『ドゲンジャーズ』シーズン1のお話を、これでもかと荒川史絵監督に語っていただいた先週に引き続き、今週はいよいよ放送がスタートする『ドゲンジャーズ NICE BUDDY』の話題に篠宮暁が切り込みます。
「平成が返ってきた!」と2人が大興奮するほどの豪華スーツアクターさん出演の裏側や、「バカだと思われてもいい」と捨て身でアタックしたオファーなど、『ドゲンジャーズ』をさらに楽しめるお話を伺ってきました。
篠宮 そんなこんなの1期が終わって、クラウドファンディングで3800万集まって。
荒川 すごいですよね。あれはホント、ちょっと怖いですもん(笑)。
篠宮 現場でもスーツが傷んでたってことですか?
荒川 やばかったですね。
篠宮 つぎはぎつぎはぎで、誤魔化しながら?
荒川 そうですね。基本的にはしょうがないので、色塗ったりしながら。バキーン!って壊れたことは…あ! 実はルーキーの面が、ナイターの屋上アクション(10話)のときに割れたんですよ。シールドがバキッと割れて。実はそのあとに能古島のロケの方があったので、あそこではつぎはぎになってます。
篠宮 へぇ〜!
荒川 私たちは、能古島ルーキーって呼んでるんです(笑)。
篠宮 桜島1号みたいな。
荒川 そう。よく見ると、何話か分だけつぎはぎがある。4話とか実はつぎはぎがあります。
篠宮 ヤマシロンの耳はすぐわかりましたけど(笑)。セロハンテープ貼ってある!って。
荒川 割れてたでしょ〜。悲しくて泣いてるときに、バキバキに割れてたでしょう。
篠宮 いいシーンやったんですけどね。
荒川 そりゃ割れますよ。薄っすいもん。
篠宮 まぁそれでクラファンで資金も集まって、12.5話の「エピソード・オブ・アイドール」をはさんで、2期が始まるわけで。制作発表で明らかになりましたけど、やっぱり、一番聞きたいのが、高岩(成二)さん! もう、豪華すぎるでしょ。高岩さんがいて、今回も伊藤さんが入ってるわけでしょ。押川さんもいて。
荒川 横山さんもいます。
篠宮 『仮面ライダーアギト』やん! 『仮面ライダー龍騎』やん!
荒川 そうなんです! 平成が福岡に帰ってきたんです(笑)。すごいですよね。高岩さんも、『ドゲンジャーズ』のことは1期から気にはしてくださっていて。だから、機会があったら出てくださいよ〜、みたいな話はするじゃないですか。「タイミングが合えばね」みたいな話はしてたんですけど、私は「いいよ」っていう答えは出ないと思っていたので。それこそずっとライダーをやられてましたし。でも、2期が決まったときに社長(ヤバイ仮面)と押川(善文)さんで口説き落としにいったらしく、「出るって決定です! オッケーです!」みたいなことを二人に言われて。
篠宮 おぉ〜。
荒川 そんなことを言って、2、3時間話されたくらいで、高岩さんがいいよやるよ、ってなるかな〜って思ったんですけど、「参加していただけるようで、ありがとうございます」って連絡したら、「え、俺、やるの!?」みたいな返信が来たんです。これ、大丈夫?って思いながら話を聞いたんですけど、「行けたら行く」って言ったら、「何日が空いてるんですね。じゃあ、この日の飛行機取りますよ」と。そして、気づいたら福岡にいたっていう。
篠宮 あはは。え〜! すげ〜!
荒川 高岩さんが参加してるっていうのが、いまだに信じられないんですよね。
篠宮 撮影現場はどんな感じでした?
荒川 ひどい日程で。朝の飛行機で来ていただいて、ば〜っと撮って、夜に返す、みたいな。
篠宮 会見のコメントムービーで、ちょっと含みもってましたもんね。うまいものも食べてないって。
荒川 本当にそうですよ。日帰りで。呼んで、着せて、返す!みたいな。
篠宮 伊藤慎さんも同じようなスケジュールって言ってましたよね。
荒川 伊藤さんも、呼んで、着せて、返す!
篠宮 で、アクション監督がおぐらとしひろさんでしょ。
荒川 おぐらさんもおっしー(押川善文)が呼んでくれて。多分、おぐらさんはJAEに、アクション監督どなたかいませんかってお声がけして。
篠宮 で、今回は監督に鈴村展弘監督も。鈴村監督は誰かのオファーで?
