菅野美穂主演で浜辺美波と親子役で共演する日テレ系ドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」の初回が2021年1月13日にスタートした。
菅野演じる水無瀬碧は、“恋愛小説の女王”であり、世間知らずのシングルマザー。そんな碧は、しっかり者のオタク娘に彼氏ができないことを心配していた。ある日、二人はある理由から「恋をしよう!」と決意。“トモダチ母娘”が恋に奮闘する姿を描く。
もくじ
第1話あらすじ&感想&感想
第1話あらすじ
下町情緒漂う都会の一角、すずらん町。水無瀬碧(菅野)は、シングルマザーとして娘を育てつつ連載を抱える小説家。“恋愛小説の女王”としてかつて一世を風靡した碧だが、目下の心配事は大学生の娘・空(浜辺)に浮いた話がまるでないこと。空は、筋金入りの二次元オタクとして三次元の恋とは無縁の生活を送っているのだ。
そんなある日、続編を見込んだ碧の渾身の初ミステリー「アンビリカルコード」が大コケしたことで、碧は編集長・小西(くりぃむしちゅー・有田哲平)から連載の打ち切りを告げられる。沈む中、新しく担当についた雰囲気イケメンの編集者・橘漱石([Alexandros]・川上洋平)から次回作にと久々の恋愛小説を発注される碧。しかし華やかな表の顔とは裏腹に、恋愛から遠ざかっている自分に自信をなくしていた……。
その頃、地元商店街の老舗鯛焼き屋・おだやでアルバイトをする空の方は、4代目店主で碧の幼馴染・ゴンちゃん(沢村一樹)に、いくつになっても危なっかしい母の心配を漏らしていた。訳あって碧と同じ独身、幼い時からの腐れ縁のゴンちゃんは先代の俊一郎(中村雅俊)と共に頼れるご近所さん。友達のような相棒のような、仲良し母娘の碧と空を温かく見守ってきた。
そんな中、水無瀬家を揺るがす心ときめく“運命的出会い”が碧と空に訪れようとしていた。さらに空は、大学きっての“陽キャ”モテ男で、同じゼミの入野光(岡田健史)の一言についカッとなり、ある事件を起こしてしまう……。
第1話感想
菅野美穂演じる碧と、浜辺美波演じる空の「トモダチ親子」らしい軽快な掛け合いが印象的な第1話。外から帰ってきた空へ「どこへ行ってたの?」と問う碧、それに対し空は「あなたの娘はビッグサイトでエロい漫画を買ってきました、たんまりと」と答える……。
かつてドラマ「ロングバケーション」や「オレンジデイズ」を手掛けた脚本家・北川悦吏子の、ラブストーリーでより発揮される手腕はこれから見えてくるに違いない。「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」といったタイトルからも、シリアスではなくラブコメの雰囲気を感じる。
トモダチ親子同士の掛け合いも興味深いが、1話の時点で早々にあらわになった恋の予感にもワクワクさせられる。
バイト先のたい焼き屋「おだや」のおつかいで訪れた店舗で、新作のフラペチーノをもらった空。帰る道すがら美味しく味わっていたにも関わらず、段差に躓いて盛大に落としてしまった。たまたま助けてくれた男性に対し人生初のトキメキを覚えるも、その相手はその後「四十肩かも……」と整体院を訪れた碧とも出会うことになる。そう、件の男性は整体師だったのだ。
いくらトモダチ親子と言えど、恋の相手が被ってしまうことは予想できないに違いない。その後ふたりの恋の行方はどうなるのか?
–{第2話あらすじ&感想}–< />
第2話あらすじ&感想
第2話あらすじ
同じ相手とは知らず、整体師の渉を好きになってしまった碧と空。
久々の恋する気持ちに浮かれる碧は、新作の恋愛小説に役立てるという名目のもと、気合いを入れて整体院へ。 一方、出版社では『40代の女性が整体師に恋する』という碧の陳腐な企画を聞いた編集長・小西が首をかしげていた。そんな中、担当の漱石は人知れず碧のことを気にかけているのだが……。
大学では、空がゼミ中に落書きしたイラストを見た光が、“大事な話”があると空を呼び止める。前回の飲み会以来気まずい関係の光に身構える空だが、喫茶店に空を誘い出した光はまさかのカミングアウト!なんと、自分は大学デビューで人気者のブランディングに成功した、隠れ二次元オタクだと打ち明ける!!さらに光は、ある突拍子もない提案を空に持ちかける……!
