日本テレビ系4月期の新土曜ドラマ「コントが始まる」が、2021年4月17日より放送開始となった。
鳴かず飛ばずのお笑い芸人トリオ「マクベス」の3人と、彼らのファンになるウェイトレスとその妹ら5人の若者が織り成す青春群像劇。毎回、マクベスによるコントから始まり、コントがドラマの重要な伏線として物語に繋がっていく。
「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」以来の連続ドラマ主演となる菅田将暉が演じるのは、トリオのツッコミとネタ作りを担当する高岩春斗。ともにお笑いを目指す相方役は、神木隆之介と仲野太賀。彼らが集うファミレスのウェイトレスを有村架純、その妹を古川琴音が演じる。
第1話放送直後から巧みな構成と熱き青春物語にSNSを中心に大きな反響となった本作。この記事では毎話感想とあらすじを記していく。
もくじ
第1話あらすじ&感想
第1話のあらすじ
コント『水のトラブル』。明転したステージに現れたのは、春斗(菅田将暉)、既太(神木隆之介)、潤平(仲野太賀)のお笑いコントトリオ『マクベス』。売れない芸人による取り留めのないコントの「前フリ」部分が始まる……。そして映像は、そのコントを自宅で見ている里穂子(有村架純)へと繋がっていき―――。
—鳴かず飛ばずの日々を過ごすお笑いトリオ『マクベス』でツッコミを担当する春斗は、結成10年を前に、ある決断を迫られていた。一方、1年半前に訳あって大手企業を辞めた里穂子は、姉の世話を口実に上京して来た妹・つむぎ(古川琴音)と同居しながらファミレスでウェイトレスをしていた。偶然里穂子の働くファミレスに来店したマクベスの3人は、やがて常連客として定期的にファミレスでネタ作りをするようになり….…。
彼らがネタ作りに励む姿を見るうちになぜか興味を惹かれ、いつの間にか隠れファンとなっていた里穂子。日々は流れ、気づけば里穂子にとって、マクベスの存在は生きがいのようになっていた……。しかしある日、初めてマクベスのライブを訪れた里穂子を待っていたのはトリオ解散という重大発表!呆然と帰路についた里穂子は、突然春斗から声をかけられて—。
失敗が許されない世の中で、『大失敗』の人生を歩む人々。20代後半、様々な決断を迫られる「最後の青春」にもがく、涙と笑いの青春群像劇。この出会いが、俯く日々に希望の香りを漂わす全ての始まりであった。
第1話の感想
まず、菅田将暉・仲野太賀・神木隆之介・有村架純という”花の93年組”をキャスティングしてくれた担当者の方がいる方角に向けて拍手を送り続けたい。加えて古川琴音、第2話からは芳根京子や浅香航大……!ここまでストライクな配役が揃っているドラマも珍しいのだ。「コントが始まる」放送決定を知ってからこの日まで、ワクワクと待ちわびた……。カレンダーに丸をつけてその日を待つなんてことは、小学生以来だ。
ドラマ「コントが始まる」は、菅田将暉演じる高岩春斗、仲野太賀演じる美濃輪潤平、神木隆之介演じる朝吹瞬太の3人が「マクベス」という名のお笑いトリオを組み、解散に至るまでの衝突や心の動きを描く若者群像劇。
春斗と潤平のふたりがお笑いコンビを組み、高校の文化祭でコントを披露したことから始まるお笑いへの道。高校卒業後はプロゲーマーとして社会へ繰り出した瞬太が、とあるきっかけからマクベスに参入したことでトリオとなる。
マクベスの3人がネタ作りのため週一で通っているファミレス「メイクシラーズ」には、3人を密かに守る店員・中浜里穂子(演:有村架純)が。その妹・中浜つむぎを演じるのが古川琴音だ。余談だが、スナックで働いている彼女の髪型や服装が、上手く昭和レトロ感を残しつつも令和の雰囲気に溶け込んでいて実にかわいい。毎話ごとにファッションが変わるのだとしたら、その点にも注目したい。
マクベスの3人は「10年経っても売れなかったら解散する」という約束を掲げつつ、オーディションを受けまくるも失敗する日々を送る。コツコツと単独ライブを開催するも客入りは芳しくなく、気づけば約束の10年まであと約2ヶ月に迫ろうとしていた……。
ところどころで挿入されるコントのシーンが、本当に、ちゃんと面白い。しかし、10年売れていない理由もちょっとわかってしまうくらいには、マイナー感も漂っている。「好きな人は好きだよね!」というやつだ。里穂子がマクベスの動画を観ながら「別に面白いと思ってないよ。ただ好きなだけ」と言うシーンがあるが、まさに、それがすべてだ。
マクベスの3人の、関係性に注目したい。主なネタ作りを担当している春斗がリーダー的な役割で、トリオとしての活動や方向性に対する決定権を持っている。少々感情的になりやすい潤平は典型的なムードメーカーで、良くも悪くもその場の空気を作り上げる。ポイントとなるのは瞬太の存在だ。気まずそうになる空気を上手く和らげ、緩衝材のような役割を担っている。
–{第2話あらすじ&感想}–
第2話あらすじ&感想
第2話のあらすじ
潤平「春斗には一つだけ秘密にしていることがある……」
瞬太「プロゲーマーだった頃はよくインタビューで『27歳までに死ぬ』と答えていた……」
コント『屋上』。舞台が明転すると、自宅の屋上テラスで和む中年夫婦と隣のビルで思い詰めた表情をする若者が現れる。その3人による取り留めのないコントの「前フリ」が流れ―――。
コントトリオ「マクベス」解散を決めた春斗(菅田将暉)は、事務所のマネージャー楠木から呼び出され、解散を考え直すように詰め寄られる。一方マクベスの一人である潤平(仲野太賀)は10年間交際を続ける恋人の奈津美(芳根京子)に、ついに解散することを決意したと告げる。そんな中、潤平は春斗と芸人を志した日々を振り返り、春斗に一つだけ『秘密』にしていることがあると思い返す……。
その頃もう一人のマクベスである瞬太(神木隆之介)はなぜか春斗や潤平と共に通った母校の屋上に佇んでいた。そこは春斗との思い出の場所でもあった。何も知らない春斗だったが、里穂子(有村架純)から気になることがあると話を切り出されると、里穂子が働くファミレスで瞬太が「遺書」を書いていたのだという。それは「屋上」というコントの小道具として書いていただけだと説明する春斗だったが、何やらいつもと状況は違うようで……。
「解散」を宣言することで動き出したトリオ芸人。彼らと巡り会うことで動き出した姉妹。暗闇の中を歩いているかのように見える5人の若者たち。……だが1時間後、彼らを見ていただいた人はなぜか彼らを「美しい」と感じてしまう。そんなまさかの結末を迎える第2話。是非ご覧ください。
第2話の感想
マクベスのマネージャーらしき人物(演:中村倫也)が言った「今売れてる奴は例外なく、もう限界だってなったところからもうひと踏ん張りしてきてるんだ」という台詞、中村倫也が言っていると思うとさらに説得力が増す……。解散を思いとどまり、もう少し頑張ってみないかと春斗が説得されるところから幕を開ける第2話。解散するか、それとも続けるのか。春斗自身も悩み、揺れているように見える。
春斗が逡巡している傍ら、さまざまな”秘密”が明らかになった。潤平が春斗に声をかけたのは、決して最初ではないこと。実は瞬太が本気で自殺を考えている(考えていた?)らしいこと。ひとつずつ秘密が詳らかになるにつれ、マクベスの3人だけではなく周りの人間たちも巻き込まれる形になっていく。時系列が過去に戻ったり現在にかえってきたり、そのバランスも絶妙で、1時間があっという間に過ぎていった。
注目してほしいのは、ファミレス「メイクシラーズ」の店員・中浜さん(演:有村架純)である。瞬太のプロゲーマー時代のインタビューまで読み漁り、おまけに潤平の匿名ブログまで把握していた。生粋のファン、プロのファンである。「それはさすがに気持ち悪いね!」と笑顔で言ってのけた瞬太の勢いも合わせて、面白いので必見である。
このドラマの面白いポイントのひとつは、コントの内容と現実世界の物語がリンクしながら進んでいくところだ。時系列が交差し、「潤平はあのとき、こう考えていたのか!」などと発覚するのが面白い。どこかに伏線が隠れている気がして、思わずじっと見てしまう。次回はどんな事実が判明するのだろうか?
