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MCUとは、マーベル・コミックを原作にした、同じ世界線で繰り広げられるヒーロー映画の総称。
近年では、実力あるインディーズ映画監督の発掘にも力を入れており、タイカ・ワイティティやライアン・クーグラーといった知られざる才能を世に知らしめてきた映画シリーズでもあります。
(そのため、洋画ファンにこそ必見と言えるシリーズなのです!)
今回は第1作から欠かさず、劇場でシリーズを追ってきた筆者が、そんなMCU作品の魅力をご紹介!
シリーズ初心者の方や映画好きの方、ヒーロー映画に興味がない方でも楽しめるように、各作品の見どころを振り返っていきます!
※この記事ではシリーズ第19作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』から、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に至るまで、フェイズ3と分類されるMCU作品 後半5作品の魅力をご紹介します。
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【フェーズ3 後半】
・『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)
・『アントマン&ワスプ』(2018年)
・『キャプテン・マーベル』(2019年)
・『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)
・『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年)
–{『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の魅力}–
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の魅力
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』はMCUの通算19作目であり、『アベンジャーズ』シリーズとしては第3弾となったオールスター映画。総勢40名以上のキャラクターたちが集結し、最強の敵・サノスに立ち向かいます。集大成的な内容でありながら、待ち受ける意外な結末には多くのファンが衝撃を受けました。
ストーリー
6つすべてを手に入れると世界を滅ぼす無限大の力を得ることができる“インフィニティ・ストーン”。その究極の力を秘めた石を狙う最凶にして最悪の敵“ラスボス”サノス(ジョシュ・ブローリン)が地球へ降臨。この危機にアイアンマン(ロバート・ダウニーJr.)やキャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)、スパイダーマン(トム・ホランド)ら最強ヒーローチーム“アベンジャーズ”が集結。人類の命運をかけた壮絶なバトルの幕が開ける……。
史上最大の敵・サノス!
本作でアベンジャーズの敵となったのはシリーズ史上最大の脅威・サノス。
『アベンジャーズ』以降、たびたび姿を現していた彼ですが、本格的に物語に参戦するのは今回が初めてとなりました。
圧倒的な戦闘力によってヒーローたちを一蹴していくさまは衝撃的で、まさしくシリーズのラスボスにふさわしい名悪役といえます。
ある思想を胸に抱き、自身が考える正義のために行動するサノスの姿からは、単なる絶対悪には留まらないキャラクターの深みが感じられます。
彼を演じたのは、名優・ジョシュ・ブローリンさん。
『グーニーズ』で映画デビューを果たし、『ノーカントリー』、『トゥルー・グリット』、『ボーダーライン』シリーズといった名作に出演。
本作の後に公開された『デッドプール2』では、今作に続き、マーベルのキャラクターとなる未来から来た暗殺者・ケーブルを演じていました。
ルッソ兄弟によるストーリーの構成力
本作の監督を務めたのは『キャプテン・アメリカ』シリーズ2作品に続き、MCU3本目となったアンソニー&ジョー・ルッソ兄弟。
今作では前作の倍となる総勢40名以上のキャラクターたちを見事に操り、前代未聞のヒーロー群像劇を演出。
確かな交通整理能力でキャラクターたちを適材適所に配置し、限られた上映時間の中で見事にヒーローたちの見せ場を構築しています。
約2時間30分越えの作品でありながら、時間が一瞬で過ぎるような物語のスピード感にも驚かされる一作です。
アベンジャーズ最大の危機!
