「リコカツ」第9話までのネタバレ感想|ついに咲と紘一が思いを打ち明ける! あと、あの家の平米数はどれぐらい?(&第10話のあらすじ)

国内ドラマ

北川景子主演のTBS金曜ドラマドラマ「リコカツ」が、2021年4月16日、放映スタートした。

運命的な恋に落ちた男女が交際ゼロ日のスピード婚をするも、すぐに価値観や意見の食い違いを覚えて、離婚に向けた“リコカツ”を始めていく姿を描く本作。

第1話放送中からあまりのおもしろさにSNSをはじめ全方位で大反響。この記事では毎話感想を記していく。

もくじ

・第1話あらすじ&感想

・第2話あらすじ&感想

・第3話あらすじ&感想

・第4話あらすじ&感想

・第5話あらすじ&感想

・第6話あらすじ&感想

・第7話あらすじ&感想

・第8話あらすじ&感想

・第9話あらすじ&感想

・第10話あらすじ&感想

・「リコカツ」作品情報

第1話あらすじ&感想

第1話のあらすじ

水口咲(北川景子)と緒原紘一(永山瑛太)は、運命の糸に導かれるように結婚した。出会いは3カ月前。雪山で遭難した咲を、航空自衛隊航空救難団の紘一が救助したのがきっかけだ。ファッション雑誌の編集者をしている自由奔放な咲と、厳格な自衛官一家に育った生真面目な紘一。性格は正反対だが、2人で幸せな人生を築くと誓った。

ところが、結婚式の翌日。咲は早朝4時に起床ラッパの音で起こされたうえ、紘一から緒原家の家訓を唱和させられる。会社で後輩の三本木なつみ(大野いと)にこぼす咲。なつみからは笑われた挙句、元カレの青山貴也(高橋光臣)の方が良かったのではないかと言われてしまう。

休日、紘一の提案で外食することになった。咲は喜ぶが、紘一はファッションから店選びまで何もかもセンスが違った。そのうえ自分の考えを押し付けてくるため、咲の不満が爆発。紘一も「思っていた結婚生活と違う」と大喧嘩になり、互いに離婚を言い放つ。

2人は離婚を考えていることを緒原家の食事会で紘一の両親に話そうとした。ところが、母・薫(宮崎美子)と父・正(酒向芳)から先に「自分たちは離婚する」と言われてしまい…。

さらには咲の父・武史(佐野史郎)と母・美土里(三石琴乃)の間にも不穏な空気が…。

第1話の感想:うまくいかない「愛の不時着」?米津玄師が最後に全部持っていく

雪山を転がり落ちる北川景子。それを助けに来る自衛隊員の永山瑛太。まるで「愛の不時着」か「THE突破ファイル」みたいな出会いから始まるドラマ「リコカツ」。

薄化粧でメガネ姿の北川景子が麗しく、マッチョなタンクトップ姿の永山瑛太が雄々しい。

北川景子演じる咲はファッション雑誌の編集者で、永山瑛太演じる紘一は四角四面の自衛官。まったくの異文化とまったく異なる価値観の二人が出会って、ひとつ屋根の下で暮らし、あっという間に離婚を決意する。つまり、うまくいかない『愛の不時着』である。

紘一は「君を守る」と言いつつ、女性の意思と文化を尊重しないリ・ジョンヒョク。咲は咲で、自分の仕事と生活がある。ユン・セリが北朝鮮の文化に馴染んだのは身ひとつだったからなんだなぁ、と思う次第。

咲は紘一の価値観を「古い」と切り捨てるが、咲だって後輩から見れば「古い」人間。新しい価値観と古い価値観はあるが、どっちかが必ず正しいというわけではなく、違うものは違うものとして共存していく必要がある。

咲は紘一のために尽くそうとしていたし、紘一だって悪いところは改善しようとしていた。だけど、うまく噛み合わずにお互い言ってはいけないことを言ってしまう。こういうことはよくあること。乗り越えている二人もいれば、乗り越えられない二人もいる。

姉夫婦も離婚しそう、夫の両親は離婚を決めた、自分の両親もうまくいってない。サブタイトルは「全員離婚家族」。

公式サイトには「離婚は事実において結婚の破壊ではない。むしろ、結婚を維持する第一条件である」というバーナード・ショーの名言が掲げられている。

あらゆる夫婦は、常に離婚を選択肢のひとつとして持っておいたほうが、平穏に日々を過ごしていけるのかもしれない。

二人の噛み合わなさにクスクス笑える前半と、急に切なくなっていく後半。そしてすべてを持っていく米津玄師。結婚を経験した人ほど理解みが深い、大人のドラマだ。

注目は紘一の後輩で救難ヘリコプターの副パイロット、一ノ瀬純を演じる田辺桃子。ぜひ木曜深夜に放送中の「ゆるキャン△2」の大垣千明役と見比べてほしい。彼女の持つポテンシャルに腰が抜けるはず。高橋広臣と永山瑛太のマッチョツインタワーも話題になりそう。

紘一が勤務する百里基地は、ドラマ『空飛ぶ広報室』でおなじみ。うーん、懐かしい。

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–{第2話あらすじ&感想}–

第2話あらすじ&感想

第2話のあらすじ

交際ゼロ日婚を果たしたが、お互いのあまりの不一致に離婚を決意した咲(北川景子)。しかし、歩道橋で足を滑らせた自分を身を挺して守ってくれた紘一(永山瑛太)の頼もしさと、「まだ君の夫だから」という優しい言葉に心が揺れる。
そんな時、事件が起こる。紘一の母・薫(宮崎美子)が離婚届を残して家を出て行った。2人で緒原家に駆けつけると、父・正(酒向芳)は心配するでもなく、紘一の妻である咲に当たり前のように夕飯の支度を要求。そんな義父の態度にも、それを何とも思わない様子の紘一にも、咲は腹を立てる。

翌日、咲は編集長の大崎(松永天馬)から、ラルフローレンの新連載の企画を聞く。連載を依頼する吉良夫妻を招いてパーティーを開くので、咲にも夫婦で出席してほしいという。成功させれば外されていた企画の担当に復帰するチャンス。パーティーは苦手だと渋る紘一を「離婚後に自活するには、仕事は大事。これもリコカツ!」と説得する。

