「生きるとか死ぬとか父親とか」第12話ネタバレ感想:ついに家族になった蒲原家にカンパイ!そしてありがとう!

国内ドラマ

数々の話題作を生み出しているテレビ東京金曜深夜の「ドラマ24」。2021年4月9日からは、「生きるとか死ぬとか父親とか」が放送開始となる。

ラジオパーソナリティー、コラムニスト、作詞家として女性たちの支持も高いジェーン・スーが自身の家族の思い出を描いた原作をもとに、自由奔放な父親とそれに振り回される娘の愛憎のドラマを描いた本作。

W主演で親子を演じるのは吉田羊と國村隼。この記事では、毎話放送前にあらすじ紹介、放送後に筆者の感想を記していきます。

  1. もくじ
  2. 第1話あらすじ&感想
    1. 第1話のあらすじ
    2. 第1話の感想
  3. 第2話あらすじ&感想
    1. 第2話のあらすじ
    2. 第2話感想
  4. 第3話あらすじ&感想
    1. 第3話あらすじ
    2. 第3話感想
  5. 第4話あらすじ&感想
    1. 第4話あらすじ
    2. 第4話感想
  6. 第5話あらすじ&感想
    1. 第5話あらすじ
    2. 第5話感想
  7. 第6話あらすじ&感想
    1. 第6話あらすじ
    2. 第6話感想
  8. 第7話あらすじ&感想
    1. 第7話あらすじ
    2. 第7話感想
    3. 1.ミナミの事情
    4. 2.キタノがトキコに言えなかった事
    5. 3.人は皆、秘密を抱えているのかもしれない
    6. 4.最後に
  9. 第8話あらすじ&感想
    1. 第8話あらすじ
    2. 第8話感想
    3. 1.元パートナータツヤとの再会
    4. 2.東の結婚と組織的な突き上げ
    5. 3.トキコとタツヤ、それぞれのリハビリ
    6. 4.最後に
  10. 第9話あらすじ&感想
    1. 第9話あらすじ
    2. 第9話感想
    3. 1. 「トッキーとヒトトキ」がない展開
    4. 2. 違和感のなさがすごい、今トキコ(吉田羊)と過去トキコ(松岡茉優)
    5. 3. 20代で背負うにはつらすぎる、入院した母と壊れた父
    6. 4. 白いカラーと真っ赤なダリア
    7. 5. 冷静で客観的なトキコの絞り出すような「覚悟」
    8. 6. 最後に
  11. 第10話あらすじ&感想
    1. 第10話あらすじ
    2. 第10話感想
    3. 1.母を書くということ
    4. 2.母と『ひまわり』のソフィア・ローレン
    5. 3.「私はどちらの手をとればいいのか」は選べない選択肢
    6. 4.トキコが辛いことを書くのは、大切な母との記憶を忘れないため
    7. 5.トキコと母の静かな別れに涙
    8. 6.最後に
  12. 第11話あらすじ&感想
    1. 第11話あらすじ
    2. 第11話感想
    3. 1.母を失った父娘のギスギスした関係は見ていて苦しい
    4. 2.絶対に認めたくなかったことに向き合ったトキコ
    5. 3.「許せないまま書けばいい」は大きな救いの言葉ではないか
    6. 4.信仰の対象からようやく1人の人間になれた母
    7. 5.1人の人間として生きた母を受け入れた父娘
    8. 6.大きな試練を乗り越えたトキコ
    9. 最後に
  13. 第12話あらすじ&感想
    1. 第12話あらすじ
    2. 第12話感想
    3. 1.誰かのためじゃない、自分の相談を父にしたトキコ
    4. 2.亡き母に自分たちが家族になったと呼びかける瞬間がたまらなかった
    5. 3.アカペラのトキコはこれからも変わらずに進み続ける象徴のように見えた
    6. 4.結婚していない、子供も産んでいない。だからこそ、架け橋になれる
    7. 最後に
  14. 「生きるとか死ぬとか父親とか」作品情報
  15. キャスト/スタッフコメント
    1. 吉田羊 コメント
    2. 國村隼 コメント
    3. 田中みな実 コメント
    4. 松岡茉優 コメント
    5. 富田靖子 コメント
    6. 岩崎う大(かもめんたる)コメント
    7. DJ松永(Creepy Nuts) コメント
    8. オカモト“MOBY”タクヤ(SCOOBIE DO)コメント
    9. 森本晋太郎(トンツカタン) コメント
    10. ヒコロヒー コメント
    11. 岩井勇気(ハライチ) コメント
    12. 平子祐希(アルコ&ピース) コメント
    13. OPテーマ 高橋優コメント
    14. EDテーマヒグチアイコメント
    15. 原作:ジェーン・スー コメント
    16. 監督/シリーズ構成:山戸結希 コメント
    17. プロデューサー:佐久間宣行 コメント
    18. プロデューサー:祖父江里奈(テレビ東京) コメント

もくじ

・第1話あらすじ&感想

・第2話あらすじ&感想

・第3話あらすじ&感想

・第4話あらすじ&感想

・第5話あらすじ&感想

・第6話あらすじ&感想

・第7話あらすじ&感想

・第8話あらすじ&感想

・第9話あらすじ&感想

・第10話あらすじ&感想

・第11話あらすじ&感想

・第12話あらすじ&感想

・「生きるとか死ぬとか父親とか」作品情報

第1話あらすじ&感想

第1話のあらすじ

ラジオ番組『トッキーとヒトトキ』のパーソナリティであるトッキーこと蒲原トキコ(吉田羊)は、毎週リスナーから寄せられる「お悩み相談コーナー」で大人気。しかしそんなトキコにも悩みが…父親の蒲原哲也(國村隼)である。

自由奔放な父に振り回されるトキコだが、ある日、父について“エッセイ”を書こうと決める。そこには亡き母の人生と、父への愛憎が入り混じる娘の秘めたる思いがあって…。可笑しくもほろ苦い家族の物語が今、幕を開ける!

第1話の感想

第一回生きるとか死ぬとか父親とか感想

トキコのラジオパーソナリティーが心地よい!家族の葛藤は真相が気になります!

ラジオの良いところ、それは距離感。視聴者は投稿者の人生を通して自分を振り返ったり、共感したり、新しい発見ができる。
それでいて、お互いに普段の生活の中で直接関わることはない。土足で入り込まれることもないし、何かを主張する必要もない。
ラジオは、パーソナリティーとアナウンサーと投稿者でただただ時間と空間を共有している。その距離感が心地よい。

「生きるとか死ぬとか父親とか」。初回を観て、まるでラジオ番組を聴いているかのような感覚に陥りましたよ。もうドラマの最初から、吉田羊演じる主人公蒲原トキコの人生相談さばきが素晴らしいの。

彼女がパーソナリティを勤めるラジオ番組『トッキーとヒトトキ』には仕事に邁進するラジオネーム:まんじゅうこわいさんからのお悩み相談が。自分と結婚している友達を比べて、結婚について悩んでいるとのこと。こういう大抵の人がぶつかるけど、なかなか身近な人に言いづらい本音を聴けてしまうのがラジオのいいところですよ。

共感から入って「シングルイズドラッグ。独身て麻薬だと思う。それぐらい楽しいから。でもね、独身の楽しさって寂しさと天秤にかかってる」から始まる、独身の人にも、結婚した人にも寄り添う絶妙な回答。人には言えないけど聞いて欲しい悩みにこんな返し方されたら惚れちゃいます。

ラジオシーンは原作者のジェーン・スーさんご自身がすべて監修されてるとのこと。このラジオシーンのみの詰め合わせも観てみたいと思ったのは私だけでしょうか。

人の悩みに答えるトキコにも人生があって、悩みがある。70代の父親・蒲原哲也は「女に何かしてあげたいと思わせるのが異常に発達した男。

トキコも例外ではなく、墓参りの帰りにファミレスへ行けば曲芸のようなやり方でミルクティーを作って自分は苦いコーヒーを飲む。父が勝手に決めた新居の家賃も援助する。いや、いくら去年稼ぎがあったとはいえ家賃一年分を月内に一括払いはきついでしょう。

でも父親のことを書かせろ、その原稿料で家賃を支払うと交渉するあたりトキコさんはさすがです。

トキコの爽快な人生相談で始まった物語は、赤い花が登場するあたりから苦さが増してくる。哲也の新居の仏壇に飾られた赤い花。20年前に亡くなった母の好きな花は赤ではなく真っ白いカラーの花だった。

「結婚ってなんだろう」

トキコは生前の母にも聞いた質問を哲也にも聞く。生きていた頃の母は「その人のことが死ぬほど好きだったっていう記憶を捨てないことよ」と答えた。トキコのものごころついてからの父と母の記憶は「甘やかなもの」とは程遠い。

幼いトキコをなだめる母。そして今目の前にいる父。「年月と共に変容していく関係をどう受け止めたらいいのか。夫婦なんてそんなもんだと言われればそこまでだが。諦め、傷心や後悔はどこへ流されていくのか」トキコの両親に関する複雑な心情が流れ出てくる。

「好きだから」不倫相手の全てを受け入れようかという人生相談にヒートアップしてしまうトキコ。ああ、私はまだ父を許せていないのだと彼女の心情が語られるところで第一話タイトルが白文字で浮かぶ。しかも文字が追加されて。

「結婚とか 独り身とか 裏切りとか」

「裏切り」の文字が浮かんできた時に怖いと思ってしまいましたよ。予告を見ても次は父の裏切りに関することになるのね。なんだかミステリー。

原作者ジェーン・スーさんのラジオ番組「生活は踊る」は月曜から木曜日までオンエア中で、このドラマは金曜日。これから平日は原作トキコとドラマトキコのダブルトキコに出会えることになるんですね。次回も楽しみです!

