2021年6月25日より、映画『ピーターラビット2 バーナバスの誘惑』が公開されます。結論から申し上げれば、これは殴る蹴るのバイオレンスもある犯罪映画でありながら、実は教育的なファミリームービーとして存分におすすめできる内容でした。嘘ではありません本当です。簡潔に魅力を紹介しましょう。
2018年に公開された前作『ピーターラビット』が話題となったのは、何しろ「思ってたんと違う!」なその内容。筆者の感想を一言で表すならば「子どもも観られる『アウトレイジ』(10)」。人間とウサギがお互いに「シマ」と「女」を手にするため襲撃を繰り返し、時にはダイナマイトでの爆殺をも辞さない、殺るか殺られるかの本気バトルが勃発するとんでもない内容だったのです。嘘ではありません本当です(2回目)。
※前作『ピーターラビット』の紹介記事はこちら↓
『ピーターラビット』7つの魅力!壮絶バトル映画を親子で観て欲しい理由!
今回は、前作で仲良し家族になったはずのマグレガーさんの「父親気取り」と、ある勘違いにウンザリしたピーターが、地下組織を率いるハードボイルドな男に出会い、そしてファーマーズ・マーケットで個性豊かな面々と共に強奪作戦に挑むことになります。つまり、ほぼほぼ泥棒チームが華麗にお宝を掻っ攫おうとする『オーシャンズ11』(01)的な内容なのです。その他にも、地下組織のメンバー人間相手には容赦のないイタズラ(ていうか完全に犯罪)もバリバリにしているのでした。見た目はモフかわいい動物たちであるため、むしろその凶悪さのギャップが際立っています。
では、なぜ殴る蹴るのバイオレンスもある犯罪映画でありながら、実は教育的なファミリームービーとして存分におすすめできるのかと言えば、前作に引き続き「負のスパイラルから抜け出すためにはどうすればいいか?」を問う寓話になっているから。劇中でピーターが地下組織の一員となり犯罪行為をしてしまうほど「堕ちて」しまうのも、様々な不幸の歯車が噛み合ってしまった結果です。そこから「真っ当な道に戻るにはどうすればいいか」を模索する物語になっているというのは、ほら、実に教育的ではないですか!
もっとわかりやすく言えば「ケンカしちゃった相手と仲直りするにはどうしたらいいんだろう?(※今回は街を巻き込む大規模な犯罪にエスカレートしているけど)」というヒントを与えてくれる上に、逆説的に「やはり暴力……暴力は何も解決しない!」ことも教えてくれるというわけです。
また、その強奪作戦と並行して、ウサギの絵本を大々的に出版する話が舞い込み、どのように売り出していくかという、原作者のビアトリクス・ポターの足跡を(実際とはまるで違いますが)追うような的な物語が並行して展開するのも見所です。前作から「あの原作をこんなアバンギャルドな内容にして大丈夫!?」と思わせる内容でしたが、このパートでは原作へのリスペクトも伝わる、それでいてやっぱり悪意のあるギャグも込み込みというのがまたスゴいです。改めて「実写映画版『ピーターラビット』シリーズはこうじゃないと!」と思わせてくれる、理想的な続編でした。
(文:ヒナタカ)
–{『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』作品情報}–
『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』作品情報
ストーリー
大好きなビア(ローズ・バーン)とマクレガー(ドーナル・グリーソン)が結婚する。ピーター(声:ジェームズ・コーデン)は、いきなり父親面をするマクレガーに叱られてばかりの毎日に嫌気がさし、生まれ育った湖水地方を飛び出す。知り合いもおらず、食べ物もない都会で、亡き父の親友だと名乗るバーナバスと出会う。バーナバスは地下組織を率いており、都会で生きていくための盗みのスキルをピーターに教える。ピーターはバーナバスに父親の面影を重ね、彼に認めてもらうために悪さがエスカレートしていき、ついには妹たちや仲間を巻き込み、くだもの市場を襲撃することに……。
予告編
基本情報
出演:ドーナル・グリーソン/ローズ・バーン ほか
声の出演:ジェームズ・コーデン/マーゴット・ロビー/エリザベス・デビッキ/デイジー・リドリー ほか
日本語吹き替え版:千葉雄大/哀川翔 ほか
監督:ウィル・グラック
公開日:2021年6月25日(金)
製作国:アメリカ/インド/オーストラリア