師匠の宮上、逢坂くんは自分を奮い立たせるライバルだと言った緋村、そして瀬戸。みんなが逢坂くんを応援している。仲間に囲まれた逢坂くんは「まん画を描きとうございます…!」と心を建て直し、「よろしくお願いいたし候!」と丹内に頭を下げるのだった。
これまでの本作のパターンから、美術館内でまた逢坂くんが脱いで何かやるのでは…と思っていたのだが、そうはならなかったこの6話。いい意味で裏切られたハートフルな回だった。令和の時代に来て今までで一番きつい思いをしたに違いない逢坂くん。でも、涙でぐしょぐしょになりながらも笑顔を取り戻してくれた。そんな彼を見られたのが嬉しかった。
悔しさを乗り越えて、気持ち新たに丹内とともにまん画に挑み始めた逢坂くん。平たんではない道がまだまだ続くのだろうけれど、頑張ってほしい。
描け!昂れ!逢坂くん!!
※この記事は「武士スタント 逢坂くん!」の各話を1つにまとめたものです。
放送週に追記します。
–{第7話ストーリー&レビュー}–
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
「逢坂くんのリベンジ始まる!しかし、描けない!」
春画師である武士・逢坂くん(濵田崇裕)は、マンガ編集者・丹内(久保田紗友)と共に漫画を作ると決め、ネーム作り(お話作り)を始める。
しかし、春画の世界で生きていた逢坂くんに、丹内は「エロ禁止」を命じる。
エロ無しで、現代にウケる漫画のストーリーを考えることに四苦八苦。見かねた漫画アシスタント・瀬戸(長井短)は、逢坂くんに「自由に画を描いてみなよ」と、好きを突き詰めることの大切さを独自の手法で教える。
しかし、その画は春(=エロ)爛漫。丹内は「本当に漫画作る気あるんですか?」と逢坂くんに問い詰めるが、瀬戸は「そっちのほうが逢坂くんらしいよ」と対立。
見かねた宮上(今井隆文)が、気分転換にBBQに誘うと…女2人のバトルがヒートアップ!?今回は、まん画ドラマが、アクションドラマになっちゃうかも!?
第7話のレビュー
再び鶯谷に見せるネームに挑戦する逢坂くん。しかし、彼が意気込んで書いた原稿を、丹内は「全体的によくわからない」「意味不明」とメッタ刺し。さらに、「エロ禁止」を彼に命じる。
そもそも春画師で、春(エロ)への昂ぶりを糧に絵を描いてきた逢坂くん。彼から春をとりあげて果たしていいものか?と心配になったが、案の定、「何も描けぬ…」とスランプに。そして、宮上も緋村も忙しそう…ということで、彼が頼ったのは瀬戸。しかし、意外にも彼女は面倒見がよく、逢坂くんを裸にして、あやしげなリラクゼーション法を伝授する(脱がせたのは、瀬戸本人が逢坂くんの肉体を見たかったからに違いないが…)。
瀬戸のおかげで、身体も心もほぐれた逢坂くん。思いのままに女性と触手のイラストを描きあげるが、これがかなりいい感じ。やはり無理せず好きに描いたほうがいいのでは?と見ているこっちも思ってしまう。その後も逢坂くんは瀬戸お手製の“男根スタンプ”をイラストに押して、大はしゃぎの夜を過ごすのだった。
しかし、翌日やってきた丹内は、逢坂くんが描いたイラストを見て「こんなことして遊んでたんですか?」と怒る。描くように言ったのは自分だから…と逢坂くんを庇う瀬戸。女性二人の間になにやら険悪な雰囲気が流れる。
鶯谷に認められるためにもエロなしで描いてもらいたい…という丹内。エロが逢坂くんの良さだし、鶯谷に認められることだけがすべてではない…という瀬戸。どちらの言い分も一理あるはある。ただ、この時点で筆者が個人的に共感できたのは瀬戸のほう。丹内も一生懸命なのはわかるが、逢坂くんに春なしで描け…というのはあまりに酷な気がする。
逢坂くんのためと譲らず、エスカレートしていく丹内と瀬戸。そんな二人の間でパニくる逢坂くん。みかねた宮上は「バーベキューに行こう!」と提案する。
