「天国と地獄 ~サイコな2人~」最終回までのあらすじ&感想|意味深なセリフ、無茶ぶり設定に翻弄され続けたが、間違いなく今期ナンバー1ドラマだった!

国内ドラマ

綾瀬はるか、高橋一生出演のTBS日曜劇場「天国と地獄 〜サイコな2人〜」が、2021年1月17日より放送開始。

綾瀬演じる、努力家で正義感が強いが慌てん坊な35歳の刑事・望月彩子が、高橋演じるサイコパスな殺人鬼・日高陽斗(ひだか・はると)と魂が入れ替わってしまうストーリー。

「世界の中心で、愛をさけぶ」や「義母と娘のブルースなどの脚本家の森下佳子のオリジナル作品。

もくじ

・第1話のあらすじ&感想

・第1話終了時点での考察(別記事へ)

・第2話のあらすじ&感想

・第2話終了時点での考察(別記事へ)

・第3話のあらすじ&感想

・第3話終了時点での考察(別記事へ)

・第4話のあらすじ&感想

・第4話終了時点での考察(別記事へ)

・第5話のあらすじ&感想

・第5話終了時点での考察(別記事へ)

・第6話のあらすじ&感想

・第6話終了時点での考察(別記事へ)

・第7話のあらすじ&感想

・第7話終了時点での考察(別記事へ)

・第8話のあらすじ&感想

・第8話終了時点での考察(別記事へ)

・第9話のあらすじ&感想

・第9話終了時点での考察(別記事へ)

・第10話のあらすじ&感想

・第10話終了時点での考察(別記事へ)

・作品情報

第1話のあらすじ&感想

第1話のあらすじ

望月彩子(綾瀬はるか)は、努力家で正義感が強く、上昇志向も強いが慌てん坊な刑事。思い込んだら一直線で失敗も多いため、周囲の刑事たちからは煙たがられている。

そんな彩子はある朝、出勤時間ギリギリに起床。朝からバタバタと急ぐあまり、電車内でうっかり自分だけマスクをしていないことに気付く。すると、偶然乗り合わせた男性(高橋一生)から自社製品のサンプルだというマスクを譲り受ける。

そんな中、とある殺人事件が発生。管理官が刑事たちに現場へ急行するよう指示するが、なんとその時、捜査第一課に居合わせたのは、過去の失敗で謹慎中の身であった彩子のみ。彩子は、刑事として挽回する願ってもないチャンスの到来に、「絶対に手柄を立ててやる!」と息を巻いて現場へ急ぐ。向かった先には、遺体の口内にパチンコ玉が詰められた、猟奇的殺人現場が広がっていた。しかしその猟奇的惨状の反面、掃除されたばかりのような清涼感を感じる現場に違和感を覚える彩子──。

そんな彩子の違和感を解消したのは、彩子の能天気な同居人・渡辺陸(柄本佑)。清掃現場でアルバイトをしている陸によると、匂いのない業務用の特殊洗浄剤がこの世に存在することが分かる。その洗浄剤の製造元は創薬ベンチャー企業のコ・アース社。あろうことか、そのコ・アース社、社長の日高陽斗は、なんと数日前彩子に電車内でマスクをくれたあの男だった──。

自分だけが知る重要参考人に、何か運命めいた物を感じた彩子は早速日高のもとへと会いに行く。しかし、その時はまだ、表向きは若くしてベンチャーを立ち上げた敏腕経営者・日高が、裏の顔は類まれな頭脳と知識を駆使したサイコパスな殺人鬼であることは知る由もなかった──。

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第1話の感想

正月早々から綾瀬はるかの顔を何度バラエティー番組でお見かけしたことか。
元旦の「笑点」では牛のかぶり物を身に着け、「関口宏の東京フレンドパーク」 の特番では体を張るなど、数々のバラエティー番組であの愛嬌のある笑顔をたっぷり見せてくれた。

今クールの民放ドラマの中で最も注目を集めている、「天国と地獄 ~サイコな二人~」。

しかし、設定には少し眉をひそめたくなる。これまで私たちが何度も見たことがある、主役と誰かの心が入れ替わる、古典的な設定だからだ。タイムスリップ系や入れ替わり系のドラマは、「ありえない」だけにどうしても視聴者の期待値は低くなってしまう。

とはいえ、脚本家は森下佳子。
主人公が現代から幕末にタイムスリップした作品「JIN-仁-」では各賞を総なめにし、「義母と娘のブルース」でも綾瀬とタックを組み話題となった。「まずは第一話を」と思った視聴者は多かったのではないだろうか。初回の平均世帯視聴率は16・8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と期待以上だった。

冒頭からほんの少しがっかりした点は、綾瀬の雰囲気だ。カチッとしたパンツスーツにハキハキとした話し方。眼鏡こそかけていないが、「ぎぼむす」で演じた義母、亜希子とダブる。髪型だけでも前回と差別化をしたほうが良かったのでは? と感じた。
しかし、後半で高橋一生演じる日高と入れ替わった際に、髪型も大きな役割を果たしている。見終わったあとには、最初の違和感はすっかりなくなっていた。

