「お耳に合いましたら。」第3話レビュー:「飯テロ」でありつつ「好きテロ」ドラマ(※ストーリーネタバレあり)

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テレビ東京が音楽ストリーミングサービス「Spotify」と共に、ポッドキャスト番組と連動させたオリジナルドラマ「お耳に合いましたら。」を2021年7月8日より放送する。

伊藤万理華演じる会社員の高村美園が、とあることをきっかけにポッドキャストを始め、人気のパーソナリティ目指して奮闘する物語。

本記事では、第3話をcinemas PLUSのライターが紐解いていく。

「お耳に合いましたら。」第3話レビュー

壁越しに聞こえるシタールの音、漬物会社の俳句キャンペーン、「富士そば」のコロッケそば、ポッドキャストと「好き」を伝えること。

一見、何の脈絡もない事柄がより合わさって、ひとつの物語になったドラマ「お耳に合いましたら。」第3話「壁越しの関係」。

こよなく愛する「チェンめし」についてのポッドキャストを始めた高村美園(伊藤万理華)だが、引っ越してきたばかりの隣室から聞こえるシタールの音のせいで新しいポッドキャストを更新できずにいた。だけど、美園は困っているわけではなく、むしろシタールの音色が好きなのだという。ほかにも、時折聞こえてくる隣人の声や生活音に勝手にシンパシーを抱いていく美園。不思議な子。

隣人に「好き」だと伝えたい。だけど、伝えられない。そんなとき、美園が勤める漬物会社の俳句キャンペーンについての会議が行われる。効果に疑問を呈する社員に対して、猛然と反論する“音オタク”の佐々木(鈴木仁)。彼は大好きな投稿者に直接会いに行ってしまったのだという。いろいろアウトなのだが、佐々木の情熱に感動した美園は、隣人に直接会うことを決意する。佐々木の「好き」という情熱が美園に飛び火したのだ。

美園が手土産に選んだのは、「富士そば」のコロッケそば。24時間営業でBGMは演歌、サラリーマンたちが手早くそばを啜る「富士そば」は、美園のような女性ひとり客にはややハードルが高い。「富士そば」へのハードルの高さと、隣人への挨拶のハードルの高さと引っかけてあるのだろう。さらに、そばは食べどきが短い。持っていくと決めたら、すぐに実行しなければならない。「富士そば」の店員となったレジェンドパーソナリティのクリス・ペプラーも美園を後押ししてくれる。

結局、美園は隣人の高杉(濱田マリ)に、彼女が出すシタールの音が「好き」だと伝えることができた。ポッドキャストで自分の「好き」を伝えることと、隣人に「好き」と伝えることはとても親しい。他人の「好き」を肯定することで、シタールの音のような良いヴァイヴスが広がっていく。ここで美園の一句。

秘めし思い
蕎麦を通じて
壁越える

「飯テロ」ドラマでありながら、「好き」のパウダーをこっそり街に噴霧する「好きテロ」ドラマでもある「お耳に合いましたら。」来週も楽しみ。

(文:大山くまお)

「お耳に合いましたら。」第3話ストーリー

チェンメシ愛を語るポッドキャスト配信を始めた高村美園(伊藤万理華)。最近、隣の部屋から聞こえてくる不思議な音楽が心地よく、病みつきになってしまい配信ができないでいた。しかし、配信は続けたい気持ちもあるため、佐々木(鈴木仁)からアドバイスをもらい、配信をするときだけマットレスを壁に立て掛け防音対策を試みるが、勢い余って壁にぶつけてしまう!それ以降、静かになってしまった隣人。誤解を解きたい美園は…

–{「お耳に合いましたら。」作品情報}–

「お耳に合いましたら。」作品情報

高村美園(伊藤万理華)は、とある漬物会社に勤める会社員。彼女の楽しみはお気に入りのポッドキャスト番組を聴き、会社帰りに“チェンメシ(チェーン店グルメ)”を買って、ひとり自宅で満喫すること。大勢の前で自らを表現することが苦手な美園であったが、「好きなこと」を語るときだけ熱量が溢れる美園の姿を見ていた同僚・亜里沙(井桁弘恵)に、ポッドキャスト配信をやってみることを勧められる。
そして美園はある夜、大好きなチェンメシを片手に、はじめてのポッドキャスト配信に挑戦することに。トークのルールもわからない美園であったが、その気持ち溢れる、実に“おいしそうな配信”が徐々に反響を呼んでいく。そして、会社の後輩で“音オタク”の佐々木(鈴木仁)もそこに加わり、美園は仲間とともに、番組「お耳に合いましたら。」の人気パーソナリティを目指して、成長していく。

