<ボクの殺意が恋をした>最終回まで全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

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2021年7月4日より放送スタートした日テレ系日曜ドラマ「ボクの殺意が恋をした」。

中川大志&新木優子W主演の本作は、殺そうとしてもどうしても殺せない殺し屋と、命を狙われるも恋に落ちてしまうターゲットが交わる新感覚のラブストーリー。

cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

もくじ

・第1話ストーリー&レビュー

・第2話ストーリー&レビュー

・第3話ストーリー&レビュー

・第4話ストーリー&レビュー

・第5話ストーリー&レビュー

・第6話ストーリー&レビュー

・第7話ストーリー&レビュー

・第8話ストーリー&レビュー

・第9話ストーリー&レビュー

・第10話ストーリー&レビュー

・「ボクの殺意が恋をした」作品情報

第1話ストーリー&レビュー

第1話のストーリー

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男虎柊(中川大志)は、幼い頃に両親を亡くし、両親の友人・男虎丈一郎(藤木直人)に育てられた。今は、丈一郎が営む清掃会社で働いている。丈一郎と知り合いの刑事・綿谷詩織(水野美紀)は、そんな柊を見守ってきた。

一方、とある出版社では、大人気漫画「ハリネズミ探偵・ハリー」の作者・鳴宮美月(新木優子)が会議室で取材を受けていた。美月は大きな漫画大賞を受賞した人気漫画家。写真撮影のために美月が窓際に立つと、人影が窓の外に映りこんで邪魔をしてしまう。それは、一心不乱に窓を拭く柊。彼は、丈一郎とともに出版社のビルの掃除に来ていた。なんとも間の悪い柊に、丈一郎は頭を抱える。

帰り道、丈一郎は、リタイアして清掃会社を柊に譲ると告げる。突然のことに驚く柊。ただ、丈一郎は、肝心な時にいつも失敗してしまう柊を心配していた。その晩、柊は詩織から、丈一郎が撃たれたという連絡を受ける。丈一郎が埠頭で何者かに撃たれ亡くなったと言うのだ…。突然の出来事に、柊は悲しみ、混乱する。

しかし、ニュースでは、丈一郎の死は海に転落した事故と報道される。ますます混乱し激怒する柊に、詩織は自分が事故死として処理するように指示したと告げる。
詩織は柊に、驚くべき秘密を打ち明ける。警察にはSecret Operation Service・通称SOSという極秘の殺し屋組織があり、丈一郎はSOSに所属する殺し屋だったというのだ。

SOSは、テロリストや法で裁けない悪人たちを殺し屋に始末させていた。詩織はSOSの責任者で、丈一郎はこれまでいくつもの難しいミッションを誰にも知られずに遂行してきた伝説の殺し屋だったのだ。

詩織は、丈一郎のような殺し屋に恨みを持つ裏組織の人間に殺されたに違いないと言う。信じられないことばかり聞かされた柊は、衝撃を受ける。

さらに、詩織は断言する。丈一郎を殺したのは、鳴宮美月だと。事件現場付近の監視カメラには、美月が丈一郎を撃ち、海に落とすまでの一部始終が映っていた。美月には、テロ組織に多額の資金を提供している疑いがあった。丈一郎は指令を受けて美月を狙ったが、逆に殺されてしまったと言うのだ。

柊は、殺し屋になって丈一郎の任務を引き継ぎ、復讐することを決意する――!

第1話のレビュー

かっこよくて可愛くてポンコツな中川大志、美しいけどわがままで高飛車な新木優子が堪能できる目の保養ドラマ。…かと思いきや、ツッコんだり予想したり、みんなでわいわい楽しめそうな作品に仕上がっていた。

中川大志演じる男虎柊は、イケメンで優しくて運動神経抜群。木に引っかかった風船が取れず泣いている女の子を見かければ、すかさず助けてあげる。しかし、肝心の風船をいざ渡そうとしたところで枝に当たって割ってしまうし、女の子が泣き出したタイミングで母親がやってきてしまう。何でそうなる。ちょっと、いや、だいぶ間が悪い。

  
そんな柊は、小さい頃に実の両親を事故で亡くし、男虎丈一郎(藤木直人)に育てられた。柊と丈一郎が一緒に清掃会社で働く様子は親子とも友達ともまた違う、非常にいい空気感だ。

ところが、平和だったはずの2人の生活は突如終わりを迎える。丈一郎が、何者かによって射殺されてしまったのだ。この時点でドラマが始まってまだ10分と少しくらい。こんな段階で、藤木直人が消えるなんて悲しすぎる。背後には女性と思しき人影が見えるも、誰だかは分からない。

射殺された丈一郎だったが、なぜか報道では事故死扱い…不審に思った柊は、生活安全課勤務で昔から顔なじみの詩織(水野美紀)を問い詰める。すると、丈一郎が殺し屋だったこと、今回のミッションを最後に引退する決意だったこと、殺したのは鳴宮美月(新木優子)という女性であること、そして自らが丈一郎の所属していた殺し屋組織=SOSの責任者であることを説明した。そんな国家的な機密情報、関係者とはいえ簡単に話しちゃって大丈夫なの? という心配という名のツッコミはさておき、一応、美月が射殺をしたらしい証拠の映像は残っていた(こんなものいくらでも改ざんできるだろうけど)。

あまりにも衝撃的な内容に動揺していた柊は、両親が亡くなった時の丈一郎との会話を思い出す。「涙をぐっとこらえて、強さに変えろ」。たしかに今もその時かもしれない。その時かもしれないが、柊はそこで、自分が美月を殺す、という方向へ行ってしまう。丈ちゃんはそんなこと望んでない、とか言って、頬を張るくらいのことならしてもよさそうだが、詩織は「足を踏み入れたら戻れなくなるわよ」と諭すくらいで、わりとあっさり引き下がる。もうちょっとしっかり止めてほしかった。

そして、これまで顔出しをしてこなかった人気漫画家・美月が公の場に姿を現す授賞式当日。柊はバチっとスーツを着て現場へ。早々に詩織の命令に反した行動をとり、ターゲットに接触する。

しかし、射殺は邪魔が入り失敗。今度は詩織に言われたやり方で、毒薬を使って殺そうとした直後、美月の頭上からシャンデリアが落下…! 間一髪のところで柊が助け、事なきを得る。殺したいほど憎い相手のはずなのに。

SNSでも盛り上がっていたが、「なに助けちゃってんだよ~!」という柊の心の声、そしてその表情があまりにも可愛すぎた。ポンコツでも憎めない、可愛いとかっこいいをしっかり魅せきる中川大志のコミカルな演技がすごくいい。本人のコメントで、「『笑わせる』ではなく、『笑われる』をテーマに演じていきたい」とあったが、まさにその通りのお芝居だったと思う。こちらに笑うことを強要することは一切なく、なにやってんの~! とツッコむことができ、それでいて可哀想にも見えない。この絶妙なさじ加減が、この作品を成立させているのではないかと感じた。

 
結局この日、柊は美月を手にかけることはできなかった。だが、柊の中から殺意は消えていない。

今度は美月の家へ。しかし、そこには人気モデル・八乙女流星(鈴木伸之)、またの名を“デス・プリンス”という天才的な殺し屋が、美月を殺害すべくすでに準備を進めていた。柊はデス・プリンスが仕掛けた殺害方法を見抜き、またしても美月の命を救う。やっぱり、殺すべき相手でも見て見ぬふりはできない柊。この人、ほぼ条件反射で体が動いてしまうらしい。壊滅的に殺し屋の才能がない気がするが、果たして…。

今回、気になるところがいくつかあった。
まずは柊が何度か思い出していた幼馴染らしい少女・葵の存在。あの子はいったいどう物語に関係してくるのだろう? 柊が読んでいた手紙に添えられたイラストの色遣いが、なんとなく美月の描くマンガ「ハリネズミ探偵・ハリー」に似ていたように感じた。
そして、シャンデリアの一件。デス・プリンスは八乙女流星として、授賞式会場でキャンドルを美月に手渡していた。この時点ですでに、粉塵爆発を計画していたと考えてまず間違いないはずだ。すると、会場でわざわざシャンデリアを落とすなんてことはしないんじゃないだろうか? であれば、あれはいったい誰が?
怪しい人は何人か上げられそうだが、会場を後にした美月のアシスタント、“フッ軽さん”こと水瀬千景(田中みな実)が、シャンデリアの前にたたずむ柊のことをじっと見ていたのは1つの判断材料になるかもしれない。あの視線が意味するものとは…。

  
どうやらうすうす自分の命が狙われていることを察しているらしい美月。度々命を助けられたとはいえ、気付いたら自分のマンションの屋上にいた奴なんて不審者以外の何者でもない気がするが、柊にボディーガードになってほしいと依頼する。急接近するターゲットと殺し屋。個人的には、丈一郎が柊を強くするために授けた種々の知識や技術を、人を殺めることに使ってほしくはないな、と思いつつ…美男美女が織りなす、読めそうで読めないスリリング(?)な展開が、来週も待ち遠しい!