また、今回の見どころはなんといっても綾瀬と高橋、それぞれのサイコパスを演じたときの表情だ。
入れ替わる前の高橋の演技は見る者をゾクっとさせる。片方の口角だけを上げて、ニヤリと笑う場面や、月を見上げる目つきなど、何を考えているかわからないような役はピカイチ。入れ替わったあとに目を覚ましてからの演技もすっかり彩子になりきっていた、というか彩子そのものであった。

綾瀬の演技についても
「綾瀬さんの表情が高橋さんそのもの!ゾクゾクする」
「二人の演技に“中の人格”を感じてなんだか感動しました」
などとSNSを中心に反響は大きく、すでに多くの人が作品にハマっている様子。

不自然な雨の演出や、偶然にも出会う彩子と日高の設定に多少の違和感はあるものの、これもこれからおこる“事件”の伏線だと期待したい。

最近では原作のドラマ化が多い中、今回の作品は先が読めないオリジナル脚本ということも大きな数字に繋がりそうな予感がある。

彩子は自分の体に戻ることができるのか? 日高は本当にサイコパスなのか?

すでに今後の展開が気になって仕方がない。

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–{第2話のあらすじ&感想}–

第2話のあらすじ&感想

第2話のあらすじ

捜査一課の刑事・彩子と殺人事件の容疑者・日高は、階段から転げ落ちた拍子に魂が入れ替わってしまった…。

彩子<日高>は日高<彩子>に「出頭して一生を塀の中で過ごすか、それとも自分と協力して容疑を晴らすか」と二者択一を迫る。

仕方なく後者を選択した日高<彩子>は、彩子<日高>の指示通り、家宅捜索が入る前に日高のマンションからダンボール箱をこっそり持ち出す。

中に入っていたのは連続殺人の証拠となり得る品々だった。身体が入れ替わってさえいなければ大手柄なのだが…。

なんとか家宅捜索を乗り切った日高<彩子>は、そのまま河原(北村一輝)の事情聴取を受ける。そして、その様子を別室で見つめる彩子<日高>と八巻(溝端淳平)。八巻は彩子の雰囲気がいつもと違うことを変に思って尋ねるが、「路線変更です」と煙に巻かれてしまう。

警察は日高が犯人である確たる証拠を見つけられないまま、秘書・樹里(中村ゆり)の素早い根回しで日高<彩子>を釈放。マンションに戻った日高<彩子>は、居候の陸(柄本佑)のことを考えた。

一緒に暮らしている陸なら、きっと本物の彩子ではないことに気づいてくれるはずだ。

ところがその頃、陸は彩子<日高>と仲良く食卓を囲んでいて…。

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第2話の感想

「階段落ち」からの「魂入れ替わり系」とベタな展開だったにも関わらず、初回の平均世帯視聴率が16・8%と好発進した「天国と地獄~サイコな二人~」。
第2話も、主演の綾瀬はるかと高橋一生の素晴らしい演技に引き込まれた。

普段はガサツで化粧もしない彩子として生きる日高は「思うところありまして、路線変更です」という言葉を盾に、堂々と振る舞う。
一方でどうしたらいいのかわからず、終始おどおどする日高として生きる彩子。

第2話は、若干コメディ色が強かったものの、ひたすら絶望の彩子(高橋)があまりにも不憫でたまらない。
しかし、そんな彩子に救世主が現れたのだった。それは、彩子とバディを組む後輩の八巻(溝端淳平)だった。普段は弁当の発注や雑務ばかりをしている頼りのない存在だったけれど、そこは警視庁の刑事。洞察力で彩子が日高と入れ替わっていることに気付いたのだった。
「お手柄だよ、八巻」と泣きながら八巻を褒める彩子(高橋)の姿には観ているこちらも、うるうる。

溝端淳平といえば、ドラマ「新参者」でも刑事役を演じ、主演の阿部寛の後ろを走る姿が記憶に新しい。
この八巻の存在は3話以降、彩子にとっては心強い存在になりそう。
とはいうものの、彩子と日高の入れ替わりの事実を知った八巻に言いたい。
「今後は、背後に気を付けるんだ!」

太陽と月がカギの本作。
望「月」彩子と、日高「陽」斗。
果たして太陽と月は元に戻ることができるのか—。

入れ替わりの謎に迫る第3話も、大いに期待ができそうだ。

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–{第3話のあらすじ&感想}–

第3話のあらすじ&感想

第3話のあらすじ

彩子(綾瀬はるか)と日高(高橋一生)の魂が入れ替わったことに八巻(溝端淳平)が気づいた。味方ができた日高<彩子>は、藁にもすがる思いで今後どうするかを八巻に相談する。

まず急がなければいけないのは、日高が捨てた革の手袋を河原(北村一輝)ら警察よりも先に手に入れることだ。もしも手袋から日高の指紋と被害者のDNAが検出されれば、自分が捕まってしまう。

そこで、警察が手袋を見つけた段階で、八巻がこっそり別の手袋とすり替える作戦を立てる。入れ替わってもなお日高を捕まえることを諦めない彩子。しかし、彩子<日高>はそんな日高<彩子>の考えなど見抜いていたようで…。

