いよいよ「CSM オーズドライバー」予約開始!篠宮暁がCSMシリーズの魅力に迫る

INTERVIEW

「大人だって、ライダーベルトで変身がしたい!」そんな思いに応えてくれるのが、大人の為の変身ベルトシリーズ「COMPLETE SELECTION MODIFICATION」(CSM)。

前回から引き続き、株式会社バンダイのボーイズトイ事業部・ライダーチームで玩具の企画を行っている井上さんとフナセンさんにオジンオズボーン・篠宮暁がインタビュー。

最近発表された『仮面ライダー555』の「CSMカイザギア」、『仮面ライダー電王』の「CSMデンオウベルト&ケータロス」、そして、12月11日(月)、ついに予約スタートした『仮面ライダーオーズ/OOO』の「CSMオーズドライバー コンプリートセット」を中心に、熱い、開発の裏話をお届けします。

篠宮:フナセンさんは今、ライダーチームで「CSM」を中心に担当していらっしゃるそうですが、『仮面ライダービルド』の玩具にも携わっているんですか?

フナセン:一部携わっております。ライダーの玩具開発チームには、企画の担当と開発の担当がそれぞれ数名おりまして、「ビルド」に関しては、井上が企画を担当していて、外部との打ち合わせや、年間の玩具展開などを考えています。私は開発をやっていまして、番組で登場するものを具現化する作業をしています。

「ビルド」で開発を担当しているのは、アイテムがたくさんある中の一部になります。たとえば、「百発連射 DXホークガトリンガー」とか「出発出航 DXカイゾクハッシャー」とかですね。

出発出航 DXカイゾクハッシャー

篠宮:(「DXカイゾクハッシャー」で遊んで)うわ〜! 今、電車、見えました!

井上:見えました⁉︎ それが、遊びやすさと映像のリンクということですね。(※劇中では、攻撃時に弓矢から電車が発車する技を発動する武器)

篠宮:なるほど。

フナセン:なので、ちょっと「ビルド」の開発担当商品は少ないのですが、『仮面ライダーエグゼイド』では、なりきり系のアイテムのほとんどの開発を担当しておりました。一方で、CSMというシリーズについては私が企画と開発を兼任しております。

篠宮:CSMシリーズは、ダイキャストを使って重量感が出ているなど、着けごたえからしてDXシリーズとは全然違うな、と思うんですが、そのほかで大人向けならではのポイントというのは、どういった部分ですか?

フナセン:私がいちばん違うと感じるのは、音声ですね。平成一期(2000〜2009年放映の仮面ライダーシリーズ)の初期のころは、玩具がテレビの音含めた演出を再現しきれなかったんです。

平成二期(2010年以降の仮面ライダーシリーズ)に入ってからのほうが、より密に玩具との連動性が出てきています。そこからさらに、番組を再現する、ということを目指しているのがCSMシリーズになります。

篠宮:音声はすごくクリアで、しかもとても長い秒数が入っている印象です。

フナセン:とても長いIC秒数のスペックを積んでおります。スペックが高い分、当然価格が跳ね上がってしまうので、ハイエンドな商品だからできることですね。

容量が積めるからこそ、やれることがたくさん出てきます。やっぱり、番組を再現するんだったら、当時のおもちゃに入っていないSEをたくさん入れたい、とか。これは、東映様のご協力で当時の音を再現しています。。

篠宮:へぇぇ〜!

フナセン:あと、BGMも、これがいちばんテンションあがるかな、というものを入れたり、最近はキャストボイスというものをたくさん入れるようになってきましたね。

「CSMデンオウベルト」は特徴的で、憑依したイマジンの声が流れます。これは、ベルトから声が出ても違和感のないものになっていると思います。

うれしいと思うポイントはユーザーの皆さまでも、さまざま違うと思うんですね。それを可能な範囲でなるべく満たすことのできる、商品作りを目指しています。

ありがたいことに、現在こういうコンセプトのものを受け入れて頂いている市況となっております。ですので求められる限り、より本物に近しいスペックのものを作っていくことで喜んでいただきたいなと思い、開発しています。

篠宮:音声以外にこだわりはありますか?

