(C)奥浩哉/集英社・「GANTZ:O」製作委員会
10月14日(金)より映画『GANTZ:O』(以下、本作)が公開されます。結論から申し上げれば、本作は日本で作られたフル3DCGアニメというジャンルにおいて、最高傑作であると断言できてしまう完成度でした!その理由を以下に記します!大きなネタバレはありません!
1.『マッドマックス』なアクションがぶっ続く!見せ場が満載だ!
本作の原作は、累計発行部数2100万部を誇る人気マンガ『GANTZ』。今回はその中でも最も人気の高いエピソードである“大阪編”が映像化されています。
そのおもしろさと完成度は原作者である奥浩哉さんのお墨付き。なにせ、本作を観て「マッドマックスくらい見せ場の連続ですよ!やばいです!」とツイートするくらいなのですから。
GANTZ:O、マッドマックスくらい見せ場の連続ですよ!やばいです!
— 奥 浩哉 (@hiroya_oku) 2016年7月22日
その通り、これは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のように、見せ場たっぷりのアクションが狂ったように(超褒めています)ぶっ続く作品なのです!会話シーンの割合はごく少なく、96分の上映時間をたっぷり使ってアクション!アクション!アクションばかり!
それでいて、しっかり緩急をつけた演出があるので、ただただ疲れるということも、説得力がないということもありません。ただただ映像の凄まじさに圧倒されるアクションもあれば、原作そのままの“不条理に翻弄される”展開、理論的に構築された“作戦”に則ったバトルもあるので、興奮につぐ興奮を味わえるでしょう。
2.『パシフィック・リム』に大興奮した方は感涙必至!
本作には、日本男児、特撮好きが大熱狂した『パシフィック・リム』のような要素があります。なぜかはネタバレになるので書けません!原作マンガを読んでいる人は「あのことか!」とだけ思っておいてください!
なお、原作者である奥浩哉さんはこの点について、「原作では(作画で)力尽きてしまったけど、それが今回は大活躍しています。原作でできなかったことをやってくれました」と語っています。
もう“それ”が出てきたとき、そして大盤振る舞いの大活躍をする様は、涙が出るくらいうれしかったです。原作でも味わえなかった、“その先”にある感動を見届けてください。
3.『ドラゴンボール』のような圧倒的な絶望感を味わえる!
原作マンガを読んだ方ならご存知でしょうが、“大阪編”はとんでもなく強い敵が現れ、さらにもっと強い敵、もっともっと強い敵、もっともっともっと強い敵が続々と現れるという、圧倒的な絶望が訪れるエピソードでした。
これは例えるならば、『ドラゴンボール』のフリーザ編のようなものです。フリーザが「私の戦闘力は53万です」と言い、その後に巨大化し、さらに第3形態、第4形態と変身し、ベジータが涙したときのような……いや、それだけでなく、ついでにコルド大王までもがやってきたような絶望感がありました(もちろんトランクスみたいな助っ人が現れたりもしません)。もちろん映像でそれが描かれるのですから、本作の絶望感は原作マンガ『GANTZ』を超えてくるほどなのです。
さらにうまいのが、(一応の)味方である“大阪チーム”にも圧倒的な戦力を持つ人間が何人もいることです。彼らにとって敵のザコは本当にザコ以下で、ナメきっていても勝ててしまう戦闘ばかり。だけど、“ボス”相手にはそうはいかない……その“強さの違い”を突きつけられるのです。
劇中では何度も「あっこれ終わった……」「無理だこれは勝てるわけがない……」と思ってしまいました。“圧倒的な強さの違いから来る絶望”を、ぜひ体感してください。
4.PG12指定の限界に挑戦!残酷さからもエロからも逃げない!
原作マンガの魅力の1つは、情け容赦のない残酷描写、作者の巨乳好きっぷりがちょっと怖くなる(笑)エロ描写にもあります。もちろん“大阪編”のエピソードでもそれは同様、血がブシャブシャと飛びまくるのはもちろん、“大阪チーム”の一員には“セックス依存症”の男がいたりもするのですから。
本作は、PG12指定(12歳未満の方は保護者の助言・指導が必要)というレーティングがされていますが、その指定で許されるギリギリを突っ走っています!数々の残酷描写はもちろん、特に敵の“アレ”が盛り上がってきたときには「これを描いちゃっていいのかよ!」とヒヤヒヤしてしまいました(ワクワクもしました)。
「残酷さとエロがなければ『GANTZ』じゃない」と思っている方も本作は満足できるでしょう。さすがに原作そのままだと18禁になってしまうような描写はオミットされていますが、ギリギリの線で中学生が観ても問題ない程度のエログロに調整していることも見事です。
5.豪華声優陣の共演!アニメ好きも見逃すな!