警察では、河原が拾得物の中から革手袋を集めていた。そして、集まった大量の手袋を鑑識部屋に持ち込むと、そこにはなぜか彩子<日高>の姿が。鑑識の新田(林泰文)を手伝いに来たというが、はたして真の狙いは…。

そんな中、「太陽と月の入れ替わり伝説」に出てくるシヤカナローという花を見つければ、自分も元に戻れるかもしれないと考えた日高<彩子>は、その伝説が言い伝えられている奄美大島へと渡る。そして、その奄美で日高に纏わる意外な足跡をつかむ。

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第3話の感想

謎だらけのまま終わった第3話。
手袋の謎、奄美大島に行った意味、数字の「4」ってなに?
脳内からベートーヴェンの交響曲第5番「運命」が離れない……。
まさに、ジャジャジャジャーン。
あーもう、来週よ、早く来い!

相変わらず彩子にすり替わった日高(綾瀬はるか)の目力に圧倒され、日高にすり替わってしまった彩子を演じる高橋一生の演技は、女性そのものといった感じ。
なんの違和感もないままテンパる彩子を感じることができる。

今回は伝説の花、シヤカナローを求めて奄美大島に渡った彩子だったが、大きな収穫はないまま帰宅。それでも日高の痕跡を感じることはできたし、宿主(酒井敏也)からシヤカナローの花がサガリバナではないかと教えてもらったことは、重要ポイントなのかもしれない。
この先、この宿主が「あれから思い出したんだけど……」なんて彩子に電話をしてきて、物語が大きく動くことを勝手に想像している。

終盤では、日高の凶行を動画によって目にした彩子。
日高から「あなたは私で、私はあなたです。どうかお忘れなく」と警告されてしまう。
体が戻ったとしても殺人を犯してしまったことに怯える彩子の姿に視聴者は

「面白すぎて心臓に悪い」

「見ているのが辛いわ。けど、もっと見たい」

「意味がわからないことだらけなのに見ていたい……なんて不思議なドラマなんだろう」

など、すっかり作品に魅了されている様子だった。

個人的には柄本佑が演じる、彩子の家の居候、陸が気になって仕方がない。
彩子の身に起こっていることに気がつくのか? いや、すでに気がついているのか?
彼はいったい何者なの? 数字の「4」をなぜ消していた?
あー!もう!やっぱり来週よ、早く来い!

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–{第4話のあらすじ&感想}–

第4話のあらすじ&感想

第4話のあらすじ

日高(高橋一生)がまた猟奇殺人を犯した。人の命が無残に奪われ、その行為に自分の体を使われたことに彩子(綾瀬はるか)は言葉を失う。

翌朝、日高<彩子>は河原(北村一輝)の事情聴取を受けるが、その様子を冷静に見つめる彩子<日高>。聴取後、彩子<日高>と日高<彩子>がやり取りする様子を目撃した河原は、その光景に違和感を覚え、疑惑の目を向ける。

後日、彩子<日高>が捜査本部専用の情報のデータベース化を買って出てきた。一体その目的は?

一方、陸(柄本佑)もまた、彩子の家で発見した“血の付いた防護服”のことで頭を悩ませていた。

証拠不十分で解放された日高<彩子>だったが、コ・アース社では、会社の信頼が失墜しかかっていることを案じた秘書の樹里(中村ゆり)に詰め寄られ、おまけに、頼みの綱だった八巻(溝端淳平)は殺人鬼の彩子<日高>を恐れ、これ以上協力できないと言い出す。

今のままでは自分が殺人犯になってしまうことに絶望的な気分になる彩子。

そんな中、2人に疑いを向けた河原が、事件の目撃者情報をつかんだ様子で…。

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第4話の感想

完全に女性(彩子)にしか見えなくなった高橋一生に、“妖艶”の度が過ぎる綾瀬はるか。

第4話は日高の生い立ちや妹の登場があるも、何が何だかわからない状態は相も変わらず。
どのエピソードも伏線に思えてしまうし、新たな登場人物は真犯人に見えてしまう……。
もはや第2の事件の目撃者、外国人留学生のミンさんすらあやしいと思えてしまうのは私だけだろうか—。

第4話では、いくつかわかったこともある。

・日高はこれまでのイメージとは違い、社員にとっては情に厚い男とされている。

・「次は何番ですかねぇ」の入浴中の発言から、日高自身も次のターゲットについてわかっていない。

・彩子も日高が二重人格なのではないか、それとも共犯者がいるのではと疑っている。

これまでのエピソードや日高の行動を考えれば第三者の関与は大いにある。
しかし、それはまだこの第4話ではまったくと言っていいほどわからない。

さらに、これ以上日高が殺人を犯さないように彩子が詰め寄るシーンでの
「だから、あなただったんですか、そうか…だから私はあなたと入れ替わったんですよ」
という日高のセリフも興味深い。
正義感あふれる彩子が、サイコパスの日高と入れ替わったことは偶然ではなかったということを意味しているのか?
なんとなくこの日高のセリフから、入れ替わったことは今回が初めてではないような気もする。

