『はちどり』『82年生まれ、キムジヨン』に続くガラスの天井要素を絶妙なバランスで織り込みつつも、爽快感を忘れないスポ根映画が生まれました。
昨年Netflixで「愛の不時着」と同様に強い人気を博した「梨泰院クラス」でトランスジェンダーの料理長マ・ヒョニを演じたイ・ジュヨンの新作映画『野球少女』は新しい季節にぴったりの明るい気持ちになれる清々しい良作でした。
ユニフォームも彼女を包み込む空も真っ青で、爽やかさを相乗効果を高めていました。
「夢に向かって、圧倒的は努力の姿勢で突き進む。そして、その姿に心を動かされた者たちがいつしか彼女の夢を応援する。」
どこか”裏・梨泰院クラス”のような見方さえもできてしまうフォーマットに、あの感動が脳内リンク!感動もひとしおです。ドラマファンも必見!
自分との戦い、運命のコーチとの出会い、野球仲間である幼馴染との絆、親との関係性。
ひとりの選手のパーソナルな面にどこまでもフォーカスしていて感情移入がしやすく、野球のルールを知らない人にも刺さります。
ちなみに娘のいる私は「叶う保証のない夢を追う子供をどこまで信じてあげられるか。」を考えさせられ、響く面がありました。
野球を続ける娘に対して疑い気味だった母親と娘の邂逅は、くすぐったくて甘酸っぱい。
良い韓国映画に外せないのが”オモニなやりとり”ですが、本作にも”我らのオモニ”は顕在でした。全く似てないのに自分の親に見えてくる不思議現象が…。
物語が進むごとに眼差しが強くなっていくイ・ジュヨンのたしか演技力、これからもっとも注目される韓国スターと言っても過言ではないでしょう。野球シーンもスタントなしで、プロの選手たちに驚かれるほどの名フォームでこなしているのでそこにも注目を!
(文:東紗友美)
–{『野球少女』作品情報}–
『野球少女』作品情報
ストーリー
夏休みのある日、10代の少女オクジュ(チェ・ジョンウン)は、事業に失敗した父ビョンギ(ヤン・フンジュ)、弟ドンジュ(パク・スンジュン)と共に、緑が生い茂る大きな庭のある祖父ヨンムク(キム・サンドン)の家に引っ越してくる。だが、そこに母親の姿はない。大きな居間とステレオセット、風が通る2階の窓際に置かれたミシン……。弟は新しい環境にすぐ馴染むが、オクジュはどこか居心地の悪さを感じていた。そんな彼女の逃げ道は、同級生との淡い恋模様であった。そんななか、離婚寸前の叔母ミジョン(パク・ヒョニョン)まで住みつき始め、一つ屋根の下に三世代が集まることに。やがて、オクジュが家と祖父に親しみを覚えるようになった頃、祖父が病気になってしまう……。
予告編
基本情報
出演:イ・ジュヨン/イ・ジュニョク/ソン・ヨンギュ/ヨム・ヘラン
監督:チェ・ユンテ
製作国:韓国
公開日:2021年3月5日
上映時間:105分
配給:ロングライド