–{第3話あらすじ&感想}–
第3話あらすじ&感想
第3話のあらすじ
つむぎ「ウチのお姉ちゃんはヤバい。それもかなり……」
春斗「危うさで言ったらウチの兄貴の方が断然上だ」
コント『奇跡の水』。明転した舞台に現れたのは兄弟を演じる春斗(菅田将暉)と潤平(仲野太賀)、そして謎の男を演じる瞬太(神木隆之介)。誰が見ても怪しさ全開の水を崇拝する兄とそれを説得する弟をテーマにした、マクベスのとりとめのないコントの『前フリ』が始まる―――。
1年半前、廃人寸前になっている姉・里穂子(有村架純)を自宅で見つけて以来、転がり込んで生活を共にしているつぐみ(古川琴音)。彼女の最近の心配は、誰も知らない売れないお笑いトリオ『マクベス』になぜどっぷりとハマった里穂子が、彼らの解散発表以来ため息ばかりついていること。
一方、春斗が気にかけているのは、完璧人間だった兄・俊春(毎熊克哉)のこと。非の打ち所のない順風満帆の人生を歩んできた兄だが、突然人生に挫折。今では実家の部屋に引きこもっている。自分が好きな道に進めたのは、しっかり者の兄がいてくれたから。春斗は自分も兄を追い込んでしまった一端を担っていると感じていた……。
問題を抱える二つの兄弟関係。交わるはずのない2組の関係性にはある一つの「秘められた共通性」が存在していた。孤独に陥りやすい現代にだからこそ届けられる想いが詰まった第3話。危うい兄弟のお話は、またしても想像をしていなかった笑顔あふれるクライマックスへとつながっていく!
第3話の感想
第3話は「姉妹/兄弟」回。中浜里穂子&つむぎ姉妹と、高岩兄弟の過去が明かされる。どちらの姉・兄もエリートで真面目で、まさかメンタルを病み引きこもりになるなんて想像すらできないふたりだった。「あんなに真面目に生きてきた姉が、こんな簡単に不幸になっちゃうのか、って。結構ショックでしたね」とつむぎが吐露する冒頭、まっとうに生きてきた人こそ、一度足場を踏み外したときの転落スピードは早いものなのかもしれない。
幼少期から優秀でスポーツもよくできた兄。春斗にとっては自慢の兄だった。一流企業に就職し結婚もして、まさに順風満帆。そんな兄がボタンを掛け違うきっかけとなってしまったのは、不思議な力をもつとされる水を売る、いわゆる「マルチ商法」ーー春斗がどれだけ言葉を尽くしても、兄は頑なに意見を変えない。目を覚ましたときにはもう、仕事も家族も失い、部屋から一歩も出られない自分がいるだけだった。
高岩兄弟の関係性が、不思議と中浜姉妹にもシンクロする。職場で不当な扱いを受け、自分も他人も信じられなくなったタイミングで、恋愛もダメになってしまった里穂子。一週間まともに風呂にも入らず外出もせず、つむぎが助けにくるまで人で非ざる生活を送っていた。
真面目な人は、ひとりでどうにかしようとしてしまう。まっとうに生きてきたからこそ、なんとかできると思ってしまう。周りの人間が訝しむほどに、人に頼るのが下手だ。それでもなぜか、悩み葛藤する姿に魅力を感じ、心動かされるから不思議だ。
つむぎも春斗も、それぞれ姉と兄のことが好きだ。家族として愛し、人として尊敬している。だからこそ、「助けたい」という気持ちからではなく、「共に生きたい」という気持ちから手を差し伸べたのではないか。
それぞれの姉妹/兄弟の関係性を描いた第3話。コントで始まりコントで終わるこの物語は、今回も「奇跡の水」と題したコントで幕を閉じる。「頼むから、足を洗ってくれよ!」と叫んだ春斗の声は、きっとしばらく忘れられない。
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–{第4話あらすじ&感想}–
第4話あらすじ&感想
第4話あらすじ
潤平「瞬太は父緒を早くに亡くし、母親とは明らかにうまくいってなかった」
里穂子「つむぎは昔から面倒見がいい。弱ってたり傷ついてる人を放っておけない性格だ」
コント『捨て猫』。ステージに現れる段ボールに入った捨て猫役の春斗(菅田将暉)と、野良猫役の瞬太(神木隆之介)。マクベスによるとりとめのないコントの前フリが流れて―――。
潤平(仲野太賀)は、高校の担任・真壁(鈴木浩介)を呼び出し、彼女の奈津美(芳根京子)と共に昔話に花を咲かせていた。その中で、トリオ名「マクベス」の名づけの由来に真壁が関わっているという話になり、高校時代、瞬太(神木隆之介)の車にマクベスの3人と真壁が共に乗った1日のことを想い出す……。その日は真壁の息子が生まれた日。なぜか瞬太は生まれたばかりの息子を愛くるしそうに見つめる真壁を見て、涙を流していた―――。
一方、里穂子(有村架純)は自宅で一生懸命に熱帯魚の世話をする妹のつむぎ(古川琴音)を見て、同じく昔のことを思い出す。姉のことを献身的に支えてくれる今の日々もそうだが、つむぎは昔から面倒見がよく、傷んだ人形で遊んだり、捨て猫を拾ってきたり、とにかく傷ついた存在を放っておけない性格だという―――。
全く交わらない二人の昔話が、現代でまたも数奇に絡み合うことに。親と子。傷を持つものと、それを優しく包むもの。意地と甘え。様々な相反するものを乗り越えたその時、この物語は奇跡の数十秒を生み出す。見た後に誰かに優しくしようと思える温かさ溢れる第4話。お見逃しなく。
第4話の感想
「人生に岐路に立たされてるんだわ!」と言いながら高校時代の恩師・真壁を呼び出した潤平。瞬太のバイト先でもある焼き鳥屋で話すも、なかなか本題を切り出せない。後日、マクベスの3人が共同生活する部屋へ真壁を招待したときに「あの時言うの忘れてたんだけど……」と言いながら切り出した相談事。ずっと潤平は、真壁に「マクベスを解散すべきかどうか」を相談したかったのだろう。
そして、真壁の口癖でもある「しゃにむにやれよ~!」を言ってもらえなかったことに、ショックを受けた。マクベスを続けたい気持ちはあるけれど、自分を取り囲む状況がそれを許さない。少しずつ外堀を埋められるような感覚に、最もあえいでいるのは潤平なのかもしれない。
潤平の心中をよそに、物語の主軸は瞬太の家庭環境へと移っていく。7~8年ほど連絡を取らずにいた母親が病死するという、いきなりの展開。思い返せば、2年ほど前にマクベスの部屋へ瞬太の母が訪ねてきたことがあった。病気のことを息子に伝えておこうとしたのではないか。
それにしても、死んでしまうかもしれない母親にギリギリまで会うのを渋るって……どれだけの仕打ちを受けてきたのだろう? 物語の中では「否定され続けた」「若い男と再婚してさっさと別れた」など断片的にしか情報が与えられない。このあたりも、これから詳しく描かれていくのだろうか?