こんな風に考えれば考えるほど、わけがわからなくなるのもこのドラマの特徴といえる。
こうして推理することも楽しいけれど、純粋にわくわくしながら日曜日を待つのも…うん、悪くはない。
(単純に推理しても途方に暮れるのでやめた人)

個人的にはセク原こと、彩子の先輩・河原(北村一輝)が気になる存在だ。
今回であっさり退場なのかと“セク原ロス”を心配したが、次週の予告でその姿を確認できて期待値がぐんと上がった。いいぞ、セク原!
セク原には次週以降も、あごをさすり、目を細めながら「こいつら、あやしいのぉ」と2人の盗撮を続けてもらいたい。

予告では、「現れる殺人鬼!? 本当の悪魔は誰だ!? 眠っていた正義が動き出す!!」とあるのでいよいよ彩子が本来の性格を発揮し、真実に詰め寄るのか?
コインロッカーの中身やちょこちょこ写るアニメの謎も解けるかも?
第5話も目が離せない展開になりそう。

回を重ねるごとに日高と彩子の共同作業が増えているのもいい感じ。
サイコな二人で早くこのモヤモヤを晴らしておくれ。

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–{第5話のあらすじ&感想}–

第5話のあらすじ&感想

第5話のあらすじ

彩子(綾瀬はるか)は周囲から話を聞くうちに、日高(高橋一生)という人間がわからなくなっていた。

彼の評判はサイコ・キラーとは程遠いものばかりなのだ。もしかして彼は誰かを守るために殺人を犯しているのか? それとも、そもそも犯人ではないのか──。

そんな日高<彩子>を訪ねて、陸(柄本佑)が突然やって来た。陸は同居人である彩子<日高>の最近の行動を不審に思い、偶然見てしまった彼女が利用しているコインロッカーが気になり、中を勝手に調べたところ、日高宛の手紙を見つけたため会いに来たという。

同じ頃、コ・アース社は大騒ぎになっていた。日高社長が連続殺人の容疑者であることや事件に関する詳細など、警察が公表していない情報がSNS上に拡散され、ネガティブキャンペーンが巻き起こっていたのだ。捜査情報を漏洩したのは一体誰なのか?

一方、強引かつ不当な捜査が上司にバレて第一線からはずされていた河原(北村一輝)は、相変わらず彩子と日高のつながりを疑っていた。そのつながりを調べる過程で、ある漫画のキャラクターに行きつき…。

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第5話の感想

今クールのドラマの中で話題性、視聴率ともに独占状態の「天国と地獄~サイコな二人~」。
主演の綾瀬はるかと高橋一生が入れ替わる古典的な設定にいささか心配した私ですが、これぞまさしく取り越し苦労。面白さの勢いは止まらない。

日高として生きていくうちに彩子(高橋一生)は、日高は誰かを守るために殺人を犯している、もしくはそもそも犯人ではないのかもと思いはじめていた。
一方で日高(綾瀬はるか)は双眼鏡で誰かの家を覗いていた。そして、足元に落ちていた空になった錠剤の包装シートを拾うと「時間がないですねぇ」とつぶやく。

彩子はいったい誰の家を覗いているのか?
空になった薬は誰が飲んだのか?
「私を置いてきぼりにしないで~」と叫びたい気分だ。

誰もが気になる存在、陸は日高が使用しているコインロッカーのカギを偽造するというチャレンジャーいや、犯罪まがいの行動で視聴者を驚かす。
そのうえ「日高はるとさま」と書かれた手紙を見つけると、日高に会いにいくというタフさもみせた。

陸とのご対面であっさり入れ替わった事実を伝えた日高(彩子)。
この展開には「え? なになに? 陸にバラしちゃうわけ?」と戸惑った人もいるのではないだろうか。
さらに陸は、コインロッカーの中に入っていた手紙は「子どものころにもらったラブレターみたい」というヒントを彩子に伝えた。
さて、これはどんな意味なのか……。

これまで陸が怪しいと分析していた人にとって、今回の陸を見る限り、陸は犯人ではないかも? と感じたのではないだろうか。
よって、“犯人捜し”は振り出しに戻ってしまったかもしれない。(陸が真犯人という可能性はまだあるけれど)

一話に登場した日高の友人、九十九(中尾明慶)も今回登場。
私自身は、九十九が事件にからんでいるのでは? とにらんでいたが、日高と彩子の華麗な連携プレイによってあっさり賭博の容疑で逮捕。よって、殺人犯候補からは完全に離脱か?
九十九真犯人説をにらんでいた人たちも、振り出しに戻ってしまったのだろうか。

ここからは私の完全な推測だが……
自分のことを「余命三ヶ月」と口走った陸のバイト先の先輩、湯浅和男(迫田孝也)が今回、非常に怪しいと感じた。先輩の住む家の表札が「三枝」(はい、漢数字!)というのも気になる。

彩子と敵対する河原がつかんだ人物(事件の発端となった事件の目撃者)である、「戸田一希」(はい、ここにも!)はいったい誰? 

