お待たせしすぎたかもしれない「全裸監督シーズン2」いよいよ配信スタート
AV業界の風雲児、放送禁止のパイオニアと呼ばれた村西とおるの半生をつづった同題ノンフィクションをあのNetflixがドラマ化し大ヒットした「全裸監督」。
そのシーズン2がいよいよ配信されます。
主演の山田孝之はもちろん、玉山鉄二、満島真之介、柄本時生、伊藤沙莉、リリー・フランキー、國村隼、そして村西のミューズとなったAV女優・黒木薫を演じた森田望智が続投するのに加えて、後に村西夫人となる乃木真梨子を演じる恒松祐里、宮沢りえ、増田有華、渡辺大地、石橋蓮司、MEGUMI、西内まりや、室井滋、吉田栄作、伊原剛志など新たに加わります。
「全裸監督シーズン1」でしがない英会話教材のセールスマンから何度も警察のご厄介になりつつもAV界の帝王にのし上がった村西が、「全裸監督シーズン2」では昭和の終わり、バブル経済の崩壊に合わせるがごとく転落していく様を描かれます。
完結編となる「全裸監督シーズン2」では一体どのような結末を迎えるのでしょうか?
「全裸監督」シーズン1を巻き戻し
ドラマ「全裸監督」は『100円の恋』の武正晴が総監督を務め、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』シリーズの河合勇人、『ミッドナイトスワン』の内田英治が演出を担当。四人の脚本家によるチームライティング方式を採用するなど、日本のドラマ制作では珍しい手法を取り入れるなど、Netflixは最初から世界配信を意識した形で作られました。
シーズン2でも引き続き武監督が総監督を務めています。
「全裸監督シーズン1」のあらすじ
北海道でしがない英会話教材のセールスマンをしていた村西とおる(山田孝之)は妻の不倫を機に離婚し天涯孤独に身に。そんな村西はトシ(満島真之介)と知り合いアダルトビジネスの世界に足を踏み込みます。
“ビニ本”の流通・販売で北海道を征すると、“ビニ本”時代に知り合った川田(玉山鉄二)の助力もあって、アダルトビデオメーカー“サファイア映像”を立ち上げ、全国に進出し業界の風雲児となっていきます。
村西の前には怪しげな警視庁の刑事の武井(リリー・フランキー)や、ヤクザの古谷(國村隼)、AV業界最王手ポセイドンの池沢(石橋凌)などが現れ、腹の探り合いを展開。
村西自身も猥褻図画販売などでたびたび逮捕され、ハワイでは総量刑・懲役300年を超える判決を下されるなど波瀾万丈な人生を送ります。
しかし、厳格な家庭に育ったものの、村西とおるのAVの世界に魅入られた黒木薫(森田望智)が現れたことで村西とおると“サファイア映像”は業界トップへの道を歩んでいきます。
アダルト関連、ダークサイド、アンダーグラウンドと言った異端のビジネスを取り扱っていると言うことやNetflixオリジナルドラマと言うこと、何よりそのタイトル自体のインパクトもあって、「全裸監督」は尖った作品の一つとして見られがちでした。
しかし、フラットな目線で見ると「全裸監督」は村西とおるという男の破天荒な成り上がりのドラマであり、時に奇手奇策に走り、時に正面突破の力押しで物事を進めていく姿を堪能するビジネスドラマに仕上がっていました。
–{そして、シーズン2開幕}–
そして、シーズン2開幕
そして、シーズン1から約2年の時を経て「全裸監督シーズン2」が2021年6月24日からNetflixで配信がスタートします。
主演の山田孝之以下、レギュラーキャスト、そして製作スタッフはほぼ続投して登場。
さらに垣松祐里、宮沢りえ、増田有華、渡辺大地、石橋蓮司、MEGUMI、西内まりや、室井滋、吉田栄作、伊原剛志など新たに加わります。
80年代からバブル景気の勢いに乗ったシーズン1の物語に対して、シーズン2は物語はバブル経済の崩壊、昭和の終わり、そして村西の暴走に人心が離れていく様を描かれます。
