ある一本の映画を観たあの日から胸がときめいております・・・「God Help the Girl」

映画コラム

はじめまして、こんにちは!
奥浜レイラと申します。

テレビやラジオ、雑誌などで素敵な音楽・映画をご紹介するお仕事をしています。
これからどうぞよろしくお願いします!

そんな訳で、突然ですが最近の奥浜、胸がときめいております。
道端に咲く一輪の花に優しい気持ちになるように、些細なもの何もかもがキラキラと輝いて見え、そろそろ宝くじが当たる気さえしています。(大袈裟&飛躍)
そう、それはある一本の映画を観たあの日から・・・

その映画がこちら「God Help the Girl」なのです!

まずビジュアルが可愛いでしょ?素敵な雰囲気でしょ?
女の子が可愛い映画に、間違いは(あまり)無い。多分。

メインキャストは、この三人。
赤いリップのおかっぱ女子、イヴ(エミリー・ブラウニング)。スコットランドのグラスゴーで、うつ病と拒食症の治療のため入院中。
そして、眼鏡の文系男子ジェームズ(オリー・アレクサンデル)。アコギを抱えてバンドを組んでいるけど、いまいちパッとしません。
最後にもう一人女の子、金髪にすらりと伸びた手足が目を引くキャシー(ハンナ・マリー)。歌ったり、演じたり何か表現したいと漠然と思いながら、なかなか形になりません。

入院中のイヴが、夜な夜な抜け出し訪れたライブハウス。そこでステージに立つジェームズに出会い、やがて友人のキャシーを紹介されて、三人は一緒に音楽を作り始める・・・

と、ざっくりとそんな感じのストーリーなのですが、ここからはこの映画の素敵ポイントを3つピックアップしたいと思います。(たくさんあって選ぶのがすごく難しいけど!)

–{何と言っても音楽が魅力的!!}–

1.何と言っても音楽が魅力的!!

この映画、監督はスチュアート・マードックという人物。
音楽好き、特にUKポップ好きの方ならピンと来るでしょうか?
日本にもファンの多いスコットランドのギターポップバンド“ベル・アンド・セバスチャン”(愛を込めてベルセバと呼ぼう)のフロントマンなのです。
このベルセバを世界的にビッグなバンドへと進化させながら、彼は『プラダを着た悪魔』や『(500)日のサマー』など映画のサウンドトラックに関わってきました。
そんなスチュアートにとって、これが初の監督作品!
実は脚本の完成前に、映画のベースとなる音楽が先に出来ていたというから驚きです。
2003年、スチュアートの頭の中にある1曲が浮かび「これはベルセバの曲ではない」と判断した彼は、その曲を元にミュージカル映画を作りたい!とイメージを膨らませて、脚本を書き始めたのだそう。
だからこそ、映画の内容とのマッチングが素晴らしい!
これは特に海外作品に多いですが、音楽の使い方もちゃんと考えられている映画って大好きです。

そもそもベルセバの音楽って、曲調は思わず口ずさむポップさがありつつ、歌詞の内容を見ると心情の繊細さや人間の弱さ、かと思えば芯の強いメッセージが(押し付けがましくなく)あくまでもさらっと込められていて、ふと気がつくとリスナーのパーソナリティにぐいぐい迫っているんですよね。
それって、“映画好きの人が好む映画”が持つ美学と近い気がする。
だから、スチュワートが映画を撮ったということに、何の違和感も無かったのか!納得!
しかも、セリフの中にザ・パステルズ、アズテック・カメラ、ニック・ドレイク、イアン・カーティスなどなど、スチュアートへの影響を感じさせるミュージシャンの名前が出てくるあたり、音楽ファンはニヤッとしてしまうポイントです。

2. とことん胸キュンなビタースウィートストーリー

冒頭にもチラッと書いた通り、ざっくり言うと、3人の男女が出逢い友情が生まれ、更に音楽という絆で繋がって、ライブをするまでのひと夏の物語・・なのですが、焦点はバンド活動だけに当たっている訳ではありません。

病気療養中という悩み深いイヴの心理描写は、繊細に、でもシリアスの分量は少なめに描かれていて、それは20歳前後の殻を破ろう苦悩としていた頃のわたし自身と重なって、胸がヒリヒリしました。

イヴに密かに想いを寄せるジェームズの振る舞いも、イマドキの日本の男の子(特に文系男子!)の奥ゆかしさと重なって、微笑ましくもありじれったくもあり・・(笑)

寂しさを埋めるため?それとも、自分の音楽をプロモーションするため?
はたまた承認欲求なのか?たいして好きでもない男の子と寝てしまうイヴ。
女の強かさと脆さのバランスが実にリアルに描かれていて、「スチュアートよ、なぜその気持ちが分かるんだ!?」と思わず唸ったほど。

3人の若い男女がもがきながら、それぞれに自分の生きる道を見つけていく姿は清々しく、観終わると「私も頑張ろう!」と力が湧いてきます。

–{主人公イヴの可愛さが抜群!}–

3. 魅力的なキャスト陣!

もう、まずは何と言っても主人公イヴの可愛さが抜群!
いや、実を言うと始めはそこまで思っていなかったのですが(ごめんなさい!)中盤から自分でも気持ち悪く思うくらいイヴを目で追っていました。
小柄な体系、ミステリアスな瞳、そして服が似合う!(これ案外重要!)
もう一人の女の子、キャシーと並んで歌うミュージカルシーンはポストカードにしたくなるほど、いちいち可愛い&おしゃれ!
映画一本分で、ファッション雑誌を一冊読破したような感覚にも似た刺激を受けました。
とは言え、衣装のクレジットを見ると特にハイブランドを使っている訳ではないんですよね。
フレッド・ペリー、トップショップ、アメリカン・アパレルなど日本でも手に入りそうなブランドが多い。
お手頃価格ながらも1950年〜1970年代風のスタイリングをしているので、チープに見えません。女子諸君!これは参考になりそうですよ!
ハリウッド映画など、衣装にハイブランドを使う作品も多いので、目の肥えた方には少々迫力が足りないかもしれませんが、この等身大のファッションは特に20〜30代の女性に共感を呼びそう。

そしてそんなキュートな女子に挟まれるジェームズくんですが、演じているのは実は現在第一線で活躍するイギリスのミュージシャンなのです。
このオリー・アレクサンデルは、『Years&Years』というバンドのフロントマン。

シングルを出す度に、イギリスのチャートを賑わせ、先日1位も獲得!
今ノリに乗っているバンドなのです。
彼は元々、音楽活動と平行して映画監督や脚本家もやっていたそう。
作曲も、楽器も出来て、演技も出来る!しかもこの文系イケメンの佇まいは、俳優さんだけやっていてもなかなか出るもんじゃない!
これから更に人気が出ちゃいそうです。

という訳で、初回から愛情ダダ漏れの紹介文になってしまいましたね。
映画『God Help the Girl』は8/1から順次公開です。

いわゆるミュージカル映画とひと味違う形で、映像と音楽のコラボレーションを存分に楽しめるはず!
この青春の眩しさを、是非劇場で浴びてほしい!!

God Help The Girl

<文:奥浜レイラ>

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