※この記事は「ボクの殺意が恋をした」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第2話ストーリー&レビュー}–

第2話ストーリー&レビュー

第2話のストーリー

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柊(中川大志)は、美月(新木優子)を殺すつもりが、彼女を救ってしまった。
美月は、自分の命が誰かに狙われていると気付いていた。

「あなたが私を守って」

柊は、油断させて殺すため美月の頼みを引き受ける。しかし、周囲の人間にバレないように、表向きには美月の秘書兼雑用係になる。その結果、柊は、こき使われるハメに…。隙を突いて美月を殺そうと企む柊だったが、思うようにいかない。詩織(水野美紀)は柊に、殺しをあきらめた方がいいと告げる。

そんな中、流星(鈴木伸之)が『ハリネズミ探偵 ハリー』の実写化映画に出演したいと美月に直談判する。流星がデス・プリンスと同一人物と知り、驚く柊。彼は、流星が美月を殺すのではないかと警戒する。対面し、にらみ合う柊と流星。

「お前が殺す前に、俺が殺す」
「面白い。どちらが先に彼女を殺せるかな?」

2人は、美月をめぐって対決することに。
柊は、美月を殺そうと罠を張るものの、なかなかうまくいかない。
掃除するふりをして美月の部屋を探っていた柊は、ゴミ箱から書きかけの原稿を見つける。

美月は『ハリネズミ探偵 ハリー』ではない新作を描こうとしていた。柊は、周囲に隠している美月の思いを知るのだった。
美月は、新作の構想を柊に語る。それは、幼なじみ同士のラブストーリーだった。柊は美月に、初恋相手の葵と一緒に花火大会に行くと約束したのに行けなかった幼い日の思い出を話す。すると美月は、花火大会のシチュエーションを描くので花火大会に行きたいと言い出す。

美月と2人きりで花火大会。柊は、彼女を殺す最大のチャンスだと気合を入れる。一方、流星は盗聴器を通じて、美月が柊と花火大会に行くことを嗅ぎつける。
花火大会に向かう殺し屋スーツを着た柊と浴衣姿の美月。まるでデートのような2人を流星が手ぐすねを引いて待っていた――。
美月をめぐる柊と流星の“デス・レース”の行方は!?

第2話のレビュー

前回、3度にわたって美月(新木優子)を救った柊(中川大志)は、完全に雇われのボディーガードに…というより、雑用係に成り下がっていた。これってもはや、間が悪いとかそういう問題じゃないのでは、という気持ちが過る。

美月に盗聴器を仕掛け、家での様子を探るデス・プリンス(鈴木伸之)。たしかに敵情視察はめちゃくちゃ大事。ちゃんとできるんじゃん! なんて思ったのも束の間、人混みで堂々と盗聴している。この人、人気モデルではなかったか…? それとも、デス・プリンスになってる時には、一般大衆には見えないのかな。その方が悪役っぽくていいかも。

前回の粉塵爆発でもそうだったが、デス・プリンスは計画を立てることを怠らない。
柊と美月が取材のために花火大会に行くことを掴むと、渋滞にはまって動けなくなっている2人の前にバイクで颯爽と現れ、美月を会場まで連れて行くと申し出る。

さてはこの人、人混みが好きなのね? と勘繰ったのも束の間、結局花火大会には間に合わず。ただ、これは想定内のようだった。片づけを始める出店の人に声をかけ余っているヨーヨーをもらうと、こっそり入れ替えて美月に手渡す。持ち手に毒でもついているのだろうか? この段階では仕掛けが全く見えない。こういうところがいちいち細かいんだよな。さすが芸術的な殺し方にこだわっているだけある。

すると、そこへようやく柊が到着。1人きりの美月を見、これは自らが殺すチャンスなのではと思うも、ヨーヨーに気が付く。そして、デス・プリンスが一体どんな仕掛けをしたのか考えを巡らせる。…と、なぜか遠くで導火線に火をつけようとするデス・プリンス。別にヨーヨーとつながっているわけでもないし、そんな遠くから何ができるというのか。しかし、次の瞬間、ありえないくらい大きな爆弾が映し出される。いったいどこから持ってきたのか。爆弾と美月の間にはかなり距離がありそうだが、そんなに大きな規模の爆発を起こしたら被害は甚大。一体、目論見は…?

柊はヨーヨーの中に強い光に反応して爆発を起こす気体が入っていることに気付く。そんなものがあるとは知らなかった。急いでヨーヨーを放る柊。間一髪、ヨーヨーは空中で爆発する。デス・プリンスが仕掛けていたのは、爆弾ではなく大量の花火だった。なるほど、これならたとえ見つかっても怪しまれないかもしれない(いやでも回収されてしまうのでは、というリスクはこの際脇へ置いておく)。

2話の終盤、ここからが見所。
勝手に柊のもとを離れ、危険な目に遭った美月に対して、柊は「俺から離れるな」など告白ともとれるような甘いセリフを大量に投げかける。これは、美月が新しく描こうとしている新作のマンガに登場し、柊が一蹴した言葉と偶然にも一致していた。なんとなく、良い雰囲気になっちゃってる2人。背後には、デス・プリンスの仕掛けた花火が夜空を明るく照らしていて…。

これは殺し屋のドラマではあるが、あくまでも結ばれちゃいけない2人の禁断のラブコメなのだ。こんなにナチュラルに中川大志が胸きゅんセリフを連発するとは思っていなかった。

でもそこのみに依存するのではなく、しっかりと続きが気になる伏線も用意されている。
まずは、美月と葵は同一人物なのか? という点。2話の最後で美月は“お母さん”(榊原郁恵)の病室を訪れ、その女性から「葵」と呼ばれてはいた。その時の美月は、どこか複雑な表情をしているように見えた。果たして2人は本当の親子なのだろうか?
何やらずっと怪しい動きをしている千景(田中みな実)も謎のまま。美月が検索したらしい丈一郎(藤木直人)死亡のニュースを眺めていたのは一体なぜなのか?
そもそも、丈一郎は本当に死んでしまったのかも怪しい気がしてきた。そうなってくると、詩織(水野美紀)もなんだかいろいろ疑わしい。考えすぎだろうか。

 
これから柊は、芽生え始めた恋心、そして彼女こそ初恋の人なのでは? という思いと、大事な人を奪われたことに起因する殺意との間で揺れ動くのだろう。糖度は高いがちょっとこじれたラブコメに、そんな心理描写が加わった構造は、気楽に見られるがしっかりと奥行きがある。どんどん味わい深くなっていきそうだ。

※この記事は「ボクの殺意が恋をした」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第3話ストーリー&レビュー}–

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー

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殺しのターゲットの美月(新木優子)と初恋の人・葵の面影が重なり、思わずときめいてしまった柊(中川大志)。彼は、丈一郎(藤木直人)の仇である美月を殺さなければならないと気を引き締める。

そんな中、映画化される『ハリネズミ探偵・ハリー』に、流星(鈴木伸之)の出演が決定し、美月の仕事場に流星が訪れる。柊は、流星が美月を殺しに来たのではないかと警戒する。
流星は、忙しい美月たちを慰労したいとグランピングに誘う。

「のんきにグランピングなんかしてる場合じゃないだろ!」
「あなたは黙って私を守ってればいいの」

柊は、流星が何か企んでいると察して美月を止めるが、彼女は聞き入れない。開き直った柊は、グランピングに行って流星より先に美月を殺すと決意する。

そして、グランピング当日。美月は風岡(中尾明慶)、千景(田中みな実)、江村(永田崇人)、真希(小西はる)、柊を連れて行く。みんなが慰安旅行だと盛り上がる中、柊は虎視眈々と美月を殺すチャンスを狙う。人気のない場所に美月を連れ出し、ロープで首を絞める。それが、柊の計画だった。

流星は、豪華な料理で美月たちをもてなす。美月と流星に目を光らせていた柊は、千景に迫られて困惑。柊が千景に気を取られているうちに、流星が美月を散歩に連れ出していた。 柊は風岡に無理やり買い出しに駆り出され、2人を追いかけることができない。
隙を見て買い出しから逃れ、流星と美月の行方を必死に追う柊。彼が流星を見つけた時、すでに美月の姿はなかった…。

「鳴宮美月はどこだ!?」

流星に迫る柊。そして柊と流星は、激しい格闘になり…!

