<IP~サイバー捜査班>最終回まで全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

国内ドラマ

「IP~サイバー捜査班」の画像ギャラリーへ

2021年7月1日のテレビ朝日 木曜ミステリー枠では、佐々木蔵之介を主演に迎え、京都を舞台としたミステリー「IP~サイバー捜査班」を放送する。共演に福原遥、間宮祥太朗ほか。

佐々木演じる安洛一誠(やすみや・いっせい)は、「サイバー総合事犯係」の主任で、サイバー犯罪に関する知識と捜査スキルはピカイチ、超がつくほどのデジタル人間。そんな安洛が自分の父親ではないかと考えている古宮山絆を福原遥、裏で安洛について調べる密命を担う多和田昭平を間宮祥太朗が演じる。サイバー犯罪と、その裏にある人間ドラマを絡めたミステリーで好評を得ている。

cinemas PLUSでは毎話公式ライターが感想を記しているが、本記事ではそれらの記事を集約。1記事で全話の感想を読むことができる。

ーーー

「cinemas PLUS+」コミュニティメンバー募集中!

もっとラフに好きな映画やドラマについて語りたい皆さま、お待ちしてます。
会員機能の登録はこちら↓

会員機能登録ページ

もくじ

・第1話ストーリー&レビュー

・第2話ストーリー&レビュー

・第3話ストーリー&レビュー

・第4話ストーリー&レビュー

・第5話ストーリー&レビュー

・第6話ストーリー&レビュー

・第7話ストーリー&レビュー

・第8話ストーリー&レビュー

・第9話ストーリー&レビュー

・「IP~サイバー捜査班」作品情報

第1話ストーリー&レビュー

第1話のストーリー

「IP~サイバー捜査班」の画像ギャラリーへ

京都府警サイバー総合事犯係の刑事・多和田昭平(間宮祥太朗)は、捜査二課の刑事とともにフィッシング詐欺グループのアジトである廃工場に突入しようとしていた。そのアジトはサイバー総合事犯係の主任・安洛一誠(佐々木蔵之介)が解析の結果、割り出した場所だった。

だが突入直前、安洛は些細なヒントから、その廃工場の中に“移動型アジト”が隠れていることを察知。その読みどおり、容疑者たちはコンテナトラックごと逃走を図ろうとしており、工場から猛スピードで飛び出したトラックに捜査員たちは大混乱! 現場に駆け付けていた新人刑事・古宮山絆(福原遥)の機転もあり、なんとか捕らえることができた。

詐欺グループを確保でき、ホッとしたのも束の間――絆と多和田は想定外の事態に遭遇する。なんと、廃工場内に後頭部から鮮血を流した男の遺体が残されていたのだ…!

まもなく遺体の身元は、5年前に懲戒免職となった元所轄の刑事・石本武明(岡田浩暉)と判明。警察組織への恨みから詐欺グループに加担し、仲間割れの末に殺害されたものと考えられたが、遺体を解剖に回したところ、胃の中から奇妙なものが見つかった。取り出されたのは、USBメモリー。石本は後頭部を殴打されて瀕死の状態の中、何者かに無理やりUSBメモリーを飲み込まされたようだった。

仲間割れによる衝動殺人だとしたら、そんな手の込んだことなどするだろうか…。安洛は、そのUSBメモリーを使ってウイルスを仕掛ける“ソーシャルハッキング”こそが犯人の狙いだと見抜くが、その瞬間、まさにウイルスが発動。府警本部内のありとあらゆるネット機能がすべて停止してしまうという緊急事態が発生し大混乱に!さらには第二の殺人という予想外の展開も発生し…!?

捜査が混迷を極める中、安洛と絆は、石本が懲戒免職になる前、単独で調べていた”ある事故”に着目。絆は多和田とともに、事故被害者の母・静野順子(菊池桃子)に事情を聴きにいくと、事件は予想もつかない展開に…!?

第1話レビュー

拡大スペシャルとなった初回は、フィッシング詐欺の元締めを追う中で刑事の遺体が発見され、その遺体から出てきたUSBでウイルスが発動…というかなりの大混乱な事件。

この難事件に挑むのが、京都府警の「サイバー総合事犯係」。

府警内部では「総事係=おそうじ係」と若干バカにした感もある名前で呼ばれている彼らだが、ネット分析やプロファイリングのエキスパートが集まり、捜査支援だけでなく犯人逮捕の権限も与えられたある意味画期的なチーム。その主任をつとめるのが、佐々木蔵之介演じる主人公・安洛一誠だ。

この安洛、サイバー犯罪の知識や情報が1から100まですべて頭に入っているのか?と思わせる非常に明晰な男。難しい用語や解説めいた長セリフが多くて演じるのが非常に大変だと思うのだが、さすが演技派の佐々木蔵之介。セリフ回しが非常に流暢で素晴らしかった。本作公式サイトによれば、佐々木蔵之介本人は「超がつくほどアナログ人間」とのことだが、パソコンを操作する姿にも違和感はなし。ぬかりない役作りにただただ脱帽するばかりだった。

一方この安洛と対照的に、情報分析だけで推し量れない人の心情を重んじるのが新人刑事の古宮山絆。

情報至上主義ともとれる安洛に対して「人の感情は複雑なもの」と彼女は反発する。それを当初は「0か1か割り切れないものに固執するのは無駄」と受け入れない安洛だったが、絆から「0か1か選ぶのは人」ともっともなことを言われて言い返すことができなかった。結局、絆は先輩刑事の多和田とともに自身の足で捜査をし、彼女たちが掴んだ情報をもとに安洛が事件のカギとなるものを見つけて紐解いていく。安洛と絆、それぞれが信じる仕事をしたことで事件は解決へと動き出していった。

絆を演じるのは、福原遥。あの「まいんちゃん」が刑事を演じる日が来るとは…とつくづく時の流れを感じるが、真剣に事件に取組む姿がとてもみずみずしくしかも嫌味がなくて好感がもてた。このドラマは絆の成長物語でもあると思うので、彼女がこれからどんな刑事になるのか、プロとしてどう覚醒していくのか…というところをしっかり描いてくれたらと願う。

そして、もう一人のメインキャストで、捜査一課出身の若き刑事・多和田を演じるのは間宮祥太朗。これまでにも何度か刑事を演じている彼だが、本作でもスーツ姿のきりっとした佇まいが非常に刑事らしくハマっていた。近年多数の映画やドラマに出演して脂が乗ってきている俳優の一人なだけに、本作での演技にもおおいに期待している。

他にも、温厚なおじさんだが優れたプロファイラーの係長・平塚(杉本哲太)、おばちゃんキャラだが映像解析のプロの川瀬(堀内敬子)、コミュ障な感じもあるが面倒な情報解析もこなす岡林(吉村界人)らクセ者が揃ったこの「おそうじ係」。彼らがどんな活躍を繰り広げてくれるのかが非常に楽しみだ。

デジタル人間で無駄を嫌う安洛とアナログな人の思いを大切にする人情派の絆。価値観の異なるこの二人がどう犯罪と向き合っていくかが、おそらく今後の物語の軸になっていくのだろう。さらに、彼らはもしかしたら親子かもしれない…という謎もあり、こちらもかなり気になるところだ。