フナセン:最近ですと、予約開始のタイミングにいかに驚いて頂けるかというのを考えています。CSMシリーズは、過去作品のアイテムを扱っていますので、“好きだった当時の気持ち”を、いかに今メラメラと燃やすことができるか、ということが重要です。ですので、ずっとファンで居続けてよかった、と思える要素を付加したいと思っています。

例えば「カイザギア」でしたら、仮面ライダーカイザ/草加雅人役の村上幸平さんが、ずっとカイザというキャラクターを大事にされているということが大きかったです。

篠宮:9月13日、“カイザの日”ですね。

フナセン:はい。その日に予約を開始し、ご本人に動画にご出演頂き、さらに913祭で盛り上がる一助となったりだとか、ただ玩具が発売になるということではなく、全国にいる「仮面ライダー555」ファンが9月13日に心をひとつにして盛り上がることができる、イベント性も楽しんでいただきたいと思っていました。

近年は様々な作品のリバイバルも流行していますし、この玩具を通じて、作品を好きでいてよかったという思いを感じて頂くことで、ファンの皆さまに恩返しできればと思っています。

篠宮:当時の映像とか、写真から形を起こすということですが、当時の設計図みたいなものは見ずに、目視で作るということですか?

フナセン:実は古い商品のデータは残っていないものも多いのです。「カイザギア」は「ファイズギア」のサイズに合わせるべく、新規に写真を参考にして設計されています。ただ、「オーズドライバー」は当時のものとメダルのサイズを合わせたいので、DXサイズを基準にしております。

井上:物によって違いますね。

フナセン:何を求められているか、によって変わってきます。

井上:音探しも1か月くらいかかるんだよね。

フナセン:昔、バンダイで作った音データが会社に残ってないってことも(笑)。いろんなところから探します。

篠宮:音のチョイスは、フナセンさんがひとりで決めるんですか?

フナセン:基本的には私が決めております。

井上:まずは50話ある本編を全部見返すんです! そこから使う音を決めていきます。

篠宮:それは、独断なんですか? それとも、ファンがここ欲しいだろうなっていうところをチョイスする?

フナセン:どちらもですね。私自身が仮面ライダーファン・玩具ファンなので、何があったら嬉しいかという気持ちは近しいと勝手ながら思っています。

あとは、ファンの皆様を驚かせたいので、皆様の想像を超えるものづくりをしたいと思っています。

篠宮:おぉ〜! そこを入れるか、というチョイスをするわけですね。

フナセン:「カイザドライバー」には、吹き飛ばされたときの変身解除音を入れているんです。それをどうやって玩具に入れるんだ、という想像つかないものが実際に玩具でうまく入っていることに、驚きと喜びを感じて頂きたいな、と思っています。

とはいえ、ユーザーの皆様全員の欲求を満たすことはできませんので、予算の範囲で最大限楽しいことを、という考え方の元に仕様を組み立てます。

篠宮:今回の「カイザギア」には「カイザブレイガン」が付属していますが、武器の大きさも大人向けならではのサイズですよね。

フナセン:他の大人向け武器商品へのお客様の反響から、大きな武器が大人に喜んでもらえるということが伝わってきました。逆にいうと、「カイザブレイガン」が大きな驚き=フックになって、この商品自体の話題を呼ぶことになったのかな、と思いますね。

–{製作時の苦労を語る}–

篠宮:製作時の苦労はありますか?

フナセン:どうしても受注を9月13日にしたかったので、納期を守るために必死でしたね(笑)。

篠宮:LEDの光りかたも注目されると思うんですが、これはこだわったところですか?

フナセン:こだわりました! これはLEDが22個積まれているのですが、最初は所謂サイリウム方式でやろうとしていたんです。2か月くらい設計を進めた後、様々な観点から量産に適さないということが見えまして…。金型を作る直前だったので、「LEDの列に変えてください」と電子部品を扱うチームに平謝りして変更しました。

井上:22個もかなりチャレンジなんですよ。DXシリーズではありえないです(笑)。

篠宮:「電王」の「ケータロス」はどうですか?

フナセン:こちらもかなりグレードアップしています。劇中では、「デンオウベルト」に「ケータロス」を取り付けて初めて変身完了するので、そこを再現するために仕様を追加して、合体したことで変身音が鳴るようになっています。

篠宮:過程も忠実になってるんですね。

フナセン:変身後にセリフが鳴ったりとか、「クライマックスフォーム」に更にジークも憑依した「超クライマックスフォーム」」の変身音としてセリフが入ったりとか、セリフとBGMと変身音が合わさることで、画面のなかの世界がこのなかに宿っているようなイメージです。ただの音声ではなく、世界観を表現したいなと思っているんです。

篠宮:まさに憑依ですね!