第3話のレビュー

ターゲットの美月(新木優子)を助けただけでなく、キュンとまでしてしまった柊(中川大志)は、自問自答しながら筋トレをする。そんなポンコツゆえ愛おしさすら感じる殺し屋に、“奇想天外な殺し方”とか言われてる流星、もといデス・プリンス(鈴木伸之)もなかなかだ。

そんな流星、表の顔は世界をまたにかける人気モデルなので、「ハリネズミ探偵・ハリー」の実写映画への出演が決定。それを祝して(?)、自らケーキを持参し、美月の家へやって来る。当然、柊はケーキに毒が入っているのではないかと疑う。こんな大人数を相手にまさかとは思うが、しっかり疑う。そして、期せずしていちごを食べさせ合う格好になる柊と流星。「なにこれ」という美月のツッコミ、間が最高だった。

流星は日頃の労をねぎらって、美月らをグランピングに招待する。行っちゃダメだと止める柊に、「あなたは黙って私を守っていればいいの」と美月。なんて自分勝手な女なんだ! と思うと同時に、いやでも自分が男だったらむしろ言われたい…なんて邪な気持ちが湧いてしまう。直後の「コーヒー、ブラックで」までひっくるめて、もう新木優子の優勝だった。

みんながリラックスした装いの中、柊は1人ガチ登山スタイルで登場。このグランピングの最中に、なんとかして美月と2人きりになり、今度は絞殺するつもりらしい。詩織にも、「もう2度と失敗しない」と何度目かの約束をしてしまったし、そろそろ惜しいところまでいったところも見てみたい。が、まぁもちろんそんなわけもなく、平和にグランピングを楽しむ一行。ステーキソースをうっかり口の横につけたキョトン顔は、あざとすぎて頭を抱えてしまった。

突然美月を散歩に誘い出すデス・プリンス。慌てて追いかける柊。ここの2人のやりとりは真剣なのにどこか抜けてるのが面白かったのだが、今回はそれだけじゃない。なんと、わりと本格的なアクションシーンが盛り込まれていた。なるほど、たしかに肉体派といっても過言ではない俳優陣をキャスティングしたからにはこういうシーンがあってもいいかもしれない。十分な迫力があった。

デス・プリンスがどこかへ行ってしまい、柊と美月がテントへ戻ろうとしていると、あたりは突然土砂降りに。近くにあった小屋に逃げ込むも、そこにはデス・プリンスのマークが…。

小屋の中は柊が美月を殺す妄想をしていた環境とほぼ一致。満を持してヒモを取り出す柊だったが、ここでも殺すことはできない。それだけでなく、普段あんなに強気な美月が、雷を怖がって柊に抱きついた。こんなギャップはずるすぎる。

雷はおへそを取られるから怖い、と話す美月に「案外可愛いところあるんだな」と言っちゃう柊。その後も、なんだかいい感じに昔話と身の上話でしんみりする2人に、改めて、もう殺すなんて不可能だろうなと思う。それでも全然いいんだけど。

突如、睡魔に見舞われる美月と柊。テントで踊り狂っていたそのほかの面々もばたばたと寝落ちしていた。
すっかり明るくなったころにようやく目を覚ました柊は、手足を縛られ、ボートに。美月も一緒だ。気付くと灯篭に囲まれている2人。すると、灯篭が虹色に燃え上がる。どうやら、その虹色の炎から飛ぶ火の粉が油に引火すると、爆発が起きる性質を持っているらしい。デス・プリンスってば、なんて面倒な仕掛けを施しているんだろう。

美月を放置したら、このまま殺すことができると一瞬思い悩む柊だったが、小屋で母親の話を聞かされた同情もあり、泳げないと騒ぐ美月を抱えて今日も今日とて助けてやる。陸に戻ると、美月は「助けてくれてありがとう」と泣きながら抱きついた。はい、これはもうどんな凶悪な殺し屋だって、この人のことは殺せません! それくらい可愛すぎる。今日の美月はツンデレの振り幅が殺人級だ。

そもそも、なぜ美月は命を狙われていたんだっけ? 丈一郎(藤木直人)を殺したから、裏組織に資金提供をしているから…どれもこれも、まだ確証がない。美月の素性を早く知りたい。

今回は千景(田中みな実)の行動がずっと怪しかった。柊の調査を依頼し、品川で殺された丈一郎(藤木直人)に育てられたことを知った千景。この人も殺し屋なのか、それとも誰かを守ろうとしているのか。

また、詩織にも動きが。グランピングに行っていることを知り、美月の家に侵入、美月と“お母さん”との2ショットの写真をまじまじと眺めていた。ベッドサイドには、鳴宮ではない苗字。やはりあの2人は親子ではないのか、それとも“鳴宮美月”という人物はどこかほかにいるのか。

謎が謎を呼ぶ展開だが、最後にさらなる衝撃! 柊は、美月の机の上である絵を見つけてしまう。それは、自身が幼い頃に葵からもらった手紙に書いてあった絵と同じ絵だった。美月が葵だと確信し、「葵ちゃんだったんだね…」と呟く柊。これは切ない物語の始まりかもしれないことを予感させ、次回へ。

つっこみどころ満載のデス・プリンスとの攻防シーンと、後半に畳み掛けるように襲ってくる意味深なシーン。緩急の激しさは回を重ねるごとに高まっている。これからどんな事実が明らかになるのか、心して待ちたい。

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–{第4話ストーリー&レビュー}–

第4話ストーリー&レビュー

第4話のストーリー

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柊(中川大志)は美月(新木優子)が葵だと確信し、彼女を殺すことに迷いを感じていた。
美月が「ハリネズミ探偵・ハリー」の実写映画撮影に向けた打合せに参加することになり、柊も同行する。打合せには、流星(鈴木伸之)が立ち会っていた。柊は、流星がまた何か企んでいるのではないかと気が気ではない。

そんな中、詩織(水野美紀)が美月の仕事場を訪れる。詩織は、柊の父の知り合いだと名乗る。詩織に京子(榊原郁恵)のことや家族について尋ねられ、警戒する美月。美月と詩織の間に、緊張感が高まる。

柊は、なぜ突然訪ねてきたのかと詩織を問い詰める。柊は詩織に、美月が実は初恋の人なのだと伝える。心揺れる柊に、詩織は、丈一郎(藤木直人)の死を無駄にしないでほしいと告げる。

映画「ハリネズミ探偵ハリー」クランクインの日。撮影現場で原作者の美月、出演者の流星と七瀬くるみ(谷まりあ)の対談取材が行われる予定が組まれていた。美月は、柊と千景(田中みな実)たちを連れて撮影現場へ向かう。撮影現場は、古い洋館だった。

「俺が……絶対に守ってみせる」と決意する柊。流星は到着した柊たちを見て、不敵に微笑む。「ようこそ、死の館へ――」

現場には、数匹のハリネズミがいた。ハリーは、ぬいぐるみとCG合成を使って実写化する。撮影中に本物のハリネズミを見られるようにしておけば、出演者の演技にもイメージが湧きやすいだろうという流星のアイデアだった。

ハリネズミを見て「かわいい!」と声を上げる美月。そんな彼女を見て、ときめいてしまう柊。撮影が進み、洋館には空き時間ができた流星と見学していた柊たちだけになる。

すると、流星は、ケージを開けてハリネズミを逃がす――。ハリネズミを使った流星の殺人計画とは!?

第4話のレビュー

殺すはずの相手にまたしてもキュンとしてしまったばかりか、「俺が守ってやるよ!」という最上級の胸キュン台詞まで繰り出し命を助けた柊(中川大志)。現在軸での恋愛フラグが立った時点でもう殺しなんて無理だろうに、さらに初恋の相手であったことがほぼ確定した。風邪をひいて寝込む美月(新木優子)に向けて「葵ちゃん…?」と呟いたときの柊の表情がとてつもなくピュアで、1週間越しにハッとさせられる。

そんな中、映画の制作は着々と進行。台本の打ち合わせでは、美月があるキャラクターをラストで死なせることについて「あなたたちの怠慢では」と脚本家を問いただす。話題性が欲しいだけのお涙頂戴、個人的にもあまり好きではないので痛快だった。それに対して、「何でもかんでも殺せばいいってもんじゃない」と助け舟を出す主演の流星(鈴木伸之)。「どの口が言うんだよ!」という柊のツッコミはごもっともだ。

打ち合わせを終えて、なんだかいい感じになっちゃう美月と流星。柊の目に灯っているのは、殺させまいという気合いよりも嫉妬の炎に近そうだ。別れ際の「譲る気はないからな」という2人のやりとりは、もはや1人の女性を巡っての恋愛バトル。とはいえ、やっぱり流星はデス・プリンス。依頼主からの電話に「次こそは必ず!」と悔しそうな表情を浮かべていた。“デス・プリンス生命”ってよく分かんないけど、なんか面白い。

