2021年7月8日のテレビ朝日 木曜ドラマは、2年ぶりに「緊急取調室」を放映。
主演・天海祐希をはじめ、おなじみのキャストが顔を揃えて好評を得ている。
cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。
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もくじ
第1話ストーリー&レビュー
第1話のストーリー
北海道警察へ出張することになった「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」の取調官・真壁有希子(天海祐希)は羽田空港へ。保安検査場で、提示しなければならない持病の薬の処方箋が見つからず、オロオロしている白髪の老女と出会う。とっさに手助けをした有希子は、同じ便に乗るという老女と共に搭乗口へ。別れ際、老女が発した「いい旅を」という言葉に、何とも言えない引っかかりを覚えながらも、自分の座席へと向かう。ところが…出発時刻になっても、飛行機は一向に離陸しない! そんな中、安全確認のため離陸が遅れる旨を告げるCAの機内アナウンスを聞いた有希子は、その声から異変を察知。様子を探るため、CAたちがいるギャレーに駆けつけると、CAのひとりが「ハイジャック」と走り書きしたメモを見せ…!
有希子はすぐさまキントリに連絡を入れ、そのままギャレーへ突入。すると、そこにはCAにインスリンポンプを突き付ける、先ほどの老女の姿があった! しかも、老女は人が変わったかのような殺気をはらみながら、「私は国民青年派の大國塔子(桃井かおり)だ」と名乗り、ハイジャックを宣言。駆け込んできた警乗警察官・山上善春(工藤阿須加)が人質解放と投降を促すも、塔子は一切ひるむことなく、爆弾を機内に持ち込んでいることを明かし、同じ便に乗っている国土交通副大臣・宮越肇を呼ぶよう要求! 宮越の汚職疑惑の真相を本人に語らせ、現政権の責任を問うと息巻き…!?
実は、塔子は50年前に国会議事堂前で“7分間の演説”を行い、活動家集団である国民青年派と機動隊の衝突を止めた活動家。黒い鉢巻をしていたことから、「黒い女神」と呼ばれたカリスマだった。しかし、その後は潜伏を続け、今やその存在を知る人間も少ない。そんな塔子がなぜ、50年の沈黙を破り、ハイジャック事件を起こしたのか――。謎が謎を呼ぶ中、有希子は事態を収束させるため、自分が人質になると申し出る。だが、塔子はこれを拒否。一方、宮越も塔子の要求を拒絶し…!
そんな中、“あってはならない事態”が発生してしまう。宮越の代わりに塔子のもとへやって来た第一秘書・東修ニ(今井朋彦)が、揉み合いになった挙げ句、命を落としてしまったのだ! その結果、現場にいた有希子に、世間から非難の声が浴びせられ…!?
第1話レビュー
キントリチームが帰ってきた!
今作で第4シリーズとなる「緊急取調室」。天海祐希演じる主人公・真壁の安定感は健在だ。そして大杉漣が画面に映ったときは、思わずうるっとしてしまった……。2021年、またこれまでとは違ったキントリの活躍が見られると思うと嬉しい。
第4シリーズのスピード感に注目したい。冒頭15分間で大國塔子(演:桃井かおり)による飛行機ハイジャック事件が発生し、そして解決した。
このハイジャック事件には、解決後もさまざまな謎がついてまわる。大國塔子がハイジャック事件を起こした本当の理由は何か、ハイジャックの原因とされる国土交通副大臣・宮越肇(演:大谷亮平)の秘書はなぜ我が身を顧みず突撃したのか、秘書の鞄に仕込まれていた爆弾が偽物だった理由は、そして公安がそれをひた隠しにするのはなぜかーー?