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–{第2話あらすじ&感想}–

第2話あらすじ&感想

第2話のあらすじ

ある日、父(國村隼)からの提案で叔母(松金よね子)のお見舞いに行くことになったトキコ(吉田羊)。

華道の師範としてバリバリと働き、独身を貫いた叔母は自分で用意したケアハウスに入居した。「外の空気が吸いたい」という願いをかなえるため、トキコはスーパーでの買い物に付き合う。

自力で動けない叔母のため久しぶりの外出を精一杯楽しく演出するトキコ。しかしスーパーから戻ると叔母の部屋には見知らぬ女の姿があり…。

第2話感想

このドラマの特長である、冒頭と終わりに流れるラジオコーナーが今回もいい。蒲原トキコ(吉田羊)が答える人生相談の回答は聞く人の気持ちを穏やかにしてくれるし、こんな語りかけるような諭され方をしてみたい。

アナウンサーの東七海(田中みな実)をはじめとして、ラジオディレクター中崎、構成作家・近田、音響担当遠山の緊張感や仕草のひとつひとつが丁寧に表現されており、そこからセリフ以外の多くを受け取ることができる。

そういった言葉以外のものである「色」が第二回も効果的に使われていた。

「私はまだ父を許していないのだ」と主人公トキコの父に対するわだかまりがあきらかになった前回。真相が気になるところだけど、今回は父哲也とトキコが叔母(母の妹)の「バーバ」がいるケアハウスを訪れる話。

バーバはトキコが渡したお見舞いのマンゴーを数分後には忘れてしまう。トキコは「私ぼけちゃったのよ」と寂しげに言うバーバにかける言葉が見つからない。

記憶がだんだんおぼつかなくなっている人と話すときは、切ないよね。バーバはトキコの母が入院した時散々お世話してくれた人だからなおさらだ。

今回も「色」は印象的に使われる。バーバと一緒に買い物から帰ってきたトキコは、そこで見た光景に衝撃を隠せない。バーバの教え子と話す父の姿は、若かったトキコが見た記憶を蘇らせるものだったから。

ベッドに横たわる父と話す見知らぬ女性。赤い靴、赤いハイヒール、そして赤いワンピース。彼女は今まで活けてあった白いカラーをゴミ箱に捨てて、自分の持ってきた大きな真っ赤なダリアに換えてしまう。

ゴミ箱に捨てられた、母の大好きな白いカラー。そして見知らぬ女性の赤いダリア。

まだ多くは語られない、トキコが父に持つわだかまりの内容。でもそこに母以外の女の存在があることがわかった。「赤」と「白」が繰り返し静かにトキコに迫ってくるさまが恐ろしい。

「人の気持ちなんてものはさぁ、パソコンみたいに簡単に割り切れるもんじゃないんだよ」
葬儀会社の人に食ってかかる父のセリフ。父はバーバの棺に彼女の好きだった口紅を入れさせないことに腹をたてたんじゃない。遺族の気持ちを業務的に片付けようとする無神経さに憤ったのだ。

最後、ラジオ相談のコーナーでトキコが涙ながらに語っていた言葉が胸に刺さる。

「他人から見ればゴミに見えるものでも、遺族にとっては大切な記憶なんです。使い道はないけれどゴミじゃないってものが世の中にはあるんですよ。人間には、捨てられない記憶があるんです」

口にするだけで涙が出る言葉がある。言葉にしてもらえたから涙が流れることもある。トキコはたくさんの痛みの代弁者だね。ここはほろりとしました。

母がまだ生きていて看病していたあの頃。そして写真の中で微笑む母はトキコの捨てられない記憶だ。他人がなんと言おうとも弔う人と弔われる人の記憶は特別な領域。誰にも踏み込む事はできない。

今回は「老いるとか思い出とか弔いとか」。弔いがテーマの今回はヒグチアイが歌うエンディングテーマ「縁」が特に胸に響く。「あなたがいたから私がいるのよ 私がいたからあなたがいるのよ それだけは混じりっけない 事実 事実だから」こんなの出されたらたまらないよ。来週も楽しみです!

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–{第3話あらすじ&感想}–

第3話あらすじ&感想

第3話あらすじ

父(國村隼)から、食物アレルギーの疑いがあると一報を受けたトキコ(吉田羊)は、病院に連れていくことに。

しかし、診断結果は何事もなく、せっかく来たからという理由で突然「顔のシミを取りたい」と言い出す父。

呆れたトキコは学生時代からの女友達である北野(中村優子)とミナミ(石橋けい)に愚痴を言う。いまや「男性の美容」は普通のものだと頭ではわかっているはずのトキコだったが……。

第3話感想

毎回くどいけど、主人公トキコ(吉田羊)がラジオパーソナリティーを務める「トッキーとヒトトキ」の相談コーナーが今回もいい。アナウンサー東七海(田中みな実)がリスナーの相談を読む間合いも耳に優しい。

「夫(元々頭髪は寂しいほうだった)がなんの相談もなくカツラで過ごすようになり、それが生理的にいやでいやで泣きそうと」。そんなペンネームおかめソーダさんの相談はとてもラジオらしい内容。

こういう大事件でもないけど、モヤモヤして話しにくいことも投稿できるのがラジオの良いところですよ。

なぜか熱心に櫛で髪をとかしているラジオディレクターの中崎(オカモト”MOBY”タクヤ)はなにを意識しているんだろう?それをガン見する構成作家・近田(森本晋太郎)もいい味出してます。

ラジオネーム:おかめソーダさん(女性)

私は48歳の夫と6歳の娘の三人暮らしの主婦です。

夫は出会った当時から頭髪が寂しく、最近は坊主頭が板についていたのですが、数日前に突然、カツラ姿で帰ってきたのです。

急に知らない人が家に入ってきたと思い、驚いて叫んでしまいました。

娘も「それ、お父さんの新しい帽子?」と困惑気味。

最初はパーティーグッズ的に私たちを驚かせようとノリで被ってきたと思ったのですが、どうやら今後、これで通すつもりらしいのです。

坊主頭を見慣れた身からすると、黒々フサフサとした頭が似合っているとは思えず、嫌で嫌でたまりません。

夫の友人や会社の同僚たちも困惑するでしょうし、近所の人やママ友だって、口には出さなくても、相当ざわつくことでしょう。

「坊主頭の方が似合っているよ」と言っても、「君だって化粧して外出するだろう」と頑なな姿勢を崩しません。

いくら夫婦でもデリケートな問題なのでそれ以上は何も言えませんでした。

私はありのままの姿でいてほしいのですが、周りを困惑の渦に巻き込むリスクを冒してでも、頭髪がコンプレックスだとしたら、認めてあげた方がいいのでしょうか?

でも、夫のカツラ姿にはどうしても抵抗感があり、生理的に嫌で嫌で涙が出そうになります。

トッキーさん、私どうしたらいいんでしょう?

質問に対し、それはおかめソーダさん自身の意識の問題ですと答えるトキコ。

「男性の美容」は当たり前の現在。とはいえ、いざ自分の父・蒲原哲也(國村隼)が美肌に目覚めて顔のシミを消したことに動揺(しかも元々は食物アレルギーかどうかを検査してもらうために病院に行った)。

そしてそれを学生時代からの女友達に偏見だと指摘されてしまう。

うーん、もしこれが自分の父だったらどうするだろうと想像しました。

自分の父親(仮に70代とする)がですよ、ある日突然、「身だしなみに年齢は関係ありませんよ。若い頃から気になってて、いつか取りたいなと思っていて、でも普段の暮らしで忘れてしまって。それをたまたま思い出して」といって顔のシミを消してもらったら。

そして口笛を吹きつつ鏡の前に立ち、自分の体にクリームを塗っていたら。どんな反応をしますか?

やっぱりすぐにはやったね!とは言い難いかもしれない。

これが知り合いとか友達なら、そういう方面に力を入れ始めたんだね!と言える。私もしっかり「男性の美容は一般論として理解できるが、身内だと動揺する」枠にはまっていました。ここは落とし所がむずかしいかもしれないな。

でもね、美肌に力を注がなくても、自分の顔を鏡でみた時にむくんでたり、くすんでいたら大抵は落ち込むわけで。女子会経由で大胆かつおおらかなマッサージ(荒っぽいということ?)を受けるトキコと女友達の北野(中村優子)の気持ちもわかるなあ。

「トッキーのお父さんも刺激が欲しかったんじゃない?」

北野の言葉をきっかけに父の言動と自分を振り返るトキコ。「老いた父が自分で自分を励ますことのなにがいけないのか」。そう思って、一度は父の美肌活動に反発したことを反省するのが可愛らしい。

「見た目とか美容とか」のタイトルだけど、本当は年齢を重ねてたからこそ余計に自分で自分を励まし続けることが大事であるってことなんだろうな。

トキコの父哲也にとってはその手段がたまたま顔のシミを取ることだったり、自分の体に磨きをかけることだっただけで。

トキコに LINEで「アレルギーじゃなかったのでそばとゆで卵とヨーグルトを食べたよ」と返す哲也がまたいい。三國隼さんの声が脳内再生される。

生きているとどうしようもない感情ってあるものね。美肌だってマッサージだって、どんな手段にしろ自分を肯定する行為は必要です。

今週は序盤と終盤のラジオディレクター中崎さんのヘアセットが印象的でした。来週を楽しみに待ちます。

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–{第4話あらすじ&感想}–

第4話あらすじ&感想

第4話あらすじ

トキコ(吉田羊)のエッセイが掲載された銀座のタウン誌『銀座百点』。それを探しに父(國村隼)と二人で銀座を訪れたトキコ。しかし、最近の銀座はすっかり様変わりしてしまい、思い出の店がいくつも移転したり、なくなったりしていた。何とかお目当ての『銀座百点』を見つけ喜ぶ二人は、早めの夕食を取ることに。店に入るなり早速、掲載されたトキコのエッセイを読む父。そこには、父と母(富田靖子)の出会いの話が書かれていて……。