春斗や潤平がどれだけ強く促しても、瞬太は頑なに病院へ行こうとしなかった。最後に背中を押したのは、つむぎ。講演のブランコで横並びになりながら、「文句のひとつでも言ってやればいいんだよ」と優しく励ましていた。このふたり、たしかに恋愛関係には発展しなさそうだけれど、ちょうどいい距離感でずっと隣に居続けそうだ。ほっこり。
–{第5話あらすじ&感想}–
第5話あらすじ&感想
第5話あらすじ
つむぎ「努力してなんにも結果が出なかったときのことばかり想像して、一歩も動けなくなった……」
瞬太「ボクが「マクベス」に入れて貰ってからの5年間は、楽しい思い出ばかりだった……」
コント『カラオケボックス』。ステージに現れる中年カップル役の瞬太(神木隆之介)と潤平(仲野太賀)。そして、カラオケ店員役の春斗(菅田将暉)。制限時間を告げる店員の前で、中年カップルは『延長』をめぐって揉めだして……。マクベスによるとりとめのないコントの『前フリ』が始まる―――。
里穂子(有村架純)と共に生活をし始めてから1年半の月日が流れたつむぎ(古川琴音)。今流れる時間に不満はなくとも、このまま姉の家に居座り、横で世話をし続ける日々に疑問を感じ始める。
しかし、変えなくてはいけない現状を理解しつつも、何かの一歩を踏み出すことに恐怖に似た感情を持つつむぎ。―――その横には無邪気な顔で夢を追いかけ続けるように見える瞬太が居た。
一方の瞬太は自身がプロゲーマーを引退し、春斗や潤平と共にマクベスとして活動を始めてからの煌めくような日々を思い返していた。だが、少しずつ今の自分たちの姿はその時から「変化」を持ち始めていることにはずっと気付いていて……。
20代後半。それは一つの決断の瞬間でもある。様々な現実と夢との境界線。「変わる」ということには勇気とそして恐怖が伴うことは分かっている。
マクベスと中浜姉妹、それぞれの現状を維持すべく「延長」を続けた果てにこの日下す決断とは!?
5人の生き様が大きくうごめき始める始める必見の第5話。一度でも夢を目指したことのある人、夢を抱いたことのある人、そして誰かと大切な時間を過ごした経験のある全ての人に突き刺さる、共感の物語が今始まる。
第5話の感想
これまでとは少し毛色が変わって、少々重たい回だった。いつものコントも、より考えさせられるテーマ。10年間続けてきたマクベスを終わらせるか、それとも続けるか……。ついに最後の選択を迫られた春斗、潤平、瞬太の3人。彼らにとって、解散することはポジティブな未来に繋がると信じたい。
浅香航大演じる高校時代の同級生・勇馬が、事務所を通してマクベスに仕事を依頼してきた。「俺は忙しいからさ」とマネージャーの責任を放棄した楠木の代わりに、打ち合わせを兼ねて勇馬に会いに行く春斗。実は勇馬は、潤平の彼女である奈津美の高校時代の元彼だった。
当時のしがらみがいろいろと残っているはず、どうして今更自分たちの仕事の依頼をしてきたのか……と不信がる春斗。しかし、勇馬は高校時代のことなんてことなんて一切意に介していない。「高校時代で時間が止まっちゃってるんじゃないの?」の一言に、思わず引っかかってしまう。
勇馬がマクベスへ仕事を依頼してきたのは、「応援したいから」「力になりたいと思ってるから」だった。その気持ちに嘘はないと思うが、春斗には受け入れられない。「同級生に仕事を恵んでもらうほど、落ちぶれてない」と言い返し、依頼を断ってしまった。
今回、最も唸らされたシーンはここだった。力になりたいと言った勇馬の気持ちは本心だと思う。だけど、仕事を発注することで繋がりを持とうとしちゃダメだよね……! と思ってしまった。定期的に連絡するとか、マクベスのライブを見にいくとか、そういう形で応援している意思を伝えた方が良かったと思う。芸人としてのマクベスを尊重したいんだったら、なおさらだ。
けれど、勇馬だけが悪いとは言えない。春斗自身、もはや「成功している他人」はイコール敵になってしまっている。自分の中の固定概念を崩して人と接するようにしなければ、耳に入ってくる言葉をすべて卑屈に受け取ってしまう。だからこそ、勇馬からの賛辞に素直に反応できなかったのだ。
春斗と里穂子が、明け方の公園で語るシーンも外せない。
「努力って、報われると思いますか?」
あえて私の答えを述べるなら、「本人が報われたと感じたら、した努力は報われたことになる」だ。どれだけ売れたか、どれだけファンが増えたか、どれだけ目標に近づけたかじゃない。そこは思いっきり、自分の主観に頼っていいと思う。
じゃないと、報われなかったと思う回数が増えるたびに、努力しなくなってしまうんじゃないか……? マクベスが解散したあと、誰が一番心配かって、春斗が一番心配だ。
–{第6話あらすじ&感想}–
第6話あらすじ&感想
第6話あらすじ
春斗「潤平がこの10年間変わらずに信じ続けた物を一つでも成就させてやりたかった……」
コント『金の斧銀の斧』。ステージに現れるきこり役の春斗(菅田将暉)とその弟子を演じる潤平(仲野太賀)。チェーンソーを池に落としてしまった潤平の前に、女神役の瞬太(神木隆之介)が登場して……。マクベスによるとりとめのないコントの『前フリ』が始まる―――。
正式に解散が決まり、残された日々を過ごすマクベス。実家の酒屋を継ぐ決心をした潤平は、高校時代から付き合っている恋人・奈津美(芳根京子)との関係に人知れず閉塞感を感じ始めていた。もともとは奈津美を笑わせたい一心で始めたお笑いだったが、マクベスが解散する今、大企業で働いていて自分とは不釣り合いな奈津美との関係も終わらせるべきなのか……。
一方の奈津美もまた、芸人を辞めた後の潤平をどう受け止めていいのか悩んでいて……。マクベスという柱を失い、二人の関係は未来が見えなくなり始めていた。
そして、マクベスを心の支えにして来た里穂子(有村架純)もまた、これから進むべき28歳以降の未来について、人生の岐路に立たされる。それは、これから里穂子の家を出て行くつむぎ(古川琴音)と、マクベス以外の生き方を知らない春斗も同じで……。
努力が報われなかったかもしれない人生。それでも変わらずに信じていいものは心の中にきっとあるはず。「未来」が見えなくても、「今」が俯く状況でも、それでも「今日」できること、「今日」の幸せは絶対にある。見た人が少しだけ前を向けるように、そっと背中を押される第6話。暖かな胸の高鳴りがここにある。
第6話の感想
里穂子にとっては”マクベス誕生の聖地”である中華料理店「ポンペイ」。一度でいいからポンペイの麻婆丼を食べてみたいという里穂子の希望を叶える形で、つむぎ・春斗・潤平・瞬太が集まった。里穂子の素朴な疑問から「なぜ妹のつむぎは下の名前で呼ばれるのに、私は苗字で呼ばれるのか?」といった話の流れになっていく。かくして「今度から中浜さんを名前で呼ぼう!苗字で呼んだら罰ゲーム!」と決められることに。