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の物語を経て、物理的・精神的にはなればなれになってしまったアベンジャーズのメンバーたち。
そんな危機的状況に重なるように最大のピンチが訪れる展開にも注目です。
また、『アベンジャーズ』シリーズでは初参戦となったドクター・ストレンジ、スパイダーマン、ブラックパンサーといった新人メンバーの活躍も必見。
地球と惑星・タイタンといった異なる2つの場所を用いながら、同時進行で描かれるクライマックスのバトルシーンには興奮すること間違いなしでしょう。
90年代のクライム映画に影響を受けた物語
アンソニー・ルッソ監督は過去のインタビューで脚本執筆段階に90年代のクライム映画を参考にしたことを公表。
『2 days トゥー・デイズ』や、師でもあるスティーヴン・ソダーバーグ監督が手がけた『アウト・オブ・サイト』などを挙げ、個性豊かな登場人物が手際よく描かれる物語構造を本作にも取り入れているそうです。
また、ジョー・ルッソ監督によると、本作の製作段階では、悪役・サノスを中心に物語を進める脚本も存在していたとのこと。
悪役・サノスの過去や人物背景は極力削ぎ落された本作ですが、彼がインフィニティ・ストーンを次々に獲得していく強盗映画という趣は色濃く残っています。
シリーズに与えた大きな影響
アベンジャーズとガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーといった多くのヒーローたちの合流シーンなど、ファンにとっては大興奮の名場面が続く本作ですが、注目すべきはクライマックスの超展開。
劇中で描かれた”ある出来事”は、のちのシリーズ作品においても避けては通れないため、MCUの物語に大波乱をもたらすことになります。
また、フェーズ4以降の物語では、その影響下におけるヒーローの変化やさまざまな社会問題が描かれていくため、シリーズの転換点ともなった重要な一作と言えるのです。
アベンジャーズシリーズも3作目を数え、史上空前のオールスター映画となった『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』。
監督の手腕が発揮された秀逸なストーリーテーリングに、映画シリーズの真髄を感じられる、お祭り映画の代表作です。
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–{『アントマン&ワスプ』の魅力}–
『アントマン&ワスプ』の魅力
『アントマン&ワスプ』は『アントマン』の続編であり、MCUシリーズとしては通算20作目となった痛快アクション映画。前作のヒロインが新たなヒーロー・ワスプに変身し、主人公・アントマンを上回るほどの大活躍を魅せる一作です。
ストーリー
小さくなるほど強くなる、身長わずか1.5センチの最小にして最強ヒーロー・コンビによる痛快バディ・アクション・ムービー。頼りなさすぎるヒーロー<アントマン>と、完璧すぎるヒロイン<ワスプ>──ふたりの前に、すべてをすり抜ける神出鬼没の謎の美女<ゴースト>が現れ、アントマン誕生の鍵を握る研究所が狙われる。敵の手に渡れば、世界のサイズが自在に操られてしまう!? さらに、金目当ての武器ディーラーの襲撃や、アントマンを監視するFBIの追跡も巻き込み、人や車、ビルなど全てのサイズが変幻自在に変わる“何でもアリ”の大騒動に! ユニークなパワーと微妙なチームワークで、アントマンとワスプは世界を脅かす“秘密”を守り切れるのか?
シリーズ初!女性ヒーローがタイトルに!
本作では、MCU作品としては、初めて、女性ヒーローの名前がタイトルに冠する作品となりました。
アントマン同様に、サイズの変化を駆使しながら戦う女性ヒーロー・ワスプとして、前作でヒロイン・ホープを演じていたエヴァンジェリン・リリーが大活躍。
冴えない中年ヒーロー・アントマンを遥かに上回る洗練された戦法には、誰しもが魅了されることでしょう。
女性キャラクターを魅力的に描くペイトン・リード監督
監督は、シリーズ前作に続き、ペイトン・リード監督が担当。
チアリーディングチームで活躍する女子高生たちの奮闘を描いた『チアーズ!』の監督だけあって、ワスプや本作の悪役・ゴースト、主人公の娘・キャシーなど、女性キャラクターを魅力的に描いた脚本には確かな安定感があります。
特に、通常の悪役とは一線を画した魅力的な敵キャラクター・ゴーストの人物描写は秀逸で、彼女の存在が作品の深みを増しているのです。
前作を超えるサイズチェンジアクション
前作と異なり、巨大化できるようになった主人公や相棒・ワスプの登場で、より広がりを見せるアクションシーンにも注目。
