「あのときキスしておけば」第8話までのネタバレ感想:桃地と巴、切なく優しい恋の行く末

国内ドラマ

 

松坂桃李が主演するテレビ朝日・金曜ナイトドラマ枠「あのときキスしておけば」が、2021年4月30日に放送スタートとなった。

「セカンドバージン」「家売るオンナ」など、数々の恋愛ドラマを手がけてきた大石静による完全オリジナル脚本の本作は、主人公の青年が出会って恋した女性の魂が見知らぬおじさんの中に乗り移ってしまったことから始まる異色のラブコメディー。

ポンコツで何かと不運に襲われる主人公・桃地のぞむを映画にドラマに大活躍中の松坂桃李が演じ、のぞむが恋する漫画家の女性・唯月巴を麻生久美子、巴と入れ替わってしまうおじさん・田中マサオを井浦新が演じる。

本記事では、毎週放送終了後に感想を記していく。

もくじ

・第1話あらすじ&感想

・第2話あらすじ&感想

・第3話あらすじ&感想

・第4話あらすじ&感想

・第5話あらすじ&感想

・第6話あらすじ&感想

・第7話あらすじ&感想

・第8話あらすじ&感想

・「あのときキスしておけば」作品情報

第1話あらすじ&感想

第1話あらすじ

『スーパーゆめはな』で青果担当として働く桃地のぞむ(松坂桃李)。何をしても鈍くさく不運な彼は、 運んでいたトマトをうっかりぶちまけても、清掃員の田中マサオ(井浦新)には舌打ちされ、手助けもしてもらえない。夢や目標も、まして恋愛願望もあるはずもなく…唯一の楽しみは、大好きな漫画 『SEIKAの空』を読むこと、というなんとも地味すぎる日常を送っていた。

 一方、『SEIKAの空』作者・蟹釜ジョーとして執筆活動に励む唯月巴(麻生久美子)。世間の人々 は“蟹釜ジョー”を男性だと思っており、ストーリー展開に悩んだり、ときにSNSでアンチから攻撃を受けたりしながらも、『週刊少年マキシマム』副編集長であり元夫でもある高見沢春斗(三浦翔平)のサポートを受けながら、人気を確固たるものにしていた。

 そんなある日、2人はまさかの出逢いを果たす。
スーパーのレジでクレーマーに絡まれていた桃地を、華麗なキックで救ったのは、なんと買い物途中だった巴。この出来事を機に、運命の歯車が回り始める――。

 以来、巴の正体が気になり、また会える日を心待ちにしてしまう桃地。数日後、偶然にも巴と再会を果たした桃地は、なぜかあれよあれよという間に自宅に招き入れられ、衝撃の事実を告げられる。
――「蟹釜ジョーは男じゃないの。私なの。」

 世界一尊敬する大ヒット漫画家を目の前にし、感動のあまり言葉を失う桃地。あまりにも純粋なファン心を買われたのか、突如巴に高額バイトとして雇われることになる。トイレットペーパーを買い出し、風呂を掃除し、食事を作り、電球を変え…時にご褒美として、まだ世に出ていない『SEIKAの空』の原稿を読ませてもらい涙する日々。
 セレブすぎる巴の生活に理解が追いつかない桃地だが、徐々にこの“シンデレラボーイ生活”にも慣れ始めた頃…2人の恋は、突然に終わりを告げる――。

なぜ彼女は、おじさんになったのか――。
たとえどんな姿でも、僕はあなたに恋をする。
果たして、桃地と巴の運命は…!?

第1話の感想:ポンコツ青年の平凡で退屈な日常の終わりの始まり

前クール「天国と地獄~サイコな2人~」で男女入れ替わりという設定があった今クールでも男女入れ替わりモノが登場。続くときは続く。しかし、当たり前だが、作品それぞれ、全く違う。今回は、ヒロインの中身が見知らぬおじさんの中に入ってしまい、主人公と恋をする……? という物語だ。

 主演の松坂桃李演じる桃地はスーパーで働くポンコツ店員。

トマトを運べば全部落としてダメにしてしまうし、クレーマーに詰め寄られてもおどおど。困っている人がいても助けられず、ただ、それを気にしないわけではなく、助けられなかったことを後で悔やんで落ち込む。

何をやってもうまくいかない、もしかして過去にがんばったことがあるけど報われなかったという経験があったりするのだろうか。

そんな桃地が愛してやまない漫画が『SEIKAの空』。その作者である唯月巴と出会い、なぜか家政夫として雇われるようになる。

あっという間に唯月の一挙一動に振り回されるようになる桃地。LINEの返信がなければ落ち込み、頼りにされれば表情も明るく、スーパーの仕事だってがんばっちゃう。言ってみれば素直な男なのである。でも、押し倒されてキスを迫れれば「そういうつもりじゃなかった」と言う。そういうつもりじゃなくてもキスぐらいしておけよ、と唯月にも言われるができないシーンに桃地という人格が凝縮されている気がする。

そんなふたりだけどなんだかんだでいい雰囲気になったと思ったら、飛行機事故で彼女を失うことに……。が、その魂は井浦新演じる田中マサオの中に。

大切な人の死だけで十分すぎるぐらい衝撃的なのに、見知らぬおじさんに自分はそのあなたの大切な女性なのだと名乗られたら控えめに言って気が狂う。

でも、桃地のことだから、そんな唯月のためにがんばってしまうんだろう。

ひたすらカッコイイ役もいわゆるクズな役も演じこなす松坂桃李だが、一番難しそうな「どこにでもいるっぽい人間」の役もハマる。唯月に「使用人も美しくないと」と言ってスーツに着替えさせられたところでそのスタイルの良さにハッとしてしまうけれど。変なパーカーもに合っちゃうからズルい。

+オタク的要素があると更にイキイキとしてくる。偶然、『SEIKAの空』の最新話を手にしてしまったときの様子、わかりすぎる……とりあえず身を清めてから読もうとするのもめちゃくちゃわかる。普段はおどおどしているのに、作品の魅力について語りだすと流暢になるのも、憧れの人を目の前にしたらちょっとばかり大胆になってしまうのもわかりすぎる!! そういう松坂桃李が見られるのも楽しいんだけれど、2話からは変わっていくのだろうか……それはちょっと寂しい。