確かに、見た目や雰囲気によって、どこにいっても名前で呼ばれる人(または苗字でしか呼ばれない人)がいるのは、わかる。その境目はどこにあるのだろうか。私自身も苗字+さん付けで呼ばれる確率が高い。やはり作中で春斗が言ったように、「長々と言い訳をするような人は、苗字で呼ばれやすいってことを自覚した方がいい」のだろうか……。
物語は、潤平と奈津美の関係性を描いていく。
大手企業でバリバリ働く奈津美と、10年間鳴かず飛ばずで芸人をしてきた潤平。明らかに収入差があることは、お互いに嫌でも意識してしまう。マクベスを続けることを応援している奈津美だけれど、それはどこか表向きであることを自覚しつつあった。
恋人と高級旅館やリゾートホテルに遊びに行ってきた同僚の話を聞きながら、自分が潤平と赴くのは近場の足湯。大体の費用は奈津美持ち。売れない芸人を恋人に持つということは、つまり”そういうこと”のはずだった。いつしか奈津美にとって、金銭的に支え続けることが、芸人としての彼を応援することとイコールになってしまっていたのかもしれない。
関係性を続けるべきか悩む奈津美を見ながら、共感するポイントが多くて震えた。「高速代出すよ」と彼氏に言われて「カードだからいいよ」と断ったり、「じゃあ食事代出す」と言われて素直に喜べなかったり……。自分の方が稼ぎがあることを開けっ広げにしたいわけではない。けれど、申し訳ないと思うならもう少しちゃんとしてよ! と思わないわけではない。難しい心境だ。
潤平も悩んでいた。奈津美と結婚するためには、このままマクベスを続けていくわけにはいかない。実家の酒屋を継ぎ、少しでも家庭を養っていく基盤を整えたい気持ちがどこかにあるのだろう。かといって、予定通りマクベスを解散させることに、心から納得がいっているわけでもない……。姉から「(奈津美は)酒屋を継いだあんたと一緒にいたいと思ってるの?」と聞かれ、言葉に詰まってしまう潤平。
「このままフェードアウトするかも」と弱音を吐く潤平だが、お互いに気持ちが離れたわけではなかった。出会った高校生の頃、”奈津美”にちなんで7月23日に72枚の「723ナンバープレート写真」を贈った潤平。人柄と人望の厚さに惚れた日のことを、奈津美は忘れたわけではない。なぜ潤平を好きになり、潤平と生きていくことを決めたのか、その気持ちを思い出していく過程には最後まで没頭してしまった。春斗の言葉である「もう潤平みたいな奴には出会えないと思った方がいい」も効いたのだろう。終盤の、奈津美から潤平への”逆サプライズ”シーンは最大の見どころだ。
きっと奈津美と潤平は、一緒にいる時間が長すぎたことが、お互いに言葉を尽くす習慣を奪う原因になってしまったのかもしれない。「きっとこう思ってるだろう」と察するのが癖になってしまうのだ。何かのきっかけさえあれば、まだまだお互いにとって新鮮な事柄がいくらでも出てくるはず。この二人には、それをいつまでも忘れないでいてほしい。
–{第7話あらすじ&感想}–
第7話あらすじ&感想
第7話あらすじ
穂子「生きることが苦しかった時、春斗さんが手がける温かいコントに人生を支えて貰った……」
瞬太「1ヶ月後に『マクベス』を解散したあとも……これまでと変わらない関係でいられるんだろうか?」
コント『無人島』。明転したステージに現れたのは、無人島で目を覚ました男たちを演じる春斗(菅田将暉)、瞬太(神木隆之介)、潤平(仲野太賀)。3人には一人一つずつ持ち物が支給されているはずだったが……。マクベスによるとりとめのないコントの『前フリ』が始まる―――。
マクベスの解散まで1ヶ月。酔って公園で春斗に大絡みしてしまった里穂子(有村架純)は謝罪をすべくマクベスのマンションを訪れていた。しかし、春斗は面倒臭がって取り合うことをせず……。
里穂子が深酒をしてしまったのは恩田(明日海りお)に中途採用の話を断った後にしたある話がきっかけになっていた。そんな里穂子が抱える悩みに勘付いた潤平は奈津美(芳根京子)と共にファミレスを訪れ、奈津美の知り合いの転職エージェントへの紹介話を持ち出す。未だ次へ進むことに勇気が出せない里穂子だったが、春斗が自分を「里穂子先輩」と呼んでくれたことを思い出し―――。
一方、引っ越し先の家具を選ぶため瞬太と共にインテリアショップに訪れたつむぎ(古川琴音)。だが、些細なことから二人の間で喧嘩が勃発。兄妹のようだと公言していた二人の関係にも変化が訪れようとしていた。
これまで積み重ねた時間。離れがたきその思い出たちとも「別れ」なくてはならない時はくる。これから訪れる変化に怖気付きながらも、勇気を出して前に進もうとする若者たち。それぞれの人生が動き出す音が聞こえる第7話。ワケも分からないのに、こみ上げてくる涙が人生にはある。これはそんなひと時のお話。
第7話の感想
それぞれが、それぞれの変化を迎えようとしている。
つむぎは里穂子の部屋から動くため引っ越し先を探し、里穂子はファミレスの上司から正社員にならないかと誘われ、潤平は実家の酒屋を継ぐ決意をし、瞬太はバイト先の焼き鳥屋へ就職しようとしている。春斗はといえば、マクベスを解散させた後の進路は何も決まっていない。方向性が定まっていないのは、もはや春斗だけに見える。
潤平の婚約者である奈津美の紹介で転職エージェントに会う里穂子。それを春斗に報告した潤平は、話の流れで「お前も(転職エージェントに)会ってみれば?」と持ちかける。潤平は潤平なりに、解散後の動きが決まっていない春斗を気にかけているのだ。
春斗はどうするつもりなのだろう。そもそも、マクベスを解散させることに心の底から納得できているのだろうか。高校卒業後10年間という時を芸人活動に捧げてきた春斗。日雇い労働先に上手く転職先が見つかればいいが、そう上手くもいかないだろう。
変化は別れにつながる。春斗、潤平、瞬太のそれぞれが、はっきり言葉にはせずとも、解散後はそんなに会わなくなるだろうと察しているはずだ。同じような関係を継続させたいと願っているのは、瞬太だけではないと信じたい。それでも、3人それぞれが向かう先を探し、10年を共にした車だって手放そうとしている。解散の時に向けて、変化は否応なく訪れようとしているのだ。
物語後半の、3人で車を洗うシーンがとても良かった。
いよいよ車を手放す直前、最後くらいはと3人で洗車をしだす。話は自然と「この車にまつわる思い出で、一番印象的だったのは?」といった流れに。群馬の山奥でのガス欠、福岡にラーメンを食べに行った話など、3人が共にした思い出を振り返る時間。ふと、春斗が「ただの車じゃないんだよな」と言いながら、感極まり泣き出す演技がとても良かった。
「マクベスの全部が詰まってるんだぞ」
「別れるまで気づいてやれなかったけど……こいつ、4人目のマクベスだったんだなって」
月並みだけれど、本当の価値は、別れた後に気づく。人なり物なり、近くにあったものが遠く離れた瞬間に、本質に気づくものなのだ。愚かだけれど、人はそのようにできているのかもしれない。
それぞれの別れが、どんな道に繋がっていくのだ。最後まで見届けたい。
–{第8話のあらすじ&感想}–
