いよいよクライマックスを迎えるドラマ「知ってるワイフ」。大倉忠義演じる主人公・元春のクズっぷりに、初回からツッコミ・非難の声も多かったこのドラマ。本人は決してそうではないはずなのに、ここ数年“クズ”と言われる役で話題になることが多く、「大倉くんのクズ役、なんでか結構ハマってるな~」と思うこともしばしば。この記事では、ここ数年印象的だった3作品と役どころをご紹介します。
ドラマ「知ってるワイフ」…とんでもない巻き込み系クズ
妻の澪(広瀬アリス)がモンスターになり、「騙された、他の人と結婚したら幸せになれるはず」と変なおっさんに聞いた方法で過去を変え、結婚相手を変えてしまうというとんでもない巻き込み系クズ・剣崎元春を演じています。過去を変えたら二人の子どもがいなくなってしまうことに、未来を変えてしまってから気づくというクズっぷり(一瞬泣くものの驚くべきスピードで立ち直る)。
元春によって運命を変えられてしまった人は自分や妻だった澪、新たに妻となった沙也佳(瀧本美織)だけではありません。親友の津山(松下洸平)に至っては、元春が沙也佳との待ち合わせに間に合うためにタクシーを横取りしたせいで、元の世界では妻であった恋人を追って空港に行くのに間に合わず独身にされており、かなりの被害者です。
さらに、変わった後の世界で津山が澪にアタックするのが気に食わなくて邪魔したり、沙也佳との約束を破って澪の母を夜遅くまで探したり、自分でも言っていたが何がしたいのかわからない。傷ついた沙也佳に「私のことを見ていない」と別れを告げられ、結局離婚することになってしまう。結局目の前にいる人を幸せにできない男なのです。
過去を変える前も後も、その場の衝突を避けるためかすぐバレるその場しのぎの嘘を平気でつき、相手が怒り始めるとすぐに諦めてしまうところが良くない気がする。終盤、澪とうまくいかなかった原因は自分にあったことに気づく点はいいですが、気づくタイミングとしてもすでに運命が変わってしまったという意味でも時すでに遅し。過去を変える前にそのことに気づけなかったのかと激しくつっこみたくなります。
最終回前は「俺とかかわるとみんな不幸になる……」とアニメや漫画で十代のキャラが言いそうなことを言い出し、もはや顔以外にいいところがない元春ではありますが、最終的にどんな結末を迎えるのでしょうか。
ちなみに大倉演じる役の中では比較的くたびれた感じが出ているシーンもあるものの、山の朝日に照らされるシーン、夜の海に入るシーンなど、自然とセットになるシーンではとんでもなく美しい。
–{映画『窮鼠はチーズの夢を見る』…流され天然タラシ系クズ}–
映画『窮鼠はチーズの夢を見る』…流され天然タラシ系クズ
美しいビジュアルや成田凌との濃厚なラブシーンが話題になった、水城せとなの漫画原作のBL作品。大倉演じる大伴恭一は、言い寄ってくる人と次々関係を持ってしまう流され系クズ。
恭一は妻がいながら不倫を繰り返し、大学時代の後輩であり妻に雇われた不倫調査員・今ヶ瀬(成田凌)には「何とか黙っててもらえないか」と頼む。平気で二股かけるし、噓がばれたら「ごめん。お前が知ったら嫌だと思ったから」と、女のファンデーションが襟元についていたと言われれば「泣いてるのにほっとけないだろ」と、悪びれなく言えてしまいます。
保身で嘘をついているのもゼロではないでしょうが、その時その時は本気でその方が相手が嬉しいんじゃないかと思っていそうなところがたちが悪いです。優柔不断で、目の前に泣いてる人がいれば「ほっとけない」と言って長い目で見て相手を傷つけることかどうか考えられないところは『知ってるワイフ』の元春とも共通しています。