脚本は「セカンドバージン」や「家売るオンナ」の大石静氏ということで、そのセリフ運びやどのようなラブコメが展開されるのか期待大である。

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–{第2話あらすじ&感想}–

第2話あらすじ&感想

第2話のあらすじ

初めての沖縄旅行に向かった桃地のぞむ(松坂桃李)と唯月巴(麻生久美子)だが、搭乗する飛行機がなんと事故に遭遇…!搬送された病院で目を覚ました桃地は、巴が亡くなった…というニュースを目にして茫然と立ち尽くす。

 そんな桃地に、泣きながら話しかけてきたひとりのおじさん(井浦新)。猛烈な力で桃地の腕をつかんだおじさんは、涙と鼻水を流しながらこう言った――「桃地、私、巴なの」。

 到底信じられるわけもない状況に、恐れ慄き、おじさん(=オジ巴)の腕を振り払い、逃げ出す桃地。しかしなんとそのおじさんは、東京に戻ってきた桃地の自宅までついてきて、半ば無理やり家に上がりこんできた…!?

 一方その頃、『SEIKAの空』を連載する『週刊少年マキシマム』編集部は、蟹釜ジョー(=巴)急逝の報に揺れていた。副編集長であり、巴の元夫でもある高見沢春斗(三浦翔平)は涙を隠して気丈にふるまいながら、蟹釜ジョーの訃報を世間に公表すべきだと主張。遺族でもある巴の母・妙(岸本加世子)の許可を取り、お別れの会なども計画しようという話も持ち上がっていた。

この“おじさん”は何者なのかー。
もしかして新手の詐欺なのか?僕は騙されているのではないだろうか…?

 勘ぐりながらもうっかり、巴と名乗るおじさんと同棲生活をスタートさせてしまう桃地。そんな中、突然訪ねてきた高見沢から、巴の葬儀の日程を知らされることに。 「私が本当に死んでるのか確かめたい」―そう頼み込まれた桃地は、巻き込まれるような形でオジ巴と共にお通夜に参列することに。

 しかし、なんと突然オジ巴が「ママ―!」と号泣絶叫して走りだしてしまい、お通夜は大パニックに…!?

果たして“変なおじさん”の正体とは…?
桜舞い散る中で、桃地が交わした“約束”とはー。

第2話の感想:こんな井浦新は観たことない?泣きじゃくり、「ママ!」と叫ぶ

俳優さんってすげぇなあ……と思わず感嘆の息が漏れた第2話。

 

田中マサオの体の中に巴の魂が入ってしまったところで終わった第1話。今回は桃地に自分が巴だと信じてもらおうと田中マサオ(中身は巴)が必死になる。

マサオの表情はまんま巴なのだけれど、そんなウソみたいな話、桃地が信じられるわけない。普通ならそんなことありえるはずないんだから。

姿はマサオになってしまったけれど、マイペースなのは巴のころのまま。なんだかんだで桃地は押し切られてしまう。

「本当に巴なのか? いやいや、こんなおじさんが巴のはずがない」と桃地の気持ちは揺れ動きまくる。蟹釜ジョーは何よりも大切な存在だったし、巴自身のことも好きになり始めていた(もう好きになっていた?)桃地としては強引に突っぱねることができない。何よりマサオの姿でダダをこねられると迫力がある。

 

必死にマンガの続きを描いている様子は巴を彷彿とさせるけど、寝ている姿はおじさんそのもの。中身が変わると寝相も変わったりするものじゃないんだろうか。パブリックイメージな「おじさん」の姿に観ている側もちょっとばかりショックを受けてしまう(だってマサオを演じているのはあの井浦新なのだから)。

さまざまな役をこなす井浦新だけれど、個人的にはどうしてもクールなイメージが強いから衝撃的だ。鼻水を垂らしながら泣きじゃくるのはともかく、かみそりで足を切ってしまった血が出ていると騒ぎ、母親には「ママー!ママー!」と泣き叫び、時には軽く拗ねて見せる。井浦新ひとりから発せられる情報量が多すぎる。

 

そんな中でちょっと意外だったのがマサオ(巴)が元夫の高見沢には全く頼ろうとしていないところ。マサオが自分は巴だと主張したところで冷静に通報しそうだからだろうか。味方になってくれたら頼もしそうだけれど、危険でもありそう……。一気にすべてを取り上げてしまいそうな決断力と発言力があるし。

高見沢はまだ巴を好きなのかな? という描写はちりばめられているけれど、実際のところどうなのだろう。「巴が信用した人だから自分も信用する」と桃地に対して言えるのは余裕の表れのような気もする(実際のところは信頼していない気もするけど)。

そもそも、巴が自分の存在を主張したいのは母親に対してだけのよう。1話では高見沢を頼りにしているように見えたけれど、そのあたりがはっきりしないので、今後の2人の関係にも注目していきたい。

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–{第3話あらすじ&感想}–

第3話あらすじ&感想

第3話あらすじ

桜の花びらが舞い散る中、弱々しく泣くおじさん=オジ巴(井浦新)の姿を目の当たりにしてしまった桃地のぞむ(松坂桃李)。そんなオジ巴が巴(麻生久美子)と重なって見えた桃地の中に、「このおじさんの言うことを信じてみよう」という気持ちが芽生える。

ちょっといい雰囲気になり、このままキス…!?というシチュエーションをそーっと回避したのがオジ巴にバレ、思いっきり蹴りを食らいながらも、2人は仲良く銭湯へ。その頃、桃地の勤務先『スーパーゆめはな』には、巴の元夫で『週刊少年マキシマム』の副編集長・高見沢春斗(三浦翔平)が現れ、同僚の李善善(うらじぬの)らから桃地の住所を聞き出そうとしていた。

銭湯からの帰り道、『週刊少年マキシマム』を買おうとコンビニに入店した桃地。残り一冊だった『週刊少年マキシマム』を、たまたま居合わせた男子高校生に譲ってあげた桃地だったが、なんとその男子高校生はオジ巴の“外身”、田中マサオ(井浦新・2役)の息子・優太郎(窪塚愛流)だった! 桃地と仲良く連れ立って歩く父親の姿に驚がくする優太郎だったが…?