フナセン:ベルトにも、「イマジン乱入憑依システム」というものがありまして、たとえば「ウラタロス」に変身したあと、25秒くらい放置すると「モモタロス」が乱入してくるなど、いろんなパターンがあるんです。その乱入するまでの間というのは、“クライマックスフォーム”に変身しようとしたときに邪魔をされない絶妙な時間として決めました。

井上:かなりのパターンがあるので、チームでチェックするときに時間がかかって、これはなかなか大変でした(笑)。

フナセン:誰も憑依していない“プラットフォーム”にも変身できるんですが、これを放置しても面白いんです。このときには、4人が自分が憑依しようと取り合うように乱入してきます。そして、勝ちとったイマジンのフォームにランダムで変身するんです。

井上:良太郎になりきって、自分がモテている気分を味わえるわけです。

篠宮:スーツアクターの高岩(成二)さんごっこもできますね!

フナセン:できますね!!

井上:この乱入憑依システムはすべて、音声を録り直しています。当時の映像全話からピックアップして、「こう言ってました」と当時と同じ言い回しをしてもらう、という、すごく根気のいる作業でした。

篠宮:それがファンの喜びにつながっているわけですね。ちなみに、パッケージデザインも高級感があって、僕は好きです。

フナセン:そうですね、あのフォーマットは前担当から引き継いだものですが、この商品に対して数万円を出してくださった方が、配送の箱を開けた瞬間からおおっ!となるものを、という視点ですね。

井上:手元に届いて最初に見るもの。ご挨拶ですから。

フナセン:そうですね。DXシリーズは売り場におくので、主張して目立つデザインを意識しますが、こちらは宝物のようにとっておいて頂けるものにしたいなという思いです。

井上:シリーズで集めても嬉しいものだと思います。

–{今後の商品の展望は…?}–

篠宮:次はこれにしよう、という順番はどうやって決まるんですか?

フナセン:アンケートを取って求められているものを理解しつつ、でも少し裏をかいたり、嬉しい驚きを与えられるアイテムはなにか、タイミングはどうか、などといろんな方面から考えています。

「電王」は2017年が10周年でしたし、「オーズドライバー」は、映画に仮面ライダーオーズ/火野映司役の渡部秀さん、アンク役の三浦涼介さんが登場するという盛り上がりから、CSMを発売するベストタイミングだと思いました。

なので、その時々に求められているものと、我々が何をしたいかというものがうまく合致するアイテムが、年間の中で3、4回発売されています。

篠宮:これを作るときは、当時のものは意識されるんですか?

フナセン:当時の玩具は、最初だけ意識するというか、まず一旦遊びますね。それから逆に当時できなかった所にとにかく目を向けるんです。番組を見ながら当時の玩具で遊んでみて、ここにこれがあったらなというアイディアを乗せていくという作業になります。

篠宮:今後はどういう展望があるんですか?

フナセン:次は完全に白紙なので、まさに今、悩んでいます(笑)。

篠宮:先ほど話していた変化球というのは、どの辺りになるんですか?

フナセン:「NEWデンオウベルト」ですね。これは、当時DXシリーズでも発売していなかったので、初の商品化というところでも、変化球ですね。

篠宮:当時DX版を作っていた人から、CSMに対しての感想はあるんですか?

フナセン:当時「カイザドライバー」を担当していたレジェンドのような人がいるんですが、サンプルを見せたときは興奮されていましたね。

篠宮:よう作ったな!と。

フナセン:単純にすごいな、という感じでした。

井上:時代が違うんですよね。当時は玩具と映像をそこまでリンクさせることに重きをおいている訳ではなかったですし、そもそもキャラクターボイスよりもシンプルな機械音が多かったので。

篠宮:喋るようになったのは、『仮面ライダーキバ』のキバットバットⅢ世くらいからですかね。

フナセン:あとは大人がベルトを買う、という市場が近年で広がっているということもあります。当時ライダーベルトというものは、基本的に子供向けで、大人はこっそり買って楽しむものだった気がします。

『仮面ライダーディケイド』で過去のライダーを掘り起こしたことが大きな流れで、弊社としてもちょうど「プレミアムバンダイ」というWEBの流通が確立したので、それが大きなきっかけですね。

篠宮:今、取り入れたいけど、コストが下がったら、と思っている技術はあるんですか?

井上:そこを追ってしまうと、技術ありきになってしまうので、そこはやっぱりコンセプトから考えていますね。

フナセン:玩具としての楽しさをまず考える、というところからです。

篠宮:完成したときって、みなさん、遊んだりするんですか?

