劇場版「エグゼイド・キュウレンジャー」製作委員会 ©石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映 ©2017 テレビ朝日・東映AG・東映
【オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会】第18回
2017年8月27日、『仮面ライダーエグゼイド』全45話が放映終了。
1年前、誰が、毎週こんなにも感情を揺さぶられる作品になると想像したでしょう?
誰が、こんなにも目頭を熱くさせてくれる作品になると想像したでしょう?
目玉がデザインされたエグゼイドのマスクや、レベル1のエグゼイドの姿を見て、衝撃を受けなかった人はいないでしょう。
批判的な意見の方も少なくありませんでした。ファンの間でも、いろんなところから不安視する声が聞こえてきました。
ですが、始まってみるとそんな意見など見事一蹴。
ファンもファンでなかった人も惹きに惹きつけ、毎週興奮と驚きの連続。
数回に一回やってくる山場に感動しすぎて、勘弁してくださいと思ってしまうほど。
そして、それと同時に不安もありました。
こんなに面白い展開にして、果たしてちゃんと最終回までいけるのか?
後半失速するのは本当に見たくないから、早めに一旦失速しませんか?
結果、失速することなくそのまま最終回へ。
素人が勝手に不安なって、ほんますみませんでした。
めちゃめちゃ面白かった。
ストーリーでは裏切られまくるも、「エグゼイド」は最後までファンを裏切りませんでした。
平成ライダー2期どころか、全部込みでもトップクラスにのめり込みました。
ここで一旦、ホカホカのうちに最終回の感想を。
本っ当ぅぅうにいい最終回でした。
ラスボスは倒したけれどもハッピーエンドではない、でも解決するために全力で問題に向き合う姿がすごく良かったです。
会見で名前を読み上げるシーンは、狭い範囲ではない大規模な事件として、演出するのに非常に効果的でしたし、そこに出てくる名前にそれぞれみんなの想いが乗っかってて、でもその事実を正面から受け止められるようになった飛彩や大我に成長を感じ、更にグッときました。
レベル2の姿で戦うのも良かったし、1話目のシーンをここで重ねてきたことに、思わず唸らずにはいられませんでした。
しんみりさせといてからのポッピー、パラドの復活。最高。
「エグゼイド」ロスになってる方も多いかと思いますが、Vシネマ「アナザーエンディング」の発表で一気に吹っ飛んだんではないでしょうか。
スナイプのスピンオフもまだ残ってることですし。
まだまだ「エグゼイド」は僕らを興奮させてくれそうです。
当たり前すぎてあまり考えてなかったんですが、最終回終えてみて、なぜこんなにも「エグゼイド」にのめり込んだのか、自分なりに分析してみたいと思います。
–{「エグゼイド」4つの魅力を振り返る!}–
1.ゲームと医療と仮面ライダーの組み合わせで化学反応が起きた
医療というテーマだけだと、暗い作風になってたかもしれないところにゲームという要素を入れることで、子供も惹きつけるポップさが加わりました。
また、ポップな見た目なのに、命の重さを痛感させられる展開が多い作風なので、このギャップにやられたんではないでしょうか。
近年の仮面ライダーではタブー視されていた、改造人間という仮面ライダーの根幹の要素。これも医療というテーマによって、適合手術として取り入れたところが本当に上手かったと思います。
敵である“バグスター”の参謀・パラドの力を借りてエグゼイドに変身する宝生永夢(飯島寛騎)も、ショッカーに改造された体で正義の為に戦う、仮面ライダーのスピリッツをしっかりと継承しているんです。
外側は最新なのに、内側はしっかり昭和ライダーの哀愁や孤独を持ってるというところに、ライダーファンは心を鷲掴みにされてしまったんではないでしょうか。
エグゼイドを、見た目だけで「こんなのは仮面ライダーじゃない」と言ってた方々、一度その「エグゼイド」のスピリッツに触れていただければ、そんなことはないとわかってもらえるはずです。
2.一度引き込まれたら最後。もう離れられない脚本家・高橋悠也の構成
「エグゼイド」の1話目から最終話までの脚本を、なんと全部ひとりで書き上げた高橋悠也さん。
この方の構成がいちいち素晴らしい。
前半で振ってる決め台詞が、後半で効果的に活かされたり、何気ない設定が実は伏線だったりと、この1年間、何回「してやられた!」と思ったことか。
10話に1回くらいの割合で、デカい爆弾がストーリーに組み込まれ、ファンを「エグゼイド」中毒にしていきました。
仮面ライダーで大事なのは、ストーリーとアイテムがいかに絡むかです。
エグゼイドは全てのアイテムにきっちりと理由づけがされており、「これいらんやん」というのがひとつもないんです。
レベル1の可愛い姿にも意味をもたせ、患者と“バグスター”を切り離すのにはレベル1でないとダメ、と設定した点が秀逸でした。
後半も後半、いろんな最強フォームが出尽くした中、このレベル1がまさかの大活躍を見せたことは「エグゼイド」の名シーンのひとつです。
3.魅力的な悪役
当初謎の人物だった檀黎斗(岩永徹也)。
ちょっと怪しくなってきたなという時でも、まだ爽やかさは少しありました。
しかし、その爽やかさが一気になくなっていき極悪のキャラクターに。
岩永徹也さんの怪演はエスカレートしていき、遂に死んだと思ったら、まさかの復活。
復活してからは、キャラクターの濃さに更に拍車がかかり、何故か笑えるキャラクターに。
こんなに愛される敵キャラは初めてかもしれません。
そして、そんな檀黎斗に全く引けを取らなかったのが親父の檀正宗。
檀正宗を演じたのは貴水博之さん。
そう、あのaccessの貴水さんです。
当たり前なんですが声がめちゃくちゃいい。
セクシーなのに怖さも感じさせる部分が役とガチッとはまり、後半は檀正宗なしでは語れません。
魅力的な悪役のおかげで、「エグゼイド」の面白さが何割も増したのは揺るぎない事実でしょう。
4.音楽がいい
僕はこれが「エグゼイド」の腰の部分だと思います。
名シーン、名シーンで、必ず流れてくる音楽があるんですが、このピアノの音色がとても綺麗なんです。
本当にいい曲で、涙を誘うんです。今ではこの曲を聴くだけで、反射的に涙腺が緩んでしまいます。
そのほか、九条貴利矢(小野塚勇人)の復活劇や花家大我(松本享恭)と西馬ニコ(黒崎レイナ)の関係性、鏡飛彩(瀬戸利樹)の百瀬小姫(中川可菜)への想い、と挙げれば枚挙に暇がないですが、その辺りは「アナザーエンディング」を見終わってからにでも、また書かせていただきたいと思います。
(文:オジンオズボーン・篠宮暁)
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