(C)HiGH&LOW製作委員会
まず、はじめに謝らせてください。
現在公開中の『HiGH&LOW THE MOVIE』は、EXILE TRIBE総出演のうえ、ドラマ、マンガ、SNS、ライブなどが連動して展開しているため、ファンの女性のみが楽しめるような、エクスプロイテーション(話題性を先行させて宣伝をする手法)映画という印象を持っていたのです。
そんな印象を持っていてごめんなさい! この『HiGH&LOW THE MOVIE』は、男性であっても、予備知識がなくても大いに楽しめる、すんばらしい娯楽作だったのですから!
ここでは、アラサーのおっさんである自分が、本作が映画ファンにとっても必見作である理由を紹介します。
1.イケメンというだけじゃない!『シン・ゴジラ』並みの豪華俳優陣を見逃すな!
本作の出演者は、EXILEメンバーはもちろん、『ホットロード』や『オオカミ少女と黒王子』の山田裕貴さん、『パレード』や『悪の教典』の林遣都さん、『空気人形』や『悼む人』の井浦新さんなど、かなり豪華。これは、現在公開中の『シン・ゴジラ』で総勢328名の出演者が共演していたことを彷彿とさせます。
若いイケメンだけでなく、中村達也さん、白竜さん、豊原功補さんなどの渋いおじさまキャストがこれまた魅力的。小泉今日子やYOUというベテラン女性キャストが共感必死の言葉を口にするのもたまりません!
2.予備知識がなくても大丈夫!ストーリーは超シンプルだ!
この『HiGH&LOW THE MOVIE』は、過去のシリーズを観ていなくても、まったく問題なく楽しめます! オープニングでは簡潔にシリーズのおさらいをしてくれるうえ、ナレーションが『新世紀エヴァンゲリオン』や『銀魂』でおなじみの立木文彦さんなのでテンションをガン上げできるでしょう!
物語は、岩田剛典さん演じる“コブラ”と、それと対立するAKIRAさん演じる“琥珀”、裏で暗躍するV.I 演じる“李(リー)”という三つ巴の構図がシンプルにまとまっています。これほど多くのキャストが登場しているのに、混乱せずに観られることも、本作の長所でしょう。
3.日本映画とは思えない予算をかけまくったアクション!これは日本製『マッドマックス 怒りのデス・ロード』 だ!
もうね、はじめっから「日本映画でこんなことすんのかよ!」なシーンが出てきたので大笑いしてしまいました。詳しくは書けませんが、驚きのあまり椅子から転げ落ちそうになったくらいですよ!
そのほか、劇中には白ずくめのホストっぽいイケメンたちが大型バイクに乗って登場したり、霧でよく見えなくなった奥のほうからトラックとバイクの集団がごっそりやって来たり、飛んだり跳ねたりのアクションまでもが満載です。寂れた商店街の画も相まって、これは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』なの?と思ったくらいです(決して誇張ではなく)。
しかも、本作のアクション監督は『黒執事』や『るろうに剣心』の大内貴仁さん。そのキレのある演出は迫力満点なうえ、これほどの登場人物が入り乱れているのに “なにが起こっているのが一目わかる”観やすさもありました。
何よりクライマックスでは 、この映画のために作った300m超のコンテナ街で、総勢500人による“大群”の戦いが勃発するのです! スピーディーで、まばたきするのももったいないこの大迫力のアクションを、ぜひ劇場で堪能してほしいです。
さらに、すごいのは、それぞれの“地区”ごとにキャラの個性があるだけでなく、アクションのバリエーションも豊かなこと! とくに、“RUDE BOY”の立ち振る舞いにはシビれました! 以下に紹介します!
4.パルクールな動きがすごい!“無重力アクション”を見逃すな!
パルクールをご存知でしょうか? これは“フリーランニング”とも呼ばれ、地上や壁をたぐいまれな身体能力で攻略していく競技です。実在のパルクール集団を題材とした『YAMAKASI』、パルクールを使って警察から逃げるシーンがあるドキュメンタリー『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』、はたまた『007 カジノ・ロワイヤル』の冒頭のアクションなどで知っている映画ファンも多いでしょう。
天涯孤独の者たちが集まる地区“RUDE BOY”のメンバーは、まさにこのパルクールなアクションをしまくり! 池上ではブレイクダンスをするように敵を翻弄し、空中では“重力を無視する”ようにジャンプし、「お前は白井健三選手か!」と思うほどのすっげえ“空中回転”もするのですから、たまりません。
なお、劇中でもっともスゴいパルクールの技を見せるZENさんは、日本人初のプロトレーサーとして注目を集める方。もっともっと映画での活躍も期待したくなりました。
RUDE BOYのリーダーを演じる窪田正孝さんもじつに魅力的。口数は少なくても、何よりも家族のことを大切にし、芯には熱いものを持っている青年にはぴったりでした。
–{それぞれの地区の“濃さ”が超ヤバい!}–
(C)HiGH&LOW製作委員会
5.世界観が素晴らしい!これは『スワロウテイル』『TOKYO TRIBE』の再来だ!