伸縮自在な主人公の大暴走には往年の特撮映画を想起させる興奮があり、女性ヒーロー・ワスプの軽やかなアクションシーンには前作とは異なる爽快感があります。
また、劇中では、研究者たちが人体内部を探索する名作SF『ミクロの決死圏』や、アリが巨大化するクラシック特撮『放射能X』のオマージュと思われるシーンも登場し、同じくサイズチェンジを扱った名作映画の系譜を引き継いだ一作になっています。
魅力的な登場人物たち
前作に引き続き、魅力的な登場人物たちが印象的な本作。
冴えない中年ヒーロー・アントマンことハンク・ピムや、彼とは対照的なエリートヒーロー・ワスプことホープなど、おなじみのキャラクターの活躍はもちろん、本作では新キャラクターの魅力も抜群に発揮されています。
物体をすり抜ける強敵・ゴーストや彼女と行動を共にする謎の男・ビル、さらには、主人公を監視するFBI捜査官・ジミー・ウーなど、個性豊かな面々は本作の見どころのひとつ。
とりわけ、ジミー・ウーに関しては、配信ドラマシリーズ『ワンダヴィジョン』でも再登場することになり、今回の出番はわずかながらも確かな存在感を残しています。
シリーズの間を埋める物語
本作の時系列は、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』と『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の間を埋める空白の期間。
『シビル・ウォー……』の戦いをきっかけに捕まったアントマンに、一体、何が起きたのか。そして、『……インフィニティ・ウォー』に、彼がなぜ登場しなかったのかという謎が本作で明かされます。
ラストで描かれた出来事は『アベンジャーズ/エンドゲーム』へと繋がる大きな布石にもなっているため、独立した作品でありながら、シリーズを繋ぐ重要な役割を担う作品になっています。
ファミリームービーだった前作から、バディアクションとしての要素も追加された『アントマン&ワスプ』。
『アントマン』の続編ではあるものの、新キャラクターを描く物語やサイズ変化を活かした独自のアクションシーンなど、シリーズ初心者でも親しみやすい一作です。
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–{『キャプテン・マーベル』の魅力}–
『キャプテン・マーベル』の魅力
『キャプテン・マーベル』はMCU作品初の女性ヒーロー単独映画となった一作。シリーズ通算21作目を数えながら、アベンジャーズの結成前となる90年代へと舞台を移し、宇宙規模で戦う新ヒーローの活躍と、スーパーヒーローチーム誕生の謎に迫った一作です。
ストーリー
過去の“記憶”を失い、その代償として強大な力を得た戦士ヴァース。彼女の過去に隠された“秘密”が、恐るべき戦いの引き金となってしまう。自在に姿を変える正体不明の敵に狙われ、孤独や不安に打ちのめされても、彼女は不屈の精神で何度も立ち上がる。果たして彼女は記憶を取り戻し、この戦いを終わらせることができるのか?そして、最後につかむ“衝撃の真実”とは…?
MCU史上初の女性ヒーロー映画爆誕
女性ヒーローがタイトルに冠したシリーズ前作『アントマン&ワスプ』に引き続き、本作では、ついにMCU初の女性ヒーローによる単独映画が誕生。
スピンオフドラマ『エージェント・カーター』や『ジェシカ・ジョーンズ』などでも描かれてきた女性ヒーローの活躍が、映画シリーズで実現されたことはMCUにとって大きな転機となりました。
ちなみに、『アベンジャーズ/エンドゲーム』でも、その影響を踏まえた名場面が誕生することになります。
異例のコンビ監督・アンナ・ボーデン&ライアン・フレック
本作では、MCU作品としては異色のコンビ監督・アンナ・ボーデンさんとライアン・フレックさんが就任。
学生時代から親交があり、仕事のパートナーとして映画制作を続けてきた2人のコンビネーションは本作でも見事に開花しています。
宇宙からやって来たヒーロー・キャプテン・マーベルと、秘密諜報機関S.H.I.E.L.D.に所属するエージェント・ニック・フューリーのバディもの的要素もある本作は、彼らだからこそ魅力的に描けた題材とも言えるのです。
彼らの過去作を確認すると、ドラッグ中毒の教師を描いた『ハーフネルソン』や、ギャンブルの沼にハマる男たちを描いた『ワイルド・ギャンブル』など、一見、マーベル映画とは程遠い題材ばかり。
しかし、一貫する「人間の泥臭さ」というテーマは本作でも描かれており、宇宙規模のスーパーヒーローというキャラクターを、しっかり地に足の着いた人物として描写することに成功しています。
サスペンス要素を織り交ぜた予想外のストーリー
