『ハニーレモンソーダ』レビュー:大収穫!! 俳優・ラウール 「あなたに出会い、世界が変わる」

映画コラム

この夏、ジャニーズの若手アイドルが主演する青春ラブストーリー映画、美 少年・浮所飛貴主演の『胸が鳴るのは君のせい』、Snow Man・ラウール主演『ハニーレモンソーダ』、King&Prince・平野紫耀主演の『かぐや様は告らせたい~天才たち恋愛頭脳戦~ファイナル』が3カ月連続で公開されます。

その第2弾は2021年7月9日公開の『ハニーレモンソーダ』。
今回はこの作品をご紹介していきましょう。

2016年に「りぼん」で連載が開始され、雑誌「セブンティーン」では“読者5,000人が選ぶ好きな少女漫画&実写化して欲しいマンガランキング”で一位を獲得した村田真優の「ハニーレモンソーダ」が待望の実写映画化です。 

山本美月とHey! Say! JUMPの伊野尾慧主演の『ピーチガール』やKing&Prince・平野紫耀主演の『honey』などすでにこの青春ラブストーリーものに実績のある神徳幸治監督がメガホンをとり、KAT-TUNの亀梨和也と土屋太鳳の『PとJK』や『私がモテてどうすんだ』など、こちらもこのジャンルで実績のある吉岡菜美が脚本を担当するという盤石な体制となっていて、神徳監督は“キラキラ”の一歩先を目指したと語っています。

フレッシュさと実力を兼ね備えたメインキャスト

主人公の三浦界を演じるのはSnow Manの最年少メンバーのラウール。

現在17歳という現役高校生と言うこともあって制服姿もリアルです。役柄に合わせて鮮やかな金髪姿を披露。188センチという恵まれたスタイルを大いに活かして “校内トップの人気者”をカリスマ性たっぷりに演じています。ちなみに主題歌「HELLO HELLO」をSnow Manが担当してます。

ヒロインの石森羽花を演じるのはドラマ「恋はつづくよどこまでも」や映画『十二人の死にたい子どもたち』で注目を集めている吉川愛。
休業時期があり、若干のブランクがあるのですが、実は子役からキャリアを積んできた芸歴16年のベテランです。

共演には『虹色デイズ』で吉川愛と共演済みの堀田真由。界の元カノでありながらヒロイン羽花の理解者でもあるという役どころを演じています。映画『ライア-×ライアー』やドラマ「危険なヴィーナス」など幅広く活躍している堀田が経験値の高さを見せつけてくれます。

経験値という点で言えば他の共演者たちも負けてはいません。

羽花の高校での初めての友人となるあゆみを演じるのは「non-non」専属モデルで『賭ケグルイ』シリーズで知られる岡本夏美。

界の友人で盛り上げ役の悟役には『犬鳴村』『弱虫ペダル』『スパイの妻』の坂東龍汰。

そして、少し大人な性格でみんなの良き理解者である友哉を演じるは子役時代から活躍し、NHK大河ドラマからウルトラマンまで幅広く出演し続けている濱田龍臣です。

 あなたに出会い、世界が変わる

中学時代にいじめを受け”自分は石だ”と言い聞かせてきた石森羽花は、自分を変えるために自由な校風の八美津高校へ進学する。

そこで出会ったのはレモン色の髪をした同級生の三浦界。

実は彼こそが、羽花が八美津高校を選んだ理由を作った張本人でした。

クールで自由奔放、基本的には塩対応なのに校内では圧倒的な人気者の界。
彼はなぜか自分を”石森係”と自称して、何かと羽花の世話を焼いてくれるようになります。

”石”だったころの自分から少しずつ変わることができる羽花は、界の友人たちとも自然と仲良くなっていき、あゆみとは互いに認め合う友人関係になります。

八美津高校には中学時代に界と付合っていた芹奈もいましたが、羽花の想いを知り背中を押してくれます。

互いに想い合っていた界と羽花はやがて本格的に交際を始めるようになります。

校内トップの人気者の界と地味女子の羽花のカップリングに校内はざわつきますが、堂々と交際を宣言する界と、自分に自信を持てるようになった羽花はしっかりと絆を深めていきます。