アパートに帰ってきた桃地とオジ巴を待ち構えていた高見沢。「『SEIKAの空』第113話の原稿をストレージにアップしたのはあなたですか?」という高見沢の問いに首を振る桃地。するとオジ巴は、ストレージに上げたのは自分で、『SEIKAの空』は最後まで連載する、と宣言を! しかし「私が蟹釜ジョーなの」というオジ巴の言葉に、高見沢は耳を貸そうとせず…。

その後、巴の母・妙(岸本加世子)から合鍵を借り、巴の自宅に入った高見沢は、彼女が愛用していたタブレットがなくなっていることに気づく。「巴はどこかでまだ生きているんじゃないか」――そう考えた高見沢は、編集部や上司が止めるのも聞かず、巴を見つけ出そうと決意する!

一方、『週刊少年マキシマム』上層部によって、蟹釜ジョー急逝の発表がなされ、ショックを受けるオジ巴。妙のことが心配なオジ巴から様子を見てくるよう頼まれた桃地は、ひょんなことから妙の家に上がることになってしまい…?

 やがて、謎に包まれていた田中マサオの素性が明らかになる事態が…!

第3話の感想:加速する松坂桃李と井浦新のイチャイチャ!?

なんというか……濃厚。

 

もちろん、桃地と巴(マサオ)の話である。

一緒にお風呂に入ったり、腕を組んで歩いたり、足をひねった巴(マサオ)をおぶってあげたり。

3話まで来て、1話を見返してみると、巴ってもともと人との距離が近い。特に気を許した相手とは。それは姿がおじさんになろうとも変わらないのが巴の強さ、というか、人の目を気にしない。それにマサオの姿になってからのほうがのびのびとしていて、巴の魅力が出ているんだよなあ……。桃地がどんどん好きになっていっちゃうじゃないか。
腕を組まれてももはやまんざらではないような顔をしている。ただ、さすがに一緒にお風呂は抵抗があったようだ。自分の全裸を見られることに。恋人同士でもないのに一緒に入ることないですもんね……。

惚れた弱みなのかもはや、桃地は巴にダダをこねられたら渋々でもイエスを言うようになってしまっている。

 

一方で、元夫であり編集者の高見沢は、桃地が蟹釜ジョーの連載漫画のストックをストレージにアップしているのだと思い込んで、話を聞きに来る。桃地はもちろん否定、そして巴が「アップしているのは自分だ」と主張するが信じない。ですよね。

そんな高見沢が考えたのは、荼毘に付された遺体は別人のものだったのでは? アンチに怯えていたし、どこかに身を隠しているのではないか? というこちらはこちらでトンデモ推理を繰り広げる。三浦翔平に真面目な顔して言われると「そうかも……」と一瞬思ってしまうけど、ちょっと無理がある。まあ魂が別人の体に中に入ってしまうよりはありえそうだけど(そうか?)。

そして、巴側の事情ばかりが注目されていたけれど、魂が入り込まれた側の田中マサオにだっていろいろ事情はある。

桃地が働いているスーパーに巴(マサオ)は買い物に行くわけだが、もともと業者として出入りしていたわけだから、顔を知っている人がいて当然。

更に、巴が通っていたフラダンス教室の講師の夫がマサオだったという展開!
マサオの家族側からすると、突然夫がいなくなったわけだから穏やかじゃない。更にはそんな夫がケロッとして自分のフラ教室に入会したいとやってくれば面食らうのも当然だ。名前も違うものだし、性格は全く違うし、フラもうまいとくれば、妻は混乱必至。

巴の母、妙は桃地たちの言葉を信じてくれたけれど、果たしてほかの人たちは……?

 
それにしても、マサオの息子役の窪塚愛流さんのお顔が美しいな……。

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–{第4話あらすじ&感想}–

第4話あらすじ&感想

第4話あらすじ

捻挫したオジ巴(井浦新)をおんぶして歩いていたところ、突如背後から叫び声が…!
おそるおそる振り返る桃地のぞむ(松坂桃李)の仁王立ちしていたのは、なんとオジ巴の“外身”=田中マサオ(井浦新・二役)の妻・田中帆奈美(MEGUMI)だったー。

おんぶにいたるまでのイチャイチャもすべて目撃されていたようで、「桃地と自分の夫が不倫をしている」「2人で駆け落ちするために家を出たに違いない」と勘違いしてしまう帆奈美。必死の弁明もむなしく、オジ巴は強引に田中マサオの家に連れ帰られてしまう…。

オジ巴不在の生活に、思っていた以上に寂しさを感じる桃地。そんな彼の前に、今度は唯月巴(麻生久美子)の元夫で『週刊少年マキシマム』の副編集長・高見沢春斗(三浦翔平)が現れる。巴がまだどこかで生きているのでは…と疑う高見沢は、「蟹釜ジョーがどこにいるのか教えてほしい」と、まさかの土下座…!?「あのおじさんが蟹釜先生なんです」と何度も説明するも信じてもらえず、しまいには桃地も土下座をする珍妙な状況に…!?

一方、“田中マサオ”のフリをして田中家に帰ったオジ巴は、息子の優太郎(窪塚愛流)と鉢合わせし、マサオの残した“遺書”のような日記も発見し、更にはマサオと帆奈美の夫婦に隠された“秘密”を知ることに…。

そんな中、急遽デートに出かける桃地とオジ巴!
原宿の竹下通りで、クレープを食べ、バナナジュースを飲み…スーパーゆめはなの仲間たちの助言通りにプランを進める桃地だが、不測の事態の連続で…!?

第4話の感想:マサオがいないとダメな体になってしまった桃地が心配

田中マサオの妻という女性が現れ、マサオは桃地の家ではなく、本来の家へ……。

久しぶりに一人の時間を満喫しようとする桃地だが、すっかり2人での生活に慣れてしまっていたよう。

 

「先生に命令されないと生きていけない……」

 

桃地……君ってやつは……(声にならない言葉)

一方、マサオ(巴)は自宅でマサオがどうして沖縄行きの飛行機に乗っていたのかを推測。マサオは死ぬつもりだった?