公私に渡ってパートナーであった黒木香との別離、そして新たミューズ=乃木真梨子(恒松祐里)との出逢いなどが描かれていきます。
村西が暴走していく~「全裸監督シーズン2」前半戦~
AV界の帝王、放送禁止のパイオニアとして王手メディアでも取り上げられるようなった村西は80年代の後半絶頂期を迎えていました。多くのスキャンダルを起こしながらも、公私に渡るパートナーとなった黒木香は単独でも多くのテレビ番組に出演し、売れっ子になり、村西の見事な広告塔になります。勢いに乗った村西は参議院選挙立候補までします。
しかし、村西がそれまで得た利益を湯水のごとく投資し、やがて破綻していくのが衛星放送ビジネスを知ったことで徐々に歯車が狂っていきます。
ビデオソフトの時代はいずれ終わると考えた村西は銀行員の本田(吉田栄作)に勧められるままにこの衛星放送事業にのめりこんでいきます。“空からエロが降ってくる”を売り文句に衛星放送の権限取得や設備投資を進めていきます。
しかし、その方針にこれまでビジネスパートナーとして村西を支えてきた川田が離反。それでも村西は“サファイア映像”を離れ、新たに“ダイヤモンド映像”を立ち上げ、衛星事業を束ねる海野(伊原剛志)の妨害にもめげずに衛星事業参入を推し進めていきます。
“ダイヤモンド映像”は多くの新人女優を発掘、その中には黒木香に憧れてやってきた(後の村西夫人・乃木真梨子)千葉ミユキ(恒松祐里)の姿もありました。
この暴走とも見れる様を見て刑事の武井やヤクザの古谷は半ば呆れたような顔をしています。またシーズン1で村西と袂を分かったトシは古谷の元に身を寄せ、そこで高級クラブのホステスのサヤカと出逢っていきます。
–{「全裸監督シーズン2」の前半戦の見どころ}–
「全裸監督シーズン2」の前半戦の見どころ
今回、機会に恵まれ、配信に先立って「全裸監督シーズン2」の前半部分を見ることができました。この前半戦を一言で表現するなら、破裂に向かっていく巨大な風船、熟しきって腐っていく寸前の果実を見ているという感じでしょう。
冒頭、参議院選挙の街頭演説に立つ村西の姿は怖いものなど何もないといった絶頂にたどり着いた表情を見せます。
公私に渡るミューズ黒木香は一般メディアでも大きく取り上げられ、その知名度は村西を上回る時もあるほどですが、この村西・黒木のバランスの乱れが後々効いてきそうな予感がします。また、後に村西夫人となる乃木真梨子が女優デビュー前のミユキとして現れ、ストーリーの中心に徐々に近づいていっているのも気になるところです。
一方で、自分よりスケールの大きく、自分の破天荒なやり方が全く通じないビジネスマンの姿を見て嫉妬することを隠さない村西の様子も描かれます。また自分より黒木香が売れっ子になっていくことにも心中穏やかではありません。
この嫉妬が野心を生み、衛星放送事業への過剰な投資を生んでいきます。
ビジネスパートナーな昔からの仲間たちとの距離も生まれ、それでも突き進んでいく村西、「全裸監督シーズン2」の前半戦ではこの後描かれるであろう大きな破綻の危険な前触れが念入りに描かれています。
果たして後半戦はいかに?
まだ解禁されていない後半戦のストーリーですが、予告編ではなんと宮沢りえの姿もあります。衛星事業の鍵を握る存在として重鎮の石橋蓮司とともに登場するようで、資金繰りのために彼らの前で土下座する村西の物語が描かれています。
「全裸監督」はフィクションの部分もありますが、基本的には村西とおるという人物の実際の生涯を基にしたものになっていて、そのことから考えると「全裸監督」の劇中の村西もまた衛星事業への過剰投資の結果、信じられないような大借金(300億円)を重ねて、大きく転落していくはずです。そのことを考えると「シーズン2」の前半戦のヒリヒリ感がより一層際立ってきます。村西とおるが果たして、どれだけダイナミックに人生を転落していくのか?6月24日の配信が待ちきれませんね。
(文:村松健太郎)