『の・ようなもの のようなもの』 ワールドプレミア舞台挨拶

俳優・映画人コラム

■「キネマニア共和国」

第28回東京国際映画祭パノラマ部門に出品された『の・ようなもの のようなもの』の上映が29日、TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催。上映に先立って、主演の松山ケンイチ、北川景子、伊藤克信、そして杉山泰一監督の舞台挨拶が行われた。

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森田芳光監督へのオマージュ&ラブレター

『の・ようなもの のようなもの』は、2011年に亡くなった名匠・森田芳光監督が下町の落語家たちの日常を描いた商業映画デビュー作『のようなもの』(81)のその後を描いたもので、森田監督の助監督を長年務めてきた杉山泰一が師の志を受け継ぎ、本作で映画監督デビューを飾った。

また今回は森田映画に出演してきた面々が大挙出演している。松山、北川、伊藤も例外ではない(伊藤は『の・ようなもの』の主演)。

松山「僕はさえない落語家・志ん田の役なのですが、台本を読ませていただいたとき、この役って『僕達急行 A列車で行こう』(12)のコマチっぽくないですか? と聞いたら、そうだねと(笑)。ならばコマチとしてそこにいればいいのかなと思いながら現場に入ってみたら、みなさんなにがしか森田映画の役をひきずっている人たちばかりだった(笑)。ですからこの作品は『のようなもの』の続編の形を借りて、森田監督へのオマージュというかラブレターというか、そういった想いが含まれているんです」

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北川「私が演じた夕美も、森田監督と初めてお仕事させていただいた『間宮兄弟』(06)と同じ役名で、やはりどこか引きずっているキャラクターなんですね。あ、そういうことなんだなと。そしてフィッティング(衣裳合わせ)に行きましたら、『間宮兄弟』のときと同じ衣裳がそこにありまして(笑)。衣裳さんもヘアメイクさんも『夕美ってこういう感じだったよね』と言っていただいて役を作っていきました。つまり、夕美がおよそ10年経って成長した姿なんですね」

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伊藤「私は35年ぶりに同じ役(志ん魚)をやらせていただきました。そもそも今、なぜ『の・ようなもの』の続編が成立したかといいますと、あのときのキャストがまだ全員生きていたからなんですね(笑)。誰かひとりでもお亡くなりになられていたら、この作品ができませんでした。長生きに感謝です(笑)。見終わって、すごくさわやかになって、元気に生きてみようという気にさせられる映画です」

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杉山「私は森田監督の『の・ようなもの』で初めて助監督の仕事をさせていただき、その後数多くの森田作品に就いてきました。残念ながら4年前に他界されましたが、今回はそんな監督への恩返しの想いを込めて作りました。今ここにいらっしゃる3人の俳優の方々も同じ気持ちで取り組んでくれたものと思っております」

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みなさん、元気でいてください!

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–{北川「本当に家族のようでした」}–

北川「今回初めてお会いする方も多かったのですが、みなさん森田チルドレンとでもいいますか、同じ雰囲気を感じましたし、森田監督の許でともにやってきたチームといった感覚で現場を楽しむことができました。現場に行けばすっと役に入れましたし、本当に家族のようでしたね」

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伊藤「森田監督の現場はいつも楽しいんです。会う人会う人、同窓会みたいな感じですよ。おお、生きてたかあ? みたいなね(笑)。そんな雰囲気を知る杉山監督が同じように明るい雰囲気を作ってくれていたので、撮影中は毎日楽しかったです」

松山「今、こうやって景子ちゃんと一緒に同じ壇上に立っていて思いだすのが、『サウスバウンド』の舞台挨拶なんです」

北川「監督と3人で立ったんだよね」

松山「うん。そのとき監督が『次は松山と景子ちゃんのふたりでラブストーリーを撮りたいねって。それが今回こういう形で実現できたのかなと」

北川「ラブストーリーのようなものであり……」

松山「青春映画のようなものであり、いろんな“のようなもの”が詰まった作品だと思います」

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杉山「堅苦しい映画ではありませんし、前作を見てなくても十分楽しめるものになっていますけど、もしよろしければ、この作品をご覧になられた後でご興味ありましたら、ぜひ『のようなもの』もご覧になってみてください。そうすると、この作品の良さがさらにわかるかと思います」」

『の・ようなもの のようなもの』は2016年1月16日公開。

松山「伊藤さん、今日は健康の話ばかりされてましたけど、来年の公開まで元気でいてくださいね(笑)」

伊藤「どこも悪くないよ、俺は!」

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(文:増當竜也)