第8話のあらすじ&感想
第8話のあらすじ
楠木「『マクベス』と共に、青春時代に戻ったような熱い時間を過ごした……」
つむぎ「ワタシがお姉ちゃんを助けに来たはずなのに……本当の意味で助けられたのはワタシの方だった」
コント『ファミレス』。明転したステージに現れたのは、ファミレスでフルーツパフェを注文した客役の春斗(菅田将暉)。なぜかパフェからは苦手なバナナが勝手に抜かれていて……。ウェイトレス役の瞬太(神木隆之介)と胡散臭い店員役の潤平(仲野太賀)が加わり、マクベスによるとりとめのないコントの『前フリ』が始まる―――。
その日、久々に瞬太が働く焼き鳥屋を訪れたマクベスのマネージャー・楠木(中村倫也)は、5年前初めて『マクベス』に会ってから、懸命に3人の売り込みをしてきた日々を振り返っていた。コントの構成やネタの選定に至るまで、マクベスと共に必死に過ごしたその時間は楠木にとっても掛け替えのないもので……。しかしそんな日々も、時を重ねるうちに色褪せ、3人との距離は、徐々に広がっていた。
一方、つむぎ(古川琴音)が瞬太と付き合っていることをマクベスの3人から聞いた里穂子(有村架純)は、つむぎの引っ越しを間近に控え、些細な言い合いから冷戦状態に突入してしまう。
そんな中、つむぎが働くスナックには楠木がやってくる。なぜか楠木に名刺をくれるようにと頼むつむぎ。それは姉からのある一言がきっかけとなった行動なのだが……。
そして、未だ『マクベス』後の道を何も見つけられない春斗は解散ライブに向け、新たなネタを考えていた。ファミレスで一人、思考を巡らしていると何気ない一言が気になりノートに一行、ある題名を書き込む。そして、酒屋を継ぐため実家に帰る日が多くなった潤平は弓子(木村文乃)ら家族と跡継ぎに対する現実と立ち向かうことになる。そして物語は終盤、残り少なくなったファミレスでのネタ打合せの場所となり……。
誰かを支えるということ。それは、自分自身が支えられることでもあって……。わたしたちの頑張りは絶対に誰かにとっての大事な人生の兆しになっている―――。そんな身近な人の大切な関わりに涙する第8話。
第8話の感想
「人から与えられたきっかけをいかに大切にするかで、人生って劇的に変わるんだよな」
マクベスのマネージャー・楠木はもともと歌手志望だった。音源の持ち込みで事務所を訪ねたところ、社長に言われたらしい。プロの歌手としては厳しいけれど、マネージャーに向いてるよと。自分の才能を信じて突き進む道よりも、人からもらったきっかけを掴んだ。それが今の彼に繋がっている。
振り返ってみれば、マクベスの3人もそうかもしれない。春斗は潤平に誘われなければ、コントをやってみようとは思わなかっただろう。当の潤平にしても、本格的に芸人として活動しようと決めたのは春斗に声をかけられたからだ。瞬太は最初こそプロゲーマーだったが、限界を感じ進む道を変えようとしていたところ、春斗にマクベスへと引き入れられた(瞬太の場合は、自ら「入れて!」と頼もうとしていたらしいが)。
中浜姉妹もそうだ。姉の里穂子は前職で痛い思いをし、しばらくは引きこもり同然の生活を送っていたが、妹・つむぎの助けで少しずつ持ち直していった。ファミレスで働き始めたことでマクベスと出会い、心の張りを得る。そしてメンバーの一人・潤平の彼女が働きかけたことにより新しい職への縁に恵まれた。
妹のつむぎは、姉を助けることで自分も助けられていたと述懐する。自信を失っていたところ、自分の存在を必要としてくれる姉のおかげで少しずつ取り戻していった。姉からもらった言葉によってマネージャー職への希望を見出し、楠木が働く芸能事務所へと転職することになったのだ。
楠木の言葉通り、人から与えられたきっかけをどう扱うかで、人生はガラリと変わってしまう。一度はマクベスを諦めてしまった楠木。それでも、陰で泥臭い営業活動をしたり、マクベスの3人とネタ構成を考えたりした「青春」は消えたりしない。楠木にとっても、ボギーパットでマクベスに出会ったことが転機のひとつとなっているはずなのだ。彼は4人目のマクベスなのだから。
おそらく6/12放送回がマクベス最後のネタ合わせ。そして6/19放送回がマクベスの解散ライブとなるのだろう。いつものようにメイクシラーズで打ち合わせをする3人の元へ、久々にやってきた楠木が手にしていたのは「解散ライブのネタ順表」。これまでの放送回それぞれでテーマになっていたコントが、そのまま反映されている点が粋だ。
–{第9話あらすじ&感想}–
第9話あらすじ&感想
第9話あらすじ
潤平「オレが現実の嫌なことから目をそむけ、好き勝手することで……全ての面倒な責任を背負ってきたのは春斗だった」
瞬太「苦しい時間は長く感じるのに、楽しい時間ほどあっという間に過ぎしてまうのはどうしてなんだろう……」
コント『結婚の挨拶』。明転したステージに現れたのは、プロレス実況役の春斗(菅田将暉)。そこに、チャラい若者役の瞬太(神木隆之介)と、頑固オヤジ役の潤平(仲野太賀)が登場、コタツを囲む。春斗が実況する中、雲行き怪しい結婚の挨拶は「娘さんと結婚したいんすけど」という瞬太の一言で火蓋が切られるが……。マクベスによるとりとめのないコントの『前フリ』が始まる―――。
無事に里穂子(有村架純)の就職先が決まり、奈津美(芳根京子)とともにマクベス開幕の聖地「ポンペイ」にて就職祝いをするマクベスの3人。その会話の中で、奈津美の実家への挨拶のことを尋ねられる潤平。そんな潤平にはずっと心のシコリになっていることがあった。それは、奈津美の元彼氏であり、現在新進気鋭の実業家として活躍している小林勇馬(浅香航大)の存在であった。そして、その関係のこじれは、ある「春斗に対してずっと抱いていた想い」に関係することがあり……。
一方、春斗は、引き篭もりを脱して印刷会社で働くようになった兄・俊春(毎熊克哉)と再会する。手を差し伸べてくれた大切な人を満足させるために頑張ってみようという決意を語る俊春の言葉に、春斗は耳を傾ける。
そんな中、潤平はついに奈津美の実家に挨拶へ。一見柔和な笑顔で現れる奈津美の父(でんでん)だが……。
そして、春斗と瞬太は高校の担任・真壁(鈴木浩介)の家にバーベキューに招待される。二人は真壁の息子・太一から「夢」について、ある問いかけをされる……。
人生の勝ち負けとは―――?いよいよマクベスの解散ライブまで残りわずか。夢に敗れた若者たちの最後の瞬間は思いもしない色彩を帯びる……。ここに、初めて垣間見える彼らの本音がある。長い長い1日の中で語られる彼らのその声を聞いた時、我々は体験のしたことのない「何か」を見ることになる。
第9話感想
話が始まって早々「マクベス解散したら、冒険王になる!」と宣言する瞬太。1年ほど旅に出るつもりらしいのだが、つむぎと付き合ってすぐにそんな決断を下すなんて、なんとも瞬太らしい……。つむぎもつむぎで「この人がこの人らしく生きられないほうが、寂しいから」と気持ちよく送り出すつもりのようだ。できた彼女だなあ……!
