臓物のにおいを想像してしまいそう?映画『フリーキッチン』初日舞台挨拶

INTERVIEW

2015年11月28日(土)、ユーロスペースにて映画『フリーキッチン』の公開初日舞台挨拶が行われ、主演の森田桐矢さん、延増静美さん、大貫真代さん、中村研太郎監督が登壇しました。

今作は福満しげゆきの短編漫画『娘味』を原作に、日常的に人間を捕まえ料理する母の元で育った、高校生ミツオの生活と恋愛を描いた映画。カニバリズムをテーマにしながらも、極端に暗い作風やグロテスクな描写が多いわけではなく、ホームドラマとして観られる作品です。

主演の決め手は「暗い表情が似合う」こと?

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映画初出演で主演をつとめた森田さん。監督によると、原作漫画のキャラクターに寄せようと思ったわけではなく、自身が脚本を書いていたときのイメージでキャスティングしたとのこと。「いじめや自分の家庭環境に悩んでいて、ずっと暗い顔をしている少年なので、そういう表情が似合って、なおかつかわいい子がいいなと思って選びました。お芝居も上手だったし、オーディションで待っている時の不敵な感じがよかったです(笑)」と、オーディションでの決め手を話していました。

シナリオを読んでの感想を尋ねられた延増さんは、もともと監督の知り合いだったそうで、脚本ができるまえに、「臓物にダイブしてほしい」と監督に言われていて「ぜひやらせてください!」と答えていたそう。
また、「脚本を読んで、怖いというよりは、説明のセリフが多くて難しい役だなと思いました。でも演じるにあたっては、脚本に素直にやろうと思って、ある親子の話だと思って演じました」と明かします。

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そんな延増さんとの共演について、森田さんは「撮影中は対面のシーンが多かったけど、ぐいぐい圧をかけてくるんです(笑)。言葉ひとつひとつでプレッシャーをかけてくるというか。それが母親からミツオにかかっている圧と通じるものがあって、自然に演じられたと思うので、助けられたと思います」と話します。
延増さんは圧をかけていた自覚はなかったそうで、「そうだった!?」と苦笑。監督もその圧は狙い通りだったそうで、「結果的によかったと思います」とコメントしていました。

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ヒロインの大貫さんは、ハ虫類を売るペットショップの店員ということで、「今まであまりヘビとかをまじまじと見たことはなかったけど、意外とかわいいんだなと思いました」と話し、役どころについては「ミツオの生活に変化を起こす重要な役割だったので、心して演じました」とのこと。
「あまり話すとネタバレになっちゃう!」と多くは語れないようで、気になる方はぜひ劇中で観てみてください。

–{ミラクルな世界が広がった撮影現場}–

ミラクルな世界が広がった撮影現場

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撮影中には、本物の臓物が用意されたというエピソードが。大貫さんはその中に寝転がるシーンがあったそうで、「現場にいったら臓物がぷかぷか浮いていたりして、びっくりしました。しかも、髪の毛についたにおいがなかなかとれないんです! 現場でみんなに嗅がせてたりしました(笑)。意外と楽しくやっていました」と臓物に囲まれたシュールな現場ながらも、和やかなに過ごしていたようです。

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延増さんは「今まで嗅いだことのないにおい。2日くらい鼻の奥に残っていました。それを監督が芳香剤で消そうとした結果、ミラクルな世界が広がっていました(笑)」と暴露。
それを聞いた監督は「申し訳ないなぁと。でも、そんな中で女性スタッフは嬉々として臓物と記念撮影をしていたので、やっぱり男性より女性の方がそういうものに対して強いんだなと思いました」と淡々と話し、客席やキャストたちから笑いが起こっていました。
ちなみにその時のことを尋ねられた森田さんは「結構やられていました。気合いで乗り切りました(笑)」とコメントしていました。

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最後の告知コーナーでは「主演映画が決まっていまして…というのは嘘なんですけど」という大貫さんの冗談にキャストたちも驚かされたりと、劇中のテンションとは一転した笑いに満ちた舞台挨拶となっていました。
映画『フリーキッチン』は渋谷・ユーロスペースにてレイトショー中です。

(取材・文:大谷和美)

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