第5話の最後に「あんたは殺(や)ってない」と日高に鎌をかける彩子。

「私じゃなければ誰がやったんですか」と逆質問する日高。

今後、日高と彩子の関係はどうなっていくのか? 
手紙の送り主である、歩道橋の彼女とはいったい誰なのか?
空になった薬の包装シートや、写真の幼い日高が手に持つ丸い物体はなにを意味するのか?

スッキリしたこともありつつも、さらに謎が深まった第5話。
頭の中は、相変わらず“ハテナ”でいっぱいだ。

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–{第6話のあらすじ&感想}–

第6話のあらすじ&感想

第6話のあらすじ

彩子<日高>(綾瀬はるか)が持ち続けているラブレターのような手紙。

その手紙の差出人が今回の事件の手がかりになると読んだ日高<彩子>(高橋一生)は、秘書の樹里(中村ゆり)や妹の優菜(岸井ゆきの)に日高の過去に何か心当たりがないか探りを入れる。

その頃河原(北村一輝)は、連続殺人事件の発端となった3年前の事件で証言をした目撃者を問い詰めた結果、一人の怪しい人物に行きつく。

一方、八巻(溝端淳平)は賭博罪で逮捕した九十九(中尾明慶)から司法取引を持ち掛けられていた。九十九によると、日高が人を殺す日には共通点があるという。

次のターゲットは誰なのか?手掛かりになりそうなことを思いついた日高<彩子>は、陸(柄本佑)に協力を依頼するが…。

第6話の感想

怒涛の伏線回収が始まるのではとワクワクしながら見始めた第6話だったが、ここにきて新たな登場人物が。
見終わったあと、これまで以上に頭の中は「ハテナ」で一杯になってしまった。

まずは、セクハラこと河原がたどり着いた3年前の目撃者、戸田一希。
もっとミステリアスな雰囲気を出してくれるのかと思いきや、河原に怒鳴られてあっさり自供。
話したことはそれですべて? 
もう登場しない? 
なんだかちょっと消化不良。

さらに、「クウシュウゴウ」って誰? 
多くの視聴者が試したように私も「空集合」を検索。本当に「∅」が出てきて苦笑してしまった。
まんまと制作側の手のひらで転がされている視聴者の一人だ。

1つだけスッキリしたことがある。
それは、奄美の宿主(酒井敏也)の再登場だ。
第3話で考察した通り、やはり宿主さんからの電話があった。しかし、「あんた、日高さんで間違いない?」というなんとも不思議な質問をする宿主。奄美で日高はある人物に「東朔也」と名乗っていたというではないか。

「朔」という字に「月」という文字が入っていることは、このドラマファンであれば気づいただろう。
「空集合」に続き、「朔」も検索してみたところ、「新月」という意味があるという。
もはやここまでくると声に出して笑ってしまう。

そして、すでに亡くなっている十和田元(またしても漢数字!)の登場も怪しい。
さらには、彩子(体は日高)と八巻の姿を見て去った黒づくめの男が実行犯なのか? 
その男と池袋のおっさんは同一人物?

日高が「9」を見ながら「こなかった……」とつぶやいたあたりから考察すると、やはり日高は実行犯ではない? むしろ、実行犯がどこの誰かは知らないのではないかとも考えられる。
そしてなぜ、「東朔也」の死亡届を検索していたのだろうか。

新たな登場人物や日高の行動は理解不能であったが、ここにきて八巻もなんだか怪しいと感じてしまった。
彩子から見せられた日高の犯行動画に「うわぁーー!まじで殺しているじゃないですか」と携帯を落としてしまうほど驚く八巻。警察官だったらここまで大きく動揺するだろうか。彩子と日高の入れ替わりに早々に気付いた八巻だったが、ここまで警察官「らしからぬ」行動がいくつもあり、若干の違和感が残る。
もしかすると、八巻も誰かと入れ替わっていて実は警察官ではない? とさえ思えてきてしまった。

「ハテナ」だらけの第6話だが、考察と混乱の繰り返しはもはや心地がいいとさえ思える。

次週予告では、日高の両親も登場か。
珍しく弱音を吐く日高の姿も。
また覆されてしまうとはわかっていても、考察を繰り返しながら一週間を過ごそうと思う。

とりあえず、久米さんご夫婦がご無事でなにより。

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–{第7話のあらすじ&感想}–

第7話のあらすじ&感想

第7話のあらすじ


彩子<日高>(綾瀬はるか)は身元不明の遺体の中から「東朔也」という人物を探していた。日高<彩子>(高橋一生)と河原(北村一輝)もその名前にたどり着くが、事件とのつながりは見えてこない。一体何者なのか──。

陸(柄本佑)からの情報を手掛かりに、殺人の共犯かもしれない「クウシュウゴウ」が現れるのを待って、歩道橋で張り込む日高<彩子>。しかし、やって来たのは彩子<日高>で…。

ある日、日高<彩子>のもとに、息子が記憶喪失になったと聞いて心配した父・満(木場勝己)から連絡が入る。妹の優菜(岸井ゆきの)と実家へ行った日高<彩子>は、満から日高に関する意外な過去を聞かされるのだった。