ハイジャック事件をきっかけに次々と発生した”謎”に立ち向かうため、キントリチームは団結を新たにする。9月末で解散が決まってしまったキントリ(ドラマの放送時期とリンクしているあたりが、熱い)。それまで「自分たちらしく猪突猛進で行こう」と一体感を強めた真壁の存在感は、やはり天海祐希じゃないと演じられない。
存在感といえば、桃井かおりも忘れてはならない。その声や一挙手一投足に見入ってしまう。ゲスト出演という話だけれど、レギュラーメンバーに負けず劣らずな空気感だ。”ハイジャック犯”という作品の色を決める役柄であり、作品としての方向性も彼女が握っているように見える。
ひとまず目先のキーポイントとなるのは、副大臣・宮越肇と秘書の関係性、そして秘書の鞄に仕込まれていた爆弾の真贋だろうか。キントリチームの動きを今後も見守っていきたい。
※この記事は「緊急取調室」の各話を1つにまとめたものです。
–{第2話ストーリー&レビュー}–
第2話ストーリー&レビュー
第2話のストーリー
「小暮しのぶ」として潜伏すること50年…。突如、国土交通副大臣・宮越肇(大谷亮平)の汚職疑惑の真相を明らかにすると宣言し、宮越が乗った飛行機でハイジャック事件を起こした活動家・大國塔子(桃井かおり)。しかし、塔子が宮越の第一秘書・東修ニ(今井朋彦)のアタッシェケースに忍ばせ、機内に持ち込んだという爆弾を確かめた「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」の取調官・真壁有希子(天海祐希)は、爆弾が偽物だと確信。塔子の身柄を拘束した警視庁が「爆弾は処理中に爆発した」と発表したことに疑念を覚え、本物の爆弾は“汚職の証拠”だったのでは…とにらんでいた。
このハイジャック事件には間違いなく裏がある――。そう考えた有希子は、自ら塔子を取り調べようと奮起。だが、すでに取り調べは公安が担当することになっていた。しかも、警察の上層部が“爆弾”の隠蔽に一枚噛んでいるとするならば、有希子は間違いなく邪魔な目撃者だ。案の定、刑事部長・北斗偉(池田成志)は有希子に辞表を書かせることを交換条件に渋々、キントリによる取り調べを1時間だけ許可したのだが…。
その矢先、本物の小暮しのぶ(円城寺あや)が遺体で見つかった。しかも遺体の傍らには、塔子がハイジャック決行前に切ったおさげ髪の束が…! しのぶ殺害の容疑で塔子の逮捕状を別途請求し、取り調べ時間を延ばそうと画策する有希子。だが、北斗は頑として許可しない。
そんな中、ハイジャック事件で命を落とした東の息子・奨太(石田星空)がキントリを訪れ、父が飛行機に乗る直前に郵送してきたという筆箱を差し出す。中にはなんと、誰も想像すらしなかった“事件の骨組み”を示唆する重要な証拠品が入っていた! しかもこの証拠品、捜査を進展させるどころか、逆に有希子らの頭を混乱させ…!?
だが、時間は待ってはくれない。1時間という、あまりにも短い制限時間内に、“塔子の真の目的”と“事件の全体像”を明らかにすべく、不退転の覚悟で立ち向かっていく有希子。しかし、相手は50年前に7分間の名演説で名を馳せた、口の立つ女だ。当然のごとく、取り調べは壮絶を極め…!
第2話のレビュー
ハイジャック犯・大國塔子と小暮しのぶの関係性が少しずつ浮き彫りになってきた。「小暮しのぶ」は大國塔子が30年にわたって騙っていた名前。前回1話の終わりで山中に埋められているのを発見された小暮しのぶ、彼女の殺害容疑が大國塔子にかかっていた。
小暮しのぶは何年にもわたって、大國塔子の潜伏生活を支援していた。知り合いのレストランから譲り受けた残り物を定期的に運んでいたのだ。過去に黒い女神として一世を風靡した大國塔子の信奉者で、そのまま生活支援者となったとみられている。死因は絞殺、凶器はひと束のおさげ髪……。
物語を追いながら、小暮しのぶを手にかけたのは大國塔子でほぼ間違いないと思っていたけれど、やっぱりその通りだった。なぜ長い間助けてくれた彼女を殺してしまったのか不思議でならなかったが、なんと小暮しのぶはレストランのオーナーにプロポーズされていた。
結婚するために、もう支援を続けることはできない。だから、もう名前も貸せない。
そう聞いた大國塔子は、カッと頭に血が上り、小暮しのぶの首に自分のおさげをかけて殺してしまったのだ。伝説の演説、無血の7分間で一躍有名になり、たくさんの信奉者がいた大國塔子。しかしそれは過去のことだ。頼れる身寄りもなく彼女は孤独。おそらく大國塔子の周りに残ったのは、直接手助けをしてくれていた小暮しのぶ、ただひとりだったのだろう。
大國塔子はカリスマだった。政治に牙を剥き、堂々と自説を展開し、人々の心を掴み、信奉者に囲まれた。常に前を向き突き進んできたように見えたが、最も過去にとらわれていたのも彼女だったのかもしれない。
最後に残った小暮しのぶという支援者が離れていってしまうと悟ると、我慢ならなかった。気がついたら殺してしまっていた絶望と、ついに本当にひとりになってしまった空虚。「すぐに私もいくから」という言葉に、大國塔子の諦めと無念も感じられる。
「あの7分間の興奮にはかなわない」
大國塔子は過去の栄光にとらわれている。人心を掴んだ伝説の演説=7分間の興奮を、いつまでも胸に宿している。彼女はどこへ向かうのか、最後まで生ききったあとは、どのように散っていくのか。
※この記事は「緊急取調室」の各話を1つにまとめたものです。
–{第3話ストーリー&レビュー}–
第3話ストーリー&レビュー
第3話のストーリー
チケットは30秒で完売…世間が注目するボクシングのバンタム級タイトルマッチが、目前に迫ってきた。「大卒のプリンス」ともてはやされる現チャンピオン・加賀見光一郎(神尾楓珠)に挑戦するのは、元ボクサー・山内潔(阿南健治)に才能を見いだされ、デビュー戦以来4戦連続のKO勝ちを収めた元不良少年・石倉衆ニ(岡山天音)。正反対の2人の試合には、熱い視線が注がれていた。
ところが、対戦1週間前の会見が開かれた直後、事件が起こる。会見に出席していた週刊誌記者・梅本マサル(松本実)が、川に転落して溺死。亡くなる前に顔面を殴られていたことが判ったばかりか、石倉と一緒に事件現場付近を歩いている姿をとらえた防犯カメラ映像も見つかったのだ!