第4話感想

「トッキ―とヒトトキ」
 今週のお悩み相談コーナー
ラジオネーム:若いながらもモヤシありさん(女性)
私は21歳の大学生です。東京生まれの東京育ち、父も母もそれぞれの祖父母も東京生まれのいわゆる江戸っ子です。
なので、故郷といえば東京しかなく、私はこの故郷が大好きでした。
ところが、最近はあまり好きではなくなってしまいました。
オリンピックに向けた再開発をきっかけに、自分が好きだった場所がどんどん無くなってしまい、なんというか… 喪失感みたいなものを感じています。
私が子どもだったころの街の面影は、もうほとんど残っていません。
トッキーさんも東京生まれですよね?
トッキーさんは変わっていく東京に寂しさや喪失感のようなものを感じたことはありませんか?
もしあったとしたらその感情とどう向き合っていますか?
何かいいアドバイスがあったら教えてください。よろしくお願いします。”

はい、蒲原トキコ(吉田羊)と東アナウンサー(田中みな実)の声を背景にして東京タワーの映像が入るラジオコーナー。臨場感あっていいです。

構成作家・近田(森本晋太郎)がオンエア中にストレッチ。音響担当の遠山(ヒロコヒー)に(おそらく)にらまれて椅子におとなしく座るの好きだなあ。短い時間で登場人物の人柄が伝わってくるんですよね。

相談者と同じく東京生まれのトキコ。彼女の父・蒲原哲也(國村隼)と母(富田靖子)にとっての青春と街の記憶はダントツで銀座。

両親と自分にとって特別な街のタウン誌『銀座百点』に自分の文章が載ったら、やっぱり店舗から直接手に取ってみたくなるよね。嬉しいし懐かしいもの。

とはいえ、ドイツ製の時計が418万円と聞いて、びっくりして無言で店を立ち去る哲也の気持ち、わかります。価格帯からして別世界にきたよ感がすごいのも銀座です。

コラム二ストでラジオパーソナリティーでもある、トキコの洞察力はここでも冴えています。

高級店での客の扱いはこれまでに使った金額で決まる、ある意味で露骨な世界です。ここでは継続性がないただの闖入者として扱われるふたり。

彼女の推測を裏付けるように、裕福な生活を送っているだろう老夫婦と孫へ対する店員の扱いは対照的。

他者の上に自分や身近な人間の可能性を重ねてしまうのは、仕方ないこととはいえトキコの気持ちを想像するとやりきれない。

”もしも、私が結婚して子供を産んでいたら。今頃はあのくらいの(老夫婦の孫)年齢になっていただろうか?”

”もしも母が生きていたら。あんな風(老婦人)に素敵に年齢を重ねていただろうか。”

”もしも父の商売が失敗せずにうまくいったら。私たちは豊かな暮らしをつづけていただろうか。”

”もしも”に埋め尽くされようとしていたトキコに哲也が声をかけてきたときはほっとしましたよ。

いやいや、形にならなかったもの、亡くなったもの、思い通りにいかなかったものだけがすべてではありませんと諭されたような気持ちになったのが飲み屋でのシーン。

哲也がトキコに語る、「真の」両親の銀座話では、照明がトキコと哲也に当たり、店内の喧騒は消え、アパートの鍵の音が印象的に使われます。

一度は別れた元彼・哲也に自宅アパートの鍵だけ渡してさっさと職場に向ったトキコのお母さん、かっこいいなあ。

なるほど、トキコの母は亡くなり、あったかもしれない人生の可能性は消え、老舗の蕎麦屋は閉店した。それでも、トキコの母は死してなお一家の潤滑油として、トキコと哲也を励まし続けている。

簡単に言葉にはできない感覚にそっと触れてくる表現がとても心に沁みます。

場所や風景は人の記憶と結びついている。それが次々に表情を変えていく街を舞台に、なんともほろ苦いながら、かすかな救いもあった回でした。

飲み屋で偶然にあった岩井勇気さんは今後トキコどのようにからんでくるのでしょう。次回も期待!

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–{第5話あらすじ&感想}–

第5話あらすじ&感想

第5話あらすじ

父親について執筆しているエッセイがネタ切れになってきたトキコ(吉田羊)。幼いころ父と楽しく遊んだ思い出がないという話から、東(田中みな実)に「子ども時代をやり直しては」と提案され、父(國村隼)と二人で動物園に行くことに。しかし自由気ままに歩き回る父に振り回されるばかりで良いエピソードなどとても作れそうにない。ところが帰りに寄った昔なじみの店で、トキコの知らない昔の父の仕事話や、幼い頃の2人のエピソードを知らされることに……。

第5話感想

「トッキ―とヒトトキ」 今週のお悩み相談コーナーラジオネーム:悪い習慣さん(女性)私はこれまで仕事に遊びにと、毎日を比較的楽しく満ち足りて過ごしてきました。しかし、最近、気持ちがかき乱されることが時々あります。それは、結婚した友人や知人のフェイスブックに子供の写真がアップされているのを見た時です。新生児から小学生までの子供の写真を見ると、心がざわついたり、時にはイライラしたりする自分がいます。友人知人が慈しむ子供の写真にネガティブな感情を抱くなんて、どう考えても問題ありますよね?私は未婚で子供がいないから、子供のいる家庭を羨んでいるのでしょうか?自分の心が心配です。

東(田中みな実)さんにシンクロ率高し。

未婚で子供のいない相談者が、家族を写したSNS投稿にネガティヴな感情を抱いてしまう…「自分の心が!!心配です」の演技がかった読み上げに吹き出しました。

さらにトキコ(吉田羊)も実は相談者のような感情を抱いたことがあると告白。でも、モヤモヤの原因は「父親に世話される娘に嫉妬していた」から。

東さんと同じく「え?そこ?」と突っ込んでしまった。冒頭のラジオコーナー大好き。

幼いころ、父・哲也(三國隼)に世話をされなかった欠損を抱えたままのトキコ。東さんの助言で父と思い出作りをすると決めた時の足取り、靴の音がいい。

だからって、父のマイペースな性格が変わるわけもなく。しょっぱなから自分のタクシー代を娘に支払わせるとか、オカピを見たくて行方不明になるとか、トキコが大変すぎる。

いやいや、さすがに動物園に行って動物の取引価格を大声で言っちゃ、ひんしゅくを買いますって。

大人になってからの親子ってどこかやりにくい。面とむかって何かを話そうとすると、ちぐはぐになる。近い間柄だから難しい。

だからこそ、第三者である父の友人・沼田さんが語る父の姿は、本人よりもずっと詳しい。距離があるからこそ言えることがある。

トキコは「父が家によりつかなかった時代」の父の働きかたを知らない。(ただし、父が愛人にマンションを買っていたことは知っていた。哲也!!)親子だからって相手の歴史のすべてを知っているわけじゃない。

もはや埋めようがないと気づいた欠損。でも実は自然と埋めるものをトキコは身につけていた。

食事の後に口のまわりを丁寧に拭く習慣は、父が幼い娘の口のまわりを綺麗にふき取ってあげたからついたこと。

買ったばかりのBMWを嘔吐物まみれにした、なんて古傷に塩を塗って抉る思い出だけじゃなかった。

欠損したままの箇所もある。でも埋まった箇所もある。損なわれたことと埋められたこと。高齢の父哲也と中年の主人公トキコの関係性が丁寧に描かれて、こちらまでなにか補われた気持ちにしてくれる回でした!

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–{第6話あらすじ&感想}–

第6話あらすじ&感想

第6話あらすじ

トキコ(吉田羊)と父(國村隼)は親戚の結婚・出産祝いに出かけることになった。亡くなった母の姉である伯母(三林京子)とその娘(渡辺真起子)との食事会だが、持っていくご祝儀に新札を用意するのを忘れてしまったトキコは、銀行のATMでキレイなお札を手に入れるべく奮闘。なんとかご祝儀を用意し駆けつけたお祝いの席だが、そこでトキコは伯母たちから、母のつらい過去とそのときの父の振る舞いについて聞かされるのだった…。

第6話感想

「トッキーとヒトトキ」
 今週のお悩み相談コーナー
ラジオネーム:ドテカボチャさん(女性)私は一つ年上の夫と、六年前に結婚しました。
私たちには子供がいません。夫とはセックスレスになって、かれこれ三年になります。
私も最初のころは物足りなさを感じていましたが、スキンシップはしますし、段々と傍にいるだけで安らぎや癒しを得られ、満たされるようになってきました。
ただ、子供のことを考えると、どうしてもモヤモヤしてしまいます。
夫とも、子供を授かりたいか、という話をするのですが、居たら楽しいだろうね、可愛いだろうね、と話す一方で、もし授からなくても二人で楽しく暮らしていこうね、という着地になります。
夫はとても思いやりがあり、いつも自分のこと以上に私のことを考えてくれる人間的にとても尊敬できる人です。
周りを見ると、私くらいの年齢では、子育てをされている方が多いですし、親のことを思うと、孫の顔を見せられていないことが申し訳なくも思います。
トッキーさん、東さん、このまま夫婦二人だけで生きていくべきなのでしょうか?
子供のことは考えないほうがいいのでしょうか?
もちろん、夫とは末永く楽しく暮らしていきたいと願っています。

母を早くに亡くした40代半ばの独身女性とその父親との交流を描く家族の物語。人生の中盤と終盤にさしかかった親子のやりとりはちぐはぐでおかしくて、ほろ苦い。

トキコ(吉田羊)は未婚で子供がいないので、血が繋がった家族といえば父(國村隼)のみ。エッセイストのかたわらラジオパーソナリティーを務める『トッキーとヒトトキ』には、さまざまな相談が届く。

第6回のお悩みは、夫婦仲は円満だが周囲と比べて子供がいないことに不安を感じるというもの。

「他人と違うから不安に感じるならその必要はまったくないと思います。まず2人で過ごす時間を大切にしてください」と答えるトキコ。

アナウンサー東七海(田中みな実)の「幸せの形はいろいろあっていいはずですからね」と構成作家・近田(森本晋太郎)の「僕はそんなに簡単に割り切れないですね」の感想は対照的でいい。正解がないからこそ悩み、揺れ動くのは生きている証しだから。