家に帰った空は早速興奮気味に碧に報告。しかしひょんな事から話がこじれ、言い合いに発展してしまう!お互いを思いつつ、母と娘は素直になれず……。 頭を冷やそうと家を飛び出した空は、立ち寄ったカフェで偶然渉に再会する……。なぜか自然な流れで、動物園デートの約束を取り付けることに成功する空。そして同じ時、空を探しに来た碧は、カフェの外から親しげに話す空と渉のツーショットを見かけ、衝撃を受けていた……!
その夜―。碧はおだやのゴンちゃんと俊一郎のもとへ。動き出した空の不器用な恋に、碧はある意外な心配をしていた……。
第2話感想
碧の恋の予感が早くも潰えてしまった第2話の始まり。整体師である渉の年齢が25歳であることを知った途端、自分との年の差を再認識し早々に諦めモードの碧。「五十肩じゃなくて、四十肩だと思うんですけど……」と健気にアピールする碧はもちろん30代に見えるほど若い。さすが菅野美穂だ。
空の同級生である光が隠れオタクであり、「ボーイズラブ作品まで、とくに好きなわけではないけど普通に読むレベル」の全方位型オタクであることがわかった。空にとって、光との出会いはまだまだ恋の予感とはいかないかもしれない。しかし、いわゆる陰キャであり学校にも馴染めずにいた空にとって、心許せるパイプができたことは確かだ。
空の恋心は整体師の渉に向いている。碧とケンカをしてしまい思わず外へ飛び出した空は、駆け込んだ先の「はなカフェ」で渉と偶然の再会を果たすことに。会話の流れで空が「ウソウソウソウソコツメカワウソ」と呟いたのをきっかけに、コツメカワウソの赤ちゃんを見に行く約束を取り付けることになる。
それにしても、渉は動くたびに身体のどこかを各所へぶつけすぎではないだろうか?1話では整体院の靴箱を倒し、2話では「はなカフェ」に飾られた花瓶やテーブルにぶつかりまくっていた。何の伏線にもならないだろうが、気になって仕方がない……。
渉とデートすることになった空。恋愛小説家である碧に「モテるテクニック」を聞くもその面倒さに心が折れ、「私が広瀬すずだったら、ただ立ってるだけでいいのに……」と嘆く。その台詞を口にしているのが浜辺美波だと思うと面白い。
さまざまな恋が同時進行しているウチカレだが、漱石とその彼女・沙織(演・福田遥)の関係も気になるところ。恋愛体質&ストーカー気質な役をやらせたら福田遥ほど上手い女優はいないかもしれない。
–{第3話あらすじ&感想}–
第3話あらすじ&感想
第3話あらすじ
はりきって渉とのデートに向かった空。しかし、碧の心配通り、慣れない異性との交流で、娘・空の初デートは想定外のアクシデントに見舞われる!
おだやでは、ゴンちゃんのもとに見合い話が舞い込んだことで碧との関係に変化が。年下で美人の相手からの熱烈なアプローチとあって自信満々のゴンちゃん。しかし碧は、ゴンちゃんが結婚すれば今までのように気軽におだやに入り浸れなくなることに複雑な思いを抱いていた。さらに、恋をしていないと恋愛小説が書けない碧は、新作小説がはかどらず仕事もスランプに。碧は漱石の後押しでゴンちゃんとデートすることになるが……。母・碧のデートにも、まさかの結末が待っていた!