これを受け、警視庁捜査一課は石倉を任意同行することに。真壁有希子(天海祐希)ら「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」のメンバーには、石倉を取り調べて自供させるよう、刑事部長・北斗偉(池田成志)から命令が下る。だが、そもそも石倉を被疑者として引っ張るには、あまりにも決め手が少ない。キントリの面々は取り調べに難色を示すが、北斗は補導歴3回・暴力沙汰で少年院にも入っていた石倉の過去を持ち出し、犯人だと決めてかかり…。
偏見を持たずフェアな取り調べを――そう肝に銘じ、石倉と対峙する有希子。ところが、石倉は態度が最悪な上に、思いの外したたかに追及をかわし、容疑についても「素人を殴るわけねぇだろ」と一蹴。石倉の言動、そして右手に巻かれた包帯を直接確認した有希子は、彼が犯人との心証を強め…!
まもなく、梅本の銀行口座に不審な振り込みが2件あったことが判明。さらに、会見の映像を見直した有希子は、いつも戦闘態勢の石倉が加賀見に何か囁かれるや、一瞬だけ見せた不安そうな表情が引っかかる――。
第3話のレビュー
ハイジャック事件はいったんさておき、物語は別の事件を追う展開になっていく。岡山天音演じるプロボクサー・石倉衆二が、梅本という記者を撲殺した容疑で任意の事情聴取を受けることになった。ちょうど大事な試合前の、緊迫感ある時期。石倉は少々素行に難があるものの、一貫して容疑を否認していた。
それもそのはず、石倉は亡くなる直前の梅本と接触はしていたが、決して殴りはしていなかった。外でカッとなっても不用意に一般人を殴ったりしないよう、テーピングを外すように心がけていたという。態度や言葉は粗野だが、ジムの会長や応援してくれるファンに対し、最低限の礼儀は守っていたのだ。
「こんな雑魚いのを殴ったらボクサー人生終わりだと思った」
石倉を演じる岡山天音、見るたびに演技が上手くなっていて、思わず見入ってしまう。殺人の容疑をかけられて苛立ちまじりに戸惑う様子、必死に身の潔白を主張し戦うボクサーらしい闘志、大切な人に裏切られたのかもしれないと案じ力をなくす目。飄々とした若者の役が多いイメージだったが、幅広い役を演じることで確実に力をつけているように見える。
ボクサー・石倉衆二を陥れたのは、試合で戦う予定だった加賀見(演:神尾楓珠)だった。スターとしてのしあがろうとしている石倉の存在が怖くなり、根も葉もない八百長の噂を流して社会的に消そうとしていた。なんともスポーツマンシップに欠ける行いだが、華々しい場所から転落していく様を実に悲劇的に演じている神尾。若手俳優たちの活躍がいたるところで光っている。
人を貶めることで自分がのしあがろうとしたり、裏切りに遭い人間不信になりかけたり、「人」の間で交わされる感情のやりとりや、それにまつわる有象無象を見ているとーーいかに自分を信じるのが難しいかが痛いほどわかる。
※この記事は「緊急取調室」の各話を1つにまとめたものです。
–{第4話ストーリー&レビュー}–
第4話ストーリー&レビュー
第4話のストーリー
画期的な食品廃棄物リサイクルシステム「SY21」を開発し、注目を浴びている企業「スリー食品」の工場でガス漏れが発生。同社の専務・三上聡(内村遥)を含む2名が死亡した。しかもこの惨事、当初は“事故”だと考えられていたが突如、“事件”として扱われることになる。
なんと防犯カメラ映像に、エンジニア・橘頼子(高橋メアリージュン)が自ら開発に関わった「SY21」をわざと故障させ、ガスを発生させる姿が映っていたのだ!
しかも、事件当日は頼子が依願退職する日で、朝にはSNSに「もう終わったのね。さよなら」と、自殺を匂わせる意味深な書き込みもしていた――。
第4話のレビュー
高橋メアリージュン演じる頼子が、勤める工場でわざとガス爆発事故を起こす事件が発生。2名の社員が巻き込まれ死亡してしまう。そのうち1名は、頼子とともにリサイクルシステムを共同開発した三上専務だった。
三上専務と頼子はもともと同級生。頼子は偶然再開した三上専務の計らいで、キャバクラ嬢からエンジニアに転身していた。ふたりで共同開発したリサイクルシステムだけれど、三上専務はなぜか自分の名前単独で発表。頼子の犯行は、それを恨んでのことだと思われていた。
当初、部長の北斗は「頼子と三上専務は不倫していた。裏切られたことで腹いせに殺害したのだ」と決めてかかっていた。天海祐希演じる真壁はその主張を真っ向から否定。「昭和のおじさんの妄想」だと切り捨てたシーン、かっこよかったし、スッとした……!