本作は主人公の失われた記憶を巡るサスペンス作品でもあり、過去のMCU作品にはなかった新ジャンルを開拓した一作でもあります。
謎に包まれた彼女の正体や、その過去に隠された意外な真実。ヒーロー映画でありながらも先の読めない予想外の物語は、受け手を見事に翻弄していきます。
また、二転三転する人物の関係性や宇宙開発を想起させる要素など、冷戦後の90年代を反映した物語は秀逸。
MCU全作に携わってきたマーベル・スタジオの社長・ケヴィン・ファイギさんは過去のインタビューで、本作が『ターミネーター2』などに影響を受けたことも語っており、90年代アクション映画へのオマージュに溢れた一作と言えるのです。
描かれるアベンジャーズ結成前夜
MCU作品の中では、1940年代を描いた『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』に続いて、1990年代というシリーズの過去を紐解いていくことになった本作。
MCUの重要キャラクターであるS.H.I.E.L.D.の長官・ニック・フューリーが、なぜ、眼帯をはめることになったのか。そして、知られざるアベンジャーズの誕生秘話とは……。
さまざまな秘密が明かされる本作では、これまで登場したキャラクターたちの若き日を垣間見ることもできます。
『アベンジャーズ』以降、出番のなかったS.H.I.E.L.D.諜報員のフィル・コールソンや、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に登場したロナンやコラスなど、ファンには嬉しい人物たちが集結。
また、劇中では、シリーズを追っている人には分かる”とあるキーアイテム”も登場し、単独作品として楽しめるのはもちろんながら、ファンにとっては嬉しいサプライズ要素にワクワクさせられる一作です。
配信ドラマにも繋がる物語
本作の存在は、今後公開が予定されているMCUの配信ドラマでも重要な意味合いを持つことが予想されています。
『シークレット・インベージョン』(原題)では、本作に登場したスクラル人・タロスとニック・フューリーの出演が決定しており、独自の変装能力で地球に潜伏するスクラル人の暗躍が描かれる予定。
また、『ミズ・マーベル』(原題)では、キャプテン・マーベルに憧れるイスラム系女子高生ヒーローが主人公となる予定で、彼女は『キャプテン・マーベル』の続編に出演することが決定しています。
ちなみに、すでに配信されている『ワンダヴィジョン』でも本作から思わぬキャラクターが登場しており、今後のドラマシリーズを追いかける上で、本作の重要度は、さらに高まっていくことでしょう。
MCU初の女性ヒーロー映画でありながら、その秀逸な脚本も高く評価された本作。ヒーロー映画好きのみならず、サスペンス映画が好きな人にも観てほしいシリーズの新たな方向性を切り拓いた秀作です。
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–{『アベンジャーズ/エンドゲーム』の魅力}–
『アベンジャーズ/エンドゲーム』の魅力
『アベンジャーズ/エンドゲーム』はMCUの第22弾であり、『アイアンマン』以降のMCU作品における集大成となった完結編。最大のピンチに追い込まれたアベンジャーズのメンバーが、宿敵・サノスとの最終決戦に挑みます。
ストーリー
アベンジャーズのメンバーを含む全宇宙の生命は、最強を超える敵“サノス”によって半分が消し去られる。大切な家族や友人を目の前で失い、地球に取り残された35億の人々のなかには、この悲劇を乗り越えて前に進もうとする者もいた。そんななか、地球での壮絶な戦いから生き残ったキャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)、ソー(クリス・ヘムズワース)、ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)、ハルク(マーク・ラファロ)、ホークアイ(ジェレミー・レナー)と、宇宙をあてもなく彷徨いながら新たなスーツを開発し続けるアイアンマン(ロバート・ダウニーJr.)は、決して諦めてはいなかった。大逆転へのわずかな希望を信じて再び集結したヒーローたちは、失った者たちを取り戻す方法を探る。残された人々と今ここにいない仲間たちのために、アベンジャーズは最後にして史上最大の逆襲に挑む……。
シリーズの集大成、長きに渡る戦いの決着
本作は約11年に及ぶMCU作品に一旦の決着を与えたシリーズの完結編。
アイアンマンやキャプテン・アメリカといった初代アベンジャーズのメンバーを中心に、彼らの長きに渡る戦いの終着点が描かれていきます。