一方で漱石はストーカー気質の恋人・沙織の異常なまでの執着に手を焼いていた。同じ出版社でバイトまで始めた沙織は、漱石を24時間監視していて……。 そして光は、元家庭教師の未羽に想いを寄せながらも、年上の未羽との関係に密かに傷を抱えていた。さらに、エリート一家の中で、オタクで落ちこぼれの自分が認められていないことにコンプレックスを感じているのだが……。
そんな中、空がバイトするおだやに、ガールフレンドの一人とデート中の光が偶然訪れる。ガチャガチャで当たったビー玉を何気なく空に渡す光。その帰り、光にもらったビー玉越しに見えるサカサマの景色は、空の目にいつもより綺麗に見える……。碧と空、二人を取り巻く人間関係が少しずつ動き始めていた……。
第3話感想
渉との初デートを果たすも、付け鼻毛のインパクトに押され台無しに終わってしまい傷心の光。その後、たまたま空のバイト先であるたい焼き屋「おだや」にやってきた光から、覗くと景色が逆さまに見えるビー玉をもらう。個人的には、空と光の間にただよう微かな恋の予感を追いかけたいところ。
空の元々通っていた小学校が、マンションが建つことにより取り壊されることがわかった。しみじみとした様子で空が嘆く「好きなものがずっとその形のまま在り続けることって、ないんだな」といった台詞が、物悲しく響く。せっかく芽生えた恋心も、その儚い気持ちを寄せた相手も、なかなか元のままではいてくれない。
取り壊されることになった「すずらん小学校」は、空だけではなく、かつて碧やゴンちゃんも通っていた小学校。一緒にボブ・ディランのライブを観に行ったふたりは、デートの帰りに件の小学校に立ち寄る。上級生からいじめられていた碧を華麗に助けたゴンちゃん、過去の思い出を懐かしく振り返りながら駆け走る廊下。青春を絵に描いたようなシーンだ。
「嫁に行くの、やめませんか?」と少々台詞を間違えながらも、遠回しに自分の思いをゴンちゃんへ伝えようとした碧。ふたりの過去を懐かしく思い出したタイミングでの告白を、変に大真面目に捉えてしまったゴンちゃんのせいで、もうひとつの恋が終わってしまった。
こうなったら、碧には漱石との関係発展を期待してしまうが……。
–{第4話あらすじ&感想}–
第4話あらすじ&感想&感想
第4話あらすじ
碧の小説『私を忘れないでくれ』が、人気バンドのボーカル・ユウト主演で映画化されることが決定。碧はファンであることを隠し、気合いを入れて打ち合わせに臨むが……小西は原作の内容を勝手に変えようとするユウトの言いなりになっていた。自分の作品が守られないことにストレスを抱えつつも、映画化を受け入れないと次の作品も書かせないという暗黙の条件を前にプライドが傷つく碧。誰よりも碧を気遣う漱石は、作品を守るためにできることを考えるが……。
一方空は、デートに“つけ鼻毛”をしてきた渉にその理由を聞いていた。“忘れられない人”がいるのでわざとデートを失敗させようとしたという渉に、見くびられたように感じる空。自分でも意外なことに、勢いよく渉に別れを告げる!その夜、何かを思いついた空はペンを手に取り……。
おだやでは、ゴンちゃんの見合いが思わぬ形で破談に!俊一郎は、ゴンちゃんが碧のことを思って内心ほっとしている、と話すが……。
翌日、碧のマンションに漱石が訪ねてくる。碧のために映画を成功させようと策を練る漱石だが、碧は触れてはいけない漱石の過去に踏み込んでしまう……!かつて漫画編集部にいた漱石は、あるスキャンダルを起こして文芸に異動してきたのだが……。
そんな中、空は光の作った物語をイメージした絵を見せるため、光と共におだやへ。二人は漫画制作を通して距離を縮めるが……。そこに碧と渉が偶然居合わせ、事態は急展開を迎える!
第4話感想
なんとも続きが気になる終わりを迎えた4話。早くも5話の放送が待ちきれない、気になって気になって仕方がない……!碧と漱石のこれからの展開を想像すると同時に、「いったい漱石は碧のことをどう思ってるの?」と邪推してしまう。
碧の恋を応援したい気持ちはもちろん、空の渉に対する健気な気持ちや、光との関係性からも目が離せない。各地で始まる恋と、悲しくも終わりを迎えた恋。同時多発的に立ちのぼっては消えていくそれぞれの恋の行方を追うだけで、忙しく1時間が終わる。
第4話で語っておきたいのは恋の動きだけではない。碧の代表作である「私を忘れないでくれ」が映画化されるにあたり、作品そのものがあまりにも雑に扱われる様子は見るに堪えない。原作を無視した役まわりの変更、辻褄の合わない結末……。伝えたい言葉があり、描きたい世界があるからこそ書き上げられた小説を、適当な姿勢で「とりあえず実写化」するのは誰も幸せにしない創作活動ではないだろうか。
だからこそ、キャストの変更や結末の改ざんもなく、無事に原作のまま映画化されることになりホッとした。そのために奔走した漱石、喜ぶ碧。個人的にはこのふたりが幸せになる展開を期待してしまう。そこから、第4話のあの終わり……。5話はどのように話が運ぶのだろうか?