解散後といえば、潤平はやはり実家の酒屋を継ぎ、奈津美と結婚するつもりのようだ。奈津美の父親への挨拶を来週に控えているとのこと。しかし、その前に解決しなければならないことがあったーーそう、高校時代の同級生で奈津美の元彼だった、小林勇馬の存在。たとえ勇馬側にはもう何の心残りもないとしても、潤平にとってはそうではなかった。
高校時代の後悔。それは元々勇馬の彼女だった奈津美と付き合い、結婚しようとしている申し訳なさというよりは、当時自分の煮え切らない態度のせいで春斗と勇馬の仲をぎこちなくさせてしまった申し訳なさ、なのだろう。瞬太の働く焼き鳥屋・ボギーパットに勇馬と春斗を呼び出した潤平。高校時代ぶりに、何の気兼ねもなく話せる関係性を取り戻した。これが、春斗と勇馬に対する潤平流の償いなのかもしれない。
心置きなく奈津美の実家へ挨拶に向かった潤平。しかし、潤平が奈津美の父親へ告げた内容は予想と少し違っていた。
「結婚は、もうちょっと後にしようという結論に至りました」
「うちの父はなかなか厳しい人で、一人前の仕事もできない奴に思われながら、結婚したくないという気持ちが芽生えてきました」
「ちゃんと酒屋の後継として認めてもらった上で、またこちらに戻って来られるよう精進したいと思っております」
潤平の誠実な姿勢が、奈津美の父親にも伝わった。結婚できるのは少し先になってしまうかもしれないけれど、高校時代から付き合いのある二人だ。ちょっとやそっとのことでは関係が壊れたりもしないだろう。その絆の強さが伝わってきたからこそ、奈津美の父親も態度を軟化させたに違いない。
一方マクベス解散後、どうするつもりか決めかねている春斗。前回、就職先が決まりそうな里穂子に対し「人生ってそんなにラフに決めていいものなの?」と疑問を投げかけていた。そして今回、同じく就職先を決めた兄と再び会い、こう質問する。
「たったそれだけのことを、働く理由にできるものなの?」
マルチ商法にハマって友人をなくした兄。今回就職先として選んだのは、引きこもりになってから最初に連絡をくれた友人の父親の会社だった。「垂らしてくれた糸を、一生懸命のぼることしか今は考えてない」と告げる兄に対する春斗の質問。
春斗はきっと、”マクベスじゃない自分”を想像できないのだろう。これまで10年間、自分の時間も労力もすべて投入してきたマクベスという存在から離れ、それでも生きていく自分を受け入れられないのかもしれない。
瞬太も同じようなことを言っていた。高校時代、もう死んじゃってもいいかと考えていた瞬太に対し、声をかけてくれた春斗。何となくその瞬間から、こいつのために命を燃やしてみようと考えたというーー自分の満足のためではなく、人の満足のために生きてみようとするモチベーション。春斗にも、それを見つけられるだろうか。
解散ライブまで、あとわずかだ。
–{第10話の感想&あらすじ}–
第10話の感想&あらすじ
第10話のあらすじ
里穂子「ワタシにとって『マクベス』とは一体なんだったんだろう……」
春斗「オレにとって『マクベス』とは……一体なんだったのか」
コント『引っ越し』。ステージに現れたのは夫役の春斗(菅田将暉)と妻役の瞬太(神木隆之介)。そこに、引っ越し業者を演じる潤平(仲野太賀)が到着するが、引っ越しを拒む妻が邪魔するせいで、夫婦の荷造りは全く進んでおらず……。マクベスによるとりとめのないコントの『前フリ』が始まる―――。
いよいよ、コントトリオ「マクベス」の解散ライブ当日。里穂子(有村架純)をはじめとして、潤平の彼女である奈津美(芳根京子)や、マネージャーとしてライブを見守る楠木(中村倫也)とつむぎ(古川琴音)、恩師の真壁(鈴木浩介)と息子の太一など、これまでマクベスの人生と交差してきた様々な人物たちが顔を連ねる。そしてついに、出囃子が鳴り、舞台は暗転から明転へ。彼らの「最後」が始まった……。そのライブを見ながら、マクベスと出会ってからの日々を心の中で巡らせる里穂子。里穂子にとっての「マクベス」とは、一体なんだったのか―――。
そして、ステージ上で顔なじみの人々を見ながら春斗はまた全く別の意味で思う。「オレにとって『マクベス』とは……一体なんだったのか」。……その答えはライブを終えたその時にも出ぬまま、時計の針は進んでいく。
解散ライブのその瞬間。そして終えた後のマクベスと中浜姉妹の日常。そんな彼らの人生と寄り添ってきた人々のこれから。これまで、様々な数奇な運命が絡み合ってきたこの群像劇の最後の最後は、このドラマ「ならでは」の終幕を迎えることに。20代後半。失敗を経験しながらも、もがき、悩み、そして笑いながら生きてきた彼らの生き様。春斗が出す自問自答の答えとは。このドラマの最後はもちろん…………。
第10話の感想
終わった、終わってしまった……。
「とわ子ロス」に引き続き、「コントが始まるロス」にも陥っている。里穂子にとって人生の節目を支えてくれた存在がマクベスだったとしたら、私にとってのマクベスは確かにこのドラマだった。
人にはそれぞれ、好きなものや熱中するもの、これがなければ生きられないと思えるほどの「生きがい」があるものだろう。時間と労力をどれだけ投入しても惜しくない対象。人生でそんな対象に出会えるのは、幸せなことだ。
「それはまるで、何気なく使い始めたタオルケットが、いつの間にか手放せなくなるように」
だからこそ、失った後の喪失感は大きい。ファンである里穂子にとっての喪失感もさることながら、マクベスの3人にとっても”マクベスではなくなる自分たち”に対する喪失感は、決して小さくないのではないだろうか。
「もし続けてきたことが間違ってなかったとしたら、この10年にはどんな意味があったんだろうか」
過去は変えられない、とよく聞く。変えられるのは、今か未来かしかないと。それでも、過去の捉え方を変えることはできるんじゃないだろうか。春斗にとっての10年間、潤平にとっての10年間、瞬太にとっての10年間……。各々にとっての10年間が過ぎていったはずだけれど、決して彼らは「挫折」や「失敗」を軸に語ることをしない。
「後で振り返ったときに正解だったと思えるよう、生きていくしかないだろう!」
そう、すべては、自分にとっての”正解”だったんだと思えるように、これからの未来を生きていくしかないのだから。
最終回の泣かされポイントはたくさんあるけれど、ひとつ挙げるならやっぱり”最後の3人じゃんけん”だろう。引越しに伴い、冷蔵庫を賭けたじゃんけんの戦いが繰り広げられた。最後のじゃんけんだ。もう今後、マクベスとしてじゃんけんをすることは、おそらくない。
「このまま、あいこが永遠に続いてくれたら、この時間を終わらせずに済むような気がした」
マクベスの3人で福岡まで向かいラーメンを食べたシーンや(第1話)、瞬太の車を売ってしまう前に3人で洗車しながら思い出を振り返ったシーンなど(第7話)を見た時も思った。3人でわいわいと笑い合いながら、泣きの演技に入る自然さがすごすぎる……。