バーベキューのため水辺にやってきた一行たち。しかし、丹内は浮かない顔で、瀬戸のちょっとした言葉にもピリピリした態度を見せる。いつしか言い争いが始まり、バーベキューの串を片手に激しい戦いを繰り広げる丹内と瀬戸。ただ、これは逢坂くんの妄想だったよう。なお、逢坂くんの妄想の中では、丹内が袴姿で瀬戸は忍者のような恰好。凛とした乙女(丹内)と魔性の笑みを浮かべるくノ一(瀬戸)という感じで、どちらも扮装がよく似合っていた。
女性たちが争う姿(の妄想)に耐えられず、悲鳴を上げて座り込んでしまう逢坂くん。そんな彼を見て「逢坂くんはあの日描けなくなっていた」と話し出す瀬戸。瀬戸の話を聞いて、自分は逢坂くんを苦しめてしまったのか…と苦悩する丹内。そんな彼女に、「あとは背中の押し方だよね」と助言したのが宮上だった。この人はいつも本当に適切かつ優しいアドバイスをくれるなあと思う。辛辣なことを言うときもあるけれど、その一方で相手に元気をあげることも決して忘れない。漫画家や編集者を指導する力に一番長けているのは、鶯谷よりむしろ宮上じゃないだろうか。
そして、丹内と瀬戸の板挟みの中で、逢坂くんは一つの境地にたどりつく。それは「忖度」。丹内と瀬戸、どちらの意見もそれなりに取り入れれば丸く収まるだろう…と、折衷案的な原稿を描き上げる。いやいや、それはちょっと違わないか?とつっこみたくなったが、そこは丹内もさすが編集者。逢坂くんの原稿を「ひどいです。どっちつかずで中途半端になっている」ぶった切った。そりゃそうである。
ただ、今回の丹内はそれだけでは終わらせなかった。「逢坂くんの創作の原点になるようなまん画を描いてもらいたい」からと、彼女が提案したのはラブコメを描くこと。これならば春の要素も取り入れて逢坂くんの強みを活かせる…というのだ。その後、丹内は瀬戸に謝罪。逢坂くんも「逢坂が逢坂を疑ってはならぬ。春をあきらめてはならぬ」と心に決めて、導いてくれた女性二人に感謝するのだった。
丹内vs瀬戸の対決がメインとなった今回。どうなることかと思ったが、いろいろあって丹内が編集者として一皮むけていく姿がとてもすがすがしかった。この物語、決して逢坂くんだけの成長物語ではないらしい。丹内だけでなく緋村にも成長の兆しが実は見えていて、彼は「描きます」という思いを宮上に打ち明けていた。緋村のまん画道の行方もちょっと気になるところである。
そして、逢坂くんは、懸命に描いたラブコメの原稿を鶯谷のもとへ持ち込む。ところが、鶯谷は原稿を破り「俺はラブコメディが大嫌いなんだ…!」と怒り出してしまう。この男、本当に優秀な編集者なのだろうか? 嫌いという個人的感情で人の描いたものを破ってしまうのは、さすがにひどい。
しかし、その後は予想外の展開。かわいらしい女性社員・ひづきに声をかけられた鶯谷は、突如挙動不審な態度。さらに、ひづきが別の男性社員と話すのを見て切なさと嫉妬が入り混じった表情をする。どうやら、鶯谷はひづきにお熱の様子。ラブコメが嫌いなのは、叶わぬ恋をしているから…ということか。
鶯谷の意外な一面を知った逢坂くんたち。次回、「ラブコメ大作戦」なるものを決行するらしい。彼らが仕掛けるのは果たしてどんなものなのか? ちょっと不安だけれど楽しみだ。
※この記事は「武士スタント 逢坂くん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第8話ストーリー&レビュー}–
第8話ストーリー&レビュー
第8話のストーリー
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「ラブコメ大作戦!?好きを伝えるには嫌いを知るべし」
江戸時代から令和にタイムスリップしてきた春画師である武士・逢坂くん(濵田崇裕)は、マンガ編集者・丹内(久保田紗友)と作った「ラブコメ」マンガを、丹内の上司で敏腕マンガ編集者・鶯谷(髙嶋政宏)に全否定され、ビリビリに破かれてしまう。
逢坂くんの漫画の師匠・宮上(今井隆文)は、鶯谷のラブコメ嫌いは、「鶯谷の後輩編集者・ひづき(尾崎由香)への片思いが原因では?」と分析。
そこで、鶯谷にラブコメを体感させるべし!と考え、 逢坂くん、宮上、丹内で【鶯谷とひづきのラブコメ大作戦】を決行!
