映画『ゴーストバスターズ』が8月11日(木・祝)〜14日(金)に先行公開、8月19日(金)より本公開されます。ここでは試写会で先に本作を観た記者が、より楽しむための方法をお伝えします。ネタバレはありません!
1.予告編の時点では不評だったけど、いざ公開されてみると好評だった!
本作『ゴーストバスターズ』は、YouTubeの予告編が本国でブーイングの嵐になったことも話題になりました。
「“4人の科学者”とあるけど、オリジナル版(1984年の第1作)の4人のうちひとりは科学者じゃないよ」「ギャグがかみ合っていない気がする」といったまっとうな意見もあるものの、中には「なぜ女性でリブート(やり直し)なんかするんだ!」「おばさんばっかりで、キュートな若い女性が出ていないじゃないか!」というコメントもあります。
実際に映画を観た自分からすれば「いやいや、これは女性で描くことに意味があったんだよ!」「おばさんばっかりって、オリジナル版もおじさんばかりだっただろ!」「ギャグもおもしろかったよ!」と反論を唱えたくてしかたがない。何より「映画本編を観ないとわからないだろ!」と言いたいのです。
(この事前の悪評は、女性差別主義者のコメントにも起因した、アメリカ本国での女性嫌悪運動に本作が巻き込まれたせいもあるのだとか)。
この『ゴーストバスターズ』へのやっかみは、映画批評サイトのIMDbにまで発展。公開日前にもかかわらず、最低点の“0点”の評価をしている者が4500人以上に膨れ上がり、全体の50%を超えるという異常事態になりました(現在は0点評価をつけている者は28%ほどに落ち着いている)。つまり、映画を観ていないのに低評価をする不届き者ばかりで、評価が当てにならないのです!
そんなふうに、公開前に理不尽な差別と低評価に苦しめられた本作ですが、映画批評サイトのRotten Tomatoesでは公開後に75%前後の“フレッシュ”評価になり安定しています。批評家の反応は「うまくオリジナルの設定を女性主人公たちに落とし込んでいる」「コメディ、SF、ホラーのバランスがよく、この夏にオススメのエンターテインメントだ!」などと好評なのです。
自分も試写で観たとき、「めちゃくちゃ楽しいじゃん!」「映画は観なければわからない!」「映画本編を観ていないのに作品を評価するな!」ということを強く思った作品でした。
断言します。予告で不安に思っている方は、心配する必要は微塵もない!と。
2.本作は楽しい!楽しい!とにかく楽しい!
本作で何より見応えがあるのは、タイトルどおりのゴーストをバスターしまくるアクションの数々!
オリジナル版は、1984年という時代相応の(よい意味でチープな)ゴースト退治のガジェットが登場していましたが、今回は最新の映像技術によりその迫力が大幅にアップ! つぎつぎにワクワクする画がこれでもかと登場するのでたまりません。
ただガジェットが進化しただけでなく、そのアイデアも秀逸。とくにライブ会場でのギミックは大いに笑い、また驚けるのではないでしょうか。
なお、これでも中盤までのアクションはまだまだ“小出し”。クライマックスには「幸せ!超幸せ!」と思えるすんばらしい画が登場しまくるので、ぜひ楽しみにしましょう。
「30年前のあのガジェットがここまで進化しているなんて!」という喜びもたっぷりなので、オリジナル版が好きであればもう感涙ものでしょう。
3.オリジナル版『ゴーストバスターズ』を観ておく必要はある?
結論から言えば、オリジナル版『ゴーストバスターズ』および『ゴーストバスターズ2』を観ていなくても、本作はまったく問題なく楽しめます。
“人生がうまくいっていない系の女性4人が、ゴースト退治で大活躍!”という単純明快な娯楽作であり、小難しさもないのですから。
しかし、前述の通りガジェットはかなり進化していますし、過去作を観ているとうれしい“小ネタ”も満載だったりします。
主人公たちがオリジナル版のキャラそれぞれに当てはまるという人物配置も楽しいですし、◯◯や◯◯や◯◯まで登場する……ってこれはネタバレだから書けない! 試写会ではこのネタが出てきたとき、往年のファンと思われる方から歓喜まじりの笑い声が聞こえてきました。
要するに、オリジナル版を観ていると、ビックリすると同時に幸せになれるってこと!
4.絶対に3Dで観て!
世の中には数々の3D映画がありますが、本作の3Dとの相性の良さは尋常ではないものがあります。
具体的に何が飛び出してくるかはネタバレになるので書きませんが、これは遊園地のアトラクションのような“飛び出す”(いい意味で単純な)楽しさでいっぱいなのです!
個人的な“歴代3Dで観て本当によかった!”と思ったランキングを挙げると以下のようになりました。
1位 ヒックとドラゴン
2位 ゴーストバスターズ(←NEW!)
3位 ジャッジ・ドレッド(2012年版)
4位 アバター
5位 ゼロ・グラビティ
(『ピラニア3D』や『マダガスカル3』を3Dで観ていないことが悔しい!)
「あの過去の名作の続編が3Dで観られなんて!」という幸せは『ジュラシック・ワールド』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を軽く超えていました。
そんなわけで、本作は絶っっっっっっっっっっっっっ対!に3Dで観ましょう。いや3Dで観ろ!(命令)
5.じつは下ネタ満載!?
じつは本作は“ギリギリG(全年齢)指定で許されるくらいの下ネタ”も満載だったりします。主人公が初登場時からそこそこの下ネタをかますのは驚きました(笑)。オリジナル版もそれなりに下ネタがあったのですが、今回はけっこうパワーアップしていますね。
でも、“子どもに見せたくない”というほどキツい下ネタでもなく“大人ならわかる”程度なので、家族で観てもとくに問題はないでしょう。
ただ、子どもに「あれってどういう意味なの?」と聞かれると親御さんは困ってしまうかもしれません(笑)。
–{監督の過去作も要チェックだ!}–
6.監督の作品は下ネタ&フェミニズムに溢れている!