さらには、視聴者も気になっていた本来のマサオの魂はどこへ? ということにもついに触れられる。

巴の魂がマサオの中に入り、マサオの魂が別の誰かに入っている? でもそうすると、あの飛行機に乗っていた人間の中で魂の玉突き事故のように、魂と体が一致しないというケースが頻発していることになる。

結果的に、マサオ(巴)は妻の帆奈美に自分は本来のマサオではないことを信じ込ませる。マサオがどうして死のうとしていたのか、具体的な理由は告げられていなかったけど、帆奈美の本来の気持ちを知らないままこの世から消えてしまうようなことがあったのだとしたらそれはあまりにも寂しすぎる。

 

一方、巴を激しく求め続ける高見沢。桃地が巴の居場所を知っていると信じて疑わない。桃地のスーパーまで来て土下座をして居場所を教えてくれと頼みこむ。それに対し、マサオが巴であると信じてくれと土下座で返す桃地。何をしているんですか、君たちは……。

しかし、さすが元夫であり、担当編集。マサオ(巴)がマンガを描いている姿を見たら一発で信じてしまう。見た目がおじさんであることなど厭わない。勢いよく抱きつき、そのまま押し倒す。

ここで初めて桃地は巴と高見沢が元夫婦だと知ることに。

 

え……っ。知らなかったんだっけ……。

 

というか高見沢は恋愛するとキャラクターが変わるタイプ? 熱烈だな、おい!

それにしても、巴の母に信じてもらえて、マサオのほうの誤解は解けて、高見沢にも真相が明らかになったらとりあえずは日常生活に不便がなくなるのでは? 元の自宅にも戻れるわけだし。

……と思っていたら、どうやら来週から高見沢と桃地の恋のバトルが勃発するらしい。ぬるっと今の巴は桃地が好き、ということになっていたけれど、今回の様子を見ていると高見沢が大事(好き?)という気持ちも今はあるのは分かる。どうなるんだ、この恋の行方……!

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–{第5話あらすじ&感想}–

第5話あらすじ&感想

第5話あらすじ

オジ巴(井浦新)が“唯月巴(麻生久美子)=蟹釜ジョー”であるという事実に、ついに気づいた高見沢春斗(三浦翔平)。そのまま熱烈にオジ巴を連れ去ってしまい、ひとりアパートに取り残された桃地のぞむ(松坂桃李)は、ぼう然とする。  巴と高見沢が元夫婦だったこと、しかもお互い嫌いになって別れたわけではないこと…もわかってしまい、桃地は初めて、自分の心の中に“もんもん”とした感情を覚える。

翌日、高見沢は“蟹釜ジョーが生きている”と世の中に公表すべきだと息巻くが、『週刊少年マキシマム』の編集長・生馬忠士(角田貴志)らは全く信じようとしない。さらに、高見沢の熱烈な愛はとどまることを知らず、ついには休日にはオジ巴を“復縁デート”に誘いだし…?

一方、『スーパーゆめはな』でも、オジ巴と高見沢のことが気になり、奇怪な行動を繰り返してしまう桃地。常軌を逸した桃地の様子を心配した、郷田ひと子(猫背椿)ら仲間たちに、その気持ちは“嫉妬”だと指摘され、“本気で好きなら諦めるな”と背中を押された桃地は、なんと高見沢に堂々とライバル宣言。
「もともと俺の妻だった。これ以上、巴に近づくな」
「イヤです。いまは…僕のものですー!」
 ついに、オジ巴を巡り、地獄の三角関係バトルが幕を開ける…!

人生初めての“やきもち”に、戸惑い、翻弄される桃地。
元夫でもある高見沢は、強敵として立ちはだかり、ついにはフラダンス対決にまで発展!?
ありのままの君でいい、それなのにー。

果たして、恋の三角関係の行方は…!

第5話の感想:マサオ(巴)を巡って桃地と高見沢の恋のバトルが開幕!

 恋は人を変える。

 
 高見沢という恋のライバルが現れたことで、桃地が開眼。堂々と高見沢に言い返し、恋の戦いを挑む。少しでも高見沢に勝とうと巴の母に料理を習いに行ったり……かと思えば、田中マサオ(巴)に向かってタンカも切っちゃう。そのあとに「やっちゃった……」と崩れ落ちるところも含めて桃地が愛おしすぎる。気持ちが暴走してしまいがち。止まらない想いに、桃地本人も持て余しているよう。
 

 高見沢は高見沢で田中マサオ(巴)に対して必死。元夫の知識を活かして巴が好きな食べ物をお土産に買ってきて、巴が好きなお店を予約し、元担当編集者として巴と作品を守ろうと奮闘する。たぶん、高見沢はとっくに巴が桃地を好きだなんていうことに気がついている。だからこそ、桃地を遠ざけようとするし、がむしゃらなのである。

 とは言え、巴の魂が別の人間(男性)に乗り移って……という話を編集部の人間が信じてくれるはずもない。高見沢の異変に編集部は頭を抱えるが、それでも彼を突き放したりしないのは、彼が有能で、編集部に必要な人間だからだろう。これまでの仕事ぶりがうかがえるが、そんな信頼までも投げ出して巴と一緒にいようとする高見沢……。なんというか、大切な人がいつまでもいてくれるとは限らない、なら、生きているうちに尽くそう、ということに気がついてしまった、という感じがしてちょっと胸が疼く。

 2人の男に取り合われることとなった巴はというと、田中マサオの妻・帆奈美とすっかり意気投合。桃地が全然気持ちを分かってくれない! と愚痴り、お茶をして女子トークを繰り広げている(ヒロインの仲の良いポジションにMEGUMIさんがいると安心するのはなんでだろう)。

 しかし、田中マサオ(巴)も呑気にはしていられない。作者逝去により連載は打ち切り、そして高見沢から情熱的なメッセージとキス。更には桃地がその現場を目撃……。どうなるんだ、三角関係。

 田中マサオin巴の状況は長くは続かないはず。なんとなく、桃地視点での本来の巴の登場が増えているように思うんだけれど、それは気のせい?