※この記事は「IP~サイバー捜査班」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

–{第2話ストーリー&レビュー}–

第2話ストーリー&レビュー

第2話のストーリー

「IP~サイバー捜査班」の画像ギャラリーへ

京都府警サイバー総合事犯係に、会社社長・土屋謙信(ぼんちおさむ)が乗り込んできた。土屋は、京都で一番の人気芸妓と2ショットで撮影したニヤケ顔の自撮り写真が、なぜかSNS上に出回っていると大騒ぎ。拡散した人物を見つけて逮捕してくれと訴える。

明らかに同意の上で撮った写真であり、犯罪として成立しない可能性が高いにもかかわらず、主任・安洛一誠(佐々木蔵之介)は古宮山絆(福原遥)と多和田昭平(間宮祥太朗)に事件を調べるよう命じる。実は先日、安洛は絆から「自分の父親ではないか」という疑惑を突きつけられて動揺。できるだけ、絆を目の前から遠ざけたかったのだ…。

さっそく多和田とともに置屋を訪ね、写真の相手である芸妓“舞菊”こと奥村麻衣(川島海荷)から事情を聴いた絆。麻衣によると、問題の写真は土屋が自分のスマホで撮影したもので、その場でメッセージアプリを介して麻衣のスマホに転送されてきたが、麻衣自身はSNS上に公開するなどの行為は一切していないと話す。それを聞いた多和田は、麻衣のスマホに不正アクセスがなかったか調べたいと申し出るが、置屋の女将・宮原涼花(国生さゆり)から、座敷の中の出来事を外部に持ち出すのは花街のご法度だと突っぱねられてしまう。
 
そんな中、安洛が写真を流出させた人物を特定した。安洛がたどり着いたのは、カメラマンの寺西高広(西村匡生)。絆と多和田がさっそく寺西の自宅を訪ねたところ――なんと彼は何者かに刺殺されていた!

寺西の部屋に残されたパソコンを調べた安洛は、彼が麻衣の“ネットストーカー”だったことを突き止める。絆と多和田は改めて麻衣に話を聞こうとするが、涼花に門前払いされてしまう。2人は仕方なく、芸妓たちの身の回りを世話する“男衆(おとこし)”田沼徳夫(飯田基祐)に麻衣の居場所を聞くが…!?事件の背後にある、京都祇園の花街に渦巻く女たちの憎悪とは…そしてその先にある切なくも悲しい真実とは!?

第2話のレビュー

冒頭で「あなたが父親か確かめに来た」と安洛に突きつける絆。これに安洛は狼狽していたが、結局なんともはっきりしない言い訳を並べただけだった。

その後の安洛は、絆を遠ざけようとしたり絆の声が聞こえただけで“フリーズ”状態になったりとどうにも落ち着かない。どう見ても絆の存在に心をかき乱されていて、やはり父親なのか?そうでなくとも絆の母親と何かあったのか?と見ていてどうにも疑いたくなった。

そんな中、総事係(そうじがかり)ことサイバー総合事犯係が挑むのは、芸妓の“舞菊”こと奥村麻衣をめぐる事件。

麻衣と会社社長のツーショット写真がネットに流出。安洛がIPを特定して投稿者を見つけ出すが、その投稿者であるカメラマンの寺西が刺されて死んでいるのが発見され、殺人事件へと発展してしまう。

その後、寺西が盗撮写真をネタに恐喝を行っていたのが明らかに。ならば恐喝の被害者が口封じのために殺害したのでは…と自分たちの捜査を打ち切ろうとする安洛。しかし、彼の判断に反発したのは絆。事件の裏に隠れているに違いない人の情にまたも彼女はこだわった。

「パソコンの中に引きこもって人に触れなかったら、人の情なんて絶対にわからない」と安洛に現場に出るよう促す絆。最初はとりあわない安洛だったが、絆から彼女の母親がすでに亡くなっていると聞かされて驚く。そして、何か思い直したのか一転して捜査を再開した。

その後の捜査で、寺西のパソコンを遠隔操作して社長との写真を流出させた犯人は麻衣の幼馴染・石山翔太であると判明。麻衣と石山は恋人同士らしく、彼は麻衣に芸鼓をやめさせたくて写真を拡散させたのだった。さらに、石山は犯行当夜寺西のアパートの近くにいたことがわかり容疑者として連行されるが、取り調べに黙秘を貫く。

なぜ石山が黙秘しているのか? その理由を見つけ出そうとする安洛と絆。結果、置屋の女将・涼花に妹がいたとわかる。そして、ついに安洛が現場へ赴いて涼花と対面。25年前に起きたある傷害事件の隠された真相を明らかにする。

この傷害事件で逮捕された人物こそが寺西を刺した真犯人。それは、置屋の“男衆(おとこし)”である田沼徳夫。石山は事件当夜に寺西のアパートに向かう彼を見たことを隠そうとしていたのだった。

実は田沼は麻衣の父親。かつて麻衣の母であり涼花の妹だった芸鼓・春菜と恋におちたが、それに怒った春菜の贔屓筋が暴漢に二人を襲わせた。そして、春菜を守ろうとした田沼は相手を殴って死なせてしまった。

刑期を終えた後、涼花に頼み込んで男衆となり、素性を明かさず麻衣のそばにいた田沼。しかし、麻衣の出生の秘密を寺西に握られ、口止め料を支払いにいったところ、寺西が「次は舞菊に買い取ってもらう。金じゃないもので払ってもらうがな」と言ったのに激昂。思わず彼を刺してしまったのだった。

田沼に対して「それでよかったのか。父親らしいことを何もできないのに」と問いかけた絆。父親が誰かわからず苦しむ彼女からすると、彼の選択がどうにも疑問だったのだと思う。だが、田沼は「自分は舞菊という芸鼓に仕えてただただ見守っていることができた。それ以上望んだら罰があたる」と言いきった。傷害事件を起こしてしまい、麻衣の母を幸せにできなかった彼にとっては、名乗らず見守ることこそが精一杯の父親としての愛情だったのだろう。

田沼は潔く犯行を認める。そして、連行される直前、お座敷に出る麻衣の背中に切り火をして送り出した。この切り火は厄除け、邪気祓いのための風習で、最後まで娘を守ろうとした彼の人生をなんとも物語っているかのよう。田沼を演じた飯田基祐の秀逸な演技もあって、なんとも心にしみいる場面だった。

今回、「事件を解くには人の情が重要な要素だと判断した」という安洛。これまで現場捜査をしてこなかった彼がなぜ絆の言葉を受け入れて方針を変えたのか、その心の奥は結局わからずじまい。ただ、実際事件の裏には田沼や涼花、石山らの麻衣を思う情が隠れていて、安洛や絆がそれを理解したからこそ事件解決につなげられたといえる。どうやらこの安洛という男、人の情を心底嫌ったり軽んじたりしているのではなさそうだ。

サイバー捜査がテーマである本作。確かにこの2話でもパソコンを駆使した捜査が行われたが、それと同時に京都祇園を舞台にした抒情的なドラマも展開。デジタルな捜査の面白さだけでなくアナログな情緒も大切にしているのが感じられた。