その数日後、紘一は隊長の重森(菅原卓磨)から、今年のバーベキュー大会には夫婦で参加するよう念押しされる。しかし、パーティーと同じ日であることに後で気づいて、咲と大喧嘩に。すれ違いばかりで落ち込む咲は、久しぶりに行ったレストランで元カレの貴也(高橋光臣)と偶然再会し…。
一方、咲の実家でも事件が起こっていた。母・美土里(三石琴乃)が夫・武史(佐野史郎)の浮気を確信。証拠を押さえようと密かに行動を起こす。

第2話の感想:夫の価値観が180度急展開?なぜか若い女性に襲われる北川景子

メガネで薄化粧の北川景子がひたすら麗しいドラマ「リコカツ」。価値観がまったく異なる(というか、夫のほうが一方的に古い)夫婦の離婚をめぐるお話。

第1話のラストでは歩道橋の階段を咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)の二人が転げ落ちるラストで、「二人の中身が入れ替わってしまうのでは?」と心配したドラマファンもいたようだが、そんなことは起こらないまま、無事に第2話がスタート。

まず、紘一の両親(酒向芳、宮崎美子)の離婚問題から。妻に家出されてしまった紘一の父だが、尊大な態度はまったく変わらず、駆けつけた咲にもお茶や食事の用意を要求する。紘一も知らん顔。あまりにも時代錯誤な紘一父子の振る舞いと現代とのギャップをコメディ風に見せているのだが、こうした男性の振る舞いが生々しくて笑えない人もいると思う。コミカルな音楽を消したら、きっとコメディには見えないだろう。

紘一は父親を心から尊敬していた。父親が懸命に仕事をして、家を守ってくれたから自分は一人前になったと言うのだ。母親だって懸命に家事と子育てをしてきたのにね。

「男が女を守るのは当然のことだ。古来から男は女を守るものと決まってる」

これが紘一の決めゼリフ。男が女を守るのは結構なことだが、これには続きがある。

「古来から男は女を守るものと決まってる。そして女は男の足りない部分を陰になり日向になり、阿吽の呼吸で支える」

夫唱婦随。女は一歩下がって男を立てる。女はわきまえるべき。紘一の考え方はとても現代にはマッチしていない。だけど、紘一と咲はお互いにこんなことを言う。

「君の価値観を押し付けるな!」
「あなたの価値観を押し付けないで!」

『リコカツ』というドラマでは、二人の価値観は相対化されているということか。むむむ。そんなことを考えていると、妻の仕事のパーティーと夫の職場のバーベキューの日程がバッティングするという日常的なありがちなトラブルが発生する。

夫の職場のバーベキューは、妻が来ていないと上司が険しい顔。妻の仕事のパーティーは取引先がパートナーに会いたいと強要する。なんかどっちもイヤだな……。

結局、困っている咲のもとへ、高級スーツに身を包んだ紘一が駆けつける。それには伏線があった。あれだけ父親を尊敬していた紘一が、突然、父親に食ってかかったのだ。

「夫婦でいつも妻だけが我慢するなんておかしいですよ!」

めちゃめちゃ考え方が変わってる! 価値観も180度急転回だ。それまで父親と自己同一化していた紘一が急に母親の味方になって驚いた。紘一は自衛隊の隊長にもこう告げている。

「夫もまた妻を支え、妻のために変わることも必要なのではないかと!」

母親の家出を目の当たりにして考えが変わったということなのだろうか?(そのわりには最初は父親と一緒に腕組みしていたわけだが) ちょっとこのあたりが説明不足だと感じた。

取引先の前で面目を保った咲だが、今度はパーティーを中座して、夫の職場のバーベキューに駆けつける。夫婦がお互いに歩み寄ったということだろう。

ところが、今度は咲に紘一の後輩自衛官、純(田辺桃子)が襲いかかる。山中に咲を誘い出して置き去りにしてしまうのだ。1話でも職場の後輩(武田玲奈)から理不尽な攻撃を受けていたし、なんだかモヤモヤする展開。そもそも女性自衛官がこんな浅はかなことする?

ラストは妻のピンチを夫が助けに来てくれて一件落着(?)。米津玄師のエンディング曲が流れると「いいもの見た」感が醸し出されてズルい。助けに来るのは、いちいち怒鳴らないほうがいいよ、紘一……。

第3話では、咲の両親(佐野史郎、三石琴乃)の離婚問題が噴出する。

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–{第3話あらすじ&感想}–

第3話あらすじ&感想

第3話のあらすじ

キャンプの夜、林の中で道に迷った咲(北川景子)を紘一(永山瑛太)が見つけ出し、背負って帰ってくれた。どんな時も自分を護ってくれる紘一に咲は素直に感謝し、紘一も喜ぶ咲を見てうれしく思う。
そんな時、咲の母・美土里(三石琴乃)が2人の新居にやって来て「ここに住む」と言い出す。原因は夫・武史(佐野史郎)の浮気で、美土里は離婚する気らしい。

一方、離婚届を残して出て行った紘一の母・薫(宮崎美子)が、箱根の温泉旅館で働いていることがわかる。夫の正(酒向芳)はメンツを気にして迎えに行くことを拒否したため、紘一と咲が休暇を取って会いに行くことに。離婚を決めていた2人だったが、初めての旅行はどこか楽しみで、周囲からも「新婚旅行」とひやかされ、まんざらでもない。この箱根旅行で離婚の決意はどうなる?

そんなある日、同じスポーツジムに通っている紘一と貴也(高橋光臣)はなんとなく気が合い、サウナで互いの身の上話を始める。さらに、箱根行きの前夜、紘一の職場で新婚旅行壮行会が行われ、その帰り際、紘一は部下の純(田辺桃子)から「相談がある」と言われ…。

同じ頃、咲は編集長(松永天馬)に、ファッション誌の部署から小説や文学作品を扱う文芸部への異動を告げられる。

第3話の感想:とても麗しい三石琴乃。連ドラ出演が初めてとは思えない堂々たる演技

薄化粧でメガネ姿の北川景子がいつも最高なドラマ「リコカツ」。

離婚決意した咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)夫婦のもとへ、咲の母親・美土里(三石琴乃)が押しかけてきた。浮気ばかりしている夫の武史(佐野史郎)と離婚を決意したのだ。

三石琴乃は『美少女戦士セーラームーン』の主人公・月野うさぎ役や『新世紀エヴァンゲリオン』の葛城ミサト役で知られる声優界の大スター。初めての連続ドラマ出演とは思えない、堂々の演技ぶりを見せている。なにより麗しいのがすごい。

