伝説の映画「狂い咲きサンダーロード」完全復活イベントは、奇跡の連続!

INTERVIEW

1980年代初頭の日本映画界に突然登場し、当時の観客の記憶に強烈な爪あとを残した伝説のアクション映画、それがこの「狂い咲きサンダーロード」だ!

狂い咲きサンダーロード00

実は、長らく紛失したとされていた、1980年当時の16mmネガ・フィルムが最近奇跡的に発見され、クラウドファンディングによる資金調達を経て、とうとう高画質化でのブルーレイ化&デジタル上映用素材の製作が実現!

そしてついに今回、11月12日の土曜日、シネマート新宿において記念イベント、「狂い咲きサンダーロード」完全復活記念・オリジナルネガ・リマスター版プレミア上映withライブ&トークが開催されたというわけです。

当日は本編の上映だけでなく、本作の劇中楽曲を手がけたPANTAのアコースティツクLIVEあり、上映後の石井岳龍監督を始めとする、当時のスタッフたちのトークショーありという、ファンにとっては文字通り夢のプログラムだったこの上映イベントを、今回は取材して来ました。

予告編

実は自分、公開当時試写会のハガキが当たったのですが、残念ながら中学2年生で千葉在住の身では、都内で夜行われる試写会には行ける筈も無く、そのまま劇場で観る機会を無くしたまま、恥ずかしながら今回が劇場での初鑑賞となりました。
当日は、様々な偶然と奇跡が重なり、正に夢の一夜と化したこのイベント!さて、その内容とはどんな物だったのでしょうか?

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今回の会場は、シネマート新宿のスクリーン1。

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既に入場開始前から、劇場ロビーは集まったファンで賑わっていました。残念ながらチケットは既に全席完売のため、当日は立ち見券が若干発売されたとか。
当日劇場ロビーには、スプレーで暴走族風の落書きが!更に、なんと主人公である「仁さんの戦闘服」も展示!(実は展示されていた戦闘服はイベントの受付前にどこかへ運ばれて行ってしまったのですが、後で意外な登場をすることに!)

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一般入場前、早めに劇場内に入れて頂いたところ、正に今日のライブゲストのPANTAさんがリハの真っ最中!

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リハで既にこの迫力!これは本番への期待度MAXです!
一般入場開始までの15分という短い時間の中、リハが終わって次に上映チェックが行われたのですが、自分の後ろで「スクリーンサイズが合ってないんじゃ?」との指摘の声。もしや?と思って振り返ると、そこにはスタッフに指示を出す石井岳龍監督の姿が!
映画ファンの方々の協力によって実現した今回のプロジェクト。その成果をいよいよ観客の前に披露するにあたって、スタッフや出演者の方々の並々ならぬ意気込みを間近で見た思いがしました。

そして時刻は夜8時半、いよいよ開場!
明かりを落とした劇場内で、満員の観客がイベント開始の時を待ちます。

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そしてついに、イベントがスタート!

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まずは当時の助監督だった緒方明監督が、本日の司会として登場!
本作の監督である、石井岳龍監督を呼び込みます!

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満場の拍手の中、登場した石井岳龍監督。
今日来場した観客の皆さんへの感謝の言葉を述べると、まずは今回の目玉、PANTAさんのLIVEからイベントはスタート!

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当初は2曲だけの演奏予定で、PANTAさんも自分のピックを客席に投げてしまったのですが、急遽司会の緒方明監督から、「もう1曲大丈夫です!」との声!
そして追加で演奏されたのが、劇中でも流れる名曲「つれなのふりや」でした。

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これには場内大興奮!やはり「狂い咲きサンダーロード」のライブには、この曲が無くては物足りないですからね。

さあ、ライブに続いて、いよいよ本編の上映開始!
一般の方々からのクラウドファンディングによる資金集めの結果、今回こうして高画質の上映素材が完成したわけで、ファンにとっても正に夢が現実となった瞬間だと言えるでしょう。
(作品のレビューは、後日別記事で詳しく書かせて頂きますので、お楽しみに!)

次のページでは、上映後に行われた豪華ゲストによるトークショーの模様をご紹介します。

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–{豪華ゲストによるトークショー}–

ついに36年振りに、高画質でスクリーンに蘇った「狂い咲きサンダーロード」。
全く色褪せることのないまま、爆音とスピード、それに熱狂の中で上映は終了!
まだ興奮の冷めない観客の拍手の中、皆さんお待ちかねの、当時のスタッフによるトークショーが開催されました。

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まずは司会の緒方明監督の紹介により、石井岳龍監督、当時の撮影担当である笠松則通氏、PANTAさんが登場!
(石井監督の隣の席が何故空いてるのか?その答えは後で判明します)

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そしてなんと、出演者をエスコートするかの様に壇上に登場したのは、劇中の戦闘服を装着した動く仁さんじゃないですか!
(劇場ロビーに展示されていた物を運び出したのは、実はこの粋な演出のためでした)

そして、実は更にスペシャルなゲストがこの日は登壇しました。

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芸能界の「狂い咲きサンダーロード」ファン代表として、お笑いタレントの永野さんが登場!
例の独特の動きで一気に会場を盛り上げます!