そしてその頃、誰にも発見されていない新たな犠牲者が──。

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第7話の感想

※以下ネタばれを含みます。

母親に引き取られ裕福な家庭で育った日高陽斗と、父親に引き取られ貧しい生活を送ってきた東朔也が双子だった。
まさに天国と地獄—。

第7話は、散らばったパズルのピースが少しずつ埋まっていく感覚があったものの、まさかの双子設定。
これには少しうなだれてしまった。

ストーリーが進むにつれて実は主人公が双子だったという設定は、ドラマ史において少なくはない。
それだけにこのドラマにおいて、それはないだろうと思っていた、いやそうであって欲しいと思っていたので先の感情に陥ってしまったのかもしれない。

とはいえ、初回の「階段落ちからの入れ替わり設定」を跳ねのけるほど面白いストーリー展開をみせてくれているので、双子設定なんてなんのその。
ここからも想像をはるかに超える物語を期待している。

第7話の内容に迫っていこう。
彩子(体は日高:高橋一生)のもとに、日高の父から「あの手紙の話をしたい」と連絡が入り、妹の優菜(岸井ゆきの)と実家へ行くことに。そこで日高には生き別れの双子の兄がいたことが判明した。しかもその名前は、東朔也。
一方、陸(柄本佑)は師匠である湯浅(迫田考也)が東朔也なのではないかと疑いを持っていた。
湯浅=東という確信がないままに第7話は終わってしまったが、今のところ限りなくその予想は濃厚と言える。
とはいうものの、まだ断定はできない。
「汗水流している奴が報われなきゃいけない」そう真剣に語る湯浅。
彼の屈託のない笑顔を見ていると、どうしても凶悪犯には思えない。

SNSの考察を見てみると、役者さんの配役で実はこの人はのちに需要人物になるのではないか、という推測をする人が多い。
なかでも岸井ゆきのが演じる日高の妹、優菜が怪しいという意見が圧倒的に多い。
そして、すでに亡くなっているという田口浩正演じる、十和田元の存在も気になる。
「〇〇サスペンス」などの2時間ドラマにはありがちだけれども、今回に関してそれはないように思う。

第1話からここまで継続して登場しているものの、そこまで注目を集めていない人物が漫画「暗闇の清掃人 φ」に出てくる清掃人(実行犯)とミスターⅩ(黒幕)ではないかと私は考察してしまう。

となるとやはり、彩子の後輩、八巻(溝端淳平)と日高の秘書、五木(中村ゆり)が気になる。
新たな殺人現場の現場検証でも外で犬を抱いて立っていた八巻の行動、日高の大学時代の同級生だという五木の人物設定も気になる。

新たな物証として湯浅が落としたSDカード、殺人現場に残されていた歯の意味は?
また、日高の発言「もうだめだ……」には多くの視聴者が
「諦めちゃだめ!」
「日高が頼りなんだから頑張れ!」
と、日高にエールを送るという流れに。

ドラマの中で流れる「チリチリチーン」という鈴の音……。
この音色が頭から離れないまま、また一週間を過ごすことになりそうだ。

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–{第8話のあらすじ&感想}–

第8話のあらすじ&感想

第8話のあらすじ

新たな猟奇殺人が発生─。現場検証が行われる中、彩子<日高>(綾瀬はるか)は東朔也が担ぎ込まれた病院へと再び向かう。

事件に日高の生き別れの兄が関わっているのではと考える日高<彩子>(高橋一生)。同じく、現場への返り咲きを狙う河原(北村一輝)も、日高と東朔也の関係、また彩子に対し推理の的を絞り始めていた。

一方、陸(柄本佑)は、病気で倒れた師匠・湯浅(迫田孝也)を放っておくことができないでいた。そんな陸に、湯浅はある頼みごとを持ち掛ける…。

その後、八巻(溝端淳平)とコ・アース社に訪れた彩子<日高>は、日高<彩子>から思わぬことを告げられる。

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第8話の感想

来週からは最終章へ入る「天国と地獄~サイコな二人~」も残すところあと2話—。
多くの視聴者が陸(柄本佑)の師匠、湯浅(迫田孝也)は日高(高橋一生)の兄なのかどうか……
真相を知りたくて、モヤモヤと過ごしたかと思う。

結果、湯浅は日高の兄、東朔也だったわけだが、まだまだ多くの謎が解決しないまま第8話もあっという間に終わってしまった。
最後のシーンで日高と彩子(綾瀬はるか)は入れ替わったのか、入れ替わっていないのか?
私たち視聴者は先週と同じような気持ちのまま、1週間を過ごすことになりそうだ。

ドラマの内容を考察してみるのも毎話、楽しいが私は今回、手嶌葵が歌う主題歌「ただいま」の歌詞に注目をしてみた。
歌詞を眺めてみると、別れた恋人への想いを断ち切ることができない女心を歌ったバラードだということがわかる。
帰ってこない恋人を一人、部屋で想う悲哀に満ちた歌詞が、
手嶌のささやくような歌声とリンクして切なさはこの上ない。
一見、この曲は恋心を綴っているのでドラマの内容とは無関係だと思えるが、歌詞をよくよく見てみると誰かが最後にいなくなるのでは? と思わずにはいられない。

