「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」より ©TBS
今期(2021年冬ドラマ)では、間宮祥太朗演じる「オー!マイ・ボス 恋は別冊で」の中沢先輩、松下洸平演じる「知ってるワイフ」の津山など、かっこいいだけでなく行動や言葉が人間として素晴らしい、魅力的過ぎる“当て馬”役たちが話題に挙がりました。私も例にもれず、なぜヒロインはこの人を選ばないんだろう? 幸せになってほしいと思っていました。
過去の恋愛ドラマでも、たびたび“当て馬”役の俳優の演技や切ない運命、報われなくてもヒロインを一途に愛す姿勢がピックアップされてきました。そこで今回は、今期ドラマの二人をはじめ“当て馬”として印象的だった役や俳優、作品について紹介していきたいと思います。
“私が付き合いたい”の声多数、今期ドラマの愛すべき“当て馬”たち
間宮祥太朗…「オー!マイ・ボス 恋は別冊で」中沢役
「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」より ©TBS
主人公・奈未の職場の通称“ドS先輩”。キツめの外見と言葉からは裏腹に、人格が素晴らしすぎるし、名言連発だしもはや神に近い存在。
まず仕事に対して真面目で、ファッション誌に配属されたものの、元々いたカルチャーがすごく好きなことが伝わってくる。奈未(上白石萌音)をはじめとした後輩たちに親切に資料を貸してくれたりアドバイスしてくれたりするし、ピンチになったら助けてくれるし絶対恩着せがましくしない。
そして恋愛においても正々堂々としている。恋敵である潤之介(玉森裕太)に度々奈未を好き宣言、あんたには負けない宣言などをしフェアに戦った。
特に長野で落とし物をした奈未に付き合って帰りのバスを逃してしまい、やっと見つけた宿に一部屋しか空きがないとわかると「俺がお前の彼氏だったら他の男と同じ部屋に泊まられたら嫌だから」と他を探すと言って出ていき、実際は奈未の落とし物を河原で朝まで探していた。落とし物が潤之介からのプレゼントと知っているのにだ。もはや聖人か神の域である。明け方やっと見つけたブレスレットを届けに旅館へ行くと、そこには抱き合う奈未と潤之介の姿が……そっとかばんの横にブレスレットを置いて去るのです。こんな泣ける話があっていいのでしょうか。
さらに、その後も変わらず奈未に親切にし続けてくれる。最終回では落ち込んだ様子の潤之介を飲みに誘って励まし、奈未の背中を押すという、普通の人間なら精神崩壊しそうな状況でも常に正しい行動をし続けた神だった。作中で奈未は彼の名言日めくりカレンダーを出版しているが、複数買いするので実際に商品化していただきたい。
ちなみに髪型も間宮祥太朗の良さをめっちゃ引き出している髪型だったと思う。
単に中沢のほうが奈未のことを好きだということが伝わる機会も少なかったし、潤之介のほうが奈未にとってドラマティックな出会いやシーンが多かっただけだと思う。きっともっと中沢先輩に会った人がいるから幸せになってほしい。
松下洸平…「知ってるワイフ」津山役
今期の心から幸せになってほしい“当て馬”その2である。主人公・元春の同期にして親友の津山役。
元いた世界では既婚で双子の父親だったが、妻の澪(広瀬アリス)とうまくいかない元春が「相手を変えればおれば幸せになれる」という限りなく自己中な考えによって過去を変え、さらに変わった後の世界で、恋人(元の世界の妻)を空港まで追いかけようと乗ったタクシーを元春に強奪されたために独身となってしまう、本人は人生を変えられたことなど知る由もないですが不憫な人なのです。
だが彼が不憫なのはそこだけではない。変わった後の世界でこれまた独身となった澪のことを好きになり、友人である元春(ちゃっかり澪の他に気になってた女と結婚)にも相談。元春は自分が望んで過去と結婚相手を変えたにも関わらず、澪が他の人とくっつくのが面白くなくて阻止するというクソ行動に出ます。
澪に告白するも答えは保留、「いい人だけどキュンとしないんだよなぁ」と言うも、おそらく元春への想いを断ち切るために最終的に告白をOKします。この時点で結構ひどい。しかも結局元春が離婚したと知った澪に振られてしまう。優しく「これで気まずくなるなんて嫌だよ」と言ってくれるが、友達の前では泣くという健気さ(ちなみにこのとき、離婚して住む場所がなくなった元春は津山の家に居候しているし、元春にもすごく優しい)。
澪と元春がキスしたと知った時は(実際は澪が強引にしたのだが)激高し彼を殴りつけたものの、その後元春が仕事で窮地に立たされたときは確認を取ったり、手掛かりになりそうな情報をつかんできてくれたり、客先に元春の仕事ぶりを証言してくれるよう頼みに行ったり(しかも澪と一緒に)と、これまた涙ちょちょぎれそうないい人です。徳を積みすぎです。
部屋もめっちゃおしゃれ。部屋を見ただけでモテそう。幸せになってほしい。
–{記憶に新しい、イケてる“当て馬”たち}–
記憶に新しい、イケてる“当て馬”たち
仲野太賀…「この恋あたためますか」新谷誠役
森七菜演じる主人公・樹木と一緒に仕事するうちに好きになり一度は付き合うも、最終的に「ごめんなさい…社長(浅羽拓実・中村倫也)が好きです」と打ち明けられてしまう。背中を押して「拓兄のところに行きな」と言って涙するという切ない役どころは評判となりました。
中村倫也…「初めて恋をした日に読む話」山下一真役