菅田将暉も、仲野太賀も、神木隆之介も、それぞれの役と同じ28歳という年齢を生きている。この作品に全力で向き合った経験は、これから歳を重ねていっても褪せることはないだろう。それはマクベスの3人にとっても同じだ。”役柄”と”役者”がリンクする不思議な感覚を、視聴者も共有していたからこそ熱中したのだ。
最後の、里穂子と春斗がいつものベンチで語り合うシーンも良かった。ふたりの出会いもこのベンチから始まり、春斗と里穂子の間でしか交わされない類の会話が繰り広げられてきた。最後もこのベンチで終わるのか……と思うと、何度だって泣けてくる。
マクベスは解散し、3人はアパートを引っ越していってしまう。里穂子もファミレス「メイクシラーズ」を退職し新しい仕事を始めるということは、会う機会が極端になくなってしまうのだ。最後にマクベスへの思いを伝えたい、と願う里穂子のファン心理は痛いほどわかる。
「私はマクベスが解散しても、ファンじゃなくなることはありません。これからもずっとファンで居続けることを、ここにお約束します」
マクベスに出会ったおかげで、里穂子は救われた。それと同じように、マクベスにとっても里穂子というファンに出会えたことが幸運だった。エンターテイナーとして、またその受け手として、互いに支え合っていたことを確認する時間。
「ひとりの人がちゃんと見てくれているとわかっただけで、俺たちみたいな人間は頑張れるんですよ」
「やってきた努力が無駄じゃなかったなって、思えるんですよ」
春斗はきっと、”意味”が欲しかったのだ。マクベスの解散が視野に入ってきた段階から、10年という時間と労力を注ぎ込んできたことに対する”意味”を。
売れなかった。思ったほどファンもつかなかったし、大勢の客の前でライブもできなかった。それでも、たったひとりのファンにここまで愛された。やってきたことは無駄ではないし、その事実に春斗自身も今後ずっと支えられていく。
個人的には、春斗と里穂子が決して恋愛的に良い感じにならず、そんな空気感も出さずに爽やかに終わってくれたのが、心から好感が持てた。里穂子はあくまでマクベスのファンであり、「マクベスはファンとは付き合わない」というルールを率先して守っていたのだ。どれだけ3人と仲良くなったとしても、その一線を越えようとはしなかった。ファンである立場を崩さずに応援者を貫く彼女の姿勢を見習いたい。
安っぽい言葉だけれど、本当に、良いドラマだった。最後の展開まで目が離せず、「上手いなあ〜!」と声に出てしまった。毎週の楽しみをありがとう。確実に、生きる糧でした!
この感想レポートも今回で終わりだ。春斗の言葉で締めたいと思う。
「人生はコントだ、なんて、安っぽいことを言うつもりはない」
「でも、後から振り返った人生がくだらないコントのように見えたとしたら」
「それはそんなに悪くない人生だったと、思えるんじゃないか?」
–{「コントが始まる」作品情報}–
「コントが始まる」作品情報
『 人生 』 とは 壮大な…… 『コント(喜劇)』 である !?
4月。土曜よる 10時。 時計がその時を刻むと、このドラマは 毎話 、 一本の『 ショートコント』 から幕を開ける。
それは ある売れないトリオによる 、 取り留めのないショートコント。 しかし 実はそのコント 、 ――後に起きる53分の物語の○○○だった!!
本日、夢を諦め解散を決意 した3人の『コント師』の男 たち 。
数年勤めた一流会社をドロップアウトし、抜け殻のようになった姉と、 その姉の世話を言い訳に目標もなく夜の街で働く妹。
20代後半。
誰もが指さす 『大敗』 のド渦中にいる男女 5人 。
――だがそれは煌め く未来への 大いなる 『前フリ』 なのかもしれない!?
さぁ 笑って泣いて、俯いた 『 前フリ 』 回収する群像劇が始まる!!
放送日時
4月17日(土)
毎週土曜22:00~
出演
菅田将暉
有村架純
仲野太賀
神木隆之介
古川琴音
伊武雅刀
鈴木浩介
松田ゆう姫
明日海りお
小野莉奈
米倉れいあ
脚本
金子茂樹
チーフプロデューサー
池田 健司
プロデューサー
福井 雄太
松山 雅則(トータルメディアコミュニケーション)
演出
猪股隆一
金井紘 (storyboard)
音楽
松本晃彦
主題歌
「愛を知るまでは」/あいみょん
制作協力
トータルメディアコミュニケーション
製作著作
日本テレビ
公式HP
コントが始まる|日本テレビ
スペシャルコンテンツ マクベスの23時|日本テレビ
動画配信
コントが始まる|民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」 – 無料で動画見放題
公式Twitter
コントが始まる【公式】コント「捨て猫」5月8日(土)よる10:00さん (@conpaji_ntv) / Twitter
公式Instagram
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キャスト/スタッフ コメント
菅田将暉 コメント
ドラマ「コントが始まる」同世代の猛者たちが集結して挑むオリジナル作品。
ずっと憧れていた青春群像劇。
あの頃夢中になったドラマの脚本家。他にも色々、、(ニヤリ)。
こんなにもそばにいて欲しい人が集まってしまい、正直浮ついてます。責任を感じています。すみませんでした。ありがとうございます。頑張ります。でもそれ以上に楽しんでいきたいというのが本音です。
沢山笑いたい。嫌なことも大変なことも全部フリにして笑い合いたい。
話し合いたい。目を見て心を通わせて、泣くなら思いっきり泣きたい。
もう何をどうしたらいいのかわからないものだらけです。
でもきっと「あの時こうしていたら~」の”あの時”が今です。
先の見えない日々の中、この大失敗から始まる僕らの生き様が皆さまにほんの少しのゆとりをもたらす事を願っています。
どうか宜しくお願いします。
有村架純 コメント
生きていく中で、きっと大きな挫折や大きな失敗をして、今まで積み上げてきたモノが瓦解してしまう出来事もあるかもしれません。
この作品は、人々の小さな希望の光になる、応援歌のような作品になればいいと思っていますので、是非楽しみにしていてください。
仲野太賀 コメント
辛いことが多い時期ということもありますが、僕たちの20代後半の世代にとっては、今は人生を振り返る時期になっている気がしています。
思い描いていた未来と今はどうなのかなと。
こんなはずじゃなかったという人生かもしれませんが、辛かったり苦しかったりする人生を肯定してくれるようなドラマになればと思っています。 息苦しい時代の中で希望になるような、そんなドラマになればと思っています。
今後この5人がどういう化学反応を起こしていくのか、どんな掛け合いをするのか、僕もとても楽しみにしています。
