編集部公式ライターの大場ミミコです。
2015年11月28日公開の映画『愛を語れば変態ですか』。前回、当サイトにアップされた福原充則監督のインタビューはもうお読みいただけましたでしょうか?
…え?まだ読んでいない?
そいつぁ〜勿体無い!あのインタビュー(というか講話)は、人類に覚醒をもたらすマスターキーといっても過言ではありません。今からでも是非お読み下さいね。
●三股されて生まれた作品『愛を語れば変態ですか』福原監督インタビュー・前編
さて前編は「巨匠になるとロリコンになる」という謎の言葉で締めくくられましたが、後編ではその真意が明らかにされます。そして、リーマンショックや震災以降の世界情勢についても鋭い視点で展開していきます。性愛・情愛・人間愛・・・様々な“愛”を網羅した感動のインタビュー(後編)を存分にお楽しみ下さいませ。
疾走するあさこはまさに『汚れた天使』
―― (前編より)ロリコン…ですか?
福原監督「女優に処女性を求めるみたいな。たぶん、自分が年齢を重ねて汚れるほど、無垢なものが未知な存在となって、それが“神秘”まで行き着くんですかね? それと似たような感じ、かどうかわかりませんが、あさこも未知で神聖な存在なんです。ただちょっと極端で、汚れた天使みたいになっているという」
―― 汚れた天使…なるほど!その通りですね。
福原監督「まぁ結局は男性的な目線というか、女の人に対する幻想かもしれませんが。もしかしたらマザコンみたいな映画かもしれないです。」
―― だらしない男が、強い女性に引っ張ってってもらう話ですものね。
福原監督「甘えてるだけなのかもしれないですけどね。」
『愛』そして『変態』…映画タイトルの源流に迫る
―― この「愛を語れば変態ですか」というセリフは秀逸でした。他のセリフも活き活きとしていて、魅力的なものが多く見られました。「でも私、世界を変えてくるからさ」とか「そもそも二人だけの幸せなんて無理!愛ってそんな小さいもんじゃないからさ!」とか、愛にまつわるセリフは特に心に響きました。
福原監督「言ってますね。『みんな愛を馬鹿にしてる』とかね。」
―― 元々このお話は、愛した女性に三股かけられたご自身の経験から生まれたとのことですが、その女性に「なぜそういう事するの?」って聞いたら、あさこのセリフのような答えが返ってくるかもしれませんね。「愛を持ってる人が、必要としてる人にあげていけば、みんな幸せになれるでしょ?」みたいな(笑)。
福原監督「そのセリフに関しては、2011年の震災あたりから、個人の利益だけ求めていても、自分も含めて誰も幸せになれないんじゃないかと思い始めたことがきっかけで書きました。例えば『僕は君を必ず幸せにするよ』とか言ったりしますが、どこまでの話なのかなって思うんですよ。」
福原監督、『愛は地球を救う』番組に高らかに提言!
―― どこまでとは?
福原監督「『幸せにする』って言うけど、憲法や税金、社会と世界の仕組みまで含めて、私を“必ず”幸せにすると言ってるのですか?ってことですね。」
―― 解ります。気に入った洋服、充実した労働環境、犯罪や戦争のない世の中…それらを全部叶えようとしたら、法律や他人の人格、社会通念まで変えなきゃいけませんからね。
福原監督「リーマンショック以降、資本主義の限界みたいなものもあって…なーんて正論を言い出すと、なんかつまらないじゃないですか。と言いつつ、そういう説教臭いのも好きなんですけど。と言いつつ、メッセージはこっそり伝えたいというのもあり…」
―― 私も含め、そう思ってる観客は結構多いと思いますよ。ちょっとふざけたセリフや、極端なシチュエーションでパッケージしているけど、実はかなり精神的なことを語った話だなぁと思って観ていました。
福原監督「ハハハ。ものすごい説教臭いですよね。」
―― ドスピ(超スピリチュアル)な映画だな~ってのが、本当は第一印象でした。例えば屋根の上で、チャンカワイさん演じる“ボン”とキスしたあさこが「どうだ!世界が変わっただろう?」って言うんですけど、実に「真理」に触れたセリフだなーと思いました。好きな人とキスしたら、邪な事や破壊的な事って考えられないじゃないですか。
好きな人と一緒にいる時の、ハッピーな気持ちをこの世の人が持ち続けていたら、世界に問題なんて存在しようがないですから。それを伝え、広める使命に目覚めたからこそ、あさこは絶叫&疾走したんでしょうね。
福原監督「そういうことです。だから『愛は地球を救う』という話なんですね。」
―― パンフレットも黄色ですしね(笑)。
福原監督「某番組も、もっと深い時間帯になったら大人バージョンやればいいと思うんですよ。『愛は地球を救う』って言っときながら、キスすら出てこないじゃないですか。個人的には、夜22時を過ぎたらキス、深夜2時とかになったらセックスも含めた愛について語って欲しいですけどね(笑)」
―― (一同爆笑)
–{人馬一体!?現代人の課題にが透けて見える作品}–
人馬一体!?現代人の課題にが透けて見える作品
―― 少し話は戻りますが、現在を生きる人々に対して「愛を軽んじてる場合じゃないよ」的なメッセージ性を孕んだ作品だと感じたのですが、いかがでしょうか?