–{第5話あらすじ&感想}–
第5話あらすじ&感想&感想
第5話あらすじ
碧と漱石の突然のキス!?……は空の帰宅によって未遂に終わる。碧は、クールに距離を置こうとする漱石の本音をはかりかねるが……。
一方、空は漫画制作を通し、自然に光に心を開いていく。作品のタイトルが決められず悩む空は、碧の作品『アンビリカルコード』が『臍の緒』を意味することを光に聞き、初めて知る。そんな中おだやでは、俊一郎が新しい恋人を連れて皆の前に現れる!その相手は、なんと漱石のストーカー彼女だった“サリー”こと沙織!漱石との苦しくなるような恋に疲れた沙織は、年の離れた俊一郎といるとふんわりした気分になると語る……。
その夜。碧は空が寝静まった家で、一人鍵のかかった引き出しを開けていた。木箱の中には“臍の緒”が入っていて……。
翌日。空は渉との仕切り直し本格デートに挑む!緊張と楽しさで心がぐちゃぐちゃになる空。そこに光から電話がかかってきて……。表面上は空の恋を応援する光だが、心の内では空への思いが募っていた……。
新刊企画の締め切りに追われる碧のもとには、ゴンちゃんが訪れる。ネタが浮かばず苦しむ碧に、ゴンちゃんは大好きな空のことを書くべきだと勧めるが……。訳あって一人で空を育ててきた碧には、空には言えないある秘密があった。いつかは話さないといけないと思っている碧だが……。
そんな中、光は、碧が抱える母娘の“秘密”に思わぬ形で近づくことに……!仲良し母娘に不穏な大波が降りかかろうとしていた!
第5話感想
母や娘の恋愛を描いたドラマでもあるが、やはり主軸は母娘(親子)の関係性にある。傍から見れば仲が良さそうに見えるトモダチ親子。実際に碧&空親子は自他ともに認める仲良し親子なのだが、5話で垣間見えたのは「まだ言えない秘密」だった。
親子の関係性は複雑で根深い。「愛を与えられずに育った」と子が思ってしまえば、どれだけ年齢を重ねてもその恨みはなかなか晴れないものだ。親側からしてもそれは同様で、「育児が大変だった、身を犠牲にして頑張った」……そんな思いが強ければ強いほど、子に対する執着も増す。碧&空の親子にはそんな心配はないだろうが、おそらく、まだ空には言えないある秘密を抱えた碧ーー伝えるタイミングをはかっているらしいが、伝え方を間違ってしまえば無用な軋轢を生んでしまうだろう。
タイトルも含め、コミカルな台詞や展開が多いため失念しがちだが、デリケートな親子関係を描く深みのあるドラマだ。俊一郎&サリーの恋人関係や、サリーにフラれてしまった漱石の思い(そして碧との関係)、徐々に空に惹かれつつある光の気持ち、そして渉と空のこれからなど……気になるポイントはいくつもあるが、やはり次回6話のキーポイントは「親子間における秘密」になるのではないか。
個人的には、ぜひともゴンちゃん&碧が一緒になり、幸せになってほしいと思う。そうなると漱石ひとりがかわいそうなことになってしまうが……。
–{第6話あらすじ&感想}–
第6話あらすじ&感想&感想
第6話あらすじ
沙織(福原遥)から突然の別れを告げられ車を飛ばした漱石(川上洋平)は、熱にうなされる中、あわや事故の大ピンチに!電話で異変に気付いた碧(菅野美穂)は病院へ駆けつける。碧は漱石に“母と娘”を描く新作小説『真夏の空は、夢』の成功を誓い、執筆に没頭する……。
そんな中、空(浜辺美波)は渉(東啓介)との順調な交際に浮かれる一方で、将来親離れすることにセンチメンタルな気持ちを抱いていた。それは碧も同じ気持ちで……。
そして、光(岡田健史)は空への切ない想いを隠しながらも、碧と空の血液型が親子ではありえない組み合わせであることが気にかかり、さりげなくおだやで探りを入れる。しかし、何かを察した俊一郎(中村雅俊)と酒を交わすことに……。酒が入ったことで、それまで隠していた光の恋心が爆発する!
