志田彩良、凛々しさと優しさ溢れるその魅力:「ドラゴン桜」いよいよ最終回!

俳優・映画人コラム

「ドラゴン桜」より ©TBS

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現在、放送中のドラマ「ドラゴン桜」で、名門校の合格を目指す学生たちの中でも、屈指の秀才として、確かな存在感を放つ人物・小杉麻里。

彼女を演じたのが、人気急上昇中の若手女優・志田彩良だ。

2013年、『ピチレモン』の専属モデルとなり、2014年の短編映画「サルビア」で女優デビュー、わずか3年後の『ひかりのたび』では、長編映画初主演を果たした。

また、この秋、公開される『かそけきサンカヨウ』では、今泉力哉監督作品の主演にも抜擢され、今後の活躍が期待される注目女優の一人である。

近年の映画やTVドラマなどで、その演技が頭から離れない彼女の魅力について、今回は、過去に出演した今泉監督作品、ドラマ「ゆるキャン△」を中心に振り返っていきたい。

今泉監督作品を彩るナチュラルな空気感

近年の志田彩良の活躍を代表するのが、『愛がなんだ』、『街の上で』で知られる今泉力哉監督作品への出演だろう。

『パンとバスと2度目のハツコイ』、『mellow』、『かそけきサンカヨウ』といった3本の映画や、ドラマ『his〜恋するつもりなんてなかった〜』(中里洋一との共同監督)での出演。

また、同監督が手がけたマヒトゥ・ザ・ピーポー「失敗の歴史」のMVでは、彼女をフィーチャーした映像が制作されるなど、その存在は、いまや監督の作品において欠かせないものとなっている。

志田彩良が、監督の作品にこれほどまでに起用される理由。それは、彼女が持つナチュラルな空気感が監督の描く世界観にピッタリとハマっているからだといえる。

『パンとバスと2度目のハツコイ』より (C)2017映画「パンとバスと2度目のハツコイ」製作委員会

パンとバスと2度目のハツコイ』では、パン屋で働く主人公・市井ふみの妹で美大を目指す女性・二胡を演じ、まるで実の姉妹のように、和やかで落ち着いて会話をするさまが印象的だった。

とりわけ、「孤独」が一つのテーマとして描かれる本作では、劇中で最も主人公と物理的・精神的な距離の近いキャラクターが彼女となり、主人公の抱える「不安」を和らげる大切な存在となっている。

『mellow』より (C)2020「mellow」製作委員会

また、『mellow』では、田中圭演じる花屋の店主・夏目に恋心を抱き、同性の後輩から好意を向けられる中学生・浅井宏美を好演。

「好き」と伝えることの大切さを、人と人とがバトンを繋げていくように描いた本作では、作品が持つメッセージを浮き彫りにする重要な役割を、自然体な演技で表現していた。

このように、長回しや人物の会話劇を特徴とする今泉作品においては、彼女のナチュラルな空気感こそが作品を彩る良さとなっており、監督の産み出す心地よい世界観を支えてきたといえるのだ。

–{「his」「ゆるキャン△」で見せた活発的な一面}–

「his」「ゆるキャン△」で見せた活発的な一面

デビュー初期は、おとなしい役柄が印象的だった志田彩良だが、近年、出演したドラマ作品などでは、その対極にある活発的なキャラクターが増えた。

『his〜恋するつもりなんてなかった〜』より ©メ~テレ

ドラマ「his〜恋するつもりなんてなかった〜」では、実家のサーフショップに出入りする青年・渚に一途な思いを抱く女子高生・熊切千歌を熱演。

自身の恋心に向き合い、活発に行動していく千歌。とりわけ、彼女が表出する喜怒哀楽の演技が印象的だった。

悶々とした思いで布団にくるまる3話の可愛らしい姿から、涙ながらに渚へ思いを伝える最終回に至るまで、その魅力が凝縮された本作では、作品を引っ張っていく求心力が感じられる。

人気マンガを実写化した「ゆるキャン△」では、主人公・リンの友人で、人付き合いが苦手な彼女をサポートする斉藤恵那を好演。

その明るさから、ソロキャン女子のリンと野外活動サークルを繋いでいく重要な役どころを演じ、屈託のない笑顔で周囲を輝かせていく姿が印象に残った。

過去のインタビューでは、実際は明るい性格で、よくしゃべると語っていた彼女。

落ち着いた人物から好奇心旺盛な人物にいたるまで、異なる役柄を演じ分けながらも、彼女ならではの柔和な雰囲気が、多くの人々を魅了してきたのだ。

–{凛々しさと優しさを同居させる「ドラゴン桜」での熱演}–

凛々しさと優しさを同居させる「ドラゴン桜」での熱演

「ドラゴン桜」より ©TBS

現在、放送中のドラマ「ドラゴン桜」では、第6話で小杉麻里にフォーカスが当てられ、視聴者の注目を集めた。

この回では、「東大専科」の優等生・小杉麻里が父親から暴力を受けていたこと、その影響から、東大受験を諦めようとしていたことが明かされる。

「ドラゴン桜」より ©TBS

過酷な家庭環境で育った彼女を体現する迫真の演技は、多くの視聴者に感動を巻き起こした。

放送以前は2万人程度だったインスタグラムのフォロワー数が、この回を機転に今では9万人を超えるほどとなった事実からも、注目度の高さは窺い知れるだろう。

これまでの物語では、幼馴染みの健太を優しく支えながらも、「東大専科」のメンバーにはドライな態度をとることも多かった小杉麻里。

彼女が次第に心を開き、メンバーと仲を深めていく姿は微笑ましく、凛々しさと優しさを同居させた演技に、志田彩良だからこそ実現できる魅力を感じられるのだ。

「ドラゴン桜」より ©TBS

「ドラゴン桜」での大注目から、主演作『かそけきサンカヨウ』の公開を経て、今後、さらなる活躍が期待される女優・志田彩良

柔和な雰囲気から醸し出される彼女ならではの魅力と、さらに深まっていく演技の飛躍を、同世代のいちファンとして、今後も興味深く見守っていきたい。

(文:大矢哲紀)

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