日本初の女性総理が誕生! 初のファーストジェントルマンが、未だかつて経験のない日本の新しい姿に翻弄される様をコミカルに描いた映画『総理の夫』が2021年9月23日に公開。
原田マハの同名小説を原作に持つ本作。日本初の女性総理・相馬凛子を演じるのは、女優・中谷美紀。凛子の夫であり、同じく日本初のファーストジェントルマンとなった相馬日和を田中圭が演じる。そのほか、貫地谷しほり・岸部一徳・工藤阿須加・木下ほうか・松井愛莉など、間違いないキャストが脇を固めた。
本作を観ながら感じたこと。それは、日本初の女性総理が誕生するのは何ら夢物語ではないし、もしかしたら、近い将来に実現し得るかもしれない、という思いだった。
美貌+カリスマ性+有言実行力を兼ね備えた、文句なしの総理の姿
日本初の女性総理・相馬凛子を演じる中谷美紀。言わずもがな、美しい……。肌が綺麗でいわゆる”つや玉”が光っていて、一挙手一投足にまで血が通っており、隅々まで目が離せない。演説や会見シーンなどで彼女が話し出すたびに、ほうっと聞き入ってしまう。その美貌とカリスマ性は、容易に”未来の女性総理”を彷彿とさせる。
その求心力の源は、おそらく「声」だ。意識せずとも聞き入ってしまうほどに、よく通る凛とした声なのだ。まるで声そのものに温度や色が見えるような……。「この人の話を、もっと聞きたい」と思わせられる。振り返ってみれば、人の心をつかむ国のトップは総じて、朗々とよく響く声をしていることに気づく。
中谷美紀が演じる相馬凛子の持つ魅力は、もちろん美貌やカリスマ性など見かけだけに留まらない。作中ではたびたび「消費税増税」が取り沙汰されるが、ただ闇雲に上げるわけではないのだ。日本という国の行く先を見据え、どういった目的で増税が必要なのか。国民の理解を得るため、しっかりと誠実な言葉で語りかける凛子。有言実行力まで兼ね備えた、理想の政治家の姿といえるだろう。
日本初!ファーストジェントルマンのドタバタ劇にも注目
中谷美紀の総理っぷりもさることながら、日本初のファーストジェントルマンとなった相馬日和を演じる田中圭の演技にも注目したい。
大財閥の御曹司、寝ても覚めても野鳥の観察をするのが生き甲斐の青年。野鳥研究に携わる仕事をし、遠方に出張するのも楽しみの一つだ。電波がなかなか繋がらない、北海道の奥地へと出張している間に、最愛の妻が日本初の女性総理に……! 空港へ帰り立った途端、自分がまさに”時の人”になっていることを知る。
この作品は、「もし日本初の女性総理が誕生したら?」をテーマに、仕事と家庭を両立する女性のリアルに迫っている。それと同時に、仕事も家庭も両立したいパートナー同士が、どうやったら上手くお互いを尊重しながらやりたいことも諦めずに済むか? を模索している作品でもある。
これまで、どこか日本には、「仕事」か「家庭」のどちらかを選ばなければならない空気感が漂っていたのではないだろうか。
どちらも両立する、やりたいことを諦めないーーそう言葉にすれば聞こえはいいけれど、あらためて現実を見つめてみると、そう簡単にはいかないことも多いだろう。相馬夫妻がどのような過程を経て、どのような答えに行き着いたのか? ぜひ、スクリーンで確かめてほしい。
(文:北村有)
–{『総理の夫』作品情報}–
『総理の夫』作品情報
【あらすじ】
お人好しの鳥類学者・相馬日和と、少数野党の党首を務める妻の凛子は平和な朝を迎えていた。凛子が「ねぇ日和くん、もしも私が総理大臣になったら、何かあなたに不都合はある?」という謎かけをした以外は……。ひっかかりを覚えながらも、いつものように野鳥観察に出た日和は、電波の届かない孤島で10日ほど仕事に没頭していた。だが、帰宅するやいなや、マスコミに突然囲まれ、凛子が日本初の女性総理に選出されたことを知る。微力ながら彼女の夢を全力で応援しようと思っていた日和だったが、予想だにしなかった激動の日々に巻き込まれていく。
【予告編】
【基本情報】
出演:田中圭、中谷美紀
貫地谷しほり、工藤阿須加、松井愛莉、木下ほうか
長田成哉、関口まなと、米本学仁、国広富之、寺田農
片岡愛之助、嶋田久作、余貴美子、岸部一徳
原作:原田マハ「総理の夫First Gentleman」(実業之日本社文庫)
監督:河合勇人
脚本:松田沙也、杉原憲明
音楽:富貴晴美