犯罪解決のために大切なのは情報解析なのか人の心なのか、それともその両方なのか。本作の着地点がどういうところになるのかを、今しばらく見守っていきたい。

※この記事は「IP~サイバー捜査班」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

–{第3話ストーリー&レビュー}–

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー

「IP~サイバー捜査班」の画像ギャラリーへ

京都府警サイバー総合事犯係に、失踪人捜索の依頼が入る。多和田昭平(間宮祥太朗)の親友で建設会社の御曹司・松永大輔(木村了)の新妻・知里(徳永えり)がこつ然と姿を消したのだ。結婚してわずか1週間後のことだった…。本来、人探しはサイバー総合事犯係の仕事ではないにもかかわらず、主任・安洛一誠(佐々木蔵之介)はなぜか、古宮山絆(福原遥)と多和田に捜査を命じる。

松永によると、知里はコンビニエンスストアに行くといって新居を出た直後、行方知れずになったという。だが、付近の防犯カメラに知里の姿は映っていないことが判明。携帯電話は電源が入っていないらしく、つながらないままだった。

また松永の話によると、2人は珍しい植物を紹介するコミュニティーサイトを通じて知り合ったことがわかる。1年前、知里から松永にメッセージが届いたのを機に、2人はSNS上でやりとりをスタート。半年前、初めて直接対面したところ、知里は髪型やファッションなどの外見から、好きな食べ物や趣味まですべてが理想どおりの女性だったため、松永は運命を感じ、結婚を申し込んだという。

安洛は、偶然や運命ではなく、知里が作為的に松永の理想を体現したのではないかと直感。結婚する前の知里にはもうひとつ別の顔があったのではないかと考え、ネット上で捜索を開始するが…!? やがて、2人が知り合ったコミュニティーサイトに“ある人物”が登録していることが発覚し…!? SNS等を通じて簡単に“他人になりすます”ことができてしまう恐怖に、サイバー総合事犯係が挑む!

第3話のレビュー

第3話のキーワードは、ネットを利用した“なりすまし”。結婚したばかりの松永夫妻の妻が突然姿を消してしまった事件に総事係が挑む。

この夫婦はSNSで親しくなり、実際会ったら妻の知里が何から何まで夫・大介の理想どおりだったという。いや、そんなわけないだろう…と、この時点で安洛の言葉通り「疑わしいところだらけ」な感じしかしない。大介は結婚詐欺などをとにかく一度疑うべきだったのでは…と思わずにいられなかった。案の定、総事係が知里のネット投稿などを調べてみると、1年前から彼女の人格に変化が見られ、大介と結婚したのは知里になりすました別人だとわかる。

なお、一連の捜査でなかなか興味深かったのが、係長の平塚が行った文書鑑定。SNSやメールに打ち込んだ文章を解析して句読点の頻度や漢字変換のクセからプロファイリングする、パソコンが普及した21世紀ならではの捜査である。筆者はライターとして毎日パソコンで文字を打ち込んでいて、自身の句読点の付け方をなんとなく把握できているだけに、「確かにこれで書いた人間を特定するのはありだよなあ…」とおおいに納得してしまった。

その後捜査を進めると、本物の知里は1年前に事故に遭って今も昏睡状態にあると判明。知里の状況を知る者が彼女の名を利用したのでは…と安洛がにらんで、絆と多和田が退職した病院関係者をチェック。知里になりすましたのは看護師の佐野千広だとわかる。千広は、夫のDV被害から逃れるため別人に生まれ変わろうとしたのだった。

千広をさらったのはDVをしていたその夫では…と心配する絆たち。しかし、そこで安洛の頭脳が動き出す。これまで掴んだ情報を整理しながら、彼は千広の居場所と連れ去った犯人をようやく確定させた。

千広が監禁されていた場所で絆と多和田が対面した事件の犯人。それは知里の恋人の弁護士・荻野だった。

愛する女性の戸籍を使って別の男と結婚した千広が許せず、彼女に婚姻無効の手続きをとらせようとした荻野。千広が手続きを拒んだため殺そうとするが、そんな彼を意外にも安洛が説得にかかった。

「想像しろ。君のしていることは君と同じ人間を増やすにすぎない」
「効率を考えよう。彼女を殺せば殺人罪で長期間社会から隔離される。この先いつか知里さんの意識が戻ったとき君が彼女の目の前にいるためにも、今すぐこんな愚かな行為はやめるべきだ」

安洛の言葉が響いたのか、結局荻野は殺人を犯す直前で踏みとどまった。

この3話では、安洛と絆の母の過去が少しだけ紐解かれた。やはりこの二人は付き合っていたようで、ただ絆の母は突然安洛の元から姿を消してしまったらしい。つまり、安洛もまた大事な人が突然いなくなる悲しみを過去に味わっていた。だからこそ、今回彼は妻の行方を案じる大介の気持ちを理解して捜査を行い、さらに、意識が戻らない恋人を待ち続ける荻野の悲しみをも察して踏み込んだのだろう。

安洛という男の中身をようやく少し理解できた気がした。彼は決して情がわからない人間ではない。ただ、何らかのきっかけで人の心に触れるのを避けるようになってしまったのだと思う。(おそらくそこに絆の母が絡んでいるに違いないが)

安洛のキャラクターとともにドラマの作風も少しずつわかってきた。確かにネット絡みの犯罪にパソコンを駆使して立ち向かう刑事たちの物語だが、印象としてサイバー捜査はあくまでも手段。毎回犯罪の奥に潜む人の思いにも焦点があてられていて、人間ドラマとしての魅力もしっかり兼ね備えた作品だと感じている。

サイバー捜査の面白さと事件解決に奔走する刑事たちのドラマ、この両方を今後も引き続き楽しんでいきたい。

※この記事は「IP~サイバー捜査班」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

–{第4話ストーリー&レビュー}–

第4話ストーリー&レビュー

第4話のストーリー


「IP~サイバー捜査班」の画像ギャラリーへ

変わり者の主任・安洛一誠(佐々木蔵之介)が所属する京都府警サイバー総合事犯係は、ひっきりなしにかかってくる電話の対応に追われていた。事の発端は、京都を拠点に活動してきた2人組の匿名音楽ユニット“スノウライト”の“MAY”こと蘭堂明紗(島崎遥香)が前夜のライブ配信で放った発言だった――。

スノウライトは素顔や素性を隠して活動してきたが、半年前、MAYのパートナー“YUKI”こと高原雪世(芦原優愛)の本名や過去がネット上で暴露され、大炎上。YUKIはそれを苦に自ら命を絶ってしまったのだ。怒りがぬぐえないMAYは事務所社長・狭間誠(河相我聞)や弁護士・榊原真次(相島一之)と相談の上、YUKIについて特に悪質な書き込みを行った10人を特定。そして半年の沈黙を破って開いた前夜のライブ配信で、自らの素顔を公表しつつ、その10人に明後日のライブ配信までに実名で謝罪メールを送ってくるよう要求したのだ。さらにMAYは、謝罪しなければライブ配信内で彼らの個人情報を公表するとも宣言。それを機に、MAYに対してバッシングが巻き起こり、「ライブ配信をやめさせろ」などの苦情が京都府警に殺到する状況となったのだ。

安洛は、MAYへの襲撃をほのめかす書き込みが相次いでいることに注目。事件を未然に防ぐため、古宮山絆(福原遥)と多和田昭平(間宮祥太朗)は彼女の警護に当たるが、安洛はその現場にMAYを狙う男がいることに気づいて…!?