それでも、状況はどんどん北斗部長の予想どおりとしか思えない証拠ばかり出てくる。頼子のPCメールサーバには三上専務に送るつもりだった意味深なメールが残っていた。ふたりは不倫しており、交際を深めていた矢先、三上から頼子を裏切ったに違いない……。キントリチームの推定は固まりつつあった。
しかし真相は違ったのだ。ふたりは不倫関係にはなかった。頼子の一方的な片思いだったのだ。三上専務はしっかり共同開発として発表しようとしていたし、頼子の立場も尊重していた。どれだけ三上のことを想っても、すでに他人のものである以上、自分のものにはならないーー思い詰めた頼子は、リサイクルシステムを自分ひとりの名義で発表できないか打診し始めた。
「それは事実じゃない。嘘は君のためにならない」と冷静に諭す三上。彼には落ち度が一切ないにも関わらず、殺されてしまった……。頼子は本気で三上専務を殺そうとしていたわけではなかったのだ。
頼子を演じる高橋メアリージュン、すでに各ドラマで名演技を連発しているが、今回も見事だった。思いが届かないつらさ、相手がいる人を好きになってしまった苦悩、そんな中でせめて仕事の成果を欲する自身の強欲さーー実体のないさまざまな感情に打ちのめされながら、頼子は取り返しのつかないことをしてしまった。その懊悩ぶりがよく表現されていた。
その苦悩を冷静に受け止める真壁ーー天海祐希も流石の一言だった。毎話面白く観られている理由は、言うまでもなく彼女の演技が土台にある。次回も楽しみだ。
※この記事は「緊急取調室」の各話を1つにまとめたものです。
–{第5話ストーリー&レビュー}–
第5話ストーリー&レビュー
第5話のストーリー
真壁有希子(天海祐希)ら「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」に、前代未聞の取り調べ要請が入った。なんと被疑者は人間ではなく…“ロボット”だというのだ!
その事件は都内の民家で起きた。この家で一人暮らしをする老人・村松和代(夏樹陽子)が頭蓋骨を骨折して息絶えているのを、様子をうかがいに来た隣家の主婦・土居マサエ(杉田かおる)が発見。そばにあった見守りカメラ搭載のAIコミュニケーションロボット「ハイリー」から、和代の頭部皮膚片が検出されたのだ! もちろん本来は、高い場所に設置していたハイリーが偶然落下した…と考えるのが普通だが、和代の傷は2カ所。そこで「ハイリーが故意に殺した」という説が出てきたのだった。
あまりにも荒唐無稽な説に呆れながらも、有希子たちは捜査を開始。長野に住んでいる和代の息子・村松彰(小池徹平)に疑いの目を向ける。というのも、彰はマサエに様子を見に行くよう頼んだ張本人で、ハイリーを販売するIT企業の経営者。リモートでハイリーを操り、アリバイを証明するためにマサエを利用した…という可能性も大いに考えられたからだ。しかし、彰は和代のために一軒家を購入し、生活費もすべて援助していた“孝行息子”。仮に彼がリモート殺人を敢行したのだとすれば、動機は一体何だったのか…。そもそも、遠隔操作でハイリーを自由自在に動かすことは可能なのか…!?
多くの謎が残る中、有希子らは史上初・ロボットの取り調べを開始。だが、起動時のパスワードすら分からず、取り調べは早々に頓挫する! そこで、有希子らはリモートで、長野にいる彰と対面。ところが、同席した秘書・飯塚万里(黒川智花)により、事件当日のアリバイはすぐ立証されてしまう。しかも、彰は至って冷静。自社の信頼を守ることを優先し、ハイリー本体のロック解除方法も教えようとせず…!?
