(C)2019映画「祭りの後は祭りの前」製作委員会
アイドルやパフォーマーが単体からユニットを組んで活動するのが主となって久しい時代ではありますが、その形態も女性や男性、その混合など幅広いものになっています。アイドルと芸人が混じっての集団も登場していますね。
そんな中、山田悠介原作、室賀厚監督、そして東海地方を中心に活動するアグレッシヴなヴォーカル&ダンス&アクロバット・パフォーマンス集団“BOYS AND MEN”の面々が主演するヴァイオレンス・アクション映画『復讐したい』(16)を紹介したとき、今や全国各地にこうした人気ユニットが続々登場しているのだなと痛感させられたものですが、今回ご紹介する映画『祭りの後は祭りの前』は……
《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街446》
“BOYS AND MEN”の弟分“祭nine”のメンバーが主演した青春エンタテインメントなのでした!(そして結構映画ネタ多し!)
隕石落下と魔法のランプと高校生活最後のライヴ!?
まずは『祭りの後は祭りの前』のストーリーをざっと紹介しましょう。
小学校以来の友人である高校2年生の赤石(寺坂頼我)、黄島(野々田奏)、紫山(清水天規)、白金(浦上拓也)、緑ケ丘(横山統威)、桃田(神田陸人)、青希(髙崎寿希也)は「祭部」を結成しました。
しかし高2最後のライヴ前日に青希が事故に遭い……。
ほどなくして、巨大隕石が地球に衝突するというニュースが世界中を駆け巡るのでした……。
(まあ『君の名は。』でも『アルマゲドン』でも『メテオ』でも『妖星ゴラス』でも何でも思い出してみてください)
地球が崩壊するまであと1か月。そのさなか、赤石たちはひょんなことから校内に3つの願いを叶えてくれる魔法のランプの存在を知って、まもなくして手に入れます。
(そのまんまやないかい! と、ここで突っ込みもOK)
ランプの中から現れた魔人(板橋駿谷)に、思わず「中村静香に1分でいいから会いたい」とお願いしたら、本当に中村静香本人が出てきて大喜び!(ただし1分だけ! ここのくだりもおバカ過ぎて微笑ましいものがあります)
残りの願いは2つ。そこで祭部の面々は「メンバー全員で高校生活最後のライヴをやりたい!」と願ったところ、そこに青希が戻ってきたのでした!
はてさて、祭部は本当に高校最後のライヴを敢行することができるのか?
–{映画オタクネタも満載!ツッコミ上等!の愉しさ}–
映画オタクネタも満載!ツッコミ上等!の愉しさ
改めて記しますと、本作は“BOYS AND MEN”の弟分で、名古屋発ネクスト・ジェネレーションとして注目を集めている7人組のエンタテインメント集団“祭nine.”が主演するコミカルで快活、一方で切なさも忍ばせながら彼らの魅力をとくと堪能できる青春群像劇です。
男子高校生ならではの明るくオバカで勢いのある日常が、「いくらでもツッコんでください!」と言わんばかりのオモシロ開き直り演出で繰り広げられていくことで“祭nine.”の面々の個性も魅力も気持ちよく引き立っているのが本作の最大の長所と燃えるでしょう。
また、後半は彼らのライヴをとくと映しこんでくれているので、従来の彼らのファンも満足すること必至!
監督は男女入れ替わりコメディの快作『レオン』や母と娘の反抗期バトルを描いた『今日も嫌がらせ弁当』などで知られる塚本連平。
今回もノリノリながらもちょっとおとぼけなセンスをまぶしつつ、笑いも涙も切なさも保持した青春エンタメとしてのラインを巧みにキープ。
また映画マニアでも知られる塚本監督は、今回あちこちに映画オタク・ネタを散りばめています(確かに、今話題の『ゾンビ』日本初公開版も「宇宙から飛来した隕石の影響でゾンビ発生!」なんて設定を勝手に作ってました!)。
ちなみに私はたまたまBSスカパー!で“祭nine.”の番組を見てしまい、なかなか好もしい連中だなと思っていた矢先にこの映画を見たことで、ますます彼らに興味が出てきました。
今はまだメンバーの名前を憶えている最中ではありますが(ファンのみなさん、ごめんなさい!)、そんなおっさん世代も注目したくなるナイスな面々だと思います。
この映画を機に、ますます“祭nine.”の人気が上がっていきますように!
(文:増當竜也)