美月の家に戻ると、今度はアポなしで詩織(水野美紀)が訪ねてきた。柊の古くからの知り合いとして、美月に探りを入れる。聞き出したいのは、体調を崩して入院している母親(榊原郁恵)のことのようだ。プライベートは公にしない、といってつっぱねる美月。このことが、今後にどのように関わってくるのだろう…。それにしても、柊の知り合いと聞いてほいほい自宅に招き入れてしまう風岡(中尾明慶)よ。美人漫画家先生の担当編集者として、もう少し危機感を持っていただきたい。これじゃ柊がどれだけがんばったって水泡に帰してしまうではないか。

柊は、美月=葵が本当に丈一郎(藤木直人)を殺したのか疑っていた。真相を確かめたいと申し出る柊に、「これは子どものお遊びじゃない」と一喝する詩織。SOSの調査能力に絶対の自信があるのだろうけど、柊にしてみたら1人の命が懸かっているのだ。それも、何年も忘れられない初恋の人の。慎重になるのも分かる。でもその気持ちを汲み取る余裕もないほど、詩織にとってもまた丈一郎は大切な存在だったのだろう。そう考えると関係性が複雑で切ない。一方の柊だって、「丈ちゃんの死を無駄にしないで」なんて言われたら返す言葉もないだろう。それはそうなんだけど…と、その気持ちを推し量っては苦しくなる。柊の表情にもそれがよく表れていた。あんな立場に置かれたら、一体どうしたらいいんだろう。

そして、回想シーンへ。幼い頃の柊と葵は、お互い辛いことがあったら助け合おうと約束をしていたらしい。十数年の時を経て、今またその約束が果たされようとしているのは何の因果なのか…。

思い悩んでいた柊は、真相を確かめることを決意。思い切って本当のことを話して欲しいと美月に懇願する。「俺が守るから!」と叫ぶ柊。今までポンコツとか思っててごめん…めちゃくちゃ男前じゃん…。しかし、それでも口を割らない美月。よほどの事情があるんだろうな。話さないことこそ、美月にできる柊を守る方法なのかもしれない。なにこれ、急にものすごい運命の悲恋。ますます真相が知りたくなってくる。

一行は撮影現場、もといデス・プリンスが待つ“死の館”へ。美月、流星らの座談会で、「今までの恋愛観なんてすべて吹き飛ばしてしまうくらいのものが恋なんじゃないですか」と、予想を超えて情熱的な受け答えをする美月。その言葉で何かのスイッチが入っちゃう流星。これは落ちましたね、恋に。さらに、美月の差し入れのチョコを巡っての柊と流星の攻防、そして美月による不意打ちの“あ~ん”で、流星は陥落…したかに見えたが、そこはプロとしてしっかり切り替える。

リネズミを探して、地下室に閉じ込められちゃう柊と美月。ダンシングトゥナイト…ナイトって、騎士? 毒針を出したかと思ったら遠隔で急に動き出すし、手が込んでるのか杜撰なのか、いずれにしろ相変わらず独特な計画だ(この場面、なかなかないやり方をしてくるので、見逃した方もぜひ映像を見てみてほしい)。追い詰められた柊を助けようとして、結局美月が毒針の餌食になってしまう。

柊の見立てでは、仕込まれていた毒はトリカブト。その場では処置ができないと判断し、道中見つけた診療所へと急ぐ。抗不整脈薬でなんとか助けようとするも、すでに虫の息の美月はそれを口に含むこともできない。すると、躊躇うことなく薬を口移しする。大事な人を何としても守ろうとする、その必死な表情(かっこいい)、そして快方に向かったのを認めたときの安堵の表情(守りたい)。こんなものを見せられたら、そりゃ話さざるを得ない。やっと美月が、自分は葵であり、“鳴宮美月”に頼まれて美月のフリをしていることを教えてくれた。

それにしても、これまで器用にポンコツを演じていた中川大志が要所要所でキメて、どんどん男前の濃度が高まってきた。もちろんもともとかっこいいんだけど、前半とのギャップがえぐい。ぐっとファン層を拡大しちゃうんだろうな。美月改め葵の母にじりじりと近づく詩織、陰で柊と美月のことを嗅ぎまわる千景(田中みな実)の動向とともに、そのあたりにも注目だ。

※この記事は「ボクの殺意が恋をした」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第5話ストーリー&レビュー}–

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー

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柊(中川大志)は葵(新木優子)から、鳴宮美月になりすましていた経緯を打ち明けられた。葵は本物の美月がどんな人物なのかまったく知らず、千景(田中みな実)を通じてやり取りをしていた。
柊は、千景をホテルの一室へ連れて行く。そこには葵が待っていた。
柊は、今すぐ美月を呼び出すようにと千景に迫る。しかし千景も、美月には会ったことがなく、向こうから一方的に連絡が来るだけなのだと答える。

一方、流星(鈴木伸之)は、美月へのせつない思いを募らせていた。そんな中、彼に思いがけない指令が下される。

柊は、葵をマンションから連れ出して清掃会社の事務所に匿うことに。詩織(水野美紀)は、葵を守ろうとする柊を問い詰める。葵が美月でなかったとしても、葵が丈一郎(藤木直人)を殺したという疑惑は消えていないのだ。柊は詩織に、本物の鳴宮美月を見つけて丈一郎を殺した犯人を聞き出すつもりだと言う。そして彼は、もしも美月が殺したと分かったら、その場で殺すと宣言する。

柊は、不安そうな葵を元気づけるために水族館へ連れて行く。そこは柊と丈一郎との思い出の場所でもあった。楽しいひとときを過ごす柊と葵。柊は「葵ちゃんは、俺が守るから」と約束する。

美月が仕事を止めて姿を消してしまったことで、風岡(中尾明慶)は大混乱。美月が登壇する予定の「ハリネズミ探偵ハリー」の映画制作発表も近付いていた。風岡は葵に、仕事を再開してほしいと懇願。葵は、美月として仕事を再開し、映画の制作発表に出ると告げる。柊は、危険な場所へ戻ろうとする葵を止める。しかし彼女は、ある計画を持って制作発表に臨む決意をしていた――。

第5話のレビュー

これまで“鳴宮美月”だと思っていた人物が、柊の初恋の相手・葵(新木優子)であることが発覚。
葵は漫画家になるべく努力していたが、結果が伴わずにいた。そこへ鳴宮美月からデビューを条件に成り代わりを持ち掛けられたらしい。きっとここで葵が選ばれたのにも、何か理由があるのだろう。

野球シーンを描くために風岡(中尾明慶)のノックを受ける柊。「夢にときめけ! 明日にきらめけ!」と叫ぶ中尾明慶、世代的にめちゃくちゃエモすぎた…。青春漫画のノリに呆れつつ帰ろうとする千景(田中みな実)に、柊はめずらしく「送るよ」と積極的。どうしたのかなと思ったら、葵の待つホテルへ連れ込み、鳴宮美月について問い質し始める。鳴宮美月と連絡を取り合ったことがあるのなら、今すぐここで電話をしてくれと頼む柊。なんだか無機質な部屋のベッドサイドで、固定電話が鳴り響く。幸か不幸か電話には誰も出なかったが、個人的に鳴宮美月=千景説もあるのでは?と思っていたのでひやひやする場面だった。

それにしても、漫画家であるのならなぜ作業机などではなくベッドサイドに電話があったのだろう。もしかして、鳴宮美月は床に臥せっている? 今の登場人物の中で、そんな状況にある人って1人しか思いつかないけど、それはさすがにないよね…?

結局事態は進展のないまま、柊が自宅で葵をかくまうことに。それを知った詩織(水野美紀)は驚きを禁じ得ない。たしかに、丈一郎(藤木直人)が殺害された場所の防犯カメラに葵が写っていたことは動かぬ事実として残ったまま。彼女が柊の初恋の相手だと分かっただけで、何も疑惑は消えていないのだった。

緊迫した状況にも関わらず、柊と葵は水族館へ。のんきだなと思いつつ、自然体で楽しむ2人にこちらも思わず笑顔になってしまう。どうやら柊は、ずっと張り詰めた様子だった葵を笑顔にしたかったらしい。ワッフルを食べながらしらす丼の話をしちゃうところも、写真を撮ろうとして水を引っかけられてるところも、中川大志の可愛さが振り切れている。それを見て終始楽しそうな新木優子ももちろん可愛い。なにこれ、ずっと見てられるんだけど。

柊が今回水族館を選んだのには、かつて丈一郎が自分を励まそうと同じ場所に連れてきてくれたことが関係していた。まだ小さい柊を、不器用な優しさで勇気づけようとする丈一郎。そして、「丈さん」と柊に呼ばれてはしゃいじゃう丈一郎。さっきのデートシーンに引き続き、可愛いが渋滞している。

丈一郎と柊の思い出話を聞いて、何かを話そうとする葵だったが、気付かずにハグをする柊。うーん、何か聞けそうだったのにな。でも、本当に言わなきゃいけないこと(実は丈一郎の死に自分が関わっている、とか)なら、葵はきっと遮ってでも話してくれるんじゃないかな。今はとにかく、そう信じたい。