アニメ好きに訴えておかなければいけないのは、その声優陣の豪華さ!
主役の加藤には小野大輔さん、2人のヒロインには M・A・Oさんと早見沙織さん、さらには小野坂昌也さん、梶裕貴さん、津田健次郎さん、そして人のいい“おっちゃん”こと鈴木には、『機動戦士ガンダム』のシャア役でおなじみの池田秀一さんを配役するなどと……アニメファンにはこれだけでもたまらないものがあるでしょう。
なお、ゲスト声優として芸人のレイザーラモンHGとレイザーラモンRGも参加していますが、これも文句無しの上手さ!演じているキャラのゲスさにハマりまくっており、ベテラン声優陣にまったく引けを取りません。
–{原作マンガを読んでいる人と、読んでない人で違った感動がある!?}–
(C)奥浩哉/集英社・「GANTZ:O」製作委員会
6.原作を読んでいなくても問題無し!
本作のストーリーは“わけのわからない宇宙人(?)と強制的に戦わされる”とシンプルで、しかも“正義感に溢れた少年がたった1つのミッションを完遂しようと試みる”内容であるため、非常に感情移入がしやすくなっています。
そもそも『GANTZ』は原作マンガから、“不条理な戦いに巻き込まれる”“何が起こるかわからない”というおもしろさに満ち満ちてしました。そのため、予備知識が一切なくても、いや、だからでこその興奮もあるのです。
そのため、本作は『GANTZ』を一切知らない、アクション映画ファン、アニメファン、なんなら映画をほとんど観ない人とっても、問題なく楽しめます。ぜひ劇場に足を運んで欲しいです。
7.原作ファンにとって至福の体験となる!
これまで書いてきた通り、本作は原作マンガの“大阪編”をたっぷりの大迫力のアクション描写で映像化した作品です。「映像で観たい!」と思っていたであろう“おぞましいまでの敵の強さ”“燃える展開”を詰め込みまくった本作を劇場で観ることは、『GANTZ』ファンにとって“至福”と言うべき体験になるのではないでしょうか。
原作者の奥浩哉さんは、「漫画原作の理想の映画化の形を目撃して下さい!」ともツイートしています。これにも、完全に同意せざるを得なくなるでしょう。
『GANTZ:O』本予告
いよいよ 今週 金曜日からGANTZ:O公開です!漫画原作の理想の映画化の形を目撃して下さい! https://t.co/EJ6Ln6qJzG
— 奥 浩哉 (@hiroya_oku) 2016年10月10日
8.原作を読んでいる人、読んでいない人、それぞれに違った感動がある!
本作はシナリオも感動的に仕上がっています!ネタバレになるので一切詳細は書けませんが、原作マンガを読んでいる人と、読んでいない人、それぞれに“違った感動”があるのです!
おそらく、原作を読んでいる人にとっては、序盤から「あれ?おかしいぞ!」という“違和感”を得るのではないでしょうか。その違和感をぜひ覚えておくことをオススメします。これは原作を読んだ人だけの“特権”です。
原作を読んでいない人にとっても、登場人物の“反応”に注目してみると、気づけることがあるのではないでしょうか。自分は先に原作を読んでいたので、この“原作を読んでいない人”の感動が味わえないのがもどかしい!ああ!GANTZに記憶を消してもらいたい!
まとめ:とにかくヤバイ!これは2016年、新たに熱狂を呼ぶ映画になる!
試写会場で場内が明るくなった瞬間、本作を観た人たちからは(1人だけではない!)「ヤバイヤバイ!」という声が聞こえてきました。その通りで、本作を表すならば、どんな言葉よりも「ヤバイ!」が似合う、凄まじい興奮があるのです。
本作がいざ10月14日(金)に公開されれば、『シン・ゴジラ』や『君の名は。』と同じような熱狂が、ネット上に溢れかえるのではないでしょうか(いや、溢れかえる、と断言できます)。それくらいのスタッフの血のにじむような努力、原作へのリスペクト、エンターテインメントとしての“突き抜け”を感じるのです。
2016年は、『君の名は。』と『聲の形』が、どちらも違った形での大傑作のアニメ映画に仕上がっていましたが、この『GANTZ:O』もまた劇場で見逃すのは絶対に損である、新たなアニメ映画の到達点と断言します。超・オススメです!
(文:ヒナタカ)