6月9日は、ドナルドダックの誕生日!ドナルドダックは、1934年6月9日に『かしこいめんどり』でスクリーンデビューして以来、多くの人々を魅了してきました。人気ぶりはミッキーマウスに劣らず、主役級の存在感を放ちます。
その証拠に、ディズニーリゾートでドナルド誕生イベントが開催されたり、ディズニーストアやshopDisney(ショップディズニー)で記念グッズが販売されたりしたことも。
この記事では、ドナルドダックの誕生日を記念して、ドナルドダックのプロフィールや誕生秘話を徹底解説します。
ドナルドダックのデビュー作『かしこいめんどり』とは
ドナルドダックは、1934年6月9日公開の『かしこいめんどり』に初登場します。
めんどりから畑仕事の手伝いを頼まれたドナルドは、「お腹が痛くて無理だよ」と仮病を理由に断ります。収穫後に「トウモロコシを食べるの手伝ってくれる?」と誘われ、態度を翻したドナルドが分け与えられたのは、腹痛の薬。めんどりとひよこたちがトウモロコシを食べる様子を、ドナルドは窓の外から口惜しそうに眺めるのでした……。
この作品でドナルドは、「最後にしっぺ返しを喰らうお調子者のアヒル」として、観客に強烈な印象を与えました。
ちなみに、当時のドナルドの外見は、小さな頭に大きなくちばし、細長い首や手足と、「アヒルらしさ」が強調されています。が、その後すぐに、現在に近い外見に変化しました。ドナルドの外見は、半世紀以上を経て表情や服装が若干変化しているものの、基本的にはデビュー当初から大きく変わっていません。
おさらい!ドナルドダックの6つの基本設定
ドナルドダックの本名は、ドナルド・フォントルロイ・ダック。
1934年6月9日にスクリーンデビューし、2021年6月9日で87周年を迎えながらも、「永遠の青年」なのだとか!そんなドナルドのプロフィールをおさらいしましょう。
1. 欠点を武器に人々を魅了する「愛されキャラ」
いたずら好き、怒りん坊、慌てん坊、自己中、お調子者……と、とにかく欠点が目立つドナルド。
© 2021 Disney ディズニープラスで配信中
ワッフル作りでベーキングパウダーとセメントを間違えたり(『ドナルドのお料理』1941年)、井戸の中で氷漬けにされたり(『ドナルドのアイス・ホッケー』1939年)と、「どうしてそうなる!?」とツッコミたくなるようなドジを次々とやらかしては、その度に大癇癪を起こし、最後は自滅。
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全身全霊で喜怒哀楽を表現するドナルドの姿はどこか健気で、憎めません。
本来、嫌われそうなキャラクターでありながら、その欠点を逆手にとって多くの人を惹きつけてきました。
2. 家系図グッズも販売されるほどの大家族
ディズニーキャラクターの中でとりわけ家族構成が作り込まれているのも、ドナルドの特徴。甥っ子のヒューイ、デューイ、ルーイ、伯父のスクルージ・マクダックをはじめ、ドナルドには多くの家族がいます。過去には、ドナルド一家の家系図も描いたグッズも販売されました。
3. 実は転職のプロ?
水軍をイメージした制服がトレードマークのドナルドですが、実は、郵便屋、マットレスモニター、ピザ職人……と、100種以上の職業を経験しています。
どの職業も性格が災いして長続きしませんが、次々と職にありつけるドナルドダックは、ある意味転職のプロなのかも?
4. デイジーダックは永遠の恋人
『ドナルドのメキシカン・ドライブ』(1937年)でドンナダックという名で初登場した彼女は、出演2作目の『ドナルドのダンス大好き』(1940年)で、初めてデイジーダックと呼ばれます。
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勝ち気な性格ゆえに、ドナルドと衝突することも多々あります。が、ドナルドを心配したり、励ましたりするシーンも多く、ドナルドにとって欠かせないパートナー、まさに「永遠の恋人」と言えるでしょう。
5. ライバルはチップ&デール
いたずら好きなシマリスコンビ・チップ&デールは、ドナルドのライバル。
ドナルドはチップ&デールと対峙するたびに、食べ物を奪われたり、怪我させられたりと、散々な目に遭わされます。
ドナルドとチップ&デールは、1940〜1950年代にかけて、16本のアニメで共演しています。中には、チップ&デールの寝顔に見惚れたドナルドが「あぁ〜、か〜わいい〜……」と漏らす、レアなシーンも。(『リスの汽車ごっこ』1951年)
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小憎らしさと可愛らしさを合わせ持つチップ&デールは、ドナルドにとって手強い存在なのです。
6. 誕生日が複数ある?