はたして、悪質な誹謗中傷を書き込んだ10人はライブ配信までに謝罪メールを送って来るのか――それともMAYは10名の個人情報をさらしてしまうのか――運命のライブ配信がスタートする中、会社役員・屋島修一郎(下元佳好)が何者かに殺害される事件が発生。安洛は、彼が問題の10人のうちのひとりであることに気づくが…!?

第4話のレビュー

今回総事係が取組むのは、ネットの誹謗中傷から生まれてしまった悲劇。

匿名音楽ユニット“スノウライト”のメンバー・YUKIこと高原雪世がネットでの炎上を苦に自殺。そのため、もう一人のメンバー・MAYこと明紗は悪質な書き込みを行った10人に謝罪を要求。謝罪メールを送ってこなかった者の個人情報をライブ配信でさらすと宣言する。

これに対する苦情が警察に殺到。総事係はその対応をおしつけられたらしく、部屋ではひたすら電話が鳴りやまない。しまいには両手で一つずつ受話器をとっていた川瀬がなんとも気の毒だった。

一方、絆と多和田は明紗たちの警護にあたるが、その中で見えたのは明紗と他の者たちの計画に対する温度差。躊躇なくすすめようとする事務所社長の狭間や顧問弁護士の榊原に対し、明紗だけは本当にこのやり方でよいのか?と迷っているふしが伺えた。

ガイドラインに抵触しないかぎり配信元の会社も止めることができない…という中、個人情報の特定だけは阻止しようとライブ配信を見守る総事係。しかし、いざ始まると、明紗は10人全員から謝罪があったと話す。

しかし、これを嘘だと見破ったのが安洛。というのも、雪世に誹謗中傷をして謝罪を拒んだ屋島という男が殺されていたのだ。さらにもう一人の謝罪を拒んだ女性も殺害されてしまう

そんな中、明紗と狭間が突然姿を消し、行方を追う総事係の面々。そして、ここで驚くべきことに、安洛が「どう思う?」と絆に相談を持ちかけた。

ここまでどちらかというと煙たがってきた絆に自分から意見を求めた安洛。しかも、雪世のことを調べたいという絆に「わかってて行動にうつさないのは 時間の無駄だ。さっさとやれ」と後押しまでしていた。これまでいろいろあったけれど、ようやく絆を部下として信頼し始めたらしい。

雪世のことを知るべく彼女の姉のもとを訪れた絆は、姉の千夏から雪世が残したICレコーダーを預かる。

レコーダーのデータを安洛に送る絆だったが、そこで明紗が突如配信ライブを開始。謝罪拒否した人間がいたこと、さらに、榊原と狭間が誹謗中傷した者たちと示談交渉をして賠償金を得ようと仕組んでいたことなどを暴露する。

配信を止めようと総事係の面々があわてる中、絆が送ったデータを耳にした安洛がついに事件の謎を解いた。

安洛や絆が駆けつけた現場にいたのは、縛られた明紗、狭間、榊の三人。さらに、榊の弁護士事務所の職員・立花亮太。彼こそが一連の殺人事件の真犯人だった。

犯人がわかった決め手は、雪世のICレコーダー。何度も“RYO”という名前を口にする雪世の声が中に入っていた。実は亮太はスノウライトになる前の雪世とネットを通じて心を通わせていた。それだけに彼女を誹謗中傷して死に追いやった人間たちが許せず殺害。雪世の死を利用しようとした狭間たちも殺そうとしたが、安洛たちがそれを阻止。ライブ配信も安洛がプラットフォームにハッキングして無事に停止させることができた。

亮太が連行され、無事に解放された明紗たち。そして、「スノウライトを続けていこう」と言ってきた狭間に、明紗は思いきり平手打ちをくらわす。「私はただ匿名の人たちがYUKIに謝罪してくれるだけでよかったのに…」と声を震わせる彼女。やはり、明紗だけは純粋に雪世のことを思っていたのだ。そんな彼女を見た安洛はICレコーダーを絆に渡し、絆は「MAYに会えてよかった」という雪世のメッセージを明紗に聞かせるのだった。

これまで考え方の違いやら親子か否かの問題やらなにかと揉めてきた安洛と絆。しかし、今回は協力して事件を解決。ようやくバディになった兆しが見られ、おかげで、今までで一番安心して楽しめた回だった。ウェブの情報を解析して真実を導き出す安洛と、犯罪の奥に潜む人の心を追求していく絆。それぞれの役目・立ち位置がはっきりしたし、何より対立している同士より認め合うバディのほうが見ていてずっと気持ちがいい。

今回は明紗を演じた“ぱるる”こと島崎遥香の存在感も非常に印象的だった。目力の強いミステリアスな美しさが正体不明の歌姫役に非常にハマっていたと思う。また、彼女が“スノウライト”として歌った「消極的闘争と積極的逃走」はかなりクオリティの高い楽曲。あれはどこかで円盤化や配信などしてくれないものかと願っている。

1~3話でエンジンをかけて、この4話でようやく捜査チームの連携が確立された感のある本作。次回は、係長の平塚にスポットがあたるようなので、今後、安洛と絆以外のメンバーたちを掘り下げていくドラマなども期待していきたい。

※この記事は「IP~サイバー捜査班」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

–{第5話ストーリー&レビュー}–

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー

「IP~サイバー捜査班」の画像ギャラリーへ

ソーシャルゲーム運営会社の社員・鶴本勝弘(谷口知輝)が、ビル屋上から転落死する事件が起きた。被害者が札束を所持していたのか、遺体のそばには1万円札が100枚近く散らばっていた…。安洛一誠(佐々木蔵之介)ら京都府警サイバー総合事犯係は、落下して壊れた鶴本のスマートフォンを復元。すると死の直前、彼は自社でリリースした人気ゲームの画面を開き、犯人と思われる相手に見せていたことがわかる。

サイバー総合事犯係の係長・平塚栄太郎(杉本哲太)は、珍しくリーダーシップを発揮して捜査開始を宣言。実は最近、浪人中の息子・拓夢(森山瑛)が件のソーシャルゲームにハマっていることを知り、親子の会話の糸口になればと考えたのだ。

さっそく捜査を開始し、鶴本の勤務先を訪ねた古宮山絆(福原遥)と多和田昭平(間宮祥太朗)。社長の吉岡三紀彦(駿河太郎)はカリスマゲームプロデューサーとして有名なやり手で、ケンカ別れした創業メンバー・秋原勇次(忍成修吾)の会社を、“提携”という名のもとに吸収合併しようとしていることが判明する。

そんな中、殺された鶴本が“シャイロック”という名のプレーヤーを探っていた事実が浮上。シャイロックは、レアな武器や防具を備えたアカウントをインターネット上で高額で売りつけている悪質なゲーマーだった。ところが――なんとその正体が拓夢であることが発覚! 事件直前、拓夢が鶴本と会い、札束を渡していたことも明らかとなり、拓夢は殺人容疑者として捜査一課の取り調べを受けることに…。

息子の知られざる一面を知り、がく然としながらも拓夢を信じる平塚。そんな父としての思いを感じ取った安洛らサイバー総合事犯係は、それぞれ真相究明のために動きだして…!?