福原監督「ですね。撮影したのは2〜3年前だったんですが、どう考えても世の中が悪い方向に行ってるなーと思ってまして。映画を公開する際、隠されたメッセージに気づいて欲しい反面、時代が酷くなりすぎていて、逆にメッセージが伝わり過ぎても嫌だというのもありました。だから、どこまで隠して、どこまでふざけて、どこまで下ネタにすればいいのかバランスに悩みました。」
―― 突然ですが、私『人馬一体』って言葉が好きなんです。
福原監督「(爆笑)な…なんでそんな言葉が好きなんですか?」
―― 最近、武士道とか兵法みたいなのに凝ってて。乗り手と馬の気持ちが同じ方向を向いていて、ぴったり息が合っているという意味なんですけど、私は乗り手を“頭”で、馬を“身体”に例えると、現代人の課題が浮き彫りになると思ったんです。
福原監督「なるほど。現代人は、頭で考えてる事と、身体で感じる事がズレてると。」
―― 乗り手と馬の行きたい方向が違うから、スムーズに流れないんですよね。みんな頭では「学校に行かねば」「良いパパになるべき」など、正義や義務を優先しがちですが、馬(身体)はそうならない。この馬の部分…つまり人間の本質みたいなものをあさこが表し、脳内の理屈や自我を、夫を中心とする5人の男性が演じていたのかな〜と思いました。
福原監督「そうですね。男達はみんな理屈で言ってて、その理屈を越えたはるか先を独りで走ってるのがあさこで、そういう話を描きたかったんです。そうそう、人馬一体で思い出しましたが、舞台版であさこは、オサム(夫)以外の男に騎馬戦で担がれて去っていくというシーンもあるんですよ。」
―― キャー!面白すぎる!舞台、マジで観たいです。
福原監督「まぁ、馬つながりですね。ありがとうございます。」
―― やっぱり、人(頭=男達)よりも馬(本質=あさこ)の力が強いから引き摺られていって、結果としてそっちの方が幸せなんですよね。
福原監督「そう。ハッピーエンドなんです。」
―― ありがとうございます。公開に先立ちまして、シネマズby松竹の読者に監督からのメッセージをお願いします。
福原監督「『ケッ!』て思わない状態で、愛を信じられる映画となっています。普通に、真面目な恋愛映画を観るとムカつく人向けの、超恋愛・純恋愛映画です。ぜひ皆さん、スクリーンでお楽しみ下さい。」
―― 必要な人のところに、映画に込められたメッセージが届くといいですね!本日はありがとうございました。
(インタビュー終了)
起こそうラブレボリューション!行こうぜ映画館!
何が起こってもおかしくない、不安定で不条理で不都合なこの世の中…。そこに最高のタイミングで現れた救世主のような映画『愛を語れば変態ですか』は、2015年11月28日より新宿ピカデリーをはじめ、全国ロードショーとなります。
流れが停滞している人、最近スッキリしない人、愛を見失い人生迷子になってる人…そんな方はぜひ、この映画が放つ愛のパワーを受け取りに映画館に足を運んでみてください。あさこの全力疾走が、悩みや問題を吹き飛ばしてくれること請け合いです!!
(取材・文:大場ミミコ)
●三股されて生まれた作品『愛を語れば変態ですか』福原監督インタビュー・前編
映画『愛を語れば変態ですか』予告編
https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=7ckVtCmpm4A