「ドラゴン桜」より ©TBS
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TBS系列で絶賛放映中の「ドラゴン桜」第2シリーズですが、かつての第1シリーズから長澤まさみ、山下智久、新垣結衣、小池徹平、サエコ、中尾明慶といった当時の新進若手俳優が巣立っていったのと同様、今回も東大専科に入った生徒を演じる若手俳優たちには、今後の飛躍の期待が大きく込められています。
その中で、おそらくここ数年の日本映画を見てきたファンならば、早瀬菜緒役の南沙良の存在に注目していない人はほとんどいないことでしょう。
では彼女がいかに銀幕の中で輝き続け、今回の「ドラゴン桜」出演に至ったか、少し振り返ってみることにしたいと思います。
映画デビュー作にして天性ともいえる演技力を発揮!
南沙良は2002年6月11日生まれの東京都出身。
2014年よりモデルとしての活動を始め、そして三島有紀子監督の『幼な子われらに生まれ』(17)で映画デビューを果たします。
『幼な子われらに生まれ』 (C)2016「幼な子われらに生まれ」製作委員会
ここで彼女は母と再婚した義父(浅野忠信)につらく当たる長女を、まさに天性ともいえる卓抜した演技力をもって演じて映画ファンの間で話題になるとともに、こうるさい映画マスコミ連中までも大いに唸らせ、第60回ブルーリボン賞新人賞にノミネート。
続く湯浅弘章監督の『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18)は、蒔田彩珠とW主演にして映画初主演作となりました。
『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』より (C)押見修造/太田出版 (C)2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会
ここでは人前で上手くしゃべることが出来ない自分に悩み苦しみつつも、その歌声の美しさに魅せられた加代(蒔田彩珠)に誘われてバンド活動を始める志乃を演じています。
鼻水を垂らして号泣しながら自分の本音を自身の言葉で主張していくクライマックスの彼女は圧巻で、蒔田とWで第43回報知映画賞新人賞、第33回高崎映画祭最優秀新人女優賞、単独で第61回ブルーリボン賞新人賞、第28回日本映画批評家対象新人女優賞と立て続けに受賞し、改めてその力量が大きく評価されたのでした。
大崎章監督の『無限ファンデーション』(18)は内向的ながらも服飾デザイナーを夢見て演劇部の衣装を担当することになった未来(南沙良)とその周囲の友人たちの交流を描いたもの。
『無限ファンデーション』より
この映画は全編即興芝居で展開されており、南沙良も含めて演じる若手俳優陣のリアルが初々しくも好ましく抽出され映像作家とミュージシャンがコラボする映画イベントの2018年度「MOOSIC LAB」で上映された際に長編部門女優賞を受賞した作品でもありました(ちなみに原案楽曲「未来へ」を歌い、出演もしている西山小雨はベストミュージシャン賞を受賞)。
この後もオムニバス映画『21世紀の女の子』(19)松本花奈監督のパート〈愛はどこにも消えない〉、本木克英監督による『居眠り磐音』(19)は初の時代劇映画出演にして主人公・磐音(松阪桃李)の妹役、羽住英一郎監督『太陽は動かない』(21)では主人公らの若き日のエピソードに登場するヒロインを、廣木隆一監督のネットフリックス映画『彼女』(21)でもヒロイン・レイ(水原希子)の高校時代を演じるなど、コンスタントに映画出演を続けていきます。
坂本欣弘監督による主演映画『もみの家』(20)では、自立支援施設に入居して、そこでのさまざまな人々との出会いから少しずつ成長していく16歳の少女・彩花を好演していました。
『もみの家』より (C)「もみの家」製作委員会
最近ユニークだったのは竹中直人&山田孝之&齋藤工監督『ゾッキ』(21)で、ここでは「おならが臭い」と噂されて学校を休んでしまう京子ちゃん役。
『ゾッキ』より (C)2021「ゾッキ」製作委員会
最後、噂の張本人たる同級生の男の子(本当は彼女のことが好きなのに、いくつになっても男ってバカですね)にマジ切れするときの彼女の表情は、まさに恐怖!でありました。
–{南沙良を語る際に必須ともいえる「音楽」「歌」}–
南沙良を語る際に必須ともいえる「音楽」「歌」
このように映画で着々とキャリアを積み上げてきている若き才能・南沙良ですが、テレビドラマでも着実にその魅力を開花させていきます。
最初のテレビドラマはフジテレビの第30回ヤングシナリオ大賞受賞作「ココア」(19)で、環境も場所も異なる16歳の少女3人のひとり・灯役として、売れないギタリスト(渡辺大和)と不可思議な交流を育んでいきます。
ドラマ「ココア」より (C)フジテレビ
この後、NHKの信州発地域ドラマ「ピンボケの家族」(20)では、かつて“東洋のスイス”とも謳われたフィルムカメラの生産地・長野県諏訪地域を舞台に、亡き祖母の面影を求めて写真を探す主人公(泉澤祐希)と行動を共に死ながらお互いの悩みを共有していく女子高生・陽菜を健気に演じています。
コロナ禍で甲子園もロック夏フェスも中止になった2020年の夏、高校生たちの忸怩たる想いを綴った短編青春ドラマ「これっきりサマー」(20)では、その大半のシーンをマスク姿で演じていましたが、ソーシャル・ディスタンスの言葉の響きと共に、昨年度の思春期のリアルがさりげなくも巧みに描かれた好編でした。
