改めて断言!『坂道のアポロン』は青春の追体験!松村北斗の存在感にも再注目!

映画コラム

人には誰にでも、忘れることのできない大切な思い出があります。思い出すだけで胸がきゅっと締めつけられ、その時に舞い戻ってしまうような、そんな思い出。2018年に公開された映画『坂道のアポロン』は、自分の青春の日々を重ねずにはいられない作品です。

同作は、同名コミックの実写作品で、恋愛と友情、音楽が絡み合った青春音楽ラブストーリー。Hey! Say! JUMPの知念侑李、中川大志、小松菜奈がメインキャストに名を連ねます。知念さん演じる薫は、周囲に心を閉ざしている転校生。薫は中川さん演じる千太郎が叩くドラムをきっかけにジャズに目覚め、音楽に夢中になっていきます。

3人が繰り広げる青春は、そのときにしかない輝きと美しさを放っていて、少し切ない気持ちになります。序盤の薫が千太郎と出会い、ジャズに魅了され、心が浮き立っているシーンは、新しい世界に飛び込むときの胸が高鳴る瞬間を切り取っています。これから物語が始まるんだというワクワク感をさらに加速させます。

2人の初めての“セッション”は、授業中にひっそりと行う机を指で叩く“ピアノ”と、同じく机を鉛筆で叩く“ドラム”。本作にはさまざまなセッションシーンがあります。知念さんと中川さんの全身から溢れ出る「楽しい」という感情とキラキラした瞳は、「好きなもの」から発せられる大きなパワーを体現しています。

メインキャスト以外に注目したいのは、ジャズ一筋の千太郎をロックバンドに勧誘する松岡役を演じるSixTONESの松村北斗。出演シーンはわずかですが、その存在感は目を見張るものがあります。



登場したときに自然と目がいってしまう存在感や、話している相手によって変わる声の発し方。ロックバンドのボーカルとしてステージで歌う姿は、かわいらしくもあり、少しの出演シーンで印象に残る演技を見せていました。松村さんは2021年2月公開の『ライアー×ライアー』では主演を務めますが、プロデューサーが『坂道のアポロン』での演技に大きな可能性を感じ、起用となったとのこと。そういった背景もあり、俳優・松村北斗のこれからの活躍がより楽しみになる演技でした。

心を通わせたはずの薫と千太郎ですが、あることをきっかけに2人には心の距離ができてしまいます。そんな2人を支えてくれるのは、絆を結び直してくれるのは、いつでも音楽でした。薫たちを通して青春を追体験している気分になり、その輝きに切なくもなる本作。いくつになっても、好きなことや大切な人と過ごした思い出は私を守ってくれる。そんなことを再認識させてくれる、さわやかな青春物語です。

(文:ふー)

–{『坂道のアポロン』作品情報}–

『坂道のアポロン』作品情報

ストーリー
病院に勤め、忙しい毎日を送る医師・西見薫(知念侑李)のデスクに飾られている1枚の写真。笑顔で写る3人の高校生。それは、10年前の夏、二度と戻らない“特別なあの頃”の写真だった……。あの夏、転校先の高校で、薫は“札付きの不良”と恐れられるクラスメイト・川渕千太郎(中川大志)と運命的な出会いを果たす。二人は音楽で繋がれ、荒っぽい千太郎に薫は不思議と惹かれていくのだった。ピアノとドラムでセッションし、千太郎の幼なじみで町のレコード屋の娘・迎律子(小松菜奈)と3人で過ごす日々。やがて薫は律子に恋心を抱くが、律子の想い人は千太郎だと知ってしまう。そんな切ない三角関係ながら、千太郎と二人で奏でる音楽はいつも最高だった。だがある日突然、千太郎は二人の前から姿を消してしまう……。 

予告編

基本情報
出演:知念侑李(Hey! Say! JUMP)/中川大志/小松菜奈/真野恵里菜/山下容莉枝/松村北斗(SixTONES/ジャニーズJr.)/野間口徹/中村梅雀/ディーン・フジオカ ほか
 
監督:三木孝浩

製作国:日本

製作年:2018

公開日:2018年3月10日

上映時間:120分

製作会社:(C)2018 小玉ユキ・小学館/映画『坂道のアポロン』製作委員会

配給:東宝=アスミック・エース