荒川 鈴村監督も押川さんですね。もともと、12話をひとりでやるのがおかしいうえに、私とシャベリーマンだけでやっていると、話が似るんですよ。びっくりするほど好みが近いので、エモいと思う部分の表現方法が似ちゃって。やっぱりマンネリになっちゃうから、別の監督を入れたいというのをずっと言っていたから、押川さんが声をかけてくれました。
篠宮 じゃあ、荒川監督的にはシーズン1よりは楽だった感じですか?
荒川 でも、鈴村監督が5話と9話だけなんですよ。あと、スケジュールも結局自分で組んだので、そんなに楽ではない…(笑)。
篠宮 あはは。製作費も全然違ったんですか?
荒川 ぶっちゃけ、お金は借りれるようになってると思うんですよ。1期で実績があるので。スポンサードも、前よりは動けるようになってますけども。でも、新キャラのグレイトZを作ったし、こいつらみんな修理したりとか、なかなかにお金がかかってまして。あと、CGの数が今回すごい。銃を使うようになるんですよ。
篠宮 確かに!
荒川 銃は、撃ったら何か描かなきゃいけないから。大変です、合成の数が。
–{鈴木勝大さん出演秘話(?)}–
篠宮 撮影していてシーズン1と違うところはありました? 周りの反応もそうですし。
荒川 周りは…1期よりはシステマチックになったかなと。制作部さんもちゃんといるし、それこそ、1期のときはキャラ管理みたいなことも結構なあなあだったりしたんですけど、今回はちゃんとしてるし、撮影をするチームがちゃんとできたなって感じになってきましたね。あと、ロケをしてるときに、「あ!ドゲンジャーズだ!」ってわかってくれる人が結構いて。
篠宮 知名度がぐ〜っと上がってますよね。
荒川 そうですね。通り過ぎる子供が「ルーキーだ!」とか「田中だ!」とかって言ってるのを聞いて、あ〜、観られてるんだなって実感しましたね。
篠宮 やっぱり影響力は大きいですよね。「やくいく手帳」欲しくなりましたもん。
荒川 それがすごくよかったなと思いましたね。
篠宮 あれは福岡でしかもらえない?
荒川 全国の一部薬局でもらえるんですよ。公式サイトに一覧が載ってますけど。あと、実は、悪の秘密結社でグッズを通販するときに、備考欄に“やくいく手帳が欲しいです。”って書いたら入れてくれるんですよ。
篠宮 そうなんですね! じゃあ、そろそろシーズン2の見どころを。
荒川 ネタバレなしで話すとなると…。あ、今回から鈴木勝大くんが参加するんですよ。
篠宮 レッドバスター!
荒川 そう、『特命戦隊ゴーバスターズ』のレッドバスターが。花形リクのキャスティングをどうしましょうって話になったときに、台本を読んだ押川さんが「勝大のイメージがすごくある」と。
篠宮 そこの流れ、ちょっとやばいですね。
荒川 知ってたかな〜って思いながら、私の携帯を確認したら連絡先が入ってて。うちらもバカだから、その場で電話して(笑)、そのときは前向きに検討しますってことで、結局出てくれることになったんです。私は「ゴーバス」のときしか知らないんですけど、めちゃくちゃかっこよくなってました。
篠宮 かっこよくなってました。当時はまだ幼さがありましたよね。
荒川 ですよね。全然かわいい子だったのに。だから、見どころとしては、そんな勝大がすごいぞっていうのと、高岩さんと、あと今回オーガマンさんが結構出番があって。できる限り横山さんに、と福岡に1か月召喚してやっていただいているので、横山さんのお芝居に岸さんの声が乗るという、俺得なところと。
篠宮 そうですよね。監督が一番好きなやつ(笑)。いや〜すげえなぁ。じゃあ、俳優さんを呼ぶか、っていうのは押川さんきっかけが多かったんですね。それこそ、シーズン1のときも、中村優一さんがね。
荒川 中村さんは押川さんではなく、これもひどい話でツイッターのDMで凸(突撃)でした(笑)。押川さんに会いたいからってきてくれて。これも、どこまで書けるか、なんですけど、『ドゲンジャーズ』やるぞ!ってなったときに、正木くんがスケジュールの関係で出られないかもってなったんです。それで、誰かいる?って話から急にですよ。中村さんとツイッター繋がってるわ、ってなって。
篠宮 ははは!