第5話のレビュー
今回のキントリたちの試練は、なんと「ロボットの口を割らせること」。一人暮らしの主婦・和代が自宅内で倒れ亡くなった。この事件の容疑者として浮上したのが、見守りロボットのハイリーだったのだ。
ハイリーは、和代の息子である彰が経営する会社の商品。リアルタイムで自宅内の様子を確認でき、過去24時間以内の動画が自動撮影される優れもの。離れて暮らすようになってから、彰は定期的にこのハイリーを通して母親の様子を見守っていたという。
突如降ってきた訃報に、戸惑いを隠せない彰。この時点で”怪しい”と目をつけられていたのは、和代の自宅隣に住む主婦・マサエと、彰の秘書であり恋人の万里だ。マサエは彰から「何かあった時のために」と和代宅の合鍵を預かっており、ある日空き巣に入ったところを和代に見つかっていた。万里も万里で、彰との結婚を和代に反対されていた恨みがある。
ハイリーのロックを解除すべくパスワードの解明を急ぎながら、容疑者たちの取調べを進めるキントリチーム。しかし、蓋を開けてみたら真犯人は……和代の息子である彰だった。
彰は幼少期に、和代の再婚相手を手にかけていた。母親を取られた恨みから「ちょっと怪我をさせてやろう」くらいの動機だったが、現場を和代に見られてしまっていたのが誤算だったと言えるだろう。「母は自分の弱みを握っている」「弱みをダシに金を揺すろうとしている」と被害妄想を募らせ、恋人である万里をけしかけて実の母親をも手にかけたのだ。
自分で直接に手を染めようとしないあたりが、実にサイコパス味が強い。万里も万里で、感情が高ぶるとヒステリックになり周りが見えなくなってしまう。何事もなければ、サイコパス同士仲良く幸せな夫婦になれたかもしれない……と考えるのは、少し穿った見方だろうか。
いくら離れて暮らしていたとはいえ、実の母親を信じられず被害妄想を募らせてしまった息子。彼にとっての幸せはどこにあったのか、どこが分かれ目だったのかと考え出すと、途方に暮れてしまう。キントリチームと出会い、自身のやったことを詳らかにされたことが、結果的に彼のためになったと信じるしかないのかもしれない。
それにしても、万里役を演じた黒川智花……凄かった。ヒステリーでサイコパスな役をやらせたら右に出る者はいないかもしれない。ドラマ「着飾る恋には理由があって」に出演していたときも、カウンセラーに入れ込みすぎる少々困った女性の役を見事に演じ切っていた。彼女の演技は、一度見たら忘れられない。
※この記事は「緊急取調室」の各話を1つにまとめたものです。
–{第6話ストーリー&レビュー}–
第6話ストーリー&レビュー
第6話のストーリー
誘拐事件の捜査を担当する警視庁特殊犯捜査係の班長・鬼塚貞一(丸山智己)が朝一番、「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」に押しかけて来た。なんでも朝5時すぎに財務省勤務の諸星和彦(駿河太郎)から、自宅で寝ていた6歳の息子・翼(有山実俊)が誘拐された、と110番通報があったという。
事件発生時刻は昨夜10時近くなのに、なぜ夜明けまで通報を待ったのか――和彦の行動をいぶかしがる真壁有希子(天海祐希)らキントリ・メンバー。すると、鬼塚は驚きの事実を明かす。犯人はほかでもない、別居中の妻・諸星麻美(瀧内公美)だったというのだ!
しかも、いわゆる子どもの取り合いなのかと思いきや、事態はもっと切迫していた。和彦によると、麻美はキッチンから包丁を取り出して暴れた挙げ句に息子を連れ去り、その後は連絡も取れず行方不明…。そこで、鬼塚が携帯に架電したところ、麻美は思いつめた声で「息子を返すくらいなら、一緒に死にます!」と言い放ったのだ。
刑事部長・北斗偉(池田成志)は子を持つ母親でもある有希子に、鬼塚と協力し、麻美と交渉するよう命令。「絶対に二人を死なせない」――そう心に誓い、有希子は麻美との電話交渉に乗り出す。ところが、麻美は「もう警察とは話したくない」と言ったきり、有希子からの電話を無視。しかも、有希子が和彦に詳しい事情を確認したところ、もともと翼は麻美と暮らしていたことが判明し…!
そんな中、警視庁捜査一課の刑事・渡辺鉄次(速水もこみち)と監物大二郎(鈴木浩介)が連れ去り時の状況を確認するため、自宅へ向かおうとした矢先“想像をはるかに超えた光景”を目の当たりにし…!?
第6話のレビュー
駿河太郎演じる諸星から110番通報。息子・翼を誘拐されたと訴えるが、蓋を開けてみたら容疑者は翼の母親・麻美だった。諸星と麻美は離婚協議中で、夫である諸星はすでに別の交際相手と同居している。3月に無職となった麻美には育児能力がないとして、翼を引き取り育てていたというが……。何やら様子がおかしい。
実は、翼を連れ去ったのは諸星だった。麻美と翼は、決して裕福ではないけれど、身の丈に合った生活で楽しく幸せに暮らしていたのだ。
また翼を奪われたらたまらないと、麻美は翼を連れて逃げ出す。真壁含むキントリチームは、数度にわたって麻美にコンタクトを取りつつ、戻ってくるよう説得を試み始めた。
麻美は気が立っており、最初は何を語りかけても聞く耳を持ってくれなかった。
真壁は、自身も2人の子供を持つ母親であること、夫は警察官だったが殉職しておりシングルマザーであることなど、自身の現状を語り始める。そんな話をして何になる、説得にはブランクがあるんじゃないのかと責められるシーンもあるが、真壁は揺れない。
もちろん麻美を説得し、変なことを考えさせないうちに無事に保護するのは最優先だ。しかし、真壁はわかっていたのだ。まずは信頼を得ることが大事。警察官と容疑者ではなく、人と人として心を開き、話を聞いてもらう土台を作らないことには先に進まないと痛感していたのだろう。
結果、渡辺&監物の名コンビによって、麻美と翼は無事に保護される。
真壁のファインプレーはもちろんのこと、鈴木浩介演じる監物がとてつもなく格好よかった……!
