世界中で愛され続けているスヌーピーとチャーリー・ブラウン。日本でもこれまで幾度となくTVや映画でお目見えしてきた、あの人気キャラクターが……。
《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街~vol.72》
3DCGアニメーション映画で登場!
温かみも膨らみもあるチャーリー・ブラウンと仲間たちの世界
本作『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』は、原作者チャールズ・シュルツがアメリカのコミック“ピーナッツ”に連載開始してから65周年を記念して制作された作品です。
お話は、ご存じ何をやっても駄目な男の子チャーリー・ブラウンが赤毛の転校生に恋をしてしまい、ダメ人間だった自分を変えようと奮闘していくうちに、周りのみんなからリスペクトされるような事態となっていくのですが……といったもので、アメリカの子どもたちならではの日常がシリーズならではの淡々としたおとぼけタッチでほのぼのと描かれていきます。
正直、3DCGになって、従来の味わいが薄れてはいないかと危惧もしていたのですが、そんな心配は全く無用の、私たちが勝手知ったるチャーリー・ブラウンたちの世界が、原作イラストからスキャンされた温かみのある立体キャラクター造型とリアルな質感の背景の見事な調和によってもたらされています。
–{イマドキの人気子役による吹き替え版}–
もちろんスヌーピーも、おなじみ犬小屋の屋根に乗ってパイロットとなる空想シーンでは、大空のエース、レッドバロンとの一騎打ちを展開したり、チャーリー・ブラウンのためにダンスを教えたり、あれこれ面倒を見たり(ふと、日本のドラえもんとのび太の関係性などは、実はここから倣ったものなのかなと思ってしまいましたが)、また親友ウッドストックとのコンビネーションも良好です。
チャーリー・ブラウンの仲間たちの魅力も楽しく描出されていて、勝気なルーシー、天才ピアニスト(?)シュローダー、そして今回はチャーリーの妹サリーの見せ場が多いような気もしました。
イマドキの人気子役による吹き替え版
こういったアメリカの子どもたちの日常風景は、日本人にとってどこかまぶしくも親しみやすく、おしゃれでクールにいかすものとして憧れの存在でもりましたが、それは昔も今も変わりないようで、街を歩けば必ずどこかしらスヌーピーのグッズやイラストを見かけますし、またこれからクリスマス・シーズンに向けての映画公開も実にふさわしい感じがします。
昔も今も、ということでは、今回の吹き替え版は鈴木福(チャーリー・ブラウン)、谷花音(ルーシー)、小林星蘭(サリー)、そして芦田愛菜(赤毛の女の子)などイマドキ人気の子役スターが勢揃い。
思えば私などが子供の頃、NHKでオンエアされていたときのスヌーピーTVアニメの吹き替えは、何と谷啓(チャーリー・ブラウン)やうつみみどり(ルーシー)といった大人たちだったのですが(正直、この時期の吹き替え版も見直してみたいものです)、最近は子どもたちが吹き替えるようになってきているようで、それはそれで一つの味わいかなとも思います。
この冬は『スター・ウォーズ』をはじめ、007、ロッキー、妖怪ウォッチなどの人気作品の新作が勢揃いしていますが、その中で本作は老若男女を問わず、またデート・ムービーとしても違和感のないおしゃれな作品として、かなりの大穴的作品になるような気もしています。
でも、ちょっとだけ本音を言わせていただけると、次はいつもの2Dセル画タッチのアニメで見たいものです(旧作をどこか名画座などで上映してくれないかな)。
(文:増當竜也)
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