フナセン:これはなかなか難しいもので、開発段階で毎日鳴らしているので…。

井上:事前に死ぬほど遊んでるんですよね(笑)。

フナセン:それこそ、『仮面ライダービルド』の「DXビルドドライバー」も発売したあとに改めて、音を聞いたりはしましたけど…。

井上:確認くらいだよね。

篠宮:もちろん音声チェックはされるでしょうけど、「ライダーガシャット」を劇中のごとく掲げてみたりとかは…。

フナセン:それは開発段階に、ですね(真顔)。

井上・篠宮:(爆笑)。

フナセン:いやいや! ほら、例えば、仮面ライダー555の乾巧は「ファイズフォン」を「ファイズドライバー」にまっすぐ入れるのでいいんですけど、草加雅人は「カイザフォン」を斜めに入れるので、バックルの挿入部にワンクリックを設けて、固定できるようになってるんです。この固定の渋さがこれでいけるのか、というのは草加の変身ポーズをとって、試してみないと。

篠宮:そうなんですよ! 一回持ち替えるんですよね。

フナセン:持ち替えますよね!

井上:その角度を“草加の角度”と銘打っています(笑)。

篠宮:当時、ガラケーの着せ替えみたいな機能で、効果音をダウンロードしていたのを思い出しますね。では、CSMの最新作となる「CSMオーズドライバー」はどんな感じなんでしょうか?

–{満を時して登場の「オーズドライバー」を徹底解剖!}–

井上:まさに制作中ですね。串田アキラさんの音声や、火野映司とアンクのセリフを録り終わったところです。

篠宮:オーメダルも作り直してるんですか?

井上:動物のデザインをプロップ寄りに作り直しています。さらに『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGA MAX』で、鴻上が未来で生み出そうとするコアメダルのデザインが存在していました。そのメダルは、当時のDX版に音声だけ入っていたのですが、陽の目を見ず…。

それが実はコンボだったという事で、DXでは展開できなかったメダルと5種類の新コンボ変身音が搭載されています。ヒーローデザインももちろんありますよ。

篠宮:(コンボのイラストを見て)おぉー!! かっけぇ!!

フナセン:「エビ・カニ・サソリ」の“ビカソ”コンボは、すでに発売されている「MOVIE大戦CORE」の黒いコアメダルが復元されて出来たものです。こっちは「サメ・クジラ・オオカミウオ」ですね。

井上:“サラミウオ”コンボね。

篠宮:ちょっと“シャウタ”っぽい。

フナセン:そうですね。仮面ライダーポセイドンが「ポセイドンドライバー」に装着していた「サメ・クジラ・オオカミウオ」のメダルを「オーズドライバー」に使って変身したらこうなるんです。あとは「シカ・ガセル・ウシ」で、“シガゼシ”コンボというものですね。

フナセン:他に「セイウチ・シロクマ・ペンギン」で“セイシロギン”コンボ。で、最後に「ムカデ・ハチ・アリ」で“ムカチリ”コンボですね。

篠宮:これ、楽しくてしゃーないでしょう(笑)? ええな〜。今回のセットには、“スーパータトバ”も入ってるんですか?

フナセン:もちろん入っています! 外フチがシルバーになっているのは、『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』に出てくるものですね。もちろん、そこも押さえています。
ただ、全種シルバーを作ると、とんでもない値段になるので、今回の映画でオーズが変身したコンボのメダルのみを収録しました。

「イマジン・ショッカー」で“タマシーコンボ”もできますし、ヒビ割れたメダルが付いてまして、ここからスキャンをすると、アンクの「タカ! クジャク! コンドル!」を聞くことができますよ。

篠宮:これがなんと3万5000円(+税)! もはや、安い気すらしてきました。

フナセン:しかも、映司とアンクが喋りまくるんです! さらに、「アンクナビゲートモード」を搭載していまして、アンクがランダムで選んだメダルを指示してくれます。

メダルを投げる音も入ってますし、映司とアンクのボイスが両方鳴るモードがあって、例えば“タトバ”に変身すると、アンクが「歌は気にするな」って言ってくれる。劇中でやっていることを手元で再現できる仕様です。

井上:東映の武部プロデューサーをはじめ、当時オーズを生み出したメンバーの当時のこだわりを大切にしながら、本物にこだわって作っています。

篠宮:いや〜、いいものを見せてもらいました。

フナセン:ぜひ、ご期待ください!

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「CSMオーズドライバー コンプリートセット」は12月11日(月)11時から、「プレミアムバンダイ」の特設ページにて予約受付中です!

(写真:井嶋輝文、インタビュー:オジンオズボーン・篠宮暁、文:大谷和美)