2021年7月4日から放送されるTBS日曜劇場「TOKYO MER~走る緊急救命室~」。鈴木亮平が主演を務め、中条あやみ、賀来賢人、菜々緒、小手伸也、佐野勇斗、石田ゆり子、要潤と豪華キャストが集結している。
「TOKYO MER」=「Mobile Emergency Room」で、文字通り動く救命救急室が描かれる。
本記事では、第2話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「TOKYO MER~走る緊急救命室~」第2話レビュー
東京都知事・赤塚(石田ゆり子)の命で新設された、動く救命救急室「TOKYO MER」。しかし、チーフドクターの喜多見(鈴木亮平)はレスキュー隊や危機管理対策室の指示も無視して救命を最優先する。そのため、新設されたばかりにもかかわらず周囲から非難が集まっていた。
そんな逆風にも負けず、喜多見や看護師の蔵前(菜々緒)、ホアン(フォンチー)、臨床工学技師の徳丸(佐野勇斗)、麻酔科医・冬木(小手伸也)は一致団結。いつ出動命令が下るかわからない状況でも、彼らは明るく努めようとしている。
その中でも、浮かない顔をしているメンバーが二人……。一人は厚労省から派遣された、いわばスパイの音羽(賀来賢人)。そしてもう一人が循環器外科の研修医でありながら、TOKYO MERを兼務することになった比奈(中条あやみ)だ。
第2話はそんな比奈の大きな成長が見える回となった。工事現場での鉄骨落下事故が発生し、現場に到着したTOKYO MER。そこでも喜多見や蔵前たちは危険をおかして患者を助けようとするが、比奈は足がすくんで動けなかった。運が悪ければ、自分も命を落としかねない状況で患者の命を優先するのは相当な勇気がいる。
現場経験の少ない比奈が戸惑ってしまうのも無理はない。ただ、その自信のなさが命取りになってしまうこともある。喜多見の迅速な対応で事なきを得るが、比奈の判断ミスで患者が命の危険に陥ってしまうのだった。
落ち込む比奈に対する先輩たちの接し方に違いがあって興味深い。比奈の指導医である高輪(仲里依紗)はそっと部下の気持ちに寄り添い、裏では放任主義の喜多見に正面から抗議する頼れる先輩だ。一方で、励ますことも叱ることもしない喜多見。いくら腕が良くてもその指導方法は如何なものか…と最初はモヤモヤさせられたが、それは履歴書の応募動機に「人の命を救いたいからです」と書いた比奈のことを信じているからこその行動だということが後から分かった。
さらには、TOKYO MERを潰すために派遣されたはずの音羽が、夏祭りでの爆発事故で重要な役割を任された比奈にかけた「言い訳するな!」という力強い言葉、そして勇気を出して一人オペに臨む比奈をサポートする蔵前たちの姿にもグッとくる。
医療ドラマでなおかつ「救命」という点で本作と共通するドラマ「ナイト・ドクター」(フジテレビ系)。そこでも不本意ながらメンバーに選出された研修医あがりの深澤(岸優太)が比奈と同じように他人まかせな行動で患者を危険に晒してしまうという展開が描かれた。
ドラマに登場する新人の責任感にかけた態度は時に視聴者をイライラさせることもあるが、SNSに医療従事者から共感の声が多数投稿されていたように、誰だって他人の命を扱うのは怖い。それでも医師や看護師はそんな恐怖と常に対峙しながら仕事に望んでいるのだと、第2話で描かれた比奈の葛藤から気づかされた。
また、そんな新人の見せる素直な感情がベテランの医師や看護師たちを初心に戻すのだろう。そこまで見込んだチーム編成だとしたら、喜多見の慧眼恐るべし。今後は、そんな喜多見の“空白の1年間”に何があったのかがTOKYO MERの存続にかかってきそうだ。
「TOKYO MER~走る緊急救命室~」第2話ストーリー
工事現場での鉄骨落下事故に出動したTOKYO MER。自身を危険にさらして現場でオペするチーフの喜多見幸太(鈴木亮平)に、研修医の弦巻比奈(中条あやみ)は反発するが、比奈の起こしたミスにより患者は命の危険に陥ってしまう。
大きく自信を失った比奈に、夏祭りでの爆発事故の出動命令が下る。多数の重症患者を前に「医師の命を守る責任の重さ」に立ちすくんでしまう比奈。喜多見からたった一人での重大オペを任された比奈は、「命という試練」を乗り越えられるのか?