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当時の撮影が如何に過酷だったかのエピソードが披露される中、永野さんお得意のネタ、「ピカソより〜、仁さんがスッキ〜!」が飛び出して、会場大満足!

そして、ここで司会の緒方明監督から、サプライズ・ゲストの紹介が!
そう、やはり「狂い咲きサンダーロード」のイベントには、PANTAさんとこの人が揃わないと納得いきません。呼ばれて登場したのは、このビッグアーチスト!

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本作の美術と音楽を担当された、泉谷しげるさん、その人がなんと登壇!これは全く事前に告知されていなかつたので、会場は大興奮!
なお、このイベント、実は当日の撮影・録画がOKとなっていたため、会場のファンはこのチャンスに一斉に撮影開始。
以前にも記事で書きましたが、最近増えているこの傾向、是非今後も定着して欲しいと思います。

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石井岳龍監督と、撮影当時の思い出や裏話を語るはずが、話の内容が次第に某大御所ロックンローラーの暴露話になって行き、登壇した皆さんも爆笑の渦に。
オープニングの暴走族の集合場所のセット装飾は、何と泉谷さんが一人でやられたとか!さすが、高校大パニックの時から石井監督に注目していて、「狂い咲きサンダーロード」も自分からやらせてくれ、と名乗り出ただけあって、本作への思い入れが伝わって来るエピソードでした。

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これだけのスタッフやキャストの思いが込められているからこそ、公開から36年が経過した今でも、こうしてファンに愛されているのでしょう。

そんな中、司会の緒方監督からの衝撃の一言が!
劇中で強烈に記憶に残る登場人物、あのジャンキー小学生の小太郎を演じた大森直人さんが、なんと今日客席に来ているとのこと。

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壇上から呼ばれて立ち上がった大森さんの服装が、なんと劇中の衣装そのまま!何でも今日のために用意されたそうで、更に本作でも特別出演されている、あの「戦争の犬たち」に主演された飯島洋一さんも客席に!

残念ながら石井監督にお会いするために、上映終了後直ぐ地下の控室に案内されたので、お二人にお話を伺ったり写真を撮ったりすることは出来なかったのですが、まさか客席に当時の出演者の方たちがいて、一緒に見ていたとは!
本当にこの日の上映は、映画の神様に祝福された夜だったのだな、そう思わずにはいられませんでした。

そして、最後のサプライズとしてスクリーンに映し出されたのが、皆が待ちに待っていたこのニュースでした。

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そうです、12月10日よりシネマート新宿において、レイトショーでの劇場公開が決定!

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更に東京だけではなく、大阪・シネマート心斎橋でも12月17日(土)からレイトショー上映が行なわれるとのこと。
一回だけのイベント上映に終わらず、こうして念願の一般公開が実現し、この時代を越えた傑作が一人でも多くの観客の眼に留まる機会が増えたことは、ファンの一人として非常に嬉しいニュースでした。

さてイベント終了後、今回の取材に同行した俳優の板橋駿谷くんと一緒に、控室の石井岳龍監督を訪ねて来ました。
板橋くんは、石井岳龍監督の作品「ソレダケ」に出演しており、お二人にとっても久々の再会となったようです。

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今回控室に石井監督を訪ねた理由、それは映画を観て、どうしても石井監督にお尋ねしたかった質問があったからです。
その質問とは、本編中で小林稔侍さんが演じるスーパー右翼たちが登場する際、BGMが昔のヒーロー番組の主題歌(少年ジェットや、まぼろし探偵などの主題歌)なのは、何故か?ということでした。

石井監督のお答えは、しばらく考えてから「いや、そういうのがよく流れてるから・・・」というものでした。
確かに自分も、普段街宣車から流れる独特の歌を聴いて、「あ、巨人の星の主題歌っぽい」と感じてましたので、その点は非常に納得できるものがありました。あるいは、大人でありながら子供の頃の様なヒーローごっこをやっている、そんな皮肉も込められているのかも知れません。

今回、劇場での一般公開が決定したということで、是非多くの方々に劇場に足を運んで頂いて、この作品を聞いたことの無い世代の方にも、時代の熱を感じて頂ければと思います。
一度でも見たら、間違いなく主人公の仁さんの雄姿にハマることは確実の本作、全力でオススメします!

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(取材・文:滝口アキラ)