美土里のせいで、一つのベッドで寝ることになった新婚夫婦。彼らはこれまでセックスを一度もしていない。美土里が「新婚旅行、楽しんでね」と含み笑いするのはセックスの意味を含んでいる。昔は結婚式が終わり、そのまま新婚旅行に出かけ(缶を引っ張った車が式場から出ていくイメージ)、旅先で迎えるのが「初夜」だった。すでに失われた文化である。

美土里は咲たちの家にやってきたが、紘一の母・薫(宮崎美子)は家を出ていって箱根の宿で働いていた。同じ離婚きっかけで家を出たのに、二人は対照的な行動をしている。

薫を追いかけていった紘一に対して、薫は「妻でもなく、母でもなく、一人の人間としての居場所がほしかった」と吐露する。仕事の覚えも早いし、料理も上手い。能力が非常に高い薫だが、常に夫と子どもを支えて自分の名前を呼ばれることもなかった。

ドラマではよく出てくるテーマで、紘一も母の生き方を認めるのだが、夫の正(酒向芳)はビタ一文認めるつもりはない。まさに「有害な男らしさ」を煮詰めて固めたような人間像なのだが、彼が今後どのように描かれていくのかが興味深い。

咲と紘一は、両親の問題をきっかけに徐々に距離を縮めていく。最後に見せた体格差バックハグがエグかった。ああいうのって、女性はグッとくるものなのだろうか?

余談その1。「愛なんてこの世にはないと思う」と言う小説家・水無月連役の白洲迅が着ているのはLOVELESSのバンダナプリントジャケット。愛を信じないからLOVELESS(愛がない)の服を着ているというわけ。こういう演出はドラマにはよくある。

余談その2。「箱根の陣屋」と何度も出てくるが、実際にロケ地になった陣屋があるのは鶴巻温泉。紛らわしいというか、勘違いして覚える人がいそうでちょっと心配。

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–{第4話あらすじ&感想}–

第4話あらすじ&感想

第4話あらすじ

咲(北川景子)は紘一(永山瑛太)が自分と結婚した理由に心を打たれ、紘一も自分を理解してくれている咲のことを愛おしく思う。紘一の実家の騒動を機に初めて気持ちが通じ合えた2人。夫婦仲良く帰宅すると、家にはなぜか咲の元カレである貴也(高橋光臣)がいた!

咲の母・美土里(三石琴乃)が、弁護士である貴也に自分の離婚を相談したのがきっかけだったが、貴也はそこが元カノ・咲の新居であり、その夫がスポーツジムで仲良くなった紘一だと知り、凍り付く。そして、この一件を機に再び咲と紘一の間に距離ができてしまう。

翌日、咲は異動になった文芸部に初めて出勤し、小説家・水無月連(白洲迅)の担当を命じられる。連は若者に絶大な人気がある“恋愛のカリスマ”だ。しかし、その言動は身勝手極まりないもので、異動して早々に仕事にも暗雲が立ち込めていた。

一方、紘一は紘一なりの思いで、咲との離婚を真剣に考え始めていた。そんな時、美土里が自分の誕生日パーティーを咲たちの新居で開くことを勝手に決め、知り合いに招待状を送っていた。そのパーティーで再び咲と紘一と貴也が顔を合わせ、そこにさらに紘一に思いを寄せる同僚の隊員・純(田辺桃子)もやって来て…。

第4話の感想

「もういい。離婚はもうやめよう」
「何言ってるの?」
「君が、傷つく姿をもう見たくない」

涙顔さえ麗しい北川景子と抱きしめる腕がぶっとい永山瑛太による離婚エンターテイメントドラマ「リコカツ」。なんだかんだと熱いハグで終わることが多くない?

第3話は咲(北川景子)の元カレ・貴也(高橋光臣)と自宅で鉢合わせしてしまった紘一(永山瑛太)。呼び寄せたのは咲の母・美土里(三石琴乃)だった。激怒する咲。そりゃそうだ。怒りたくても怒れない紘一がせつない。せっかくハグしても、誤解などいろいろな要因が重なったとはいえ、なかなか近づけない二人の距離感がもどかしい。

書籍編集部に異動した咲が持っていた文庫本の中にあった「脳みそとアップルパイ」は、同じ金曜ドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』でムロツヨシが演じた主人公・間宮真司が書いた小説。『リコカツ』と『大恋愛』は脚本家が同じ泉澤陽子だから実現した粋なリンク。もちろん、『大恋愛』ファンの視聴者の間ではすぐさま大きな話題となった。『大恋愛』と『リコカツ』は、「一度、別れを覚悟した二人が(別れがあったからこそ)再び深い愛で結ばれる」という点で共通しているのかもしれない。

第4話には二つの花が登場していた。ひとつは恋愛小説家の水無月連(白洲迅)が咲に持ってこいと指示した真っ赤なヒガンバナ。赤いヒガンバナの花言葉は「情熱」「諦め」「独立」だから、咲に対する「夫から独立しろ」というメッセージということなのかもしれない。

もう一つは、美土里が夫・武史(平田満)から贈られた白いバラ。白いバラの花言葉は「相思相愛」「私はあなたにふさわしい」。だから美土里は武史に白バラを突き返して離婚を宣言したのだ。武史役は佐野史郎の病気によって平田満に交代したが、なんだか余計に悲哀が増したような気がするな……。

美土里の誕生パーティーには、元カレ・貴也も呼ばれてのこのこやって来ていた。来るんじゃないよ! そして紘一の部下のヤバい女・純(田辺桃子)も……。勝手に部屋を見るんじゃない! デリカシー皆無のこの二人はまだまだかき回してくれそうだ。

結局、パーティーでは美土里が武史に離婚を突きつけ、それにショックを受けた咲が涙して紘一の離婚撤回宣言とハグにつながるのだが、もっと「地獄絵図(サブタイトルより)」になると思ったよ……。

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–{第5話あらすじ&感想}–

第5話あらすじ&感想

第5話あらすじ

咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)は、離婚はせずにもう一度最初からやり直そうと心を新たにする。

