2015年度の正月映画として興収78億円を計上し、まさに妖怪的大ヒットを記録した『映画妖怪ウォッチ』の第2作が堂々完成しました。
《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街~vol.82》
お子さんたちお待ちかねの『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!」です!
(C)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2015
今回は子どもたちにより優しく楽しめる作り
(C)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2015
今回の作品は、まずサブタイトルに偽りなく、5つのオムニバス形式で構成されていることで、これにより1本1本の時間が短くすむことで、小さいお子さんたちが飽きずに見ていられる配慮がなされているように思われます。
また、ひとつひとつのお話も、最初のエピソードは主人公ケータが何と妖怪になってしまうお話で、本来ならこれだけで長編映画を作っていいのではないかといった内容です。
(C)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2015
2番目のエピソードは、8年後の世界を舞台に、ごぞんじジバニャンが生きていたころの飼い主エミがデザイナーの卵として失敗を重ねながらも(その失敗が誰のせいかは言わずもがな!?)成長していくという、まさかの青春ストーリー。
(C)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2015
ここでは長澤まさみがエミの声を担当していますが、彼女はこれまでにも映画『コクリコ坂から』やゲーム『ニノ国』など声の仕事をこなしてきているので、今回も微笑ましく聞いていられます……。
さらに4番目のエピソードでは全方位ヲタク少女の新キャラ、イナホちゃんが登場するなど、さまざまな趣向を凝らしながら、一見つながりのないエピソードが4つ連なっていきます。
(C)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2015
そして、最後のエピソードでそれらはすべてひとつの物語として融合されてのクライマックスとなっていきます。
そのカギを握るのは、イケメン少年の風貌が、おじさんたちには時代の流れを痛感させる(⁉)エンマ大王。
それこそ、先ごろ亡くなった水木しげるの妖怪ワールドから、こういう風に日本の妖怪たちは発展しているのかとうならされながら、大人も楽しく見ていられることでしょう。
–{レベルファイブの新作『スナックワールド』が同時上映!}–
レベルファイブの新作『スナックワールド』が同時上映!
実は前作では映画ネタがひそかにいっぱいちりばめられていて、映画マニアが見ていてニマニマさせられる要素が隠し味として盛り込まれていたのですが、今回はそれを発見することはできませんでした。
(武田鉄矢の金八ネタはありますけどね。もしかしたら、こちらの勉強不足で、実は今回もよりマニアックなネタがこめられているのかもしれませんが)
ただ、今回はオムニバス形式も含めて、より子どもたちが楽しめる作品にすることに専念して作られている感もあり、それはそれで正しい方向性であろうと思われます。
また今回は短編『スナックワールド』も同時上映されますが、これは『妖怪ウォッチ』はもとより『イナズマイレブン』『ダンボール戦記』などなど、子どもたちのためのクロスメディアプロジェクトを推進し続けるレベルファイブの最新作で、来年度から本格的にゲームやマンガなどで展開される予定のものでもありますので、早めにチェックしておいてもいいでしょう。
映画マスコミに身を寄せる側としては、今回の作品が前作を越えるヒットになるかなど、意地悪な見方もないわけではないのですが、子どもたちにそんなことなど一切関係なし。
純粋に映画館体験を楽しめる愛らしい作品に仕上がっていることを、まずは褒め称えておくべきでしょう。
(文:増當竜也)
(C)LEVEL-5/映画『妖怪ウォッチ』プロジェクト 2015
映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!
【声の出演・キャスト】
天野ケータ:戸松 遥
未空イナホ:悠木 碧
ウィスパー:関 智一
ジバニャン:小桜エツコ
USAピョン:重本ことりクリエイティブプロデューサー/企画・シナリオ原案:日野晃博
原作:レベルファイブ
連載:月刊コロコロコミック
監督:高橋滋春・ウシロシンジ ※高橋滋春の「高」ははしごだかです
脚本:日野晃博・加藤陽一
妖怪&キャラクターデザイン原案:長野拓造・田中美穂
音響監督:三間雅文
音楽:西郷憲一郎■公開日
2015年12月19日全国東宝系にてロードショー■公式サイト
www.eiga-yokai.jp/