そんな中、空もまた、自分と碧の血液型に疑問を持ち始める。空の行動に気づいた碧は、本当は血が繋がっていないことが空に知られたら「みんな終わりだ」と、パニックに!そんな碧をゴンちゃん(沢村一樹)は優しく受け止めるが……。その頃、病院で検査結果を知った空は、母と自分が“他人”であるという証拠を突きつけられていた……。ショックで家に帰れなくなる中、空が助けを求めたのは、いつもそばにいた光だった。水無瀬家の母娘の絆に入った傷は、やがて周囲を巻き込んでいく……!
第6話感想
親子関係はデリケートだ。血の繋がりがある・なしに関わらず、ちょっとした言葉や行いが地雷を踏むこともある。ともに暮らし、人生の大半を共にしてきたからこそ、距離感に悩むこともあるだろう。
ウチカレ6話、碧と空のトモダチ親子関係が揺らぐ、大きな事実が明らかになった。長く秘められた現実を前に、ふたりは今後どのように向き合っていくのだろうか。「私は、かーちゃんの娘じゃないの?」と正面から聞けた空は強い。
ドラマは回を追うごとにつれて、空のパーソナリティを丁寧に浮き彫りにしていく。彼女は超ド級のオタクかもしれないが、決してコミュ障や人間嫌いではない。自分のことを「根暗」「陰キャ」と自称しているが、嫌々ながらもクラスの飲み会に参加したり、陽キャたちが盛り上がっている場に単身で飛び込んだり、「家に帰りたくない」と光の家に乗り込んだかと思いきやネットカフェで無防備な寝顔をさらしたり……。
やり手だ。コミュニケーションスキルがボーダーを突破している。「私、やられちゃうの?」「人は選んでる」なんて言葉も、相当自分が可愛いと自覚していないと言えない言葉ではないだろうか。こんなオタクが増えてしまったら行き場がなくなる。
光の恋心はどこへ向かうのか、そして碧と空の親子関係はどう変化するのか。
–{第7話あらすじ&感想}–
第7話あらすじ&感想
第7話あらすじ
「かーちゃん、誰?」親子の血の繋がりがないことを知られ、空(浜辺美波)から問い詰められた碧(菅野美穂) は、それまで空に隠していた“真実”を語り始める……。かつて心から愛した男性がいたこと。その人に裏切られたこと。死を決意して訪れた樹海で置き去りにされている小さな空に出会い、一緒に生きようと思ったこと……。
碧の話を聞き、今まで以上に母娘の特別な“絆”を感じる空。しかし二人の間には、それまでとは違うぎこちない空気が漂うようになっていた。さらに、新作小説に取りかかっていた碧は再びスランプに悩まされる。そんな中、碧の小説『アンビリカルコード』を読んだ光(岡田健史) は、あることに気づく。小説の内容が、空から聞いた碧と空のなれそめとそっくり同じだったのだ……!一方、空は、碧の引き出しの奥に“臍の緒”が隠してあるのを見つける。自分が拾われた子なら、なぜ臍の緒があるのか、疑惑を抱き始める空……。
翌日。空と光は、本当のことを知るであろう俊一郎(中村雅俊)とゴンちゃん(沢村一樹)を問いただすが、二人はお茶を濁し……。碧がなおも自分に嘘をついていたことを知り債る空は、今度こそ本当のことを聞き出すため、光と沙織(福原遥)、ゴンちゃんと俊一郎を連れて、碧の元へ!打ち合わせに訪れていた漱石(川上洋平)も巻き込み、碧が空に話したくなかった衝撃の真実がついに明らかに……!