その夜、紘一の母・薫(宮崎美子)が自宅に戻って来たと正(酒向芳)から連絡が入る。二人が駆け付けると、薫は旅館で働いた給与明細を正に見せ、正式に離婚を迫る。

翌朝、咲は薫から、紘一の好きな料理の作り方を教えてもらうことに。

一方、紘一は咲の母・美土里(三石琴乃)から離婚宣告されて落ち込んでいた武史(平田満)を心配し、咲の実家へと向かう。するとそこには武史の浮気相手と思われる里奈(中田クルミ)の姿が。さらに美土里から離婚届を託された貴也(高橋光臣)もやって来て、紘一、武史、貴也、里奈の4人はすき焼きを囲むことに…。

そんな中、紘一に異動の話が持ち上がる。自宅と基地が離れていることを気にする上層部がいるというのだ。仕事のこと、咲とのことを考えた紘一は、基地に近い実家に引っ越そうと決意し、咲に提案。ところが、咲は小説家の水無月連(白洲迅)から「新境地を開くような小説を書きたい」とチャンスを与えられたばかりで、二人の意見は真っ向から対立。

咲と絋一はついに離婚へと進みだしてしまうのか…。

第5話の感想

永山瑛太が北川景子をお姫様抱っこするシーンが見どころだった「リコカツ」第5話。別れる? やり直す? とストーリーは一進一退。

前話のラストで、やり直そうと誓った咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)。紘一は咲と顔が近づくだけでドキドキしているが、どうやらこの人たちはキスもしていない模様。「リコカツ」というか、まずこの結婚自体がユニーク過ぎると思う。普通の夫婦の「リコカツ」を描いても良かったのでは……? と根本的な疑問が頭をよぎってしまった。

咲と紘一の夫婦のもうひとつの特徴として、それぞれの実家との関係性が非常に深いところが挙げられる。紘一の実家は水戸にあるようだが、距離感をものともせず、何かと顔を出している。これは東京で暮らす若い夫婦としては非常に珍しい。妻が夫の実家でエプロンをつけて、義理の父親に膝をついて頭を下げたりすることなんて、いまどきなかなかないと思う。

それぞれの両親が離婚の危機にあるという物語の展開上の都合なのか、それとも夫婦とそれぞれの両親というひとつのコミュニティの形を描こうとしているのか、どっちなのかがまだわからない。

後半では通勤に1時間半かかることが紘一の職場で問題になる。紘一の家があるらしい水道橋駅周辺(冒頭で東京ドームシティの一部が映っていた)から茨城の百里基地までNAVITIMEで検索してみたら、たしかに車で1時間半だった。ただし、高速料金などで片道3300円かかるようだが、自衛隊が負担してくれているのだろうか?

お互いの仕事と家庭との兼ね合いで衝突する咲と紘一。これ自体はよくあること。

「仕事を辞めて、家庭に入ってもらうわけにはいかないか?」
「じゃあ、あなたが仕事を辞めて、家庭に入ってもらうわけにはいかないの?」

両者の言い分は真っ向から衝突し、紘一は「別れる」と結論づける。咲の言うように別居婚などの選択肢はたくさんあるのだが……。咲と紘一が折り合いをつけるのは第三者から見ても難しいと思う。なんだか第5話にしてスタートに戻ってしまった感がある。

ところで、ゼロ距離で圧をかけてきたり、夜通し電話をかけてきたりする水無月蓮(白洲迅)はパワハラ体質なので、いくら大切な取引先とはいえ、こういう相手との仕事は会社ぐるみで注意したほうがいいと思うぞ。

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–{第6話あらすじ&感想}–

第6話あらすじ&感想

第6話あらすじ

咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)は互いを愛しく思いながらもすれ違い、ついに離婚届に判を押す。
咲が心を込めてリノベーションした新居も、新婚夫婦に引き渡すことで話が決まり、二人での生活も残りわずか。咲と紘一は、夫婦としてではなく他人として同居生活を始めることに。

そんな中、水口家に家族全員が集まった。
美土里(三石琴乃)が武史(平田満)に離婚届を渡したことを知った咲が、夫婦で話し合う時間を設けたのだ。しかし、咲の願いも虚しく、武史は離婚届を最後のプレゼントだと差し出す…。
一方、緒原家でも薫と正に別れの時が迫っていた…。

咲と紘一がふたりで過ごす最後の夜。
咲は「最後の晩餐」だと料理を用意して紘一を待つが、勤務中にトラブルが発生した紘一とは連絡が取れない。すると咲が担当している人気小説家・水無月連(白洲迅)が現れ、勝手に部屋に上がり込んだきた。
しばらくすると紘一が帰宅し、水無月と一触即発!?離婚前夜は波乱の予感…。

第6話の感想

「もう、君の夫ではない。今まで、ありがとう」

ついに離婚届提出! 北川景子の走る姿が想像以上に美しかった「リコカツ」第6話。ふたりのマンションを売るエピソードだったが、最後はとうとう結婚生活にピリオドが打たれた(ように見えた)。

ふたりのマンションを売ることに決めた咲(北川景子)と紘一(永山絢斗)。身体の関係どころか、キスさえしていない二人の拠りどころになっているのがこの家なのだから、家がなくなれば自動的に関係は解消されることになる。粛々と手続きを進める紘一と、戸惑いがある咲の温度差は最後まで続くことになる。家を買いに来た宮下草薙の宮下兼史鷹がチョイ役ながら、なかなかの役者ぶりだった。今後もオファーが増えそう。

咲と紘一の離婚の前に、それぞれの両親の関係も終焉を迎える。咲の母、美土里(三石琴乃)は夫の武史(平田満)から離婚届をもらうと迷いなく役所に提出する。

「私は離婚って悪いことじゃないと思う。だって、前に進むために離婚するわけでしょ?」

これは美土里の言葉。たしかに一理ある。これまで度重なる夫の浮気に耐え続けてきたのだから、美土里の言うことも行動も理解できる。夫の浮気に耐えるのが妻の役目だなんてことはない。

一方、紘一の母、薫(宮崎美子)も夫の正(酒向芳)から離婚届をもらっていた。

「これで、ちゃんとひとりの人間として、自分の足で人生を歩んでいけます。ありがとうございました」

今、紘一の母の名前を「薫」と書いたのだが、劇中ではほとんど彼女の名前は登場しないので調べて書いた。夫からは「おい」と呼ばれ、息子からは「母さん」と呼ばれるだけで、数十年にわたって彼女の名前が呼ばれることはなかったというわけだ。だから、「ひとりの人間として」という重い言葉が出たのだろう。