 巴の魂を愛し、生前とは異なる器ごと受け入れようとする高見沢と桃地。巴が生き返るのが一番だけれど、本来の肉体はもうない。マサオの肉体に、マサオの魂が戻ってくるのも、帆奈美や息子の優太郎にとってはベストだけれど、死のうと考えていたマサオの気持ちは癒されているのか。

一体、どんな結末が全員にとってハッピーなのか、考え出すと止まらない。

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–{第6話あらすじ&感想}–

第6話あらすじ&感想

第6話あらすじ

「やりなおそう俺たち、愛してるー。」
オジ巴(井浦新)が元夫である高見沢春斗(三浦翔平)とキスする瞬間を、目の前で目撃してしまった桃地のぞむ(松坂桃李)は、ショックのあまりその場から走り去る。必死で追いかけて弁明をするオジ巴だが、桃地はアパートにこもり、固く扉を閉ざしてしまう。

一方、ついにオジ巴は『週刊少年マキシマム』の編集部に乗り込み、「自分が蟹釜ジョーだ」と直訴。突如現れたサングラス姿のおじさんに、編集長の生馬忠士(角田貴志)ふくめ一同が唖然。絶筆となったはずの『SEIKAの空』の再連載を巡って、運命の歯車が再び激しくまわりはじめる。

また、田中マサオ(井浦新・二役)の家族との関係にも変化が…。帆奈美(MEGUMI)はついに、息子の優太郎(窪塚愛流)に真実を打ち明けることを決意。“父親の身体の中に、蟹釜ジョーがいる”と知った優太郎は、衝撃に打ちのめされるも、まさかの弟子入りを志願することに…!?
 更にオジ巴は、田中家の今後を見据え、帆奈美に“ある約束”を提案する。

そんなある日、桃地はスーパーゆめはなで、同僚・水出(阿南敦子)のスマホをたまたま見てしまい、彼女の正体が蟹釜ジョーの激しいアンチ“マディウォーター”であることを知ってしまう。いつも優しい彼女が一体なぜ・・・?理解できないまま、桃地の脳みそはキャパオーバーしてしまい…。

しかし、突如事態は急変する。
倒れるオジ巴。
桃地はついに知ることになる。
僕たちの恋には、タイムリミットがある―?

第6話の感想:桃地はやっぱり今日もキスができない

この恋は恋愛初心者にはハードルが高すぎるかもしれない。

 

 高見沢と田中マサオ(巴)がキスしている場面に出くわしてしまった桃地。ショックとパニックのまま家を飛び出す。

 追いかけようとするマサオを遮る高見沢。高身長同士の男性の壁ドンは迫力がある。そして高見沢はマサオを寝室に連れ込む。だ、大胆……! でも同意を得ていないのにそういう行為は犯罪だと思います、高見沢さん! 当然、そのまま流されるマサオ(巴)ではない。高見沢を蹴り上げて桃地を追いかける。

 

 最初はマサオを家に入れようとしない桃地だけど、マサオ(巴)は諦めない。鍵が開いている窓から侵入し、桃地に謝り、逆ギレし「好きになったら好きなんだから!」と連呼する。感情の起伏よ。その前にそんな大声で話してご近所迷惑じゃないか、大丈夫か。

 もちろん、桃地も巴のことが好きだ。「好きになって」と言う巴に対し、桃地はキャパオーバーだと嘆く。巴自身も恋愛をする相手としてはなかなかの強敵だろうし、おまけに今は非常事態。強力なライバルもいるし、桃地がそう言うのも無理はない。

実際、桃地は何度もくじけそうになっている。でもそのたびに巴が追いかけてきてくれるからここまで来られた。とりあえず、雨降って地固まるではないけれど、どうにか「恋人」という関係に落ち着く。恋人って何をすればいいのかググる桃地、かわいい。

 

 今回はある意味、ひとつの解決回だったと言えるかもしれない。桃地とマサオ(巴)の関係の成立、『SEIKAの空』の連載続行、田中マサオの家族の問題、アンチと桃地の対決。まぁるく収まって、田中マサオin巴の生活が整えられていく。マサオ=巴となってからの周りの順応力が高くてよかった。特に編集部。

 しかし、巴は「急かされているような気がする」と言って『SEIKAの空』の執筆に没頭する。早く最終回まで書かなければ。時間がない気がする――。

 そしてその変化は巴の誕生日にやってくる。ついに桃地がキスをしようとしたその瞬間、マサオの魂が覚醒する。ちょっと忘れかけていたけど、井浦新さんってそういう感じの発声でしたね、とハッとしてしまった。渋み。

 

 つまり、マサオの魂は巴の魂に弾き出されてしまったわけではなく、巴の魂に抑えられていた、ということになるのだろうか。肉体を失った魂は時間が経つと力が弱まっていくような、そんなイメージがある。時間が経つにつれて、巴の魂が弱ってきた? マサオの魂が戻ってくるということは、巴の魂は……。

 そして、またキスをし損ねた桃地。本当に、あのときキスをしておけば。

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–{第7話あらすじ&感想}–

第7話あらすじ&感想

第7話あらすじ

「巴さんが好きです」
やっとその言葉を口にした桃地のぞむ(松坂桃李)は、ベッドの上でオジ巴(井浦新)に覆いかぶさり、ついにキスを………しようとしたその瞬間。オジ巴の口から思いもよらない言葉が飛び出す。
――「誰だ、お前。」

そのまま突き飛ばされ、ベッドから転げ落ちる桃地。「ここは沖縄なのか?」「俺は死んだのか?」とうろたえるオジ巴の姿を見て、脳裏にある事実が浮かび上がる。
まさか、田中マサオ(井浦新・二役)が、帰ってきた…?

動揺のままに肩を掴み、「巴さん!蟹釜先生!」と叫ぶ桃地の剣幕に慄いたマサオは、その腕を振りほどき、裸足のまま巴(麻生久美子)の家から逃げ出してしまう!
あの日、自ら命を絶とうと沖縄に向かっていたと思われるマサオ。いま彼に死なれてしまったら、二度と巴には会えなくなってしまう――!?焦った桃地は、なぜかライバル・高見沢春斗(三浦翔平)、そしてマサオ本人をよく知るエグゼクティブ真二(六角慎司)を呼び出し、共にマサオを探すため、夜闇を走りだす――。

ほどなくして発見されたマサオは、またも突然、オジ巴に戻る…!
マサオの魂はオジ巴の中で生きている――だとすればこの先、どうなってしまうのか?不安を抱いたオジ巴は、とにかく『SEIKAの空』を書かなくては、と執筆作業に没頭しはじめる。
一体何をきっかけに“巴とマサオ”は入れ替わるのか。桃地と高見沢は“入れ替わりの法則”に思案を巡らせるが、答えは出ぬまま時は過ぎてゆき…。

次第に増えていく「マサオ」としての時間――。
マサオには帆奈美(MEGUMI)、優太郎(窪塚愛流)という家族がいて、幸せを願わねばならならないとわかりつつも、葛藤する桃地。
そんなある日、『SEIKAの空』の連載に穴が空くことを懸念した高見沢と木之崎眞(藤枝喜輝)は、なんとか「オジ巴」に戻って来てもらうべく、一縷の望みをかけて、なぜかマサオを銭湯に連れ出し…!?

