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現在公開中の『ワイルド・スピード ICE BREAK』はお金をかけまくった大迫力のカーアクションが楽しめる痛快娯楽作でした。筋肉ムキムキのおじさま俳優のイチャイチャも含め、頭がからっぽで観られるというシンプルさがいいですよね。
ここでは、『ワイルド・スピード ICE BREAK』シリーズが好きな人におすすめの(主に偏差値の低い)映画をご紹介します。
1:『トルク』:10秒で時速300キロに達するバイクが登場!
バカアクション映画として、トップに君臨する勢いなのがこの『トルク』!内容はバイク(オートバイ)でウィリーしながら超高速で走る車を追い越したり、バイクに乗ったまま殴り合ったり列車に飛び乗ったりするという、「バイクで楽しいアクションが撮れりゃそれでいい」な男子中学生並の発想と頭の悪さが最高の作品です。(※皮肉なしで褒めています)
すさまじいのは、「四輪に乗るやつは性格が歪んでいるのか?」という、車および『ワイルド・スピード』シリーズに対する敵対心むきだしなセリフがあること。“バイクは最高!四輪に乗るやつはバカだ!”というひっでえ偏見を隠そうともしていないのですが、これが不思議と不愉快ではありません。全編に渡り頭の悪いキャラが頭の悪いアクションをしているという偏差値の低さのおかげで、「もうこの映画はこれでいいいや」と諦めがつくからでしょう。
物語は殺人の疑いをかけられた主人公が、ギャングとFBIから狙われるというだけのシンプルなもの。あとはバイクのマフラーを殴る武器にしたり、常識的に不可能なことも「追い詰められたらできる」と言って解決したり、清涼飲料水の広告をバックに美女2人がバイクに乗ったまま蹴ったり殴りあったりしているのを眺めているとあっという間にエンディングです(※上映時間はわずか84分)。かつて、観ているだけでここまで幸せになれる映画があったでしょうか、いやない!(反語)
そして、クライマックスでは10秒で時速300キロに達するバイクが登場!いや、これはもうバイクじゃなくてミサイルです。主人公がこのミサイルに乗って、街中を疾走するクライマックスは言語では説明不可能です。こんなの観たことねえよ!
ちなみに『トルク』は本国ではたいへん評判の悪い映画で、映画批評サイトIMDbでは10点満点でわずか4.0点、英語版のWikipediaではone of the worst films ever made in cinema history(映画史上もっとも最悪な作品の1つ)と書かれてしまう始末。しなしながら、筆者はこの評価に異を唱えたい!大爆笑の連続、大興奮は必死、バカ映画好きは超必見の大傑作だよ!
2:『ミニミニ大作戦』(2003):チームで知略を尽くして金塊を奪え!
ミニ・クーパーをフィーチャーしたカーアクション映画です。内容はチームで知略を尽くし、金塊を奪還するというシンプルなもの。冒頭のヴェネツィアのミッションのツカミが上手く、キャラクターは個性豊かで、意外な“因縁”も描かれているなど、見どころが満載な娯楽作に仕上がっていました。
『ワイルド・スピード ICE BREAK』が好きな人におすすめしたい理由は、ジェイソン・ステイサムとシャーリーズ・セロンが共通して出演していること(実は監督も同じ)。そちらでは敵対していたこの2人が同じチームで共闘しているというのも面白いですし、ステイサムがマーク・ウォールバーグとイチャイチャしているのもたまりませんよ。
3:『デス・レース2000年』:今のアメリカ社会に通ずる内容?
製作年が1975年と古い作品で、タイトル通りレースの最中にどんどん人が死にまくる内容です。悪趣味なのは、レース中に一般人を轢き殺すと年齢や性別に応じてポイントが加算されるという設定。女性のヌードシーンも満載ですし、とてもお子様には見せられません。
しかし、低予算ながらカーアクションは見やすく撮られており、キャラクターの個性も存分に描かれ、逆転劇にはハラハラするなど、娯楽映画としてのツボはしっかり押さえられています。アメリカ社会への皮肉めいた描写もあり、それは今観ると“予言”のように思えるかも……。
ちなみに、『ロッキー』で大ブレイクする前のシルヴェスター・スタローンが重要なキャラクターを演じている作品でもあります。そのゲスいキャラには、一見の価値がありますよ。
–{“実写版「マリオカート」”な映画とは?}–
4:『デス・レース』:これは実写版「マリオカート」だ!