今回はトキコの伯母(母の姉)ケイコ(三林京子)と従姉エミコ(渡辺真起子)が登場。

父(三國隼)とともにエミコの娘夫婦の結婚・出産祝いをすることに。そこで明らかになったトキコの母の悲しい過去。

母は「女は子供を産んで一人前」とされた時代の中で、子供をなかなか授かれなかった。どうしても子供が欲しい気持ちを父にわかってもらえなかった母の悲しさ、苦しさを知って、トキコはもどかしさでいっぱいになる。

もう子供ではないトキコは、母の経験した辛さがわかる。でも亡くなってしまった人にしてあげられることはほとんどない。喪失ともどかしさと後悔がないまぜになったトキコの涙には、こちらももどかしい気持ちになる。

最後のラジオ相談コーナーで、トキコは子供がほしいのに夫に理解がないという相談に答える。昔自分の母が経験した辛さを相談者は抱えている。
「2人で幸せに暮らせればいいじゃない」とは答えられない。

相談者の気持ちもわかりつつ、相談者の考える幸せと夫の考える幸せのすりあわせができればいいねと願うトキコ。人間同士が話し合って考えをすりあわせることはとても大切で難しい。

6話ではトキコの母の辛い過去が明らかに。そしてトキコは自らが編集してきた物語に酔っていたと気づきます。

それは父を美化する為ではなく、自分の人生を肯定したかったから。いつでも素面で書き倒してやろうと決意を新たにします。

いろんなことが積み重なって生きてきた自分の人生を肯定したい。誰もが思う、そんな心の襞に触れる回でもありました。

次回からは後半戦。楽しみです!

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–{第7話あらすじ&感想}–

第7話あらすじ&感想

第7話あらすじ

トキコ(吉田羊)は友人の北野(中村優子)とミナミ(石橋けい)の3人で、いつものように楽しくお酒を飲んでいた。しかし突然、ミナミが泣きながらトイレに駆け込んでしまった。なんとミナミの夫が不倫をしているというのだ。落ち込むミナミを前にラジオの人生相談のようにアドバイスをするトキコだったが、それを拒絶されてしまう。そしてその様子をどこか冷めた目で見る北野。仲の良い女友達のそれぞれの人生観がぶつかり合うことに……。

第7話感想

ラジオ 「トッキーとヒトトキ」

今週のお悩み相談コーナー

ラジオネーム:乙女ヘチマさん(女性)
私には付き合って四年、同棲して三年半の彼氏がいます。
彼とは私のバイト先のライブハウスで知り合いました。彼はバンドマンです。
同棲を始めた頃、彼のスマホで仲良く動画を見ていると、一件のラインが…女性からでした。
「こいつは〇〇で、しつこいだよー」と余計なはぐらかし。
それが初めての〝あれ?〟でした。
また、ある時は「携帯のメールくらいで俺の本心を見ようとするな!」と怒り狂い、一緒に飲んでいたワインのボトルを片手に部屋を出て行き、深夜の路上にボトルを叩きつけて割りました。
その破片で自分の腕を傷つけようとする彼…私が止めずにじっと見ていると、結局ためらって止めました。
私は酒臭くなった道路で、ボトルの破片を片づけながら、つくづく情けなくなりました。
彼は翌朝にはケロッとして粉々のボトルの写真をフェイスブックに投稿し、〝これは女がらみだね〟などと、知り合いにコメントをもらって、満更でもなさそうにしている始末です。
思い返せば、他にも数回は浮気されましたし、その度に泣き疲れて許すことの繰り返し。
もう自分のエネルギーを彼のために使いたくありません。
生活の疲れからか、周囲からは「老けた」と言われます。
今回、相談したいことは〝私、別れてもいいですよね?〟です。
同棲解消を相手が拒んでいる場合の上手い別れ方はありますか?
それとも、こんな男でも縁を信じて結婚した方がいいのでしょうか?

いつもの人生相談。
トキコは円満な同棲解消に向けた具体的なアドバイスをしていく。まず住むところを先に決めて荷物をすこしずつ運び出すなど、ひとつひとつが具体的。踏んできた修羅場の数を思わせる。

1.ミナミの事情

トキコは友人の栗島ミナミ(石橋けい)・北野カオリ(中村優子)と婦人会を開く。ミナミは子持ちの専業主婦、キタノはトキコと同じく独身で会社に勤めている。

気のおけない友人と楽しい時間を過ごすが、ミナミは先日のラジオのアドバイスが現実的ではないという。

「生活に追われている人にそんな(別の住まいを探す)時間なんてあるわけないでしょう」と涙ながらに言うミナミ。誰の話なのかとトキコは疑問を抱くが、ミナミはその場を立ち去ってしまう。
キタノに引き止められたトキコは、そこで初めてミナミの夫が浮気をしているらしいと知る。

改めて、トキコはミナミに職場復帰も視野に入れつつ、別居を提案するが一蹴されてしまう。キタノもヒートアップ。
ミナミに精神的にも経済的にも男に依存しているから身動きが取れなくなるのだと手厳しい。お互いにすれ違ってしまう。

子供のためにも夫と別れられないというミナミ。キタノはトキコとミナミのやりとりを距離を置いて見つめる。結論としてミナミは、別居も離婚もせずに子供のために家庭を守ることを決意する。

ミナミと同じように、トキコの母(富田靖子)も、夫・哲也(三國隼)の不倫に苦しんでいた。しかし最後まで娘にその苦しみを打ち明けることはなかった。トキコは当時の母に思いを馳せる。

友達であっても、ちょっとしたことで、相手が自分とは全然違う人間なのだと気づかされる。そんなことを思い出させるしんどい場面です。

2.キタノがトキコに言えなかった事

ミナミを送ってトキコとキタノは夜道を歩く。トキコはミナミが自分に相談してくれなかったことにショックを受けるが、キタノは求めているものが違うという。

ミナミはただ、自分の話に共感してほしかったのだ。トキコは何かを相談されたら全力で解決方法をアドバイスする。

それは彼女なりの親愛の表現だが、受け取る側にとってそれがしんどい時もあるというのだ。
相談ひとつとっても相手に求めるものは違う。当たり前なのだがそれですれ違う。

キタノはキタノで秘密を抱えていた。トキコはキタノが妻子持ちの男性と付き合っていたことをはじめて知らされる。

キタノはトキコの不倫絶対NGというポリシーを知っていたからこそ、今まで言えなかったのだ。トキコに嫌われたくなかったから。

不倫に対してやましさはないが罪悪感はあるというキタノ。キタノなりに不倫のポジティブな面とネガティブな面を言うが、トキコやミナミに黙っていたことが一番辛かったという。

恋愛をすると逐一報告してきた友人だから尚更だ。キタノはようやくトキコに話すことができて心苦しさから解放されたと語る。

キタノの話はトキコの価値観からは共感しにくい内容だと思う。でも話を聞こうとするトキコの姿勢はキタノにとって救いになったはず。

3.人は皆、秘密を抱えているのかもしれない

「人は皆、秘密を抱えているのかもしれない。私だって、そうだ。」

キタノとの会話中に父から送られてきた画像には、文鳥と父の姿が写っていた。父の写真を撮り、メッセージを送る間柄の第三者がいるのだ。

「ありがとうございます。父に練習させたいので、自分で撮って送れと言ってください」と返すトキコ。それを読んだ相手は誰なのか。そしてトキコの秘密とは何か。ミナミ、キタノ、父、そしてトキコ。それぞれが秘密を抱えながら進んでいく。

生きてきた年月の分だけ簡単に交わらない部分が増えてきます。それは仕方ない。だからこそ余計に、隣で一緒に歩いてくれる人がいることは大事なことなのだ。そう思わせてくれるキタノとトキコの姿でした。

4.最後に

重い内容だった今回。

それでも最後にトキコが「それぞれが抱えている問題について寄り添うだけでも救いになるんだって再認識させられました」と言ったこと、そのラジオを聴いているミナミとキタノの姿にほっとしました。

父の秘密ってなに?トキコの秘密がわかる時はくるのでしょうか。次回にも注目したいと思います。

毎回番組の冒頭と終わりに流れている架空ラジオ番組「トッキーとヒトトキ」が、現実のラジオ番組としてオンエアされます。

5月29日(土)、TBSラジオにて17時から18時まで。出演:蒲原トキコ(吉田羊)、TBXアナウンサー東七海(田中みな実)、そしてゲストには原作者のジェーン・スーさんが登場。必殺のWトキコ!是非聴いてみてくださいね!