なぜ、鶯谷は恋に奥手になってしまったのか?ひづきと鶯谷の接点を作るには!?
逢坂くんが、忍者に、B-BOYに!?
ひと肌脱ぎまくって、頑張るのは、『好き』だけでない『嫌い』を知るのが作品作りで大事だから…!果たして、逢坂くんの作戦は成功するのか!?
第8話のレビュー
ラブコメを嫌う鶯谷。その理由は、彼が後輩編集者・ひづきに恋をしていて、しかもそれがうまくいっていないからなのでは?と考える逢坂くんたち。
ただ、鶯谷の主観は別にして、逢坂くんと丹内が作ったラブコメのネームを宮上は「甘い」と辛口批評。「逢坂くんは(自身の)“嫌い”を見つめられていない」ということで、逢坂くんが受け入れたくない存在=鶯谷を研究しようと提案する。
まず、逢坂くん、宮上、丹内は鶯谷の尾行をスタート。鶯谷の真後ろで彼と一体になって動く逢坂くん。その所作は忍者を意識したものらしい。見事に気配を消して、鶯谷とともに編集部に潜入できた。(見ていた丹内が「入館証ありますけど」と突っ込んではいたけれど…)
編集部に潜入した一行。そこで逢坂くんはひづきに接近。彼女の背後の触れるか触れないかギリギリのところで「ぬくっ…」と体温を感じる。このくっつきそうでくっつかないもどかしさこそがラブコメの距離だと教える宮上。どうやら逢坂くんはそもそもラブコメがどういうものか理解していなかったらしい。だとすれば、ネームが甘かったのもうなずける。
一方、宮上の仕事場では、緋村と瀬戸が二人きりに。逢坂くんの影響なのか、彼らも自分たちの創作物について模索しているようだ。瀬戸の描いたまん画を見ながら会話する二人。ちょっといい感じに見えなくもない。
その後、逢坂くんたちは鶯谷とひづきを近づける「ドキッ!ハプニングだらけのラブコメ大作戦」を開始。まず、鶯谷とひづきが曲がり角でぶつかるように仕向ける。これぞラブコメのド定番だ。その後もあれこれ作戦を駆使して、ひづきの心を鶯谷に向けさせようとする。
その甲斐あってか、なんと鶯谷とひづきは一緒に外出。逢坂くんたちはもちろんその後をつける。哺乳瓶ドリンクを買ってツーショット写真を撮る二人。はしゃぐひづきに対して、鶯谷は相変わらずあやしげ。緊張のせいか、ジュース片手にベロをちょこちょこ出してみせるのがなんともおかしかった。
その後も、
「(ドリンクを)一口いいですか?」(ひづき)
「うぬぬぬぬ…」(鶯台)
と、絵にかいたようなラブコメを展開する二人。
そのもどかしさに大喜びする宮上たち。そして、あと一歩距離を縮められたら…というところで、逢坂くんが動いた。
ベンチに座ってなんだかいい雰囲気になっていく鶯谷とひづき。そこへ突如B-BOY風の男が絡んでくる。もちろん逢坂くんである。鶯谷がひづきの前で男としての力をアピールできるようにと企てた作戦だった。「ようようよう」「見せつけてくれるじゃねえか」とBADなセリフもしっかり決めた逢坂くん(おそらくまん画を読んで勉強したのだろう)。ただ、ちょんまげがちゃんと隠せてないし、途中で「おのれ」と言ってしまう。このあたりがやっぱり逢坂くんである。
