「ドラゴン桜」(2005年版)の魅力を改めて振り返り、新シリーズへ備える

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2021年4月25日より、放送開始となったドラマ『ドラゴン桜』。

本作は、放送当時に大きな反響を呼び、今なお名作として語り継がれている人気ドラマの約16年ぶりの続編。

初見の方でも楽しめる新シリーズであることに変わりはありませんが、前作を見ていると、より、本編を深く味わえること間違いなし。

今回は、そんなドラマ前作『ドラゴン桜』(2005年版)について、その概要や人気の秘密を探りつつ、新シリーズでも続投する主要キャストの物語を中心に内容を振り返っていきたいと思います。

『ドラゴン桜』とは?

『ドラゴン桜』とは、講談社の漫画雑誌『モーニング』で、2003年から2007年の約4年間連載されていた「受験」を題材にした学園マンガ。

経営破綻となり、廃校寸前に陥った「私立龍山高等学校」を舞台に、弁護士・桜木健二が東大合格を目指す「特別進学クラス」を開設。様々な家庭問題を抱える落ちこぼれ高校生たちと共に、大学受験に立ち向かう物語が描かれました。

本作を映像化した2005年のドラマ版では、平均視聴率16.4%、最終回の視聴率が20%を超える大ヒット。その反響から、海外でも放送されたほか、2010年には、学歴社会と言われる韓国でも、リメイク版が制作されました。

ドラマ『ドラゴン桜』人気の秘密

ドラマ版『ドラゴン桜』シリーズが、多くのファンに支持された理由。

それは、放送当時、ほぼ無名だった若手俳優陣の起用と、各キャラクターの背景を丁寧に描いた秀逸な脚本でしょう。

長澤まさみさん、山下智久さん、小池徹平さん、新垣結衣さん、中尾明慶さん、サエコさんなど、今、考えると、共演さえ難しいような豪華俳優陣。初々しいゆえにハマっている彼らの演技は、改めて見ることで、逆に新たな発見も……。

また、一見、「受験」という地味な題材を、人間ドラマとして丁寧に描き出した脚本も見事です。

原作では、2人だった「特別進学クラス」を6人に変更したことで、ドラマ版は、物語の娯楽性や共感度が格段に向上。

頭の良い弟に引け目を感じたり、断ち切れない悪友との関係に悩まされたり、メンバー間に三角関係が発展したりと、等身大の高校生たちを描いたことで、より多くの人が楽しめる作品になったのは、ドラマ版の大きな功績と言えるでしょう。

もちろん、原作に共通する受験ドラマとしての面白さも健在で、勉強の向き合い方や試験への戦略が小気味よいテンポ感で進められていく潔さには、目が離せなくなります。

近年でも、著作の実写化が絶えない三田紀房さん(代表作:『インベスターZ』、『アルキメデスの大戦』など)の原作と、連続ドラマとして脚色した秦建日子さん(代表作:ドラマ『アンフェア』シリーズ原作など)の手腕が素晴らしいため、特に中弛みを感じることもなく、シリーズ全11話を完走することが出来るのです。

<以下では、『ドラゴン桜』(2005年版)のネタバレが含まれます。鑑賞前の方はお気をつけください。>

–{新シリーズにつながるキャストを振り返る}–

新シリーズにつながるキャストを振り返る

ついに放送開始となったドラマ版「ドラゴン桜」新シリーズでは、弁護士で「特別進学クラス」の担任だった桜木健二と、その教え子だった水野直美が再登場。

今回は、この2人の物語について、振り返っていきたいと思います。

阿部寛さん演じる桜木健二は、東京大学の合格者を5人輩出するという公約のもと、龍山高校に「特別進学クラス」を開設。1年間をかけ、6人の落ちこぼれ高校生に独自の勉強カリキュラムを実施します。

科目ごとに召集した個性豊かな講師陣、10日間に及ぶ勉強合宿や、目標となる東京大学での課外授業など、唯一無二の特別授業を実現。そして、試験本番を迎えることになります。

その結果は、「特別進学クラス」のうち、3人が合格、2人が不合格、1人が未受験という形に。周囲から今後の活躍を期待された彼ですが、当初の公約を守るため、自ら教師を辞職。教え子との別れを経て、龍山高校から姿を消すことになりました。

しかし、弁護士としての職に戻った彼には、うわさを聞きつけた他校からの依頼が殺到。先の事情から、すぐに引き受ける素振りは見せなかったものの、確かな実績を胸に、新たなスタートを切る場面で、物語は幕を閉じます。

一方、長澤まさみさん演じる水野直美は、弁護士・桜木の一声で「特別進学クラス」の第1号として、東大合格を目指すことになります。初めこそ、目標に半信半疑だった彼女ですが、周囲の環境にも触発され、次第に勉強へと打ち込むことに……。