一度は鳴宮美月に成り代わることを放棄した葵だったが、鳴宮美月をおびき出すためにも再び戻ることを決意する。映画の制作発表で自分は鳴宮美月ではないことを暴露するという葵。千景は驚くが、「美月先生には私から伝えておく」と言った。そして、千景は美月の家へ。これで千景=美月説は潰えたが、やはりベッドに向かって話している。一体、美月は誰なんだろう…。

制作発表当日。
出演予定だった流星=デス・プリンス(鈴木伸之)が急遽役を降板したことが発覚。葵扮する美月への恋心に気づいてしまい、花占いで「好き、嫌い…」とやっていたいじらしいデス・プリンスだったが、これは殺害に本気になったということだろうか? 見れば、部屋の隅っこにまた変なロボットのようなものがある。毒ガスか、爆弾か…と思いきや「good bye 美月」というフラッグが出てきただけ。葵が写るタブレットを大事そうに抱き締めているデス・プリンス。こっちもこっちで禁断の恋だったのに、いまいち応援するきっかけを失ってしまっていたことが申し訳なくなる。

そんなデス・プリンスのもとに柊が乗り込むと、「彼女はもう僕のターゲットじゃなくなった」と話し始めた。任務から外されてしまったらしい。いい感じに張り合っていたライバルがいなくなるのはかなり寂しい。でも、「殺したいほど、I love her」という言葉を残して去っていたデス・プリンスに、応援してこなくてよかったかも、と思ってしまった(笑)。いや、でもやっぱり寂しいかも。デス・プリンス、またどこかで会えたらいいな。

柊が葵のもとを離れていた間に、葵がさらわれてしまう。それはそうだよ、なんで1人にしたんだよ! 仮面をつけた男にじりじり迫られる葵。すると、いいところで柊が助けにやって来た! 「約束したろ? 絶対守るって」とちょっと笑ってる柊が本日のハイライト。こんなのときめかない人いないでしょう。もちろん口だけじゃなく、ナイフを持った相手にもひるむことなく向かっていく柊はかつてないほど頼もしい。本格的なアクションシーンはファンでなくても必見だ。乱闘は見事に柊が勝利した。男の仮面を外すと、それは詩織の差し金だった…。

詩織は、柊には内緒で丈一郎が殺された現場の映像に細工がないかを調べていたという。結果は、「加工の跡は見られない」。葵への疑惑が晴れることはなかったのだ。柊は「葵ちゃんが殺したなんて嘘だ!」というが、一方の葵は美月から柊が殺し屋であることを聞かされ、「すべてあなたの計画通りに」と…? やっぱり葵、そっち側の人だんだろうか。

誰を信じたらいいのか分からない状況が続く中、次回は柊の許嫁も登場するらしい(唐突だなぁ)。なんだかまたひっちゃかめっちゃかになりそうな予感…!

※この記事は「ボクの殺意が恋をした」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第6話ストーリー&レビュー}–

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー


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柊(中川大志)は葵(新木優子)に、丈一郎(藤木直人)を殺したのか、聞こうとする。葵は何も言わず、柊を追い返す。

柊が帰宅すると、見知らぬ女性・莉奈(松本穂香)が家の前にいた。彼女は、柊に封筒を渡す。その中には幼い柊と莉奈が遊んでいる写真と、“男虎柊と藤堂莉奈を結婚させることをここに誓う”と書かれた紙が入っていた。莉奈は柊の許嫁だと言うのだ。どういうことなのか理解できず、混乱する柊。莉奈の話を聞くうちに柊の記憶がよみがえってくる。

莉奈は、藤堂財閥の令嬢だった。かつて丈一郎は清掃業者として藤堂家に出入りしていた。その時、丈一郎について行った柊は、莉奈と出会い仲良くなった。丈一郎と莉奈の父は、柊と莉奈を結婚させるという約束をしていたのだ。

その後、莉奈の父は一族の争いに負けて財産を失い、去年亡くなった。莉奈の父は、自分が死んだら柊を頼るようにと娘に言い残していた。莉奈は父の遺産も底をつき、柊を頼ってきたのだった。

一方、葵は、しばらく休業すると宣言。葵はマンションを出て、千景(田中みな実)が用意したホテルに身を隠す。千景は葵に、柊と会わないようにと釘を刺す。

柊は詩織(水野美紀)から、本当の鳴宮美月を見つけるまでは葵を生かしておくと知らされる。詩織は柊に、丈一郎を殺した葵をどうするのか、考えるようにと告げる。葵が丈一郎を殺したという信じたくない事実に直面した柊は、苦しい決断を迫られる――!

第6話のレビュー

鳴宮美月から、柊(中川大志)が自分の命を狙っている殺し屋だと聞かされた葵(新木優子)は、訪ねてきた柊を拒絶する。「お願いだから帰って」と、柊の顔を見ることもできず言う葵の表情も、唐突な態度の変化に困惑する柊の表情も、切なくて痛々しい。

そんな傷心の柊が自宅へ戻ると、何やら不審な女の姿が…。
彼女の名前は藤堂莉奈(松本穂香)。なんと、自称・柊の許嫁だった。人の家にズケズケやって来てこけしを並べ出す莉奈…うん、控えめに言って、結構苦手だ。柊が助けを求めて呼んだのだろう詩織(水野美紀)も、丈一郎(藤木直人)が許嫁と認めると署名をしてしまっている手前、一晩泊めてあげたら、と言い出す。何だってこんな時にこんなに厄介なことが起こるのだろう。柊への同情を禁じ得ない。

前回、八乙女流星(鈴木伸之)が降板してしまったことで、鳴宮美月原作漫画の映画化は白紙に。葵はこの機に乗じて漫画家を休業すると申し出る。担当編集の風岡(中尾明慶)は、「可愛いアイツ(柊)の面倒を見るためにも、先生が一生懸命働かないと」と食い下がるが、葵はすでに柊をクビにしたと言う。

一方、詩織から呼び出された柊は、「まさかまだ、葉山葵を信じているの?」と問い質される。葵が丈一郎を殺す理由が分からないと困惑する柊。そこで詩織から聞かされたのは、お母さんの手術代を肩代わりする条件が、「鳴宮美月の振りをして丈ちゃんを殺害する」ことまでだったという新事実だ。考えたくはないが、これが本当ならば、葵が丈一郎を殺したことは疑う余地もないだろう。かつて彼女は「お母さんを守るためだったら、何だってする」と言っていたのだから。

ふらふらと自宅へ戻ると、莉奈が完璧な手料理で出迎えてくれ(ありがた迷惑ってまさにこのこと)、それを風岡に見られて勘違いされる。どこまでも踏んだり蹴ったりだし、お人好し過ぎて強く否定も弁解もできない柊がもはやいたたまれない。極めつけは、柊の部屋へ入り込んでいた莉奈を諭す、「ダメだよ、勝手に入ったら」という声色だ。普通、勝手に自分の部屋に入り込まれたらもっと声を荒げてもいいはずなのに、あまりにも優しい言い方に眩暈すらした。
だけど今は、状況が状況だ。莉奈にお金を渡し、出て行ってほしいと頼む。柊だって、やればできる…! それを案外すんなり受け入れた莉奈は、唐突に丈一郎との思い出話を始める。それは、丈一郎がいかに柊を大切に想っていたかが分かるエピソードだった。丈一郎が柊に注いでいた愛情の深さが、第三者の言葉で立体的になる。そうか、だからきっと柊は、時に頼りなさすら感じるくらい、こんなにも優しく育ったのだろう。なんだかすっと腑に落ちた。

何とかして葵に事の真相を確かめたい柊は、風岡を利用して接触を試みる。
そして、「丈さんを殺したのは、葵ちゃんじゃないよね?」とついに面と向かって質問をぶつけることができた。しかし葵は、「鳴宮美月に会わせる」と言ったきり、いなくなってしまった。やっぱり葵は鳴宮美月と会ったことがあるみたいだ。

1人で街を歩いていた葵は、SOSのメンバーと思われる人物に誘拐されてしまう。葵に銃を向け、鳴宮美月を呼び出すように脅迫する詩織。葵がもし丈一郎を殺していたとても、これじゃどっちが犯罪者なのかよく分からない。
そして柊のもとに詩織から、葵の告白動画が届く。「私があなたの大切な人、男虎丈一郎を殺した」。茫然自失でスマートフォンを取り落とし、頭を抱える柊。次第に呼吸も荒くなる。こんな風に取り乱している柊を見たのは初めてだ。虚ろな表情だったが、柊も覚悟を決めたらしい。丈一郎が使っていた銃を手に、葵のもとへ向かう。