ドナルドの誕生日は、1934年6月9日と公式発表されていますが、アニメの中ではドナルドの誕生日が別日に設定されていることも。
13日の金曜日 説
ドナルド宛のバースデーカードに、「誕生日おめでとう、ドナルドダック、13日、金曜日。」という記載があります。
3月13日 説
『ドナルドの誕生日』(1949年)では、日めくりカレンダーの「3月13日」のページに「ドナルドおじさんの誕生日」と記されています。
–{ドナルドダックはこうして生まれた}–
ドナルドダックはこうして生まれた
ドナルドダックに期待された役割
実は、ドナルド誕生の背景には、ミッキーに関する「悩み」が関係しています。
ミッキー人気が高まった1930年代、ミッキーは世間が求める「ミッキー像」に縛られるようになります。子供の模範役を背負ったミッキーは、いたずらしたり、仲間にちょっかいをかけたりしづらくなってしまいました。
しかし、それではアニメとして面白くありません。そこで生み出されたのが、愉快な脇役たち。ミッキーの愛犬プルート、犬のグーフィーと、「ドタバタ劇」を展開し視聴者を惹きつける脇役が続々と誕生します。
1934年の『かしこいめんどり』で初登場したドナルドにも期待が高まり、二作目の『ミッキーの芝居見物』(1934年)でミッキーと初共演。ミッキーの短編シリーズ初のカラー作品『ミッキーの大演奏会』(1935年)では、ドナルドとミッキーの立ち位置がはっきりと描かれ、ドナルド人気が決定的になります。
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ミッキーのオーケストラに乱入し、妨害するドナルド。ミッキーに何度怒られても、懲りずにいたずらを続けるアヒルの姿は、観客を瞬く間に惹きつけました。
以降ドナルドは、170本もの短編作品に登場し、あちこちで暴れまわり、ミッキーを凌ぐ人気ぶりを博します。ドナルドの出演数は、ディズニーキャラクターの中で最多!
ちなみに、ドナルドの短編作品はアカデミー賞に9回ノミネートされ、『総統の顔』(1943年)で第15回アカデミー賞短編アニメ賞を受賞しました。第二次世界大戦の真っ只中に公開されたこの作品は、ナチス・ドイツを風刺したプロパガンダ作品として、有名です。
初代ドナルドダック「ガァガァ声」を演じたクラレンス・ナッシュ
ドナルドといえば、あの独特のガァガァ声を思い浮かべる方も多いのでは。
初代ドナルドの声を演じたクラレンス・ナッシュは、動物に囲まれて育ち、12歳になる頃にはニワトリやアヒル、豚など、様々な動物の鳴き真似ができるようになったのだそう。
実は、ナッシュがドナルドダックとして演じ続けた声は、子供時代のペットの子ヤギの声なのです。ナッシュは1985年に亡くなるまで、半世紀以上にわたってドナルドを演じ続けました。
現在2代目ドナルドを演じるトニー・アンセルモは、元々はディズニーのアニメーターで、3年間ナッシュのもとで修行したのだとか。このように、ドナルドに欠かせないガァガァ声は、受け継がれてきました。
※ちなみに、現在、日本語吹き替え版のドナルドを演じているのは、『アラジン』のジーニー役や『リロ&スティッチ』のスティッチ役でおなじみの、山寺宏一です。
甥っ子との駆け引きも見逃せない!
ドナルドの甥っ子ヒューイ、デューイ、ルーイは、『ドナルドの腕白教育』(1938年)でスクリーンデビュー。彼らはドナルドの姉・デラ・ダックの息子の三つ子です(デラ・ダックは行方不明…….!)。
ドナルドはいたずら好きな甥っ子に手を焼き、懲らしめたり、出し抜いたりしようとします。が、甥っ子の反撃を喰らい、駆け引きはヒートアップ。調子に乗ったドナルドが、危機一髪の状況に追い込まれ、「今助けるよ!ドナルドおじさん!」と甥っ子に助けられることもしばしば。もはや、どちらが保護者なのかわかりません。ヒューイ、デューイ、ルーイの登場によって、ドナルドの魅力(欠点)がますます浮き彫りになってしまうのです。
ちなみに『ダックテイルズ』では、ヒューイ、デューイ、ルーイに焦点が当たり、三つ子の性格がより緻密に描き分けられています。
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デビュー以来、数多くの作品で人々を笑わせ、夢中にさせてきたドナルドダック。
Disney+(ディズニープラス)では、そんなドナルドの短編作品を多数視聴できます。1930年〜1950年代のドナルドを振り返りながら、ドナルドの誕生日をお祝いしましょう!
(文:みまみさ)
参考図書
・小野 耕世 (1999)『ドナルド・ダックの世界像―ディズニーにみるアメリカの夢』 中公新書
・ディズニーファン編集部 (2021)『ディズニーアニメーション大全集 新装改訂版 』講談社
・『Disney FAN 2019年 08 月号』 講談社
・『祝85周年!ドナルドダックHappy Anniversary 公式ファンブック』株式会社KADOKAWA