本作の監督・脚本を手がけたのはポール・フェイグ(脚本は『デンジャラス・バディ』のケイティ・ディポルド(女性)と共作)。じつはポール監督は、同じく下ネタがたっぷりある、女性を主人公としたコメディ映画を手がけていたのです。
『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』
長年の親友がめっちゃいい条件の結婚をするので、そのブライズメイド(花嫁付き添い人)のオーナー(世話役)を任されたアラサー女性によるコメディ映画。R15+指定です。
本作がうまいのは、下ネタがストーリーを進行させるファクターになっていること。主人公は親友のウェディングプランを企画していく中でなかでひっでえ失敗をくり返し、それが信用を失う原因になっていく。短絡的に下ネタを仕込む作品とはワケが違うのです。
なお、主人公役のクリステン・ウィグは、今回の『ゴーストバスターズ』でもリーダー格の女性を演じています。
『デンジャラス・バディ』
凸凹コンビによる刑事アクション。下ネタを挟みつつ、どんでん返しあり、アクションあり、正反対のふたりがタッグを組む“バディもの”としても秀逸と、とっても楽しい作品です。こちらもちょっとエゲツないコメディシーンがあり、よい趣味をしています(笑顔)。
邦題は、同じくサンドラ・ブロック主演作『デンジャラス・ビューティ』にひっかけたものになっています(原題は『The Heat』)。
『SPY/スパイ』
本国で高評価&大ヒットしたにも関わらず、日本ではDVDスルーとなってしまった作品(DVDレンタル&販売は8月3日より開始)です。自分は未見なのですが、ジェイソン・ステイサムとジュード・ロウというスター俳優が共演しているのも見逃せませんね。
監督の過去作を観れば、“そりゃ女性を主人公にするわな”“下ネタ満載だわな”と大納得できます(笑)。
なお、『ゴーストバスターズ』および以上に挙げた作品は、そのすべてにメリッサ・マッカーシーというコメディエンヌが主演or出演しています。その芸の広さ、存在感の大きさにも驚けるでしょう。
なお、ポール監督作品は、男性優位の社会のなかで生きる女性を応援するフェミニズム精神に溢れながら、意地悪な“辛辣さ”を忘れていません。そんな“監督らしさ”も大好きです。
7.最高に魅力的なクリス・ヘムズワースを見逃すな!
本作の女性主人公たちももちろん魅力的なのですが、『マイティ・ソー』でおなじみのクリス・ヘムズワースがもうたまりません!
彼がどういうキャラクターかは、念のため秘密にしておきます。もうこれは大爆笑できるうえ、“イケメンでもこれはダメだろ!”と言えるヒドい(超ほめてる)ものなのです。
ちょっとくらい知っても構わないという方は、以下の動画を観てみてください。
ね?ヒドいでしょう(笑顔)。動画のなかでレスリー・ジョーンズ(黒人の女優)がつぶやく「不公平だわ!」に同意しまくりました。
8.吹き替え版も要チェックだ!
ヒドい(ほめています)役柄のクリス・ヘムズワースの声を担当するのは、『ズートピア』で詐欺師のキツネのニックを演じたことでも記憶に新しい森川智之さんです! イケメンボイスであのキャラを堪能できるなんて! 試写では字幕でしたが、絶対に吹き替え版でもう一度観ます!
なお、主人公たちの吹き替え担当が友近&渡辺直美と、映画ファンからは評判のよろしくない“芸能人の吹き替え”なのですが、友近は『シュガーラッシュ』での吹き替えが(ちょい役ですが)好評、渡辺直美も『ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密』での吹き替えの演技が評価されているので、問題はないでしょう。以下のミュージックビデオもとっても楽しいですしね。
9.字幕もクオリティーが高い!
本作の字幕担当は栗原とみ子さん。作中のダジャレや下ネタを過不足なく示されていて、その手腕は素晴らしいものでした。とくにクリス・ヘムズワースのセリフにある“勘違い”は必読です!
ちなみにオリジナル版の字幕担当は戸田奈津子さんで、有名すぎる主題歌の「If there’s something strange in your neighborhood」というフレーズを「ややや ケッタイな」という珍……ゲフンゲフン、名訳をしたことでも有名です。今回はこの訳が出ていないことにがっかりする人もいるかもしれませんね?(疑問系)
10.映画史上最高のエンドロールだ!
これもネタバレになるので詳細は書けませんが、エンドロールが!幸せすぎて!死ぬかと思いました!(歓喜)
普段はエンドロールが始まったらすぐに帰ってしまう人も、本作は最後まで座って観ておくことを超・超・超オススメしておきます。
まとめ.女性やもちろん男性にもオススメ!
そんなわけで、とにかく本作は事前の悪評や、「女性が主人公になった」なんてことを考えなくても楽しめる、いやむしろ知ってこそ楽しいすんばらしい娯楽作です。
なお、本作の劇中では“女性だから”という理由で主人公たちが評価をされないような場面が出てきています。
まるで現実で、この『ゴーストバスターズ』が(映画本編を観ていないのに)女性を主人公としたことで、理不尽な悪評を受けたことと同じように……。
ぜひこの映画は、社会で生きる女性はもちろん、女性に対して偏見や差別やをしてしまいがちな男性にもオススメします。
何より、クライマックスとエンドロールでは前述したように、幸せな画がこれでもかと登場するんですから! これは!劇場で!3Dで!絶対に観ましょう!
(文:ヒナタカ)