出演:伊藤万理華/井桁弘恵/鈴木仁 ほか 

監督:松本壮史/杉山弘樹/松浦健志

脚本:家城啓之/大歳倫弘/灯敦生/松本壮史

原案・企画・プロデュース:畑中翔太(博報堂ケトル)

キャストコメント

伊藤万理華(高村美園 役)コメント 

主演ドラマ、というのがまったく聞き馴染まなくてドキドキしています。
ラジオレジェンドの大先輩の方々に見守られながら、撮影に奮闘しています。
Spotifyユーザーとして、このドラマを通してポッドキャストデビューできることがすごく嬉しいです!
私が演じる、高村美園の発する拙くも漏れ溢れ出るチェンメシ愛をどうかあたたかく聴き取って、
見守っていてください。木曜日のこの夜が明日のもうひとがんばりに繋がって、
それを終えてから食べるチェンメシはきっと最高に美味しいです。
美園と一緒にそんな楽しい習慣をつくっていきましょう。
お耳チーム一丸となって良い作品にしていきます!どうぞよろしくお願いします。

井桁弘恵(須藤亜里沙 役)コメント 

「音声コンテンツ」と「チェンメシ」どちらも身近で大好きな私にとってこのドラマはワクワクで楽しみでしかありません!
伊藤万理華さんが演じられる美園を亜里沙としてサポートしながら、私自身もこの作品を通して一緒に成長できたらいいなと思っています。
音声コンテンツとチェンメシのコラボはもちろん、美園と亜里沙、そして鈴木仁くん演じる佐々木とのほっこりするやりとりも楽しんでいただけると嬉しいです!

鈴木仁(佐々木涼平 役)コメント 

​佐々木涼平役を演じさせていただくことになりました。鈴木仁です。
後輩やオーディオマニア、他にも涼平の様々なキャラや武器をフル活用して作品の中に入り込んでいければと思います。
特に美園先輩、亜里沙先輩との掛け合いはこのドラマにおいて、重要になってきます。作品の空気感を大切にして、遊びも交えながら真剣に取り組んでいきます。よろしくお願いします。

スタッフコメント

〈原案・企画・プロデュース〉博報堂ケトル 畑中翔太

この企画は、自分自身が小学生の頃、CDコンポを並べてカセットテープに録音していた“自作のラジオ番組”がきっかけで生まれたものです。ポッドキャストなどの音声メディアの浸透とともに、今では「誰もがパーソナリティになれる時代」となりました。主人公の高村美園はごく普通の会社員ですが、ある日ポッドキャストとの出会いから、憧れだった“パーソナリティ”への道を歩んでいきます。それは今の時代、誰しもに起こるようなリアルストーリーだと思います。
そして主人公が配信するテーマ、それは牛丼、ハンバーガー、ラーメン、ピザ、お寿司などなど・・彼女が愛してやまない、魅惑のチェーン店グルメ・通称“チェンメシ”。
これから平日に疲れた木曜の深夜には、伊藤万理華さん演じる美園のほっこりするような「パーソナリティ成長記」と、テレ東ならではの「深夜グルメ」の“異色コラボ”をぜひお楽しみください。

〈プロデューサー〉テレビ東京 寺原洋平

キャンプ、サウナ、車中泊など今までライフスタイル系ドラマを作り出してきたテレビ東京が新しく挑戦するのは、最近まさに注目を浴びている“音声コンテンツ”!そこにテレビ東京が得意とするグルメエッセンスと、20代前半に誰もが経験する「大人の青春」を掛け合せたら、主演の伊藤万理華さん演じる美園がとても個性的でチャーミングなキャラクターに仕上がりました。今後、発表される絶対予想できないSpotifyさんとのメディア連動のパーソナリティ正体も併せて是非ご期待ください!

スポティファイ ジャパン株式会社  音声コンテンツ事業統括  西ちえこ

駆け出しのポッドキャストパーソナリティとして奮闘する女性を主人公にしたドラマというのは、これが初めてではないでしょうか。ポッドキャストはいつでもどこでも無料で楽しめる音声コンテンツで、毎日の生活の中で新しい世界や興味を広げてくれるだけでなく、専用アプリ「Anchor by Spotify」を使えば誰でも自分の考えや物語を簡単に世の中に届けることもできます。音声コンテンツは今かつてない盛り上がりを見せていますが、音声を介した表現方法は様々で、これからもフォーマットに縛られない新しい表現方法が日本のクリエイターによって生み出されていくことに期待しています。ドラマとこれに連動したSpotify上での展開を通じて、音声コンテンツの楽しさをより多くの方に知っていただければと願っています。