ただ、ここで予想外の展開。B-BOYの逢坂くんに強烈なパンチで反撃したのは、鶯谷ではなくひづきだった。「せからしか!」とすごむ彼女。見た目のかわいらしさからは想像もできない豹変ぶり。その後、ハッと我に返ったひづきは困惑してその場を去ってしまう。そんな彼女を愛しげに見つめる鶯谷。ひづきが見せたギャップのおかげでさらにハートをつかまれたらしい。
結局、鶯谷にすべてがバレて、宮上の仕事場で彼に謝罪する逢坂くんたち。ただ、一日見てきたおかげで、宮上は鶯谷に親しみを覚えていた。鶯谷に「きゅん」としたという宮上。それを「昂ぶり」だという逢坂くん。そんな彼らを前に、鶯谷は「昂ぶりのない人間がいたらどうするんだ…」と自身の苦悩を打ち明ける。これこそが、彼がラブコメを嫌う真の理由だった。
「まん画ってのは、自分だけ 楽しけりゃいいってもんじゃない」と立ち去ろうとする鶯谷。しかし、そんな彼の前で、逢坂くんは裸になって窓ガラスに絵を描く(「敷金!」と悲鳴を上げた宮上が気の毒ではあったが…)。描いてみせたのは哺乳瓶ドリンクを手にしたひづきの姿だった。
ひづきを深く知ったからこの絵が描けた。この絵に込めたのは昂ぶりではない、鶯谷の笑顔が見たいという思いだ…と語る逢坂くん。愛や春とは決して男女の交わりだけではない。鶯谷の姿を通して、彼は人の心の複雑さを学んだのだった。
「男を見せる方法は他にもある」と鶯谷の手をとる宮上。そして、その方法は「相撲」だと緋村が提案する。逢坂くんも「もっと鶯谷殿から学びとうございまする」と鶯谷と見つめあうのだった。
先週までは嫌な奴ぶりばかりが目に付いていた鶯谷。しかし、この8話であふれる人間味を見せたおかげで、みんなが彼の恋を応援するようになった。ひづきを前に何もできなくて、それでも恋焦がれて、叶わぬ恋に胸がはりさけそうな顔をしていた彼。筆者もさすがに「きゅん!」とせずにはいられなかった。こんな切ない片思いをする男子を見たのは久々。表情豊かに鶯谷を演じた高嶋政宏がただただ見事だった。
残すところあと2話となった本作。しかし、まだまだ逢坂くんのまん画道はエンジン全開だ。次回は2話以来の相撲回。男と男の戦いを経て鶯谷がひづきにどう想いを伝えるのかをまずは見守りたい。
※この記事は「武士スタント 逢坂くん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第9話ストーリー&レビュー}–
第9話ストーリー&レビュー
第9話ストーリー
「男と男の勝負は、肉のぶつかり合いだ!」
春画師である武士・逢坂くん(濵田崇裕)は、敏腕マンガ編集者・鶯谷(髙嶋政宏)のラブコメ嫌いは、自身の「男としての昂ぶりがない」と知る。それゆえ、「エロ」と「ラブ」を嫌っているというのだ。しかし、男を見せる方法は他にもあると、アシスタントの緋村(森本慎太郎)と瀬戸(長井短)は「相撲」を提案。
ラブコメ大作戦の最終章・相撲で、鶯谷の想い人・ひづき(尾崎由香)への気持ちを伝えることができるのか!?土俵にいざあがる、逢坂くんと鶯谷の真剣勝負がはじまる!!