第5話のレビュー

お総事係で唯一安洛と絆の親子疑惑を知る係長・平塚。彼は一人息子・拓夢と暮らすシングル・ファーザーで、安洛も父親かも?ということで勝手に親しみを覚えたらしい。安洛を“パパ友”と呼んで息子の愚痴を打ち明ける。

そんな中、ソーシャルゲームの運営会社「クラファルト」の社員・鶴本が転落死。捜査のために絆と多和田が会社を訪れると、社長の吉本と喧嘩別れした秋原や殺された鶴本に不満を抱いていた者たちなど、会社の創立メンバーに不穏な空気がたちこめていた。

息子のハマっているゲームが関連する事件と知って張り切る平塚。しかし、調べていくと同ゲーム内でアカウント売買をする悪質なユーザー“シャイロック”が拓夢では?という疑いが発覚。しかも、拓夢は殺される寸前の鶴本と会っていたのがわかって捜査一課に連行されてしまう。

息子が容疑者となって捜査からはずされてしまう平塚。一緒に暮らしているのに息子のことを何も知らなかった自分は父親失格…とうなだれるが、そんな彼に“パパ友”安洛が助けを差し伸べた。

そもそも、パパ友は平塚が一方的に言い出したことで、当初はだいぶ迷惑そうにしていた安洛。しかし、わざわざアカウントを作ってゲームを調べたり平塚と拓夢にゲームを通してやりとりさせたりと、平塚親子のために奔走。結局、平塚との新たな友情関係がまんざらでもないのかな…というのが見てとれた。

拓夢と連絡をとり、彼が鶴本に協力して偽のシャイロックとして囮捜査をしていたと知る総事係。「シャイロックは近くにいる」という拓夢のメッセージから、不正売買の犯人はゲームに不正アクセスが容易にできる者=ゲームに初期から関わる会社の創立メンバーの誰かだと安洛は推理。そして、岡林がネットで見つけた彼らのリモート座談会の記事を平塚が文書鑑定し、ついに犯人が定まる。

シャイロックの正体であり鶴本を殺した犯人は、秋原の会社・ケーエルゲーの経理担当・高堀だった。

不正経理を行っていた高堀。クラファルトとケーエルゲーの合併でそれがバレるのを恐れ、使いこんだお金を補填しようと不正売買を行っていた。鶴本に気づかれたために殺害したのだった。

今回、容疑者となるクラファルトのメンバーたちが、誰が犯人でもおかしくないな…と思わせる充実のゲスト陣。パワフルな経営者の吉岡を演じた駿河太郎、プライドと対抗心を燃やす秋原役の忍成修吾らは非常にハマっていた。また、高堀を演じたなだぎ武も見事に演じきった。セリフが決して多くない中で、表情の奥に犯罪者の影を宿していた。

ただ、そうした中でも一番心に残ったのは、平塚役の杉本哲太の演技。これまでの人の良い係長というだけでない、仕事と息子への愛情の狭間で苦悩する父親の微細な心情がその姿からよく伝わってきた。かつてはトレンディドラマに出たり「笑っていいとも!」のレギュラーとして活躍したりもしていた杉本哲太。年齢を重ねて円熟味を増した渋い俳優へ進化しているのがよくわかった。

この5話において、なんだかんだで“パパ友”を受け入れていた安洛。やはり絆の父親なのだろうか?という疑いが少し強くなった。そして、密かに彼を探っている多和田も何か気づいた様子。ラストで「安洛主任の弱みを見つけました」と語った多和田。この言葉は何を意味するのか? 次回も見逃せない。

※この記事は「IP~サイバー捜査班」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

–{第6話ストーリー&レビュー}–

第6話ストーリー&レビュー

第6話のストーリー

「IP~サイバー捜査班」の画像ギャラリーへ

有名漫画家・峯靖久(和田聰宏)の妻・里美(中村彩実)が自宅マンションで首をつって死んでいるのが見つかった。現場は“IoT”が導入された超高級マンションだったため、安洛一誠(佐々木蔵之介)ら京都府警サイバー総合事犯係に出場要請が入り、古宮山絆(福原遥)と多和田昭平(間宮祥太朗)が臨場したのだが、おかしなことに里美のスマートフォンがどこにも見当たらない。

実は、そのマンションはエントランスやエレベーターから玄関まで居住者のスマホがカギ替わりとなるシステムが採用されており、自殺するにしてもスマホがなければ部屋に入ることすらできないのだ。何者かが自殺に見せかけて里美を殺害し、スマホを持ち去ったのだろうか…。

しかし、安洛が調べたところ、正午に里美が帰宅して以降、夫が帰宅し遺体を発見する夜10時まで玄関の開錠記録はなく、ベランダ側からの侵入者もありえないことが判明。防犯カメラにも誰ひとり映っておらず、現場が密室であることを図らずもマンションのIoTシステムが証明していた。まさに “デジタル密室”…犯行は不可能に思われた。

そのころ、安洛はマンションの“裏ママ友会”のSNSの存在を探り当てる。里美のママ友・神山美樹(島田珠代)らは、同じフロアに暮らすシングルマザー・三好祐美子(酒井若菜)が犯人に違いないと書き込んでいたが…はたしてママ友たちの間に何があったのか…!? はたして、サイバー総合事犯係は”消えたスマホ”の謎を解き、“デジタル密室殺人”の真相にたどり着くことができるのか!?

第6話のレビュー

“IoT”が導入され、居住者のスマホなしでは入れないデジタルなマンション。ここで起こった密室殺人事件に挑むお総事係。

絆と多和田が調査してわかったのは、被害者の里美と同じフロアに住むママ友たちの対立。女性たちのドロドロしたバトルありきの殺人なのか?と、ちょっと不吉な予感がしてくる。

安洛が発見したママ友たちのSNSで「犯人はあの人」といわれていたのは、三好祐美子。彼女は里美を殺したいほど憎んでいたのを認める。なぜなら、2年近くも里美を中心としたママ友たちからいじめにあっていたから。里美と祐美子の息子たちが中学受験した際、祐美子の息子・櫂人だけが有名校に合格。しかも、櫂人がその中学ではなく地元の公立を選んだことで恨みが残ったらしい。

祐美子が殺した線も考えるお総事係。しかし、立証するものは何もない。そんな中で安洛が突破口を開いた。

この2年間、ママ友たちのSNSで教育関連の書き込みが急激に増加。さらに、マンションで教育上の揉めごとが多発。これらが偶然じゃないとしたら…と頭をめぐらす安洛。すると、多和田が「俺のスマホも、おすすめ記事が教育関連のものばかりになっている」と口にする。多和田は少し前にマンション内にある共用の充電器でスマホを充電したばかりだった。

ここでぴんと来た安洛。居住者たちのスマホを調べると、案の定大半がウイルスに感染していた。公共の場にある充電器などにマルウェアを仕込む“ジュースジャッキング攻撃”が仕掛けられていたのだ。居住者の元に教育関連のニュースを頻繁に届けて、教育の揉めごとが起きやすいよう仕向けられていた様子。ジュースジャッキングという言葉を筆者はここで初めて知ったが、かなり悪質なサイバー攻撃の一種。街中のお店にある充電スタンドを使ったら感染…なんてことも実際にありえるわけでなんとも怖い。