母の入院によって、一度は東大受験を諦めかけた彼女ですが、友人たちの支えもあり、無事、1次試験を受験。

しかし、2次試験の2日目、体調が悪化した母の身を案じたことで、試験時間に間に合わず、東大合格の夢は絶たれてしまいました。その後、恩師の桜木や友人との別れを経験した彼女は、受験勉強を続けることに……。

劇中で、その先が描かれることはありませんでしたが、母を看病しながら、夢に向かう彼女の姿には、明るい未来が示唆されていました。

新シリーズでは、再び、落ちこぼれ校の再建を依頼された弁護士・桜木と、彼の事務所の後輩弁護士として活躍する水野の活躍が描かれます。

立場や状況が変わった2人が、どのような物語を展開していくのかにも、要チェックです。

今回は、新シリーズ放送に合わせ、改めて再評価されて欲しい名作ドラマ「ドラゴン桜」(2005年版)を紹介しました。

「ドラゴン桜」(2005年版)は、Tver,Paraviほかで絶賛配信中。

かつて、ハマった方や、新シリーズから追う予定の方も必見です!!

(文:大矢哲紀)

–{「ドラゴン桜」(2021年版)作品情報}–

「ドラゴン桜」(2021年版)作品情報

前作のドラマでは、倒産寸前・低偏差値の私立龍山高校にやってきた主人公の弁護士・桜木建二が、龍山高校を超進学校に生まれ変わらせようと生徒と共に奮闘する姿が描かれました。桜木の特長といえば、歯に衣着せぬ物言い。その姿は受験生の心を惹きつけ、受験生のみならず多くの若者に勇気を与えました。

また前作は東京大学合格のための“桜木メソッド”と呼ばれる勉強法も大きな話題となりました。「1日16時間勉強法」を徹底し、物理の公式の実践、卓球やトランプをしながらの計算など、突飛だが実に理にかなったそれらの勉強法は視聴者を驚かせ、実際にその勉強法を実践し、大学受験で合格を勝ち取った学生も多かったそうです。

今回の「ドラゴン桜」は2005年に放送された15年後が舞台。
これまでの知識詰め込み型の“記憶力試験”から“実践的な学力を測る試験”へと移行。これは社会で必要とされる力が変わってきたことによる必然ともいわれている。原作はマンガではありますが、今の時代に合わせたドラマオリジナルの展開も予定されています。

主演は前作に引き続き桜木建二役は阿部寛が担当。また、前作は生徒役で出演していた水野直美役の長澤まさみが今作でも登場します。

そして気になる生徒役には髙橋海人(King & Prince)、南沙良、平手友梨奈、加藤清史郎、鈴鹿央士、志田彩良、細田佳央太とフレッシュな若手俳優からキャリア、実力も備えた俳優が勢揃いしています。

そして、学園の教頭役に及川光博、学園の理事長役には江口のりこ、桜木の元教え子に佐野勇斗、桜木の弁護士事務所のNo.2弁護士には早霧せいなが登場します。

出演
阿部寛/長澤まさみ/髙橋海人/南沙良/平手友梨奈/加藤清史郎/鈴鹿央士/志田彩良/細田佳央太/佐野勇斗/早霧せいな/江口のりこ/及川光博

公式Twitter
@dragonzakuraTBS

公式Instagram
@dragonzakuratbs

第1話ストーリー

かつて、落ちこぼれだった龍山高校から東京大学合格者を輩出し、一躍時の人となった元暴走族の弁護士・桜木建二(阿部寛)。
その後法律事務所を設立し、学校再建のエキスパートとして順風満帆な弁護士人生を歩んでいた──

時は令和。偏差値32で経営破綻寸前の龍海学園で、教頭・高原浩之(及川光博)が桜木による再建案を提案する。
しかし、自由な校風を理想に掲げる理事長・龍野久美子(江口のりこ)は進学校化に反対し、意見が割れていた。果たして桜木、そして彼の元教え子であり法律事務所で一緒に働く弁護士の水野直美(長澤まさみ)は東大合格者を出し、学園を再建できるのか…

そして彼らを待ち受けるのは姉思いだが将来に不安を抱え、姉と2人で両親が残したラーメン屋を手伝う瀬戸輝(髙橋海人)、何をやっても長続きしない今どき女子高生の早瀬菜緒(南沙良)、バドミントンのトップ選手の岩崎楓(平手友梨奈)など、それぞれの悩みや問題を抱えた龍海の生徒たち。桜木や水野と出会うことで、彼らの運命は大きく動き出そうとしていた──