しかし、まだ柊は葵のことを信じたいのだろう。「本当に葵ちゃんが殺したの?」「何で?」と葵に縋りつく柊。
次の瞬間、「黙ってないでなんか答えてくれよ」と拳銃を取り出す。
柊が引き金を引こうとした時、なんと、デス・プリンス降臨! 器用に柊の銃だけを撃って、殺害を阻止した。もうこれっきり会えないと思っていたデス・プリンス。突然の登場に、待ってました! と拍手をしてしまったのは筆者だけではないだろう。何でここにいるって分かったの? とか、今の状況をどこまで理解してるの? とか、そんな疑問はこの際どうでもいい。とにかく、降臨してくれたことがうれしくてたまらなかった。
まだ葵が葵という名前であることを知らないまま、恋心だけをよりどころにやって来たデス・プリンスは、柊との乱闘の末、葵を逃がすことに成功する。葵の手を引き爽やかな笑顔を浮かべるデス・プリンスと、彼を疑い、全く喜ぶ様子のない葵の表情の対比が最高だった。

さて、すっかりデス・プリンスに持っていかれかけたが、葵と対峙するシーンの柊、もとい中川大志は圧巻だった。
大事な人を、大事な人に殺されたかもしれない。そんな愛と憎の入り混じった涙で顔をぐちゃぐちゃにして、殺意に任せてなんとか引き金に手をかける。混乱、葛藤、苦悩…それらが苦しいほどこちらにも伝わってくる、まさに迫真の演技だった。

コミカルから始まった本作だったが、回を追うごとにシリアスの濃度が高まる。
今回から登場した莉奈にしろ、写真のみで登場した葵の兄(小池徹平)にしろ、おそらく今後何らかのカギを握っていると見てまず間違いないはず。正直、葵の始末を柊にゆだねた詩織の真意も測りかねるし、丈一郎の死だって筆者はまだ疑っている。
物語も後半。どんなラストも、覚悟しておこうと思う。

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–{第7話ストーリー&レビュー}–

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー


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柊(中川大志)に撃たれそうになった葵(新木優子)は、流星(鈴木伸之)に助けられた。
彼女は、流星を千景(田中みな実)のもとへ連れて行く。

一方の柊は、詩織(水野美紀)から、本物の鳴宮美月の正体を聞かされる。
葵は、兄の武尊(小池徹平)をSOSに殺害され、復讐のために丈一郎(藤木直人)を狙っていたというのだ。葵は、彼女自身の意志でこの計画に加わり、丈一郎を殺していた。

詩織の話を聞いて、ますます混乱する柊。詩織は柊には葵を殺せないと見限り、新しい殺し屋を派遣すると告げる。柊は、今度こそ葵を殺さなければならないと思い詰める。

葵は、京子(榊原郁恵)の手術が明日に迫り、不安な思いを抱えていた。流星は千景に頼まれて、葵に寄り添う。

千景は美月の仕事部屋で、復讐計画のカギとなる、ある物を探していた。すると、風岡(中尾明慶)が部屋に入ってくる。彼は、千景が美月の秘密を知っていると感づいていた。そして、何を隠しているのかと千景に迫る。

一方、莉奈(松本穂香)は、丈一郎が莉奈を柊の許嫁にした理由を柊に語る。そんな中、柊と莉奈の前に、流星が現れる。流星は、自分が葵を守ると宣言。葵を殺す意志は変わらないのかと問われた柊は、葵を許せないと言い切る。

その会話を、流星が仕込んだマイクを通じて聞いていた葵。柊の自分に対しての残酷なまでの殺意を聞いた葵は――!?

第7話のレビュー

詩織(水野美紀)の前に現れた鳴宮美月は、水瀬千景(田中みな実)だった。一瞬よぎって、でも何度か打ち消した予想のひとつ。だって、第5話でたしかに千景はベッドに向かって、何かを報告してはいなかっただろうか。

柊(中川大志)に殺されそうになっていた葵(新木優子)を救い出したデス・プリンス(鈴木伸之)は、葵から自身は美月ではないこと、本物の鳴宮美月は千景であることを聞かされる。

同じ頃、柊もまた詩織から、同様の事実を知らされる。
千景はかつて、葵の兄・赤坂武尊(小池徹平)と交際していた。彼は、表向きは週刊誌の記者をしていたが、裏ではテロ組織の一員だった。それを理由に、丈一郎が武尊を殺したという。だから千景は武尊の復讐を企て、葵も自分の意志で計画に参加した共犯関係にあるというのだ。バラバラだったものが一気に繋がる。

警察の厄介になり柊のもとへ舞い戻ってきた莉奈(松本穂香)。この子、本当に厄介なんだけど、なんだか憎めない。そんな莉奈は、丈一郎(藤木直人)が許嫁を用意したのは、柊が1人になってしまった時のために頼れる人を作っておきたかったからではないか、と話す。結果的には、莉奈にとってもまた唯一の頼れる存在になっているから、少し思惑とは違ったかもしれない。でも、「丈さんって昔からそういうとこある…」とちょっと呆れているようにも見える柊は、この追い詰められた状況で久しぶりに人の温かさに触れたんじゃないだろうか。そうだとしたら、丈さんの判断は大正解だ。

突如デス・プリンスが柊の家へやって来る。「愛する人を守りたい」と宣戦布告し、さらには「君は葵を殺すんじゃなかったのか?」と挑発。それを受けて、「どんな事情があっても、彼女は俺の大切な人を殺した」と話す柊の目は真っすぐだ。真剣。葵をめぐる、デス・プリンスと柊の立場が入れ替わる。「葵は僕が守る。幸せにする」という言葉を聞いた柊の気持ちは、きっとまた混乱の中に落ちて行ったことだろう。

デス・プリンスと柊の会話を聞いていた葵は、「許してほしいなんて思ってない」と口では言う。自身も兄を殺されているからこそ、許せなくて当然だと思うのだろう。「どうしてこんなことに…」と泣く葵があまりにも切ない。こんな姿を見せられたら、どうにかして守ってあげたいと思ってしまう。「他人の涙がこんなに苦しいものだなんて」とつぶやいたデス・プリンスに完全同意だった。
そして、デス・プリンスは葵に、「守らせてくれ」と志願する。だが、葵の意識は過去へ。彼女がこれまでどれだけ柊に体を張って守ってもらってきたかを思い出す。皮肉なものだ。もはやデス・プリンスの入る隙はない。

やはり揺れ動いていた柊に、莉奈は「葵さんを殺したくなんてないんじゃないですか」と声をかける。柊は、丈さんの守りたかった正義を守るのだというが、そもそもSOSの守っていたものとは何だったのだっけ? テロリストを闇で始末していたというが、こんなにも悲しい復讐の連鎖を生むことに、果たして正義はあるのだろうか? 丈一郎を殺されたことが許せない、兄を殺されたことが許せない…復讐の連鎖は、どこかで止めなければ永遠に終わらないだろう。
憎しみと共感の狭間で「1番好きな人を1番憎まなきゃいけないんだ」と苦しそうに吐露する柊。こんなに悲しくて優しくて切ない涙を、まさかこのドラマで見ることになるとは思ってもみなかった。きっと柊に好意を持っているだろう莉奈。おそらくは自分の気持ちを飲み込んで、「1番手前にある気持ちを尊重してあげてください」と言ってのける。この優しさは、見習いたいと思った。

街中で対峙する詩織と千景。2人の会話はとても興味深い。
「あなたは私を殺せない、今はまだ」という千景は、データが詩織のもとに渡っていないかの確認をしているのだろう。詩織の証拠だというが、彼女は一体何をしたというのだろう?
「柊くんの仇はあなたでしょ?」と言い放つ千景。丈一郎を殺したのは葵ではなく、詩織だった。
こんな身近に、柊の仇がいたとは。たしかに、柊が鳴宮美月を殺すと言った時、たいして止めもしなかったのに違和感を覚えた記憶はある。

ここからは、完全に詩織が悪役に。
彼女は葵を服従させるために、病床の母を人質にとっていた。詩織の正義がますます分からなくなる。母親まで失うわけにはいかない葵は、柊に嘘をつくしかなかったのだ。葵は自分が殺されてもいいから、母のことも柊のことも守ろうとしている。その行動がすべて正しいとは限らない。もっと他の方法もあったかもしれない。でも、大事な人を守ることを優先する、この人はなんと強い人なのか。
そして、すべてを知ったデス・プリンスもその葛藤を理解し、柊に本当のことを打ち明けるよう背中を押してくれた。

「あの真っ直ぐすぎる男」とデス・プリンスが表現した柊は、でも、すでに現実を見てはいない。
詩織にはめられてどこかの工場跡地に呼び出された柊。莉奈に場所を聞いて駆け付けた葵と向き合う柊の目は完全にイっていた。柊のこんな顔は見たくなかった。
「男虎丈一郎さんを殺してない」と言った葵の言葉も届かない。そんな柊の体に、レーザーサイトが当たる。
放たれた弾丸から、葵が身を挺して柊を守った。
詩織が何をしたいのか分からない。なぜ今、このタイミングで柊を殺そうとするのか。

