はじめましての方もそうでない方もこんにちは。
八雲ふみねです。
本番前に、牛丼を食べて臨みました。
『聖の青春』をご覧いただければ、その理由は分かる、ハズ!
…というコトで。
八雲ふみねの What a Fantastics! ~映画にまつわるアレコレ~ vol.80
今回は…。
『聖の青春』完成披露試写会の模様をお届けします。
幼い頃から腎ネフローゼを患い、入退院を繰り返した村山聖。
入院中に父から将棋を勧められたことがきっかけで、プロ棋士を目指すことに。
師匠との出会い、羽生善治ら同世代のライバル棋士たちとの死闘。
まさに命を削りながら将棋を指し、29歳という若さで亡くなった伝説の騎士 村山聖の壮絶な人間ドラマ。
大崎善生による同名ノンフィクション小説を、松山ケンイチ主演により映画化。
監督は『宇宙兄弟』の森義隆、脚本を『リンダ リンダ リンダ』の向井康介がそれぞれ担当。
村山のライバルであり天才棋士・羽生善治に東出昌大。
共演には染谷将太、リリー・フランキー、竹下景子、安田顕、筒井道隆…と、個性あふれる顔ぶれが集結。
難病と闘いながらも将棋に人生を賭けた棋士・村山聖の太く短い生きざまを鮮烈に映し出しています。
本編初公開となる完成披露試写会に主演の松山ケンイチさんはじめ、東出昌大さん、安田顕さん、竹下景子さん、森義隆監督が登壇。八雲ふみねが司会を務めました。
その舞台挨拶で、特に印象に残ったエピソードをお届けします。
–{松山ケンイチと東出昌大は、実は初対面?!}–
劇中の対局シーンを彷彿させるような凛々しい和服姿で登場した、松山ケンイチさんと東出昌大さん。
「今日、僕たちだけ(松山さんと東出さん)和服を着てますが…。その答えは…。東出くんが知っています!」と、無茶ブリする松山さんにギョッとした表情を見せる東出さん。
早くも息ぴったり!…と言いたいトコロなのですが。
共に撮影期間を過ごして迎えた完成披露、時々はにかんだ笑顔を見せながらも、お二人からはどことなく緊張感が漂っています。
すると森監督が「ライバル同士の役なので、撮影中はお互いにあえて距離を取ってたんです。だから、今日もまだちょっと噛み合ってないかも…(笑)」と、暴露。
監督の発言に、松山さんも東出さんも思わず苦笑い。
「撮影中はずっと、村山と羽生として向き合ってきましたから。(舞台挨拶前に受けた)個別取材の時、『ひょっとしたら、いま初めて“松山ケンイチさん”と会話してるかも』と思いました」と、東出さん。
共に撮影期間を過ごしながらも、ほぼ初対面に近い状態とは、なんとも不思議な感覚ですね。
その後のプロモーションなどで、お二人がどんな風に親交を深めてらっしゃるかも気になるトコロですね〜。
その後のトークセッションでも…。
「完成披露舞台挨拶は楽しい雰囲気にしたい」と本番直前の控え室で話しながらも、村山聖さんの話題になると情熱的に語る松山さん。
「真面目な話になってしまいますが…」と前置きをしながら、撮影現場での体験を振り返る東出さん。
いかに本作と真摯に向き合ってきたかが伝わってくる、熱量あふれるお話に、観客の皆さんも聞き入ってらっしゃいました。
–{扇子にしたためた言葉は…}–
棋士の方々にとって、対局の際に外せない道具と言えば、扇子。
棋士の皆さんは各々の“座右の銘”を扇子に書いて、対局に使用したり、お祝いの席で来賓に配ったり、ファンへのお返しの品に使用したりしています。
この扇子のことを「揮毫(きごう)入り扇子」と言います。
そこで完成披露の場では、登壇者の皆さんにもご自身の“座右の銘”を記した「揮毫入り扇子」をご紹介いただきました。
まずは、森義隆監督。
「聖魂(せいこん)」と書かれた扇子を広げ「造語です。この映画では村山聖さんの魂とずっと向かい合っていたので…」と、コメント。
竹下景子さんは「絆」。
「ライバル同士、師弟、家族。そういった絆の中で生かされているということに私も胸を打たれましたので、この言葉を選びました」と、笑顔。
安田顕さんは、ひらがなで「おだやかに」。
「僕はとてもせっかちなんですよ。だからここ最近は、穏やかにいることを心がけています」と、意外な一面も。
東出昌大さんの“座右の銘”は「無私」。
「私利私欲を捨てたり、自分を捨てて他所のものになるというのが役者の仕事だと思います。この映画で無私の境地に行くことができたので、これからも欲を出さずに仕事に打ち込めたら」と、決意も新たな様子。
そして、松山ケンイチさん。
“座右の銘”は、「好きに勝るものなし」。
「原作を読んだ時に村山さんの生き方に心を揺さぶられ、同時に村山さんのことを好きになりました。この人を演じられるなら、自分も全部捨てられるという思いがあったからこそ、今があるんだと思います。決して楽なことばかりではありませんでしたが、“好き”という気持ちはすべてを超えますよね」と、改めて本作への思いを語って下さいました。
ちなみに、村山聖九段の“座右の銘”は「大局観」。
村山さんは対局中、ずっと文字が書かれていない白扇を使用していましたが、八段昇段の時、初めて「大局観」と揮毫した扇子を作成。
この「大局観」が最初で最後の直筆の「揮毫入り扇子」となったそうです。
最後に「大きな何かに撮らされた映画のように感じています。村山さんに惚れた人たちが集まって、自然と出来上がった映画ですし、今日からさらにいろんな人に広がって、映画が大きくなっていければ良いなという思いでいます」と、森監督。
そして「僕はこの作品に携わって、自分の人生を大事にしたいと、心から思うようになりました。この作品を観ていただいて、皆さんの心にも何かを残していただけますと幸いです」と、松山さん。
和やかな雰囲気の中にも、作品に込めた魂が感じられる舞台挨拶となりました。
『聖の青春』は、10月25日から開催される「第29回東京国際映画祭」のクロージング上映作品に決定。
11月19日から全国ロードショーです。
それではまた次回、お会いしましょう。
お相手は、八雲ふみねでした。
聖の青春
2016年11月19日から丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督:森義隆
原作:大崎善生(角川文庫/講談社文庫)
出演:松山ケンイチ、東出昌大、染谷将太、安田顕、柄本時生、北見敏之、筒井道隆、竹下景子、リリー・フランキー ほか
©2016「聖の青春」製作委員会
八雲ふみね fumine yakumo
大阪市出身。映画コメンテーター・エッセイスト。
映画に特化した番組を中心に、レギュラーパーソナリティ経験多数。
機転の利いたテンポあるトークが好評で、映画関連イベントを中心に司会者としてもおなじみ。
八雲ふみね公式サイト yakumox.com