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–{第8話あらすじ&感想}–

第8話あらすじ&感想

第8話あらすじ

トキコ(吉田羊)のもとに、結婚直前で別れた元パートナー・青柳タツヤ(岩崎う大)から「久しぶりに会おう」とのメッセージが。迷ったトキコだったがタツヤが東京を離れることを知り、会うことに。思い出話に花が咲く中、過去の自分の言動を省みるトキコ。仕事がうまくいかず「専業主夫」状態だったタツヤにトキコは心無い態度をとっていたのだ。そして、仕事仲間である東(田中みな実)からも結婚・退社の相談をされ…。

第8話感想

1.元パートナータツヤとの再会

トキコ(吉田羊)の元へ半年前に別れた恋人タツヤ(岩崎う大)から連絡が入る。再会の申し出を一度は断ったトキコだったが、故郷の金沢へ帰ると知り、半年ぶりに顔を合わせることに。タツヤは脳梗塞の影響で右半身にまひが残った母の介護をするため、帰郷を決断をしたのだ。

トキコとタツヤは結婚に踏み切る直前までいったが、別れを選んでいた。タツヤは売れっ子ライターだったが不況の中で仕事が減り、お互いの合意の上で「専業主夫」を引き受けていた。社会は思ったよりずっと「専業主夫」に対して理解がなかったと、タツヤは当時を振り返る。

結婚に踏み切れなかったことを謝るトキコだが、そこでタツヤが当時さまざまなプレッシャーに苛まれていたことを知る。故郷の友達にいつ結婚するのだと聞かれていたこと。母からは騙されているのではないかと疑われていたこと。そしてなにものでもない自分への不安。

タツヤから「稼ぎにならなくてもいいから書き続けていたら。自分を見失わなかったかもしれない」と聞き、トキコはパートナーのSOSに気づけなかったことを痛感する。

近くにいても必ずしもパートナーの状態を正しく理解できているわけではない。その微妙なわからなさが別れにつながり、やりきれないような気持ちになりました。

2.東の結婚と組織的な突き上げ

珍しく冒頭にお悩み相談コーナーがない回。番組放送後に新人を紹介されるトキコと東(田中みな実)。その中には高校時代から東に憧れて入社した新人もいた。

東を食事に誘ったトキコは、彼女からどうしようもないくらい揺れていると告げられる。付き合っている彼氏とは結婚を考える関係。東は結婚退職して専業主婦になるほうが向いているかもしれないと言う。アナウンサーの仕事にプライドを持ってきたが、続々と入ってくる新人が自分のかつての場所に立つようになり、自己嫌悪に陥っていたのだ。

トキコは「目の前に結婚の話が浮上してきたら、浮き足立つのもわかるけどね」と前置きして、恋愛は麻薬だと告げる。相手が自分を全肯定してくれる恋愛が本物で、仕事の時間の自分は向いていないように思えるのは錯覚だと。東の悩みは組織的なものが原因だとし、仕事に対する東の姿勢に敬意と感謝を伝えるトキコ。涙をにじませながら東はありがとうといいビールをおかわりするのだった。

内縁関係の「未婚の無職」はかなりのパワーワード。書くことがタツヤにはアイデンティティーだったけど、きっと東さんにとってはアナウンサーとして話すこと。自分が情熱を持ってきた仕事が、後輩の突き上げにあうのは、誰しもがぶつかる問題かもしれない。東さんには恋愛がうまくいっていることとは別に、一生懸命頑張ってきた仕事は仕事として活躍してほしい。トキコみたいな言葉をかけられたら涙が止まらないね。

3.トキコとタツヤ、それぞれのリハビリ

トキコは東と交わした「苗字」の話をきっかけに、タツヤに自分の嫌なことを押し付けていたと気づく。トキコもタツヤも結婚によって相手の姓へ変わることに抵抗があった。タツヤが苗字を変えればいいのだと考えていたのだ。

トキコは取り返しのつかないことを受け入れた上で、自分の正直な気持ちをタツヤに告げる。タツヤがかつて特訓していた中華鍋セットを手渡すが、返される。

タツヤはよかれと思って専業主夫を選んだが、それはトキコが家事や中華鍋を使いこなす機会を奪ってしまったと。トキコもタツヤも過去に相手から奪ってしまったものがあった。それをお互いに認めて別れる。後日、タツヤから自分の記事の載った冊子が届く。自分もリハビリをするとのこと。冊子を飾ったトキコは中華鍋で料理をつくることに勤しむのだった。

結婚の形ではなかったけれど、トキコとタツヤが納得のいく形で新しい関係を築けてよかった。トキコの作る中華料理が美味しそうだったよ。

4.最後に

東さんの悩みやタツヤとのパートナーシップなど考えさせられたなあ。トキコの励ましの言葉は本当に心に響く。

そして、5月29日にTBSラジオで「トッキーとヒトトキ」がオンエアされました!!ゲストは原作者のジェーン・スーさん。ぱちぱちぱち!!

ドラマが放送されているのはテレビ東京ですが、TBSラジオでオンエアされたんですよ。ほんとに太っ腹です。個人的には「TBSラジオからお送りしているTBXラジオ、トッキーとヒトトキ」のくだりがツボでした。吉田羊さんのリアルラジオ番組お待ちしております!!

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–{第9話あらすじ&感想}–

第9話あらすじ&感想

第9話あらすじ

トキコ(吉田羊)と父(國村隼)は母のお墓参りに行く。母(富田靖子)との思い出話をしているうちに、トキコは家族の中で起きたある出来事の始まりを思い出す。時は遡り、20代のトキコ(松岡茉優)。C型肝炎で入院する父を毎日のように見舞う若き日のトキコと母だったが、なんと母自身にも癌がみつかってしまう。トキコにとって父と母を同時に介護する壮絶な日々が始まった。ある日、父の病室に見慣れぬ赤い花が飾られており…。

第9話感想

1. 「トッキーとヒトトキ」がない展開

それは前回の放送回のことでした。「あれ、トッキーとヒトトキ」がない。そう、このドラマの大きな見所でもある架空ラジオ番組『トッキーとヒトトキ』が流れない。そして今回も。

冒頭はトキコ(吉田羊)と雑誌編集者・今西(DJ松永)の打ち合わせ。今西からお母さんについて書くことを提案されたトキコは、今まで母との明るい思い出にしか触れてなかった。それは母を亡くしてから父と自分の間で「信仰の対象」のようになっていたから。

明るさも暗さも書いてこそ、その人がわかる。とはいえ、自分の中にある聖なるものの暗い部分には容易に触れられないものだ。とうとうクライマックスへ突入したんだね。この先『トッキーとヒトトキ』が流れることはあるんだろうか。

2. 違和感のなさがすごい、今トキコ(吉田羊)と過去トキコ(松岡茉優)

今西に父と近場に一泊することを持ちかけられたトキコはお墓参り後の昼食で、その話をもちかける。

「父の入院。それが我が家を襲った不幸の始まりだった」

その言葉通り、今回は父が入院した当時のトキコ(松岡茉優)と今のトキコが交互に出て話が進む。C型肝炎を患って入院した父を母は毎日看病した。父の好きな細長く切った大根の味噌汁をポットに入れて。
20代前半のトキコを演じる松岡茉優が今のトキコと違和感なく感じられる。役者さんは本当にすごい。

3. 20代で背負うにはつらすぎる、入院した母と壊れた父

20代のトキコは自分のことに一生懸命だった。母が検査を受けることになっても、自分が楽しみにしていたライブを優先するほどに。けど現実を直視するのが怖い気持ちもあったのかもしれない。

母の病名はがん。当時は死との繋がりが強いものだった。父が入院しているというのに、母までガンで入院するとは。入院している父に事実を告げるのが辛くて、トイレで一旦気を落ち着かせるトキコが痛々しい。

母の病を告げられた父が壊れ、精神安定剤を処方されるようになったこともトキコの負担に拍車をかける。20代の若者が1人で背負うにはあまりに過酷な現実だ。

4. 白いカラーと真っ赤なダリア

母は手術を終え、転移が発見された部分も摘出した。今回は母の大好きな白いカラーと真っ赤なダリアが象徴的に使われている。母が好きなのは白いカラー。苦手なのは赤い花。

トキコが母の手術結果を伝えようと父の病室を訪れると、窓際にあったはずの白いカラーは、真っ赤なダリアに変わっていた。看護師の「昨日はお母さんがいらっしゃっていたわね」は、幻ではない。「あの人」が病室に来ていたのだ。

5. 冷静で客観的なトキコの絞り出すような「覚悟」

「あの時のことを忘れていたわけではない。ただ、いつまでもこだわっていても仕方ないと記憶に蓋をして生きてきたのだ。そうやってなし崩し的に暮らしているうちに、母の記憶さえ風化してしまっていることに私は気づいた」

今までトキコは冷静で客観的であり続けた。父に経済的支援をする時も、友人が夫の浮気に悩んでいることを相談してくれなかった時も、元パートナーが物理的に離れていく時も。冷静に判断して淡々と行動してきた。

だからこそ、今西に自分の知ってる母を全て書きますと告げた時のため息は重いのだと思う。次回はどんどん母の影の部分にせまることになるのだ。色々な感情が沸き起こるだろうなと予感しつつ、楽しみ。

6. 最後に

筆者は昔、週刊誌の発売を心待ちにしていた。このドラマを観ているとその頃の次を待つ楽しい気持ちを思い出せる。次回放送は全仏オープンテニスのため放送スケジュールに変更がありそう。お気をつけて!

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–{第10話あらすじ&感想}–

第10話あらすじ&感想

第10話あらすじ

父(國村隼)のことだけでなく、亡き母(富田靖子)のことについても、ありのままを書こうと決めたトキコ(吉田羊)は、お互い今まで触れてこなかった話を父に持ちかける。20代のころのトキコ(松岡茉優)は父と母を同時に介護する過酷な日々を送っていた。そしてある日、双方に決定的な事件が起こる。事態を1人で抱えることに限界を感じたトキコは、父の元に密かに通う「あの人」を頼るしかないと苦渋の決断をするのだった…。

第10話感想

1.母を書くということ

トキコ(吉田羊)は母(富田靖子)の理想化された姿ではなく、人間として苦しみや弱さを書くと決断する。トキコも父哲也(國村隼)も、悪い思い出を忘れて都合のよいパーツだけで母を作り上げてきた。母の脆い部分を書くことは自分と父の弱さに向き合うことでもあるのだ。

2.母と『ひまわり』のソフィア・ローレン

場面は過去に遡る。母は術後の回復が思わしくなく、トキコ(松岡茉優)が介護のために寝泊まりするようになった。母は回復したら観たい映画に『ひまわり』を挙げる。

ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ主演の『ひまわり』は、とても悲しい映画だ。ナポリで幸せな結婚生活を送っていた夫婦が戦争により引き裂かれる。妻のジョバンナは夫アントニオの帰りを待ち続けるが、戦争が終わっても帰ってこない。ついには一人ソ連まで探しに行くが、そこで目にしたのは、夫が自分を助けてくれた女性と家庭を作り暮らす姿だった。