(文:苫とり子)
–{「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」作品情報}–
【作品情報】
コロナ禍という未曾有の恐怖の中、危険を顧みず命を救うために闘う医療従事者たちの“勇気”に人々は心を打たれ、胸を熱くした。
重大事故、災害、事件の現場に駆けつけ、命を救うために危険な現場に勇猛果敢に飛び込んでいく救命救急チーム“TOKYO MER”の活躍を描く物語!
主演・鈴木亮平が演じる主人公は、“TOKYO MER”のリーダーでスーパー救命救急医・喜多見幸太。「待っているだけじゃ、救えない命がある」ーー命を救うためなら命も懸ける使命感と強い信念を持つ医師。
大事故、大災害……かつてない超スケールで描く、命を巡る熱く胸躍るヒューマンドラマ!
出演:鈴木亮平/賀来賢人/中条あやみ/菜々緒/小手伸也/佐野勇斗/石田ゆりこ/要潤
【出演者放送前コメント】
鈴木亮平
僕が演じる喜多見幸太は、患者が搬送されてくるのを待っているのではなく、自ら事故や災害の現場に駆けつけ、いち早く命を救う救命救急チーム「TOKYO MER」のチーフドクターです。そして喜多見は、命懸けで危険な現場に飛び込み、勇敢に患者さんを救おうとする情熱を持っています。
また、この作品で注目してほしいのは、オペ室を完備した最新鋭の“ERカー”が登場することです。監修の救命救急医の方々から、「理想の医療」だという声もお聞きしました。
この作品が、今の大変な状況の中で働く医療従事者の方々へのエールになればうれしいですし、一つ一つの命の大切さを改めて伝えていけるようなドラマにできればと思っています。
“日曜劇場”らしく、熱く、スケールの大きなドラマをお届けしたいと思いますので、楽しみにしてください。
賀来賢人
台本を読んで、撮影がとにかく大変になるだろうなと思ったほど、スケールがとても大きい作品です。脚本家の黒岩勉さんの「TOKYO MERのメンバーがヒーローに見えるような作品にしたい」というイメージを聞いて、すごくワクワクしています。
私が演じる音羽は、厚生労働省の官僚であり医師でもあるという複雑な役です。鈴木さん演じる喜多見とは対照的な役柄ですが、音羽には音羽なりの正義があると考えています。クールなキャラクターですが、実際のところはどうなのか、放送を楽しみにしていただければと思います。放送を観て、また次の日も頑張ろうと思えるような作品になるよう頑張りますので、ぜひ皆様に観ていただければうれしいです。
中条あやみ
初めて日曜劇場に出演できる喜びを噛みしめつつも、これから闘いが始まるんだなと実感しています。これまでにも研修医役を演じたことはありましたが、本格的な医療ドラマは今回が初めてです。救命救急の医療指導も受けさせていただきましたが、難しい医療用語や器具の使い方など覚えることが多く、共演者の方々においていかれないか不安もありました。でも、練習を重ね、みんなで力を合わせて作品を作っていくんだと思うと、もっと頑張りたいというパワーが湧いてきます。
一人一人の命を救いたいという医療従事者の方々の熱い思いを大切に、素敵で熱いドラマを皆様にお届けできればと思います。
脚本・黒岩勉
コロナ禍におきまして、人間の一番キレイな部分といいますか、心を動かされる瞬間というのは、自己犠牲を払って他の誰かを助ける姿なのだなと改めて思いました。こんな時代だからこそ、誰かのために必死に戦うヒーローが見たい。最強のナイスガイ・鈴木亮平さんとその仲間たちがきっと叶えてくれます。
とても真剣な医療モノなのですが、とことん痛快な「アクションエンターテインメント」を目指して書かせていただいています。医療従事者だけではなく、その周りでサポートする人々も含め、危機的・絶望的な状況の中でも、冷静に、的確に、前向きに、ただひたすら命を助けようと奮闘する人たちのお話です。
これを見ると、自分の周りにいる人たちに感謝したくなる。ささくれ立っていた気持ちがちょっとだけ優しくなる。そんなテレビ番組になれれば最高に幸せです。
演出・松木彩
以前、救急医療やレスキューの現場を拝見する機会があり、見ず知らずの他人のためにこんなにも危険を顧みず人生を懸けている人たちがいるのかと大変衝撃を受けました。彼らの凄まじさと、その時感じた「この人たちがいればきっと大丈夫だ」という安心感を、喜多見とMERチームの姿を通して伝えていきたいです。
真夏の日曜夜にスカッと前向きになれる作品をお届けしたいと思いますので、どうぞご期待ください。