■オジンオズボーンオジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会
初見のお客さん、原作ファン双方とも納得させ絶賛の嵐を巻き起こした映画『キングダム』。
ここがすごかった、あそこがたまらなかったと話し出したらキリがありませんが、周りと感想を言い合う中で一番多く出てくる話題はやはり吉沢亮さんの一人二役がすごかったということ。
(C)原泰久/集英社 (C)2019映画「キングダム」製作委員会
吉沢さん演じた秦国の王・政と、主人公・信の兄弟同然の存在である漂。
別人が演じたかと錯覚させるほどの演じ分け、特に目つきなんかは圧巻、しかもそれが原作の感じもちゃんと出ていたりして、思わず唸ってしまった方も少なくないんじゃないでしょうか。
演技力が露骨に出る一人二役。
特撮作品における憑依型の一人二役の最たるものと言えば、やっと『仮面ライダージオウ』のTVシリーズに登場し、ここ数日SNSを賑わせているモモタロス達イマジンでしょう。
モモタロスが客演する醍醐味として、どのキャラクターに憑依するのかというのがあります。
どんなにそれまでキャラクターを構築してても、憑依されれば強制的にモモタロスにならなければいけないという、なかなか高度なテクニックを要求されます。
しかし逆に丁寧に構築されていればいるほどそこにギャップが生まれ、思わず笑ってしまうシーンがたくさんあります。
そもそもの電王では佐藤健さんが一人二役どころか一人七役くらいこなしてまして、当時は手のひらが腫れるほど拍手喝采したものです。
佐藤健さんの一人複数役の演技は、「電王」ブームの要因のひとつと言っても過言ではありません。
ここに触れると必然的に高岩成二さんも触れたくなってしまいますが、それはまたの機会にさせていただきます。
同じ電王でいうと石丸謙二郎さんがデンライナーのオーナーと駅長で一人二役を。
チャーハンの旗倒し対決はそれはそれは名勝負でした。
–{『仮面ライダージオウ』では渡邊圭祐さんが白ウォズ黒ウォズの二役を担当}–
さて、「ジオウ」に話を戻します。
渡邊圭祐さんも、白ウォズ黒ウォズとして二役演じました。
基本的にはほぼ同じキャラながらも本当に微妙な違いを繊細に表現し、その中で白ウォズの冷酷さをきっちり見せ、黒ウォズとの差別化をし、ジオウの中盤を支えました。
あとジオウ龍騎編にも出てきましたが龍騎の主人公・城戸真司と、リュウガに変身するもう一人の城戸真司を演じたのは須賀貴匡さん。
3の線のおバカな感じの真司と、真逆のキャラクターのリュウガを16年経っても見事に演じられていたのは記憶に新しいところです。
他にも平成仮面ライダーでは「鎧武」で志田友美さんが高司舞と始まりの女を、「ビルド」では高田夏帆さんが石動美空とベルナージュを演じていたりと、平成仮面ライダーシリーズにはなくてはならない要素だと言えます。
ちなみに僕が一番好きな一人二役はライダー作品ではなく、永井大さんが演じた『未来戦隊タイムレンジャー』のタイムレッドこと浅見竜也と、西暦3000年に存在する竜也の遠い子孫のリュウヤです。
一方は番組の芯を張るレッド、もう一方は終盤で明かされる事実により実質上一番の黒幕という、陰と陽の両極端から物語を支えた演技力は脱帽するばかりで、今見直してもそのすごさは色褪せることがありません。
俳優さんの力量を存分に堪能できる一人二役、今後また見れることを楽しみにしています。
(文:篠宮暁)
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