ミニシアター支援のさまざまな方法

映画コラム

Photo by Felix Mooneeram on Unsplash 

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が2020年5月31日まで延長となり、みなさん何とも言えない気分のまま日々を過ごされていることかと思われます。
※解除の前倒しの議論もされているため、新型コロナウイルスに関する情報は各自ご確認ください。

映画界の問題として目下深刻なのが、映画館の経営をいかに持続させるか……。

特に日本中のミニシアターは、これ以上自粛要請を受け続けていたら、経営が成り立たず閉館するところが続出してしまう危惧もあります。

20世紀の後半からじわじわ興り始めたミニシアターは、1980年代のミニシアターブームの到来とともに、大手メジャーではなかなか配給されない世界中の名画や国内のインディペンデント作品を上映してくれるかけがえのない存在として映画ファンの支持を得続け、またそこから多くの才能が巣立っていきました。

ミニシアターなくして、今や日本の映画人も映画ファンも存在し得ないといっても過言ではないでしょう。

そして今こそミニシアターの灯を消してはいけないと、4月半ばから多くの有志による支援活動が始まりました!

既に支援された方も、これから支援したいと考えている方も、さらなる支援を希望されている方も、奮って参加していただけたら幸いです……

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街465》

こちらとしても些少なりともお役に立てるよう、現在までの支援活動をざっとまとめてみました!

締切間近のラストスパート!「ミニシアター・エイド基金」

現在“Save the CINEMA ミニシアターを救え!”として、存続の危機を迎えている小規模映画館(ミニシアター)救済支援活動が、数多くの映画人の呼びかけによって始まっています。

http://savethecinema.jp/

主な活動としては、緊急支援のための署名活動。賛同者による署名を集めて、政府への要望書提出などを実施していく予定です。

Just a moment...

5月12日を過ぎた時点で、8万4000人以上の署名が集まっています。

また映画監督の深田晃司&濱口隆介が発起人となって有志で立ち上げたプロジェクト「ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金」も始まっています。こちらで集まった資金は、プロジェクトに参加したミニシアター経営のための資金へ回していきます。

こちらは5月12日を過ぎた時点で、何と2億8500万円以上の金額が集まっており、日本中の映画ファンのミニシアターに寄せる想いの熱さを、改めて嬉しくなるほどに痛感させられます。

未来へつなごう!!多様な映画文化を育んできた全国のミニシアターをみんなで応援 ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金 | MOTION GALLERY
「ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金」は新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が発令され、政府からの外出自粛要請が続く中、閉館の危機にさらさ...。クラウドファンディングのMotionGallery。

こちらの締切は5月14日(木)23時59分までとなっており、まさにラストスパート! そのうち募金したいと思ってらっしゃる方々、もうファイナルカウントダウンとなっておりますのでお急ぎのほどを!(すでに募金されて、追加を考えてらっしゃる方々も合わせて!)

“Save the CINEMA”では、このほかにもミニシアターマップの制作やスタンプラリー、グッズ展開などさまざまな活動を続けていく予定です。

また、こういった活動とは別に、個々のミニシアターなどでもクラウドファンディングや募金、オンラインショップを開くなど、独自の活動を始めているところも多数存在します。

シネマ・ノヴェチェント
http://cinema1900.wixsite.com/home

下北沢トリウッド
http://tollywood.jp/

下高井戸シネマ
http://shimotakaidocinema.com/

ポレポレ東中野
https://www.mmjp.or.jp/pole2/

ユジク阿佐ヶ谷
https://www.yujikuasagaya.com/

横浜シネマリン
https://cinemarine.co.jp/

上記は東京近郊の映画館でこちらの目に留まったものをとりあえず列記させていただいたものですが、他にも独自の活動を行っている劇場は全国各地に点在すると思われますので、ぜひお近くの劇場へお問い合わせなどしてみてください(メンバーズカードの期間延長を発表している劇場も、多々見受けられます)。

劇場にも収益が分配されるオンラインシアター

さらには、そのミニシアターで本来上映予定であった新作や過去上映作品などを期間限定でオンライン上映し、その収益を劇場と配給会社、製作サイドで分け合うという、新しいシステムのデジタル配信も始まっています(劇場支援やミニシアターエイド基金への追加寄付のものもあります)。

仮設の映画館―Temporary CINEMA

『精神0』が5月に公開予定されていた想田和弘監督と配給会社東風のスタッフで考案されたもの。全国各地の劇場や配給会社の賛同のもと、インターネット上に「仮設の映画館」を作り、『精神0』はもとよりさまざまな作品を上映しようという趣旨であります。