そして、詩織の前に現れたのは、少なくとも筆者が誰よりも見たかった人物。そう、男虎丈一郎、その人だった。もう、完全にヒーローの登場だった。

気になるのは、今後の風岡(中尾明慶)の動向だ。もともと週刊誌の編集部にいたという彼。週刊誌…もしかして武尊の同僚だったのではないか。千景のことも何か知っているかも。葵が武尊から預かっているという万年筆、風岡が持っている可能性もありそうだ。「僕は人生懸けて鳴宮美月の担当編集をしているつもりです!」と言った風岡の必死さが忘れられない。

ここからきっと、本当の復讐が始まるのだろう。それが1人でも多くの人を“不幸にしない”道であることを願う。

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–{第8話ストーリー&レビュー}–

第8話ストーリー&レビュー

第8話のストーリー

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柊(中川大志)をかばって撃たれた葵(新木優子)は、病院へ運ばれて緊急手術を受ける。手術は成功するものの、葵の意識は戻らず危険な状態が続く。柊は、丈一郎(藤木直人)と再会。丈一郎と千景(田中みな実)は、柊に事情を話す。丈一郎を撃ったのは詩織(水野美紀)だと聞かされ、衝撃を受ける柊。詩織は、武尊(小池徹平)が遺したデータを探していた。そのデータは、武尊が葵に託した万年筆の中に隠されていた。そんな中、鳴宮美月が銃撃されたというニュースが流れる。美月の仕事部屋に警察が立ち入り、万年筆を押収。それは万年筆を手に入れるために詩織が仕組んだことだった。柊は丈一郎とともに葵を守る作戦を開始。その頃、詩織は、柊たちを始末しようと罠を張っていた――!

第8話のレビュー

自分のせいで葵(新木優子)を危険に晒してしまった柊(中川大志)。なんとか一命は取り留めたものの、葵はまだ危険な状態だ。柊は流星(鈴木伸之)に「帰れ。ここにいる資格はない」と追い払われてしまう。なんだか、懸命に葵を守っていた時の柊と比べると、随分と姿が小さく見えた。

失意の中で帰宅した柊を待っていたのは、千景(田中みな実)、そして丈一郎(藤木直人)だった。
目に映ったものを疑い、戸惑いの中で動きは緩慢になり、事態を信じられず驚くも、そこにはじんわり喜びが滲んでいるように見えた。ころころ変わる柊、もとい中川大志の表情が楽しく、愛おしい。それにしても、殺されたふりをしていたにもかかわらず、突如「大丈夫か、柊!」と飛び出してくる丈さんもなかなか悪い人だ(嫌いじゃない)。

詩織(水野美紀)が私的にSOSを利用していたこと、その証拠を掴んだ赤坂武尊(小池徹平)が自殺に見せかけて詩織に殺されたこと、詩織が悪事を働いている確証を得るために葉山葵を鳴宮美月に仕立て上げたこと、そして詩織が丈一郎を撃ったこと…。柊は自分がこれまで見ていたものと、千景と丈一郎が話す事実に大きな乖離があったことに驚きを隠せない。丈一郎がいなくなって以来、最も信頼していただろう詩織が黒幕だったのだから当然だろう。筆者であれば、人間不信になってしまいそうだ。

柊たちvs詩織という構図が浮き彫りになった今、切り札となるのは武尊が残してくれたデータ。しかし、柊の家に仕掛けたこけしで盗聴していた莉奈(松本穂香)が、万年筆にデータが隠してある可能性があることを詩織に密告してしまう。こけし、お前やはり…という気持ちになった視聴者も多かったはず。無害な人間ではないだろうと思ってはいたが、柊へは少ならかぬ好意を抱いていただろうから複雑だ。
そして即座に警察が動く。なんと鳴宮美月(葵)射殺の犯人を捜索するために、美月の私物を押収するというのだ。撃たれた側なのに? 本人の同意もなく? 警察にそんな横暴が許されるのだろうか。たまたま風岡(中尾明慶)が部屋に居合わせていたものの、あっさり万年筆を奪われてしまった。つ、使えない…。

万年筆に入ったSDカードも詩織の手に渡った今、次は関係者を始末するはずだと丈一郎は推測する。そこで、丈一郎と柊が葵を病院から連れ出す計画を企てる。
並んでスーツに着替える様はかっこいいのに、その後のネクタイにまつわるやり取りはかわいい。親子だけど血の繋がりはなくて、でも血よりもずっと濃くて確かなもので繋がっている2人。一緒にいて、じゃれ合っているのを見られてよかったなと思い、戦いの前、束の間の平和なシーンなのにグッときた。

その頃、病室では葵が目を覚ましていた。付き添っていた流星に向かって葵がまず口にしたのは、柊の名前。流星の気持ちを考えると切なすぎる。そして病室で話す2人の会話を聞いてしまった風岡。デス・プリンスの表情に変わった流星に、ものすごい走り方で追いかけられる。風岡さんの無事を祈りつつ、デス・プリンスを演じる鈴木伸之、さてはめちゃくちゃ乗り気だな…? とにやける。

予定通り、葵奪還のために病院へ。この計画には、デス・プリンス改め愛に生きる“ラブ・プリンス”も加担していた。そのおかげもあって、なんとか葵を救い出すことに成功した柊だったが、詩織がこんなことで引き下がるわけがない。
なんと、ニュースで鳴宮美月を銃撃した疑いで、柊が指名手配中だと報道されていた…!

千景がすべてを知った上で、丈一郎とコンタクトを取り、誰も傷つかぬよう詩織の悪事を暴こうとしていたことに、筆者は少なからず救われた気持ちになった。だが、そこまでして詩織が隠したい悪事の全貌が詳らかになっていないはず。今回、初めて子どもを抱く笑顔の詩織の写真が出されたが、あの子は一体誰なのか。
ようやく自分たちの気持ちに向き合えそうな柊と葵。しかし、そこに入り込めず切ない恋心を抱える流星と、実は詩織からの刺客だったらしい莉奈。まだまだ敵と味方が入れ替わりそうな危険もはらむ中で、クライマックスまでさらに目が離せない!

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–{第9話ストーリー&レビュー}–

第9話ストーリー&レビュー

第9話ストーリー

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柊(中川大志)が鳴宮美月殺害未遂の疑いで指名手配された。そのことを知った葵(新木優子)は動揺。丈一郎(藤木直人)は、鳴宮美月の引退会見を開き、その場で柊の無実を証明して詩織(水野美紀)の不正を公表する計画を立てる。千景(田中みな実)と風岡(中尾明慶)が会見の準備を進める。丈一郎たちの話は莉奈(松本穂香)に盗聴されていた…。柊はどうしても、詩織が完全な敵とは思えなかった。しかし葵には、詩織をかばおうとする柊が理解できない。柊と葵の気持ちは、次第にすれ違っていく…。一方、流星(鈴木伸之)は莉奈に、手を組もうと持ち掛ける。さらに彼は詩織と交渉し、今度こそターゲットは必ず殺すと宣言。そして、鳴宮美月の引退会見が開かれることになるが…!?

第9話レビュー

鳴宮美月を撃ったと無実の罪を着せられ、指名手配されてしまう柊(中川大志)。詩織(水野美紀)が仕組んだことなのだろうけど、本当に血も涙もないなと思ってしまった。

そんなシリアスな中、モザイクをかけられた状態で柊について語る風岡(中尾明慶)の映像が流れる。「何やってんだよ、風岡さん…」という柊に完全に同意だったものの、同時に、シリアスな表情のまま笑えるシーンを生み出してくれる風岡の存在が救いでもあった。

丈一郎(藤木直人)に呼ばれて柊たちのもとへやってくる風岡と、そのすべてのやりとりを聞くこけし。一連の事件について最初こそ混乱している風岡だったが、持ち前の理解力の高さ(?)で状況を把握する。そして、やはり赤坂武尊(小池徹平)と風岡が同期だったことが明らかに。武尊から託されたというボールペンはややこしすぎたが、風岡らしくていい。もうこの際、この人は完全に無関係であることを願いたい。

それにしても、武尊が掴んだという詩織の悪事の証拠もない以上、状況はかなり悪い。そこで丈一郎は鳴宮美月の引退会見を開く計画を話し始める。鳴宮美月は今や時の人。そんな人物が会見を開いたら、多くの報道陣が集まることは想像に難くない。そこで詩織の悪事を暴くというのだが…どう考えても上手くいく気がしない。その計画で自信満々な丈一郎に不安を感じた。

一方、次第にすれ違い始める柊と葵(新木優子)。
柊にとって葵は、1度は本気で殺そうとした仇だし、葵にとって柊は、本気で銃口を向けてき相手だ。普通の人生ではまず抱かないであろう激しい怒りや恐怖を感じたわけで、すべてが誤解だったとはいえ、その時の感情を忘れることはきっとない。だから、自分は相手のそばにいるべきじゃないと考える。お互いがお互いを思うあまり起きるすれ違いが切なすぎる…。

裏側では、詩織に脅されている莉奈(松本穂香)と、詩織と再び結託しようとするデス・プリンス(鈴木伸之)が記者会見の中止へ向けて行動を開始していた。
柊と葵は莉奈に連れられて倉庫へ身を隠そうとするも、そこにはすでに詩織の姿が。目的のためとはいえ、躊躇なく柊を殴る詩織には、かつて優しく柊を見守ってきた時の面影は微塵も感じられなかった。
こうして2人を人質にとった詩織は、丈一郎に会見を中止しなければ会場に仕掛けた爆弾を爆破させると連絡をする。いわゆる“詰んだ”状態。計画の内容も事前に筒抜けで、協力者もいたんだから仕方ないけど…なんかやっぱり杜撰だな。丈一郎は、何か策があってのことだろうか?