トキコの母はソフィア・ローレンがほとんど泣かないのが好きだという。母はもしかしたら、ソフィア・ローレンに自分を重ねてはいなかったか。自分のほかに女性があるとわかっていても、泣かない姿に慰めや美点を見出していなかったか。病に冒され血の気の引いた顔が痛々しい。

3.「私はどちらの手をとればいいのか」は選べない選択肢

筆者も過去に働きながら家族の看病と家事を担った経験がある。看病は持久戦だ。一人では支えきれないから手数が必要になる。だから、トキコが介護の必要な母と父に挟まれて苦悩する姿はとても痛々しく思えた。別々の場所にいる父と母を同時に看病することはできない。吉田羊のナレーションが真に迫る。どちらの手を取ればいいかなんて選べない。

4.トキコが辛いことを書くのは、大切な母との記憶を忘れないため

追い詰められたトキコは父の看病を「あの人」に頼むことになる。決して父の不倫相手を認めていたわけではない。でも他に頼れる人がいなかった。トキコにとって父は父だったが、病室のカーテンの向こうで相手の女性と会話する父は、ひとりの男性だった。そしておそらく母も気づいていて、なにも言わなかった。母と娘は平気な顔をしながら父の不倫に傷ついていた。

今のトキコが昔の傷ついたことを書くのは、大切な思い出を忘れないため。傷心の記憶と大切な母との記憶はセットなのだ。どちらかに蓋をすれば、もう一方まで忘れてしまう。

5.トキコと母の静かな別れに涙

お母さんと幾度もよびかけるトキコ。父の名を口にすることもなく、「ひまわりまぶしいだろうね」と母は永遠に目を閉じた。静かな別れだった。トキコにはお母さん、どこにもいかないでと感情的に言うことはできなかった。傷ついていること、悲しんでいることを抱え込んで涙を静かに流す。母娘でそっくりなのが切ない。

6.最後に

今回は「あの人」の登場や、母との別れなど、いつも以上に感情が揺さぶられました。これから関係を保つために母を信仰の対象としていった父娘の過去に迫ります。目が離せません!

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–{第11話あらすじ&感想}–

第11話あらすじ&感想

第11話あらすじ

母が亡くなった後、父(國村隼)の商売は上手くいかなくなった。ある日、家賃の催促状が届く。父はトキコ(松岡茉優)に黙って家を手放していたのだ。二人の関係はどんどん悪化していった。引っ越しのための片付けに、トキコは友人の北野(大友花恋)とミナミ(さいとうなり)を呼んだ。着々と作業をする中、3人は母の「秘密」を見つけてしまう。
そして、現代のトキコ(吉田羊)はこの話をどうしても書き進めることができなかったが…。

第11話感想

冒頭、トキコ(吉田羊)は雑誌編集者・今西(DJ松永)から「普通の家族なんてないですよ、みんなその普通じゃなさと折り合いをつけていく生きていくんじゃないでしょうか」と言われる。まさに今回は、トキコの家族を通して”普通じゃない”家族に悩みながらも、折り合いをつけて生きていく人間の姿が描かれた回でした。

1.母を失った父娘のギスギスした関係は見ていて苦しい

前回母をなくした20代のトキコ(松岡茉優)と父・哲也(國村隼)。ある日、不動産から届いた督促状によって、父が家を売却して家賃の支払いすらできない状態だとわかる。トキコは何も言わなかった父に激昂し、父娘の関係は悪化する。

トキコは父に対する愛憎に苛まれる。家を捨てる悔しさに歪んだ父の顔を見たいと願う憎しみ。このまま今の家にいて父も私も潰れてしまうことを心配する愛情。

結局、引っ越しを選ぶが、父は妻を失ってか心の整理をつけられず、引っ越しする際にも家を整理することができない。それがトキコから見れば、引っ越しの手伝いを全然しない苛立ちにつながっており、ギスギスした父娘関係は見ていて苦しい。

2.絶対に認めたくなかったことに向き合ったトキコ

トキコは引っ越しを友人に手伝ってもらうエピソードあたりで、原稿を書けなくなってしまう。20代の彼女が引っ越しの準備中に押入れから見つかった母の衣装ケース。今のトキコが寝室のクローゼットから母の衣装ケースを引っ張り出した時から、二人のトキコのシンクロと対話が始まる。

母の衣装ケースから出てきたのは新品の服、バッグ、100万円のコートだった。どうしても認めたくないことがあった。これまでずっとトキコが避けて生きてきたこと。

「母はさみしかったということ」

トキコは自分が絶対に認めたくなかったことにとうとう向き合ったのだ。

3.「許せないまま書けばいい」は大きな救いの言葉ではないか

今のトキコは父への怒りをたぎらせ、許せないかもしれないという。そんな彼女に20代のトキコが語った言葉、「許せなくてもいいよ、許せないまま書けばいい」は救いの言葉ではないだろうか。

20代のトキコは、不倫をし、家庭を顧みなかった父を許せとは言わない。怒り、悲しみ、くやしさがあることを受け入れろと言っているのではないだろうか。そして過去にはどうにもできなかった感情だからこそ、文章として形にすることを望んでいるのだ。1番苦しいのは、あるものをないものとして置き去りにされることだから。

4.信仰の対象からようやく1人の人間になれた母

別の女と関係を持ち、家庭を顧みずにぽっかり開けられた穴を、夫の稼いだ金を使って埋めていたのだ。その寂しさを金に換算したら数百万ではきかなかったと言うことか。

母が押入れにひた隠しにしていた秘密を暴露したトキコは、キーボードを叩く手を止め、嗚咽を漏らす。そして20代のトキコと共に、寂しい思いをした母へ思いを馳せ涙を流す。

トキコの母は、一方で最期まで自分の寂しさを脇に置いて、家族の幸せを優先させる人でもあった。ようやく、母は信仰の対象から解放され、悲しくも優しい1人の人間になれた。

5.1人の人間として生きた母を受け入れた父娘

トキコは、母が遺した未使用100万円のコートを持参して父の家を訪ねる。母が寂しかったことを絶対認めたくなかったが、もう綺麗事だけで語るのをやめようという。一人の人間として母を語ろうというのだ。

涙ぐみながらケーキを放り込むように食べる父。その頭に蘇るのはなんだろう。そして父の向こうにある母の仏壇には、赤い花が飾られている。母が嫌い、父が不倫した女性を象徴する赤い花。

妻や娘からは到底受け入れられないが、不倫相手の存在は長い間父を支えてきたのだ。そして今も支えられている。それが今の父哲也なのだ。

人は過去だけに生きているわけではない。涙を流し、過去にも今に折り合いをつけ、複雑な関係性の中で生きている。

それでも、父娘はようやく、母を1人の人間として受け入れて、2人で笑えるようになった。

6.大きな試練を乗り越えたトキコ

大きな試練を乗り越え、ラジオ番組でいつものように活躍するトキコ。エピソードが多ければ多いほど、そこから派生して書ける物語は多くなってくるわけですよとコメントする。まさしくそれはトキコ自身のことだった。

”なんて言葉にしたらいいか…力強い原稿でした”と編集者今西から感想をもらうトキコ。母の高額コートを着て帰宅する彼女は、大きな試練を乗り越えたのだ。

最後に

大きな試練を乗り越えたトキコ。さて彼女はこの後どこに向かっていくのか。次回はいよいよ最終回です。

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–{第12話あらすじ&感想}–

第12話あらすじ&感想

第12話あらすじ

父について綴ったエッセイ本がついに完成!そして、トキコ(吉田羊)と父(國村隼)は、亡くなった母の出刃包丁を研ぎに行く。二人の間にはいつもとは少し違った穏やかな空気が流れているが、トキコはラジオの放送時間の変更を提案され悩んでいた。深夜番組から昼間の帯番組というステップアップの提案だ。トキコは珍しく父に相談を持ち掛ける。その時、父がトキコに贈った言葉とは…?そして、これまでバラバラだった家族のゆくえは…?心温まるフィナーレ!

第12話感想

自由奔放で気ままな父とその娘。家族の姿を描いたドラマも今回で最終回を迎えました。過去回想編で、母のことを書くために、自分の最も認めたくなかったことに向き合ったトキコ(吉田羊)。

母の寂しさを認めたくないことも、父・哲也(三國隼)を許せないことも、過去のトキコ(松岡茉優)と共に乗り越えて、原稿を書き終えます。そして、今まで見続けてきて本当に良かったと思わせてくれる最終回でした。

1.誰かのためじゃない、自分の相談を父にしたトキコ

ついにトキコの著書が出来上がる。題名は『生きるとか、死ぬとか、父親とか』(!)。大きなヤマを越えたトキコは新しい時間帯と枠での仕事を打診されます。ここで良かったのは、トキコが父に悩みを相談したこと。

トキコはいつだってたくさんの人の悩みに答えてきた。悩みに答えるのは相手のためだけど、トキコも生身の人間だから、誰かに悩みを聞いてほしい時もある。その相手が父親なのが、大きな関係性の変化だと感じた。

老舗の金物屋のように、手を抜かず同じことと続ければいいという父のアドバイスは、確かに身の振り方のヒントとしてトキコに届いたのだ。悩みがあるならお父さんに相談しなさい、金の相談以外ならなんでも乗るというのが、いかにも父らしいけど!