深田恭子演じる順子(モテない)に唯一告白してくれた元ヤン教師で、再開した順子に惹かれ……という役。このドラマは3人の男性の間で順子が揺れ動く役なので、2人は当て馬になってしまうのです。そんな中でも山下は終始かっこよく、余裕のある大人の魅力たっぷりで視聴者もキュンとするシーンがたくさんでした。また恋のライバルであり教え子である由利匡平(横浜流星)にもアドバイスや励ましの言葉をかけ、最終的には超かっこよく身を引いて去っていくのでした。
永山絢斗…「俺の家の話」踊介役、「初めて恋をした日に読む話」八雲雅志役
『俺の家の話』では目の敵にしていたさくら(戸田恵梨香)のことを「好きなんじゃないの?」と言われた途端意識して好きになってしまう踊介役。だがほとんど相手にされず、恋愛ベタなのか鬼LINEを送って相手を困らせたうえに、何ひとつ進展していないのに「LINEでプロポーズする」とか言い出すどう見てもモテなさそうな男である。だがさくらは兄・寿一(長瀬智也)を好きになり、二人が結婚を前提に付き合うことになったのを兄の間違いLINEで知ってしまうという不憫さ。
『初めて恋をした日に読む話』では、深田恭子演じる順子を密かに思い続けるいとこの雅志を演じているが、心を決めて誘った食事はすっぽかされるし、結局男として見てもらえることもなく振られてしまう。
そう、どちらも恋が叶わないだけでなく、好きになった女性に相手に恋愛対象として見てもらえないという悲しさがあります。真面目過ぎるイメージ故なのか。もっとも、俺の家の話は一方的すぎて当て馬とすら認識されてなさそうだけど。
–{現実では相手を射止めた“当て馬婚”俳優たち}–
現実では相手を射止めた“当て馬婚”俳優たち
作品の中では恋に敗れたものの、実際には相手役の女優と結婚した人たちもいます。
賀来賢人…「Nのために」安藤望役
ある殺人事件から10年後、真相をめぐって一人の刑事が動き出す。事件現場に居合わせた「N」のイニシャルを持つ5人の現在と過去が紐解かれ、真相が明らかになっていく……という物語。
主人公の杉下希美(榮倉奈々)とは大学時代に同じ野バラ荘に住んだことから知り合い、商事会社の営業部で野心を持って働いている安藤。希美にプロポーズするが、物語終盤病気で余命が残り少ないことを隠した希美に別れを告げられてしまう。
です実際には杉下役の榮倉奈々と結婚し、二児をもうけています。バラエティー番組でもたびたび惚気ており、仲睦まじい様子。特に奥さんの好きなところを聞かれて「子育ても含め、何してる時も楽しそうなんですよね。そこがいいなと」とうれしそうに話していた姿が印象的です。
ちなみに『Nのために』はものすごく面白い素晴らしいドラマなので、気になってる方はぜひぜひぜひ観ていただきたいです。最終回の窪田正孝が特に最高です。小出恵介もよかったです。
三浦翔平…「好きな人がいること」千秋役
パティシエの櫻井美咲(桐谷美玲)と三兄弟との四角関係を描いた物語。長男・千秋は美咲の初恋の相手だが、最終的に美咲は山崎賢人演じる次男・夏向と結ばれる。
三浦翔平は昨年放送のバラエティー番組『おしゃれイズム』でも自ら一回も恋が実ってないことを明かし、振られ年表的な資料まで作られていました。作品内で振られた回数は10回にのぼるといいます。
ですがこちらも桐谷美玲と2018年に結婚、昨年夏には第一子も生まれています。桐谷美玲のインスタライブに飛び入り参加したり、記念日には麗しい美男美女ショットを投稿したりと、仲が良い様子がうかがえます。
–{名作ドラマに出演“元祖・当て馬”はこの人?}–
名作ドラマに出演“元祖・当て馬”はこの人?
“当て馬”役が話題になる傾向は、昔からありました。結構昔の作品ですが、印象的だった過去の名作の“当て馬”たちをご紹介します。
木村拓哉…『あすなろ白書』取手治役
今では嘘のような話かもしれませんが、あのキムタクも当て馬だった作品があるのです。
当時話題を博したドラマ『あすなろ白書』では、ヒロインの石田ひかりを後ろから抱きしめ「俺じゃダメか?」とささやくというシーンが非常に話題になり、この体勢は『あすなろ抱き』と呼ばれて有名になったほどでした。今でいうバックハグですね。筆者も木村拓哉を認識したのは、母が観ていたこのドラマだったと思います。若かりし日の西島秀俊も出ていますし、機会があればぜひチェックしてほしい作品です。
東幹久…『やまとなでしこ』東十条司役
お金持ちと結婚して玉の輿に乗ることを夢見るCA・桜子(松嶋菜々子)と、合コンで桜子に一目ぼれし、医者と偽ってしまう欧介(堤真一)のラブストーリー。桜子が欧介よりも前に知り合っていた大病院の跡取り息子で年収8億という東十条司という、名前からしていかにもなお金持ち役。
桜子と結婚することになるも結婚式当日にすっぽかされ、後日「私の目的はお金でした。愛していませんでした」と告白されるというなかなかキツイ目に遭う。にもかかわらず「やっと本当の君に出会えてよかったよ。ちゃんと振ってくれてありがとう」と言う。さらに、「世界一のアッシーだから」桜子を欧介の元へ行かせるため空港まで送ってくれるという……神か? 涙で前が見えなくなりそうなくらいいい人です。幸せになってくれ。
まとめ
恋愛ドラマのストーリーに花を添える“当て馬”たち。きっとこの先も多くの作品でストーリーをかき乱し、想い敗れて涙するのでしょう。そう考えると胸が痛む一方、これから出会うどんな風にキュンとさせてくれるのか、楽しみでもあります。この記事で紹介した作品で気になるものがあったらぜひ観てみてくださいね!
(文:ぐみ)