これ以上、独断で動いてしまうとクビが危なくなるぞと忠告されているにも関わらず、「それで助けられるなら本望だ」と足を止めない監物。許可を得ず発砲したことの責任を取らされ、異動になってしまうのだが……まるでその結末さえも予見していたような潔い去り際に、心が動かされた。
自分のクビをかけてでも命を助ける。今回も、キントリチームの団結力を見せつけられた。解散してしまうのが、本当に惜しい。
※この記事は「緊急取調室」の各話を1つにまとめたものです。
–{第7話ストーリー&レビュー}–
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
国土交通副大臣・宮越肇(大谷亮平)の汚職疑惑を糾弾すると宣言し、ハイジャック事件を起こした大國塔子(桃井かおり)。逮捕されて以来、黙秘を続けていた彼女が、ついに裁判で重い口を開いた! その証言内容に世間は騒然…。かつて塔子を取り調べた真壁有希子(天海祐希)ら「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」のメンバーも、ニュースで報じられた塔子の言動に目を見張る――。
そんな折、警視庁捜査一課に異動し、同課の刑事・渡辺鉄次(速水もこみち)の新相棒となった山上善春(工藤阿須加)は、警視庁を訪ねてきた人気霊能力者・貴船馨(板谷由夏)と出くわす。「失踪した医師の霊から助けを求められた」という馨を訝しがり、ろくに話も聞かず追い返す山上。ところがその直後、失踪中の美容外科医・小林英ニ(黄川田雅哉)のバッグが郊外の橋の下で見つかり、捜査本部が立つことに! 捜査に加わった渡辺と山上は、先日の山上の対応に憤慨しているという馨を、双子の妹・佐久間渚(板谷・二役)に説得してもらい、なんとか捜査協力の承諾を得るのだが…。
一方、刑事部長・北斗偉(池田成志)から馨の事情聴取を要請されたキントリの面々は、半ば呆れ顔。馨が誇る透視能力などハナから信じていない有希子は、非科学的な情報に頼る捜査に反感を示しながらも、聴取に取りかかる。ところが…! 馨は懐疑的な有希子の本心を見破ったばかりか、私生活までもズバリ言い当て、有希子を徹底的に翻弄。さらに、世間に向かって「自分の足で小林さんを探す」と宣言したかと思うと、本当に小林の遺体を発見してしまい…!
馨は“本物の霊能力者”なのか、それとも“ただの嘘つき女”なのか…!? 有希子はすべての真相を明らかにするため、“大胆不敵な作戦”に出る――。
第7話のレビュー
1話からずっと気になっていた、飛行機ハイジャック事件の顛末。桃井かおり演じる大國塔子が裁判で発言したと報道が出た。「持ち込んだ爆弾は偽物だった」と……。進展を期待するキントリメンバーだったが、結局、塔子は勾留中に死亡してしまった。
今後どうなってしまうのか……? 気になるところだが、次々と舞い込む事件は止められない。今度は医師の失踪事件を追うことになったキントリメンバー。時を同じくして、自称・霊能力者の貴船馨(板谷由夏)が「力を貸したい」と姿をあらわした。
胡散臭そうな姿や雰囲気に、一度はお帰り願うものの……貴船馨の透視能力なるもので、失踪した医師につながる重要な情報が明らかになっていく。さすがに無視できないと悟った真壁は、気が進まないながらも捜査に協力してもらうべく貴船馨を聴取することに。その結果、失踪していた医師は遺体となって発見された。
貴船馨を演じる板谷由夏がすごかった。なんと双子役を一人で演じ分けたのだ。
自称超能力者である姉・貴船馨と、妹の佐久間渚。どちらも板谷由夏が演じているため「これは同一人物? どちらかが片方のフリをしているのでは?」とすぐに察しがついてしまった。けれど、それだけで終わる緊急取調室ではない。
姉・貴船馨を手にかけて以降、ずっと彼女のフリを貫き通していたのは、妹の佐久間渚だった。
渚は、常に自分が姉のおまけとして見られる状況に辟易していて、ストレスを抱えていたーーある日、それが爆発してしまい、貴船馨を殺害してしまう。首元にある大きな黒子を切除してまで、姉のフリをしようと決意。それが、手術を担当した美容外科医(渚の恋人でもある)にゆすられる格好のネタになってしまったのだ。
渚は実の姉も、一時は心を許したパートナーも手にかけてしまった。そうまでして彼女が手に入れたかったものは、見たい景色は何だったのか。
輝かしい経歴を持ち、誰からも賞賛される姉の陰で、常に比べられる妹の苦しさや虚しさ。それは確かに「私にしかわからない」だろう。渚が最も苦しかったのは、自分で自分を認めてあげられなかったせいかもしれない。
キントリチーム解散まで、あと少し。彼らが最後に手がける事件は、どんなものになるのだろうか。
※この記事は「緊急取調室」の各話を1つにまとめたものです。
–{第8話ストーリー&レビュー}–
第8話ストーリー&レビュー
第8話のストーリー
「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」解散まで15日――。真壁有希子(天海祐希)らキントリの面々が胸をざわつかせる出来事が起こった。国土交通副大臣・宮越肇(大谷亮平)の汚職疑惑糾弾を叫び、ハイジャックを敢行した大國塔子(桃井かおり)の“急死”が報じられたのだ! 自らが機内に持ち込んだ爆弾は“偽物”だったと証言し、「処理中に爆発した」という警察の公式発表を覆した直後の病死…。塔子の証言が真実であることを知る有希子らは、何か裏があると直感する。ところが…。
宮越とつながる刑事部長・北斗偉(池田成志)が、キントリが動き出す前に先手を打つべく、“最後の大仕事”を持ち込んでくる。その大仕事とは…ネット通販会社の物流センターでアルバイトをする主婦・上原あゆみ(宮澤エマ)が、倉庫内で強引に交際を迫ってきた社員・桜田剛(須田邦裕)を振り払い、誤って転落死させてしまった事件の捜査。故意に殺した可能性も否めないため、あゆみはもちろん、同日に出勤していた従業員やアルバイト全員にも事情聴取をしろ、というのだ! さらに、この事件を無事に解決すれば、キントリ存続の可能性もある…と加える北斗。だが、その真意は「塔子の死とハイジャック事件の真相を詮索しなければ…」ということにほかならず…!