咲は両親の離婚に傷ついていた。紘一もきっと傷ついていたのだろう。雨の日、二人は肩を寄せ合ってお互いの心の傷を癒やす。

「紘一さんがいてくれて、よかった」「自分も、君がいれてくれてよかった」

ここまで言っているのに、それでも離婚への歩みは止まらない。ありえないほど失礼な水無月連(白洲迅)に夫婦で対応したり、離婚する理由を100個挙げようとしても5個で詰まってしまったりしても、やっぱり二人の結論は離婚だった。

二人は結婚式のときに「幸せにします」と言い合っていた。この「幸せにする」というのがどうも重荷になっているような気がする。お互いに癒やし合うことはできるけど、実はキスもしていない彼らには「好き」が足りない。ここからドラマは終盤に入るが、二人の「好き」がどのように生まれていくのか、それとも生まれないのか。

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–{第7話のあらすじ&感想}–

第7話のあらすじ&感想

第7話のあらすじ

咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)は、互いを思いながらも離婚を選択。別々に生きていくことを決める。

翌朝、咲は武史(平田満)、美土里(三石琴乃)らを自宅に呼んで、紘一と離婚したことを報告。そこに正(酒向芳)と薫(宮崎美子)が、紘一と共にやって来て、咲たちに三人で頭を下げる。正は、咲と紘一の離婚を止めようとするが、その場にいる三夫婦が離婚したことが明らかに…。
さらには、楓(平岩紙)まで離婚する予定だと告白し、両家は愕然とする。

咲から離婚したことを聞いた連(白洲迅)は、「愛なんてこの世に存在しない」と切り捨てながらも紘一には興味がある様子。別れたあとも咲を何かと惑わせる。
一方、紘一の元には純(田辺桃子)がある決意を胸に、手料理を持って訪ねてくる。

そんな中、咲と貴也(高橋光臣)は美土里から呼び出され、衝撃の事実を聞かされる。詐欺に遭い、2000万円を奪われたというのだ。
仕事に両親の離婚、さらには美土里からの告白に咲の心は飽和状態。するとそこに、紘一から携帯電話にメッセージが届き…。

第7話の感想

「全員離婚家族じゃん、ウケる」

咲(北川景子)の姪っ子、梓(夏野琴子)が言うように、紘一(永山絢斗)と咲だけじゃなく、咲の両親の武史(平田満)と美土里(三石琴乃)、紘一の両親の正(酒向芳)と薫(宮崎美子)、咲の姉の楓(平岩紙)まで離婚することになった。一億総離婚時代だ。

離婚届を出して(出したところは写っていないが、紘一がそう言っている)、完全に別居した咲と紘一。それぞれの職場にも報告を済ませている。特に揉めごとでもない限り、普通はこれで夫婦はおしまい。だけど、まだ二人はお互いにどこか割り切れていない様子。いったいなぜだろうか?

咲と紘一のカップルは、うっとりするような素晴らしい思い出もあまりないかわり、浮気や借金や暴力のような離婚の決定的な原因になる悪い思い出もあまりない。さらに(物語の設定としてはどうかと思うが)セックスどころかキスもしていない。性格の不一致と価値観の違いによって離婚したのだが、相手の良いところもたくさん知っている。だからモヤモヤするのは当然である。もっと何かができたんじゃないかと思っているからだ。

やがて咲と紘一はそれぞれ「離婚する理由」(要するに相手の欠点)をメッセージアプリでやりとりし始める。これが良いコミュニケーションになり、ますます思いが募るようになってくる。普通なら郵送して終わりのはずなのに、わざわざ常陸水戸(!)まで紘一のクリーニングの忘れ物を届けに行くのは、思いが残っている何よりの証拠。「夫婦生活は長い会話である」というニーチェの言葉もあるとおり、夫婦にはコミュニケーションがとにかく大切。

しかし、ここで存在感を増してくるのが、紘一の自衛隊の後輩で上官の一ノ瀬純(田辺桃子)。いつも筑前煮を作って持ってくるからSNSでは「筑前煮女」「筑前煮上官」と呼ばれて(主に女性視聴者の)ヒートを買いまくっている。……「ゆるキャン△」では愉快ないい子だよ!(虚実混同)

今回も煮物を作りすぎたと言って紘一の実家にやってきて、ガッチリと紘一親子の胃袋を掴みにかかる。黒髪ロングにワンピースという、いかにも清楚な格好もあざとい。何より彼女は、咲を山中に放り出したり、パーティーで夫婦の寝室に上がり込んだり、咲に「離婚したほうがいい」などと言っていたのだ。紘一に報告して謝っていたが、それ以上にいろいろやらかしている女なのである。紘一にとっての咲の元カレ、貴也(高橋光臣)とは何もかもレベルが違う。

思い出のよしの食堂で再会した咲と紘一だが、ちゃっかり一ノ瀬もやってきていた。もっとも許しがたい女の姿を見て、思わず席を立つ咲。咲を追いかけて飛び出した紘一を、さらに一ノ瀬が追う。

「私、奥さんに嫉妬していました。私は緒原一曹のことをお慕いしております」

これみよがしに告白する一ノ瀬。これもあざとい。告白を紘一の足止めに使おうとしている。だけど、紘一は一ノ瀬に何の気持ちもなさそう。紘一が咲に惹かれているのは間違いない。もちろん、咲も紘一に惹かれている。

第6話の感想でも指摘したが、彼らは「守る」とか「幸せにする」とは言っている一方、「好き」とか「愛してる」とは言っていない。はたして最終回にどのような形で「好き」「愛してる」と言い合えるように持っていくのか。脚本の腕の見せどころだと思う。

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–{第8話の感想&あらすじ}–

第8話のあらすじ&感想

第8話のあらすじ

咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)の離婚をきっかけに、周囲がにわかにざわつき始めた。
貴也(高橋光臣)は、結婚を前提に付き合うおうと咲に告白し、連(白洲迅)は紘一の実家を訪ね、紘一を挑発する。

ある日、咲が働く編集部に連がやって来た。連の新しい作風は、咲が編集担当になってから文芸部でも評価が高く、咲も仕事にやりがいを感じている。咲を外に誘い出した連は、自分の孤独な身の上を打ち明けながら、「咲のために小説を書きたい」と素直な気持ちを伝える。

一方、連から「水口咲は俺がもらう」と宣言された紘一は、咲にふさわしい人は誰なのかと考えていた。咲の幸せを願うあまり、紘一は貴也を知るために尾行を開始。紘一が自分なりの結論を連に伝えるため連の仕事場を訪れると、そこに咲がやって来て…。

