皆さんはエッグドナーというモノをご存知でしょうか?
30歳までの女性を対象にした卵子提供者のことです。
まだまだ認知度の低いこのエッグドナーをテーマにした『Eggs選ばれたい私たち』です。今作のヒロインは結婚願望ゼロとレズビアンの従姉妹同士。「それでも母親にはなりたい」という想いを抱えててエッグドナーに名乗りを上げます。
「結婚して、子供を産むのが一番の幸せ」となっている考え方に対して監督ならではの考え方・選択肢を提示した作品に仕上がっています。
本作の監督はこれが長編デビューとなる川崎僚監督。実は短編時代から知縁がある監督でもあります。というのも私が映画ビジネスを学んだニューシネマワークショップ(NCW)の監督コースの出身者だからです。
ニューシネマワークショップからは長編デビューを果たした監督は多く『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』の深川栄洋、『宇宙兄弟』の森義隆、『愛がなんだ』の今泉力哉などがOBとして名を連ねています。またあの是枝裕和監督が認めた『泣く子はいねぇが』の佐藤快磨、短編として異例のヒットを記録した『カランコエの花』の中川駿監督もOBです。
修了後もサポートの厚いこともあってその後も映画を撮り続け、公開にこぎつけている監督が多く、劇場公開を経験している監督は長編だけでも50人近くに上ります。
『Eggs選ばれたい私たち』の川崎僚監督もそんな中の一人です。すでに海外映画祭での上映も経験しており、これからが注目の新進監督の一人です。
(文:村松健太郎)
–{『Eggs 選ばれたい私たち』作品情報}–
『Eggs 選ばれたい私たち』作品情報
ストーリー
子どものいない夫婦に卵子を提供するエッグドナー(卵子提供者)に志願した独身主義者の純子。そのドナー登録説明会で、偶然、従姉妹の葵に再会し、彼女がレズビアンであることを知った。恋人に家を追い出された葵は、純子の家に転がり込み、2人の少し奇妙な共同生活が始まった。エッグドナーに選ばれれば、ハワイやマレーシアなどの海外で卵子を摘出し、謝礼金がもらえる。選ぶのは、子供を希望する夫婦。そして、エッグドナーには30歳までという年齢制限がある。わずか数カ月で30歳を迎える純子は、それでもドナー登録をすることに決めた。純子と葵は、どちらが選ばれるかという期待と不安を感じながらも、いつしか「遺伝子上の母になりたい」という同じ目的に向かって<選ばれる>為に、新たな生活を始めようとするのだった……。
予告編
基本情報
出演:寺坂光恵/川合空/三坂知絵子/新津ちせ/湯舟すぴか/みやべほの/見里瑞穂/斉藤結女/荒木めぐみ/鈴木達也/生江美香穂/高木悠衣/森累珠/加藤桃子/すズきさだお/松井香保里
監督:川崎僚
製作国:日本
製作年:2018
公開年月日:2021年4月2日
上映時間:70分
配給:ブライトホース・フィルム