そしてその頃一。疎遠になっている空からフラれることを怖れる 渉(東啓介) は、ダイビングに訪れた海で、流木を集める謎の男に出会っていた。怪しげでありながらどこか雰囲気があるこの人物の正体とは……!?
第7話感想
血の繋がりって、そこまで大事だろうか?
「自分がかーちゃんの本当の子ではない」と気づいた空の衝撃は、想像するしかない。トモダチ親子としてこれまで仲良く、互いになんでも話してきたふたりにとって、血の繋がりがないと発覚したときの心境は……とても言葉になんてならないだろう。
それでも、だからこそ、「血の繋がりがなんぼのもんじゃい?」とも思うのだ。そのことに、途中から空自身も気づいた。自分のルーツ、出生にまつわるあれこれは気にかかるけれど、現実を見ればかーちゃんはここにいて、支えてくれるたくさんの人たちの手もある。碧が「空がいなくなっちゃうかも……」と心配するのは、取り越し苦労に見えてならない。
シンプルに楽しめるラブコメかと思いきや、第7話でガラリと印象を変えてきた。自身のルーツや、それに伴う親子関係の見つめ直し……。傍目にはそう見えなくても、万人に共通するテーマを深くえぐり取るドラマになっていくだろう。
「この子動いてる 生きてる」
「幸せになるために産まれてくるんだよ」
血の繋がりなんて関係ないという思いと、それでも自身のルーツが気にかかる心の動きと。板挟みに苦しみながら、次回はついに本当の父親と対面することになる。空は、そして碧は、開けずに済めばいいと思っていたパンドラの箱を開けてしまった。
幸せになるために産まれてきたのなら、通らなければならない道なのだろう。
–{第8話あらすじ&感想}–
第8話あらすじ&感想
第8話あらすじ
生みの母と育ての母、二人の母を捨てた実の父・一ノ瀬風雅(豊川悦司)の存在を知った あおい空(浜辺美波)は、まだ見ぬ父に鉄拳を食らわせたいという気持ちを抱く。そんな折、風雅の居所を知った 碧 (菅野美穂)は早速、空と共に風雅の暮らす島へと向かう。長い時を経て、運命的な恋をした風雅との再会を果たす碧だが……。風雅はなんと、碧のことを覚えていなかった……!
一方、空の人生の一大事に自分だけが蚊帳の外だったことを知った渉(東啓介) は、空が光(岡田健史) には悩み相談をしていたと知りショックを受ける。光をライバル視する渉 は、おだやに光を連れ出し、空を諦めない、と恋の宣戦布告! 俊一郎(中村雅俊)や沙織(福原遥)の目には、空に必要なのは渉ではなく光だということが一目瞭然だが……。
その夜、おだやには珍しく漱石(川上洋平)が訪れ、ゴンちゃん(沢村一樹)と酒を酌み交わす。二人は、かつて好きだった男に会いに行った暮に想いを馳せる……。
そしてその頃、碧と空は風雅の元に泊まることに。実の父に怒りを感じていたはずの空だが、屈託のない風雅の態度を前に、いつの間にか“親子”のように順応していき……。二人の間に流れるただならぬ空気を感じ取り、釈然としない思いを抱く碧。しかし、事態は最悪の結末へと向かっていた!