仮設の映画館
期間限定で『精神0』(想田和弘監督)ほか新作映画をデジタル配信する仮設の映画館。新型コロナウイルスの影響によって停滞している「映画の経済」を、全国の劇場、配給、製作、そして映画ファンとともに回復させるための試みの一つ。

JACK & BETTY ONLINE上映プロジェクト

神奈川県のミニシアター「横浜JACK & BETTY」に縁のある若手映画作家らの作品を5~7月までオンライン上映。長編や短編、アニメ、PVなど日頃なかなかお目にかかれないインディペンデント作品が多数ラインナップ。オンライングッズ販売も行ってます。

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STAY HOME MINI-THEATER(powered by mu-mo Live Theater)

エイベックス“mu-mo Live Theater”プレオープン企画として、スポッテッド・プロダクションズが企画・運営。現在のところ5月15~17日、22~24日(金~日)上映予定で、開演時間なども固定。上映終了後にはゲストトークやメイキング上映などの+αも。

霹靂は晴天 – 毎日のワクワクをお届けします

Cinema Discoveries

大手配信サービスではなかなかお目にかかれない新旧インディーズ作品を配信しているサイトですが、ここで無料会員登録することで、名古屋シネマスコーレで過去に制作された作品を有料配信する“シネマスコーレ オンラインシアター”を見ることができます。

シネマディスカバリーズ公式サイト
ミニシアターや映画祭で話題になった作品がそろう、キュレーションが特徴のインディペンデント映画専門の配信サービス。未来の日本映画を背負って立つ新しい才能を見つけるのはあなた!

ステイホーム おうち映画館

ビデオマーケット、music.jp、GYAO!ストア、DMM動画の合同プロジェクトで、4月まで公開中もしくは公開終了したばかりの作品群を、映画館が通常営業開始するまで当面の間、配信。ビデオマーケットの特設ページからラインナップを見られます。

|【無料体験】動画配信サービスのビデオマーケット
ログイン|音楽、コミック・電子書籍、動画ならmusic.jp
ログイン。最新の音楽、コミックや電子書籍、動画ダウンロードは【music.jp】最新ヒット曲やベストセラーコミック、話題の新曲・新作など全て網羅!ランキングや無料ダウンロード、セール商品なども充実!
サービス終了のお知らせ
非常識コスパ DMM TV|月額550円でアニメ、映画、ドラマ見放題
国内作品見放題数2位!DMM TVならアニメ・お笑い・バラエティ・国内ドラマ&映画が充実!ここでしか見れない独占・オリジナル作品も!非常識コスパで楽しめる!【初回30日間無料】

これらはすべて映画経済を回復させるための試みの一つであり、状況が改善したらまたぜひ本物の映画館に足を運んでほしいという、そんな願いを込めて実施されているものです。
(各作品ラインナップや料金、配信期間などは異なりますので、それぞれのサイトでご確認ください)

『カメラを止めるな!』続編(?)がYouTubeで無料上映中!

今回のコロナ禍を受けてのユニークな創作の試みもなされています。

2018年に大ヒットした『カメラを止めるな!』で注目された上田慎一郎監督が、同作のスタッフ&キャストを再集結!

しかしながら誰一人として直接会うことはなく、ビデオ通話やスマホの手撮りなどで完全なるリモート撮影を敢行し、およそ26分の短編映画として完成させた『カメラを止めるな! リモート大作戦!』が5月1日からYouTubeで無料公開中なのです。

もちろんキャスト陣は『カメラを止めるな!』の世界観を継承させているので
、あのユニークな面々が今度は何をやらかすのか? が大いにお楽しみですが、上田作品の常として、これ以上はネタバレ厳禁!

4月3日に着想して9日には脚本が完成、25日までにクランクアップして5日間で編集作業というフルスピードな作業は、そのまま“カメ止め”ワールドのエネルギッシュな世界観とシンクロし、またまた上田監督のインディペンデント魂を大いに体感できます。

また本作の未公開映像やキャストのメッセージ動画などが「ミニシアターエイド基金」支援者特典として提供される予定で、つまり上田監督は今回、これまで自分を支えてくれたミニシアターへの恩返しとして、本作を作ったのでした。

5月12日を過ぎた時点で、何と34万5000回を超える再生回数を記録!

長引く自粛のストレスも、まずはこの作品を見て発散させ、次なるミニシアターの支援に移っていただけたら幸いです。

そして日本中の映画館で映画が再び銀幕に映し出させる日が、少しでも早く訪れますように!

(文:増當竜也)