一方、逢坂くんの師匠である漫画家・宮上(今井隆文)が倒れてしまい、締め切りがピンチに!?師匠の危機に何も出来ず悩む逢坂くん、チーフアシスタントとして声をかける緋村。緋村が伝えたい言葉とは?ピンチを救うべくそこに現れたのは・・・!?
男と男の想いがエモくぶつかり合う30分!
第9話レビュー
後輩編集者のひづきを想う鶯谷。彼がひづきの前で男を見せるため、逢坂くんとの相撲勝負が行われることになった。
宮上たちとひづきが見守る中、着ていた学ランを脱いでふんどし姿になる逢坂くんと鶯谷。「すぐ脱ぐのにコスプレの必要なくないですか?」と突っ込んだのは丹内。本当そうだと思う(瀬戸いわく「1回着させて脱ぐという奥ゆかしさ」なのだそう)。二人の学ラン、一体どこでどう準備したんだろうか。
土俵に上がり、裸と裸でぶつかりあう二人。ただ、さすがに若者VSおじさんで、逢坂くんにとって鶯谷は「手応えなし…」の相手だった。とはいえ、鶯谷の気迫は本物。必死の形相でひたむきに何度もぶちかましてくる。高嶋政宏の気合の入った演技が見事で、見ているこちらもなんとか彼に勝たせてあげたい…と手に汗握ってしまった。逢坂くんも鶯谷を勝たせようと試みる。しかし、鶯谷が宮上にぶつかりそうになったため、師匠を庇って思わず土俵の外に投げ飛ばしてしまった。
結局、相撲勝負は逢坂くんが勝利。だが、負けた鶯谷の元に誰よりも先に駆け寄ったのはひづきだった。鶯谷の顔を拭きながら「がんばりましたね」といたわる彼女。これはこれでいい感じのラブコメ的展開である。
試合を終えて、鶯谷は「ありがとな」「いいラブコメだったぜ」と逢坂くんに感謝。男の昂ぶりはともかくとして、一連の流れの中、「ひづきがもえてる…」と心で実感できたらしい。見ている限り、ひづきも彼に好意がなくはなさそうなので、二人がこの先何らかの形でうまくいってくれたらいいなと思う。
ようやく鶯谷との問題がひと段落した逢坂くん。しかし、さらなるピンチがまたすぐにやってきた。なんと、宮上が過労で倒れてしまう。
原稿の締め切りまであと3日…と悩む緋村や丹内。そこへ、宮上の師匠・AEGが助っ人としてやってくる。「仕上げを頼む」という宮上の伝言でようやく緋村も覚悟を決め、面々は仕事にとりかかる。しかし、逢坂くんだけは弱気に襲われたのか、泣きそうになって顔を伏せてしまう。
そんな逢坂くんに「縮こまってるじゃねえか」とAEGが喝を入れた。自分には技がないから、師匠のいないときに原稿に触れるのは…と弁明する逢坂くんに、AEGは服を脱いで腕相撲を仕掛けた。
激しい勝負を続けるうちに、「(宮上の)お役に立つのが逢坂の喜びなのに…情けのうございます!」とふがいない自分をさらけだす逢坂くん。そんな彼に、AEGはみっともないところや情けないところが全部出るのがまん画なのだと告げて、自らの弱みを披露。やり方は過激だけれど、彼なりに逢坂くんに大切なことを教えようとしていたのが伝わってきた。やはり、宮上の師匠である。
その後、緋村も逢坂くんに手を差し伸べた。「まん画を描くのは苦しくて嫌になることもある。それでも、誰かの背中を押せるようなまん画が描きたい」と彼は逢坂くんに打ち明ける。今さらながら、逢坂くんと緋村が思いをわかちあう兄弟弟子になりつあるのを実感する場面だった。そして、緋村と話して、ようやく逢坂くんは「先生のまん画を待っている人がいるならば、その笑顔のために…」と前向きな気持ちを取り戻していくのだった。(「先生に安らかに眠ってもらうためにも!」とだいぶ誤解を呼びそうなことも叫んだけれど)。
気をとりなおした逢坂くんは、思いを込めて得意の消しがけで原稿を手伝う。そして、体調が回復した宮上も最後の仕上げに復帰。面々はなんとか原稿を締めきりに間に合わせるのだった。
ピンチを乗り越えて仲間たちと原稿を仕上げて、またまん画道を駆け上がった逢坂くん。だが、そんな彼のもとに「願いは叶ったか?」と呼びかける声と龍の絵が現れる。これは、彼をもといた時代へ呼び戻そうとしている何者かなのか――?