また、注目すべきポイントは、観客の誰もが予想不可能なサプライズ演出の数々。
シリーズの完結編であることを活かし、過去作の積み重ねを思わぬ形で実現していく演出は見事で、ファンにとっては歓喜してしまう最高の瞬間が幾度も訪れます。
MCUのエース・ルッソ兄弟が描き切った渾身の完結編
本作の監督を務めたのは、MCU作品4度目の起用となったシリーズの常連・ルッソ兄弟です。
前作で巻き起こった衝撃の展開を踏まえて、彼らが選んだ意外な決断とヒーローたちにもたらさられる大きな変化。
それぞれのキャラクターが深い傷を負いながらも、シリーズ最大の敵・サノスに立ち向かっていく姿は涙なしには見られません。
また、本作では『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』以降、数多くのMCU作品を手掛けてきたクリストファー・マルクスとスティーヴン・マクフィーリーの黄金コンビが脚本を担当。
各キャラクターの生き方や思想を熟知した彼らだからこそ書ける物語には過去作への愛が感じられ、シリーズへの思い入れが強い人であればあるほど感動する場面が多数描かれていきます。
訪れるヒーローたちの終着点
本作ではシリーズを代表する2大ヒーロー・アイアンマンとキャプテン・アメリカの物語に、一つの終止符が打たれることになります。
時には助け合い、時には衝突し、それぞれの正義に従って、戦い続けた2人のヒーローたち。
彼らによるシリーズ屈指の大活躍と、その運命を左右する大きな決断には胸がいっぱいになるはず。
彼らの信念や生き様には影響を受ける人もいるかもしれません。
ヒーロー映画史に残る屈指の大長編
上映時間約3時間と、これまでのヒーロー映画の中では屈指の長尺となった本作。
過去にもDCコミックス原作の『ウォッチメン アルティメット・カット版』(約215分)など、長尺の作品が存在していなかったわけではないですが、劇場で公開されたヒーロー映画として、本作の上映時間は異例中の異例といえるもの。
しかし、シリーズの集大成となった本作では、日本の興行収入約61億円、世界の興行収入約27億円と、MCU史上最大の興行収入を記録しました。
シリーズに及ぼした影響
本作の物語を経て、MCUの物語には大きな変革がもたらされます。
サノスとの戦いで様変わりしてしまった世界。
有終の美を飾り、事実上の引退を迎えた数人のヒーローたち。
物語は次世代の若きヒーローたちに託され、本作で描かれた並行世界といった概念は、続くシリーズにおいて、重要なポイントになっていきます。
また、フェーズ4の幕開けを飾ったMCUの配信ドラマシリーズ『ワンダヴィジョン』、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』、『ロキ』の3作品では、本作の出来事が物語の起点にもなっており、本作はシリーズの終わりと新たな始まりを描いた作品といえるのです。
約11年に及ぶ壮大なヒーロー映画シリーズ・MCUの集大成として、これまでの長き歴史に一旦の終わりが訪れた『アベンジャーズ/エンドゲーム』。
シリーズの完結編として、ヒーローたちの有志を目に焼き付けるのも良し。新たなヒーローたちの可能性を探ってみるのも良し。長尺映画でありながら、目を離せない驚きと感動に溢れた物語には何度も観返したくなる魅力がある一作です。
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–{『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の魅力}–
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の魅力
MCU第23作となった『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』は、『アイアンマン』から続くシリーズの第1章・インフィニティ・サーガを締めくくるMCU版スパイダーマンの第2作。前作と異なり、アイアンマンの力を借りずに悪と立ち向かうことになった主人公の新たな活躍を描きます。
ストーリー
トム・ホランドが主人公・ピーター・パーカーを演じ、3度目の映画シリーズ化となった新たな「スパイダーマン」の続編。ピーターが夏休みにヨーロッパ旅行に出掛けると、そこに自然の力を操るクリーチャーたちが現れる。街が混乱する中、ピーターは元S.H.I.E.L.D.長官のニック(サミュエル・L・ジャクソン)によって引き合わされた、異次元から来たヒーロー、ミステリオ(ジェイク・ギレンホール)と共に、敵に立ち向かう。
アイアンマンの一番弟子・スパイダーマン大活躍!