第8話の感想

「私はもう誰とも結婚しない」

ラストで咲(北川景子)が宣言した「リコカツ」8話。自分の気持ちに嘘をついてしまった紘一(永山瑛太)の慟哭も胸に突き刺さったが、その前に、二人の男女の気になって仕方がなくなってきた。“元カレタカヤ”こと青山貴也(高橋光臣)と、“煮物女”こと一ノ瀬純(田辺桃子)である。二人の存在感がエグい。

どこにでも現われる貴也だが、それは誠実さの証明でもある。咲に結婚を前提とした交際を申し込むと、そのことを伝えるためにわざわざ紘一の家を訪れる。車で1時間半かかる場所なのに! 「結婚を前提に」と言われて口からお茶をダラダラこぼす紘一と、「お茶から口!」と支離滅裂なことを叫ぶ貴也がおかしかった。

貴也は「結婚しない主義」をやめると宣言。紘一は尾行の結果、貴也が依頼人のために奔走し、階段でベビーカーを運ぶのを手伝うなど人格者だと理解する。咲の実家に足繁く通うのも下心ではなく、他人のために尽くす貴也の性格によるものなのだろう。紘一は貴也が「咲にふさわしい男」だと判断を下す。

いきなり飛び出した紘一の「古畑任三郎」モノマネに驚かされたが、永山瑛太の俳優としてのデビュー作「さよなら、小津先生」に主演していたのが先日逝去した田村正和だった。ドラマの打ち上げで田村に「君は、とにかく、俳優を続けなさい」と声をかけられた永山は、その言葉を胸に刻んで俳優人生を続けているそう。万感を込めた追悼モノマネだったのだ。

かたや“煮物女”の一ノ瀬純は、咲に会いに来るやいなや見事な土下座を披露。これまでの咲に対する犯罪めいた行為やデリカシーが1ミリもない行為の数々は、生まれて初めて人を好きになって、どうしたらいいかわからなくてやったことだという。

純は自分に会いに来た咲に「結婚したら、夫のために仕事はやめるつもりです」と宣言する。古風な考え方だと思うが、それはそれで尊重されるべきだろう。特に激務の自衛隊員には、咲ならずとも、純のような女性が合っていると考えるのは不思議じゃない。食堂で唐揚げ定食をムシャムシャ食べて、丼飯を一緒におかわりする姿を見ると、たしかに紘一と純はお似合いに見える。

都会で働く貴也は、自立した女性の咲にぴったりだろう。かなり古風な価値観の持ち主の紘一には、古風な純がよく似合っている。もう、それぞれ付き合ってしまえばいいのに! と思う気持ちもあるが、そうはいかないのが人の気持ちの面白いところだろう。

紘一は純からの交際申し込みをきっぱり断る。彼にはもとから咲しか目に入っていないようだ。一方、貴也は咲に「それだけケンカするってことはさ、緒原さんと真剣に向き合ってたからでしょ?」と話す。貴也は誰がどう見ても好人物だが、女性と真剣に向き合って交際するのが苦手なのかもしれない。誰とも均等な距離感で接するから好人物になるのだ。

自分の気持ちに嘘をついて、貴也との交際を促す紘一。だけど、咲は貴也との交際に踏み切れない……。最終回に向けて、咲と紘一はよりを戻すのだろうけど、このまま誰とも交際しないエンディングというのも面白い気がしてきた。

来週は離婚を決意した双方の両親にも大きな動きがありそうだ。ちなみに三石琴乃がカラオケで歌っていたのは『美少女戦士セーラームーンR』のエンディングテーマ「乙女のポリシー」。名曲!

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–{第9話のあらすじ&感想}–

第9話のあらすじ&感想

第9話のあらすじ

咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)は、互いの幸せを願うあまり本音を隠して再び別れた。
そして咲は、紘一との思い出が詰まった共有名義のマンションを売ることを決意。貴也(高橋光臣)にマンション売却の一切を委ね、依頼を受けた貴也は水戸の緒原家に紘一を訪ねる。

ある日、武史(平田満)に呼び出された紘一は、武史が美土里(三石琴乃)をだまして大金を奪った立川(中山麻聖)をやり込めようと作戦を練っていることを知る。立川に対面した二人は、美土里が必死に隠していたある事実を知ることに…。

咲が担当するカリスマ恋愛小説家・水無月連(白洲迅)の小説が完成間近に。結末は咲と紘一次第だと言う連は、強がる咲の本心を見抜く。

それぞれが大切な人に伝えたい、本当の想いとは…。

第9話の感想

「自分は、どうしようもなく、君のことが好きだ」

「リコカツ」最終回手前の第9話。咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)はラストでついにお互いの気持ちを確かめ合う。公式サイトに書いてあった「離婚から始まるラブストーリー…?」は本当だった!

9話では、離婚した3組の男女がそれぞれ本当の気持ちを確かめ合う展開になった。まずは咲の両親、武史(平田満)と美土里(三石琴乃)。武史は美土里から大金をだまし取った立川(中山麻聖)から美土里の乳がんのことを知る。

年老いて醜くなるのが怖いから治療せずに死にたいと言う美土里(あまりピンとこないが、そういう悩みの人もいるのだろうな……)に対して、武史は熱い思いを語る。

「しわくちゃのおばあちゃんになっても、どんな姿になっても、美土里は美土里だ! 生きててくれよ!」

武史役は病気によって佐野史郎から平田満に交代したが、浮気現場を見られてもニヤニヤ笑っていた武史と、誠実に愛を訴える武史が別人に見えて仕方なかった。それだけ両ベテラン俳優の個性が強く、演技が見事ということなのだろう。

次に、紘一の両親、正(酒向芳)と薫(宮崎美子)。正は自分にクビを言い渡した温泉旅館の支配人(吉田ウーロン太)に土下座して本心を吐露する。

「家庭とは常にそこにあるもの」だと思って仕事に打ち込んでいたが、実際には家庭は崩壊していた。薫から離婚を突きつけられて初めてそのことに気づいた正は、薫の職場に押しかけて一緒に働き、今からでもやり直せるところを見せたかったというのだ。

離婚した妻の職場に押しかけるのはかなり強引なやり方だと思うが、正の言葉は薫と紘一にも届き、薫の理解を得る。直接、妻に言えよ! という気もしないでもない、正の圧が強すぎる言葉は直接言っても薫に届かなかった可能性がある。