次回はついに最終回。正直、もう終わってしまうのか…とあまりに早すぎる気しかしない。逢坂くんのまんが道がまだまだゴールにたどり着いていない中、果たして、物語にどう決着がつくのだろうか。
※この記事は「武士スタント 逢坂くん!」の各話を1つにまとめたものです。
–{第10話ストーリー&レビュー}–
第10話ストーリー&レビュー
第10話ストーリー
「令和は誠に素晴らしき世にございます」
春画師である武士・逢坂くん(濵田崇裕)は、皆で締め切りのピンチをくぐり抜けた時に、江戸時代へタイムスリップしかける。そんな時、師匠である漫画家・宮上(今井隆文)は、「単行本のオマケ漫画を描いて欲しい」と逢坂くんにお願いする。
大仕事を拝命し、不安に思う逢坂くんに、宮上の師匠・AEGからも「伝えたい想いを漫画に込めろ!」と背中を押され、アシスタントの緋村(森本慎太郎)も、逢坂くんにあるモノを見せる。
一方、宮上の担当編集・丹内(久保田紗友)は、逢坂くんが本当に江戸時代に戻ってしまうのでは?と心配し、帰らない方法を考えてみる。
しかし、その方法とは「漫画を描かないこと」。丹内が選んだ「逢坂くんにできること」とは?
そして、逢坂くんは、江戸時代に帰ってしまうのか?逢坂くんは、春爛漫の現代で「まん画道」を見つけることはできたのか!?オールスター集結の最終話が開幕!
第10話レビュー
前回のラストで逢坂くんに「願いは叶ったか?」と問いかけた龍の絵。それを受けて逢坂くんは、自分が令和の世に来たのは願いを叶えるためなのだと理解していく。そんな中、宮上は逢坂くんに「単行本用のおまけ漫画を描いてほしい」と命じる。
重大な仕事を授けられて悩む逢坂くん。そんな彼を「お前の全身全霊の情熱をどう伝えるか楽しみにしているぜ」と励ましたのはAEG。墨汁で汚れた顔は相変わらずのヤバい奴感満載だったけれど、彼の言葉はいつでも本当に的確だ。AEGが非常にまっとうな師匠だからこそ、弟子の宮上もいい師匠になったのだろうとつくづく思う。
最初に描いた原稿を宮上にボツにされ、改めてまん画に挑む逢坂くん。そんな彼のそばでもう一人「全身全霊、ありのまま…」で取組む者がいた。緋村である。自分のすべてをかけて応募するまん画を描こうとする緋村を見て昂った逢坂くんは、自分を探しに外へ飛び出していった。
街へ出た逢坂くんはさまざまな人に出会う。まず、4話に登場した慶太とそのボス。二人は逢坂くんに売りつけようとしていたあのツボに梅干を入れて売っていた。「しあわせの実」と名前はまたアレだったが、値段は至極普通の価格で、ちゃんとした商売をしている様子。「逢坂さんみたいにまっすぐ生きたくなったんです」と語る慶太だった。
その後、3話で迷子になっていたチワワにも再会。相変わらずの愛らしい姿だった。
そして、途中で丹内と会って、彼女と一緒に4話で訪れたレストランに行くと、店長が近づいてくる。彼の手には以前逢坂くんが描いたイラスト。この絵が気に入っていた店長は、逢坂くんに「サインを入れてくれ」と頼むのだった。