これは神様がくれた奇蹟…?
迫るタイムリミット、僕と彼女に残された時間は、あと僅か。
最後に、君に伝えたいことがある――。
果たして、桃地と巴は、あのとき出来なかった“キス”をすることができるのかー?

第7話の感想:最後が近づいている? 桃地と巴の恋

困った、どんどん、桃地がカッコよくなっていく。

田中マサオの体に“マサオ”の意識が戻ってきた。それも、桃地とキスする直前に。そしてマサオはパニックに陥る。そりゃあそうだ。マサオの意識は沖縄行きの飛行機の中で止まっているはず。気がついたら、知らない家のベッドで男性に組み敷かれているのだから。
しかし、すぐに「殺そうとしていたのか」と聞くのがすごい。キスされる可能性よりも、殺される可能性のほうを先に思いつくものなのだな、と妙なところで感心してしまう。

最初は死ぬ気満々だったマサオ。巴の意識が戻ったことでピンチを乗り越える。しかし、今度はいつまたマサオの意識が戻ってくるか分からない。もしかしたら、そのまま巴が戻ってこない可能性もあるのではないか、と桃地は怯えるようになる。
桃地としても複雑なところだ。マサオの家族と仲良くなってしまった。彼らに悲しい思いをさせたくない、という気持ちもある。そして2度目のマサオの覚醒はフラダンスのレッスン中だった。つまりそこには妻の帆奈美がいるわけで……。巴はずっと笑顔でマサオ(巴)と過ごしていたが、本当はずっと悲しかった、寂しかったはずだ。そこに夫はいるのにいない、受け入れがたかったはずの現実。

3度目の覚醒では、帆奈美から事情を聞いていたこと、巴からのメッセージ(顔と腕に油性ペンで書き残していたのはさすが)で、桃地とも冷静に話をすることができた。お金の問題が解決したから妻が穏やかに接してくれていたのだとマサオは勘違いしていたが、決してそんなことはない。ただ、マサオがちゃんと話をしようとしていなかったから、すれ違っていただけ。そのわだかまりを巴がほどき、再び、家族の愛情を戻したのだ。

少しずつ、マサオがマサオでいる時間が長くなっていく。高見沢は巴に戻ってきてほしい、と思うが、桃地は思っていても口に出すことはできない。巴が戻ってくることは、マサオがいなくなることで、帆奈美たちに再び悲しみを与えてしまうから。それは巴の母、妙も同じ気持ちだった。
巴の突然すぎる死。後悔を残さないために、神様が特別に用意してくれたギフトだったのか……。

迫るタイムリミットの中、再び、巴の意識が戻る。巴は限られた時間はマンガに集中したいから、と別れ話を切り出すが、桃地はそれをきっぱりと断る。別れてしまったら、もう二度と会えないかもしれない。ようやく、桃地と巴はキスを交わす。美しい夕日の中、重なるシルエットの切なさと言ったら。以前の桃地なら、巴からの別れ話に不満を持ちながらも受けいれていただろう。
少し強くなり、自分の気持ちを伝えることができるようになった。それは間違いなく巴のおかげだ。
しかし、巴との時間はもう、残されていない。

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–{第8話あらすじ&感想}–

第8話あらすじ&感想

第8話あらすじ

「好きです、好きです、愛しています」
ついにプロポーズを果たした桃地のぞむ(松坂桃李)は、輝く夕日の中、そのまま唯月巴(麻生久美子/井浦新)と初めてのキスを交わす。

あのとき出来なかったキスー。
しかしこれが、桃地がオジ巴に会った“最後の時間”となった――。

そんな事実には露ほども気づいていない桃地は、スーパーに戻り、キスを果たしたことを『スーパーゆめはな』の仲間たちに報告。大はしゃぎする面々、その事実はあっという間に高見沢春斗(三浦翔平)にまで伝わり…?

そんなある日、高見沢から『SEIKAの空』が最終回まで一気にアップされていると電話が入る。気づけば最後にキスをしたあの日から、オジ巴は現れず、ずっと田中マサオ(井浦新)のままだという事実に気づく桃地。
浮かれた気分は一転、嫌な予感がよぎった桃地は慌てて巴の自宅へ向かうが、そこに巴の姿はなく、部屋はきれいに片付けられていて…?

一方その頃、妙(岸本加世子)や高見沢、東源出版の生馬(角田貴志)のもとに、突然ハイテンションなオジ巴が現れて…。

なぜ彼女はおじさんになって、この世に舞い戻ったのか…?
すべての秘密がいま、明かされる。

「巴さんに会いたい…!これでお別れなんて嫌だ…!」と奔走する桃地。
別れはいつも突然で。
ごめんねも、ありがとうも、大好きも。伝えたくても伝えられない―そんな日は突然やってくる。あのとき愛していると伝えておけば―。

果たして、桃地と巴が迎える恋の結末はー? 奇跡の愛の物語、ついに完結―。

第8話の感想

金曜の夜に、尊いものを見た。

自分の気持ちを伝え、ようやく巴とのキスをした桃地。スーパーゆめはなの面々に報告すると、大きな祝福を受け、そのまま結婚式をすることに!あっという間に情報は拡散され、「余興は仕切る」という高見沢。週刊マキシマム編集部も巻き込み、全員でフラダンスをする計画も立てられ、レッスンも始まる。これまで、桃地が出会ってきた人たちが総出で作る桃地と巴の結婚式。そんな幸せの傍らで別れのときは確実に近づいてきていた。

キスの日以来、巴と会えない。

大切に人たちに別れを告げに行くかのように、マサオ(巴)は高見沢と母・妙の元に行く。しかし、そのときはタッチの差で桃地は巴に会えずじまい。

いつまでも会えないことに、桃地は予感し始めていた。もう巴と会えないかもしれない。
桃地は周りの人に迷惑をかけないように、結婚式の中止を決意する。いつ現れるか分からない巴を待って、そのためにほかの人たちの時間を取るわけにはいかない、という桃地らしい優しさだ。

しかし、桃地が無理をしていることを全員が知っていた。そんなときにマサオが見つけた桃地から巴へのメッセージ。愛にあふれすぎていて辛い……マサオがそのメッセージを見て自分に何かできることはないかって帆奈美に相談しているところが愛……。そして高見沢も動き出す。桃地を思って、計画されたのはサプライズの結婚式だった。

桃地の前に現れたのは巴の意識を取り戻したマサオ。そんなマサオと一緒にバージンロードを歩き、みんなから祝福を受ける。幸せな瞬間だが、違和感を覚えた視聴者もいるはず。この巴は本当に巴なのか?