最後が咲と紘一。元カレタカヤこと貴也(高橋光臣)と煮物女こと純(田辺桃子)との関係は決着していて、あとは二人の気持ちがどうやって通じ合うのかが焦点になっていた。

ポイントは咲がマンションを売ってしまったこと。第6話でもこの家がフィーチャーされていたが(「家売る夫婦の最後」は北川の主演作「家売るオンナ」のパロディー)、二人にとって家は双方をつなぎとめる大切な存在だった。だけど、それがなくなり、いよいよつながりが消えかかったところで、あらためて相手のことを意識するようになる。

なお、咲と紘一のマンションの住所は文京区春日3丁目1093番地232。文京区春日は1丁目と2丁目しかないので架空の住所ということになる。マンションの外見は目黒区のヴィンテージマンション「泰山館」。部屋はセットだが、面積はだいたい80㎡らしい(「リコカツ」とコラボした「リノベる。」のサイトで同じような平米数のリノベーション事例が紹介されていたが、どれも80㎡前後だった)。文京区春日近辺でこの面積なら8000万円はしたと思う。

咲にとって大きな存在だったのが小説家の水無月連(白洲迅)だった。連は咲に気があるような素振りを何度となく見せていたが、実は価値観がまったく違ってぶつかり合ってばかりいるのに、お互いをいたわりあう咲と紘一のカップルそのものが気になっていたのだ。いいところ持っていったなぁ、連。

去っていく咲に向かって、連が何か呟くが、音は聞こえない。この口パクが何と言っているのかSNSで話題になったが、たぶん最終回を見ても答えはわからないだろう。

「紙切れ一枚で赤の他人が家族になる。夫婦と呼ばれる」

あらためて夫婦のことを考える咲と紘一。価値観も考え方も違うし、性格も違う。だから離婚した。だけど離婚してはじめて、相手のことが好きだとわかることもある。だったら、もう一度、恋をしてもいいんじゃないか? 

初めてデートした場所で待ち合わせるけど、うまくいかなくて、口論を始める二人の姿がちょっと懐かしくて微笑ましい。自然な流れで、二人はお互いの思いを告白していた。

最終回の注目ポイントは、二人がどのような関係を選ぶかということだろう。再婚するのか、恋人のままなのか、それとも新しい関係を見出すのだろうか? 

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–{第10話のあらすじ&感想}–

第10話のあらすじ&感想

第10話のあらすじ

互いの気持ちを確かめ合った咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)は、改めて交際をスタートさせた。大切なマンションを売ったことを後悔する2人のため、貴也(高橋光臣)は買い戻しの交渉を試みる。すると、直接事情を聞きたいと買い主自らマンションにやって来て…。

そんな中、咲は3年間のパリ研修の話を受けるかどうか悩んでいた。ようやく手にしたチャンスだが、紘一との新たな生活のことを考えると、なかなか答えを出せない。もし研修を受けるとしたら、連(白洲迅)の新しい小説が完成したあと。時間は迫っていた…。
一方、パリ研修の話を連から偶然聞かされていた紘一は、咲のためにと悩んだ末に、ある決意を秘めていて…。

互いの幸せを優先しようとする咲と紘一は、どんな選択をするのか?
咲と紘一がふたりで考えた、ふたりが目指す“理想”とは…!?

第10話の感想

「これからは大切なことは一人で決めずに、きちんと話し合いたい。どうすれば二人でいられるのか、何度でも話し合いたい」

「リコカツ」が最終回を迎えた。離婚した咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)はついに結ばれてハッピーエンド。だけど、そこまでには長い道のりがあった。冒頭の咲のセリフにあるように、二人に必要だったのは「話し合い」だった。

再び交際を始めた咲と紘一だったが(とはいえ、「交際0日婚」だったので交際は実質初めて)、二人には頭の痛い問題があった。咲が3年間のパリ研修に行くかどうか迷っていたのだ。劇中の会話にもあるように、女性にとって30代の3年間は大きい。

咲の悩みを知った紘一は、自衛隊を辞めることを一人で決めてしまう。彼が見た「他を生かすため」のプレートは、彼が勤務する航空救難団のモットー「That Others May Live 他を生かすために」から採られたもの。

しかし、紘一が退職願を出したことを知った咲は激昂する。ここが一つのポイントなのだが、咲は紘一が自分のパリ行きのことを知らないと思ってビンタをしている。つまり、二人のことを一人で決めてしまった紘一に腹を立てたのではなく、仕事に誇りを持たない紘一に腹を立てたということになる(そもそも咲はパリ行きも一人で決めようとしていた)。

咲はそれほどまでに苛烈な仕事観の持ち主であり、そんな咲が好きだからこそ、紘一は「パリに行かない!」と誓った咲の心の裏側にある「迷い」を見抜くことができた。そして、そこから二人のあるべき夫婦の形を模索する「話し合い」をしていく。

紘一の提案は「3年間待つ」というものだった。咲はパリで自分の夢を実現し、帰国後に結婚もする。36歳になってからでも、結婚生活は遅くはないし、子どもをつくることだって不可能じゃない。これが「二人の幸せの形」だ。

「自分たちの絆は、そんなヤワではない。未来というのは、自分たちで描くものだ」という紘一の言葉の主語が「自分たち」になっているのは、何事も一人で決めようとしてきた咲と紘一の大きな変化の表れである。そこから3年間、紘一は二人で住む家を守り、咲は紘一のために時間を調整しながら「おはよう」「おやすみ」を言い続けた(何げに大変だったと思う)。こうやって時間を積み重ね、会話を積み重ねて、二人はやっと夫婦に戻ることができたのだ。

「夫婦の形は、きっと夫婦の数だけある」「私たちには、私たちらしい夫婦の形が、きっとある」とは咲のモノローグ。紘一の両親も、咲の両親も、離婚を経て再び友人として歩みだした。夫婦も、家族も、誰かが決めた理想の形なんてありはしない。このドラマでは特に前半、日本伝統の家父長制度がカリカチュアされて描かれていたが、「日本人なら」とか「伝統なら」なんてことも、もちろん関係ない。それはそういうものが好きな人同士でやればいいことである。

大切なのは、二人がお互いを思い、二人の理想の未来を考え、それを伝え合うこと。当たり前といえば当たり前のことを、しっかり描いたドラマだった。

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–{「リコカツ」作品情報}–

「リコカツ」作品情報

運命的な出会いをし、“交際ゼロ日婚”した二人が早くも離婚!?
結婚したのは間違いだった…?
出版社に勤務する編集者・北川景子と自衛官一家の長男・永山瑛太が送る離婚から始まるラブストーリー…?