古川琴音 コメント
「始まっている」、「始まった」ではなくて、「始まる」というタイトルです。
希望溢れる感じがとてもワクワクしています。
今まさに明るい未来に向けて一歩踏み出そうとしている人たちのドラマなんじゃないかなと思っています。
凄くもがきながら人生を進めていく5人だと思うのですが、そんな5人を思いっきり笑い飛ばしながらドラマを見て頂けたら、きっと面白くなると思います。
楽しみにしていてください。
神木隆之介 コメント
同世代の役者が集まって、群像劇をやる経験がこれまでほとんどありませんでしたし、いまだに制服を着る役とかもありますので、リアルな自分の年齢を演じられることが今回とても楽しみです。
このドラマは、同世代の方からは「もっとぶっ飛ばせ!」と思ってもらえたり、僕たちより若い世代からは、「将来こういう風になりたいな!」と思ってもらえるような、また上の世代からは「懐かしいな!」と思ってもらえるドラマになると思っています。「コントが始まる」というタイトルを聞いて、とてもワクワクしています。
コントは、必ずオチがあって、起承転結があって、ストーリーがあります。コントは必ずしもフィクションというわけではなくて、現実世界でもコントと同じようなことは沢山起きると思っています。
僕の中の「何が」始まるのか、コントみたいな現実世界で何が始まるのか、楽しみにしています。
伊武雅刀 コメント
(焼き鳥屋の店主という役どころに関して)
ボギーパットという名の焼き鳥屋(自分の城)で、独自のスタイルで明るく頑固に商売する個性豊かな人物を表現していきたい。少しは年の功を発揮出来れば良いが。
(金子茂樹脚本の感想)
今までにあまり見た事のない角度から紡ぎ出される物語が斬新なシナリオです。コントのライブ(役者がコントのお笑い芸人を演じる部分が興味津々)と日常の二つの世界がどう展開していくか、楽しみです。
(共演者について)
今まさに旬の若い俳優さんが勢揃いしていますから、フレッシュなオーラとパワーを沢山貰えそうで有り難い事です。少しは年の功を発揮出来れば良いが。
鈴木浩介 コメント
春斗達3人を温かくも厳しく見守る真壁は、心根の優しさを上手く生徒たちに伝えることが苦手な少しぶっきらぼうな教師です。(このドラマについて)壁に何度もぶち当たるのが人生です。それでも少しずつ前に進んでいく大切さを楽しんで見ていただけたら、夢のあるエンターテインメント作品になればと思います。
松田ゆう姫 コメント
まさかこんな素敵なお話を頂けるなんて、素晴らしいキャストの皆さんとご一緒出来ることが夢のようで、嬉しい気持ちと信じられない気持ちでいっぱいです。「コントが始まる」と共に私にとって新しい事が始まる事にとても高揚しています!自分の20代後半を思い返しながら、皆がどう変化していくのかを見届けるのが楽しみです。初の連続ドラマで緊張や不安は多分にありますが、それも含めてこのドラマを愉しんで頂けたら嬉しいです。
明日海りお コメント
有村架純さん演じる里穂子のバイト先の店長、恩田光代を演じます。
今まで夢中で見てきた群像劇はたくさんありますが、「コントが始まる」はこのご時世だからこその新感覚の群像劇。
意外な夢に果敢に突き進む恩田光代が、人生の大失敗の渦中にいる主人公たちの目に、どんな風に映るのか…
彼らにどんな影響を与えていくのか、私自身も楽しみながら作っていけたらと思います。
ぜひご覧下さい!
小野莉奈 コメント
私演じるうららは、スナックで働きながら、夢を追いかけています。
希望溢れる女の子をできるだけ等身大に表現できたらいいなと思います。
この作品に参加させてもらえる事がまだ信じられなくて、とても光栄に思います。
少しでも力になれるよう頑張ります!
米倉れいあ コメント
第2回目のドラマ撮影で緊張が大きいです。
周りのキャストさんが大人の方が多くて(初ドラマは学園もの)プレッシャーもあります。
ですが、とても良い経験が出来ると思うと楽しみです。大変なことは沢山あると思いますが、それを乗り越えてこそプロなのかなっと思います。「コントが始まる」というドラマに爪痕を残したいです!!
プロデューサー・福井雄太 コメント
まずはじめに、2年ぶりに再び菅田将暉氏と物語を作れるということ、心が滾ります。
また一緒になって作品を紡いでいけるということ、感謝と楽しみしかありません。そして有村架純さん、神木隆之介さん、仲野太賀さん、古川琴音さんという錚々たる俳優陣。
もう一度仕事をさせていただきたいと思った方、いつか仕事をしたいと思っていた方。
あの日交わした言葉や、あの日願ったこと。その1つ1つがこのようなドラマを作る未来に繋がるなんてその時は思ってもいませんでしたが、数奇な巡り合わせで今この奇跡的なチームでモノ作りができることへ全てが繋がった現実に胸が高鳴り続けています。
この物語の登場人物もそう。その状況は正に大失敗の渦中にいる人々です。失敗が許されない世の中で、皆に指さされる日々に飛び込み、最悪だと俯いてしまうかもしれない。
でもその俯いた失敗こそが彼らの重要な『点』となり、やがてその点が壮大な『前フリ』となって想像もしていなかった『未来』というオチに繋がる。そんな彼らの生き様は今の時代の大いなる活力になると思います。
その世界観を描くのが、脚本家の金子茂樹さん。企画段階から様々な話をしていますが間違いなく現代の創作界が誇る傑物であり、天才です。
金子さんにしか描けない会話劇に笑っていたと思ったら、いつの間にか誰もが「分かる…」と感じながらグッときてしまう物語。
さらに今回は冒頭のコントとドラマの構成が絡まるという離れ業。「これってどんな作品になるの?」と思っておられる方、一見の価値アリでございます。是非覗いてみてください。
俯くことも多いかもしれない日々の中で、この物語の人々の生き様は今皆さんが一番見届けたいと感じる時代に寄り添うモノとなっていくはずです。
そしてそれを至高の俳優陣が名演で物語る。未来の若者、今の若者、そしてかつて若者だった皆様、全ての若者に捧ぐ群像物語です。
主題歌 あいみょん コメント
私は過去のデモ曲を寝る前に聴く習慣があり、台本を頂いて、何曲か作ってみる日々の中、メジャーデビューして1年目。2017年。1番這い上がりたかった時に作っていた「愛を知るまでは」のデモを改めてふと聴き直していると、 「あー、この気持ちなんかもしれへん」と肩の力が抜けました。
自ら導いた世界はそう簡単ではなくて、読めない譜面を部屋に投げつけたこともあったし、こんなはずじゃなかったと思うことだらけで、悔しかった。そんな記憶が、ドラマと楽曲と、きっと何か重なるものがあるんじゃないかと私の中で確信に変わりました。
同世代の役者の皆さんが勢揃いする中、私も同じ世代としてこの作品に参加できることができで嬉しいです。私は私の人生をこのドラマにぶつけてみたいと思ったし、5人の仲間になりたいと思いました。