「あなた宛ての郵便がまだぽつりぽつりと届きます」

ではじまり、

「ふざけた顔で驚かせて お願い」

「同じ景色にあなただけがいない」

「散らかす人のいなくなった部屋は悲しいくらい 綺麗に片付いたまま」

「あなたの声の『おかえり』がまだ 目を閉じれば聞こえてくる」

いつも部屋を散らかす彩子。
いつも彩子の帰りを待つ陸。

これはもしや、彩子と陸の関係性を歌っているのでは?
最終話でどちらかがこの世からいなくなるのでは?
という不安がよぎる。

師匠の東に誘われて奄美大島に行こうとしている陸は奄美で東と入れ替わってしまうのではないだろうか。となると、余命わずかな東の体に入ってしまうと陸の命が危ない。
もしくは、彩子にも命の危険が迫っていて、この世からいなくなるのかも?

考察も残すところあとわずかだが、私は彩子の後輩、八巻(溝端淳平)と日高の秘書、五木(中村ゆり)への注視は変わらない。

五木に子どもがいるって?
また八巻、そんなところで大事な電話をする?

この違和感が最終章で回収されることを願うばかりだ。

ミステリアスでありながらも、誰かが誰かを大切に想う気持ちで溢れている同ドラマ。
最後までしっかり見届けたい。

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–{第9話のあらすじ&感想}–

第9話のあらすじ&感想

第9話のあらすじ

歩道橋から転がり落ちた彩子<日高>(綾瀬はるか)と日高<彩子>(高橋一生)。

警察は、連続殺人事件への関与が濃厚な日高陽斗と東朔也に緊急配備をかける。その東朔也=師匠は日高の双子の兄で、陸(柄本佑)ととある場所に向かっていた。

一方、河原(北村一輝)は捜査一課とは別に単独行動に出て…。

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第9話の感想

彩子と日高の入れ替わりが成功したのか、失敗したのか気になる一週間だったが結果は入れ替わり成功。
確かにここで入れ替わっておかなければ、先に戻る機会はなさそうなので想像は難くなかった。

無事に本来の姿に戻ったというのに、なにかしっくりこない。
私たち視聴者はこのドラマの半分以上を綾瀬はるか演じる日高、高橋一生演じる彩子として観てきたので無理はないのか……。
それでもやはり主演の二人の演技には脱帽だ。
綾瀬は空回りの女性警官・望月彩子に戻り、高橋はどこか寂し気な日高陽斗に戻っていた。

第9話では彩子と日高、陸と日高の兄、東朔也がそれぞれ奄美に向かう。
偶然にも船上で再会した4人。
彩子の怒りは東に向けられたがそれは日高を思ってこそ。
これまでの彩子だったら犯人逮捕に必死だった。
しかし、しばらく日高として生きていた彩子の中には犯行に及ぶにも理由がある、ということを理解したのだろう。

綾瀬はるか、高橋一生、柄本佑という、そうそうたる顔ぶれのなか東朔也役の迫田孝也の演技も素晴らしかった。
ドラマの序盤では脇を固める一人としか思っていなかったが、ここまで注視される存在になるとは。
15分の差で地獄を味わうことになったおいたち。
不器用だけど真面目に懸命に生きてきた人生。
最後は膵臓がんで瀕死の状態。
東朔也という男が迫田の中にしっかり憑依されており、涙を流さずにはいられなかった。

そしてもう一人、北村一輝が演じる河原にも多くの視聴者が反応。
「北村さんの演技がうますぎてどんどん嫌いになる」
「刑事として正当なのになぜかヒール感」
さらには
「セク原も日高とスイッチして、ことのあらましを身をもって理解して欲しい」という意見もあった。
八巻(溝端淳平)のおとりにまんまとだまされる捜査一課をよそに、独自で行動する河原のやり方は乱暴すぎるが、このドラマには欠かせない存在であることは確か。
日高、彩子の両人を晴れて逮捕できた河原の最終話の動向も気になるところだ。

これまでネットを注視に考察が盛り上がっていたが、意外にも入れ替わりは彩子と日高の一度だけで伏線回収もシンプルなような気もする。
そうこう言っても次週、すべてが明らかになる同ドラマ。
果たして黒幕はいるのだろうか? 
視聴者が驚くようなオチを期待したいような、そうでないような……。

ここまできたら何も考えず、おとなしく週末を待つとしよう。

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–{第10話あらすじ&感想}–

第10話のあらすじ&感想

第10話のあらすじ

日高(高橋一生)が逮捕された。「絶対に助ける」と日高に告げた彩子(綾瀬はるか)だったが、何もできないまま河原(北村一輝)によって彼の取調べが始まる。東(迫田孝也)と行動を共にしていた陸(柄本佑)も事情を聞かれるが、彩子のことを心配しながらも複雑な心境でいた。

連続殺人事件の主犯は誰なのか、真相にたどりつけない警察。彩子は真実を明らかにするため、行動に出るが…。

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第10話の感想

最終回を見終えて一言で表現するならば、初回の印象とはまるで違う優しい気持ちにさせてくれたドラマだった。
そして、それぞれが抱く正義についても考えさせられた。

冤罪を許してはいけないという彩子(綾瀬はるか)。
自己犠牲による正義を貫こうとした日高(高橋一生)。
手柄うんぬんよりも、事件の解決にむけて懸命だった河原(北村一輝)。
自分の取るべき行動に従った陸(柄本佑)。