大阪発ショートドラマ 「これっきりサマー」より ©NHK大阪拠点放送局
うつ病と必死に闘う棋士(安田顕)を主人公とする「うつ病九段」(20)ではその娘・春香を、ブラック企業のパワハラで亡くなった社員をめぐる人々の6つのエピソードを綴る「六畳間のピアノマン」(21)では最終エピソードのヒロインとして登場。
これら2020年に放送されたドラマすべてはNHK作品であり、2022年の北城義時(小栗旬)を主人公とする三谷幸喜脚本のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」には源頼朝(大泉洋)と北条政子(小池栄子)の娘・大姫役で出演することが決定しています。
/#大姫 役・ #南沙良 さん
のコメント
\#鎌倉殿の13人 #源氏 pic.twitter.com/3mN01fJZD0— 2022年 大河ドラマ「鎌倉殿の13人」 (@nhk_kamakura13) November 17, 2020
南沙良の映画&ドラマ出演作を振り返ると、どこかしら音楽と関連性のある作品が多いのが何やら象徴的な気もしないではありません。
『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』『無限ファンデーション』といった映画群はもとより、ドラマでもギタリストとの交流を描いた「ココア」や夏フェスが中止になって悔しがる少女を演じた「これっきりサマー」、そして「六畳間のピアノ」では劇中で彼女が演じる有村美咲が歌うオリジナル・ソング「私」が心打たれる名曲として話題になるとともに、CD化や配信を求める声が多数SNSなどで見られました。
『志乃ちゃん』でも透き通った素直で綺麗な歌声を披露していた彼女、これら以外にもキリン午後の紅茶CM「わたしらしいって、最強だ。夏」篇(19)でジュディマリ「Over Drive」を工藤遥、田中芽衣、こばしりとともにバンドを結成して披露。
同「世界で、いちばん、あったかい。冬 親子の絆」篇(19)ではJUJUの名曲「やさしさで溢れるように」をソロで熱唱しています(ちなみにこのCMでのお母さん役・山田キヌヲは「ドラゴン桜」で細田佳央太が演じる健太君の担任の先生を演じています)。
それ以前にも2017年には行定勲監督の演出でレベッカ「恋に堕ちたら」(17)ミュージックビデオに主演し、その後もsumika「エンドロール」(20)Vaundy「融解sink」に出演。
B’z「マジュステイック」を主題歌に起用した江崎グリコ「ポッキー」CM「何本分話そうかな」シリーズでは宮沢りえ&大倉孝二と共演し、またそのCM映像の一部は同曲PVにも使われていました。
このように南沙良の魅力を語るとき、「音楽」「歌」といった要素は今後どんどん必須になってくるのかもしれません。
(歌とは関係ないけど、現在放送中のカップヌードル「8つの味」CMも可愛いですね)
–{普通の女の子に挑戦した新境地「ドラゴン桜」}–
普通の女の子に挑戦した新境地「ドラゴン桜」
「ドラゴン桜」より ©TBS
さて、「ドラゴン桜」第2シリーズで南沙良は桜木(阿部寛)と水野(長澤まさみ)が主宰する東大専科に参加する生徒のひとり早瀬菜緒を演じています。
何不自由ない環境で育った明るい性格ながらも、どこか中途半端なまま日々を過ごしてきている自分を何とか変えたいと焦りつつ、なかなか思うようにはいかないという、ある意味どこにでもいるイマドキの高校生。
「ドラゴン桜」より ©TBS
これって意外に南沙良が今まで演じてきたことのない「普通」の女の子であり(本人曰く「自分とは真逆の女の子」とのこと)、その意味では新境地といえるでしょう。
エリートでも落ちこぼれでもなく、東大に行きたい明確な理由もないまま、しかし何かを見出したくて授業を受け続ける菜緒は、もしかしたら一番見る側に近く共感しやすいキャラクターなのかもしれません。
「ドラゴン桜」より ©TBS
第7話では「東大模試で合格の見込みがないと判断された者は専科をやめなければならない」という桜木の衝撃発言にプレッシャーを感じておののき追い詰められていく菜緒と天野(加藤清史郎)の焦燥が主軸となって描かれました。
中でもドラマの最後、全ての誤解やわだかまりがとけた彼女が思わず「てへっ」とわざとらしく照れ隠しをするシーンは、日本全国のサラ・ファンをノックアウトしてしまったようです。
(その後のSNSの反響のすさまじさよ!)
第9話では、東大に受かったら「東大生というものを愉しみながら、いろんな人と出会って、自分のしたいことを見つける」という、これまた多くの高校生が大学受験に際して思っているような目標を代弁してくれた菜緒=南沙良、最終回での彼女の合否が気になるところです!
おまけ
先日ふらふらネットサーフしていたら、無料web雑誌【旅色】公式チャンネルの中、南沙良が水木しげるの故郷でもある鳥取県南境港市をガイドする号のスペシャルムービーが出てきました。
その中でねずみ男ら妖怪たち(もちろん着ぐるみ)といきなり遭遇して仰天するシーンの可愛らしさに、いつもの天才的といえる演技とはまた大いに異なる素の魅力を垣間見ることが出来ました(これ、ファン必見です!)。
(文:増當竜也)
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