そういえば、詩織は莉奈に向かって「私に黙ったまま上手くやれると思った?」と言っていた。登場こそ邪魔だなぁと思ってしまった莉奈だったけど、最後は柊と丈一郎のための行動をしてくれると思いたい。デス・プリンスも、柊が恋敵ではあるが、葵を殺してしまうような決断はしないんじゃないか…。
この局面において、 詩織の息子のエピソードもまだ全貌が見えていない上に、まだまだ誰が敵で誰が味方か、判断できない。柊と葵は助かるのか、そして恋は実るのか? 盛り沢山になりそうな最終回に、期待が高まる。

※この記事は「ボクの殺意が恋をした」の各話を1つにまとめたものです。

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–{第10話ストーリー&レビュー}–

第10話ストーリー&レビュー

第10話ストーリー

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鳴宮美月引退会見が行われる中、柊(中川大志)と葵(新木優子)は、詩織(水野美紀)に追い詰められて絶体絶命の危機に。2人を人質に取られた丈一郎(藤木直人)は、会見を止めるしかなかった。
詩織は、丈一郎が来るのを待っていた。みんなまとめて始末すると冷酷に告げる詩織。さらに彼女は、SOSのためには人も殺すと言い放つ。柊は、優しかった詩織が殺人を犯したことが信じられない。

あくまで正義のためにやったと言う詩織に、柊は「詩織さんにとっての正義って何だよ!?」と問いかける。詩織は、SOSを立ち上げるきっかけとなった自らの過去を明かす。
武尊(小池徹平)が殺された経緯を知った葵は、詩織に怒りをぶつける。「人を殺すことにも正義はある」と、詩織は邪悪な論理を主張。一方、柊は、復讐のために鳴宮美月を殺そうとした自分を思い出して何も言えなくなってしまう。

詩織が再び銃の引き金を引こうとしたその時、丈一郎が現れるが……!?

第10話レビュー

第10話にしてついに、詩織(水野美紀)が武尊(小池徹平)を殺してまで隠ぺいしたかった事実が明らかになった。

17年前、彼女は当時5歳だった息子の命を理不尽に奪われた。「人を殺してみたかった」というあまりにもふざけた動機による犯行だったが、犯人が16歳だったため、大きな裁きを受けることはなかった。そんな詩織の弱みにつけこんだ警視庁副総監の馬渕(中丸新将)が、詩織をSOSに誘い入れる。そして、詩織は自らの手で息子を殺した犯人・ミズモトを始末したが、ミズモトは詩織に殺されることを予感し、武尊に相談を持ち掛けていた。そのため、ミズモトが死ぬ間際の詩織との会話を収めた音声データを武尊が所持していたのだ。

SOSの大義名分は、「法で裁けない悪を処理すること」。たしかに現実にも、なぜこの事件がこんなにも軽い罪で許されてしまうのか?と感じることは少なくない。
でも、果たして息子を殺した犯人を、また、SOSの存在を公にすると言った武尊を殺すことは正義といえるだろうか? 答えは否であろう。少なくともミズモト殺害時の詩織は自身の感情が前面に出てしまっていたし、武尊の殺害に関しては完全に保身に走っている。
だからだろう、「復讐して楽になった?」、「悲しみは少しでも癒えた?」という柊(中川大志)の問いに答えることが出来なかった。葵(新木優子)が丈一郎(藤木直人)を殺したと思い込んだまま、苦悩の中で恨みに任せて殺そうとした経験がある柊には、詩織の感情の一端が理解できていたのだろう。あの時の柊の悲しみと慈愛に満ちた表情には、そう思わせる包容力が垣間見えた。

実はこの詩織の自白の前半部分、デス・プリンス(鈴木伸之)や莉奈(松本穂香)の協力のおかげで「鳴宮美月 引退会見」の会場に中継されていた。柊の思いも届き、詩織は自首をすることに。

一方、柊と葵は、お互いのためを思って「もう会うのは辞めよう」と結論を出す。回想シーンが流れたが、笑顔で別れるにはこの数か月間の思い出が濃密すぎた。思い合っている同士なのに、どうしてこんなことになってしまうのだろう…。

半年後。
柊は丈一郎とともに清掃の仕事を、葵は千景(田中みな実)のもとでアシスタントをする日常を送っていた。
このまま終わるなんて寂しすぎる…!
そんな視聴者の願いが届いたかのように、丈一郎がデス・プリンスを巻き込んで、柊の気持ちを焚きつけた。
その甲斐あって、何とか葵に思いを打ち明けられた柊。初恋からずっと両想いの2人が、悲しいすれ違いで離れ離れになることは避けられた。
よかった…本当によかった…と、祝福の気持ちに浸っているのも束の間、今度はデス・プリンス&莉奈と中継が繋がる。そして、デス・プリンスの仕掛けた爆弾が爆発…!? したかと思いきや、それは単なるくす玉で、2人を祝っていつもの面々が顔を揃えているのだった。
丈一郎のスーパープレイともいえるが、この人ってつくづく過保護だ。柊のことが、本当に大事でたまらないのだろうな。

爆弾の騒ぎに紛れて、葵とのキスがお預けになってしまった柊。葵に「ちゃんと告白するから…!」と宣言するも、逆に不意打ちでキスをされてしまう。この、キスからの笑顔を見せる新木優子が驚くほど可愛かった。柊もキュン死していたし、画面越しに恐らく何人もの視聴者が胸を押さえたことだろう。「ボクの殺意が恋をした」というタイトルながら、過去を除いて殺害された人は出ていない。最終回、最後の数秒にしてたくさんの(キュン)死者を出すという、なんとも最高の展開になった。

さて、たっぷりのコメディ要素とともにスタートしたものの、終わってみれば考えさせられる部分も多い作品であった。
何より、俳優陣の魅力が光った。千景役の田中みな実は、これまでのイメージや演じてきた役どころからも物語のスパイス的な役目を担っているものかと思いきや、思わぬ形でキーパーソンに。“フッ軽さん”なんて呼ばれてたこと、もはやちょっと忘れかけていた。そのくらい変化に違和感がなかった。
そして、筆者が最も印象的だったのは、やはり中川大志演じる柊のころころと変わる表情だ。最初こそ心配になるくらい頼りない表情が多かったのに、葵を守るために体を張る時には自信を漲らせ、信じていた人に裏切られた時には戸惑ったり苦悩したりと、回を重ねるごとに複雑になっていく心情を繊細に演じ切っていた。コメディとシリアスが突如として入り混じる本作でも視聴者を置き去りにすることがなかったのは、ひとえに中川の表現力と絶妙なバランス感覚があったからこそだと筆者は思う。
もちろん、ちょっと様子のおかしいデス・プリンスと莉奈を演じ切った鈴木伸之と松本穂香も、ずーっとどこか空気の読めない風岡がぴったりハマっていた中尾明慶も、みんなとてもよかった。 次の作品では、彼らはどんな表情を見せてくれるのだろう。今後への期待も感じさせてくれるドラマだった。

※この記事は「ボクの殺意が恋をした」の各話を1つにまとめたものです。

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(文:シネマズ編集部)

–{「ボクの殺意が恋をした」作品情報}–

「ボクの殺意が恋をした」作品情報

出演:中川大志/新木優子/藤木直人/鈴木伸之/水野美紀/田中みな実/中尾明慶

脚本:
徳永友一/三浦希紗

演出:星野和成/宝来忠昭

音楽:大間々昂/田渕夏海

主題歌:Vaundy「花占い」(SDR)

チーフ・プロデューサー:岡本浩一

プロデューサー :中間利彦/石田麻衣(ホリプロ)/小島祥子

共同プロデューサー:三上絵里子(日本テレビ)

制作協力:ホリプロ

製作著作:読売テレビ

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