ふりかえってみれば、行く先々で人や犬を助け、そして誰かを幸せにしていた逢坂くん。サインの件で自分の描いたものを愛してくれる人がいる喜びを実感していくが、そんな彼に、丹内は「(おまけ漫画を)本当に描くんですか?」とたずねる。ここのところ逢坂くんの正体を察していた彼女。逢坂くんが江戸に帰らないですむ方法=まん画を描かないことだと知って悩んでいた。
江戸では処刑されそうになったのに、それでもいいのか…と問いかける丹内。しかし、逢坂くんの心は決まっていた。絵は一人で描くものだと思っていたけれど、そうではなかった。人との出会いが教えとなって心の中で昂っている。それを描いてみたい…と、彼はこの日描いていた絵を丹内に渡す。それは、丹内の似顔絵だった。
逢坂くんの思いを受けとった丹内。迷いが晴れたようで「最高のまん画ができるよう一緒に走ります」と笑顔で宣言した。彼女の言葉を聞いて思わず抱きしめ…とはいかず手を差し出す逢坂くん。最高のまん画を目指す二人はしっかり握手を交わすのだった。
そして、ついに逢坂くんがまん画にとりかかるときが来る。シャワーで身体を清めて裸になる逢坂くん。最初のころは「なぜそこで脱ぐ…?」と思っていたのだが、今となっては、「逢坂くんはそりゃ脱がないと」という感覚でこちらも見てしまう。そして、裸の逢坂くんに一足先に原稿を仕上げた緋村が作品を見せてきた。彼が描いたのは、江戸から来た武士が漫画家に弟子入りする…という逢坂くんがモデルの話。兄弟子の奮闘でさらなる気合が入った逢坂くん。瀬戸に頼んで縄と例のホースを身体にまきつけてもらい、原稿を描き始めるのだった。
師匠や仲間に応援されて無事原稿を仕上げた逢坂くん。コミックス発売日に書店を訪れ、山積みの本に喜ぶ。そして、自分の描いたまん画を読みながら笑う人たちを見て感極まる。そこで、ついに時が来た。
龍の絵の「願いは叶ったか?」の問いかけに、「うむ」とうなずき「令和は誠に素晴らしき世にござる」と笑顔になる逢坂くん。そして、宮内たちが気づいたとき、そこには、逢坂くんが身に着けていた服と草履が置かれていた。
あまりに突然のことに驚く宮上たち。おのおの悲しみの表情を見せるが、中でも瀬戸が泣きそうになっていたのにちょっと驚いた。いつもどこか冷めてサバサバした印象のあった彼女。そうそう泣くようなタイプには見えなかったが、それだけ逢坂くんが好きで親しみを感じていたんだなと、素顔を垣間見た気がした。そして、宮上の仕事場にやってきた丹内もショックを受ける。彼女がバッグから出したのは逢坂くんが描いた春画。彼の生きた証が一枚だけ時を越えて残っていたのだった。
一方江戸へ戻ってきた逢坂くん。春画を買いに来た客に絵を渡すが、それは春画ではなく彼が描いたまん画だった。逢坂くんの原稿を読んだ客は思わず笑いだす。もっと読みたいから続きを描いてくれ…と言われた逢坂くん。彼の中に「まだまだまん画が描きたいでござる…!」と新たな願いが昂っていった。
時代は戻って宮上の仕事場。宮上と緋村は困惑し、瀬戸はスマホでバシャバシャ写真を撮る。そこにいたのは、ちょんまげを結い全裸に亀甲縛りの武士。そう。逢坂くんである。まん画を描きたい逢坂くんは再び令和の世に戻ってきたのだった。