来るもの拒まずなわりに、ときたま去るものを追おうとするからさらにいけません。はじめは拒絶していた今ヶ瀬と流されるまま半同棲し、彼が自分の元から去ろうとすると優しくしたり引き止めたりしてしまいます。計算なしに誕生日に生まれ年のワインをくれたり、拗ねてる時に肩を抱いたりしてくれる。天然タラシというか何というか……。駄目な人だとわかりつつも抜け出せない、そういう魅力がある男。話が進むにつれ、恭一のクズさを痛感するとともに彼を好きになる気持ちもわかってしまう気がします。「知ってるワイフ」の元春は「ほんとダメだな~」って感じですが、恭一は「ほんとひどいけど好きになっちゃうな~」という。
そしてまぁ、この作品での彼は終始美しいです。スーツ姿も部屋での眼鏡も色気があるし、ベッドシーンも美しい。観る前の想像以上に激しくて勇気がいったのではと思いますが、役者魂を感じました。
–{ドラマ「モンテ・クリスト伯」…罪に罪を重ねる裏切り者クズ}–
ドラマ「モンテ・クリスト伯」…罪に罪を重ねる裏切り者クズ
大倉が演じる南条幸男は、好きだったすみれ(山本美月)が親友の柴門暖(ディーン・フジオカ)と婚約したと知って嫉妬し嘘の通報をして陥れ、自分は傷心のすみれと結婚し一児をもうけるという最低な役です。クズ役の印象がついたはじめの作品ではないでしょうか。
幸男の罪はそれだけではありません。売れない俳優だったところから香港へ渡り人気俳優となりますが、香港マフィアに借金していたことがきっかけで、恩人をも裏切り彼と彼の家族が殺される原因を作ってしまいました。もはやどうしようもないレベルのクズです。クズというか、やったことを考えるとほぼ犯罪者。
悪事がばれて仕事を失い、妻子にも被害が及ぶと思った幸男は遺書を残して自殺。
自殺する前、夕日に照らされながら涙を流すシーンがやたら美しいのですが、幸男のしてきたことを考えると何でこんな綺麗やねんと腹が立ってくるほどです。さらに遺書にはいかにすみれを愛してたか、みたいな内容しかなくて、暖や恩人への謝罪は一切なかったところも何だかな~という感じでした。
ちなみに結局あることが起こって死なないですし、その後がまた本当にクズなので、気になる方はぜひチェックしてください。モンテ・クリスト伯はいろんな方の怪演が光った面白いドラマなのでおすすめです。個人的MVPは山口紗弥加です。
–{番外編「関ジャニ∞クロニクル」いきなりドッジ…目がバッキバキのクズ?}–
番外編「関ジャニ∞クロニクル」いきなりドッジ…目がバッキバキのクズ?
ちなみに「モンテ・クリスト伯」以前にも、大倉が所属するグループ関ジャニ∞の冠番組、「関ジャニ∞クロニクル」のいきなりドッジというコーナーですでにクズの片鱗を見せていました。台本無しでボールを当て合い、当てられた者は罰ゲームを遂行せねばなれないというルールのこのコーナー。
コーナー趣旨的に泥仕合になるのは仕方ないものの、大倉は目がバッキバキに据わってサイコパスのような表情になることが度々あり、番組を盛り上げて(?)いました。時には過去に自分がした悪行を自分ではなく他のメンバーがしたこととしてなすりつけ、自分で「あれやったの俺だったわ」と途中で思い出すというリアルサイコパスな場面もありました。
こういった、バラエティー番組で出た一面も、クズ演技に役立っているのかもしれません。
まとめ
何度も“クズ”と言ってしまいましたが、ともすれば自分の印象が悪くなりかねない役も受けていく姿勢、「本当にクズの役が似合う」と言われるほどの結果を残していることは素晴らしいです。美しいクズの需要は常にあると思うので、これからもいろんなタイプのクズを演じていってほしい。そしてクズ以外にも「大倉くんの〇〇役って最高だよね」というジャンルが増えていくのが楽しみです!
(文:ぐみ)