ジュースジャッキングの犯人が事件のカギを握ると考える安洛。そして、さらなる捜査で里美が事件当日に実家を訪れて「離婚するかも」と母親に告げていたのが判明。ここから安洛は答えを導き出した。

里美を殺したのは、里美の夫で漫画家の峯靖久だった。

靖久は担当編集の女性との不倫現場を見られために妻を殺害。ママ友たちのしがらみで起きた事件かと思っていたので、見ていたこちらとしてはかなり予想外の真犯人。とはいえ、浮気がバレての殺人。さらにバレないように死体を移動させるなど身勝手かつ悪質な犯罪。同情の余地はないと感じた。

そして、ジュースジャッキングの犯人も意外な人物。祐美子の息子・櫂人だった。

動機は母親を守るため。ママ友たちがいじめどころではなくなるよう、ジュースジャッキングで教育問題へ関心を向けさせた。さらに靖久のデバイスで盗み見した不倫相手とのやりとりを里美のスマホへ送ったのだった。

不倫による夫婦関係のもつれ、ママ友間のいじめ、母と息子の苦悩…など、思っていた以上に多くの人間たちの複雑な感情が交錯したこの第6話。ただ、最後、祐美子と櫂人のわかりあう姿が救いだった。親子の橋渡しをしたのはほかでもない安洛。彼は櫂人が出版社へ持ち込んだ漫画の原稿を絆の元へ届ける。「お母さんに見せてあげたら」と絆が櫂人に返した原稿には祐美子の姿が描かれていた。「ずっと謝らないと…って思っていた。俺のせいで仲間はずれにされて…」と泣き出す櫂人。言い表せない母への思いを彼は漫画にしていたのだった。

今回、吉本新喜劇で活躍する女優、島田珠代と末成映薫の二人がゲストで登場。ともに舞台でおなじみのはじけっぷりはさすがに封印していたが、熱演の奥にもどこかコミカルさを漂わせていた彼女たち。シリアスなミステリーを緩和する程よいスパイスになっていたように思う。特に島田珠代は、いじめに荷担するママ友を表情豊かに好演。ふてぶてしさとおかしさが絶妙に入り混じる演技に思わず引き込まれてしまった。

この6話で、結局安洛は優しい男なのだ…とわかった。櫂人の原稿を手に入れるため、自転車で出版社に赴いていた彼。事件の効率的な解決だけを優先するなら、わざわざそんなことまで決してやらないだろう。絆と出会って頑な心がほぐれたのかもしれないが、徐々に人間らしい一面が出てきた安洛。今後もさまざまな顔を見せてくれたら…と期待している。

※この記事は「IP~サイバー捜査班」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

–{第7話ストーリー&レビュー}–

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー

「IP~サイバー捜査班」の画像ギャラリーへ

 

第7話のレビュー

「現場に何もない!」という前代未聞のミステリーが開幕。

被害者・影森の部屋にはパソコンもスマホも何もない。しかも生前、削除代行業者にネット上にある自分の情報を消してくれと依頼していた。“デジタル終活”をしていたのでは…と推測する安洛。

“デジタル終活”という言葉、筆者はここで初めてきちんと耳にした。遺族に見られたくないパソコンやスマホのデータを生前のうちに消去しておこうということで、近年広がっている考え方らしい。確かにデジタル機器が普及したこの21世紀。データも遺品と考えるのはわかるし、死ぬ前に整理したほうがよい情報も当然あるだろう。

ただ、今回はこの“デジタル終活”が事件のハードルに。パソコンで解析できる情報がない以上、お総事係は手も足も出ない。しかし、安洛はさすがだった。影森のスマホの機器やアカウントを特定し、GPSデータを入手。被害者の1年分の膨大な行動履歴を元に捜査することになる。

捜査に乗り出す絆たち。すると、次々いろいろなことがわかってきた。亡くなった影森は不良で詐欺罪での逮捕歴あり。両親はすでに亡くなり、妹にも見放されていた。そして、ここのところあちこちで借金を重ねていた。

そして、影森の行動履歴を調べていた安洛はあることに気づく。怠惰な生活をしていた影森が3ヶ月前に就職。その後は家と職場を往復する日々になっていたのだ。さらに、ちょうどその3ヶ月前の5月6日、彼が大阪で働く妹・瞳と会おうとしていた形跡があった。

絆と多和田が瞳をたずねると、彼女は「4年前に逮捕されてから、一度も兄とは会っていない」と面会を否定。ただ、瞳の友人たちにも話を聞いたところ、彼女は3ヶ月前に結婚が決まったという。素行の悪い兄が結婚の邪魔になるために殺したのでは…という線も考えるお総事係。

そんな中で突破口を開いたのは、川瀬が見つけてきた影森のパソコン。データを復元すると、詐欺事件の仲間だった酒井の名前や8年前の何らかの出来事を検索していたのが判明。さらに、解剖医の夏海によって影森が肺がんだったという情報がもたらされる。そして、影森が借金をしてまで削除しようとしたものの正体も明らかに。ようやく安洛の中で答えがつながった。

事件の犯人は、瞳の友人・山崎麗奈だった。

8年前、ある高校で盗撮アプリが出回り、女性たちを盗撮した動画がネットに投稿。瞳もその被害者だった。投稿者は酒井。そして、当時、瞳のスマホにアプリを入れたのが、酒井と交際していた麗奈だった。

病気のことを瞳に伝えようとした影森は、瞳の結婚を知って邪魔にならないよう自身の存在を消そうと決意。しかし、その過程で瞳の盗撮動画を発見。消そうと躍起になり、酒井や麗奈にも働きかけた。影森の自宅アパートを訪れた麗奈は、「警察に行こう」と懇願する影森を思わず突き飛ばして命を奪ってしまったのだった。

兄の真意を知って戸惑いを隠せない瞳。そんな彼女に安洛はとあるニュース記事を見せる。そこには川辺ではしゃぐ幼少時代の影森と瞳が映っていた。生前の影森は、兄妹で遊んだ川辺に来てこの写真を見ていたのだと伝える安洛。瞳は「ありがとう、おにいちゃん」とつぶやき、婚約者に兄のことを話すと心を決めていくのだった。

今回、係長・平塚は有休をとって不在。その代わりかどうかはわからないが、川瀬と岡林が奮闘した。京都中のリサイクルショップに照会をかけて影森のパソコンを手に入れる荒業をやってのけた川瀬。そして、岡林はデータ消去済みだったそのパソコンを見事復元。安洛や川瀬に比べてあまり前に出ないけれど、実は彼もパソコンスキルは相当に高いよう。初回からキャラはしっかり立っていたこの二人。ここに来て活躍を見せてくれたのは嬉しかった。

また、ひとつ「あれ?」と思ったのが、夏海がお総事係をたずねてくる場面。絆にお土産のお菓子を渡した彼女に既視感を覚えた。そう、解剖を担当した医師が差し入れを持ってやってくる…といえば、今秋劇場作が公開されるあのドラマ。やはり京都府警を舞台にしたもうひとつの木曜ミステリーである。そういえば、あのドラマの主人公も安洛同様よく自転車に乗っている。京都は警察の捜査員たちが自転車でめぐりたくなる土地なのか。そして、医者が買いたくなる魅力的なお菓子にあふれた街なのだろうか。彼らはもしかしたらどこかですれ違っているかも…とついつい思いを馳せてしまった。