2人きりになったところで桃地は問いかける。「マサオさんですよね?」そう、マサオが巴のフリをしていただけなのだ。穂奈美と一緒に“巴の練習”をしていたという。確かに本物の巴よりテンションが少し低い(いや演じているのは変わらず井浦新さんなんだが)。

桃地がそれで怒るはずもない。みんなが自分のためにやってくれたことなのだから。ただ、叶えたい思いはたったひとつ。巴に会いたいということだけ。

お願いとして、桃地はマサオにキスをさせてほしい、という。さすがに少し戸惑いつつもマサオは桃地のお願いを受け入れる。いろんな優しさに、神様が少しだけおまけをくれたのかもしれない。巴が戻ってきた。2人が自分の想いを伝えあうシーンは温かく、そして少し寂しい。

 突然訪れる死は、大切な人に別れを告げることもできない。巴は運よく現世でのボーナスタイムを手に入れることができた。その時間があることをラッキーと思うかどうかはきっと人による。けれど、巴が時間を得たことは、たくさんの人たちに幸せをもたらした。

大切な人がいなくなっても、残された人たちの生活は続いていく。忘れられるはずがない。去った側は忘れてほしくないという気持ちと同時に、忘れて幸せに過ごしてほしいという気持ちの間で葛藤する。忘れてほしくないという人がいるのは幸せだ。だからこそ別れは辛い。悲しみと幸せはいつも表裏一体で、より大きな悲しみを知っている人は幸せも知っている人、なのかもしれない。

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–{「あのときキスしておけば」作品情報}–

「あのときキスしておけば」作品情報

壊滅的にポンコツで、夢もなく覇気もなく生きていたスーパーの従業員・桃地のぞむ。
唯一の趣味が漫画を読むことだった桃地は、ある日、大好きな漫画の作者・唯月巴と出会い、お近づきに…。
なんやかんやといい感じになり始めた矢先、彼女は事故で帰らぬ人になってしまう!
涙にくれる桃地の前に現れた見知らぬおっさんの口から出たのは衝撃的な言葉だった!
「モモチ、私が巴なの」
え、僕の大好きな彼女はおじさんの中に入ってしまったの…?
松坂桃李主演、恋愛ドラマの名手・大石静が描く前代未聞の“入れ替わり”ラブコメディー、開幕!

放送日時
2021年4月30日(金)スタート。毎週金曜夜23:15~

放送局
テレビ朝日系24局 (※一部地域で放送時間が異なります)

出演
松坂桃李
麻生久美子
井浦新
三浦翔平
岸本加世子
MEGUMI
猫背椿
六角慎司
阿南敦子
うらじぬの
角田貴志
藤枝喜輝
川瀬莉子
板倉武志
窪塚愛流

主題歌
「愛しい人」/SUPER BEAVER(Sony Music Labels Inc.)

オープニングテーマ
「幸福なわがまま」/三月のパンタシア(Sony Music Labels Inc.)

脚本
大石静

演出
本橋圭太
日暮謙
Yuki Saito

音楽
河野伸

ゼネラルプロデューサー
三輪祐見子(テレビ朝日)

プロデューサー
貴島彩理(テレビ朝日)
本郷達也(MMJ)

制作
テレビ朝日
MMJ

公式HP
金曜ナイトドラマ『あのときキスしておけば』|テレビ朝日 

動画配信
EPISODE 01|テレ朝動画 
あのときキスしておけば – TELASA(テラサ):映画・ドラマ・アニメが見放題! 

公式Twitter
【公式】あのときキスしておけば(金曜ナイトドラマ)さん (@anokiss2021) / Twitter 

キャスト/スタッフ コメント

松坂桃李 コメント

台本を読んだ時、これは新しいジャンルの作品だ。予測のつかない面白さが生まれる気がしました。正直、一体どういうことなんだろう?と何度も読み返しては読み進める、そんな本でした。
麻生さんとは大河ドラマ以来の共演ですが、コミカルなお芝居もシリアスなお芝居も魅力的に演じ分ける方なので、この作品においても信頼できるヒロインになって下さると思っています。井浦さんとは初共演なので未知数です。これまで様々な作品で目にしてきた井浦さんとも違う新たな井浦さんのアプローチが見られそうで、今からどう立ち向かおうかと試行錯誤しています。
誰しも人生で一度は「あの時、こうしておけばよかった」と思う瞬間を経験しているのではないでしょうか。そんな瞬間を柔らかくポップに皆様にお届けできるように作り上げていきたいです。そして、井浦さん演じる田中マサオと麻生さん演じる唯月巴を桃地として全力で愛していけたらと思っています。

麻生久美子 コメント

台本を読んでまず、設定が非現実的で面白く、二人で一人の役を演じるということも新鮮で惹かれました。圧倒的な才能の持ち主でセレブの女性が、中年のおじさんの中に入ってしまうことで起こるさまざまな出来事。それが面白くもあり、切なくもなるというストーリー展開が素晴らしくて、今は先が気になって仕方ありません。
私が演じる唯月巴は強さと弱さを併せ持った、才能溢れる天才。その人物を私と井浦新さんの二人で演じるという新たな挑戦をします。“二人一役”という、共同作業が必要になりそうなところもまた私にとっていい経験になると思いますし、キャラクターに深みが出そうで楽しみです。今まで演らせていただいたことがない役ですので、思い切って振り切って演じたいと思います。
松坂桃李さんとは大河ドラマ『いだてん』で少しだけ、井浦さんとは映画・舞台・ドラマなどを経て今回また久しぶりにご一緒します。長身なお二人の恋愛模様がどのような感じで描かれるのか楽しみですよね。
コメディー作品は本当に毎回難しく、挑戦だと思っています。一風変わった恋愛ホームドラマになるかと思いますが、毎週放送を楽しみにしてもらえる作品にできたらいいなと思っています。

