スーパー戦隊シリーズ『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のアメリカ版リメイクとして23年前に誕生した、『Mighty Morphin Power Rangers(マイティー モーフィン パワーレンジャー)』が待望の映画化! 映画『パワーレンジャー』として、いよいよ2017年7月15日(土)より日本で公開されます。
そこで、「シネマズby松竹」で熱い特撮コラムを執筆中のオジンオズボーン・篠宮暁が、ジェイソン・スコット<レッド・レンジャー>役のデイカー・モンゴメリーと、キンバリー・ハート<ピンク・レンジャー>役のナオミ・スコットにインタビュー!
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ー 戦士を演じたメンバーとの絆は、どのように生まれていったのですか?
デイカー・モンゴメリー(以下、デイカー) まず、メンバーの家に5人だけで集まってホン読み(台本の読み合わせ)をしたんです。3時間という限られた時間のなかで、笑って、泣いて、充実した時間を過ごすことができました。撮影を通して、さらに友情が深まったけれど、最初に過ごしたその時間がとても貴重だったと思います。
なぜなら、さまざまな国から集まった、育ちもバックグラウンドが全然違う僕らなのに、その3時間を過ごしたときから、すでにとても強い結びつきを感じることができたから。
ナオミ・スコット(以下、ナオミ) もちろん、一緒にビールを飲んだり、遊びに行ったりもしました。笑っちゃうのは、現場で一日一緒に過ごしているのに「このあと、夕食はどこに行く?」っていう話題になるくらいに仲がよかったこと。それは、友情というだけではなく、同じ現場で学ぶメンバーとして、全員がサポートしあっていたからこそ。元気のないメンバーがいたら、それを気にかけたり、カバーしたり、そういう関係性ができあがっていたんです。
はじめは反発しあっていた劇中のキャラクターたちと違って、私たちは最初から仲が良かったけれど、友情が育まれていく過程というのを体感して、役に反映していたと思います。
ー では、特に気に入っているシーンは?
(c)2017 Lions Gate TM&(c) Toei & SCG P.R.
ナオミ 谷を跳び越えるところ。背中のワイヤーだけが頼りで、まるで何もつけてないような感覚で跳びました。人間の本能に反するような、そんなワクワクする気持ち。空中では手足で宙をかくように動いたのだけど、それが意外と難しくて。特に苦労していたデイカーは、「E.Tを乗せて、自転車漕いでるの?」って感じだったのよね(笑)。
デイカー そう、「E.T」(笑)。
ナオミ デイカーのお気に入りは?
デイカー 5人でキャンプファイアーを囲みながら、自分のなかに秘めていることをさらけ出すシーンだね。実生活ではなかなか経験できない、素敵なシーンだと思います。
ー 特に大変だったシーンを挙げるなら、どこでしょう?
ナオミ 水中のシーンは本当に大変でした! 水で重さを増したレザージャケットとブーツで、一日中動くのは本当にエネルギーが奪われたし、私は泳ぐのが得意ではないから…。水深が40フィートくらいあったんだけど、耳抜きをするのを忘れて潜った時にはもう、耳が痛くて! デイカーは、まるで魚のように泳ぎがうまかったわね。
デイカー 僕は、素潜りもやっているからね。
(c)2017 Lions Gate TM&(c) Toei & SCG P.R.
ナオミ なかでも大変だったのは、あるメンバーをみんなで抱えるシーン。ダミーを使っていたのに、なぜかそれが重かったんです。それを抱えて水の中に降りたあと、今度はかなりの距離を上がっていかないといけなくて。1回でギブアップするくらい重くて、死ぬかと思ったわ(笑)。
デイカー 僕は、リタのところへ向かう直前の夜のシーン。スタジアムのようなところで、朝の3時頃に撮影していたんだけど、50テイクもやりました。それなのに、カットされてしまって! ケータリングのチョコが食べたくてたまらなかったなぁ(笑)。
ー 撮り直しといえば、最初のほうの牛が出てくるシーンも苦労したのでは?
