【ネタバレあり】『ワンダーウーマン1984』見てわかる「3つ」の大いなる魅力

映画コラム

※本記事は一部ネタバレを含んでおります。ネタバレを厭わない方、原作やDCコミックス諸々に詳しい方を除き、本編鑑賞後にご一読することをオススメします。

2020年12月18日(金)に遂に公開される『ワンダーウーマン1984』。新型コロナウイルスの影響で「公開延期」が繰り返されその度に肩を落とした人は多いはず。

魅力的な作品が邦画も洋画もあるけれど、大画面でこそ映えるスケールの大きいザ・ハリウッド映画がそろそろ観たい!

そんなあなたを救ってくれる映画が『ワンダーウーマン1984』です!今回はそんな本作『ワンダーウーマン1984』の魅力を3つに絞って紹介します。

魅力1:懐かしい面白さが漂う

今回の『ワンダーウーマン1984』は懐かしい面白さ」に溢れています。

映画のはじめに紹介されるワンダーウーマン(ガル・ガドット)のヒーロー活動のチャーミングさ。

前作よりバラエティ豊かになったガジェットの数々。ヒーロー映画では王道と言える主人公への嫉妬によって生まれたヴィラン。

そして、キーアイテムとなるストーンの無敵設定など、自由度の高い懐かしい面白さに満ちあふれているのは本作の特徴と言えます。

前作『ワンダーウーマン』に続いて監督を務めたパティ・ジェンキンスのお気に入り映画はリチャード・ドナー版『スーパーマン』(1978)。ジョン・ウィリアムズの奏でるテーマに合わせながら空を飛ぶシーンが印象深いですが、ラストの恋人を救うためのぶっ飛んだ解決策は「映画って自由でいいんだ!」と思える痛快な風を心に吹かせてくれます。

パティ・ジェンキンス監督は『スーパーマン』の持つ作品の「自由度の高い懐かしい面白さ」を自分の作品に漂わせることに成功してるのです。

魅力2:甘いデートシーンが伏線として効果的

先述した「自由度の高い」によって成立している魅力があります。

それは、主人公ワンダーウーマンの恋人であるスティーヴ(クリス・パイン)と愛を育むシーンの数々です。

世界の行く末に関わるストーンを追わなければいけないワンダーウーマン。その最中で前作で死別したスティーヴと遭遇。石の行く末はいったん置いといて、その日は甘い夜を過ごし、翌朝はスティーヴとコーディネートを楽しんだあと観光へ。

これらのシークエンスは、まるで『ローマの休日』や『ラ・ラ・ランド』のような名作恋愛映画を観ている錯覚を覚えるほど。

陰でヴィランの企みが進む中、このデートシーンする2人を観て「イチャついてないで早く戦いなさいよ!」と感じる人もいるかもしれません。しかし、この甘いデートシーンこそ後半の展開のフリになっており、作品のテーマを表現する上での必須な場面だとわかります。

映画全体に漂う「自由度の高い」空気感が作品の質を落とす事をせず、作品の根底にあるテーマを観客に伝えるための要素として一役買っているのです。

魅力3:チャップリンにも通じる情熱的なメッセージ

「自由度の高い懐かしい面白さ」は描き方を誤れば、時代遅れというレッテルを貼られてしまいます。

しかし、この作風がクライマックスの思い切ったスケール展開を可能にし、発信されるストレートで情熱的なメッセージの効果を上げ観客は心を揺さぶられるのです。

このクライマックスで僕が思い出したのは喜劇王チャールズ・チャップリンの名作『独裁者』(1940)のスピーチです。

『独裁者』には、ずっとサイレントだった映画がラストの6分でいきなりトーキーに切り替わりカメラに向かってチャップリンが演説をする伝説のスピーチ場面があります。チャップリンがぼくたち観客に直接訴えかける熱量は今でも胸が熱くなります。

一方『ワンダーウーマン 1986』では欲にまみれ独裁者と化してしまったヴィランのマックス・ロード(ペドロ・パスカル)を介して彼女は人類に希望を発信するのです。

まるで『独裁者』で主人公の床屋が独裁者ヒンケルの姿を借りて全世界に向けてスピーチしたあの名シーンのように。

さらにパティ・ジェンキンス監督はそのスピーチを受け取る側の様々な人種の視点を入れ込み、さらにはヴィランである独裁者マックス・ロードの内面まで描き切ります。

各登場人物が嘘で手に入れた幸せではなく真実を選択していく姿と希望の連帯に思わず涙を流してしまいました。

最後に

ネタバレを挟みながら『ワンダーウーマン1984』の大いなる魅力をお伝えしました。きっと映画をご覧になられた方や、パティ・ジェンキンス監督やDCコミックスに詳しい方なら共感してくれるでしょう!

大変な社会情勢の中ではありますが、是非この年末年始は『ワンダーウーマン1984』で心揺さぶられる体験をしてみてください!

(文:映画チンピラ ジャガモンド斉藤)

–{作品情報}–

『ワンダーウーマン1984』作品情報

公開日
2020年12月18日

配給
ワーナー・ブラザース映画

製作国
アメリカ

上映時間
151分

公式HP
http://wwws.warnerbros.co.jp/wonderwoman/

ストーリー

スミソニアン博物館で働く考古学者ダイアナ(ガル・ガドット)には、ヒーロー界最強とも言われる桁外れのスーパーパワーを秘めた戦士・ワンダーウーマンというもう一つの顔があった。1984年、人々の欲望を叶えると声高に謳う実業家マックス(ペドロ・パスカル)の巨大な陰謀と、彼女の前に立ちはだかる正体不明の敵チーター(クリステン・ウィグ)と対峙することになったワンダーウーマンは、絶体絶命のピンチに陥る。ワンダーウーマンは、たった一人で世界を崩壊から救うことはできるのか? 

予告編

 

キャスト
ガル・ガドット
クリス・パイン
ペドロ・パスカル
クリスティン・ウィグ
ロビン・ライト ほか

監督
パティ・ジェンキンス

脚本
デイヴ・キャラハム
ジェフ・ジョンズ
パティ・ジェンキンス

原案
ジェフ・ジョンズ
パティ・ジェンキンス

製作総指揮
レベッカ・スティール・ローベン
リチャード・サックル
マリアンヌ・ジェンキンス
ジェフ・ジョンズ
ウォルター・ハマダ
シャンタル・ノン・ヴォ
ウェスリー・カラー

製作
チャールズ・ローヴェン
デボラ・スナイダー
ザック・スナイダー
パティ・ジェンキンス
ガル・ガドット
スティーブン・ジョーンズ

キャラクター創造
ウィリアム・モールトン・マーストン

撮影
マシュー・ジェンセン

美術
アリーヌ・ボネット

音楽
ハンス・ジマー

編集
リチャード・ピアソン

衣裳デザイン
リンディ・へミング

キャスティング
クリスティ・カールソン
パット・モラン
ルーシンダ・シソン
 
製作会社
DC Films=The Stone Quarry=Mad Ghost Productions=Atlas Entertainment