そんな中、有希子と菱本進(でんでん)は、一貫して「自分が被害者を突き落としてしまった」と主張するあゆみの取り調べを開始。ところが、この事件の捜査はやがて“未曾有の大事件”を誘発してしまう! あろうことか菱本が単独捜査に走った挙げ句、逮捕されてしまったのだ!! しかも、塔子の国選弁護人だった羽屋田空見子(大塚寧々)が突然、有希子を訪ねてきて…!?
第8話のレビュー
物流センターに勤める社員・桜田を突き落とし転落死させた疑いで、同じ物流センターに勤めるアルバイト・上原あゆみが容疑者として取り調べを受けることになった。
犯行が行われたのは、防犯カメラの死角になっている倉庫内の片隅。事件を解決する糸口となるのは、あゆみの証言しかない。
最初は「桜田にむりやり交際を迫られて、咄嗟に突き飛ばしてしまった」と主張していたあゆみだが、真壁が質問を重ねるごとに供述が二転三転する。実は交際していた、不倫だったから隠さないといけないと思った……などと、明らかに嘘としか思えない発言の繰り返し。一時は途方に暮れるキントリチームたち。
あゆみに限らず、同じ物流センターに勤める他のアルバイトたちにも事情聴取をすることにした。すると、とある4人だけ妙に様子がおかしい。「桜田はとても良い上司だった」「悪いところなんてなかった」「杏奈良い人を殺してしまうなんて、上原さんがおかしい」ーーやけに桜田を持ち上げる発言しかしないアルバイト4人たちに、違和感を覚えるキントリチーム。
実は、桜田は秘密裏に非合法の薬物を売買していた。
生活に困っていそうなアルバイトを狙って声をかけ、いったん「感謝デー」と称してご馳走した後、断りにくい空気を作って薬物売買の手伝いをさせていたのだ。あゆみを始め、やけに様子がおかしかったアルバイト4人が事情も知らず加担させられていた。もう我慢できなくなった彼女たちが、力を合わせて桜田を手にかけようとしたーーこれが事件の真実だった。
あゆみが一人で罪を被ろうとしたのは、実際に桜田の背中を押したのはあゆみ自身だったから。他に家族がいるアルバイト4人を巻き込むより、自分一人が背負った方が影響が少ないと考えたゆえの行動だったのだ。
他のアルバイト4人たちも、嘘をついている状態に耐えきれず涙を流しながら真実を話した。たった一人、殺人の罪で起訴された上原あゆみ。「これで良い、私はずっと旦那に馬鹿にされ見下されてきた、私が捕まれば彼も役所の仕事を辞めざるを得ないでしょう、これでようやく綺麗に離婚できる」と満足げに話したのが印象的だった。
物流センターの事件に取り組む傍ら、獄中で病死したという大國塔子の件も追うキントリチーム。
それと関連してか、なんと菱本が単独で国土交通副大臣・宮越肇に会いに行く。そして宮越の秘書に怪我をさせ、逮捕されてしまうのだーー現役警察官が政治秘書に怪我を負わせた事件として世に広まることになるが、果たして菱本の真意とは?
最終回を前に大変なことになりつつあるキントリチーム。いろいろと回収が間に合うのだろうか……?