本作では恩師・アイアンマンの力を借りず、自立して戦う運命を辿ることになった主人公・スパイダーマンの新たな活躍が描かれます。
前作では自身のミスをアイアンマンに救ってもらっていたほか、装着するハイテクスーツなども彼ありきだったスパイダーマン。
そのため、どうしても彼の頼りなさが際立ってしまう一作になっていましたが、本作では、その部分が大きく改善されています。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や『アベンジャーズ/エンドゲーム』を経て、ひとまわりもふたまわりも成長したスパイダーマンこと、ピーター・パーカー。
未熟ながらも奮闘する彼の姿には好感が持てる一作です。
先輩ヒーロー・ミステリオ登場
本作では、新キャラクターとして、異次元世界からやって来た謎に包まれたヒーロー・ミステリオが登場。
アイアンマンに代わるスパイダーマンのメンター(指導者)的立ち位置で、主人公をサポートする役割を担っています。
彼を演じた名俳優・ジェイク・ギレンホールさんは、アイアンマンを演じたロバート・ダウニー・Jrさんにそっくりな場面もあり、まさしく、本作にぴったりと言える人選。
異次元世界の謎や彼が知る大きな秘密が、劇中において、どのような意味合いを持っていくのかにも注目です。
ヒーローvsフェイクニュース
また、本作では、誰でも楽しめる痛快アクション映画でありながら、物語の根底に「フェイクニュース」の隠喩ともとれる描写が多数盛り込まれているのも印象的です。
「ウソ」が得意な悪役に苦戦し、最大の危機を迎えるスパイダーマンが本作で選び取った答え。
それは、まさしく、「フェイクニュース」が蔓延る現代社会で、私たちが最も大切にすべきことといえるのではないでしょうか。
全体を通して痛快娯楽アクション大作として完成された本作だけに、意外なラストシーンを経て、少しずつ浮かび上がる社会的メッセージには驚かされる一作です。
正統なスパイダーマン映画の最新作
MCU版スパイダーマンの前作『スパイダーマン:ホームカミング』では、過去に製作されてきたシリーズ作品とは異なり、自立していない幼いヒーローとしての側面が強調されていた主人公。
それは『アベンジャーズ』シリーズにおける「高校生ヒーロー」という独特の役回りから生まれた設定ともいえますが、単独作品として、どうしても不完全燃焼な気持ちを抱えていたファンも多いはず。
本作では、そんな彼のポジションが大きく変化したため、正統な『スパイダーマン』映画として楽しめる作品になっています。
ヒーローとしての活動に苦悩し、私生活とのバランスに悩む等身大の主人公。
そんな彼の姿は過去に作られてきたスパイダーマンシリーズにも通ずる面白さがあり、シリーズ1作目以上に人間ドラマの側面が強化されています。
マルチバース(並行世界)を示唆する物語
また、本作では、異次元からやって来たヒーロー・ミステリオを登場させたことで、別次元の世界線を巻き込むマルチバース(並行世界)設定へと、シリーズが広がる可能性を示唆しました。
前作『アベンジャーズ/エンドゲーム』で存在が明かされ、今後のフェーズ4では、その概念を活かしたストーリーが期待されるMCU。
この設定が利用できれば、過去に映画化されたMCU以外のマーベル作品(『スパイダーマン』旧三部作、『X-MEN』シリーズなど)に登場したキャラクターたちもMCU作品に合流させることが可能。ちなみに、本作に続くシリーズ3作目では、『スパイダーマン』旧三部作に登場した意外な悪役の参戦も報道されています。
インフィニティ・サーガの締めくくりでありながら、MCU作品の新たな可能性を提示した『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』。
今後のシリーズ展開を左右する布石と言える描写も多く、フェーズ4以降のMCUがどうなっていくのか、自然と期待が高まってしまう一作でした。
(文:大矢哲紀)