第8話感想
冷静に考えて、ヘビーだ……。血が繋がっていると信じて疑わなかった母親が実は育ての母で、実母はすでに他界しており、父親は自分という子どもがいることも知らず島で流木を拾い売ることを生業としている。育ての母とともに実父の住まいへ突撃するも忘れられており、裏の山で採れたアシタバのお茶をとりあえず振る舞われる……。
このドラマ特有のポップさでマイルドに仕上げられているが、なんともヘビーだ。自分の身に起こったらと思うと、卒倒しそうになる。
前回から豊川悦司演じる実父・風雅が登場し、物語が大きく動き出した。風雅の暮らす小屋で締切間近の仕事に追われている碧に対し、彼が言う。「小さな世界ですね。10本の指が動く。半径10cm」ーーまるで自分に言われているようだと錯覚してしまった。
私たちが翻弄され、時に何もかも投げ出してしまいたくなるほどの悩みのタネは、この半径10cmから生み出されることがほとんだ。下手をしたら、スマートフォンの半径5cmから出現することもある。思った以上に小さな世界の中で右往左往する私たちに対し、「もっと広い目で世界を見ろ」と警鐘を鳴らしているようにも見える。
碧の不安は増幅するばかりだ。自分は空を育てた身、ずっと生活を共にしてきた育ての母だけれど、やっぱり血の繋がりには勝てないのかもしれない……。眠れない夜、焚き火を照明にダンスを踊る風雅と空を見て、子離れできない自分に思いを馳せる。
空と碧、これまでふたりで生きてきた半径10cmの世界は、ものすごい音を立てて拡張されようとしている。もっと広い世界を見に行こうとする空と、まだふたりで留まっていたい碧。物語はクライマックスに向けて、急速に動きを見せている。
–{第9話あらすじ&感想}–
第9話あらすじ&感想
第9話あらすじ
碧 (菅野美穂)に書き置きを残し、空(浜辺美波)が風雅(豊川悦司)と姿を消して4日。おだやを訪れた碧は、ゴンちゃん(沢村一樹)と俊 – 郎(中村雅俊) の前で取り乱すが、そこに、空がケロッと帰ってくる!風雅と一緒に沖縄旅行に行っていたという空は、なぜかすずらん町まで風雅を連れ帰って来ていて……。持ち前の人たらしぶりを発揮してすっかり地域に馴染んでいく風雅。その“生きていく力”に興味を持つ空に、碧は少し面白くない気持ちを抱くが……。
そんな中、銭湯帰りに風雅から声をかけられた碧はなぜか二人で酒を飲むことに。ぎこちない雰囲気の中、本当は風雅が碧のことを忘れてなどいなかったことが発覚!忘れたふりをしていた理由を聞いた碧は、空の生みの母・鈴(矢田亜希子)との思い出がよみがえり、思わず風雅にビンタする!
数日後、碧は空と風雅と共に鈴の墓参りへ。碧は風雅を鈴の墓に連れていくことで何か大仕事を終えた気がしていた。風雅に微妙な気持ちを抱く碧だが、空が潤滑油となって親子のように歩く3人。偶然その様子を見たゴンちゃんは、初めて見る風雅の姿に心穏やかで ない様子で……。
一方、散英社では、漱石(川上洋平)が小西(有田哲平)から予想外の通達を受ける!そして、空の中では、何でも話すことができるようになった 光(岡田健史) に対し、新たな感情が芽生え始めていた……。友達でも恋人でもないようなお互いの存在を意識する二人。そんな時、二人の距離が縮まる小さなアクシデントが起きる……!
第9話感想
前々回ほどから急展開をみせている本ドラマ。豊川悦司演じる風雅が登場してからというもの、過去に残してきた未練や禍根がどんどん浮き彫りになっていき、同時に精算されていく。嫌でも血の繋がりを感じさせる風雅と空を見て複雑な気持ちを隠せなかった碧も、風雅と二人っきりで話す時間をとおしてようやく、過去との向き合い方を見つけられたのではないだろうか。
家族や親子の在り方を考えさせられる、コメディタッチなヒューマンドラマ。だが、豊川悦司が画面に登場すると、かつての「愛していると言ってくれ」や「Love Story」を彷彿とさせる。一気にラブストーリーの体裁をみせてくるから一周まわって面白い。よくよく考えてみたら、この二作品も北川悦吏子脚本ではないか……!ドラマファンとしては気持ちが高揚する繋がりである。
残すは次回の最終回のみ。回収してほしい事案は山のように積まれている。海外転勤と言い渡された漱石と、碧の関係はどうなるのか?碧は漱石と風雅のどちらを選ぶのか?そして、空と光の恋は始まるのか?だとしたら、一気に影が薄くなってしまった渉先生はどうなってしまうのかーー?