・・・しかし、界は打ち明けられない”ある秘密”を抱えていたのでした。

–{恋敵不在、みんな応援の新パターン}–

恋敵不在、みんな応援の新パターン

2021年6月に公開された『胸が鳴るのは君のせい』では原菜乃華が演じた主人公の元カノが少しサイコが入ったキャラクターとして登場、ものすごい”恋敵ぶり”を発揮しました。

これに対して『ハニーレモンソーダ』に登場する界の元カノの芹奈は、全く想いがないわけではないものの、過剰に界に依存してきた自分を省みて、新しく自分を律しようするキャラクターになっています。

実は中学時代は羽花同様、いじめにあっていたこともあって、かつての自分に羽花を重ねて界との恋愛についてもしっかりと背中を押してくれる存在です。

あこがれの王子キャラの元カノと言ったら、最大の恋の障壁になりかねない存在ですが、今回の『ハニーレモンソーダ』では最大の理解者の一人となっていて、とても新鮮でした。
もちろん演じた堀田真由の巧さもあってのことですが。普通に芹奈は芹奈で幸せになってほしいなと感じさせてくれるキャラクターになっています。

岡本夏美演じるあゆみ、坂東龍汰演じる悟、濱田龍臣演じる友哉はいわゆる“クラスの1軍”キャラですが変に気取ることなく羽花とも関り、好感度抜群です。

「こんなに人の好い1軍メンバーなんて現実にはいねーよ!!」という声が聞こえてそうな程ですが・・・。

大収穫!! 俳優・ラウール

今回の映画『ハニーレモンソーダ』で特に大収穫・大発見と言えるのは主人公の三浦界を演じたラウールでしょう。

演技経験自体が浅く、17歳とまだまだこれからという感覚で映画に臨みましたが、以外と言っては失礼ですが、見事なカリスマ性と硬軟・緩急が効いた演技を披露していて驚かされました。

こういった青春ラブストーリーの主人公にジャニーズの若手がキャスティングされるとなると、どうしても経験値の浅さから、お芝居事態が硬くなる傾向にあります。
それをそういうタイプの主人公がいる原作を題材に選んだり、相手役や周りの友人役を経験値の高い若手キャストで固めて補うということが散見されてきました。

今回もヒロインに吉川愛、共演に堀田真由、岡本夏美、坂東龍汰、濱田龍臣という並びを見たときに「『ハニーレモンソーダ』もまたそのパターンか」と思ったものです。

しかししかし、主演のラウールはこれをいい意味で裏切ってくれました。

ラウールには今後も変な色や、テクニック先行型にならずに今後も堂々とカリスマ性を発揮しながらジャニーズを代表する主役型俳優となって欲しいところですね。

(文:村松健太郎)

–{『ハニーレモンソーダ』作品情報}–

『ハニーレモンソーダ』作品情報

【あらすじ】
中学時代、“石”と呼ばれていた石森羽花(吉川愛)は、自分を変えるため自由な高校に入学する。そこで、レモン色の髪をした三浦界(ラウール)と出会う。クールで自由奔放、基本塩対応なのに人気者の彼こそが、羽花がその高校を選んだ本当の理由だった。界はなぜか自分を“石森係”と呼び、羽花の世話を焼くようになる。距離を縮め、想いを伝えあった二人は幸せな毎日を送っていたが、実は羽花に伝えられていない秘密が界にはあった……。 

【予告編】

【基本情報】
出演:ラウール(Snow Man)/吉川愛/堀田真由/濱田龍臣/坂東龍汰/岡本夏美

監督:神徳幸治

製作国:日本