井浦新 コメント

友人でもある貴島彩理プロデューサーからお話をいただき、即答で「やりたいです」とお返事をしたんですが、台本を読んだ今はちょっと後悔しています(笑)。
物語はもう、それはそれは面白くて、1話だけでも「なんだこれは!」というくらいのボリュームの出来事が起きるので、松坂桃李くんと麻生久美子さんの恋模様の部分などもとても楽しく読んでいたのですが、いざ自分の役柄として台本と向き合うと、展開もすごいし、セリフも膨大で、きっと撮影は大変になるだろうなと逃げたくなってしまいました(笑)。
今回の役に関しては、まだどんな風にお芝居をしよう、というイメージは固まっていないのですが、「何か新しいことをしたい」という気持ちは強く持っています。僕自身、“ラブコメ”は初めてで、46歳にして“ラブコメ”をやるなんて思ってもいなかったですし、ヒロインを演じるのも初めて。チャレンジづくしの良い機会をいただいたので、今まで見たことのない井浦新をお見せしたいと思っています。
そして、大石静さんのオリジナル脚本なので、その本の世界をさらにもっといい方向に膨らませていけるような作品にしたい。そのためにも現場では新しいものを作るべくワンシーン、ワンシーンを丁寧に撮っていけたらと思います。
松坂桃李さんとも初めてご一緒するので、どんな風になるのか楽しみ。そういった意味でも、もしかしたら今が一番ワクワクしているときなのかも知れません。

三浦翔平 コメント

最初に台本を読んだときに、「面白いなぁ」って感じたのが第一印象でした。桃地と巴の関係、そしてそこに入れ替わってしまったオジ巴が入って、どうやって物語が進んでいくんだろう、と大石先生が描かれる物語にすごく引き込まれました。ファンタジーでありながら、すごくコメディーな部分もあり、でもしっかりと人間味のある部分も描かれていて…。巴の魂が入ってしまった田中マサオの家族の問題ものちに描かれていくのですが、そこも笑えながらもちょっとほろっとくる場面もあったりして、いろいろな要素が盛り込まれている面白さがあると思いました。
僕が演じる高見沢は、巴の“元夫”という立場でもあり、大ヒット作品である『SEIKAの空』をともに作り上げてきた人物でもあるんですよね。夫婦だった2人の関係がなぜ壊れてしまったのか、も後にわかってきますし、巴が亡くなってしまったと聞いた後も、どこかで生きているんじゃないかと思いながら模索する姿など、感情の動かし方を楽しんで行けたらいいなと思っています。
自分の元妻でもあった女性が亡くなってしまって、しかもその魂が知らないおじさんのところに入っているなんて絶対戸惑いますし、驚きますよね(笑)。そういう部分も、真剣にやればやるほど面白いのかなって思います。お三方とも初めてご一緒するので、楽しみ! いい化学反応が起きたらいいなと思っています!

岸本加世子 コメント

最初に企画をいただいたとき、「セレブで美人の漫画家が見知らぬおじさんの身体に入ってしまうけれど、心はそのまま」というストーリーがどんな風に展開していくのか、すごく興味がわきました。
私が演じる妙は、娘を溺愛する母。突然おじさんになってしまった娘の巴とどう向き合い、どのようにして現実を受け入れていくのか、とても楽しみでワクワクしています。
今回は本当に珍しいことに、ほぼすべてのキャストの皆さんと初共演です。とても新鮮で、楽しみしかありません。
松坂桃李さんのポンコツ、井浦新さんのヒロイン(笑)もチャーミング度満点でステキです。

MEGUMI コメント

ハチャメチャな面白設定の後に漂う大切な人を想う温もり。のちの教科書に載るような時代を生きる私たちの指針になるような作品に参加出来ること、とてもうれしく思います。
私が演じる帆奈美は、アロハを着て気合いもたっぷり入ったハートフルな母ちゃん。懐の深い、ステキな女性です。
井浦新さんとの夫婦、しかもおかしな夫婦ですが、そんな中にも心を通わせられることを楽しみにしています。そして、麻生久美子さん、可愛いです。

脚本家・大石静 コメント

今回の企画は貴島彩理プロデューサーが「松坂桃李さんとこんなドラマをやりたい」と温めてこられたものでした。そのアイデアを元に私も頭をひねってストーリーを膨らませていきました。映画や単発ドラマと違い、連ドラの醍醐味は、先の展開への期待です。それは事件物であろうとラブストーリーであろうと同じです。「来週どうなる」感は、持てる能力と情熱の限りをつくして考えました。
松坂さんについては――先日、初めてお目にかかりました。手も足も首も指もスラっと長くて美しく、穏やかで品もよく、うっとりしました。これまで、エリート官僚や誠実な青年、剣の達人や人生に迷ってエロスに溺れて行く男など、あらゆるタイプの男性を演じて来られたと思いますが、今回ほど、地味でドジで気弱で、夢もない人生のビジョンもないというどうしようもない青年の役は、めずらしいのではないでしょうか? どんな風になるのか、期待に胸膨らませて待っています。
井浦新さんについては――連ドラをご一緒するのはこれで3回目です。今までは口数の少ない物静かな役をやっていただいて、本当にステキでセクシーだったんですが、今回は、わがままでよくしゃべる、感情の起伏の激しい女性が乗り移ってしまうオジサンという、ややこしい役どころです。1人2役という感じで、エネルギーのいる仕事になると思いますが、今までとは違う、ヤンチャでハチャメチャな顔が見られることを、期待しています。女性を演じることで、井浦さんの女性観みたいなものも垣間見えると、奥深いな~と思っています。
麻生さんについては――脚本家として、才能のある人を描くことに、興味があります。市井に生きる普通の人より、欲望に忠実で生命力も強く、才能ゆえに強烈な自我を持ち、孤独と不安も深く感じているヒロインを、麻生久美子さんがどんな風に演じて下さるか楽しみです。入れ替わってからは、多くの場面を井浦さんが演じることになりますが、時折現れる麻生さんのヒロインに、自信の裏側にある圧巻のはかなさと、寂しさ、愛くるしさを!と思っています。
作品については――この作品はジェンダーフリーな世界観を提示しています。そしてすべての人が抱えている終わる命の宿命や、生まれ出た以上、強く人を愛してこその人生であるという想いを込めて書いています。でもあまり難しいことを考えず、予測不能な展開のラブコメディーを楽しく笑って見ていただけたら、うれしいです。

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