退廃的な美術・世界観もじつに魅力的! 美術担当は『るろうに剣心』『ライチ☆光クラブ』の橋本創さんで、「これを日本で撮影したの?」「めっちゃ映像が綺麗!」という驚きに満ち溢れています。
とくに、“無名街”は日本映画とは思えない世界観を創り出した『スワロウテイル』を、それぞれの地区での豪華絢爛な見た目は『TOKYO TRIBE』を彷彿とさせました。さらには、『クローズ ZERO』的などこの世紀末かわからないほど崩壊した高校も出てきます(笑)。これは“スチームパンク”や“廃墟”といった要が好きな人にも、きっと気にいるでしょう。
また橋本創さんは、公開中の『秘密 THE TOP SECRET』でも美術監督を務めています。こちらの美術も必見です!
6.それぞれの地区の“濃さ”がすごい!あっという間に覚えられるぞ!
各地区のビジュアルや設定が個性的すぎて、あっという間に覚えられてしまえることも長所と言えるでしょう。
・山王連合会:商店街を大事に思ういいヤツら。人呼んで“山王街二代目喧嘩屋”。
・White Rascals:白ずくめのスカウト集団、傷付いた女性を大切に扱っており、“誘惑の白き悪魔”という中二……もとい、カッコイイ別名を持つ。
・鬼邪高校:より良いスカウトをその筋から得るため、留年をくり返して20歳を超えた者がゴロゴロいる高校。別名“漆黒の凶悪高校”。
・RUDE BOY:犯罪者や天涯孤独の子どもなど、天涯孤独の者たちが集まる“無名街”の守護神たち。その絆は強く、血のつながりがなくても“家族”とみなす。
・達磨一家:法被を着込み、太鼓をドーン!ドーン!と打ち鳴らしているお祭り好きな人たち。目的を達するまで達磨のごとく何度でも蘇る。
それぞれの頭文字を取って、その場所は“SWORD地区”と呼ばれています。
そのほか“跡目争い”をしている組織“九龍グループ 家村会”、韓国の組織“張城”、ヒップホップなどの音楽が大好きな“MIGHTY WARRIORS”、悪行の限りを尽くす黒ずくめ集団の“DOUBT”が入り乱れて戦闘をすることになります。
「なんだよ、覚えること多いじゃん!」と思うことなかれ、これが映画を観ると、意外とすぐに覚えられるのです。たくさんのキャラクターと地区を描いているのに、すんなり飲み込めるのは、オープニングの説明がわかりやすいだけでなく、衣装などでしっかりと特徴が描かれ、人物配置が整理されているおかげ。これは驚異的と言えるでしょう。
それぞれの地区でのアクションもスゴい。とくに、MIGHTY WARRLORSに属する、早乙女太一さん演じる劉(RYU)のアクロバティックすぎるソードアクションには大興奮しました!
また、レディースチームの”苺美瑠狂“もいい味を出しています。そのピンクの特攻服、チーム名の読みが”イチゴミルク“なこともあいまって、なんだか可愛らしく思えてきます(笑)。
7.音楽も楽しい!まるでミュージックビデオだ!
本作で特徴的なことがもうひとつ。それはBGMの代わりに“劇中歌”がたっぷりあること! ボーカル曲に合わせて、美しい画、迫力のアクションが展開するので、まるでミュージックビデオを観ているような感覚に陥りました。
各チームのテーマソングまでもがあるようで、音楽へのこだわりには並々ならぬものを感じました。観た後はサウンドトラックが欲しくなることは必至です。
8.細かいことは関係ねえ!
本作では“友情”や“絆”を口にすることが多くあります。これが現実世界だとクサい台詞に思えなくもないわけですが、これは映画だ関係ねえ!
“戦隊もの”のようなアツさがありますし(ナレーションが『仮面ライダー』シリーズでもおなじみの立木文彦さんですし)、これらは全く欠点ではなく、作品の“味”として楽しめるのです。
何より、この“友情”や“絆”は、今の忙しい時代に生きる男たちが忘れがちな、大切な価値観です。本作を女性だけでなく、男性にも観て欲しい理由が、ここにあります。これらをクサい台詞と思ってしまっている現代社会の方こそおかしいとも考えられるわけです。
まとめ.次回作も要チェックだ!
まとめると、『HiGH&LOW THE MOVIE』は『シン・ゴジラ』と同じく「日本映画で存分に金かけてやろーぜ!」「(イケメン)俳優を惜しげもなく投入しよーぜ!」な作品であり、『シン・ゴジラ』をもう1回観ようとしている人たちにも存分にオススメできる、ビッグバジェットな映画の魅力を堪能できる超娯楽作なのです。これをEXILEファンの女性だけに独占させておくのはもったいない!
しかも10月8日に早くも公開する次回作『HiGH&LOW THE RED RAIN』では、斎藤工という超イケメンがメンバーに加わるうえ、監督が『地獄甲子園』『珍遊記』の山口雄大さんになるという素晴らしさ! これは次回作も観ます! マジでオススメです!
(文:ヒナタカ)