それぞれが、それぞれの思う”正義”を突き通そうとした。

ストーリー自体も一切の妥協がなかったために失速することなく、最後まで視聴者を夢中にしてくれた。
最終回の平均世帯視聴率は20・1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という数字がすべてを物語っている。
とはいえ、ここまで話題になったのは「視聴者巻き込み型」のドラマ戦略にあったと思う。
私も最後まで「八巻(溝端淳平)と五木(中村ゆり)が怪しい」と思っていたが、終わってみれば……。
今は八巻と五木に謝りたい気持ちでいっぱいだ。

考察も楽しめた1週間

放送中は考察班のSNSも楽しませてもらった。
「日高はこれまでに何度も入れ替わっているんじゃないか?」
「途中から出演してきた妹の優菜が絶対に黒幕」
「十和田元役の田口浩正が免許写真だけなわけがない」
などなど、上げればきりがないほど多くの意見が飛び交った。

しかし、見終わってみると日高は何度も入れ替わってはいないし、妹は兄想いの優しい妹だったし、田口の出番はまさかの免許写真だけだった。
数々の視聴者への爽快な裏切りはあったが誰かが悪人になることなく、納得のいく形で最終回を迎えた。

個人的にはこれまで憎まれ役だった河原のセリフ
「立場の弱い人間がいかにたやすく奪われ続けるか。そして、立場の強いやつらの最後はこういうふうに自らが奪われることにもなる。やってることは人殺しだ。それでも声は声だ。お前にその声を奪う正義はあるのか!」に胸を打たれた。
ノンキャリアで現場を駆け回ってきた河原のこの言葉が、自己犠牲を良しとしてきた日高を改心させた瞬間だったのではないだろうか。
結局、彩子と河原の目指す正義が同じところだったということにも納得がいく。

脇役にも拍手

同ドラマは脇を固める役者もバラエティーに富んでいた。

彩子の後輩、八巻は最後の最後までポンコツだったけれど、八巻の存在なくして事件の解決はなかった。溝端は頼りないけれど、誰かを支え、いざというときにファインプレーをみせる役がいい。
野間口徹が演じる五十嵐は、最終回に何かを期待をさせてくれるような動きをみせたが、まさか河原の後輩という事実にはびっくり。
そして、これまで一切触れてこなかったが、林泰文が演じた鑑識の新田の存在もこのドラマには欠かせなかった。あの独特の話し方は今でも謎だがクセになる。1つ残念だったのは日高(in彩子)の時に血の付いた防護服を着て殺人を犯しているかのような画像が復元されなかったのはストーリー的には都合がよすぎた。しかし、唯一復元された「あなたは私で私はあなたです」という音声を聞いた新田が
「好きですってことじゃなぁーいー?」
というセリフで締めくくったことは、それでよかったと思えた。

続編を望みたいけれど……。

ラストシーンで明らかに入れ替わった彩子と日高。

またまた無茶な設定ではあるが、明らかに二人が今後も関わっていくかのような描き方は視聴者にその後を想像する機会を与えてくれる。
続編を望みたいものの、しばらくは自分の妄想の中で”続編”を楽しみたいと思う。

正義感の強い刑事とサイコパスの魂入れ替わりドラマ。
最初はどうなることかと思ったが、ここまで深い人間模様をみせてくれるとは!
今後もこのドラマに関わった出演者や脚本家の作品を楽しみにしたいと思う。
そして、こんなにも夢中にさせてくれた作品に感謝をしたい。(完)

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–{「天国と地獄 ~サイコな2人~」作品情報}–

「天国と地獄 ~サイコな2人~」作品情報

ドン詰まりな女性刑事・綾瀬はるかとサイコパスな殺人鬼・高橋一生の魂が入れ替わる。

望月彩子(綾瀬はるか)は警視庁捜査一課の刑事。自分を馬鹿にする周囲に一矢報いるために、大手柄をあげ、目にものを見せるしかないと意気込む日々。

ある日、独自の捜査でかき集めた証拠を手に、ある殺人事件の容疑者となる男・日高陽斗(高橋一生)を、自らの手で逮捕する大チャンスが到来!

しかし、そんな矢先。彩子は不運にも陽斗と魂が入れ替わり──。

「善と悪」「女と男」。まったく正反対の2人の入れ替わりを皮切りに…複雑に交錯する物語はエキサイティングな展開へ──。

そして互いの価値観を根底から揺るがす、予想もしない真実と究極の愛が待ち受けていた──。

出演
綾瀬はるか、高橋一生、柄本佑、溝端淳平、中村ゆり、迫田孝也、林泰文、野間口徹、吉見一豊、馬場徹、谷恭輔、岸井ゆきの、木場勝己、北村一輝

脚本
森下佳子

演出
平川雄一朗、青山貴洋、松木彩

音楽
高見優

主題歌
手嶌葵「ただいま」

編成・プロデュース
渡瀬暁彦

プロデュース
中島啓介

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