デイカー あの牛はいろいろと粗相をしたから、テイクというよりも、それが大変でしたね(笑)。でも、楽しんでできました。
ー スーパーヒーロー映画はたくさんあるけれど、その中で『パワーレンジャー』にしかない魅力を教えてください。
デイカー まず第一に、ほかのスーパーヒーロー作品には、ここまで多種多様なキャストはいない。そして、スーパーヒーローというのは、友情の比喩なんですね。だからこそ反発しあっていた彼らの距離が近づいていくことに、より意味がある。僕はスーパーヒーロー作品をたくさん観てますけど、そういうことを描いている作品はなかなかないですよ。
ナオミ 同感ね! 友達と一緒にスーパーヒーローになって、チームで戦うということがひとつ。それに、作品を観ている人たちが、キャラクターの誰かに感情移入することができると思います。キャラクターたちはそれぞれ、誰もが共感できるような、実生活に起こりうるリアルな問題に向き合っているので。
デイカー 日本はもちろん、今回の作品を通して文化も言語も違ういろんな場所に行っているけど、人間って、どこかでみんな同じものを持っているということをすごく感じますね。ナオミもキャラクターの誰かに共感できると言っていたけど、国や文化を超えて、自分との共通点はどこかに見つけられるし、とても普遍的なものを描いている作品だと思います。
–{『パワーレンジャー』のココを要チェック!}–
(c)2017 Lions Gate TM&(c) Toei & SCG P.R.
ー 『パワーレンジャー』は日本生まれの作品だから、戦いだったり、スーツだったり、細かい部分までじっくりと観る、唯一の国だと思います。そこで、ここを知っているとより面白い、というコアな部分が知りたいです。
デイカー ビルと同じサイズのクリーチャーが登場したり、古代の生物をモチーフにしているところなど、オリジナルに基づいているところもあるけれど、かなりアップデートしている部分もあります。
(c)2017 Lions Gate TM&(c) Toei & SCG P.R.
『パワーレンジャー』の誕生から23年も経った今、技術が革新されているぶん、とてもスペクタクルなものになっています。後半の戦闘シーンの迫力もそうだし、スーツもとても凝っている。単なるスペシャルエフェクトやヴィジュアルエフェクトではない、その進化を見て欲しいですね。
ナオミ スーツは胸当ての部分だけSFXを使って、そこに宇宙を表現しているんです。人間は自身の中に宇宙を内在しているというメッセージが込められたものなので、そこにも注目してみてください。
ー この映画は成長していく5人の話でもあると思います。そこで最後に、この映画を経て、自分の成長を感じたことをそれぞれ教えてください。
デイカー 大学を卒業する直前に出演が決まったので、人生の一章が終わるときに、ちょうど次の章をはじめることができました。
(c)2017 Lions Gate TM&(c) Toei & SCG P.R.
僕にとって今作は、ハリウッドデビューで、長編映画デビューでもあリます。例えるなら、泳ぎ方もまだ知らない状態で、プールのいちばん深い所に「ポン」と落とされた感じ。そこでイチから学ぶことができた作品が、『パワーレンジャー』だったことも、このタイミングだったことも、本当に幸運だったと思います。
ナオミ 私は、現場の経験はあったけれども、こんなに大規模な作品ははじめて。それに、トレーニングだったり、殺陣の振り付けだったり、これまでにない経験ができました。
(c)2017 Lions Gate TM&(c) Toei & SCG P.R.
アクションするときは、カメラが今どこにあるのか、自分がどう動くのか、今までとは勝手が違うこともたくさんあった。そういう新たな学びが、いちばん大きな成長だったと思います。
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【インタビューを終えて】
デイカーさんは僕より12歳も年下とは考えられない貫禄が出ていました。
というのも、デイカーさんとナオミさんの間に入って3ショットで写真を撮ってもらうとき、僕はあろうことかふらついてしまい、デイカーさんの足を思いっきり踏んでしまいました。
デイカーさんは笑顔で「オーケーオーケー」と言ってくれてるにも関わらず、僕は生まれてからこんなに連呼したことがないくらい「ソーリー」を短時間に詰め込みました。
この一連をさらりと流すデイカーさんの所作に、僕は心の中で「兄貴ぃいい!!」と叫ぶほどでした。
ナオミさんはパワーレンジャーの役よりも非常に明るく、表情も豊かで綺麗でした。Rのロゴがついた服を着ていたので、勝手にパワーレンジャーのレのRだと解釈し、勝手にレンジャー愛を感じていました。
『仮面ライダードライブ』のファンなのかなとほんの、本当にほんの一瞬思いましたが、即座にそんな訳ないと自分で自分を否定しときました。
短い時間でしたが、デイカーさんとナオミさんのやりとりを間近で見ることができ本当に仲が良いんだと感じましたし、これを踏まえた上でまたパワーレンジャーを見にいきたい思います。
(インタビュー:オジンオズボーン・篠宮暁 文:大谷和美)