フジテレビ・オトナの土ドラ枠で2021年6月5日(土)にスタートした「#コールドゲーム」。
-45℃の氷河期を迎えた地球を舞台に避難所でたくましく生きる人々を笑いあり・涙ありで描く本作。極限の世界でタフに生き抜こうとする主人公の女詐欺師を羽田美智子が演じる。
本記事では、cinemas PLUSのドラマライターが第5話の様子を紐解いていく。
「#コールドゲーム」第5話のレビュー
今回、第七支部では避難所あげての競技大会が開催。
体力テストや知能テスト、一芸一能披露など、居住者たちが思い思いの特技を発表している場面はさながら学校の文化祭のよう。マッチ棒でイヤリングを作った良子や得意のフラフープを本番でポシャってしまう隆の姿はなんともおかしく、演じる椿鬼奴、やす(ずん)らの芸人らしい味が光っていた。一方オペラ歌手のような美声で歌を披露したのは良子の主人。あの歌声はまた聞けたらいいなと思う。
そして、この5話は、木村家の長女・陽菜の心情がより詳細に描かれた回だった。
頭はいいが無愛想で、周りになじもうとしない陽菜。言葉を選ばないストレートな発言で人を傷つけるなど、若干わがままが過ぎるように見えたときもあった。そして、今回彼女は密かに想いを寄せる兄の大輝に「(元の世界で付き合っていた彼女は)生きてる?死んじゃった?」と心ない質問をして、恋人を亡くした過去があるらしい彼を怒らせてしまう。
おそらく陽菜は大輝の過去を知らないし、悪気もなかったと思う。とはいえ、ここは隕石落下で突如-45℃の氷河期となった世界。家族とつらい別れをした人は決して珍しくないはずなので、こういう状況で誰かの生死について軽い調子で聞くのはやはり少々思いやりに欠けているところがあるかな…と感じてしまった。
大輝からそっぽを向かれたことで傷ついていく陽菜。そして、競技大会で不正がバレて他の女子たちと喧嘩になり、一人の女子に水をかけて外に出すというとんでもないことをしでかしてしまう。(-45℃の世界でびしょぬれの人間が外に出されたらすぐに死んでしまいかねず、つまりは殺人未遂に近い行為)
反省のため懲罰室に入れられる陽菜。そこで彼女の過去が映し出された。回想に出てきた陽菜の母親は「あなたのその目を見てるとぞっとする」娘に言い放ち、隕石落下後、陽菜を置いていってしまう。やはり…という感じだった。彼女は親から嫌われていた。人を愛する、誰かに優しくするということをそもそも教えてもらえていなかったのだ。
そして、そんな陽菜の様子を見にやってきたのは大輝だった。彼の前で陽菜はようやく素直になり、「私だって好きでこうなったんじゃない」「もうこんな自分が嫌になった」と泣きそうになる。
そこへ現れたのは黒崎。「事情を聞いたがお前を庇う奴はいなかった。嫌われ者だな」と陽菜に追い打ちをかけるが、そんな彼を大輝は睨みつける。「俺の妹をここから出せ」と黒崎に掴みかかり、あわや懲罰室に入れられそうになる大輝。しかし、そこで如月から連絡が入って黒崎たちはその場を去っていった。
二人になって改めて大輝は陽菜と向き合い、「お前が自分のこと嫌いだとしても、俺は絶対にお前のこと嫌ってないよ」と優しく見つめる。この大輝の言葉はあくまで家族、兄妹としての親愛の情なのかもしれない。それでも、本当の親からすら愛されなかった陽菜にとってはすごくしみるものだったと思う。
懲罰室を出た後、椿の部屋を訪れる陽菜。どうもこの二人の間にもただならぬ縁があるようで、仲よく一緒に焼き肉をつつきながら陽菜は椿に「生きてみたいなってちょっと思った」と打ち明ける。大輝が気にかけてくれるのを知って本当にうれしそうな陽菜。彼女の心からの笑顔をこの5話でようやく見られた気がした。
そして、陽菜のことを思って行動したのは大輝だけではなかった。陽菜を懲罰室から出すよう裏で如月に頼んだのは祥子。隆たちの前では「自業自得。ほっときゃいい」と言っていたが、結局陽菜を見過ごしはしなかった。偽装家族ではあるけれど、ここまで一緒に生活してきた木村家では少しずつ愛情や絆が芽生えつつあるのかもしれない。
コミカルな場面も多くて、若干休憩回という感もあったこの5話。しかし、予告を見ると次回は「ユウト」と祥子の息子と同じ名前を口にする男が登場。5回を回ってぼちぼち後半戦ということで、次回はよりドラマが大きく動き出すかもしれない。まだまだ注目していきたいところだ。
第5話ストーリー
如月(中村俊介)の思惑通り班長に選ばれた黒崎(篠原篤)は木村家の“秘密”を知らされる。黒崎は隆(やす)を脅して副班長に任命、祥子(羽田美智子)たちを探るよう指示する。 急に黒崎と行動を共にするようになった隆を見て、陽菜(久間田琳加)たちはいぶかしむ。
そんな中、一芸一能を披露して競い合う競技大会の開催が発表される。賞品はなんと牛肉!色めき立つ避難者たちをよそに、祥子は如月には何か狙いがあるはずと考えを巡らすが…。
(文:田下愛)
–{「#コールドゲーム」作品情報}–
「#コールドゲーム」作品情報
マイナス45°Cの氷河期に襲われた地球。
ここ、避難所第七支部では逃げ込んできた数十人がぎりぎりの生活を送っていた。
もはや文明は崩壊し、金や地位は何の意味も持たず、缶詰ひとつ、毛布一枚がなによりも必要とされる、価値観が一変した世界。
人類は、生きたいという本能的な欲望の強い者だけが生き残る極限状態に直面していた。
主人公は、そんな弱肉強食の世界に負けず、どんな手段を使ってでも生き抜くことを決意した前科2犯の天才欺師・木村祥子。たどり着いた避難所はなぜか“家族”優先に運営されており、祥子は寄せ集めの”偽装家族”の母親として過酷な日々に立ち向かう!
絶対に生き延びてやる!祥子が放つ爆発的な生きるエネルギー!
その裏には、生き別れた息子に一目会いたいと願う母の切なる想いが煮えたぎっていた。
キャラ立てハッキリ、あざとさ満載、情には厚くテンポよく。
厳しい人間模様の中にも明るく温かな物語を展開させます。
善人に見える人、悪人に見える人、しかし一枚仮面を剥ぎ取れば、善の裏にも悪が潜み、悪の片隅にも予想外の善が息づいている。
追い詰められた環境の中でこそ現れる人間の本性を、笑い泣きのエピソード満載で描きます。
放送日時
2021年6月5日(土)スタート。毎週土曜夜11時40分~
放送局
東海テレビ・フジテレビ系全国ネット
出演
羽田美智子
結木滉星
久間田琳加
やす(ずん)
篠原篤
和田琢磨
山田転球
椿鬼奴
銀粉蝶
中村俊介
原作・脚本
小松江里子
音楽
中村巴奈重
斎木達彦
主題歌
ファーストサマーウイカ「帰り花のオリオン」
作詞・作曲・編曲:粗品(ユニバーサル ミュージック/ Virgin Music)
挿入歌
神はサイコロを振らない「徒夢の中で」(ユニバーサル ミュージック/ Virgin Music)
企画
市野直親(東海テレビ)
プロデューサー
松崎智宏(東海テレビ)
宮川晶(ケイファクトリー)
演出
千葉行利(ケイファクトリー)
後藤庸介
制作
東海テレビ
ケイファクトリー