「けっこうな覚悟で送り出したのに、こんなに早く戻ってくるなんて…!」と思わず叫んだのは宮上。逢坂くんの縄をはさみで切って「おかえりなさい」と迎えたのは丹内。みんなの表情から逢坂くんの帰還を喜んでいるのが伝わってくる。そして、締め切り前で張り切る面々とともに逢坂くんも消しがけを始めるのだった。
今回で物語はひとまず終幕。江戸の世で春画師として生き、令和の世でまん画道を歩む男・逢坂くんの生きた証を、全10話しっかり見届けた。本当に楽しいドラマだった。
本作が面白かった要因はいくつもあると思うが、何より素晴らしかったのは、やはり主演の濵田崇裕の熱演。毎回彼がパワー全開で逢坂くんになりきっていたからこそ、物語が躍動感あふれるものになった。よくぞここまで体当たりで演じてくれた…と、ただただ賞賛と拍手しかない。このドラマのおかげで、しばらくは彼をどこかで見かけたとき、まず「逢坂くん」だと思ってしまいそうな気がしている。
正直、筆者はこのドラマが始まった当初、エロや下ネタもかなり飛び交う話なのかな…と少々身構えていた。しかし、見始めたらそんな必要はまったくないことにすぐ気づいた。毎回、泣いて笑って、そして脱いで奮闘する逢坂くん。彼のハチャメチャな活躍がただただ楽しく、そしてすがすがしかった。
逢坂くん、楽しい物語をありがとう…全身全霊のあなたが大好きです!
※この記事は「武士スタント 逢坂くん!」の各話を1つにまとめたものです。
(文:シネマズ編集部)
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–{「武士スタント 逢坂くん!」作品情報}–
「武士スタント 逢坂くん!」作品情報
「昂ぶって、生きろ!」
主人公は江戸時代、人気の春画師だった武士の逢坂総司郎。
しかし、「春画」は風紀を乱すものとされ、禁止令が出ていた。
隠れて描いていた逢坂は処刑されることに…
「もっと、もっと画を…描きたかった。逢坂の絵で…。」
無念の思いから突如、令和の漫画家の元へタイムスリップ!?
春画で死ぬはずだった逢坂は、現代にエロ漫画が溢れていることに感動!
そして、「まん画」に魅了された逢坂は、漫画家の弟子になることを決意。 マンガ家アシスタントとして現代で生きていく!
「まん画」に出会った春画師・逢坂くんが、 時代を超えて「エロ」に「恋」と、「自分の春」を見つけだす! 超真剣!純度100%コメディ!
放送日時
2021年7月26日(月)スタート。毎週月曜24時59分~(※初回は25時09分スタート)
出演
濵田崇裕(ジャニーズWEST)/森本慎太郎(SixTONES)/久保田紗友 /長井短/今井隆文 /髙嶋政宏
原作
ヨコヤマノブオ「武士スタント逢坂くん!」(小学館 「ビッグスピリッツコミックス」刊)
脚本
坪田文
伊達さん(大人のカフェ)
演出
渋江修平
大江海
音楽
近谷直之
主題歌
「喜努愛楽」ジャニーズWEST(Johnny’s Entertainment Record)
編成企画
安島隆
河野雄平
コンテンツプロデューサー
藤澤季世子
チーフプロデューサー
三上絵里子
プロデューサー
諸田景子(日本テレビ)
長松谷太郎(ジェイ・ストーム)
中野有香(ギークサイト)
制作プロダクション
ギークサイト
制作著作
日本テレビ
ジェイ・ストーム