2.亡き母に自分たちが家族になったと呼びかける瞬間がたまらなかった

トンカツ屋で父から申次をもらったトキコ。封筒は今まで厄介や面倒事の象徴でしかなかったね。

第一話では新しい賃貸の契約だったし(それは経済の工面の要求でもあった!)、過去では支払えなくなった家賃の督促状だった。しかし今回は、そこに書かれていたのは、生きていれば母から受けたはずの申次だった。

自分だけじゃ店の場所がわからないという娘に、一緒に回ろうと言う父。いつまで生きられるか分からないとも言う父。目を真っ赤にして、文字通り詰め込むようにご飯を食すトキコ。

これまで不和の父と娘を繋ぎ止めていたのは母だった。今回は初めて父が申次で娘と母を結びつけたのだ。亡き母に自分たちが家族になったと呼びかける瞬間がたまらなかった。ほんとに良かったね。

家族の時間は進み方がもしかしたらゆっくりなのかもしれない。母の死後20年を経て、娘が40歳を超えて、初めて蒲原家は家族になったのだから。

3.アカペラのトキコはこれからも変わらずに進み続ける象徴のように見えた

このドラマのオープニング、ever since。まさか、トキコがアカペラでこの曲を歌うシーンが有るなんて思わなかった。歌詞を抜粋する。

些細な言葉の一個 足りなくって 多くって また平行線を辿る
月明かりに吹くビル風
強い言葉を選んでちゃんと傷がつくように罵ってから部屋を出た
いつからだろう

あなたの背中が少し小さく見えた
強い人じゃなくて強がりな上手な人

あれからもうどれほど時は流れただろう
それなりの日々を束ねて胸張っていても
色んな人に出会うたび鏡のようさ
ぼくのなにもかもがあなたを写している

これはトキコと父親の歌なんだと見ていてジンとするシーンだった。前話までの流れがあってこそ、このシーンは意味をなしていると思う。

若かった頃のトキコ(松岡茉優)と今のトキコが対話するシーンを思い出す。人間としての母親と向き合い、怒りや悲しみを受け入れたトキコだからこそ、アカペラの声が心に染み込むように入っていく。

トキコはお土産を持ったまま、雨の中を歩きだす。その場所は、第八話で元カレの青柳タツヤ(岩崎う大)と昔を振り返ったときにいた場所でもあった。

二人はずっと変わらずに走り続ける年配の男性を見つけたのだ。その同じ場所で雨の中を歩いて行くトキコの姿は、これから良い意味で変わらずに進んでいく象徴のように思えた。

4.結婚していない、子供も産んでいない。だからこそ、架け橋になれる

新しい仕事の提案に答えを出すトキコ。昼の主なリスナー層は、自営業の男性や主婦層だという。

トキコは結婚していない。子供も産んでいない。でもトキコの母は、結婚して子供を育てることを選んだ。自営業の男性は昔の父でもある。たとえトキコ自身が経験していないことでも、親は経験している。そして親子は否応もなくつながっている。

だから、結婚している人も、そうでない人も。子供がいる人も、いない人も。自営業の男性も。人と人をつなぐ架け橋になれる。トキコは新しい仕事にイエスと答えた。トキコがようやく家族になれたからこそ、出せた結論でもあるのだ。だからこそ、蒲原家にカンパイ!

最後に

この先も頑張るよとスタッフに言うトキコ。一生ついていきますと言うラジオ音響担当・遠山の言葉も本気でしょう。

筆者も毎回、ラジオディレクター中崎がうんうんとうなずくように、ドラマの行方を追ってきました。キャスト、スタッフ、関係者の皆さんお疲れ様でした。本当に良いドラマをありがとうございました!

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–{「生きるとか死ぬとか父親とか」作品情報}–

「生きるとか死ぬとか父親とか」作品情報

吉田羊&國村隼がダブル主演で親子に!

愛嬌はあるが自由奔放な父と、それに振り回される中年の娘。

『人生相談の名手』ことジェーン・スーが原作のおもしろ可笑しくて、ときどき切ない家族の愛憎物語

放送日時
2021年4月9日 (金) スタート 毎週金曜深夜0時12分~

放送局
テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送
※テレビ大阪のみ、翌週月曜深夜0時から放送
(テレビ大阪は1話・2話が深夜0時5分からの放送となります!)

原作
ジェーン・スー『生きるとか死ぬとか父親とか』(新潮文庫刊)

主演
吉田羊
國村隼

出演
田中みな実
松岡茉優
富田靖子
岩崎う大(かもめんたる)
DJ松永 (Creepy Nuts)
オカモト“MOBY”タクヤ(SCOOBIE DO)
森本晋太郎(トンツカタン)
ヒコロヒー
岩井勇気(ハライチ)
平子祐希(アルコ&ピース)

オープニングテーマ
高橋優「ever since」 (unBORDE/Warner Music Japan)

エンディングテーマ
ヒグチアイ「縁」(ポニーキャニオン)

監督
山戸結希
菊地健雄

シリーズ構成
山戸結希

脚本
井土紀州

チーフプロデューサー
阿部真士(テレビ東京)

プロデューサー
佐久間宣行
祖父江里奈(テレビ東京)
半田健(オフィスアッシュ)
平林勉(AOIPro.)

製作
テレビ東京
オフィスアッシュ

製作著作
「生きるとか死ぬとか父親とか」製作委員会

キャスト/スタッフコメント

吉田羊 コメント

言葉豊かで聡明なジェーン・スーさんを、私のようなものが演じさせて頂いていいものかと正直尻込みしました。けれど、読ませて頂いた原作と脚本がとても素敵で、何より、スーさんとお父様がとっても可愛くて、この親子の魅力を、私を通じて皆さまにお伝え出来たらと、願うような気持ちでお引き受け致しました。
お父さん役の國村さんとは、9年ぶりの共演です。穏やかで軽やかで、よく通る口笛を吹きながら現場入りされ、関西人ならではの話術でおもしろ話をいつも聴かせてくださいます。尻尾を掴ませない飄々とした行まいは、どこか今回の「お父さん」にも通じていて、「してやられた!」と最後は笑って許してしまう、そんな人間力をお持ちの方です。不思議なもので、親子を演じていると似てきて、同じタイミングで空を見上げたり、ため息をついたり、口元を拭ったり…今回、密度の濃い撮影のため、日一日と互いの円が重なっていくのが面白いです。その重なりを求めたスーさんの思いを、我々親子が演じることで素敵に表現出来たらいいなと願っています。
私自身も、四年前に母を亡くしています。反発ばかりでしたが、それが母の愛を求める裏返しだったと気付いたのは母が亡くなる直前のこと。もっとこうすれば良かったという後悔は未だに沢山。と同時に、健在の父に対しては、そんな思いはしたくないという決意のようなものは、スーさんと同じかなと思います。なので、トキコを演じながらも、私自身の人生を生きている感覚。スーさんは書くことで、私は演じることで、皆さんは視ることで、それぞれの家族と向き合い、何かしらのヒントが見つかれば幸いです。家族、友人、恋人、仕事…日々私たちを悩ませるあれこれに響くスーさんの正直で的確な言葉たちに、そしてこの親子の「小さな一大事」に、ぜひ会いに来てください。ふっと心が軽くなりますよ。どうぞお楽しみに。

國村隼 コメント

企画を拝見して、まさに今を捉えた内容だと思いました。<家族>のかたちも様々になり、昔のように二十何歳かで娘は嫁にいき、また親は息子やその嫁と同居なんてちょっとしたファンタジーになりつつあります。
ジェーン・スーさんの原作は親の世代も子供の世代もそれぞれの暮らしやすさを追い求めながら、またそれゆえの衝突もあり、少しの苦みとゆるやかな愉しみのなかで人生は過ぎて行く、そんな面白さをまざまざと描き出していきます。
共演する吉田羊さんは、軽やかに過酷な現場を楽しんでおられて、私もそのおすそ分けを頂いている気分になってしまいます。台本を読みながら、そして演じながら、したいことはするしかない。しかしそのしっぺ返しは甘んじて受けるんだぞ。肝(はら)は括っておくもんだ。という人生の教訓・三カ条を頂いたと思っております。そんな訳で、私にとってこの父親役は十年ほど先の年齢になりますが、今のうちに、自分自身がどんな齢の重ね方をしたいのか?と、考えてみるきっかけにもなりました。ま、そうそう答えは出ませんけれど。ドラマをご覧頂いた皆様のご感想をお聞かせください。大人になってからの親子の物語、ほんわか甘苦いです。

田中みな実 コメント

局アナの頃から親交があるジェーン・スーさん原作の本ということで、お話をいただいたときの感慨もひとしおでした。スーさんが大切にされているラジオの仕事でかかわる人物を演じる機会をいただけて大変光栄です。あたたかく、リアルで、飾らない日常に起こる小さな事件、心の機微、戸惑い。共感することがとても多かったです。私が演じた東七海が抱える悩みは、きっと自身も局に在籍し続けていたら訪れたであろう問題で、現実味を帯びた内容に胸が締め付けられました。
劇中で描かれるラジオ番組『トッキーとヒトトキ』は、小道具や演出など細部にまでこだわっていて本物の番組さながらでした。局アナの頃からラジオの仕事に携わっている身として、よりリアリティーを追求できるよう、ご提案できることはさせて頂きました。今回、共演の吉田羊さんから学ぶこと、得ることが多く、お会いする度に刺激を受けました。羊さんのお芝居を目の前で見て、感じて、受け止めることができて、願ってもないような経験をさせて頂きました。ふたりのやりとりはアドリブも多いので、そこにトキコと東の信頼関係みたいなものが垣間見えるといいなと思います。そして、羊さんのお人柄にすっかり魅了された私は、クランクアップしてからも日々羊さんを想っております。(笑)
大好きな原作がドラマに。単にハートフルな作品ではありません。心の奥がチクチクと疼くかもしれません。でも、トッキーさんが共に考え、寄り添い、言葉を紡いでくれます。ひとりじゃないんだ、大丈夫。観終わったあとに気持ちがふわっと軽くなるような作品です。ご期待ください。