荒川 バカと思われたら、それはそれでしょうがないから、DM凸ってみようか、って(笑)。福岡で、押川さんが出るんですけど、興味ありませんか?って、押川さんをエサにしたら、お返事下さって。もちろんずっと来るのは無理ですけど、ぜひぜひ呼んでください、って言ってくださって。
–{「中村優一さん、いつ出んねん!」}–
篠宮 いや〜エモいですね。エモいですけど、中村優一さんが出るって早い段階で聞いたんですけど、いつ出んねん!って(笑)。
荒川 あれはもう、中村優一さんが出るまで観てください、っていう。ふふふ。
篠宮 後半も後半でした。
荒川 中村さんと押川さんのエモい芝居を見るだけのために、そこまで観てください!という(笑)。
篠宮 でも、それきっかけで観はじめて、ハマった人も多いと思うんですけどね〜。
荒川 そうだと思います。中村さんも、割と早い時期に撮影にきてくださったんです。それこそ、中村さんも1泊…前泊して撮影して帰ってるんですけど、ちょっとしかいなかったのに、ツイッターとかでも楽しかったって書いてくれてたので。すごくありがたいことでした。
篠宮 伊藤さんが出るのも、本当にすごいんですよね。
荒川 伊藤さんは実は12.5話のときに、グレイトA役で。それこそ12.5話はクラファンでお金を出してくださった方がいてこそできたことなので、ドゲンジャーズを好きな人がお金を出してくれたのに、これといったスペシャルなものがないなぁと。「グレイトAの中身がすげぇ、とかじゃないと申し訳が立たねえだろ」って。伊藤さんも「時間さえあえば行くけど…」って感じだったのを、スケジュール縫うんで、って。日帰り、日帰り、日帰り…って感じで来てもらって。だから、12.5話のスペシャルが伊藤さんです。
篠宮 すごいですよね。だって、もう見れないって普通に思ってましたもん。おっしーさんもそうですけど。
荒川 そうなんですよね。それこそ、今ニチアサに高岩さんがいないじゃないですか。復活しますから。うちのニチ曜アサに(笑)。
篠宮 すげ〜な。早く観てえなぁ! 放送が楽しみです!
【取材後記】
『ドゲンジャーズ』。その熱量とは裏腹に、意外と製作者の裏話や現場のエピソードなどの情報が少なかったりして、たくさん聞きたいことが溜まってる状態での今回のインタビューだったので、聞く側の僕もかなり熱が入ってしまいました。
そして荒川監督がその熱を正面から受け止めて、真摯に答えてくださりました。
聞かないとわからなかったお話も聞かせていただき、至福の時間を過ごさせていただきました。
お話を聞いていて思ったのが『ドゲンジャーズ』はただ単に大きい奇跡を起こしたわけではなくて、小さい奇跡が何度も起こっていて、それが大きい奇跡に繋がったんだなぁということ。
その奇跡の結晶の一つでもあるのが、4月から始まる「ナイスバディ」。
荒川監督が今作でどうやって遊んでいるのか、そしてどんな熱の込め方をしてるのかを拝見できるのが楽しみすぎます。
絶対に見ましょうね。
(インタビュー・取材後記:篠宮暁、文:大谷和美)
–{『ドゲンジャーズ NICE BUDDY』の作品情報は次のページで}–
作品情報
『ドゲンジャーズ NICE BUDDY』
【放送局・放送日】
KBC 九州朝日放送/KKB 鹿児島放送・4月11日(日)10:00スタート
TOKYO MX・4月11日(日)10:30スタート
KAB 熊本朝日放送・4月17日(土)10:20スタート
【出演】
正木郁 鈴木勝大 高岩成二 横山一敏 伊藤慎 押川善文 藤家剛 齋藤慧典
菊地貴裕 TAKAHARU 藤原圭一郎 手嶋佳宣 大塚剛輝 中村裕
<声の出演> 岸祐二 関智一 橘龍丸
【原作】(株)悪の秘密結社
【脚本】シャベリーマン
【アクション監督】おぐらとしひろ
【撮影】田宮健彦
【照明】南園智男
【操演】船越幹雄
【合成】中村真一郎
【編集】平野一樹
【監督】荒川史絵 鈴村展弘
【公式サイト】https://dogengers.com/
【公式Twitter】https://twitter.com/dogengers
【オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会】
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