希望としては、空と光が上手いこと付き合ってくれればいいなと願う。どちらも不器用なふたりだけれど、このドラマのタイトルは「ウチの娘は、彼氏が出来ない‼」だ。無事、空に彼氏ができました!といったオチで大団円とは、いかないだろうか。
–{第10話あらすじ&感想}–
第10話あらすじ&感想
第10話あらすじ
風雅(豊川悦司)から一緒に沖縄で暮らそうと誘われ、心揺れる 碧 (菅野美穂)。一方仕事では、映画化が話題となり小説家として再び脚光を浴びる。そんな折、碧はニューヨークへの異動を告げられた漱石(川上洋平)からも、自分と一緒にニューヨークに来ないかと誘われて……!?
突然のモテ期の到来に浮かれる碧だが、空(浜辺美波)からは沖縄にもニューヨークにもついて行かないと言われ、母娘の間には微妙な距離が生まれる。
そんな中、ゴンちゃん(沢村一樹)は地元の銭湯で風雅と鉢合わせる。風雅に対し一方的に対抗心を燃やすゴンちゃんだが……。
そして大学では、お互いを意識する空と光(岡田健史) の間にぎこちない空気が流れていた。そんな中でも光は、碧と離れることが淋しいと思っている空の気持ちを感じ取っていて……。
その日、空は 渉(東啓介) に別れを切り出す。「他に好きな人、出来た?」という質問に、空の心には光の顔が浮かんでいた……。
一方、おだやには転勤前におでんを食べに来た漱石が現れる。さらに、風雅までやってきて、碧をめぐる男たちが一堂に会するが……。碧と空を自分の物のように話す風雅の態度にイラっとするゴンちゃんは怒りが沸点に達し、勢いよく風雅に殴りかかる!修羅場と化すおだや!タイミング悪く現れた空は、風雅に向かって碧と空の気持ちを代弁するゴンちゃんの言葉を聞いてしまい……!?
母娘をめぐるエキサイティング・ラブストーリーが、ついに最終局面を迎える!
第10話感想
「碧のことを良い女とか言うな!」と風雅を滅多打ちにするゴンちゃんを見ながら、心が熱くなった……。ゴンちゃんの立場からしたら、複雑な心境だったろう。幼少期から近くで見守っていた碧のことを、何か軽んじられているように感じ、我慢ならなくなったのだ。風雅には風雅の思いがあり、碧を尊重したい気持ちもあったはずだが……。彼は彼で、碧に一番近しい存在であるゴンちゃんにこそ、どこか制裁してほしい希望があったのかもしれない。
そして個人的には、最後の最後で空と光には、お互いの恋心をしっかり自覚したうえでくっついたほしかった!のだが……そのあたりは、ほんのり「もしかしたら……?」と仄めかせただけで終わった。物語序盤からともに協力し合って漫画を創作し、応募した新人賞で受賞した展開にはまたもや熱くなったので、この勢いのままお互いの大切さを実感する流れになってほしい……と陰ながら願うばかりである。
今作のような、親子の関係性をテーマにした恋愛ドラマは、思った以上に「子とは?」「親とは?」を考えさせてくれた。血の繋がりがそこまで大切なのか、血が繋がっていないと心まで繋がらないのか。ある意味、親子の関係性を語るうえで前提として置かれる”血の繋がり”を越えてきた親子ーー碧と空はこれからも、紆余曲折、泣いたり笑ったりしながら、くっついたり離れたりしながら、ともに成長していくのだろう。
「あすなろ白書」や「ロングバケーション」、「半分、青い。」の脚本も手がけてきた北川悦吏子。恋愛ドラマの巨匠のようなイメージのあった彼女の、コメディタッチな脚本も実に新鮮に観られた。次回作も期待したい。
–{作品情報}–
「ウチの娘は、彼氏が出来ない‼」作品情報
“恋愛小説家”・水無瀬碧(菅野美穂)の心配事は、二次元オタクの娘・空(浜辺美波)に浮いた話がまるでないこと。ある日、渾身の初ミステリーの連載打ち切りを言い渡された碧は、起死回生の一手に久々の恋愛小説を発注される。しかし華やかな表の顔とは裏腹に、母ひとり子ひとり、シングルマザーとして空を育ててきた碧は恋愛から遠ざかってきた自分に自信をなくしていた…。そんな中、母娘を揺るがす“運命的出会い”が訪れる。
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