2020年に一大ブームとなった『鬼滅の刃』。そのブームは、キャラクターたちに“声”という命を吹き込む「声優」にも波及した。テレビ番組のナレーションで、聞き覚えのある炭治郎や煉獄さんの声を耳にする回数が明らかに増えたように思う。
中でも人気キャラの我妻善逸役のしもんぬこと下野紘さんは、声だけでなくご本人の姿もよく見かけるようになった声優ではないだろうか。大好物の唐揚げを下野さんがプレゼンする番組を、筆者は少なくとも2回は見た。下野家の唐揚げを私も食べてみたいと、心から思う。
さて鬼滅の刃で下野さんが演じた我妻善逸といえば、登場するだけでうるさいと言われる「汚い高音」が特徴的だ。鬼を目の前にしたときの悲鳴や絶叫からは、幼さや落ち着きのなさが感じられる。
お人好しがにじみ出る優しい声も素敵なのだが、善逸を思い浮かべる時にはやはり、「ア゛――――ッ(汚い高音)!」という声が頭の中で再生される人も多いだろう。我妻善逸役のオーディションが、別名「汚い高音選手権(※)」と言われるだけのことはある。
※公式WEBラジオ『鬼滅ラヂヲ』で、オーディションの結果に「汚い高温選手権を制したのは下野紘」と書かれていたと語っていた
さてそんな選手権を勝ち抜き、優勝を果たした下野さん。他にも数々の作品で活躍している人気声優なのだが、善逸とは真逆の「大人の色気」を放つキャラクターを演じるアニメがある。『ACCA13区監察課』だ。下野さんは主人公のジーン・オータスをの声を担当している。
ジーンは、ドーワー王国という国にある大きな組織“ACCA”の本部監察課副課長。何人もの部下を抱える管理職だ。
口数は少なく、ちょっぴりけだるげ。言動の端々に感じる、大人の余裕。そしてなにより「もらいタバコのジーン」という異名をものにする、タバコが似合う大人の男だ。善逸と中の人が同じとは思えないくらいの温度差がある。
このギャップはきっと、声優・下野紘への興味をますますかきたてるだろう。
鬼滅の刃の我妻善逸役で下野紘さんに興味を持った方はぜひ、『ACCA13区監察課』も観てみてほしい。
それから、クールな役どころでいえば『ジョーカー・ゲーム』の三吉役もおすすめなので、あわせていかがだろうか。
(文:クリス)
–{『ACCA13区監察課』作品情報}–
『ACCA13区監察課』作品情報
ストーリー概要
13の自治区に分かれた王国にある、巨大統一組織“ACCA(アッカ)”。かつてクーデターの危機により結成されたACCAは、国民の平和を守り続け100年が経とうとしていた。ACCA本部の監察課副課長 ジーン・オータスは、「もらいタバコのジーン」の異名をもつ、組織きっての食えない男。飄々とタバコを燻らせながら、13区を廻り不正がないか視察を行っている。そんなジーンを見つめる視線、不穏な噂と――おやつの時間。ジーンの平和な日常は、ゆっくりと世界の陰謀に巻き込まれていく!
各話のストーリー
第1話 もらいタバコのジーン
13の自治区に分かれたドーワー王国。その平和は巨大組織・ACCAによって守られていた。監察課副課長、ジーン・オータスの仕事は13区を回り不正がないか視察すること。だがある日、監察課の廃止が告げられ…。
第2話 悪友(とも)の名はニーノ
ACCAバードン支部の新入り巡査・レイルは、本部のエリートを嫌い、ジーンに何かと突っ掛かってくる。ジーンはそれを飄々とかわす一方で、最近自分が何者かに見張られているような気配を感じていた。
第3話 城にただよう噂の煙
ACCA本部長のモーヴはクーデターの情報を集めるため、ジーンに協力を依頼する。一方、クーデターのうわさはドーワー王室にも届いていた。王室ではシュヴァーン王子の成人記念式典が催されることになるが…。
第4話 閉ざされた『国』のくすぶり
視察のためスイツ区を訪れたジーン。スイツ区では伝統と格式を重んじるあまり、区民と外部の接触や交流が制限されていた。そんな中、ジーンは偶然にもクーデターについて話をするスイツ区民たちと遭遇する。
第5話 視線の先、重なる足跡
スイツ区の視察から戻ったジーンは、課長のオウルに以前から出している異動願について尋ねる。だが、希望が通る見込みは当面なさそうだった。その帰宅途中、ジーンは5長官の1人・リーリウムに声を掛けられ…。
第6話 線路と誇りの向かう先
ロックス区を訪れたジーンは、帰省中だったグロッシュラーと語らう。クーデターのうわさが錯綜する中、ジーンは正直な思いを彼に伝える。バードン区へ戻ると、監察課では新年をどこで迎えるかが話題になっていた。
第7話 夜霧にうかぶ真実
ジーンが次に視察で訪れたのは、王室があるドーワー区。ジーンは自分を取り巻くクーデターのうわさについて考えるが、情勢は王室次第なところもあり、まだ分からないことが多かった。彼は順調に仕事を済ませると…。
第8話 翼を広げた王女と友のつとめ
食わせ者揃いの巨大統一組織・ACCAを舞台に描く群像エンターテイメント。ジーンにまつわる全てのことを打ち明けようと覚悟を決めたニーノは、33年前の王室から始まる長い長い物語をジーンに語り始める。
第9話 牙を剥く優美な黒蛇
ジーンが3区立て続けの視察で長く留守にしている間、ロッタの周辺には不穏な空気が漂っていた。その情報を入手した王室近衛兵のマギーは、レイルに連絡を入れ、ロッタが狙われていることを伝える。
第10話 空のない街に降る星
クーデターをめぐり、ACCA本部ではさまざまな思惑が動き出す。その頃、ジーンはヤッカラ区で支部長と区長からタバコを差し出されていた。ヤッカラ区の視察を終えると、ジーンは次のプラネッタ区を訪れる。
第11話 フラワウの花は悪意の香り
最後の視察先となるフラワウ区を訪れたジーンは、区長と支部長を務めるリーリウムの兄弟たちから手厚いもてなしを受ける。フラワウ区は区民たちの表情も明るく、花々が咲き誇る穏やかな土地だったが…。
第12話 鳥の行方
ACCA100周年記念式典の準備が進み、シュヴァーン王子もマギーらを伴ってバードン区に入った。一方、ACCA本部の大会議室には幹部や13区の代表が集まり、ひそやかな協議と確認が行われていた。
声の出演
下野紘(ジーン・オータス)
津田健次郎(ニーノ)
悠木碧(ロッタ)
諏訪部順一(グロッシュラー)
遊佐浩二(リーリウム)
大川透(スペード)
緑川光(パスティス)
安元洋貴(パイン)
田中敦子(モーヴ)
後藤ヒロキ(ポチャード)
スタッフ
監督
夏目真悟
原作
オノ・ナツメ
アニメーション制作
マッドハウス
キャラクターデザイン
久貝典史
音楽
高橋諒
総作画監督
小田剛生
吉田奏子