※この記事は「緊急取調室」の各話を1つにまとめたものです。
–{第9話ストーリー&レビュー}–
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
真壁有希子(天海祐希)ら「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」の仲間たちには何も告げず、単独で国土交通副大臣・宮越肇(大谷亮平)のもとを訪れた菱本進(でんでん)が、宮越の秘書・須田(尾上寛之)に切りつけた罪で逮捕された! その直後、公判中に急死したハイジャック犯・大國塔子(桃井かおり)の国選弁護人・羽屋田空見子(大塚寧々)が、有希子の前に出現。菱本を救うため、力になりたいと申し出る。菱本は意味もなく人を傷つける人間ではない――そう信じる有希子らキントリ・メンバーに、空見子は「適任の弁護士を紹介したい」と切り出し、すぐさま所轄に留置されている菱本と面会。逮捕以来ずっと黙秘を続けていた菱本だが、なぜか空見子が担当弁護士になってくれるなら、事件について話すと言い…!
まもなく空見子は、弁護を引き受けることを決意する。そんな中、宮越と須田の供述内容を精査したキントリ・メンバーたちは、菱本の無実を確信! 捜査協力という名目で宮越をキントリで取り調べられないか、空見子に相談する。その一方で、有希子は救世主であるはずの空見子に対して抱いた“違和感”を、拭い去ることができず…!?
キントリにとって、空見子は本当に“救世主”なのか? そして…ハイジャック事件、塔子の急死、菱本逮捕――すべてのカギを握る宮越を、有希子らは“マル裸”にできるのか!? キントリ解散まであと7日。壮絶を極める“最後の戦い”が幕を開ける――。
第9話のレビュー
大國塔子の国選弁護人である羽屋田空見子(演:大塚寧々)が、菱本(演:でんでん)の助けになりたいと訪ねてきた。
「大國は取り調べで何を語ったの? 調書に残っていない事実があるんですよね」と問いかける空見子に対し、弁護士であっても捜査内容は教えられないと答える真壁(演:天海祐希)。実はこの質問は、空見子が真壁に対し信頼できる相手かどうかを試すためのものだった。互いに信頼を強めた真壁と空見子は、菱本のために手を組むことになる。
キントリチームに無断で、宮越(演:大谷亮平)に会いに行った菱本。その場で水の入ったコップを叩き割り、破片で秘書を切りつけたとして逮捕された。現場に居合わせた者たちの証言は不思議と一致しているーーそう、一言一句、細かな部分まで。
たとえ同じものを見たとしても、人によって言葉や表現方法には違いが出るものだ。違和感を覚えたキントリチーム。口裏を合わせるよう、宮越が秘書たちに指示している可能性を考え、本人を事情聴取できないかと空見子に申し出る。
実は、空見子は宮越と繋がっていた。
菱本が逮捕された日の夜、空見子が宮越の車に乗るのを山上(演:工藤阿須加)が目撃していたのだ。宮越に言われ、体調不良を訴えた大國を病院に行かせなかったと認めた空見子。しかし、それも彼女の嘘だったーー空見子は幼い頃、宮越の父親の策略により両親を亡くしていたのだ。一連の出来事は宮越に対する復讐だ、と……。
秘書を犠牲にすることを厭わず、目的のためならなりふり構わない宮越。菱本が宮越の秘書を傷つけたと容疑をかけられていたが、それさえも宮越がやったことだった。前秘書を死に陥れ、現秘書さえも自分勝手に扱う。ここまで利己的に多くの人を巻き込む理由が「政界入りしたいから」だなんて、やりきれない。
口裏合わせを強いられていた空見子が証言したことにより、晴れて菱本は釈放された。
しかし、宮越を罪に問うことはできない。決定的な証拠がなく、このままだと国土交通省大臣として政界入りを果たしてしまう。ギリギリのところで彼のわずかな良心を引き留めたのは、前秘書の息子だった。
前秘書は、生前に使っていたスマートフォンを息子に託していた。それは重大な事件の証拠に繋がるもの。息子はそのスマートフォンを宮越に託しながら言う。「これはお父さんが僕を信頼してくれた証なんだ」「良い政治家になってね」ーー直後、宮越は大臣を辞任。これまでやってきた罪を認めた。
「中途半端な真実では、誰も救われない」
このセリフは今回、冒頭で真壁が口にしたものだ。キントリチームはいつだって”本当の真実”を求め、徹底的に動いてきた。今回も、解散が迫っているからといって中途半端に投げ出したりはしなかった。
それでこそキントリ、やっぱりキントリ! 第4シリーズまで続いた緊急取調室、今回で解散になってしまったけれど……また再結成されるのを待っている。
※この記事は「緊急取調室」の各話を1つにまとめたものです。
(文:シネマズ編集部)
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–{「緊急取調室」作品情報}–
「緊急取調室」作品情報
出演:天海祐希/田中哲司/速水もこみち/鈴木浩介/工藤阿須加/塚地武雅/池田成志/でんでん/小日向文世/中村静香/生島勇輝
脚本:井上 由美子
音楽:林ゆうき
ゼネラルプロデューサー:三輪祐見子(テレビ朝日)
プロデューサー:都築歩(テレビ朝日)、残間理央(テレビ朝日)、松野千鶴子(アズバーズ)
演出:常廣丈太(テレビ朝日)、樹下直美(アズバーズ)
制作協力:アズバーズ
制作著作:テレビ朝日