放送日時
4月16日(金)スタート。毎週金曜22時~ ※初回15分拡大

出演
北川景子
永山瑛太
高橋光臣
白洲 迅
大野いと
田辺桃子
中田クルミ
松永天馬
中山麻聖
松川 星
菅原卓磨
池田 大
吉田涼哉
柴田勇貴
夏野琴子
武田玲奈(第1話ゲスト)
平岩 紙
宮崎美子
酒向 芳
三石琴乃
佐野史郎

脚本
泉澤陽子

主題歌
米津玄師「Pale Blue」(ソニー・ミュージックレーベルズ)

音楽
井筒昭雄

演出
坪井敏雄
鈴木早苗
韓 哲
小牧 桜

プロデュース
植田博樹
吉藤芽衣

製作著作
TBS

公式HP
金曜ドラマ『リコカツ』|TBSテレビ 

公式YouTube
TBS 金曜ドラマ『リコカツ』

動画配信
リコカツ|民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」 – 無料で動画見放題 
リコカツ 第参話 うれし恥ずかし偽装の新婚旅行 | TBS FREE 
リコカツ | Paravi(パラビ) 

公式Twitter
【公式】リコカツ-TBS金曜ドラマ- & リコハイさん (@rikokatsu_tbs) / Twitter 

公式Instagram
【公式】リコカツ -TBS金曜ドラマ- & リコハイ(@rikokatsu_tbs) • Instagram写真と動画 

公式LINE
金曜ドラマ『リコカツ』 | LINE Official Account 

キャスト/スタッフコメント

北川景子・永山瑛太 コメント

——本作への出演が決まった時の気持ちは?
北川:久しぶりにTBSさんのドラマに出演させていただくので、とても楽しみでした。
永山:最初は「リコカツ」というのが何なのか分かりませんでしたが、北川景子さんと夫婦を演じるということで楽しみにしていました。

——本読みをしてみていかがでしたか?
北川:本読みはまだ衣装もメイクもしていない状況でやるので少し不安もあったのですが、瑛太さんが完全に役を作ってこられていたので、一緒にやっているうちに自分も「あ、こういう風にやっていけばいいのかな」という手応えを感じることができました。早く撮影に入りたいなと思いました。
永山:本読みは緊張するのですが、北川さんのおかげで安心できて、いろんなことを試すことが出来る時間だと思えました。いろんな球を投げてみようとやってみたら北川さんが全てをキャッチしてくださって、本当に安心して楽しめる本読みでした。

——お互いの印象は?
北川:若い頃にCMでご一緒したり、イベントで豆まきをしたこともあるんですけど、こうしてお芝居で ガッツリご一緒するのは初めてで。出演作もたくさん拝見していて、いつかお芝居でご一緒させていただきたいなと思っていたので、瑛太さんとできるというのがすごく楽しみでした。真面目な方だなという印象です。
永山:私生活も女優さんとしても安定感のある方という印象があって。主演が北川さんというのは、チャレンジしたいことを受け止めてもらえるんじゃないかという甘えがあり・・・。
北川:甘えてください、受け止めます!(笑)
永山:よろしくお願いします!

——撮影で楽しみにしていることは?
北川:「リコカツ」という言葉を私は初めて聞いたのですが、離婚から始まるラブストーリーがどんな物語になるのか、脚本が出来るのを楽しみにしていました。今は私達の恋の行方がどうなるのかとても楽しみです。
永山:離婚するかどうかですよね。
北川:私たちもまだ分からないんです。するのかもしれないし、しないかもしれない。
永山:何話か台本を読ませていただいて、毎話ラストシーンで「え!?」「どんな展開になっていくんだろう」となるので、この先どうなるのかすごく楽しみです。リアリティがありつつ、のめり込めるようなドラマチックなストーリー展開もあるので、夫婦のやり取りなども含めて皆さまにも楽しんでいただければと思います。

——視聴者へメッセージをお願いします。
北川:結婚したものの、お互いの価値観が違い過ぎるということが分かって、すぐに離婚したくなるという異色の夫婦の物語です。離婚するかどうかが一番の見どころになると思います。笑えて時々泣けるような、コメディ要素もあるラブストーリーなので、パートナーがいる方もいない方も楽しみにしていただきたいです。
永山:まずはポップな気持ちで見てほしいです。コロナ禍で大変なこともありますが、『リコカツ』を観て少しでも元気になったり、ほんの少しでも幸せを感じていただけるような作品にしたいと思います。ぜひご覧ください。

プロデューサー・植田博樹 吉藤芽衣 コメント

このドラマは、交際ゼロ日婚をした夫婦が結婚生活数日にして離婚を決意するところから始まる、離婚を契機に本当の恋愛が始まる、といった、一風変わった、でも本格的な大人のラブストーリーです。
企画の核がラブストーリーなので、この人たちのラブストーリーを見たいとみんなが思う俳優でなければ、ワクワクしません。
みんなをワクワクさせる組み合わせで、そして芝居が圧倒的にうまい二人を熟考した結果、北川景子さんと永山瑛太さんの組み合わせに、ある夜、突然に思い至りました。
結果、その組み合わせ以外まったく考えられなくなり、その組み合わせを実現させるのに数年かかり、いろんな方にご迷惑をおかけしました。でも、この写真を撮っているときに、「この奇跡の組み合わせを、この風景をみんなに見せたかったんだよ」と心から思えて、今までの苦労が一瞬にして吹っ飛びました。この二人は、「結婚」「離婚」という制度が突きつける周辺の変化にとまどいながら、本当に相手を思い、愛し、大切にする、という旅に出かけます。本当に奇跡の組み合わせ、北川景子さんと永山瑛太さんの紡いでくださる大人の「離婚するかもエンターテインメント」を、すごく面白い脚本と、とても上手い素敵な共演者と、最高の主題歌にくるんで、スタッフ一同、大切に大切にお届けしたいと思います。放送開始まであと二カ月程度ですが、楽しみにお待ちください。
ご期待を裏切らない自信が、凄く凄くあります。

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