ベストセラー『武士の家計簿』著者磯田道史の近著『無私の日本人』の一編「穀田屋十三郎」を、『白ゆき姫殺人事件』『残穢』中村義洋監督が映画化。
先日情報解禁された阿部サダヲ、瑛太、妻夫木聡の出演情報に加え、皆に愛される飯屋のおかみ”とき”役に本格時代劇映画は初出演となる竹内結子、年老いて生まれたわが子を愛するイクメン遠藤幾右衛門を寺脇康文。
主人公十三郎(阿部サダヲ)の祖父・穀田屋十兵衛役をきたろうが演じ、武士の身分に憧れる純真な百姓千坂仲内役を千葉雄大、極端に優柔不断な早坂屋新四郎に橋本一郎。
ときを狙うハンター穀田屋善八を中本賢、噂好きでええかっこしい遠藤寿内役に西村雅彦、冷酷無比な藩の役人萱場杢役は本作で10年ぶりの時代劇出演の松田龍平、十三郎・甚内の母”きよ”を草笛光子、重三郎・甚内の父”先代・浅野屋甚内十三郎”には山﨑努と、錚々たるメンバーが集結した。
また、このたび初公開となる扮装姿も届いている。
とき役・竹内結子からコメントも
竹内結子:「残穢」に続きこんなに早く中村監督作品に呼んで頂けてとても嬉しく思います。
時代劇映画初ということでメイク、衣装、美術、セットなど全てが新鮮で和やかさと良い緊張感をもって
撮影に臨むことが出来たと感じています。
この作品は、町を救いたい一心で、人のために尽くす庶民たちのお話なのですが、
何でも誰かに言いたがり拡めたがりの時代に、報われたい欲を捨て敢えて「つつしむ」ことを選んだ人々の、その心の在り方がとても美しいと私は思います。
そんな人たちを近くで見ていたトキとしては、慎み深い皆さんに代わり、
是非、多くの方にこのことを知ってもらいたいと願っております。
–{キャスティングについて監督からコメント}–
キャスティングについて中村義洋監督から…
今回ほどキャスティングに時間を使った映画はありません。
僕らのハードルが段々高くなっていったせいかもしれません。それは決して、名のある方を、ということにこだわったわけではなく、九人の篤志家と、見守る女性、そして酷薄怜悧な御上と、バランス(年齢、顔、形や、観客が思っているであろう印象と、それへの裏切り等)を考えながら、一人一人、慎重に、時間をかけてキャスティングしていきました。今どき何とも贅沢な時間の使い方をさせて頂いた気がします。
サダヲさん、瑛太くん、妻夫木くんは、撮影前のマスコミ発表でも言った通り「いつか」という時のためにとっておいた「ここぞ」のキャスティングです。それにしてもここまでハマる、というかハメてきてくれるとは思いもしませんでした。役どころがそれぞれ「真心の人」「頭脳の人」「冷たい人」といった按配ですが、それが物語の中で二転三転する様を楽しんで頂けたらと思います。
そして九人の篤志家の他の六人の役どころですが、寺脇さんには「人情の人」、千葉くんには「優柔不断の人」、きたろうさんには「揺れる人」、西村さんには「名誉欲の人」、中本さんには「勘違いの人」、橋本くんには「ケチな人」というのを割り振らせて頂きました。また皆さん、見事にハマって(ハメて)頂きました! もちろんこの六人も、単にそれだけではなく、そこから何度も揺れ動きますので、彼らが六年という歳月のなかでどう変わったか、というのも観て頂きたいところです。
竹内さんの役の「しま屋おとき」は全登場人物中ただ一人、磯田さんの書かれた『無私の日本人』にも、その元ネタの『國恩記』(実話です!)にも登場しないキャラクターです。しかしこの時代の女性は、たとえどんなに立派な行動をしても表に出ない、つまり、記録に残されない、というのが常であったようで、だったら逆に、史実を左右するような活躍をしても記録に残してもらえなかった可能性も大で、それなら、主人公たちに愛され、時には檄を飛ばし、計画の一翼を担うような天真爛漫の女性であってもおかしくなかろう、ということで、そうなったら真っ先に思い浮かんだのが竹内さんでした。ほとんどアテ書きです。書いてる途中で、おや? もしや? と思って軽くウィキペディアでプロフィールを調べたら、竹内さんに時代劇の経験がない、というのも大きかったです。ああ、結子さんの日本髪を一度でいいから拝んでみたい、という思いも重要な決め手の一つであったことは否めません。ちょうど前作の(といってもまだ公開されてませんが)『残穢』とは真逆のキャラクターになるのも魅力でしたが、あまりにも撮影が近かったため「あれ? メガネはどうしたの?」と思ってしまうのがちょっと困りモノでした。
対する御上・萱場杢役の龍平くんは、実は彼も僕の中では「ここぞ」の人で、瑛太くん同様、『アヒルと鴨のコインロッカー』から9年、一緒にやれる日をずっと待ちわびていた俳優です。お話の流れ上、この役には本当に「高い壁」になってもらわねば困るので、龍平くんのいい意味での「得体の知れなさ」に賭けてみました。現場では、冷淡に見えるよう脚本に「薄く笑う」などと書いておいたのですが、そういうのを龍平くんは全然やってくれず(笑)、なのに僕の想像をはるかに超える、ゾッとするまでの冷淡さを見せてくれて、これはもう本当に、最高の誉め言葉として、得体が知れない俳優になったなあと、舌を巻かせて頂きました。
草笛さんは、大ファンなんです。実は私『必殺』シリーズのマニアで、ご覧になった方なら分かって頂けると思いますが、草笛さん演じた「おせいさん」に心打たれ、いつか自分が時代劇を撮る時が来たら絶対出て頂きたい! と切望していたキャスティングです。現場ではため息をつきながらモニターに魅入り、贅沢な時間を過ごさせて頂きました。
山﨑さんは、実は一番始めに決めたキャスティングです。謎の多い役なので詳細は語れませんが、原作を読み終わって3秒後には、山﨑さんがファーストシーンとラストシーンに登場する、と決めて脚本を書き始めました。何も言いません。とにかくまた(『奇跡のリンゴ』に続き)、ものすごいお芝居でした……。
【STORY】
金欠の仙台藩は百姓町人へ容赦なく重税を課し、破産と夜逃げが相次いでいた。さびれ果てた小さな宿場町・吉岡藩で、故郷の将来を心配する十三郎(阿部サダヲ)は、知恵者の篤平治(瑛太)から宿場復興の秘策を打ち明けられる。それは、藩に大金を貸し付け利息を巻き上げるという、百姓が搾取される側から搾取する側に回る逆転の発想であった。計画が明るみに出れば打ち首確実。千両=三億円の大金を水面下で集める前代未聞の頭脳戦が始まった。「この行いを末代まで決して人様に自慢してはならない」という“つつしみの掟”を自らに課しながら、十三郎とその弟の甚内(妻夫木聡)、そして宿場町の仲間たちは、己を捨てて、ただ人のために私財を投げ打ち悲願に挑む!
『殿、利息でござる!』は2016年5月14日(土)全国ロードショー!
公式サイト http://tono-gozaru.jp/
(C)2016「殿、利息でござる!」製作委員会
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