ドラマは次回ついに“最終章”に突入。いつの間にか憎まれ口をたたく間柄になっている安洛と絆だが、これから先、例の親子か否か問題にも決着がつくかもしれない。そうなったとき、ここまで築いてきた関係がどうなるかが心配なところ。二人の明るい未来を心から願っている。

–{第8話ストーリー&レビュー}–

第8話ストーリー&レビュー

第8話のストーリー

→「IP~サイバー捜査班」の画像ギャラリーへ

安洛一誠(佐々木蔵之介)ら京都府警・サイバー総合事犯係のもとに、警察庁から警視正・桐子香澄(内山理名)が赴任してきた。香澄はその美貌から、メディアでもよく取り上げられる有名な人物だった。
彼女が出向してきた背景には、ここ数カ月、世間を騒然とさせている“ディープフェイク動画大量流出事件”があった。最近、政治家や著名人のスキャンダルを巧妙にねつ造した動画が拡散される事案が急増。
香澄はディープフェイク動画の製作アプリを販売する闇サイトを発見、その闇サイトを運営する犯罪インフラが京都市内の複数のフリーWi-Fiスポットを利用していることを突き止めたという。サイバー総合事犯係と連携して犯罪インフラを摘発したいと話す香澄に、安洛も快く協力を約束する。

そんな中、香澄と今をときめくメディアアーティスト・西堂牧彦(大東駿介)の密会フェイク動画が拡散。さらに、ディープフェイク動画被害にあった大学生が、拡散した相手を刺す殺人事件も発生する。ディープフェイクが殺人に連鎖する恐ろしさを痛感した安洛は、フリーWi-Fiスポットの防犯カメラを徹底分析し、怪しい男を見つけ出すことに成功。なんとそれが現職の警察官・永尾享二(波岡一喜)だとわかるが…!?

そのころ、警察庁官房審議官・楡井文則(升毅)は、多和田昭平(間宮祥太朗)からの最終報告を受け、安洛の警察庁への引き抜き工作を進めていた。古宮山絆(福原遥)は安洛の異動話を知り、激しく動揺して…!?

主軸である安洛が抜ければ、サイバー総合事犯係の弱体化はまぬがれない。もしやこれがサイバー総合事犯係、最後の事件になってしまうのか――!?

ついに物語は《最終章》に突入! ディープフェイク動画大量流出事件に潜む巨大な悪意とは…!? そして安洛はどんな選択をするのか…!?

第8話のレビュー

今回お総事係が挑むのは、高度な技術で動画を加工する「ディープフェイク」動画の流出事件。警察庁で犯罪を助長する「犯罪インフラ」の撲滅に取り組んでいるという桐子香澄が安洛たちに協力を求める。

「美人すぎる警察庁のキャリア」と称される香澄。美しいだけでなく実力も確かなものらしく、難しげな用語を連呼する安洛の解説にまったくひるまない。それどころか、堂々と真っ向からやりあい「さすがです」と安洛を唸らせてしまう。演じる内山理名のキリッとした表情と立ち姿が役柄によくハマっていた。

ただ、香澄が安洛の警察庁異動の話を口にしてしまったため、お総事係の面々は少なからず驚く(係長の平塚すら寝耳に水だったのが、なんとも気の毒だった…)。中でも絆はショックを隠せない。

香澄によれば、ディープフェイク動画製作アプリを販売する闇サイトがあり、サイトを運営する犯罪インフラが京都市内のフリーWi-Fiスポットを利用しているという。安洛がフリーWifiスポットの防犯カメラを分析したところ、共通して映る一人の男がいた。現職の警察官・永尾だ。

永尾が犯罪インフラに絡んでいるとにらむ安洛たち。彼の行動パターンを解析した結果、フリーWifiスポットに出現する可能性の高い日時が判明。京都府警の刑事たちが各スポットに張りこむ大掛かりな捜査が行われることになる。

そんな中、安洛の引き抜き工作を進めようとする警察庁官房審議官・楡井と多和田。実は多和田は楡井の息子。父の命令で安洛を観察していたのだった。しかし、安洛が異動したらお総事係は解体…という話を聞かされて多和田はショックを受ける。そもそも楡井はお総事係を安洛引き抜きの道具としか考えていなかった。

張り込み捜査の当日、市内のフリーWifiスポットに絆や捜査一課の刑事たちが待機する。しかし、闇サイトでフリーWifiスポットを介したアクセスがあったにもかかわらず、永尾らしき人物は見当たらない。そこで安洛が気づいた。

防犯カメラに映っていた永尾の姿は、犯人がカメラをハッキングして作ったもの。つまりディープフェイクだったのだ。そして、フリーWifiスポット利用のために犯人が用いた手段は宅配便。起動したままのパソコンを発送し、配達員がWifiスポットに到着するたびに遠隔操作で闇サイトへアクセスさせていたのだった。

当該のパソコンと配達員を発見した絆たち。安洛の指示でそのまま配達を続けてもらい、永尾の居場所をつきとめる。しかし、刑事たちが中に踏み込むと、そこにいたのは毒を飲んで悶える永尾。彼は程なくして息を引き取るが、自分が死ぬまでの一連の流れを撮影していた。その動画がネットに流れてしまう。

永尾の動画を見て、「ディープフェイクより恐ろしい新たな毒が社会にばらまかれたんだ」とつぶやく安洛。彼の目に見えている毒とは果たして何なのか――?

解決は次回に持ち越しになったが、最終章にふさわしい見ごたえのある事件。防犯カメラの映像がディープフェイクとわかったところで、「ああ、そういうことか!」と思わず声を上げてしまった。防犯のための映像すら偽装できてしまう現代。怖い時代になりつつあるのをひしひしと感じさせるストーリーだった。

そして、事件とあわせて気になるのが安洛の異動問題。サイバー犯罪と長年戦ってきた彼は、警察庁で香澄が掲げている犯罪インフラ撲滅の目標に少なからず心を動かされている様子。自身の志のためなら「どこにでも行く覚悟はある」と絆の前で語った。

確かに警察庁に行けば、安洛のサイバー捜査の手腕が活かされてより多くの事件を解決できるのかもしれない。しかし、彼がいなくなればお総事係はなくなってしまう。毎週ドラマを見て応援してきた者からすると、この個性的なチームが解体してしまうのはどうにも寂しい。

犯罪解決に必要なのは情報解析なのか人の情なのか…?と問いかけをしてきた感じもある本作。今回、筆者は安洛と多和田に「人の情を忘れないで…!」と語りかけたくてたまらなかった。多和田が父親に反旗を翻すのは大変かもしれないし、安洛に譲れない志があるのもわかる。それでも、できたら絆や平塚ら同僚たちへの情を捨てずに進む道を決めてほしい…そう思わずにいられなかった。

