「計算高い、現実主義、繊細、神経質・・・」渥美清さんの意外な一面を知ることが出来る1冊

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どうも。スズキです。

毎度、『男はつらいよ』を切り口に記事を書いている者です。今回は、小林 信彦さんの著書『おかしな男 渥美清 (新潮文庫)』を紹介します。

本の説明に以下の記述があるように、渥美清さんの意外な一面を知れる1冊です。

「映画「男はつらいよ」の寅次郎が、衣裳を脱いだときに現れる素顔の渥美清と本名・田所康雄に戻った時に見せる意外な一面。若き日の渥美清と親しい交際のあった著者が自ら見聞したことだけをもとに愛情こめて綴る実感的喜劇人伝。」

明るい寅さんからは考えられない記述も登場するので、ぜひチェックしてみてください。

虚構に殉じた男の若き日の素顔を

本を読んで印象に残ったのは、紹介ページと最後のあとがきに登場した記述です。

出会いは、1961年の夏。四角い顔に細い目のその男は、33歳。NHKのドラマで全国区の人気者になる寸前。僕は28歳で、小説を書き始めていた。“芸”への強い興味だけでつながっているような、奇妙な関係。

底知れぬ凄みを示したかと思えば、なんともいえないおかしみも持っていた彼はやがて、“寅さん”となった―。虚構に殉じた男の若き日の素顔を丹念に浮かび上がらせる、実感的人物伝。

ひとことでいえば、渥美清という人物の若き日の<面白さ>の記憶が、僕にこの本を書かせたのだと思う。

彼は複雑な人物で、さまざまな矛盾を抱え込んでいた。無邪気さと計算高さ。強烈な上昇志向と自信。人間に対して幻想を持たない諦めと、にもかかわらず、人生にある種の夢を持つこと。肉体への暗い不安。

非情なまでの現実主義。極端な秘密主義と、誰かに本音を熱く語りたい気持ち。

ストイシズム、独特の繊細さ、神経質さをも含めて、この本の中には、ぼくが記憶する彼のほぼ全てを書いたつもりだ。

『男はつらいよ』を見ていると、寅さんの明るさ、楽天家という面しか見えません。しかし、著書には渥美清さんの闇の部分がたくさん登場するんです。

それが計算高さ、不安、現実主義、繊細さ、神経質さと表現されているんです。

さらに、上昇志向も強く、以下のような記述もされています。

渥美清はライバルの植木等について、「来年の7月には勝負がついているだろう」と闘志を燃やしていた

このように、本の中では『男はつらいよ』からは想像もできないような「渥美清」が描かれています。記者はこの本を読んで、クリエイターという人間は闇と向き合っていかなければならないんだな、と感じました。

–{表向きは華やかだけど・・・}–

表向きは華やかだけど・・・

記者もブロガーという仕事をしています。これもクリエイターと呼べる職業です。こうした仕事をしていると、不安と戦うことが多くなるんです。

例えば、「このまま食べていけるのか?」とか「飽きられていないか?」、「今までとやり方を変えてもファンはついてきてくれるか?」など不安はつきません。

こんなことを考えていると、やはり闇の部分は出てきます。

裏では泥臭い取り組みがたくさん

クリエイターというと、華やかな部分を連想されるんですが、全然そんなことないんです。

よく、「水辺を泳ぐ鳥は水面で必死に足を動かしている」という例を元に語られますが、裏ではめちゃくちゃ泥臭いことをしているものなんです。

さらに、作品を生み出す苦しみと戦っているクリエイターもいます。それは漫画家に多く、よく聞くのが作品作りに行き詰まり、お酒に走ってしまうという話です。

そして、アル中になってしまう方の話も聞きます。それくらい、クリエイターというのは闇を抱えているんです。

週末は闇を持った男として『男はつらいよ』を見てみよう

上記で紹介したように、寅さんを演じたクリエイター・渥美清さんも同様です。なので、ファンとしてはそうした苦悩を感じながら作品を見ると、また違った視点で楽しめるはずです。

ということで、この週末は紹介した本を読んで渥美清さんの真の姿を知りましょう。そして、不安と戦っている俳優と認識しながら、もう一度『男はつらいよ』をご覧になってみてはいかがでしょうか。

ではまた!

(文・タクスズキ)

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