松岡茉優 コメント

台本を読ませて頂き、「普通の家族なんてないですよ。」というセリフにとても惹かれました。
私のセリフではないのですが物語のテーマと捉えました。
また、今回吉田羊さんの20代を演じさせて頂けること、身の引き締まる思いです。羊さんの演じられた現代のトキコを拝見することで、イメージが膨らみました。そして、國村隼さんと親子役をできることが私の人生にあるのだなあと思いました。とても豊かな時間で、たくさんのことを教えて頂きました。
トキコと似た想いを持って過ごされてる方々に、幅広く届くことを願っています。
きっと、自分のことを許せたり、少しだけ大事に出来るようになると思うのです。
私は回想シーンのみの出演なので、ドラマの完成がとても楽しみです。

富田靖子 コメント

吉田羊さん演じる「トキコ」の母親を演じました。
回想シーンでの出演です。「トキコ」の記憶の中の母です。
正確な事柄や人柄より「トキコ」が何故 そのことが心によぎったのか、その想いを大切にしたいと考えながら演じました。人の死とは、その人を思い出さなくなること…そんな言葉を何かの本で読んだ記憶があります。家族というのは厄介で不思議なもので、思い出さなくても、記憶から消えてしまっても生き続けているように思います。
監督の指先や手元に対する演出を受けながら、そんなことを考えていました。幸せな時間でした。
高橋優さんのテーマ曲も楽しみです。

岩崎う大(かもめんたる)コメント

まず吉田羊さんの元彼としての説得力を出せるか不安でした。
出番の長さも思った以上にあり、これは勝負だぞ!と思いました。
視聴者の皆さんへ、とても良い仕事ができたと思います!!羊さんと監督のお陰です!
ロケの日がめちゃくちゃ寒かったので、オンエアの時無駄に寒さが伝わらないといいなあと思ってます。
極寒だったので。。私の本気演技お楽しみに!!

DJ松永(Creepy Nuts) コメント

オファーを頂いた時、きっとセリフは一言二言だろうと思ってましたが、まさかあんなにしっかり役を与え
てくださっていたとは思いませんでした。
色々ご迷惑をお掛けしつつも、撮影をご一緒した方や、スタッフさんに助けられながら、やらせて頂きまし
た!
皆さん是非ご覧になってください~!

オカモト“MOBY”タクヤ(SCOOBIE DO)コメント

何より、プロデューサーの佐久間宣行さん、祖父江里奈さんが、ボクのことを知っていたことに驚きました。
子どもの頃からラジオが大好きで、またコミュニティFMですが自分の番組を10年間続けている自分にとって、何だかとんでもないご褒美を頂いてしまったような心持ちです。
原作には無い、けれども絶対に欠かすことの出来ない「ラジオ番組」を軸に、このドラマは展開していきます。
台本を読んで、本当にこんなラジオ番組が聴けたら良いな、そしてチャンスがあるならボクもこの番組に関わってみたいな!と思いました。実際にジェーン・スーさんが出演されている番組は選曲も最高なので、撮影時にはストーリーに沿った架空のオンエア曲を、毎回勝手に準備していました。次第にトッキーさん(=吉田羊さん)に「次の曲、何~?」と聞かれるようになりましたよね….!
2021年4月から3ヶ月間は、フライデーナイトにテレビでラジオを楽しめるという、滅多にない贅沢な40分が味わえますよ!そしてヒコロヒーさん、森本晋太郎さんとの3人による、ラジオ番組「トッキーとヒトトキ」制作チームの奮闘っぷりにも是非ご注目下さい!

森本晋太郎(トンツカタン) コメント

まさか僕にドラマのお仕事が来るなんてというのが率直な感想でした。
クランクイン前に喫茶店で台本を読みながらセリフを覚えるという憧れのやつをやらせていただきました。
店員さんが前を通るたび、ちょっとだけ台本の表紙が見えるようにしちゃいました。
どんなお悩みにもユーモラスに寄り添い、その人のためを思った説得力のある言葉を紡いでいくトッキーさんは痛快そのもの。それを通じて視聴者のみなさんが普段向き合ってこなかった物事に対して立ち止まって考えるきっかけを与えてくれるような、そんな台本だなと思いました。
人間の不器用さ、カッコ悪さから目を背けずに包み込んでくれるトッキーさんの姿は先のわからない現代社会に生きる我々の心の拠り所になると思います。
見たあとに胸がじんわりと暖かくなる作品ですのでぜひご覧ください!

ヒコロヒー コメント

「私?私宛?ほんま?手違いでは?」と何度も確認し、それでも私宛だと聞いて(ハッハーン、ドッキリやな)と勝手に名探偵づらしていました。
ドッキリでも何でもないと知ってからは一気に恐縮な思いでしたが、映像の現場でのものづくりを学ばせて頂ける貴重な機会だと思い、精一杯に努めさせて頂こうと思いました。
原作の、そしてスーさん自身の大きな魅力でもある「思いを言語化する」部分が丁寧にかろやかに描かれていて、笑えるしグッとくるしで、また『ドラマ 24』がすごいものを作りだしているなあと興奮しました。
また、登場人物たちのキャラクターが一面的ではなく二面や三面にも描かれていて、人間というものの複雑さをさまざまに立体的に感じられる素敵な脚本でした。
はっとさせられたり、心がふっと軽くなるような台詞の数々を、素敵な俳優さんたちがチャーミングに情熱的に時にユーモラスに演じられていて、ちぐはぐに生きる瞬間があってもよいのだと安心するような作品だと思います。
私たちラジオスタッフ同士のほのぼのとした掛け合いも楽しんで頂けると幸いです。

岩井勇気(ハライチ) コメント

今回、自分役で出させてもらいました。
撮影の時、この役がすっと入ってきて「俺は岩井勇気役をずっとやってきたんだなあ。」と…。
役者として代表作になりました。
普段ラジオを聴いている人に刺さるようなシーンが散りばめられている作品です。これまで培ってきた演技を出し切りましたが、興味のある題材なので自分も放送をチェックしようと思います。

平子祐希(アルコ&ピース) コメント

吉田羊と平子祐希の流れるような演技合戦。
一瞬だぞ、見逃すな。

OPテーマ 高橋優コメント

たとえば「大切な人」の顔を思い浮かべる時、いくら大切といえど四六時中仲良しでいられるわけでもないのが人の常のように思います。
派手なケンカこそ無くても微妙なすれ違いでイライラしたり、小競り合いになったりした経験はどなたもお持ちなのではないでしょうか。大切な人は、ときに誰より憎たらしい存在に変貌します。
と同時に、そこまで見せ合える相手とはなかなか巡り会えないようにも思います。
弱い自分、恥ずかしい経験、一番誰にも見られたくないシーン、、そんな過去を‘あれからもう’と振り返り、語り合える人。いいところだけじゃない部分も見せ合える人。
一度の人生の中で、一体どれくらい巡り会えるものなのでしょう。きっと多くない気がします。
そんな誰かを思い浮かべて聴いていただけたらと思い、この曲を作りました。

EDテーマヒグチアイコメント

親がいなければ私がいない。当たり前のことだからこそ、忘れちゃうこと。私が老いた分だけ親も老いるのに、なぜいつまでもあの強い親だと
思ってしまうのだろう。まだ何一つ親孝行のできていない私が、もう少し先の未来になにか渡せるものがあるだろうか。その未来のためには、この曲で売れることが1番の近道です。
たくさん聴いてください…ね。

原作:ジェーン・スー コメント

父と私の、ごく私的な日常が映像になるなんて!
父にとっても私にとっても、身に余る光栄です。
ドラマ化にあたり、創作していただいたフィクション部分も大変気に入っています。
そして、まさか吉田羊さんにジェーン・スーを演じていただけるとは。
「ジェーン・スーを美しく修正すると吉田羊さんになる」と友人から言われたことがあり、恐縮ながら嬉しい気持ちでいっぱいです。國村隼さんに父を演じていただけること、天国の母も喜んでいると思います。
大人になり、親との関係の紡ぎなおしを考え始めたみなさんに楽しんでいただけたら光栄です。

監督/シリーズ構成:山戸結希 コメント

勇気と優しさに満ちたジェーン・スーさんの素晴らしい原作エッセイを、名作を生み出してきた『ドラマ24』にてお届けできることを光栄に思います。日々、繊細な手仕事に向き合う現場のスタッフさん、3~8話を監督される、聡明であたたかなまなざしを宿す菊地さん、数年前から議論を重ね、この場所に導いてくださった佐久間さん、全12話にわたって、血と実感を通わせてくださった脚本の井土さん、そして一刻一刻と輝きを重ねる俳優部の皆さん、どの方が欠け
ても、このドラマシリーズではあり得なかったように、沢山の方々の力を電波に乗せ、お届けできることを願います。
「より正しく生きたい」と望みながらも、間違ってしまうことこそが、人間の本性である――
そのことを、何度でも思い出しながら撮れたならと。

プロデューサー:佐久間宣行 コメント

生きているだけで、家族なだけで、なんとたくさんの悩みや戸惑いがあるのだろうか。
ジェーン・スーさんの著作やラジオの中には、それらを乗り越える知恵と勇気がたくさん詰まっています。
その源泉は一体何なのかと考えていました。原作「生きるとか死ぬとか父親とか」を読んで気づきました。それもまた家族なのかもしれない。老いていく東京という街で、老人と中年のおもしろい父娘が、生きていく。
その姿を國村隼さんと吉田羊さんが演じ、山戸結希監督が綴っていく。
平日にたまった心の重荷が、すっと軽くなるようなドラマをお届けできれば嬉しいです。

プロデューサー:祖父江里奈(テレビ東京) コメント

「独身のカリスマ」であるジェーン・スーさんの言葉はまさに独身アラフォーである私には身体の芯にまで染み入るものばかりです。恋愛や仕事だけでなく「家族」というものに向き合うこの物語は、単に口当たりの良い言葉だけで語られない、人生のほろ苦さにあふれています。
ぜひ、毎話冒頭に描かれるラジオの人生相談のシーンを楽しみにしていてください。様々なお悩みに真摯に向き合つつ、笑いを交えて鮮やかに解決していく「ジェーン・スー無双」を吉田羊さんが完全再現しています。

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