前述の『デス・レース2000年』のリメイクという触れ込みですが、一部のキャラの呼び名が同じだけで、ほぼ別モノと言って内容です。物語は“無実の罪で投獄された主人公が死のレースに参加する”と、これまたシンプル極まりないもの。頭を使う余地などいっさいありません。
最高なのは、レース中にパネルを踏むことで、各車両に備えている武器が使用可能になるというルール。それ「マリオカート」じゃん!バナナの皮のごとく、後続車にオイルやマキビシをまいて妨害もしていたし!
それぞれの装甲車のカッコよさに大興奮できるのはもちろん、第2レースに登場する“あるもの”のすさまじさも筆舌に尽くしがたいものがあります。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が好きな方も、大いに気いるのではないでしょうか。
5:『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』:ロック様が大バカに!?
実際に起きた誘拐事件を題材とした作品です。カーアクション映画ではないのですが、とにかく主張したいのは、あのロック様(ドウェイン・ジョンソン)がどうしようもないバカを演じていること!
ロック様は何しろ地上最強なので、彼が出演しているアクション映画のだいたいには「その筋肉があれば何でも解決できる」という安心感がありました。しかし、本作のロック様は(も)脳に行くべき栄養がすべて筋肉に集まったようなキャラであり、“綿密な計画が必要とされる犯罪においては、筋肉は役に立たないどころかジャマなだけ”ということをこれでもかと教えてくれるでしょう。ロック様が味方チームにいるのに、こんなに不安にかられるなんて、『ワイルド・スピード』シリーズでは考えられないことです。
なお、本作は『トランスフォーマー』シリーズや『アルマゲドン』などの大味な映画を得意とするマイケル・ベイの監督作で、一部では「ベイの最高傑作!」という呼び声もあったりします。日本でビデオスルーになったことが信じられない、退屈なんて一切せずに楽しめるクライム・コメディですので、ぜひおすすめします。
6:『SPY/スパイ』:ステイサムが役立たずだぞ!
2016年版の『ゴースト・バスターズ』の監督が手がけた作品で、どこにでもいそうなおばちゃんがいきなりスパイになって大活躍するという愉快な映画です。世界中で大ヒットをしたのにも関わらず、こちらも日本ではビデオスルーの憂き目にあった作品でした。
本作の見所の1つが、ジェイソン・ステイサムが役立たずなこと!そのおバカさんっぷりは前述した『ペイン&ゲイン』のロック様を超えるレベルで、『エクスペンダブルズ』や『トランスポーター』シリーズなどの強くてカッコいいステイサムのイメージが固まっている方こそゲラゲラ笑えるでしょう。コメディとしても一級品ですよ。
7:『アドレナリン』:ステイサムがやりたい放題だぞ!
アドレナリンを出し続けないと死んでしまう男が、街中を走り回ってマフィアを殺しまくるという、こちらもド・シンプルな内容です。ヒドい(褒め言葉)のは、“興奮してアドレナリンを出すための手段”。暴力に訴えるのはもちろん、公衆の面前で◯◯◯までしてしまうのですから。R15+指定がされ、さらに過激になった続編ではR18+指定になったのも当然です。
前述の『デス・レース』と同じくジェイソン・ステイサムが主演を務めた作品で、まあ猪突猛進なバカキャラを楽しそうに演じられてること!『ワイルド・スピード』シリーズ以上に、ムチャクチャでやりたい放題なステイサムの勇姿を観たい人に、ぜひおすすめします。
まとめ
この他、カーアクション×コメディの代表格と言える『TAXi』シリーズ、窃盗のエキスパートたちが活躍する『60セカンズ』、大陸横断レースを描いた『キャノン・ボール』、クルマそのものを“キャラ”にした『カーズ』シリーズ、アメコミチックな絵柄の破天荒なアニメ『REDLINE』(2010)なども、ぜひおすすめしたいところです。
『ワイルド・スピード』シリーズは”キャラ萌え”の魅力が半端ない作品でもありますので、ぜひそれらのキャストが出演している映画もチェックして欲しいところ。特に、ジェイソン・ステイサムの出演作品は、観れば観るほど彼のことが愛おしくなりますよ!
(文:ヒナタカ)