次回はついに最終回。問題が山積みの中、どのように物語が決着するのかをしっかり見届けたいと思う。

※この記事は「IP~サイバー捜査班」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

–{第9話ストーリー&レビュー}–

第9話ストーリー&レビュー

第9話のストーリー

「IP~サイバー捜査班」の画像ギャラリーへ

ついに最終回!京都府警・サイバー総合事犯係主任・安洛一誠(佐々木蔵之介)は、“ディープフェイク動画大量流出事件”の首謀者・永尾享二(波岡一喜)の最期をとらえた動画が拡散されている状況に、りつ然とする…。永尾が“殉教者”となったこの動画によって、人々の内なる悪意が刺激され、ディープフェイクがさらに氾濫することを危惧したのだ。警察庁から出向してきたキャリア・桐子香澄(内山理名)も、事の重大さに絶句。メディアアーティスト・西堂牧彦(大東駿介)もまた、「ディープフェイクは新たなプロメテウスの火だ」と警鐘を鳴らす。

そんな中、永尾のパソコンを調べた安洛は、あらかじめ彼の死が何者かによって計画されていたことに気づき、永尾の最期の動画もディープフェイク映像だったことを突き止める。おそらく真犯人は、警察が踏み込むことを察知した上で永尾を巧みに誘導して毒を飲ませたに違いない。永尾を操り、彼を殉教者に仕立て上げたのは誰なのか!? やがて、その疑惑の目は、“氷の美女”桐子警視正に向けられ…!?

ところがその後、安洛に宣戦布告した“ある人物”が、古宮山絆(福原遥)を狙う事態が発生! 絆の窮地を知った安洛は、ある“決意”を固めるが――!? 一方、多和田昭平(間宮祥太朗)は、安洛の警察庁への引き抜きを画策する父・楡井文則(升毅)の真の目的を知り、行動を起こして…!?

サイバー総合事犯係が総力を結集して最後に挑む難事件、その恐るべき真相とは!? そして“親子かもしれない2人”安洛と絆は、どんな結末を迎えるのか…!?

第9話のレビュー

最終回。サイバー総合事犯係=お総事係の活躍で、多くの謎が解けて、そして解決していった。

ディープフェイク動画事件の容疑者・永尾の死で終わった前回。しかし、彼は事件の首謀者ではなかった。永尾のメッセージ動画の前半部分がディープフェイクであることを突きとめた安洛。何者かが永尾を“殉教者”に仕立てあげようと彼が毒を飲むようにして殺害したと推理する。

そして、永尾の動画をよく調べたところ、意外な人物が映りこんでいた。桐子香澄である。実は香澄こそが永尾殺害の協力者。真犯人は、ディープフェイク動画に詳しいメディアアーティスト・西堂牧彦だった。

警察庁の機密情報を西堂に渡していた香澄。分析してもらうためだったらしいが、西堂は情報漏洩をばらす動画を作って彼女を脅迫。一斉捜査の日、香澄に永尾の元へ毒を運ばせたのだった。

実は、筆者は香澄が事件に絡んでいるとなんとなく感づいていた。先週の一斉捜査が始まった際、突然彼女がスマホを操作し始めたのが妙に気になったのである。案の定、あのとき西堂から指示を受けとっていたのが今週明らかになった。

サイバー捜査に長けた才色兼備の女性に見えた香澄。しかし、外部の人間に機密情報を渡すのは、相手がエキスパートだといってもあまりに軽率。申し訳ないが、筆者はいささかあきれてしまった。そして、自分が過ちを犯しておきながら「西堂を絶対につかまえてください」と安洛に頼む香澄。これもどうかと思ってしまったので、「当り前のことを言うのは時間の無駄だ」とお得意のセリフで返した安洛にちょっとスッとした。

香澄を脅迫するだけでなく、彼女のパソコンをハッキングしてもいた西堂。警察やお総事係の詳細な情報を手に入れていた彼は、ディープフェイク動画製作アプリをネット上に無料公開。安洛に挑戦状をたたきつける。

事態が悪化する中、楡井に西堂の指名手配を頼む多和田。しかし、「公安に任せておけ」と楡井はそっけない。ここでついに多和田は父親に反発。「西堂はサイバー総合事犯係が絶対につかまえてみせます!」と宣言した。よくぞ言ってくれたとこれまたすっきりした。やっぱり彼はお総事係の刑事だ。

しかし、ここで最大のピンチ到来。絆が西堂に捕らえられてしまう。お総事係の情報を握る西堂は、絆が安洛の弱点だとわかって狙ったらしい。絆の危機を察した安洛たちは街へ出て必死に彼女を探す。

街中で撮影された動画に映っていた絆。彼女が唇を動かして呼びかけたヒントのおかげで、安洛は居場所を突きとめる。救出に向かうと、絆は爆弾が仕掛けられた小屋で縛られていた。彼女を助けようと必死になる安洛は、思わず「父さんが絶対に助ける!」と叫ぶ。結局、爆発寸前で二人は無事脱出。しかし、爆弾はフェイク。西堂の狙いは時間稼ぎだった。

海外のモイナン諸島に向かおうと空港で飛行機を待つ西堂。しかし、そこに「モイナン諸島で軍事クーデター」というニュース映像が飛び込んでくる。急きょ行き先を変えようとする彼だったが、そこにお総事係の6人が立ちふさがった。西堂が見たニュースは例のディープフェイク動画アプリで作った偽物。ディープフェイク犯罪者をディープフェイクで足止めする、お総事係が仕掛けた見事な逆襲だった。

マイペースな人間が多いせいか、まとまって行動することがここまでほぼなかったお総事係。しかし、今回は全員で犯人逮捕に挑んだ。悪質な犯罪者に立ち向かう6人の刑事は最高にかっこよく、思わず拍手を贈りたくなった。

結局、安洛は警察庁への異動を断る。多和田もお総事係に残ろうと決意。彼らはやはりちゃんとわかっていて、情のある仲間たちを選んだ。いつもの日常が戻ってきたお総事係。絆が「父さん」の話を明かして面々が笑顔になる中、当の安洛はフリーズしてしまうのだった。

この最終回で、「0でも1でもない割り切れないものに目を向けることも必要だと感じるようになりました。なぜなら、それが人間というものだから」と語った安洛。無駄を嫌うデジタル人間だった彼がようやく見つけた答え。これを彼に教えたのはサイバー総合事犯係の上司や同僚、そして「娘」だった。

情報解析だけでなく人の情や思いが大切であることを受け入れて、一回りも二回りも大きくなった安洛。きっとこれからも絆や仲間たちとともにサイバー犯罪と戦い続けるのだろう。彼らの活躍をいつかまたどこかで見ることができたら…と願っている。

(文:シネマズ編集部)

※この記事は「IP~サイバー捜査班」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る

ーーー

「cinemas PLUS+」コミュニティメンバー募集中!

もっとラフに好きな映画やドラマについて語りたい皆さま、お待ちしてます。
会員機能の登録はこちら↓

会員機能登録ページ

–{「作品名」作品情報}–

「IP~サイバー捜査班」作品情報

出演:佐々木蔵之介/藤木直人/鈴木伸之/福原遥/間宮祥太朗/堀内敬子/吉村界人/中川和香/高畑淳子/杉本哲太

脚本:戸田山雅司ほか
ゼネラルプロデューサー:横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー:川島誠史(テレビ朝日)、和佐野健一(東映)、髙木敬太(東映)
音楽:木村秀彬
監督:兼﨑涼介、神徳幸治ほか
制作:テレビ朝日 東映

→目次へ戻る